(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両、自動車、自動二輪車などの陸上輸送車両の制動装置として、車両の高速化および大型化に伴い、ディスクブレーキが用いられることが多くなっている。ディスクブレーキは、ブレーキディスクとブレーキライニングとの摺動による摩擦により制動力を得る装置である。
【0003】
鉄道車両用のディスクブレーキの場合、ドーナツ形円板状のブレーキディスクを車輪または車軸に取り付けて固定し、このブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパによってブレーキライニングを押し付けることで制動力を発生させる。これにより、車輪または車軸の回転を制動して、動いている車両を減速する。
【0004】
ディスクブレーキでは、制動時に、「ブレーキ鳴き」と呼ばれる騒音が発生する。ブレーキ鳴きは、ブレーキユニット全体が「自励振動」と呼ばれる不安定な振動を生じるために発生すると考えられている。このような振動は、制動時にブレーキライニングをブレーキディスクに押付けたときの摩擦により生じる。自励振動とは、外部からの定常的なエネルギを系の内部で加振エネルギに変え、自身を加振することで振幅が増大する振動である。ブレーキ鳴きを低減するには、制動時の摩擦により発生する自励振動を抑制する必要がある。
【0005】
特許文献1には、ブレーキディスクに、ピストンを介してパッドを押付けるように構成されたディスクブレーキが開示されている。このディスクブレーキでは、パッドが、ブレーキディスクに押圧されるときの摩擦抵抗によりブレーキディスクの回転方向下流側であるトレーリング側(接触終了側)に移動する。これにより、ピストンのパッドへの接触面積が、ブレーキディスクの回転方向上流側であるリーディング側に比して、トレーリング側で大きくなる。このような構成により、自励振動を抑制して、ブレーキ鳴きを抑制できるとされている。
【0006】
特許文献2には、基板と、複数の摩擦部材とを備えたブレーキライニングが開示されている。各摩擦部材は、弾性部材を介して基板に取り付けられている。弾性部材の支持剛性は、基板上の摩擦部材の位置によって異なるようにされている。このような構成により、ブレーキ鳴きを抑制できるとされている。
【0007】
特許文献3には、基板と、複数の摩擦部材とを備えたブレーキライニングが開示されている。
図1は、特許文献3に開示されたブレーキライニングの構造を示す平面図である。各摩擦部材3は、弾性部材を介して基板6に取り付けられている。隣接する2つの摩擦部材3は、板状の部材4で連結されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された技術を、既存の車両に適用するには,ブレーキライニングだけではなく、これに押付力を付与するブレーキキャリパまで変更する必要があり、ディスクブレーキ全体の設計に影響が及ぶ。このため、この技術を既存の車両へ適用することは、非常に困難である。
【0010】
また、特許文献2のブレーキライニングの構成では、弾性部材の支持剛性を、基板上の位置により変更する必要があるため、その製造管理が煩雑となる。
【0011】
特許文献3のブレーキライニングで2つの摩擦部材が板状の部材により連結されているのは、各摩擦部材の回転、および個々の摩擦部材の摩擦係数の変動を抑えることが目的である。特許文献3では、ブレーキ鳴きを低減するための検討は、なされていない。
【0012】
そこで、この発明の目的は、ブレーキ鳴きを容易に低減することができるブレーキライニング、およびディスクブレーキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本実施形態のブレーキライニングは、鉄道車両の車輪または車軸に固定されたブレーキディスクの摺動面に押し付けられるブレーキライニングであって、
各々の表面が前記ブレーキディスクの前記摺動面と対向し、各々が互いに隙間を隔てて配置された複数の摩擦部材と、
各摩擦部材の裏面に固着された裏板と、
各摩擦部材を、各摩擦部材の中心部を含む領域において支持する基板と、
各摩擦部材の裏面側で、前記基板と前記裏板との間に介装された弾性部材と、を備え、
互いに隣接する2個の前記摩擦部材を一組とし、この一組の摩擦部材に固着された前記裏板が一体であり、
いずれの組の前記摩擦部材においても、2個の前記摩擦部材が、前記ブレーキディスクの周方向に沿って配列されている、鉄道車両用ブレーキライニングである。
【0014】
本実施形態のディスクブレーキは、鉄道車両の車輪または車軸に固定されたブレーキディスクと、
前記ブレーキディスクの摺動面に押し付けられる、上記ブレーキライニングと、を備えた、ディスクブレーキである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のブレーキライニング、およびディスクブレーキは、ブレーキ鳴きを低減することができる。また、本発明のブレーキライニングは、既存の車両に適用することが容易であり、製造管理が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、
図1に示す従来のブレーキライニングについて、一組の摩擦部材3における2個の摩擦部材3の配列方向によって、摩擦部材3の不安定振動モードの振幅が異なることを見出した。
【0018】
図2は、従来のブレーキライニングの制動時に生じる振幅の分布を示す斜視図である。この振幅の分布は、FEM(有限要素法)による解析によって求めたものである。
図2において、黒に近い(色が濃い)部分ほど、不安定振動モードの振幅が大きい。
【0019】
図2から、不安定振動モードの振幅は、2個の摩擦部材3の配列方向が、ブレーキディスクの周方向(
図2において、破線で示す。)に沿っていると小さく、ブレーキディスクの径方向に沿っていると大きいことがわかる。摩擦部材3の振動の不安定振動モードのうち、このような振動は、ブレーキ鳴きの主要な要因となる。このブレーキライニングでは、ブレーキディスクの周方向に沿う方向の中間部(ブレーキライニングをその長さ方向に二分する中心線上)に、一組の摩擦部材3が配置されており、この一組の摩擦部材に集中して過大な振動が生じている。
【0020】
本発明の鉄道車両用ブレーキライニング、およびディスクブレーキは、このような知見に基づいて完成したものである。本発明のブレーキライニングは、上述のように、各々の表面がブレーキディスクの摺動面と対向し、各々が互いに隙間を隔てて配置された複数の摩擦部材と、各摩擦部材の裏面に固着された裏板と、各摩擦部材を、各摩擦部材の中心部を含む領域において支持する基板と、各摩擦部材の裏面側で、基板と裏板との間に介装された弾性部材と、を備えている。互いに隣接する2個の摩擦部材を一組として、この一組の摩擦部材に固着された裏板は、一体である。いずれの組の摩擦部材においても、2個の摩擦部材は、ブレーキディスクの周方向に沿って配列されている。
【0021】
本発明のディスクブレーキは、鉄道車両の車輪または車軸に固定されたブレーキディスクと、ブレーキディスクの摺動面に押し付けられる上記ブレーキライニングと、を備えている。
【0022】
以下に、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキについて、その実施形態を詳述する。
図3Aおよび
図3Bは、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキに備えられたブレーキライニングの一例を示す図である。
図3Aに、ブレーキライニングの平面図を、
図3Bに、
図3AのB−B断面図を、それぞれ示す。
図3Aは、ブレーキライニングを、表面側となるブレーキディスク側から見た状態を示している。
【0023】
本発明のディスクブレーキは、
図3Bに示すように、ブレーキディスク1と、ブレーキライニング2と、を備えている。ブレーキライニング2は、図示しないブレーキキャリパに取り付けられている。ブレーキディスク1は、平面視において、ドーナツ形円板状である。ブレーキディスク1は、図示しない車輪または車軸にボルトなどによって取り付けられ、強固に固定されている。
【0024】
ブレーキキャリパは、制動時に作動し、ブレーキライニング2をブレーキディスク1の摺動面1aに押し付ける。これにより、ブレーキディスク1とブレーキライニング2との間に摺動による摩擦が生じ、制動力が発生する。こうして、ディスクブレーキは、車輪または車軸の回転を制動し、動いている車両を減速する。
【0025】
ブレーキライニング2は、複数の摩擦部材3と、裏板4と、弾性部材5と、これらの全てを保持する基板6と、を含む。複数の摩擦部材3は、互いに隙間を隔てて配置されている。各摩擦部材3の表面は、ブレーキディスク1の摺動面1aと対向している。
【0026】
摩擦部材3は、銅焼結材、樹脂系材料などからなる。摩擦部材3は、
図3Aに示す実施形態では、平面形状が円形であり、互いに、ほぼ同じ直径を有している。摩擦部材3の中心部には、小孔3aが形成されている。この小孔3aには、リベット7が挿入されて、このリベット7により、摩擦部材3は基板6に取り付けられている。摩擦部材3の平面形状は、円形に限らず、たとえば、四角形、六角形などの多角形でもよい。
【0027】
各摩擦部材3の裏面には、その強度および剛性を維持するため、鋼などの薄い金属板からなる裏板4が固着されている。互いに隣接する2個の摩擦部材3を一組とし、この一組の摩擦部材3に対して、1つの裏板4が設けられている。裏板4は、この一組の摩擦部材3を構成する両方の摩擦部材3にわたって一体のものである。一組の摩擦部材3は、裏板4で連結された状態になっている。摩擦部材3の組数は特に限定されない。いずれの組の摩擦部材3も、2個の摩擦部材3からなるので、摩擦部材3の総個数は、偶数である。
【0028】
裏板4は、この実施形態では、平面視で一組の摩擦部材3の各々とほぼ同じ大きさおよび形状の円板部と、これら2つの円板部を連結する連結部(
図3A参照)とを有する。連結部の幅(裏板4の長手方向に直交する方向の長さ)は、円板部の幅より小さい。したがって、裏板4は、全体として、長手方向中間部でくびれた形状を有している。
【0029】
いずれの組の摩擦部材3においても、2個の摩擦部材3は、ブレーキディスクの周方向(
図3Aに、破線で示す。)に沿って配列されている。ブレーキディスク1の径方向に沿って配列している組の摩擦部材3は存在しない。
【0030】
ここで、組をなす2個の摩擦部材3の配列方向は、ブレーキディスク1の周方向と厳密に一致していなくてもよく、その周方向からの多少の傾きは許容される。本発明において、「摩擦部材3がブレーキディスクの周方向に沿って配列されている」とは、以下に定義される傾斜角θが、45°以下であることを意味する。
【0031】
図4Aは、一組の摩擦部材の傾斜角を説明するための平面図である。一組の摩擦部材3において、各摩擦部材3の中心を通る直線をL1とし、両摩擦部材3の中心の中点をPとする。直線L1は、摩擦部材3の配列方向に対応している。ブレーキディスク1の中心Cを中心とし中点Pを通る円をAとする。中点Pにおける円Aの接線をL2とする。接線L2は、中点Pにおけるブレーキディスク1の周方向に対応している。直線L1と接線L2とがなす角度θを傾斜角とする。ただし、L1とL2とが一致するときの傾斜角θを、0°とする。摩擦部材3の平面形状が円形ではない場合は、上記定義において、「中心」は「重心」であるものとする。
【0032】
各摩擦部材3は、裏板4とともに、個々の摩擦部材3の中心部の小孔3aを挿通するリベット7によって基板6に取り付けられている。すなわち、各摩擦部材3は、各摩擦部材3の中心部を含む領域において、リベット7により、基板6に支持されている。各摩擦部材3の裏面側で、裏板4と基板6との間には、弾性部材5が介装されている。これにより、複数の摩擦部材3は、個々に弾性的に支持された状態になっている。なお、弾性部材5としては、
図3Bでは、皿ばねを例示しているが、板ばねやコイルばねを採用してもよい。
【0033】
裏板4は、外力が加えられたとき、変形可能である。このため、制動時には、各摩擦部材3は、個々に可動である。これにより、制動中のブレーキライニング2とブレーキディスク1との接触面圧を均一化することができる。
【0034】
また、一組の摩擦部材3は、一体の裏板4で連結された状態となっていることにより、裏板で連結されていない場合に比して、その動きが拘束される。このため、制動開始時点の走行速度によらず、ブレーキディスク1とブレーキライニング2との間の摩擦係数を安定化することができる。
【0035】
しかも、一組の摩擦部材3は、2本のリベット7で基板6に締結されているので、制動中に、一組の摩擦部材3の中心の周りに回転することはなく、基板6との締結部に緩みが生じるのを防止できる。仮に、それらの締結部に緩みが生じた場合であっても、2箇所の締結部が同時に破損しない限り、摩擦部材3が即座に落失することはない。したがって、ディスクブレーキの十分な耐久性および信頼性を確保することができる。
【0036】
また、各摩擦部材3は、その中心部直下のリベット7の位置を支点にして弾性支持されているので、制動中にブレーキディスク1と接触して動いても大きく傾くことはなく、その接触面が全域にわたって均一に摩耗し、偏摩耗が発生することはない。
【0037】
上述のように、いずれの組の摩擦部材3においても、2個の摩擦部材3の配列方向、および2個のリベット7(締結部材)の配列方向は、ブレーキディスク1の周方向に沿っており、ブレーキディスク1の径方向に沿って配列している組の摩擦部材3は存在しない。このため、いずれの摩擦部材3についても、制動時に振動したときに、不安定振動モードの振幅は小さい。これにより、ブレーキ鳴きを低減することができる。このような効果を奏するために、傾斜角θは、25°以下であることが好ましく、15°以下であることがさらに好ましい。
【0038】
一般に、傾斜角θが0°に近いほどブレーキ鳴きを低減できる。しかし、特定の場合には、傾斜角θを0°ではない特定の大きさの角度とする方がブレーキ鳴きを低減できる。以下、そのような場合について説明する。
【0039】
図4Bは、ブレーキライニングにおいて押し付け圧力がかけられる範囲を示す平面図である。基板6の裏面(摩擦部材3が設けられた面とは反対側の面)には、ブレーキキャリパにより押し付け圧力がかけられる。
図4Bで網掛けした部分は、押し付け圧力がかけられる領域(以下、「押圧領域」という。)Pの一例である。このブレーキライニング2では、摩擦部材は、大略的に、同心状の2つの円に沿って配列されている。外側の円に沿って3組(6個)の摩擦部材3outが配列されており、内側の円に沿って3組の摩擦部材3inが配列されている。
【0040】
いずれの摩擦部材3(摩擦部材3outおよび摩擦部材3in)も、押圧領域P内に入らない部分を有する。外側の摩擦部材3outのうち基板6の長手方向両端側に配置された1組の摩擦部材3outでは、押圧領域P内に入らない部分はわずかである。また、内側の摩擦部材3inのうち基板6の長手方向中央部に配置された1組の摩擦部材3inでも、押圧領域P内に入らない部分は上述の1組の摩擦部材3outよりは多いものの、大部分が押圧領域P内に入る。
【0041】
一方、上記以外の摩擦部材3では、押圧領域Pに入らない部分が多い。内側の摩擦部材3inのうち基板6の長手方向両端側に配置された2組の摩擦部材3inでは、押圧領域P内に入らない部分が最も多い。摩擦部材3において、押圧領P内に入らない部分は、押圧領域P内に入る部分に比して振動しやすい。このような振動は、ブレーキ鳴きの原因となり得る。
【0042】
図4Cは、ブレーキライニングにおいて、内側端部に配置された一組の摩擦部材の傾斜角を説明するための平面図である。この一組の摩擦部材3inを両摩擦部材3inの中心の中点の回りに回転させて傾斜角θを0°とした場合、この一組の摩擦部材3inは、
図4Cに破線で示すように位置する。この場合、この一組の摩擦部材3inのうち基板6の長手方向端部側の摩擦部材3inは、その大部分、具体的には、面積の約70%が、押圧領域P内に入らない。これにより、この摩擦部材3inは振動しやすく、ブレーキ鳴きを増大させ得る。
【0043】
図4Cに示す実施形態では、内側端部の一組の摩擦部材3inは、これらの摩擦部材3inの対向方向とこれらの摩擦部材3inを横切る押圧領域Pの縁部とがなす角度が小さくなるように傾斜角θがつけられている。傾斜角θは10〜20°であり、たとえば、15°である。このような構成により、この一組の摩擦部材3inのうちいずれの摩擦部材3inについても、押圧領域Pに入らない部分の割合は、面積で60%以下となっている。したがって、傾斜角θが0°であった場合に比して、全体として振動が抑制され、ブレーキ鳴きを低減できる。
【0044】
図3Aを参照して、基板6において、ブレーキディスク1の周方向に沿う方向の中間部には、摩擦部材3が配置されていない。これによっても、摩擦部材3の不安定振動モードの振幅は小さくなり、ブレーキ鳴きが低減される。
【0045】
このブレーキライニングの構成を既存の車両に適用する場合は、たとえば、摩擦部材の配列方向のみを、適正な方向となるように変更すれば足り、ブレーキキャリパ等を変更する必要はない。また、このブレーキライニングでは、弾性部材5の支持剛性は、基板6上の位置によって変更する必要はない。したがって、このブレーキライニング2は、既存の車両に適用することが容易であるとともに、製造管理が容易である。
【実施例】
【0046】
本発明の効果を確認するために、3種類のブレーキライニング(本発明例、比較例1、および比較例2のブレーキライニング)の各々について、鳴き指標を評価した。鳴き指標は、FEM(有限要素法)による解析結果から求めた。具体的には、まず、FEM複素固有値解析により、周波数毎に振動の減衰比を算出した。そのうち、負の値のもの、すなわち、不安定なものを、1/3オクターブバンドの周波数幅毎に合計し、その絶対値を求めた。各バンドの値のうち、最大のものを抽出し、これを鳴き指標とした。鳴き指標の値が小さいほど、ブレーキ鳴きが生じ難く、ブレーキ鳴きが生じた場合でもその音が小さいことを意味する。
【0047】
図5A〜
図5Cは、解析の対象とした各ブレーキライニングの平面図である。いずれのブレーキライニングも、6組の摩擦部材(12個の摩擦部材)を備えている。
【0048】
図5Aは、本発明例のディスクブレーキに備えられるブレーキライニングの平面図である。このブレーキライニングでは、すべての組の摩擦部材が、ブレーキディスクの周方向に沿って配列されている。
【0049】
図5Bは、比較例1のディスクブレーキに備えられるブレーキライニングの平面図である。このブレーキライニングは、ブレーキディスクの周方向に沿って配列された4組の摩擦部材と、ブレーキディスクの径方向に沿って配列された2組の摩擦部材とを含む。
【0050】
図5Cは、比較例2のディスクブレーキに備えられるブレーキライニングの平面図である。このブレーキライニングでは、すべての組の摩擦部材が、ブレーキディスクの径方向
に沿って配列されている。
【0051】
図6に、これらのブレーキライニングの最大鳴き指標の比を示す。
図6では、比較例1の鳴き指標の値を基準の1としたときの、相対的な値を示している。
図6に示すように、最大鳴き指標の大きさは、本発明例では比較例1に対して約20%低減されている一方、比較例2では比較例1の約3倍となっている。
【0052】
最大鳴き指標の大きさは、ブレーキディスクの径方向に沿って配列された(周方向に沿って配列されていない)組の摩擦部材の数と相関があり、当該組の摩擦部材の数が多いほど、最大鳴き指標は大きくなる。すなわち、ブレーキディスクの周方向に沿って配列されていない組の摩擦部材を排することにより、ブレーキ鳴きを低減できることが確認された。