(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ前に、前記放射線映像から欠陥要素を取り除くステップを更に含む請求項1に記載の放射線映像の処理方法。
前記パラメータの値を決定するステップにおいては、点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションした補正映像が映像品質の基準を満たすパラメータの値に決定する請求項1に記載の放射線映像の処理方法。
前記映像品質は、変調伝達関数(MTF)、量子検出効率(DQE)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)のうちから選ばれた少なくともいずれか一つを測定して評価する請求項4に記載の放射線映像の処理方法。
前記映像品質の基準は、前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を含む請求項4に記載の放射線映像の処理方法。
前記映像品質の基準は、前記補正映像の空間周波数に対する変調伝達関数(MTF)の値が空間周波数が増加するにつれて減少し、前記パラメータの値による前記補正映像のうち変調伝達関数(MTF)の値が最も高い条件を含む請求項4に記載の放射線映像の処理方法。
決定された前記パラメータの値をピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けして格納するステップを更に含み、
前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップにおいては、格納された前記パラメータの値のうち前記放射線映像を取得するのに用いられたピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択して前記放射線映像を補正する請求項1に記載の放射線映像の処理方法。
前記繰り返し設定部は、前記放射線映像を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションして補正した放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たすように前記回数を設定する請求項9に記載の放射線撮影システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、間接方式の放射線ディテクターの閃光体パネルから発せられる光の散乱に起因するボケ現象を点状分布関数(PSF)を用いたデコンヴォルーションで補正することのできる放射線映像の処理方法及び放射線撮影システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による放射線映像の処理方法は、閃光体パネル及びピクセルアレイパネルを有する間接方式の放射線ディテクターを用いて放射線映像を取得するステップと、前記閃光体パネル又はピクセルアレイパネルに基づいて点状分布関数(PSF)を定義するパラメータの値を決定するステップと、前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記放射線映像の処理方法は、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ前に、前記放射線映像から欠陥要素を取り除くステップを更に含む。
また、好ましくは、前記パラメータは、前記点状分布関数(PSF)の大きさ及び前記点状分布関数(PSF)の形状を定義するものである。
【0012】
更に、好ましくは、前記パラメータの値を決定するステップにおいては、点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションした補正映像が映像品質の基準を満たすパラメータの値に決定する。
【0013】
更にまた、好ましくは、前記映像品質は、変調伝達関数(MTF)、量子検出効率(DQE)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)のうちから選ばれた少なくともいずれか一つを測定して評価する。
【0014】
更にまた、好ましくは、前記映像品質の基準は、前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を含む。
【0015】
更にまた、好ましくは、前記映像品質の基準は、前記補正映像の空間周波数に対する変調伝達関数(MTF)の値が空間周波数が増加するにつれて減少し、前記パラメータの値による前記補正映像のうち変調伝達関数(MTF)の値が最も高い条件を含む。
【0016】
更にまた、好ましくは、前記放射線映像の処理方法は、決定された前記パラメータの値をピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けして格納するステップを更に含み、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップにおいては、格納された前記パラメータの値のうち前記放射線映像を取得するのに用いられたピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択して前記放射線映像を補正する。
【0017】
更にまた、好ましくは、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップにおいては、前記パラメータの値が適用された前記点状分布関数(PSF)を用いたデコンヴォルーションを繰り返し行なって前記放射線映像を補正する。
【0018】
本発明の他の実施形態による放射線撮影システムは、被写体に放射線を照射する放射線照射部と、前記被写体を通過して入射する放射線を可視光に変換する閃光体パネルと、前記可視光により生成された電荷をピクセル別に格納するピクセルアレイパネルと、を有し、前記ピクセル別の電荷の量に基づいて放射線映像を実現する間接方式の放射線ディテクターと、前記間接方式の放射線ディテクターにおいて取得した放射線映像を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションして前記放射線映像を補正する映像処理部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記映像処理部は、ピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つによる点状分布関数(PSF)に適用されるパラメータの値がピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けされて格納されたデータ格納部と、前記ピクセルアレイパネルのピクセルサイズ、閃光体パネルの厚さ及び閃光体の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択するパラメータ選択部と、選ばれた前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションする映像補正部と、を備える。
【0020】
また、好ましくは、前記映像処理部は、取得した前記放射線映像から欠陥要素を取り除く前処理部を更に備える。
【0021】
更に、好ましくは、前記映像処理部は、前記放射線映像をデコンヴォルーションする回数を設定する繰り返し設定部を更に備える。
【0022】
更にまた、好ましくは、前記繰り返し設定部は、前記放射線映像を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションして補正した放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たすように前記回数を設定する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態による放射線映像の処理方法は、点状分布関数(PSF)を用いて放射線映像とデコンヴォルーションすることにより間接方式の放射線ディテクターの閃光体パネルから発せられる光の散乱に起因する放射線映像のボケ現象を補正することができる。これにより、間接方式の放射線ディテクターで鮮鋭度が向上した放射線映像を得ることができる。なお、高い量子検出効率(DQE)を有する間接方式の放射線ディテクターで鮮鋭度が向上した放射線映像を得ることができるので、少ない放射線量でも鮮明な放射線映像を得ることができ、これにより、被検者の被曝線量を低めることができる。
【0024】
また、ボケ現象が補正された放射線映像の映像品質を評価して人為的な鮮鋭度の向上を防ぎ、放射線映像においてボケ現象のみを補正することができる。なお、パラメータデータを用いて閃光体パネルの厚さに応じて映像品質を満たしながら鮮鋭度が最も高いパラメータの値を手軽に得ることもできる。
【0025】
一方、放射線映像のボケ現象を補正する前に欠陥要素を取り除く放射線映像の前処理を通じて放射線映像のボケ現象を補正する過程で欠陥要素が増幅されることを防ぐことができる。なお、ボケ現象を人為的に削除するわけではなく、ボケ現象を緩和させて無くすので、放射線映像のデータ情報の損失を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態に係る放射線映像の処理方法及び放射線撮影システムについて詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態に係る放射線映像の処理方法及び放射線撮影システムについて説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を附し、本発明の実施形態に係る放射線映像の処理方法及び放射線撮影システムについて正確に説明するために図中の構成要素の大きさが部分的に誇張されていてもよく、図中、同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0028】
点状分布関数(Point Spread Function;PSF)は、映像内においてある点がボケにより表わされる形状を描いたものであり、点状分布関数(PSF)の形状に応じてボケ現象の度合いが異なってくる。例えば、映像内の各点においてボケ面積が広くなればなるほど、映像のボケ現象が更に激しくなる。このため、点状分布関数(PSF)の形状を調節してボケ現象の度合いを調節することができ、これを用いれば、鮮明な映像及び点状分布関数(PSF)のコンヴォルーション(convolution)演算を用いてボケ現象付き映像を作り出すことができる。
【0029】
したがって、このような原理を用いて鮮明な映像にボケ効果を適用することができる。これだけではなく、本発明でのように、ボケ現象付き放射線映像を点状分布関数(PSF)を用いてデコンヴォルーション(deconvolution)することにより、放射線映像のボケ現象を補正することもできる。一方、ボケ現象入り放射線映像を点状分布関数(PSF)を用いてデコンヴォルーションすることにより補正すれば、ボケ現象を人為的に削除するわけではなく、ボケ現象を緩和させて無くすので、前記放射線映像のデータ情報の損失がない。したがって、放射線映像を補正する場合、放射線映像の品質が低下しない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による放射線映像の処理方法を示す手順図である。
【0031】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による放射線映像の処理方法は、閃光体パネル110及びピクセルアレイパネル120を有する間接方式の放射線ディテクターを用いて放射線映像を取得するステップ(S100)と、前記閃光体パネル110又はピクセルアレイパネル120に基づいて点状分布関数(PSF)を定義するパラメータの値を決定するステップ(S200)と、前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ(S300)と、を含んでいてもよい。
【0032】
放射線映像の処理のために、閃光体パネル110及びピクセルアレイパネル120を有する間接方式の放射線ディテクターを用いて放射線映像を取得する(S100)。閃光体パネル110を用いる間接方式の放射線ディテクターで放射線映像を撮影すれば、閃光体パネル110の閃光体111により光が散乱されて放射線映像のボケ現象が生じてしまう。このとき、閃光体111による光の散乱は、ガウス(Gaussian)状を呈していてもよい。このような放射線映像のボケ現象を補正して放射線映像の鮮鋭度を向上させるために、本発明においては、ボケ現象付き放射線映像を、鮮明な放射線映像と点状分布関数(PSF)とをコンヴォルーションした映像として規定している。また、点状分布関数(PSF)を用いてボケ現象付き放射線映像をデコンヴォルーションすることにより、放射線映像を補正する。
【0033】
ピクセルアレイパネル120は、放射線が閃光体パネル110に照射されて変換された可視光により生成される電荷をピクセル別に格納してもよい。ここで、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズに応じて放射線映像の解像度(resolution)が異なってくることがある。
【0034】
また、前記放射線映像を取得するステップ(S100)と並列的に、前記閃光体パネル110又はピクセルアレイパネル120に基づいて点状分布関数(PSF)を定義するパラメータの値を決定する(S200)。前記パラメータの値を決定するステップ(S200)においては、前記放射線映像を取得するステップ(S100)と同時に前記パラメータの値を決定してもよい。また、前記放射線映像を取得するステップ(S100)前に前記パラメータの値を決定してもよく、前記放射線映像を取得するステップ(S100)後に前記パラメータの値を決定してもよい。ここで、閃光体パネル110又はピクセルアレイパネル120に基づいて点状分布関数(PSF)を定義するパラメータの値を決定してもよい。このとき、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類に応じて点状分布関数(PSF)を定義するパラメータの値を決定してもよい。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態による薄い閃光体パネルにおける光の散乱度を示す概念図であり、
図3は、本発明の一実施形態による中間厚さの閃光体パネルにおける光の散乱度を示す概念図であり、
図4は、本発明の一実施形態による厚い閃光体パネルにおける光の散乱度を示す概念図である。
【0036】
線状分布関数(Line Spread Function;LSF)は、ある任意の値の分布を1次元的に示すものであり、
図2から
図4は、いずれか一つの閃光体111から発せられた可視光11の位置による分布(又は、強さ差)を示す。
図2から
図4を参照すると、線状分布関数(LSF)を用いて光が散乱される度合いを確認することができるが、光の散乱度が大きくなればなるほど、線状分布関数(LSF)のシグマ(又は、標準偏差)が広くなる。このため、
図2から
図4から明らかなように、閃光体パネル110が厚くなればなるほど、光の散乱が増加する。ここで、線状分布関数のシグマが狭くなればなるほど、鮮明な放射線映像であることを意味するが、線状分布関数のシグマが広くなればなるほど、光が散乱される度合いが高くなる。すなわち、閃光体パネル110が厚くなればなるほど、放射線10が可視光11に変換される変換効率が高くなるが、変換効率に従って光の散乱も増加されて放射線映像に更に激しいボケ現象が生じてしまう。
【0037】
また、閃光体パネル110の厚さだけではなく、閃光体パネル110の種類(又は、閃光体の種類)に応じて光が散乱される度合いが異なってくることもある。
図2から
図4を参照すると、一直線状に入射する放射線10が閃光体111にぶつかって閃光体111から四方に可視光11が発せられる。このように四方に発せられる可視光11のうち垂直に入射することなく、対角線状に入射する可視光11により放射線映像にボケ現象が生じてしまう。閃光体111の種類(又は、閃光体パネルの種類)に応じて放射線10を可視光11に変換する変換効率が良くなれば、変換効率が良くなることに伴い、光の散乱が増加して放射線映像にボケ現象が激しく生じてしまう。
【0038】
一方、放射線映像のボケ現象は、閃光体パネル110に入射する放射線10の強さによって異なってくることもある。低いエネルギーの放射線10が閃光体パネル110に入射する場合、閃光体パネル110が厚ければ、光の散乱が増加して放射線映像にボケ現象が激しく生じてしまうため空間分解能が減るが、感度(speed)は増加する。これに対し、高いエネルギーの放射線10が閃光体パネル110に入射する場合、閃光体パネル110が厚くなればなるほど、放射線10が閃光体111と反応する可能性が高くなるので、空間分解能がよくなる。換言すれば、各放射線10の強さ毎に適正な閃光体パネル110の厚さが存在し、適正な閃光体パネル110の厚さよりも薄い場合には空間分解能が悪くなり、適正な閃光体パネル110の厚さよりも厚い場合には光の散乱が増加して放射線映像にボケ現象が激しく生じてしまう。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態による、ピクセルサイズの大きなピクセルアレイパネルにおける点状分布関数の大きさを示す概念図であり、
図6は、本発明の一実施形態による、ピクセルサイズの小さなピクセルアレイパネルにおける点状分布関数の大きさを示す概念図である。
【0040】
図5及び
図6を参照すると、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズに応じて放射線映像の解像度(resolution)が異なってくることがある。
図5及び
図6は両方とも同じ面積に陰影が入っているが、
図5は、ピクセルサイズが大きいため位置別の明暗をうまく表わすことができない。しかしながら、
図6は、ピクセルサイズが
図5よりも小さいため、外郭部分の明暗を低く表わすことができて、相対的に位置別の明暗をうまく表わすことができる。このように、ピクセルサイズが小さくなればなるほど、高い解像度を有することができる。
【0041】
前記パラメータは、前記点状分布関数(PSF)の大きさ及び前記点状分布関数(PSF)の形状を定義するものであってもよい。ここで、点状分布関数(PSF)の大きさ及び前記点状分布関数(PSF)の形状は、閃光体パネル110による光の散乱形状を量子化してデジタル信号に変換した状況で光の散乱形状を描くパラメータである。
【0042】
前記点状分布関数(PSF)の大きさは、デジタル値付きピクセルの数(又は、行列の大きさ)を意味してもよく、ある任意の点(point)の光が閃光体パネル110により散乱された面積に相当するピクセルの数と対応してもよい。このため、同じ閃光体パネル110である場合、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズが大きければ、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズが小さなものよりもある任意の点の光が閃光体パネル110により散乱された面積に相当するピクセルの数が少ないため、点状分布関数(PSF)の大きさが相対的に小さくなることがある。点状分布関数(PSF)の大きさは、閃光体パネル110により散乱された面積を十分に含み得るほどの大きさになる必要があるため、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズに応じて点状分布関数(PSF)の大きさが異なってくることがある。
【0043】
前記点状分布関数(PSF)の形状は、前記点状分布関数(PSF)の各ピクセル値(又は、行列値)が作り出すグラフの形状であってもよい。前記点状分布関数(PSF)の形状は、前記点状分布関数(PSF)の行列(matrix)により定められてもよい。前記点状分布関数(PSF)の形状(又は、行列)により映像において各領域別に明度の変化量を異ならせてもよい。これを通じて、鮮明な映像に前記点状分布関数(PSF)を適用して様々なボケ効果を与えることができ、ボケ現象付き放射線映像においてボケ形状に応じて前記点状分布関数(PSF)の形状を異ならせてデコンヴォルーションすることにより、ボケ形状による効果的な補正を行うことができる。
【0044】
本発明の一実施形態においては、前記点状分布関数(PSF)の形状をガウス状にしてもよい。例えば、放射線10が閃光体111にぶつかれば、閃光体111から四方に可視光11が発せられるため、ある任意の点から四方に分散されることをうまく表わし得るガウス状に前記点状分布関数(PSF)の形状を決定することが効果的であることがある。しかしながら、本発明はこれに何等限定されるものではなく、ボケ現象付き放射線映像のボケ形状に応じて前記点状分布関数(PSF)の形状が定められてもよい。
【0045】
前記点状分布関数(PSF)の形状がガウス状である場合には、ガウス分布のシグマ(σ)によりガウスの形状が定められてもよいが、ガウス分布のシグマ(σ)を前記パラメータのうちの一つとして用いることができる。したがって、ガウス状の前記点状分布関数(PSF)は、前記点状分布関数(PSF)の大きさ及びガウス分布のシグマ(σ)を前記パラメータとして用いることができる。
また、ガウス状の前記点状分布関数(PSF)は、下記数1で表わされる。
【0047】
式中、x及びyは、x座標及びy座標を示し、σは、ガウス分布のシグマを示し、上記数1にx、y及びσを代入すれば、(x,y)座標におけるガウス値を求めることができる。
【0048】
一方、閃光体パネル110が厚くなればなるほど、前記点状分布関数(PSF)の大きさ及びガウス分布のシグマ(σ)が増加するが、閃光体パネル110が厚くなればなるほど、閃光体111から四方に発せられる可視光11がフォトダイオード121に入射するまで更に広く広がることができて、ボケ現象の面積が増加する。これにより、前記点状分布関数(PSF)の大きさが大きくなり、前記点状分布関数(PSF)の大きさに応じてガウス分布のシグマ(σ)を増加することができて前記点状分布関数(PSF)を用いてボケ現象を効率よく描くことができる。また、前記点状分布関数(PSF)の大きさ及び前記点状分布関数(PSF)の形状は、縁部(edge)の映像から1次元の線状分布関数(LSF)を求めた後、線状分布関数(LSF)を2次元に拡張して得ることができる。
【0049】
このように、点状分布関数(PSF)の大きさは、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類に応じて異なってくることがあり、ガウス分布のシグマ(σ)は、点状分布関数(PSF)の大きさが定められた場合、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類に応じて異なってくることがある。このため、本発明においては、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類に応じて点状分布関数(PSF)の大きさ及びガウス分布のシグマ(σ)を求めることができ、これにより、より効率よい補正で最高の鮮鋭度を有する放射線映像を得ることができる。
【0050】
次いで、前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正する(S300)。前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するが、前記パラメータの値さえ知っていれば、前記放射線映像及び点状分布関数(PSF)をデコンヴォルーションして前記放射線映像を補正することができる。デコンヴォルーション過程は、ボケ現象付き映像を点状分布関数(PSF)及び鮮明な映像間のコンヴォルーションにより生成されたものであることを想定し、撮影により得られた(すなわち、閃光体による光の散乱が含まれている)ボケ映像及びユーザーが推定したボケ映像間の残差(residual error)値が十分に小さくなるまでアルゴリズムを繰り返し行うことができる。また、デコンヴォルーションは、一つの点状分布関数(PSF)を用いて映像の全体を復元する空間不変デコンヴォルーション(spatial−invariant deconvolution)を用いることができる。一方、映像の位置に応じて個別的な多数の点状分布関数(PSF)を用いて映像を復元する空間変異デコンヴォルーション(spatial−variant deconvolution)を用いることもできる。各位置に合わせて個別的な点状分布関数(PSF)を用いる空間変異デコンヴォルーションは、空間不変デコンヴォルーションよりも鮮鋭度が高いとはいえ、各位置に合う個別的な点状分布関数(PSF)を求める過程が複雑であるため、空間不変デコンヴォルーションを主として用いることができる。
【0051】
間接方式の放射線ディテクターは、直接方式の放射線ディテクターに比べて高い量子検出効率(Detective Quantum Efficiency;DQE)を有しているが、直接方式の放射線ディテクターに比べて低い鮮鋭度(又は、MTF)を有する。ここで、量子検出効率(DQE)は、放射線変換効率であって、量子検出効率(DQE)が高くなればなるほど、少ない放射線量を用いても良好な映像が得られるということを意味する。したがって、本発明においては、間接方式の放射線ディテクターを用いるとき、ハードウェアの構造的な特徴により発生する閃光体による散乱(scintillator scatter)をソフトウェアアルゴリズムで補正して間接方式の放射線ディテクターの高い量子検出効率(DQE)を保ったままで直接方式の放射線ディテクターに準ずる高い鮮鋭度を得るようにしている。
【0052】
本発明によるアルゴリズムを行ったところ、高い鮮鋭度を有しながらも直接方式の放射線ディテクターよりも高い量子検出効率(DQE)を有する映像を得ることができた。この場合、更に少ない放射線量で更に鮮明で且つ高い品質の映像を得ることができるという効果がある。すなわち、高い量子検出効率(DQE)の製品を使用する場合、少量の放射線量を照射しても済むので、患者の被曝線量が低くなり、鮮鋭度が高い場合、更に鮮明な映像が得られるので、診断時に有効に使用可能である。
【0053】
特に、乳房X線撮影装置(マンモグラフィー装置)においては、微細石灰、乳房腫塊などを観察する過程で更に鮮明な放射線映像により非常に微細な部分まで観察することができる。
【0054】
一方、本発明においては、放射線ディテクターの全領域に亘って閃光体パネル110の厚さは同じであることを想定し、想定による誤差が大きくないと定義してデコンヴォルーションに際して一つの点状分布関数(PSF)及び取得された映像を用いて復元することができる。この過程で、映像の取得に際して照射された放射線量に応じて正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)、量子検出効率(DQE)などの映像測定評価因子が変わってしまう。しかしながら、本発明による変調伝達関数(MTF)の上昇には放射線量が影響を及ぼさない。変調伝達関数(MTF)は、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ及び閃光体パネル110の構造(例えば、ヨウ化セシウム(CsI)の針(needle)構造)に影響を受ける。これにより、本発明においては、閃光体パネル110の構造により低下する変調伝達関数(MTF)を復元して放射線映像の鮮鋭度を向上させることができる。このように、ノイズ成分を判断する正規化済み雑音パワースペクトル(NPS)、総合性能を判断する量子検出効率(DQE)などの放射線量に影響を受ける変数の代わりに、放射線量に影響を受けない変調伝達関数(MTF)を用いて閃光体パネル110から発せられる光の散乱による影響を把握することができる。また、変調伝達関数(MTF)を向上させて放射線映像の鮮鋭度を向上させることができる。更に、変調伝達関数(MTF)は放射線量に影響を受けないので、放射線映像の鮮鋭度を測定する因子として用いて好適である。このため、本発明においては、変調伝達関数(MTF)を用いて放射線映像の鮮鋭度を測定し、変調伝達関数(MTF)を向上させて放射線映像の鮮鋭度を向上させる。放射線映像の鮮鋭度を測定する因子が放射線量に影響を受ければ、放射線映像の鮮鋭度が測定し難くなる。しかしながら、本発明においては、放射線量に影響を受けない変調伝達関数(MTF)を放射線映像の鮮鋭度を測定する因子として用いて手軽に放射線映像の鮮鋭度を測定することができ、変調伝達関数(MTF)を向上させて放射線映像の鮮鋭度を向上させることができる。
【0055】
図7は、本発明の一実施形態によるガウス状の点状分布関数を示す図である。
【0056】
図7を参照すると、点線の大きな目盛は、映像において、x軸、y軸及びピクセル値(又は、z軸値)を示し、実線により画成されたピクセルの総面積が前記点状分布関数(PSF)の大きさとなり、各ピクセル値の組み合わせが前記点状分布関数(PSF)の行列(matrix)となる。ここで、ピクセル値は、各ピクセルの明度値であってもよい。
【0057】
鮮明な映像にこのようなガウス状の前記点状分布関数(PSF)をコンヴォルーションすれば、ガウス分布の中央部の周りにボケ現象が生じてしまう。また、ボケ現象付き放射線映像をこのようなガウス状の前記点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションすれば、ガウス分布の中央部の周りに生じたボケ現象が緩和されて前記放射線映像が補正可能になる。
【0058】
前記パラメータの値を決定するステップ(S200)においては、点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションした補正映像が映像品質の基準を満たすパラメータの値に決定してもよい。前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正すれば、補正映像の鮮鋭度が前記放射線映像の鮮鋭度よりも高くなる。例えば、あまりにも人為的に鮮鋭度を向上させれば、放射線映像固有の特性を歪ませてしまう。また、放射線映像固有の特性が歪まれていれば、医療診断用映像としての値打ちが無くなるため、補正映像の映像品質を評価して放射線映像固有の特性が歪まれているか否かを判断することにより、放射線映像固有の特性が歪まれている補正映像を選び出すことができる。したがって、前記映像品質の基準を満たすパラメータの値で前記パラメータの値を決定すれば、放射線映像固有の特性が歪まれていないながらも、鮮鋭度が向上した補正映像で前記放射線映像を補正することができる。
【0059】
前記映像品質は、変調伝達関数(Modulation Transfer Function;MTF)、量子検出効率(Detective Quantum Efficiency;DQE)、正規化済み雑音パワースペクトル(Normalized Noise Power Spectrum;NNPS)及び信号対雑音比(Signal−to−Noise Ratio;SNR)のうちから選ばれた少なくともいずれか一つを測定して評価することができる。前記変調伝達関数(MTF)、量子検出効率(DQE)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)の測定値は、映像評価ツールを用いて測定することができるが、各測定値の特性グラフを分析して前記映像品質を評価することができる。つまり、各測定値の特性グラフを通じて放射線映像固有の特性が歪まれているか否かを判断することができる。
【0060】
変調伝達関数(MTF)は、ある任意の映像システムの周波数応答を示すものであって、被写体対照度(subject contrast)に対する映像対照度(image contrast)の比であると定義することができるが、鮮鋭度に関する測定因子である。また、変調伝達関数(MTF)は、映像の空間周波数を測定して各周波数に相当する領域の周波数の記録能力であって、映像システムが映像の空間的な変化に反応する度合いを表示して解像度を求めることができる。変調伝達関数(MTF)は、映像の鮮鋭度を評価するのに広く用いられ、変調伝達関数(MTF)を用いて鮮鋭度が向上したか否かを判断することができる。
【0061】
量子検出効率(DQE)は、信号対雑音比(SNR)の伝達特性を示すものであって、最終映像により生じたノイズの量を表わしたパラメータである。すなわち、放射線ディテクターの全体的な信号対雑音比性能、信号対雑音比を伝達する放射線ディテクターの能力を測定するものである。なお、量子検出効率(DQE)は、入力信号対雑音比(SNR)に対する出力信号対雑音比(SNR)の自乗であると定義され、下記数2のように表わされる。
【0063】
また、量子検出効率(DQE)は、放射線映像の品質を表わす総合的な指標であって、変調伝達関数(MTF)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)などにより求められるものである。このため、変調伝達関数(MTF)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)を含めて総合的に映像品質を評価することができ、効率よく映像固有の特性が歪まれているか否かを判断することができる。
【0064】
雑音パワースペクトル(NPS)は、雑音の分散値の分布を空間周波数の上に表わしたものであって、映像においてピクセル間の変動要因である雑音の空間周波数に対する依存度を示し、ノイズに関する測定因子である。なお、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)とは、正規化された(normalized)雑音パワースペクトル(NPS)のことをいうが、全てのスペクトルのサンプルを平均化して得ることができる。
【0065】
映像の雑音(noise)は、映像信号における不確定性又は不正確性を意味し、大きく、映像情報を構成する光子の数に起因する雑音と、映像信号処理回路による雑音と、に大別できる。前者は、映像情報を構成する光子の数が少ないともにその不確定性の度合いが増加し、これに対し、光子の数が増えれば、映像信号として検出される可能性が高くなって映像信号に対する雑音の影響が減少することがある。放射線映像システムの信号対雑音比を評価するために、中心部分を切り取った鉛ファントムを用いて映像を取得することができ、指示線に倣って測定した取得映像のグレイスケール(gray−scale)値を用いることもできる。映像信号は、周りの鉛ファントム及び中心の円形領域におけるグレイスケール値の差(ΔD)を意味し、映像雑音は、取得映像のグレイスケール値の標準偏差(s)を意味する。これらの比(ΔD/s)が信号対雑音比(SNR)であると定義可能であるが、このような信号対雑音比(SNR)は、信号(Signal)及びノイズ(Noise)に関する測定因子である。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態による点状分布関数のパラメータの値を選択する基準を説明するためのグラフである。
【0067】
間接方式の放射線ディテクターは、直接方式の放射線ディテクターに比べて高い量子検出効率(DQE)を有しているが、直接方式の放射線ディテクターに比べて低い鮮鋭度(又は、MTF)を有する。このため、間接方式の放射線ディテクターの高い量子検出効率(DQE)を保ったままで高い鮮鋭度が得られるようにする必要がある。したがって、前記パラメータを決定する場合には、点状分布関数(PSF)の大きさ及びガウス分布のシグマ(σ)の効率よい決定のために、最初に、前記映像品質の基準として鮮鋭度を確認する指標である変調伝達関数(MTF)を確認することができる。
【0068】
図8を参照すると、前記映像品質の基準は、前記補正映像の空間周波数に対する変調伝達関数(MTF)の値が空間周波数が増加するにつれて減少し、前記パラメータの値による前記補正映像のうち変調伝達関数(MTF)の値が最も高い条件を含み得る。前記放射線映像(補正前)のグラフは、空間周波数に対する変調伝達関数(MTF)の値が空間周波数が増加するにつれて減少しながら右下がりになることを確認することができる。このように、ボケ現象付き前記放射線映像(補正前)は、空間周波数(Spatial Frequency)が高くなれば、ボケ現象も増幅されて変調伝達関数(MTF)が減ることになる。しかしながら、補正3のグラフは、取得された前記放射線映像(補正前)のグラフとは異なり、所定の区間(空間周波数が約0.7〜1.4lp/mm)において右下がりになることなく、上がりになることを確認することができる。これより、補正3のグラフを放射線映像固有の特性が歪まれているものであると推定することができる。これを検証するために、量子検出効率(DQE)を分析してもよいが、補正3のグラフは、その形状が大幅に異なってきたように、補正映像の量子検出効率(DQE)値と前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値との間に差分が発生して放射線映像固有の特性が歪まれていることが分かる。補正2のグラフも取得された前記放射線映像(補正前)のグラフとはその形状がやや異なってきたが、右下がりになる特性を有する。それ故に、補正2は、量子検出効率(DQE)を分析したところ、補正映像が前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値を保って放射線映像固有の特性が歪まれていない。このように、放射線映像固有の特性が歪まれたか否かが変調伝達関数(MTF)のグラフを通じて分かる。すなわち、変調伝達関数(MTF)のグラフが右下がりになる特性を有しておらず、上がりになるか否かを判断して放射線映像固有の特性が歪まれているか否かを判断することができる。一方、変調伝達関数(MTF)のグラフだけではなく、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)のグラフの形状をもっても、放射線映像固有の特性が歪まれているか否かが分かる。
【0069】
また、前記パラメータの値に基づいて補正された前記補正映像のうち、変調伝達関数(MTF)の値が最も高い補正映像を前記映像品質の基準として設定することができる。例えば、変調伝達関数(MTF)の値が最も高ければ、前記補正映像の鮮鋭度が最も良好であるため、前記パラメータの値による前記補正映像のうち鮮鋭度が最も良好な補正映像を得ることができる。しかしながら、鮮鋭度が高過ぎて放射線映像固有の特性が歪まれてはならないため、補正映像が前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値を保ち、中でも前記補正映像の変調伝達関数(MTF)の値が最も高い前記補正映像を選択することができる。更に、このような条件を満たす前記補正映像として取得された前記放射線映像をデコンヴォルーションするように前記パラメータを決定してもよい。これにより、放射線映像固有の特性が歪まれていないながらも、鮮鋭度が最も良好な補正映像を得ることができる。このように、本発明においては、少ない放射線量でも鮮明な放射線映像を得ることができ、これにより、被検者の被曝線量を低減することができ、鮮明な放射線映像をもってなお一層正確な診断を行うことができる。特に、乳房X線撮影装置においては、微細石灰、乳房腫塊などを観察する過程で更に鮮明な放射線映像により非常に微細な部分まで観察することができる。
【0070】
図8は、ガウス状の前記点状分布関数(PSF)において前記点状分布関数(PSF)の大きさを固定し、ガウス分布のシグマ(σ)を変化させながら得たグラフであって、補正1のグラフは、前記シグマ(σ)が0.5であるときのものであり、補正2のグラフは、前記シグマ(σ)が0.7であるときのものであり、補正3のグラフは、前記シグマ(σ)が1.0であるときのものである。前記補正1、補正2、補正3のグラフのうちでは、補正2のグラフを選択することができる。これは、変調伝達関数(MTF)のグラフにおいて補正3のグラフが最も高いとはいえ、放射線映像固有の特性が歪まれているため、放射線映像固有の特性が歪まれていないもののうち変調伝達関数(MTF)のグラフが最も高い補正2のグラフを選択することができる。このため、ガウス分布のシグマ(σ)値として0.7を決定することができ、固定された前記点状分布関数(PSF)の大きさを前記パラメータの値に決定することができる。一方、他のパラメータの値も前記方法を用いて実験を通じて決定することができる。
【0071】
図9は、本発明の一実施形態による映像品質を評価するための変調伝達関数(MTF)のグラフであり、
図10は、本発明の一実施形態による映像品質を評価するための正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)のグラフであり、
図11は、本発明の一実施形態による映像品質を評価するための量子検出効率(DQE)のグラフである。
【0072】
図9から
図11を参照すると、前記映像品質の基準を満たす補正映像は、鮮鋭度に関する測定因子である変調伝達関数のグラフが増加するが、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)のグラフも増加するため、量子検出効率(DQE)のグラフがほとんど変化しない。結果的に、前記映像品質の基準を満たす補正映像は、補正前の前記放射線映像と同じ量子検出効率(DQE)特性を有する。これは、補正映像が前記放射線映像と放射線映像固有の特性が同じであり、補正により放射線映像固有の特性が歪まれていないことを意味する。したがって、量子検出効率(DQE)が高い間接方式の放射線ディテクターの特性は保ちながらも鮮鋭度が向上した放射線映像を得ることができ、これにより、少ない放射線量でも鮮明な放射線映像を得ることができる。これを通じて、被検者の被曝線量を低減することができ、鮮明な放射線映像をもってなお一層正確な診断を行うことができる。特に、乳房X線撮影装置においては、微細石灰、乳房腫塊などを観察する過程で更に鮮明な放射線映像により非常に微細な部分まで観察することができる。
【0073】
前記映像品質の基準は、前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を含み得る。量子検出効率(DQE)は、変調伝達関数(MTF)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)などにより求められるものである。したがって、量子検出効率(DQE)は、変調伝達関数(MTF)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)を含めて総合的に映像品質を評価することができ、効率よく映像固有の特性が歪まれているか否かを判断することができる。放射線映像の補正により量子検出効率(DQE)が変わることは、放射線映像固有の特性が歪まれていることを意味するため、量子検出効率(DQE)値の差分が生じないことが求められる。しかしながら、変調伝達関数(MTF)を変化させながら量子検出効率(DQE)を誤差なしに同じ値に保つことは困難であるため、±10%の誤差範囲を設けてもよい。前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属すれば、前記補正映像の量子検出効率(DQE)のグラフが取得された前記放射線映像の量子検出効率(DQE)のグラフと同じ形状を保つことができる。これは、量子検出効率(DQE)値のみがやや異なるため、前記補正映像及び取得された前記放射線映像の放射線映像固有の特性が同じであると判断することができる。これに対し、前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲を逸脱すれば、前記補正映像の量子検出効率(DQE)のグラフが取得された前記放射線映像の量子検出効率(DQE)のグラフの形状とは異なるように変化してしまう。また、量子検出効率(DQE)値の差分も大きいため、このような前記補正映像は、放射線映像固有の特性が歪まれていると判断することができる。このように、前記補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たさない補正映像は、放射線映像固有の特性が歪まれている補正映像であるため、医療診断用映像としての値打ちがない。このため、前記補正映像は、量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を必ず満たさなければならない。
【0074】
前記量子検出効率(DQE)値の条件は、前記補正映像が満たすべき必須条件であるが、量子検出効率(DQE)は、変調伝達関数(MTF)、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び信号対雑音比(SNR)をいずれも知っていなければ求めることができないため、最初に確認すべき値ではない。例えば、鮮鋭度を判断可能な変調伝達関数(MTF)を最初に確認することができ、変調伝達関数(MTF)のグラフの形状をもって放射線映像固有の特性が歪まれているか否かを推定することができる。しかしながら、正確な放射線映像固有の特性が歪まれているか否かを正確に知るために、量子検出効率(DQE)を確認する必要がある。
【0075】
一方、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び変調伝達関数(MTF)の測定用の映像は、互いに異なっていてもよい。正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)の測定用の映像は、被写体(object)なしに撮影した映像であってもよく、変調伝達関数(MTF)の測定用の映像は、被写体の縁部(Edge object)を撮影した映像であってもよい。正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)は、被写体なしに撮影した映像において白色で表わされるノイズを測定して分析するものである。なお、変調伝達関数(MTF)は、被写体の縁部において被写体有り部分と被写体無し部分との境界がはっきりとなっているか否かを判断してボケ現象の度合いを把握するものである。これを通じて、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び変調伝達関数(MTF)を測定し、正規化済み雑音パワースペクトル(NNPS)及び変調伝達関数(MTF)を用いて量子検出効率(DQE)を計算することができる。
【0076】
決定された前記パラメータの値をピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けして格納するステップを更に含み、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ(S300)においては、格納された前記パラメータの値のうち前記放射線映像を取得するのに用いられたピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択して前記放射線映像を補正してもよい。前記放射線映像を前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションした補正映像が前記映像品質の基準を満たすか否かを検証するためには長時間がかかる。これにより、予めピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいてパラメータデータを生成してもよい。また、前記ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、前記閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに対応する前記パラメータの値を選択して点状分布関数(PSF)に適用してもよい。
【0077】
前記パラメータデータは、前記放射線映像を取得するステップ(S100)前にそれぞれのピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つ毎に全ての前記パラメータの値を適用して前記補正映像を生成した後、それぞれの前記補正映像に対する前記映像品質の基準を満たすか否かを判断してピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記補正映像が前記映像品質の基準を満たす前記パラメータの値が格納されたものであってもよい。前記パラメータデータを用いてピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、対応する前記パラメータの値の組み合わせを得ることができる。なお、放射線映像固有の特性が歪まれていないながらも、変調伝達関数(MTF)のグラフが高い補正映像を手軽に得ることができる。
【0078】
一方、残りのパラメータを固定し、いずれか一つのパラメータを変化させながら量子検出効率(DQE)の条件を満たし、且つ変調伝達関数(MTF)の値が最も高いパラメータの値を見出し、残りのパラメータも上記の方法と同様にして量子検出効率(DQE)の条件を満たし、且つ変調伝達関数(MTF)の値が最も高いパラメータの値を見出した後、見出された前記パラメータの値を相対的に変化させながら量子検出効率(DQE)の条件を満たし、且つ変調伝達関数(MTF)の値が最も高い前記パラメータの値の組み合わせを得ることができる。このとき、点状分布関数(PSF)の大きさは、所定の大きさ(例えば、物理的な散乱の範囲を十分に含み得るほどの大きさ)以上にさえ定めればよいため、他のパラメータを固定した後、前記映像品質の評価を通じて点状分布関数(PSF)の大きさを先に決定してもよい。次いで、決定された点状分布関数(PSF)の大きさを用いてガウス分布のシグマ(σ)を決定してもよく、決定された点状分布関数(PSF)の大きさ及びガウス分布のシグマ(σ)を固定して量子検出効率(DQE)の条件を満たし、且つ変調伝達関数(MTF)の値が最も高くなるように他のパラメータを決定してもよい。このようにして得た前記パラメータの値の組み合わせは、決定された前記パラメータの値であってもよい。また、決定された前記パラメータの値がピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けされて格納されたものは、前記パラメータデータであってもよい。
【0079】
前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ(S300)においては、前記パラメータの値が適用された前記点状分布関数(PSF)を用いたデコンヴォルーションを繰り返し行なって前記放射線映像を補正してもよい。前記パラメータの値の組み合わせは、取得された前記放射線映像のデコンヴォルーションに際して補正映像の放射線映像固有の特性を歪ませない組み合わせではなければならない。このような組み合わせであれば、たとえ変調伝達関数(MTF)のグラフが高くないとしても、前記パラメータの値が適用された前記点状分布関数(PSF)を用いたデコンヴォルーションを繰り返し行なって前記放射線映像を放射線映像固有の特性を歪ませない補正映像のうち変調伝達関数(MTF)のグラフが最も高い補正映像で前記放射線映像を補正することができる。このときにも、放射線映像固有の特性を歪ませないように補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%である条件を満たさなければならない。このように、前記点状分布関数(PSF)の大きさ、前記点状分布関数(PSF)の形状及びデコンヴォルーションの回数に基づいて前記放射線映像の補正度を調節してもよい。すなわち、前記放射線映像の補正度は、前記点状分布関数(PSF)の形状及び大きさ、デコンヴォルーションの回数に基づいて定められてもよい。一方、デコンヴォルーションの回数も事前の実験を通じて前記パラメータの値の組み合わせにおける放射線映像固有の特性を歪ませない最大(maximum)の回数を確認して予め設定しておいてもよい。なお、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値の組み合わせ及び前記最大の回数をルックアップテーブル(Look−Up Table;LUT)などのように予め格納しておいてもよい。
【0080】
前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正するステップ前に、前記放射線映像から欠陥要素を取り除くステップを更に含んでいてもよい。前記欠陥要素は、フラットフィールド(Flat Field)、ゲイン(Gain)及びディフェクト(defect)を含んでいてもよい。中でも、ディフェクトが前記放射線映像のデコンヴォルーションに際して前記放射線映像に最も大きな影響を及ぼす。ディフェクトは、ピクセル値が正常に出力されない部分であって、前記放射線映像のデコンヴォルーションに際して前記放射線映像内にディフェクトが存在すれば、ディフェクトが増幅される現象が生じて前記放射線映像の品質に悪影響を及ぼす虞がある。このため、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正する前に前記放射線映像内におけるディフェクトを取り除いてもよい。
【0081】
前記ディフェクトを取り除くときには、点(point/pixel)又は線(line)状のディフェクトを周りの情報を用いて補正してもよい。この場合、周りの情報を用いて補正するため、実際にピクセル値と略同じピクセル値を得ることができ、これにより、前記放射線映像の品質を向上させることができる。なお、前記ディフェクトが取り除かれてディフェクトが増幅される現象を防ぐことができる。
【0082】
また、前記放射線映像の前処理過程としてフラットフィールド補正及びゲイン補正をも行ってもよい。フラットフィールド補正は、ハードウェア的な原因により発生するピクセルの線量反応性の違いを補正することである。なお、ゲイン補正は、放射線ソース(radiation source)により発生する線量ばらつきを補正することである。
【0083】
図12は、本発明の他の実施形態によるフォトダイオード型間接方式の放射線ディテクターを示す断面図であり、
図13は、本発明の他の実施形態による電荷結合素子型間接方式の放射線ディテクターを示す断面図である。
【0084】
図12及び
図13に基づいて、本発明の他の実施形態による放射線撮影システムについてより詳細に説明するが、本発明の一実施形態による放射線映像の処理方法に関して上述した部分と重複する事項についての説明は省略する。
【0085】
本発明の他の実施形態による放射線撮影システムは、被写体に放射線10を照射する放射線照射部と、前記被写体を通過して入射する放射線10を可視光11に変換する閃光体パネル110及び前記可視光11により生成された電荷をピクセル別に格納するピクセルアレイパネル120を有し、前記ピクセル別の電荷の量に基づいて放射線映像を実現する間接方式の放射線ディテクター100と、前記間接方式の放射線ディテクター100において取得した放射線映像を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションして前記放射線映像を補正する映像処理部と、を備えていてもよい。
【0086】
放射線照射部は、放射線10の強さを調節してもよく、被写体に所定の強さの放射線10を照射して前記被写体を通過した放射線10が閃光体パネル110に入射しないようにしてもよい。
【0087】
間接方式の放射線ディテクター100は、閃光体パネル110を有していてもよいが、閃光体パネル110に入射した放射線10が閃光体111にぶつかって可視光11に変換される。ここで、間接方式の放射線ディテクター100は、可視光11に変換された光の強さをフォトダイオード121付き薄膜トランジスター122又は電荷結合素子120b付き薄膜トランジスター122を用いて電気信号に変換して映像として実現してもよい。
【0088】
映像処理部は、閃光体パネル110の閃光体111により光が散乱されて発生された放射線映像のボケ現象を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーション(deconvolution)して補正してもよい。これにより、前記放射線映像の鮮鋭度が向上して前記放射線映像を用いた医療診断の正確度を向上させることができる。
【0089】
前記映像処理部は、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つによる点状分布関数(PSF)に適用されるパラメータの値がピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けされて格納されたデータ格納部と、前記ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択するパラメータ選択部と、選ばれた前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションする映像補正部と、を備えていてもよい。
【0090】
データ格納部は、予めピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて区分けされて所定の条件を満たすパラメータの値の組み合わせを格納してもよい。このようなパラメータの値の組み合わせを点状分布関数(PSF)に適用して前記放射線映像をデコンヴォルーションすれば、放射線映像固有の特性が歪まれていないながらも変調伝達関数(MTF)のグラフが高い補正映像を得ることができる。なお、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つによる前記パラメータの値を手軽に選択することができる。
【0091】
パラメータ選択部は、前記ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値を選択してもよい。ここで、前記データ格納部に格納されたパラメータの値(すなわち、パラメータデータ)を用いてピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つによる前記パラメータの値を選択してもよい。
【0092】
映像補正部は、選ばれた前記パラメータの値が適用された点状分布関数(PSF)を用いて前記放射線映像をデコンヴォルーションすることにより、前記放射線映像を補正してもよい。ボケ現象付き前記放射線映像を用いて鮮明な映像とのコンヴォルーションにより前記ボケ現象と同じボケ効果を発生する点状分布関数(PSF)を見出して、このような点状分布関数(PSF)を用いてボケ現象付き前記放射線映像をデコンヴォルーションすることにより、ボケ現象が緩和されるように補正してもよい。
【0093】
前記映像処理部は、前記放射線映像をデコンヴォルーションする回数を設定する繰り返し設定部を更に備えていてもよい。1回のデコンヴォルーションで鮮鋭度の向上が僅かであれば、前記デコンヴォルーションを繰り返し行なって前記放射線映像の鮮鋭度を向上させてもよい。このように、繰り返し設定部は、デコンヴォルーションの回数に応じて前記放射線映像の補正度を調節できるようにしてもよい。一方、デコンヴォルーションする回数も事前の実験を通じて前記パラメータの値の組み合わせにおける放射線映像固有の特性を歪ませない最大(maximum)の回数を確認して予め設定しておいてもよい。なお、ピクセルアレイパネル120のピクセルサイズ、閃光体パネル110の厚さ及び閃光体111の種類のうちの少なくともいずれか一つに基づいて前記パラメータの値の組み合わせ及び前記最大の回数をルックアップテーブルなどのようにデータ格納部に予め格納しておいてもよい。
【0094】
前記繰り返し設定部は、前記放射線映像を点状分布関数(PSF)でデコンヴォルーションして補正した放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たすように前記回数を設定してもよい。放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲を逸脱すれば、放射線補正映像の放射線映像固有の特性が歪まれる。このため、放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たすようにしてもよい。鮮鋭度の向上のためのデコンヴォルーションの繰り返し回数が多過ぎると、放射線映像固有の特性が歪まれる。したがって、放射線補正映像の量子検出効率(DQE)値が同じ空間周波数における前記放射線映像の量子検出効率(DQE)値の90〜110%の範囲内に属する条件を満たすように前記回数を設定してもよい。
【0095】
前記映像処理部は、取得した前記放射線映像から欠陥要素を取り除く前処理部を更に備えていてもよい。前処理部は、取得した前記放射線映像を前処理してもよい。前記放射線映像のデコンヴォルーションに際して前記放射線映像内にディフェクト(defect)などの欠陥要素が存在すれば、ディフェクトなどの欠陥要素が増幅される現象が生じて前記放射線映像の品質に悪影響を及ぼす虞がある。このため、前記放射線映像をデコンヴォルーションして補正する前に前記放射線映像内におけるディフェクトなどの欠陥要素を取り除いても良い。前記欠陥要素は、ディフェクトだけではなく、フラットフィールド及びゲインを含んでいてもよいが、前記放射線映像のデコンヴォルーションに際してディフェクトが前記放射線映像に最も大きな影響を及ぼす。
【0096】
このように、本発明においては、点状分布関数(PSF)を用いて放射線映像とデコンヴォルーションすることにより、間接方式の放射線ディテクターの閃光体パネルから発せられる光の散乱による放射線映像のボケ現象を補正することができる。これにより、間接方式の放射線ディテクターで鮮鋭度が向上した放射線映像を得ることができる。なお、高い量子検出効率(DQE)を有する間接方式の放射線ディテクターで鮮鋭度が向上した放射線映像を得ることができるので、少ない放射線量でも鮮明な放射線映像を得ることができる。これにより、被検者の被曝線量を低めることができ、鮮明な放射線映像でなお一層正確な診断を行うことができる。特に、乳房X線撮影装置(マンモグラフィー装置)においては、微細石灰、乳房腫塊などを観察する過程で更に鮮明な放射線映像により非常に微細な部分まで観察することができる。
【0097】
また、ボケ現象が補正された放射線映像の映像品質を評価して人為的な鮮鋭度の向上を防ぎ、放射線映像においてボケ現象のみを補正してもよい。なお、パラメータデータを用いて閃光体パネルの厚さに応じて映像品質を満たしながら鮮鋭度が最も高いパラメータの値を手軽に得ることもできる。一方、放射線映像のボケ現象を補正する前にディフェクトなどの欠陥要素を取り除く放射線映像の前処理を行うことで、放射線映像のボケ現象を補正する過程でディフェクトなどの欠陥要素が増幅されることを防ぐことができる。更に、ボケ現象を人為的に削除するわけではなく、ボケ現象を緩和させて無くすので、放射線映像のデータ情報の損失を防ぐことができ、たとえ放射線映像を補正するとしても、放射線映像の品質が低下することがない。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態について図示及び説明したが、本発明は上述した実施形態に何等限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱しない範囲内において当該本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の技術的な保護範囲は、下記の特許請求の範囲により定められるべきである。