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第二室に対して第一室の内圧を相対的に高くする操作が、前記第一室及び前記第二室の内圧を減圧状態にした後に、前記第二室の減圧状態を保持したままで前記第一室を大気圧にする操作である請求項1に記載の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法。
前記タブ線の前記凸部の十点平均粗さ(Rz(μm))が、2.5μm〜15μmであり、前記接着層の平均厚み(A(μm))が、3μm〜100μmである請求項1から3のいずれかに記載の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法。
前記タブ線における前記凸部の十点平均粗さ(Rz(μm))と、前記接着層の平均厚み(A(μm))との比(Rz/A)が、0.5〜2.0である請求項1から4のいずれかに記載の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、クリーンで無尽蔵に供給される太陽光を直接電気に変換するため、新しいエネルギー源として期待されている。
【0003】
前記太陽電池は、複数の太陽電池セルをタブ線を介して接続した太陽電池モジュールとして用いられている。
従来のタブ線は、銅線表面に半田塗布したタイプが使用されていた。しかし、半田接続には高温が必要であることから、受光面のパネル割れや反り、タブ線からはみ出した(漏洩した)半田によるショートなどが発生し、不具合の原因となっていた。
そこで、半田に代わる接続材料として導電性接着剤などの接着剤が使用されてきている。このような接着剤を塗布したタブ線としては、銅線の全面に導電性接着剤を塗布したタブ線がある。このようなタブ線では、低温で接続できることから、太陽電池セルの反り、クラックなどが発生してしまうという問題が低減できる。
【0004】
前記太陽電池モジュールには、主に「結晶系太陽電池モジュール」及び「薄膜系太陽電池モジュール」が存在する。
【0005】
接続材料として接着剤を用いた前記結晶系太陽電池モジュールの構造について説明する。
図1は、結晶系太陽電池モジュール100の一例を示す概略部分断面図である。
図1の結晶系太陽電池モジュール100は、複数の結晶系太陽電池セル50が、インターコネクターとして機能するタブ線1で直列に接続されているものである。ここで、結晶系太陽電池セル50は、光電変換素子3とその受光面に設けられた表面電極たるバスパー電極である第1電極41と、非受光面に設けられたバスパー電極である第2電極43と、光電変換素子3上で第1電極41、第2電極43とほぼ直交するように設けられた集電極であるフィンガー電極42、44とから構成されている。タブ線1の両面の所定の箇所に導電性接着層40が形成されており、タブ線1は、隣接する結晶系太陽電池セル50の一方の結晶系太陽電池セル50の第1電極41と他方の結晶系太陽電池セル50の第2電極43を、タブ線1の両面を用いて電気的に接続している。
【0006】
続いて、接続材料として接着剤を用いた前記薄膜系太陽電池モジュールの構造について説明する。
図2は、薄膜系太陽電池モジュール200の一例を示す概略上面図である。
図2の薄膜系太陽電池モジュール200は、基材38上に、薄膜光電変換素子からなる薄膜系太陽電池セル32が、直列に平面方向に配列されており、一方の末端の薄膜系太陽電池セル32cの表面電極(不図示)と、他方の末端の薄膜系太陽電池セル32dの表面電極(不図示)とに、電力取り出し用のタブ線1が導電性接着層(不図示)を介して接続された構造を有する。
【0007】
結晶系太陽電池モジュールと薄膜系太陽電池モジュールは、上記の通り、その構造が異なるため、薄膜系太陽電池モジュールに用いられるタブ線は、結晶系太陽電池モジュールに用いられるタブ線と異なり、通常、タブ線の片面に導電性接着層を有し、該片面のみが電気的接続に利用される。
薄膜系太陽電池モジュールは、結晶系太陽電池モジュールと比べて、大面積化が容易であり、かつ低コストで製造できるという利点を有していることから、開発が精力的に行われている。
【0008】
このような、接続材料として接着剤を用いた太陽電池モジュールとしては、金属箔と該金属箔の少なくとも一方面上に設けられた導電性粒子を含有する接着剤からなる接着層とを備えたタブ線を用いた太陽電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。
また、金属層と、該金属層の一面側に所定間隔で設けられる一対の導電性接着層と、該両導電性接着層により挟まれた絶縁性接着層と、により構成されたタブ線を用いた太陽電池モジュールが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これら提案の技術は、結晶系太陽電池モジュールに関する技術であり、そのまま薄膜系太陽電池モジュールに適用することはできない。また、接続信頼性が劣るという問題がある。
【0009】
そこで、接続信頼性の改良に関する技術として、太陽電池セルの接続用電極と接する両表面に凸部を有するタブ線を用いた結晶系太陽電池モジュールが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この提案の技術は、結晶系太陽電池モジュールに関する技術であり、そのまま薄膜系太陽電池モジュールに適用することはできない。
【0010】
また、通常、太陽電池モジュールは封止剤により封止されて使用されるところ、電極とタブ線との電気的接続と、封止剤による封止とは、異なる工程において行われるため、工程が煩雑になるという問題がある。
【0011】
したがって、接続材料として接着剤を用いた薄膜系太陽電池モジュールにおいて、接続信頼性に優れる薄膜系太陽電池モジュール、及び該薄膜系太陽電池モジュールを省工程で製造可能な薄膜系太陽電池モジュールの製造方法の提供が求められているのが現状である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(薄膜系太陽電池モジュール)
本発明の薄膜系太陽電池モジュールは、薄膜系太陽電池セルと、タブ線と、接着層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、封止用樹脂、防湿性バックシート、ガラスプレートなどのその他の部材を有する。
【0018】
<薄膜系太陽電池セル>
前記薄膜系太陽電池セルとしては、光電変換部としての光電変換素子と電極とを有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非晶質シリコン太陽電池セル、CdS/CdTe太陽電池セル、色素増感太陽電池セル、有機薄膜太陽電池セル、微結晶シリコン太陽電池セル(タンデム型太陽電池セル)などが挙げられる。
前記薄膜系太陽電池セルの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
−電極−
前記電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細長い電流取出し部の領域内での外部電極などが挙げられる。
【0020】
<タブ線>
前記タブ線としては、その片面のみに凸部を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記凸部とは、十点平均粗さ(Rz(μm))で、1.0μm以上の凸部をいう。
前記凸部の大きさとしては、十点平均粗さ(Rz(μm))が、1.0μm以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.5μm〜25μmが好ましく、5μm〜20μmがより好ましく、7μm〜15μmが特に好ましい。前記Rzが、1.0μm未満であると、電気的な接続に問題が生じる場合があり、25μmを超えると、電気的な接続に問題が生じる場合がある。前記Rzが、前記特に好ましい範囲内であると、接続信頼性の点で有利である。
ここで、前記十点平均粗さ(Rz)は、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に準拠して測定することができる。
【0021】
前記凸部の材質及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅粒子の表面を亜鉛めっきしたものなどが挙げられる。
前記凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑なタブ線の片面上に、銅粒子を載せ、このタブ線を亜鉛めっきすることにより形成する方法などが挙げられる。
また、例えば、平滑な銅箔の片面上に、銅粒子を載せ、前記銅箔を亜鉛めっきした後に、前記銅箔を所定の幅にスリットすることにより、前記凸部を有するタブ線を作製することができる。
【0022】
前記凸部は、前記タブ線の前記片面の全面に形成されていてもよく、一部に形成されていてもよい。
【0023】
前記タブ線の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロム、モリブデン、及びこれらの合金などが挙げられる。また、必要に応じて、これら金属に、金メッキ、銀メッキ、錫メッキ、半田メッキなどが施されていてもよい。
前記タブ線の形状としては、例えば、リボン状が挙げられる。
前記タブ線の平均幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mm〜6mmが好ましい。
前記タブ線の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜300μmが好ましい。
【0024】
<接着層>
前記接着層は、前記タブ線の前記凸部を有する片面のみに配設されている。
【0025】
前記接着層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記タブ線上にフィルム形状の接着剤(接着フィルム)を積層する方法、前記タブ線上に液状の接着剤を塗布する方法などが挙げられる。
【0026】
前記接着剤の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0027】
前記接着層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜100μmが好ましく、5μm〜30μmがより好ましく、8μm〜20μmが特に好ましい。前記平均厚みが、3μm未満であると、接着強度が著しく低下することがあり、100μmを超えると、接着層がタブ線よりはみ出し電気的接続に不具合が発生する場合がある。前記平均厚みが、前記特に好ましい範囲内であると、接着信頼性の点で有利である。
ここで、前記平均厚みは、任意に20cm
2当たり5箇所を測定した際の平均値である。
【0028】
前記接着層の平均幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm〜10mmが好ましく、かつ前記タブ線と同じ幅、又は前記タブ線の幅未満であることが好ましい。
【0029】
−接着剤−
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、導電性接着剤、絶縁性接着剤が挙げられる
【0030】
−−導電性接着剤−−
前記導電性接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性粒子と、膜形成樹脂と、硬化性樹脂と、硬化剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、シランカップリング剤等のその他の成分を含有するものなどが挙げられる。
【0031】
−−絶縁性接着剤−−
前記絶縁性接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜形成樹脂と、硬化性樹脂と、硬化剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、シランカップリング剤等のその他の成分を含有するものなどが挙げられる。
【0032】
−−−導電性粒子−−−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがで、例えば、ニッケル粒子、金被覆ニッケル粒子、樹脂コアをNiで被覆した樹脂粒子、樹脂コアをNiで被覆し、更に最表面をAuで被覆した樹脂粒子などが挙げられる。
【0033】
−−−膜形成樹脂−−−
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0034】
−−−硬化性樹脂−−−
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0035】
−−−−エポキシ樹脂−−−−
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
−−−−アクリレート樹脂−−−−
前記アクリレート樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
−−−硬化剤−−−
前記硬化性樹脂は、硬化剤と併用するのが好ましい。前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチル4−メチルイミダゾールに代表されるイミダゾール類;ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;有機アミン類等のアニオン系硬化剤;スルホニウム塩、オニウム塩、アルミニウムキレート剤等のカチオン系硬化剤などが挙げられる。
これらの中でも、エポキシ樹脂とイミダゾール系潜在性硬化剤の組み合わせ、アクリレート樹脂と有機過酸化物系硬化剤の組み合わせが特に好ましい。
【0038】
−−−シランカップリング剤−−−
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
【0039】
−−−その他の成分−−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、有機溶剤、イオンキャッチャー剤などが挙げられる。前記その他の成分の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記タブ線における前記凸部の十点平均粗さ(Rz(μm))と、前記接着層の平均厚み(A(μm))との比(Rz/A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜2.0が好ましく、0.8〜1.5がより好ましい。前記比(Rz/A)が、0.5未満であると、接着層が厚くなり接続信頼性が低下することがあり、2.0を超えると、接着層が薄くなり接着性が低下することがある。前記比(Rz/A)が、前記より好ましい範囲内であると、接続信頼性と接着性とが共に優れる点で有利である。
【0041】
図3は、前記凸部を有する前記タブ線に前記接着層を積層した概略断面図である。タブ線1の凸部を有する片面のみに、接着層2が積層されている。
【0042】
<封止用樹脂>
前記封止用樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート共重合体(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、ポリイソブチレン(PIB)、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エステル系ポリオールユニットを有する熱可塑性ポリウレタン樹脂と、エーテル系ポリオールユニットを有する熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有するブレンドポリマーが好ましい。このブレンドポリマーは、エステル系ポリオールユニットを有する熱可塑性ポリウレタン樹脂の比較的接着力が強い特性と、エーテル系ポリオールユニットを有する熱可塑性ポリウレタン樹脂の比較的加水分解しにくい特性とが強く反映される。
【0043】
<防湿性バックシート>
前記防湿性バックシートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム(Al)、PETとAlとポリエチレン(PE)の積層体などが挙げられる。
【0044】
<ガラスプレート>
前記ガラスプレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソーダ石灰フロートガラスプレートなどが挙げられる。
【0045】
前記太陽電池モジュールにおいて、前記電極と前記タブ線の前記凸部を有する前記片面とは、前記接着層を介して接着され、かつ電気的に接続されている。
前記電極と前記タブ線の前記凸部を有する前記片面とを、前記接着層を介して接着し、かつ電気的に接続する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記薄膜系太陽電池セルの前記電極上に、前記接着層が前記凸部を有する前記片面上に積層された前記タブ線を、前記電極と前記接着層とが接するように配置し、押圧及び加熱する方法が挙げられる。このような方法としては、後述する本発明における前記薄膜系太陽電池モジュールの製造方法が好ましい。
【0046】
図4は、本発明の薄膜系太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。光電変換素子3と電極4とを有する薄膜系太陽電池セル32の前記電極4と、前記タブ線1の前記凸部を有する前記片面とが、接着層2を介して接着され、かつ前記電極4と前記凸部とは接しており、前記電極4と前記タブ線1とが電気的に接続されている。
前記薄膜系太陽電池モジュールの概略上面図としては、例えば、
図2の概略上面図が挙げられる。
【0047】
前記薄膜系太陽電池モジュールにおいて、前記タブ線上の前記凸部は、前記薄膜系太陽電池セルの前記電極と前記タブ線との電気的な接続を良好にする。そのため、前記薄膜系太陽電池モジュールは、接続信頼性に優れる。また、前記薄膜系太陽電池モジュールは、前記タブ線の片面のみに前記接着層を有していることから、前記薄膜系太陽電池モジュールを製造する際に、設備を汚染することがない。
【0048】
(薄膜系太陽電池モジュールの製造方法)
本発明の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法は、減圧ラミネーターを用い、配置工程と、押圧工程と、加熱工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法により、本発明の前記薄膜系太陽電池モジュールを製造することができる。
【0049】
<減圧ラミネーター>
前記減圧ラミネーターは、第一室と、第二室と、可撓性シートと、加熱ステージとを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記第一室と前記第二室とは前記可撓性シートにより区画されている。
前記第一室と前記第二室とはそれぞれ独立に内圧が調整可能である。
前記加熱ステージは加熱可能であり、前記第二室内に配設されている。
【0050】
ここで、図を用いて前記減圧ラミネーターの操作について説明する。
図5は、使用前の減圧ラミネーターの一例の概略断面図である。減圧ラミネーター10は、上部ユニット11と下部ユニット12とから構成される。これらのユニットは、Oリングなどのシール部材13を介して分離可能に一体化される。前記上部ユニット11には、シリコーンラバーなどの可撓性シート14が設けられており、この可撓性シート14により、前記減圧ラミネーター10が第一室15と第二室16に区画される。前記可撓性シート14の前記第二室16側表面には、溶融したEVAなどの封止用樹脂が転着しないように薄いガラスクロス強化テフロン(登録商標)シートを配することができる。
【0051】
また、前記上部ユニット11及び前記下部ユニット12のそれぞれには、各室がそれぞれ独立に内圧の調整が可能、即ち、真空ポンプやコンプレッサーなどにより減圧、加圧、更に大気圧への開放が可能となるように、配管17、18が設けられている。前記配管17は、切替バルブ19で配管17aと配管17bとの二方向に分岐しており、前記配管18は、切替バルブ20で配管18aと配管18bとの二方向に分岐している。また、前記下部ユニット12には、加熱可能な加熱ステージ21が配設されている。
【0052】
このような減圧ラミネーター10は、例えば、
図6A〜
図6Eに示すように使用する。
【0053】
まず、
図6Aに示すように、前記上部ユニット11と前記下部ユニット12とを分離し、前記加熱ステージ21上に、熱ラミネートすべき積層物22を載置する。
【0054】
次に、
図6Bに示すように、前記上部ユニット11と前記下部ユニット12とを前記シール部材13を介して、分離可能に一体化し、その後、前記配管17a及び前記配管18aのそれぞれに真空ポンプ(不図示)を接続し、前記第一室15及び前記第二室16内を高真空にする。
【0055】
次に、
図6Cに示すように、前記第二室16内を高真空に保ったまま、前記切替バルブ19を切り替えて、前記配管17bから前記第一室15に大気を導入する。これにより、前記可撓性シート14が前記第二室16に向かって押し広げられる。この際に、前記加熱ステージ21を加熱する。結果、前記積層物22が、前記加熱ステージ21で加熱されつつ、前記可撓性シート14で押圧される。
【0056】
次に、
図6Dに示すように、前記切替バルブ20を切り替え、前記配管18bから前記第二室16内に大気を導入する。これにより、前記可撓性シート14が前記第一室15に向かって押し戻され、最終的に前記第一室15及び第二室16の内圧が同じになる。
【0057】
最後に、
図6Eに示すように、前記上部ユニット11と前記下部ユニット12とを引き離し、前記加熱ステージ21上から熱ラミネート処理された前記積層物22を取り出す。これにより、前記減圧ラミネーター10の操作サイクルが完了する。
【0058】
なお、前記積層物22は、前記薄膜系太陽電池モジュールの製造方法においては、本発明の前記薄膜系太陽電池モジュールとなる。
図6A〜
図6Eの操作を行うことにより、タブ線と電極との接続工程と、封止用樹脂による封止工程とが一括で実施可能になる。
【0059】
以上、前記減圧ラミネーターの一例を説明したが、前記減圧ラミネーターは
図5のような上部ユニット及び下部ユニットから構成されるものに限定されず、一つの筐体の内部を2室に分け、扉の開閉により積層物の投入、回収を行うように構成された減圧ラミネーターを使用することもできる。また、前記第一室と前記第二室とは、前記第一室内に圧搾空気を導入し、大気圧以上の加圧を行ってもよい。また、前記第二室を減圧することなく、単に室内の空気が排気されるようにしてもよい。
【0060】
次に、以上説明した前記減圧ラミネーターを使用した本発明の前記薄膜系太陽電池モジュールの製造方法を説明する。
【0061】
<配置工程>
前記配置工程としては、前記第二室の前記加熱ステージ上に、タブ線と電極との接続工程、及び封止用樹脂による封止工程が行われる前の本発明の前記薄膜系太陽電池モジュールを配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第二室の前記加熱ステージ上に、電極が形成された薄膜系太陽電池セルを配置し、前記電極上に、接着層及び片面のみに凸部が設けられたタブ線を、前記電極と前記タブ線の前記片面とが、押圧及び加熱により、前記接着層を介して接着され、かつ電気的に接続されるように配置し、更に、前記薄膜系太陽電池セルを覆うように、封止用樹脂と、防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかとを配置する工程が挙げられる。
【0062】
前記配置工程の一例としては、次のような工程が挙げられる。
まず、前記加熱ステージ上に、電極が形成された薄膜系太陽電池セルを配置する。続いて、前記電極上に、接着層、及び片面のみに凸部が設けられたタブ線を、前記電極と前記タブ線の前記片面とが、押圧及び加熱により、前記接着層を介して接着され、かつ電気的に接続されるように配置する。続いて、前記薄膜系太陽電池セルを覆うように、封止用樹脂と、防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかとを配置する。
【0063】
前記配置工程の他の一例として、次のような工程が挙げられる。
まず、薄膜系太陽電池セルの電極上に、接着層、及び片面のみに凸部が設けられたタブ線を、前記電極と前記タブ線の前記片面とが、押圧及び加熱により、前記接着層を介して接着され、かつ電気的に接続されるように配置する。次に、前記接着層及び前記タブ線が配置された前記薄膜系太陽電池セルを、前記加熱ステージ上に配置する。続いて、前記薄膜系太陽電池セルを覆うように、封止用樹脂と、防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかとを配置する。
【0064】
ここで、前記配置工程において用いた前記薄膜系太陽電池セル、前記接着層、前記タブ線、前記封止用樹脂、前記防湿性バックシート、及び前記ガラスプレートは、本発明の前記薄膜系太陽電池モジュールの説明において記載したものと同様のものが使用できる。
【0065】
前記タブ線と前記接着層とは、前記電極上に配置する前に積層されていることが、工程が簡単となり、かつ配置の位置ずれを低減できる点から好ましい。
【0066】
<押圧工程>
前記押圧工程としては、前記第二室に対して前記第一室の内圧を相対的に高くし、前記可撓性シートにより前記防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかを押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第二室に対して前記第一室の内圧を相対的に高くする操作としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第一室及び前記第二室の内圧を減圧状態にした後に、前記第二室の減圧状態を保持したままで前記第一室を大気圧にする操作であることが、前記第一室を大気圧にする操作が簡単なため、押圧工程が簡便となる点、及び前記第二室の内圧を減圧状態にするため、製造される前記薄膜系太陽電池モジュールにボイド(気泡)が混入し難い点で好ましい。
【0067】
前記防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかを押圧する圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0068】
前記防湿性バックシート及びガラスプレートのいずれかを押圧する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0069】
<加熱工程>
前記加熱工程としては、加熱ステージを加熱する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱ステージを加熱することにより、前記加熱ステージ上に配置された前記薄膜系太陽電池セルを介して、前記接着層、及び前記封止用樹脂を加熱することができる。
【0070】
前記加熱工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜250℃が好ましく、100℃〜200℃がより好ましく、120℃〜170℃が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、前記電極と前記タブ線の接着、及び封止が不十分となることがあり、250℃を超えると、接着層、封止用樹脂などの有機樹脂が熱分解することがある。前記加熱温度が、前記特に好ましい範囲内であると、接着及び接続双方の信頼性の点で有利である。更に、封止樹脂のラミネート封止工程において一括接続できる点で有利である。
【0071】
前記加熱工程における加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間〜1時間が好ましく、3分間〜30分間がより好ましく、5分間〜20分間が特に好ましい。前記加熱時間が、1分間未満であると、前記電極と前記タブ線との接着、及び封止が不十分となることがあり、1時間を超えると、接着強度が低下することがある。前記加熱時間が、前記特に好ましい範囲内であると、接着及び接続双方の信頼性点で有利である。
【0072】
前記押圧工程、及び前記加熱工程を開始する順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記押圧工程を開始する前から前記加熱ステージを加熱しておいてもよいし、前記押圧工程を開始してから前記加熱ステージを加熱してもよい。
【0073】
続いて、図を用いて、前記配置工程、前記押圧工程、及び前記加熱工程を詳細に説明する。
図7Aは、配置工程を説明するための概略断面図(減圧ラミネーターの部分拡大図)である。
図7Bは、押圧工程及び加熱工程を説明するための概略断面図である。
図7Cは、本発明の薄膜系太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
図7Aに示すように、前記可撓性シート14で前記第一室15から区画された前記第二室16の前記加熱ステージ21上に、電極4が形成された薄膜系太陽電池セル32を配置する。続いて、前記電極4上に、接着層2及び片面のみに凸部が設けられたタブ線1を、前記電極4と前記タブ線1の前記片面とが、押圧及び加熱により、前記接着層2を介して接着され、かつ電気的に接続されるように配置する。続いて、前記薄膜系太陽電池セル32を覆うように、封止用樹脂5と、防湿性バックシート6とを順次配置する。
【0074】
続いて、
図7Bに示すように、前記第一室及び前記第二室の内圧を減圧状態にした後に、前記第二室の減圧状態を保持したままで前記第一室を大気圧にすることにより、前記可撓性シート14で前記防湿性バックシート6を押圧しつつ、前記加熱ステージ21を加熱して前記薄膜系太陽電池セル32を加熱する。それにより前記薄膜系太陽電池セル32の前記電極4と前記タブ線1とを前記接着層2で接着し、かつ電気的に接続し、更に、前記薄膜系太陽電池セル32を封止用樹脂で封止する。これにより、前記薄膜系太陽電池モジュールを得ることができる(
図7C)。
【実施例】
【0075】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
<接着層付きタブ線の作製>
−凸部付き銅箔の作製−
銅箔の片面に銅粒子を載せ、続いて、該銅箔を亜鉛めっきすることにより、片面のみに凸部を有する銅箔(凸部付き銅箔)を作製した。
得られた銅箔の凸部の十点平均粗さ(Rz)を、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に準拠して測定したところ、9μmであった。
【0077】
−絶縁性接着フィルムの作製−
フェノキシ樹脂(YP−50、東都化成社製)30質量部、エポキシ樹脂(エピコート630、油化シェルエポキシ社製)24質量部、液状エポキシ分散型イミダゾール型硬化剤樹脂(ノバキュア3941HP、旭化成社製)25質量部、及びシランカップリング剤(A−187、モメンティブ・パフォーマンスマテリアル社製)1質量部を混合して、絶縁性接着組成物を調製した。
次に、得られた絶縁性接着組成物を、表面が剥離処理された厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した。80℃のオーブンで5分間、加熱処理して成膜することで、厚みが5μmの絶縁性接着フィルムを得た。
【0078】
−ラミネート及びスリット−
上記で得られた銅箔の凸部を有する面に、前記絶縁性接着フィルムをラミネートし、前記絶縁性接着フィルムを積層させた銅箔を作製した。続いて、前記絶縁性接着フィルムを積層させた銅箔を幅4mmにスリットし、接着層付きタブ線を作製した。
【0079】
<薄膜系太陽電池モジュールモデルの作製>
ガラス基板(40mm×15mm×厚み0.7mm、無アルカリガラス)の表面上に焼成タイプの銀ペーストを塗布、焼成し、銀を電極とする電極付きガラス基板を作製した。
該電極付きガラス基板上の電極上に、上記で得られた接着層付きタブ線を、前記電極に前記接着層が接するように配置し、タブ線側から熱ラミネーターを用いて圧力100kPa、加熱温度160℃で、20分間熱ラミネートして薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
【0080】
<評価>
−タック性−
RHESCA社製タッキング試験機を用い下記試験条件でタックを測定した。1つのサンプルについて3点を測定し、平均値を求め、その平均値を下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
〔試験条件〕
プローブ径 :直径5mm
Immersion speed :30mm/min
Test speed :120mm/min
Preload :196.25gf
Press time :1.0sec
distance :2.0mm
〔評価基準〕
○:0.5N以上
△:0N以上0.5N未満
【0081】
−接続信頼性−
2本のタブ線上より電流端子及び電圧端子をそれぞれ接続する4端子法により抵抗値を測定し、下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
◎:10Ω未満
○:10Ω以上20Ω未満
△:20Ω以上300Ω未満
×:300Ω以上(レンジオーバーを含む)
【0082】
−実装装置汚染−
テーピング装置により、接着層付きタブ線と電極付きガラス基板の貼り合わせを行い、貼り付けロール表面の汚染を測定し、下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
○:1回以上の貼付でローラー汚染無し
×:1回の貼付でローラー汚染有り
【0083】
(実施例2)
実施例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを5μmから8μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
(実施例3)
実施例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを5μmから11μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例4)
実施例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを5μmから18μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0086】
(実施例5)
実施例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを5μmから20μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0087】
(実施例6)
実施例1において、絶縁性接着フィルムを下記により作製した導電性接着フィルムに代えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
<導電性接着フィルムの作製>
フェノキシ樹脂(YP−50、東都化成社製)30質量部、エポキシ樹脂(エピコート630、油化シェルエポキシ社製)24質量部、液状エポキシ分散型イミダゾール型硬化剤樹脂(ノバキュア3941HP、旭化成社製)25質量部、シランカップリング剤(A−187、モメンティブ・パフォーマンスマテリアル社製)1質量部、及び導電性粒子(F255、ヴァーレー社製)50質量部を混合して、導電性接着組成物を調製した。
次に、得られた導電性接着組成物を、表面が剥離処理された厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した。80℃のオーブンで5分間、加熱処理して成膜することで、厚みが11μmの導電性接着フィルムを得た。
【0089】
(実施例7)
実施例1において、凸部付き銅箔を下記により作製した凸部付き銅箔に代えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
<凸部付き銅箔の作製>
銅箔の片面に銅粒子を載せ、続いて、該銅箔を亜鉛めっきすることにより、片面のみに凸部を有する銅箔(凸部付き銅箔)を作製した。
得られた銅箔の凸部の十点平均粗さ(Rz)を、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に準拠して測定したところ、3.3μmであった。
【0091】
(実施例8)
実施例1において、絶縁性接着フィルムを下記により作製した絶縁性接着フィルムに代えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
【0092】
<絶縁性接着フィルムの作製>
フェノキシ樹脂(PKHH、InChem社製)35質量部、エポキシ樹脂(YL980、ジャパンエポキシレジン社製)14質量部、液状エポキシ分散型イミダゾール型硬化剤樹脂(ノバキュア3941HP、旭化成社製)30質量部、及びシランカップリング剤(A−187、モメンティブ・パフォーマンスマテリアル社製)1質量部を混合して、絶縁性接着組成物を調製した。
次に、得られた絶縁性接着組成物を、表面が剥離処理された厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した。80℃のオーブンで5分間、加熱処理して成膜することで、厚みが11μmの絶縁性接着フィルムを得た。
【0093】
(比較例1)
実施例2において、凸部付き銅箔を下記により作製した錫めっき銅箔に代えた以外は、実施例2と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0094】
<錫めっき銅箔の作製>
銅箔を錫めっき(めっきの厚みは上下各1μm)することにより、錫めっき銅箔を作製した。
【0095】
(比較例2)
比較例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを8μmから11μmに変えた以外は、比較例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
(比較例3)
比較例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを8μmから18μmに変えた以外は、比較例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
(比較例4)
比較例1において、絶縁性接着フィルムの厚みを8μmから20μmに変えた以外は、比較例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例5)
実施例1において、接着層付きタブ線を下記で作製した接着層付きタブ線に代えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。なお、電極と凸部が接するように熱ラミネートを行った。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
<接着層付きタブ線の作製>
実施例1で得られた凸部付き銅箔の凸部を有する面に、ラミネーターを用いて、実施例1で得られた絶縁性接着フィルムの厚みを11μmに変えた絶縁性接着フィルムをラミネートし、前記絶縁性接着フィルムを積層させた銅箔を作製した。続いて、前記銅箔の凸部を有しない面(凸部を有する面の反対面)にも、前記絶縁性接着フィルム(厚み11μm)をラミネート、両面に前記絶縁性接着フィルムを積層させた銅箔を作製した。更に、この銅箔を幅4mmにスリットし、接着層付きタブ線を作製した。
【0100】
(比較例6)
実施例1において、接着層付きタブ線を下記で作製した接着層付きタブ線に代えた以外は、実施例1と同様にして、薄膜系太陽電池モジュールモデルを作製した。なお、電極と凸部が接するように熱ラミネートを行った。
得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
<接着層付きタブ線の作製>
実施例1で得られた凸部付き銅箔の凸部を有する面に、ラミネーターを用いて、実施例6で得られた導電性接着フィルム(厚み11μm)をラミネートし、前記導電性接着フィルムを積層させた銅箔を作製した。続いて、前記銅箔の凸部を有しない面(凸部を有する面の反対面)にも、前記導電性接着フィルム(厚み11μm)をラミネートし、両面に前記導電性接着フィルムを積層させた銅箔を作製した。更に、この銅箔を幅4mmにスリットし、接着層付きタブ線を作製した。
【0102】
【表1】
【0103】
(実施例9)
薄膜系太陽電池セルモデルを用いて、本発明の薄膜系太陽電池モジュールの製造方法を実施した。以下にその方法を示す。
図5に示す減圧ラミネーターを用いた。
図7Aに示すように、可撓性シート14で第一室15から区画された第二室16の加熱ステージ21上に、実施例1で作製した電極付きガラス基板(
図7Aにおいて、電極4が形成された薄膜系太陽電池セル32に相当)を配置した。続いて、前記電極上に実施例1で作製した接着層付きタブ線(
図7Aにおいて、接着層2、及び片面のみに凸部が設けられたタブ線1に相当)を、前記電極と前記タブ線の凸部を有する片面とが、押圧及び加熱により、前記接着層を介して接着され、かつ電気的に接続されるように配置した。続いて、前記電極付きガラス基板を覆うように、封止用樹脂5(厚み500μmのエチレン/酢酸ビニル共重合体)と、防湿性バックシート6(厚み250μmのポリエチレンテレフタレート(凸版印刷社製、BS−SP))とを順次配置した。
【0104】
続いて、前記第一室及び前記第二室の内圧を減圧状態にした後に、
図7Bに示すように、前記第二室の減圧状態を保持したままで前記第一室を大気圧にすることにより、前記可撓性シート14で前記防湿性バックシート6を押圧しつつ、前記加熱ステージ21を加熱して電極付きガラス基板を加熱した。この際の圧力は100kPa、加熱温度は160℃、押圧及び加熱の時間は20分間であった。それにより電極付きガラス基板の前記電極と前記タブ線とを前記接着層で接着し、かつ電気的に接続し、更に、電極付きガラス基板を封止用樹脂で封止した。これにより、薄膜系太陽電池モジュールモデルを得た(
図7C)。
【0105】
減圧ラミネーターを用いた上記製造方法により、電極とタブ線との接着及び電気的接続、並びに封止用樹脂による封止を一括して行うことができた。
また、得られた薄膜系太陽電池モジュールモデルは、防湿性バックシートを押圧する際に減圧雰囲気で行われたため、封止用樹脂により封止されたモジュール内に気泡が混入することが無かった。