(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された仮想空間表示装置では、ショッピングモールのストアに表示されている商品の価格や色を確かめ、さらに商品の詳細情報を参酌して購入しようとする商品を探すことができる。
【0006】
しかし、実際に商品に触れることができないので、その商品の大きさや質感などを手で感じることはできない。また、商品が変形するものや動くものである場合に、その変形や動きにどの程度の力を要するのかを手で感じることも不可能である。さらには、商品の軟質感や動きを感じることができず、温度も感じることはできない。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、入力装置に対して指で複数方向への操作力を与えることで、所定の被接触物体を手で操作したときの軟質感や硬質感などを模した反力を機械的に生成することができ、さらに物体の動きや温度などの感触も得ることができる触覚再現装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の触覚再現装置は、入力装置と制御部とを有し、
前記入力装置には、進退移動し指で押圧可能な操作体と、前記操作体の移動位置を検知する第1の検知部と、前記操作体に進退方向の力を与える進退駆動部と、前記操作体に設けられて前記操作体に触れた指の前記進退移動方向と交差する方向への移動を検知する第2の検知部とが設けられ、
前記制御部では、前記第1の検知部からの検知情報に基づいて前記進退駆動部を駆動し前記操作体から指に力を与える第1の反力付与制御と、前記第2の検知部からの検知情報に基づいて前記進退駆動部を駆動し前記操作体から指に力を与える第2の反力付与制御とが行われることを特徴とするものである。
【0009】
第2の本発明の触覚再現装置は、入力装置と制御部とを有し、
前記入力装置には、進退移動し指で押圧可能な操作体と、前記操作体の移動位置を検知する第1の検知部と、前記操作体に進退方向の力を与える進退駆動部と、前記操作体に設けられて前記操作体に触れた指に感触を与える感触発生部と、前記操作体に設けられて前記操作体に触れた指の前記進退移動方向と交差する方向への移動を検知する第2の検知部とが設けられ、
前記制御部では、前記第1の検知部からの検知情報に基づいて前記進退駆動部を駆動し前記操作体から指に力を与える反力付与制御と、前記第2の検知部からの検知情報に基づいて前記感触発生部を動作させて指に感触を与える感触付与制御とが行われることを特徴とするものである。
【0010】
第2の本発明の触覚再現装置では、前記感触発生部が振動発生部である。この場合に、前記振動発生部で発生する振動の周波数は、前記進退駆動部で操作体に与えることができる往復運動の周波数よりも高いものとなる。
【0011】
第2の本発明の触覚再現装置では、前記感触発生部が熱可変素子であってもよいし、さらに前記感触発生部として振動発生部と熱可変素子の双方を設けてもよい。
【0012】
本発明の触覚再現装置は、前記操作体が複数設けられているものとして構成できる。
例えば、前記入力装置には、親指で押圧操作される親指操作体と、人差し指と中指で個別に押圧操作される第1の対向操作体ならびに第2の対向操作体とが設けられており、
前記親指操作体の突出方向に対して、第1の対向操作体と第2の対向操作体が逆向きに突出しているものである。
【0013】
本発明の触覚再現装置は、前記制御部に被接触物体に関する情報が保持されており、前記情報に基づいて、指で前記被接触物体に接触するのを模した前記反力付与制御が行われる。
【0014】
または、本発明の触覚再現装置は、前記制御部に被接触物体に関する情報が保持されており、前記情報に基づいて、指で前記被接触物体に接触するのを模した前記反力付与制御と前記感触付与制御が行われる。
【0015】
本発明の触覚再現装置は、表示装置が設けられており、
前記制御部によって、前記表示装置の表示画面に仮想の前記被接触物体の画像と手の画像が表示され、
前記入力装置の前記操作体が押されると、前記手の画像で前記被接触物体の状態を変化させる表示が行われるものとして構成できる。
【0016】
この場合に、前記入力装置の表示画面の変化に付随した発音装置が設けられているものが好ましい。
【0017】
本発明の触覚再現装置は、前記反力付与制御では、前記被接触物体の軟質度や硬質度が再現され、前記感触付与制御では、前記被接触物体の動きや温度が再現されるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の触覚再現装置は、操作体を指で押したときに操作体の進退移動に応じた反力を発生させ、さらに操作体に触れた指を進退移動方向と交差する方向へ移動させることで、仮想の被接触物体に指を触れているのを模した軟質感や硬質感を指に与えることができる
。
【0019】
さらに、操作体に異なる向きの操作力を与えることで、被接触物体を模した動きや温度の感触を指に与えることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全体の構造>
図1Aと
図1Bに、本発明の触覚再現装置1A,1Bを使用している状態が示されている。
【0022】
図1Aに示す第1の実施の形態の触覚再現装置1Aは、装置本体10Aと入力装置20とから構成されている。
図1Aでは、入力装置20が1個使用され、この入力装置20が右手で操作されている。
【0023】
入力装置20はコード52によって装置本体10Aに接続されている。装置本体10Aには表示装置13が設けられている。表示装置13はカラー液晶表示パネルやエレクトロルミネッセンス表示パネルなどである。装置本体10Aはパーソナルコンピュータや、比較的大きな表示画面を有するデモンストレーション用の表示装置などである。
【0024】
図5に示すように、装置本体10Aには、表示装置13を駆動するための表示ドライバー14と、表示ドライバー14の表示形態を制御する制御部15とが設けられている。制御部15はCPUとメモリを主体として構成されている。また、制御部15とそれぞれの入力装置20との間で信号を授受するためのインターフェース16が設けられている。
【0025】
図1Bに示す第2の実施の形態の触覚再現装置1Bは、装置本体10Bと入力装置20とから構成されている。
図1Bでは、同じ入力装置20が2個使用され、入力装置20が右手と左手で操作されている。
【0026】
装置本体10Bは、目の前方に装着するマスク型本体11と、このマスク型本体11を頭部に装着するためのストラップ12を有している。
【0027】
装置本体10Bのマスク型本体11に、表示装置13が設けられている。この表示装置13は、操作者の目の前方に設置されて目視可能となっている。
図5に示す表示ドライバー14と制御部15およびインターフェース16などは、マスク型本体11に搭載されている。
【0028】
図2(A)には入力装置20を上方から外観が斜視図で示され、
図2(B)には入力装置20を下方から見た外観が斜視図で示されている。
図3は、入力装置20の分解斜視図である。
図4には、入力装置20に内蔵されている3組の触覚発生ユニットのうちの第1の触覚発生ユニット30Aの構造が示されている。
図2(A)と
図3および
図4には、入力装置20を基準としたX−Y−Z座標が示されている。入力装置20はZ方向が各操作体の押圧方向である。
【0029】
図1Aと
図1Bに示す使用例では、入力装置20は、Y方向が上下に向けられた姿勢で人の手に保持されている。
【0030】
図2に示すように、入力装置20は合成樹脂製のケース21を有している。ケース21は片手で保持可能な大きさである。ケース21は上部ケース22と下部ケース23とが組み合わされて構成されている。
図3に示すように、上部ケース22と下部ケース23は、Z方向に分割可能である。上部ケース22と下部ケース23は、ねじ止め手段などで互いに固定されており、2つのケース22,23の内部に機構収納空間が形成されている。
【0031】
上部ケース22はZ方向に向く表面が第1の面22aであり、下部ケース23はZ方向に向く表面が第2の面23aである。
図3に示すように、上部ケース22には、第1の面22aでZ方向に貫通する操作穴24,24が開口している。下部ケース23には、第2の面23aをZ方向に貫通する操作穴25が開口している。操作穴24,24はY方向に並んで形成されており、Y方向での開口寸法は、操作穴25が個々の操作穴24よりも大きくなっている。
【0032】
上部ケース22のY方向に向く端面には、コネクタ装着穴26が開口しており、下部ケース23のY方向に向く端面には、電源プラグ装着穴27が開口している。
【0033】
図3に示すように、ケース21の内部の機構収納空間に、機構シャーシ28が収納されている。機構シャーシ28は、金属板から折り曲げられて、X−Y平面と平行な取付け板部28aと、Y−Z平面と平行な区分板部28bとが形成されている。
【0034】
区分板部28bを挟んでX方向の一方の側に、第1の触覚発生ユニット30Aと第2の触覚発生ユニット30Bが固定されている。第1の触覚発生ユニット30Aと第2の触覚発生ユニット30Bは、Y方向に並んで配置されている。区分板部28bを挟んでX方向の他方の側に、第3の触覚発生ユニット40が1組設けられている。
【0035】
<触覚発生ユニットの構造>
図4には、第1の触覚発生ユニット30Aの構造が示されている。
【0036】
第1の触覚発生ユニット30Aは、金属板30を折り曲げたフレーム31を有している。このフレーム31が区分板部28bに固定されることで、機構シャーシ28に第1の触覚発生ユニット30Aが搭載されている。
【0037】
フレーム31に移動部材32Aが設けられている。移動部材32Aは合成樹脂材料で形成されており、その先部に第1の対向操作体33Aが固定されている。第1の対向操作体33Aは合成樹脂材料で形成されている。
図2に示すように、第1の対向操作体33Aは、上部ケース22に形成された操作穴24から外部に突出している。
【0038】
図1Aと
図1Bに示すように、入力装置20が右手で保持されているときは、第1の対向操作体33Aは人差し指で押されることになり、
図1(B)に示すように、入力装置20が左手で保持されているときは、第1の対向操作体33Aが中指で操作される。
【0039】
図4に示すように、フレーム31の一方の側板部31aにZ方向に延びる案内長穴31cが形成されている。移動部材32Aの側部には摺動突部32aが一体に形成されており、摺動突部32aが案内長穴31cの内部を摺動することで、移動部材32Aがフレーム31上でZ方向へ移動自在に支持されている。移動部材32Aは凹部32bを有している。この凹部32bの内部では、移動部材32Aとフレーム31の下端部との間の圧縮コイルばね34が介在している。この圧縮コイルばね34の弾性力によって、移動部材32Aは第1の対向操作体33Aが上部ケース22から突出する方向であるZ方向の図示上方に向けて付勢されている。
【0040】
フレーム31の一方の側壁部31aにモータ35Aが固定されている。モータ35Aの出力軸には出力歯車36aが固定されている。側壁部31aの外面に減速歯車36bが回転自在に支持されており、出力歯車36aと減速歯車36bとが噛み合っている。フレーム31の側壁部31aにギヤボックス37が固定されており、ギヤボックス37の内部に減速機構が収納されている。前記減速歯車36bの回転力は、ギヤボックス37内の減速機構で減速される。ギヤボックス37内の減速機構は、太陽歯車と遊星歯車などから構成されている。
【0041】
ギヤボックス37の減速出力軸にピニオン歯車37aが固定されている。移動部材32Aには厚肉部の表面にラック部32cが形成されており、ピニオン歯車37aとラック部32cとが噛み合っている。ピニオン歯車38aの歯部とラック部32cの歯部は、移動部材32Aの移動方向と直交するY方向に対して傾けられたはす歯である。
【0042】
前記圧縮コイルばね34を設けることで、ピニオン歯車38aとラック部32cとのバックラッシュを解消することができる。ただし、それぞれの触覚発生ユニットに圧縮コイルばね34が設けられていなくてもよい。
【0043】
この実施の形態では、モータ35Aと歯車36a,36bとギヤボックス37およびピニオン歯車37aとラック部32cとで、進退駆動部が構成されている。
【0044】
フレーム31の他方の側壁部31bに第1の検知部38Aが固定されている。第1の検知部38Aは、進退移動検知部であり、側壁部31bに固定されたステータ部と、ステータ部に対向して回転するロータ部とを有している。ロータ部に設けられたロータ軸がピニオン歯車37aと一緒に回転する。第1の検知部38Aは抵抗変化式であり、ステータ部に円弧状の抵抗体パターンが設けられ、ロータ部に前記抵抗体パターンを摺動する摺動子が設けられている。なお、第1の検知部38Aは磁気検知型であって、ロータ部に回転マグネットが固定され、ステータ部にGMR素子などの磁気検知素子が設けられて、ロータ部の回転角度が磁気検知素子によって検知されるものであってもよい。または、第1の検知部38Aが、光学式の進退移動検知部であってもよい。
【0045】
図3に示すように、区分板部28bを挟んでX方向の一方の側に、第1の触覚発生ユニット30Aと並んで第2の触覚発生ユニット30Bが固定されている。第2の触覚発生ユニット30Bの構造は、第1の触覚発生ユニット30Aの構造と同じであるため、詳しい構造の説明は省略する。
【0046】
第2の触覚発生ユニット30Bでは移動部材32BのZ側の上部に第2の対向操作体33Bが固定されている。第2の対向操作体33Bは形状と寸法が第1の対向操作体33Aと同じである。
【0047】
また、第2の触覚発生ユニット30Bでは、モータを35Bで示し、第1の検知部を38Bで示しているが、これらは、第1の触覚発生ユニット30Aに設けられたモータ35Aおよび第1の検知部38Aと同じ構造である。
【0048】
図1Aと
図1Bに示すように、入力装置20が右手で保持されているときは、第2の対向操作体33Bは中指で押されることになり、
図1(B)に示すように、入力装置20が左手で保持されているときは、第2の対向操作体33Bが人差し指で操作される。
【0049】
図3に示すように、機構シャーシ28の区分板部28bの他方の側に第3の触覚発生ユニット40が設けられている。
【0050】
第3の触覚発生ユニット40は、第1の触覚発生ユニット30Aおよび第2の触覚発生ユニット30Bと基本的な構造が同じであるが、第3の触覚発生ユニット40の方がやや大きく構成されている。第3の触覚発生ユニット40は、フレーム41に移動部材42がZ方向へ移動自在に支持されており、移動部材42の先部に親指操作体43が固定されている。親指操作体43は、下部ケース23の操作穴25から図示下方へ突出している。移動部材42は圧縮コイルばね44によって、親指操作体43が操作穴25から突出する方向へ付勢されている。なお前述のようにこの圧縮コイルばね44は省略することが可能である。
【0051】
親指操作体43は、Y方向の幅寸法が、第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bよりも大きく形成されており、第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bの双方が、親指操作体43とZ方向で対向している。
図1Aと
図1Bに示すように、入力装置20は右手で保持されるときと左手で保持されるときの双方において、親指操作体43が親指で操作される。
【0052】
第3の触覚発生ユニット40においても、フレーム41にモータ45が固定されており、モータ45の出力軸に固定された出力歯車46aが減速歯車46bと噛み合っている。前記減速歯車46bの回転力は、ギヤボックス47内の減速機構で減速され、その減速出力がピニオン歯車から、移動部材42に形成されたラック部に伝達される。そしてピニオン歯車の回転が第1の検知部48で検知される。
【0053】
図2に示すように、第1の対向操作体33Aの端面に第1の感触発生部56Aが固定され、第2の対向操作体33Bの端面に第2の感触発生部56Bが固定されている。また親指操作体43の端面に第3の感触発生部55が固定されている。
【0054】
図4に示すように、第1の感触発生部56Aは、第1の対向操作体33Aの端面に固定される振動発生部57と、この振動発生部57に重ねられた熱可変素子58とを有している。第2の感触発生部56Bも振動発生部57とその上に重ねられた熱可変素子58を有している。同様に、第3の感触発生部55も、振動発生部57とその上に重ねられた熱可変素子58を有している。
【0055】
振動発生部57は、立方体形状のケースの内部に振動子が収納されている。振動子はケース内で板バネなどの弾性部材によってZ方向へ振動自在に支持されている。振動子にはコイルが巻かれており、ケース内には前記コイルに対向する磁石が固定されている。コイルに交流電流を与えることで、振動子が振動する。逆に、振動子が磁石で形成され、振動子に対向するコイルがケース内に固定されていてもよい。あるいは振動発生部57が圧電素子で構成されていてもよい。
【0056】
振動発生部57は、比較的高い周波数の振動を発生することができ、その振動の周波数は、第1の触覚発生ユニット30Aと第2の触覚発生ユニット30Bおよび第3の触覚発生ユニット40において、モータ35A,35B,45の駆動力で発生させることができる往復運動の周波数よりも高くすることが可能である。
【0057】
熱可変素子58は、いわゆるペルチェ素子であり、対向する2枚の金属板に直流電流を与えたときのペルチェ効果の熱の移動を利用したものであり、電流方向に応じてZ方向の表面側の金属板の熱量が変化する。電流方向と電流量を制御することで、熱可変素子58に触れた指に温かい温度や冷たい温度を感じさせることが可能である。
【0058】
さらに、
図3と
図4に示すように、第1の対向操作体33Aの先端に設けられた前記第1の感触発生部56Aの上に、第2の検知部(摺動検知部)54Aが重ねられて固定されている。同様に、第2の対向操作体33Bの先部では、第2の感触発生部56Bの上に、第2の検知部(摺動検知部)54Bが重ねられて固定されている。また、親指操作体43の先部では、第3の感触発生部55の上に第2の検知部(摺動検知部)59が重ねられて固定されている。
【0059】
第2の検知部54A,54B,59は、いずれも各感触発生部55,56A,56Bに設けられた熱可変素子58の表面に固定されている。したがって、第2の検知部54A,54B,59は、熱可変素子58の熱を指に伝達できるように薄い構造となっている。
【0060】
第2の検知部54A,54B,59は、樹脂フィルムの基板にX方向に延びる複数のX電極と、Y方向に延びる複数のY電極を有しており、X電極とY電極は互いに絶縁されて交差している。また、X電極とY電極の表面は絶縁層で覆われている。X電極とY電極の一方の電極に順番に電圧が印加され、他方の電極の電流値を順番に検知することで、指が触れたときの電極間の静電容量の変化を検知できる。よって、第2の検知部54A,54B,59は、その表面に触れた指のX方向とY方向の移動(摺動)を検知することができる。
【0061】
なお、第2の検知部54A,54B,59は、触れた指が移動すると抵抗値が変化する可変抵抗センサなどで構成されていてもよい。
【0062】
図3に示すように、ケース21の内部には、信号コネクタ17と電源プラグ29が内蔵されている。信号コネクタ17は、上部ケース22に形成されたコネクタ装着穴26の内部に露出しており、電源プラグ29は、下部ケース23に形成された電源プラグ装着穴27の内部に露出している。
【0063】
図5のブロック図に示すように、第1の触覚発生ユニット30Aと第2の触覚発生ユニット30Bおよび第3の触覚発生ユニット40のそれぞれにモータドライバ51が設けられている。第1の触覚発生ユニット30Aに設けられたモータ35Aと第2の触覚発生ユニット30Bに設けられたモータ35Bおよび第3の触覚発生ユニット40に設けられたモータ45は、それぞれのモータドライバ51によって回転駆動される。
【0064】
それぞれのモータドライバ51はインターフェース17aを介して前記信号コネクタ17に接続されている。
【0065】
第1の触覚発生ユニット30Aに搭載された第1の検知部38Aと第2の触覚発生ユニット30Bに搭載された第1の検知部38Bおよび第3の触覚発生ユニット40に搭載された第1の検知部48は、それぞれインターフェース17aを介して前記信号コネクタ17に接続されている。
【0066】
また、第1の触覚発生ユニット30Aに搭載された第1の感触発生部56Aと第2の触覚発生ユニット30Bに搭載された第2の感触発生部56Bおよび第3の触覚発生ユニット40に搭載された第3の感触発生部55も、それぞれインターフェース17aを介して前記信号コネクタ17に接続されている。さらに、それぞれの第2の検知部54A,54B,59も、インターフェース17aを介して前記信号コネクタ17に接続されている。
【0067】
図5に示すように、入力装置20のケース21の内部に姿勢検知部53が設けられている。姿勢検知部53は、例えば地磁気センサを検知する磁気センサであり、あるいは振動型ジャイロ装置であり、入力装置20の操作空間内での姿勢や操作空間上での位置を検知することができる。姿勢検知部53はインターフェース17aを介して前記信号コネクタ17に接続されている。
【0068】
図5に示すように、装置本体10A,10Bにインターフェース16が設けられ、個々のインターフェース16が接続されている信号コネクタと、個々のインターフェース17aが接続されている前記信号コネクタ17とがコード52で接続されている。前記コード52には電源ラインが含まれており、電源ラインが電源プラグ29に接続されている。この電源ラインを通じて装置本体10A,10Bから入力装置20に電力が供給される。
【0069】
なお、装置本体10A,10Bとそれぞれの入力装置20とがRF信号によって通信可能とされており、入力装置20に電池が内蔵されていてもよい。この場合には、装置本体10A,10Bと入力装置20とを繋ぐコード52が不要である。
【0070】
また、装置本体10A,10Bは、さらにサーバーとの通信機能を有しているものであってもよい。
【0071】
また、
図1Aに示す装置本体10Aと
図1Bに示す装置本体10Bには、いずれも発音装置が設けられている。発音装置は空間中に音を発するスピーカ、またが操作者の耳に音を与えるレシーバなどである。
【0072】
次に、前記触覚再現装置1の操作方法と動作について説明する。
<入力装置20の操作と第1の反力付与制御>
図2に示すように、入力装置20は、ケース21の第1の面22aに第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bが突出し、第2の面22bに1個の親指操作体43が突出しており、2つの対向操作体33A,33Bと親指操作体43が、Z方向において互いに逆向きに突出している。
図1Aと
図1Bに示すように、1個の入力装置20が片方の手で保持されて、親指で親指操作体43が押圧操作され、人差し指と中指で第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bが押圧操作される。
【0073】
入力装置20では、制御部15の第1の反力付与制御によりそれぞれのモータドライバ51に制御指令が与えられ、第1の触覚発生ユニット30Aのモータ35Aと第2の触覚発生ユニット30Bのモータ35Bおよび第3の触覚発生ユニット40のモータ45が前記制御指令に基づいて動作させられる。
【0074】
モータ35A,35Bとモータ45の回転を制御することにより、移動部材32A,32Bと移動部材42を任意の位置へ移動させて、その位置で停止させることができる。例えば、第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bおよび親指操作体43をケース21から最大限まで突出させた位置で停止させることができ、または各操作体33A,33B,43をケース21の内部に最大限に後退させた位置で停止させることができる。また、各操作体33A,33Bと操作体43を最大突出位置と最大後退位置の中間の任意の位置で停止させることもできる。
【0075】
また、モータ35A,35Bとモータ45に与えられる電力を制御することにより、ケース21から突出している各操作体33A,33B,40を指で押しても動かないように、モータ35A,35B,45のモータを強い力で保持させることができる。
【0076】
第1の反力付与制御では、各移動部材32A,32B,42が移動できる状態のときに、第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bおよび親指操作体43のいずれかが押されて、移動部材32A,32B,42が押し込み方向へ移動すると、その移動位置が第1の検知部38A,38Bまたは第1の検知部48で検知されて、その検知出力が制御部15に与えられる。制御部15には、反力付与制御のために、移動距離と反力との関係を示す反力作用線(反力作用係数)に関するデータが保持されており、操作体33A,33B,43の押し込み位置に応じて、モータ35A,35Bまたはモータ45が前記反力作用線に応じたトルクを発生するように制御される。これによって、対向操作体33A,33Bを押圧している人差し指と中指、および親指操作体43を押圧している親指に反力が与えられる。
【0077】
図9(A)に、制御部15内のメモリに格納されている反力作用線(反力作用係数)のデータの例が示されている。いずれも横軸が操作体33A,33B,43の押し込み量(押し込み位置)であり、図示右方向に向かうにしたがって押し込み量が多くなっている。
【0078】
縦軸は、モータ35A,35B,45から各移動部材32A,32B,42に与えられる移動力であり、この移動力が対向操作体33A,33Bおよび親指操作体43から各指に与えられる反力となる。縦軸で上に向かうにしたがって、対向操作体33A,33Bおよび親指操作体43をケース21から突出させようとする力が大きくなり、指に感じる反力が大きくなる。
【0079】
図9(A)において実線で示す反力作用線は、各操作体33A,33B,43をケース21に向けて押し込んだときに、その押し込み量に比例して指に感じる反力が一次関数的に増大している。これは指で操作体を押し込めば押し込むほど反力が増加することを意味している。この場合の実線の傾きは、弾性体である仮想の被接触物体を指で押し込んだときの弾性係数に相当している。
【0080】
図9(A)において破線で示す反力作用線は、水平な直線となっている。これは、各操作体33A,33B,43をケース21に向けて押し込んだときにどの位置まで押し込んでも指に感じる反力が一定であることを意味している。これはほとんど弾性を発揮しない軟質な物体を指で押したときの動作を模したものである。
【0081】
このように、モータ35A,35B,45を制御することで、各操作体33A,33B,43を保持している指に、硬質感や軟質感を与えることができる。
【0082】
<入力装置20の操作と第2の反力付与制御>
図1Aまたは
図1Bに示すように、親指操作体43の先部に親指を触れ、第1の対向操作体33Aの先部と第2の対向操作体33Bの先部に人差し指と中指を触れて入力装置20を保持した状態で、各操作体33A,33B,43を押しながらいずれかの指をX−Y平面に沿って摺動させ、あるいは各操作体33A,33B,43を押すことなくいずれかの指をX−Y平面に沿って摺動させると、第2の検知部54A,54B,59によってその指の動きが検知されて制御部15に検知信号が与えられる。
【0083】
第2の検知部54A,54B,59では、指を操作体33A,33B,43の先部においてX−Y平面内で摺動させたことが検知され、その摺動量も検知される。制御部15では、どの指が摺動したかを判別し、指が摺動した操作体を有する触覚発生ユニットに制御信号が与えられる。例えば、親指操作体43の先部で親指を摺動させたことが第2の検知部59で検知されると、第3の触覚発生ユニット40のモータ45が動作させられ、親指操作体43から親指に反力が与えられる。
【0084】
なお、本発明の触覚再現装置1A,1Bは、各操作体33A,33B,43の先部に感触発生部55,55A,56Bを設けることなく、各操作体33A,33B,43の先部に、第2の検知部54A,54B,59が直接に固定されていてもよい。
【0085】
<入力装置20の操作と感触付与制御>
親指が親指操作体43に触れ、人差し指と中指が第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bに触れているときに、制御部15からの感触制御信号が生成されると、この感触制御信号が、第1の触覚発生ユニット30Aに設けられた第1の感触発生部56Aと第2の触覚発生ユニット30Bに設けられた第2の感触発生部56Bおよび第3の触覚発生ユニット40に設けられた第3の感触発生部55に与えられる。
【0086】
感触制御信号により、各感触発生部55,56A,56Bの振動発生部57が個別にまたは同時に制御されると、指に振動が与えられる。また、感触制御信号により、各感触発生部55,56A,56Bの熱可変素子58が個別にまたは同時に制御されると、指で感じる温度が変化させられる。感触制御信号によって、振動発生部57と熱可変素子58が同時に駆動されて同時に制御されてもよいし、振動発生部57と熱可変素子58のいずれか一方のみが駆動されて制御されてもよい。
【0087】
したがって、各感触発生部55,56A,56Bは、振動発生部57のみで構成されもよいし、熱可変素子58のみで構成されてもよい。
【0088】
感触付与制御は、制御部15において第1の検知部38A,38B,48からの検知信号を監視し、指によって各操作体33A,33B,43が押されたときのその押し込み量に応じて、振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させ、前記押し込み量に応じて熱可変素子58から指に感じさせる温度を変化させる。
【0089】
または、第2の検知部54A,54B,59のいずれかが、指の摺動を検知したときに、その摺動動作に対応させて、振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させ、熱可変素子58から指に感じさせる熱(温度)を変化させる。
【0090】
あるいは、制御部15では、姿勢検知部53からの検知信号に基づき、入力装置20の姿勢の変化に応じて、振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させ、熱可変素子58から指に感じさせる熱(温度)を変化させることもできる。
【0091】
さらには、制御部15のメモリから、模擬的な接触動作の対象となる被接触物体の情報が呼び出され、表示画面13aにその被接触物体の表示画像が表示されている状態で、表示されている被接触物体が特定の姿勢や形状となったときに、振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させ、熱可変素子58から指に感じさせる熱(温度)を変化させてもよい。あるいは、模擬的な接触動作の対象となる被接触物体の情報が呼び出されている状態で、操作体33A,33B,43のいずれかが押され、あるいは指が操作体33A,33B,43を摺動したことが検知されると、その操作に応じて、振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させ、熱可変素子58から指に感じさせる熱(温度)を変化させてもよい。
【0092】
このときに、時間の経過に伴って振動発生部57で発生する振動の周波数や振動のデューティ比を変化させてもよく、時間の経過に伴って熱可変素子58から指に感じさせる熱を変化させてもよい。
【0093】
<動物やぬいぐるみなどを掴む動作を模した操作>
触覚再現装置1A,1Bでは、複数種の仮想の被接触物体を手で保持したり、指で触ったりするのを模した反力と感触を操作者の手に感じさせることができる。複数種の仮想の被接触物体の反力作用線(反力作用係数)のデータや感触制御情報は、制御部15に設けられたメモリに格納されている。また、制御部15で表示ドライバー14が制御され、
図1Aまたは
図1Bに示す表示装置13に複数種の仮想の被接触物体の画像が選択されて表示され、また手の画像も表示される。これら表示はコンピュータグラフィックによるものである。
【0094】
図6には、表示装置13の表示画面13aに、仮想の被接触物体として動物61(動物の脚またはぬいぐるみの脚など)が表示されている。
【0095】
表示画面13aには手Hの画像が表示されており、所定の操作を行うことで、表示画面13aに現れている手Hの画像が移動し、手Hの画像が動物61の脚を掴んだ状態に表示状態が変化する。例えば、入力装置20を手で保持して移動させると、その移動姿勢が姿勢検知部53で検知されて制御部15に姿勢に関する情報が与えられる。この情報により表示ドライバー14が制御されて、表示画面13aに現れている手Hの画像が移動し、動物61を掴みに行くように表示される。あるいは、キーボードなどの他の操作部材で、被接触物体として動物61を選択すると、表示画面13aに現れている手Hが動物61の画像を保持するように表示状態が変化する。
【0096】
また、手に保持されている入力装置20の姿勢(向き)を姿勢検知部53で検知することで、表示画面13a内での手の画像の向きも変化する。
【0097】
仮想の手Hで保持しようとする仮想の被接触物体として動物61の脚が選択されると、各モータ35A,35B,45が制御されて、対向操作体33A,33Bおよび親指操作体43の初期位置が設定される。仮想の被接触物体が動物61の脚のように3本の指で保持できるときには、対向操作体33A,33Bおよび親指操作体43が、
図8(A)に示すように、ケース21から最大限突出した初期位置に設定される。
【0098】
制御部15は、メモリから例えば
図9(A)に示す反力作用線(反力作用係数)のデータを読み出し、制御部15は前記反力作用線のデータに基づいて各モータ35A,35B,45を制御する。第3の触覚発生ユニット40において、モータ45から移動部材42と親指操作体43に与えられる反力Fa、および第1の触覚発生ユニット30Aにおいて、モータ35Aから移動部材32Aと第1の対向操作体33Aに与えられる反力Fb、ならびに第2の触覚発生ユニット30Bにおいて、モータ35Bから移動部材32Bと第2の対向操作体33Bに与えられる反力Fcは、
図9(A)に示すよう設定される。
【0099】
第1の反力付与制御では、
図9(A)に示す反力作用線に基づき、3つの指による押し込み量が増加するにしたがって、各指に与えられる反力Fa,Fb,Fcがほぼ一次関数で増加するように制御される。すなわち、入力装置20を保持している3本の指によって動物61の体の一部である脚を保持すると、動物61から弾性反力を受けているように感じることができる。
【0100】
図9(A)に示すように、表示画面13aにおいて、手Hの画像で動物61を掴んでいる画像が表示されている状態で、例えば親指を上下方向へ移動させると、入力装置20の親指操作体43の先部に設けられた第2の検知部59によって、親指のY方向の摺動が検知されて、その情報が制御部15に与えられて第2の反力付与制御が行われる。
【0101】
第2の反力付与制御では、親指を摺動させて動物61に触れる位置を変化させると、その接触位置に応じて、親指操作体43から親指に与えられる反力Faが変化する。例えば、動物61の表面で親指が触れる位置を移動させると、
図9(A)において実線で示す反力作用線の傾きが変化し、親指が触れる場所に応じて動物61の表面の硬さが変化するような触覚を得ることができる。例えば骨が存在する部分に指が移動すると硬く感じ、それ以外の部分に指が移動すると柔らかく感じるようになる。
【0102】
さらに、
図6に示す表示が行われている状態で感触付与制御が行われる。この感触付与制御では、まず指で動物61を保持する画像が表示されると、感触発生部55,56A,56Bの熱可変素子58が制御され、各指が動物61の体温を模した温かみを感じるようになる。また、いずれかの指で操作体33A,33B,43のいずれかを押すと、
図6に示す表示画面13aに表示された画像で、指が動物61の表面を押しているように画像が変化し、指で押す量が大きくなると、指で感じる温度がやや高くなるように熱可変素子58が制御される。
【0103】
次に、
図6において矢印で示すように、親指を移動させ、この移動が第2の検知部59で検知されると、制御部15によって感触発生部55の振動発生部57が制御され、振動発生部57が振動して、その振動が親指に与えられる。例えば、
図9(C)に示すように、振動発生部57で比較的高い周波数fで振動を発生させ、
図9(B)に示すように、親指の摺動ストロークに応じて、振動の発生期間tが繰り返されるように制御される。この振動が親指に伝わると、親指が動物の表面を触っているのと同等のざらつき感を得ることができる。
【0104】
また、振動の発生期間tの長さや、その間隔を変えることで、指を毛皮の表面で摺動させているか、肌の表面で摺動させているかを区別できる感触を得ることが可能になる。
【0105】
また、発音装置を動作させて、毛皮のざらつき感を模した音を、指の移動に合わせて発音させてもよいし、動物の鳴き声を発音させてもよい。
【0106】
<指で肌をマッサージしているのを模した操作>
図8には、仮想の被接触物体として人などの肌を選択し、指でマッサージしている動作を模したときの表示例が示されている。
【0107】
右手で保持した入力装置20を移動させて、表示画面13a内に表示されている手Hの画像を人62の画像の肌の上に移動させることで、表示画面13aでは、指が肌を押している画像が表示される。
【0108】
1本の指でマッサージする動作モードを選択すると、モータ45によって移動部材42が引き込み方向へ移動させられ、モータ35Bによって移動部材32Bが引き込み方向へ移動させられる。その結果、入力装置20の初期状態は、
図8(B)に示すように、親指操作体43と第2の対向操作体33Bがケース21に向けて退行した状態となり、第1の対向操作体33Aのみがケース21から突出するものとなる。
【0109】
ケース21に向けて退行している親指操作体43を親指で保持し、同じく退行している第2の対向操作体33Bを中指で保持して、ケース21から突出している第1の対向操作体33Aを人差し指で押し込むと、
図8に示す表示画面13aに表示されている人差し指が動いて人をマッサージする画像が表示される。また、2本の指でマッサージする動作モードを選択すると、ケース21から第1の対向操作体33Aと第2の対向操作体33Bが突出し、人差し指と中指でマッサージするよう画像が変化する。
【0110】
第1の反力付与制御と第2の反力付与制御は、
図6に示すように動物61が表示されているときと同じである。指で第1の対向操作体33A(および第2の対向操作体33B)を押すと、指に弾性反力が作用し、指を操作体の先部で摺動させると、指で触っている肌の位置が変化し、手に感じる弾性反力の硬さが変化する。
【0111】
感触付与制御も
図6と同じであり、指に人の肌の体温を感じる熱が与えられる。また操作体33A(33B)の表面で指を摺動させ、これが第2の検知部54A(54B)で検知されると振動発生部57から指に振動が与えられ、肌触りを指に感じさせることができる。
【0112】
<他の被接触物体の例>
また入力装置20を保持したときに表示画面13aに表示する被接触物体としては、液体の入った風船の画像、スマートホンの操作を模した画像など、種々のものに対して対応可能である。