特許第6567269号(P6567269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6567269円環状電極及び点電極を有する多電極バルーンカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567269
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】円環状電極及び点電極を有する多電極バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20190819BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20190819BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   A61B5/04 300N
   A61B18/14
   A61B5/05 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-235308(P2014-235308)
(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-100706(P2015-100706A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】14/086,791
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・リー
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−508220(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0085493(US,A1)
【文献】 特表2010−508984(JP,A)
【文献】 特表2011−524209(JP,A)
【文献】 特表2013−523346(JP,A)
【文献】 特表2013−516218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/04−5/053
A61B18/12−18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部と遠位端部とを有する細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位側にある第1のアセンブリであって、外表面を有する少なくとも1つのバルーン部材と、前記外表面上の複数の電極とを有する、第1のアセンブリと、
前記カテーテル本体を通って延在する第1の管であって、第1の中央管腔と、前記少なくとも1つのバルーン部材を膨張させるために前記少なくとも1つのバルーン部材内に流体を通すように適合された第2の管腔を画定している、第1の管と、
少なくとも1つの電極を有し、前記第1のアセンブリの遠位側にある第2のアセンブリと、
前記バルーン部材内の空洞を通って延在し、近位端部が前記第1の管の前記中央管腔に受容されている、第2の管であって、前記第2の管は、複数の開口部を有し、前記中央管腔を通って延びる複数のワイヤが、前記第2の管の内側から前記複数の開口部を介して前記複数の電極へと延びており、各前記複数の電極が対応する前記ワイヤに接続されている、第2の管と、
を備える、カテーテル。
【請求項2】
感圧アセンブリをさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記感圧アセンブリが、前記少なくとも1つのバルーン部材の近位側に位置する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記感圧アセンブリが、前記少なくとも1つのバルーン部材の遠位端部と近位端部との間に位置する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバルーン部材が、前記バルーン部材の内部から外部へと流体が流れるのを可能にするように構成された少なくとも1つの流体ポートを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
内側バルーン部材をさらに備え、前記少なくとも1つのバルーン部材が前記内側バルーン部材の少なくとも一部を覆うように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第1のアセンブリの前記複数の電極は細長く、前記カテーテルの長手方向の軸に沿って位置している、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第2のアセンブリの前記少なくとも1つの電極が、灌注式先端電極を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第2のアセンブリの前記少なくとも1つの電極が、輪状電極を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第2の管腔が、拡張液を通すように適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第2の管腔が、灌注液を通すように適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1のアセンブリの前記カテーテル本体に対する相対的動きに基づいて圧力を感知する感圧アセンブリをさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気生理学(EP)カテーテルに関し、具体的には、心臓のマッピング及び/又はアブレーションのためのEPカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として根強く残っている。正常の洞律動を有する患者では、心房、心室及び興奮伝導組織を含む心臓は、電気的に興奮して、同期的な、パターン化した形で拍動する。心不整脈の患者では、心組織の異常領域は、洞調律を有する患者の正常な伝導性を有する組織による同期的な拍動周期に従わない。これに対して、心組織の異常領域では隣接組織への伝導が異常であり、これにより心周期が乱れて非同期的な心律動となる。こうした異常伝導は、例えば、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿った洞房(SA)結節の領域、又は心室及び心房の壁を形成する心筋組織など、心臓の様々な領域で生じることがこれまでに知られている。
【0003】
心房性不整脈を含む心不整脈は、心房の回りで散乱し、かつしばしば自己増殖する電気インパルスの複数の非同期的ループを特徴とする、マルチウェーブレットリエントラント型となる可能性がある。マルチウェーブレットリエントラント型に代わって又はそれに加えて、心不整脈はまた、心房の組織の一部の限られた領域が、急速で反復的な様式で自律的に興奮する場合など、局所的な起源を有することもある。
【0004】
多くの臨床症状が、不規則な心臓の機能、及びその結果としての、脳卒中、心不全、及び他の血栓塞栓症を含む心房細動に関連する、血行力学的な異常に起因する。現に、心房性細動は、脳卒中の重大な原因であり、細動性壁運動によって左心房内に発生した血行力学的異常が心房内において血栓の形成を誘発すると考えられる。血栓塞栓症は、最終的に、左心室の中に移動し、その後、塞栓を脳循環に送り込み、そこで脳卒中を起こす。したがって、心房性不整脈を治療するために、薬理学的手法、外科的手法及びカテーテル焼灼術を含む、多くの手法が開発されている。
【0005】
カテーテル系装置及び治療方法の例は、一般的に、心房の周囲をターゲットとしており、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,617,854号(ムンスィフ(Munsif))、米国特許第4,898,591号(ジャン(Jang)ら)、米国特許第5,487,385号(アビトール(Avitall))及び米国特許第5,582,609号(スワンソン(Swanson))に開示されているような、心房を画定する壁組織に直線又は曲線状の、焼灼等で処理した部位を形成するよう適合された焼灼カテーテル装置およびそれを用いた方法によって行われてきた。右心房及び左心房の両方又は一方に対する焼灼術において用いるための、特別なガイド用シースのデザインを使用することが、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,427,119号、第5,497,119号、第5,564,440号、及び第5,575,766号(いずれもシュワルツ(Swartz)他)に開示されている。
【0006】
端部電極カテーテルのデザインを、肺静脈における限局性不整脈の焼灼及び治療の目的で用いる、低侵襲的な経皮カテーテル焼灼術がこれまでに開示されている。これらの焼灼術は通常、不適切な伝導経路を遮断するための限局的な焼灼処理部位を形成するために、組織に電気エネルギーを少しずつ強くしながら印加することによって特徴づけられている。限局的な焼灼法は、肺静脈に起因する限局的な不整脈を破壊し、治療することを目的とする。
【0007】
米国特許第6,973,339号は、肺静脈マッピング及び焼灼用のラッソーカテーテルを開示している。肺静脈(PV)を円環状にマッピングする器具は、好ましくはPVの内面の形状に概ね沿った形の、一定の既知の長さの湾曲部を含むカテーテルを備えている。湾曲部は、1つ以上の検出電極を備え、その近位端部はカテーテルの基部に、一定の角度で、一般に既知の角度で、又はその範囲が限定されたある角度で、接合されている。好ましくは、少なくとも1つの単コイル5次元位置センサーが、カテーテルの湾曲部に固定されている。最も好ましくは、2つの単コイル5次元位置センサーが湾曲部に固定され、うち1つが遠位端部に、1つが湾曲部のほぼ中央に、設けられる。多コイル6次元位置センサーが、好ましくは、基部の遠位端部であって、湾曲部との接合部近くに固定されている。カテーテルを心臓内に挿入し、湾曲部を、本質的に継続的に、PVの壁と接触させて配置するが、一方で基部は、左心房内部に留置され、典型的には、湾曲部との接合箇所が、静脈の心門にあるように配置される。3つの位置センサーによって生成される情報を使用して、検出電極の位置及び配向を計算することにより、PV表面のマッピングが可能になる。
【0008】
米国特許第6,024,740号及び第6,117,101号は、円環状の導電遮断部を肺静脈に形成することに適合された、円環状焼灼デバイスアセンブリを開示している。当該アセンブリは、肺静脈腔を取り囲む肺静脈壁に沿った組織の円環状の領域を焼灼し、それによって肺静脈の長手方向に沿って左心房に向かう電気伝導を断つように適合された円環状焼灼素子を含む。当該円環状焼灼素子は、径方向に畳まれた位置から、径方向に膨張した位置へと調整可能である作業部を有する膨張可能な部材を含む。赤道帯が作業部の外表面を取り囲み、焼灼アクチュエータによって作動されると、赤道帯に隣接する組織を焼灼するように適合されている。赤道帯は、前記膨張可能な部材の長手方向にそった幅が、作業部のそれに対して狭い、また、その円周方向に沿った長さも、作業部が径方向に膨張した位置にあるときの同方向の長さと比べて実質的に短い。あるパターンに配置され、焼灼素子上を覆う断熱部材が含まれてよい。そうした断熱材がなければ、焼灼素子は作業部全体に渡って、前述の赤道帯を形成するようになる。前記膨張可能な部材は、肺静脈の心門部分の領域の形に沿うように適合されている。それは、径方向にかなりの程度の順応性を持たせることによって、又は遠位方向に向かってその外径が小さくなっていくような作業部に沿うようなテーパー形状を提供することによって実現される。直線状の焼灼素子が円環状焼灼素子に隣接して設けられる複合型アセンブリがある。そのような複合型アセンブリは、左心室の心門近くの肺静脈領域における、低侵襲的な「迷路」タイプの手術法(メイズ手術)での使用に適合されている。
【0009】
さらに、心房壁における焼灼処理部位を形成するための、さまざまなエネルギー送達による治療法がこれまでに開示されている。そうした治療法には、マイクロ波、レーザ、及びより一般的には、高周波のエネルギーを用いて、心組織に沿って導電遮断部を形成するものが含まれ、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第93/20767号(ステム(Stem)他)、米国特許第5,104,393号(アイスナー(Isner)他)、及び米国特許第5,575,766号(シュワルツ(Swartz)他)にそれぞれ開示されている。米国特許第6,558,375号(シノフスキー(Sinofsky)他)は、手持ち式の、心臓用焼灼器具及び標的焼灼部位への照射方法を開示している。当該器具は、円環状又は曲線状の焼灼処理部位を作るために、少なくとも1つの光伝達用光ファイバー、及び光拡散素子を備えることができる。前記光伝達用光ファイバーを通る光は、光拡散素子によって円形のパターンに散乱する。光拡散素子は、散乱用媒体、反射性端部キャップ、及び標的焼灼部位に径方向に対向した反射面を備えていてよい。これらの構成部品が相互に作用して、円環形の標的領域に対して、実質的に均一なレーザ照射を提供する。
【0010】
寒剤による焼灼術も知られている。米国特許第7,896,870号、第7,951,140号、及び第8,083,732号(それぞれアーレス(Arless)他)は、組織に熱を加えるための電気駆動式焼灼アセンブリを備える冷凍焼灼用先端部を有するカテーテルを開示している。当該冷凍焼灼用先端部は、先端部の温度を下げるために、制御されながら注入される冷却剤がそれを循環する冷却室によって実装されることができ、またその遠位端部に高周波電極を有する。当該高周波電極は、寒剤により冷やされた組織を温めるように作動されることができ、又は、冷却剤は組織を、高周波処理のレジメンと連携して、電気を通すように冷やすように制御されることができる。
【0011】
いかなるタイプのカテーテルが使われるかにかからず、焼灼部位が実際に連続して繋がっていることが確保されるように、特別の注意が払われることが強調される。そうでなければ、肺静脈における不規則な電気的活動が、心房の不整脈に寄与し続ける可能性があるためである。バルーンカテーテルによるか、ラッソーカテーテルによるか、又はその他の方法によるかに関わらず、肺静脈に焼灼術が施された箇所を後で、その肺静脈隔離術がうまくいったか確認した場合に、しばしば、焼灼部位が繋がっていない位置や点が見つかることがある。通常、ポイント焼灼用カテーテルを用いて、隔離を完了させる。
【0012】
組織との接触を検知するための感圧機能を有するカテーテルが知られており、この種のカテーテルは、焼灼処理部位を形成するのを容易にしつつ、組織に穴をあけてしまうのを避けることができる。そのようなカテーテルは、小型の伝送コイル及び、可撓性を持つように接合された遠位先端部に、向かい合う位置に設けられる複数の感応コイルを備えていてよい。このデザインは、ポイント焼灼用カテーテルに特に適しているが、ある程度の広さのあるエリアや多くの場所にわたり、組織と接触をするようなカテーテルには適していない。そうした不向きのカテーテルには、概ね円形の部分に遠位側電極アセンブリを有する、コイルカテーテルまたは「ラッソー」カテーテルのようなものがあげられる。これらの種類のカテーテルにおいては、概ね円形の部分はカテーテル本体に対して垂直になっているため、その概ね円形の部分は、組織と概ね円形の部分にある電極との間の接触の有無を確かめようと、操作者が、カテーテル本体に遠位側に向かう力を加えても、その長手方向に沿って均一な圧力をかけることができない場合がある。特に、カテーテル本体により近い位置にある電極ほど、組織に対してより大きな圧力をかける傾向にある。
【0013】
このように、それぞれのタイプのカテーテルに、一長一短がある。ポイント焼灼用カテーテルは、点状に焼灼を行うのにより適した遠位先端部電極を有しているが、広い領域を焼灼する際には、時間も手間も大変にかかることになる。円環状焼灼用カテーテルは、同時に複数の接触点を実現したので、操作者の技術も時間もより必要としないですむが、個々の患者の間にある解剖学的差異に容易には適応できない場合もある。その結果、一回の手術において、マッピング、焼灼、及び電気的・解剖学的隔離の成否の検証に、少なくとも2種類又は3種類のカテーテルを用いる必要が出てくる場合がある。それは、手術のためのコストと時間を大幅に増やしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ、点状及び円環状双方のマッピング及び焼灼を提供可能な電気生理学カテーテルが必要とされている。当該カテーテルは、組織と点接触するための遠位先端部電極を有しながら、円環状に組織と接触するための、径方向に膨張した構成を採用することができるようになっていることが望ましい。さらに、前記カテーテルは、複数の電極接触点を有する2次元及び3次元の電極アセンブリを取り扱えるように感圧機能が高められていることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、少なくとも1つの順応性のあるバルーン部材と、肺静脈又は心門を含む心臓のチューブ状の領域において、円環状に、検知または焼灼を実現するための、前記バルーン部材の外表面上に設けられた少なくとも1つの電極と、を含むバルーン電極アセンブリを備えるカテーテルを対象とする。当該カテーテルはまた、限局的な接触用に適合された、前記バルーン電極アセンブリの遠位側にある先端部電極及び/又は環状電極を有する電極アセンブリを備えていてもよい。
【0016】
カテーテルが患者の体内を、その心臓の所望の位置に向けて通って行く間、バルーン電極アセンブリは収縮した状態のままである。心臓のマッピングが実行されている間、バルーン電極アセンブリは収縮させたままであってよい。その後、望ましい外周/サイズにバルーン電極アセンブリが拡張させられて、肺静脈の心門に挿入されてよい。バルーン電極アセンブリは、その電極をその外表面に沿ったところの組織に接触させつつ心門内に存在するように適合されている。EPカテーテルの操作者は、肺静脈の隔離ができるようにその外表面に沿う概ねすべての点が焼灼されるまで、焼灼し、アセンブリを回し、また焼灼し、等々実行する。それぞれの肺静脈が、このようにして隔離されるとよい。その後、バルーン電極アセンブリは収縮させられ、限局的な点接触用の遠位側電極アセンブリが用いられて、隔離の成否を検証する。その点に関して、より複雑な場合には、遠位側電極アセンブリは、細かい点状の修正をしたり、輪郭線を引いたり、連続性分裂心房焼灼をしたり、その他の高周波焼灼をしたりするなどの、戦略に基づいて使用されてよい。このカテーテルは多機能であるので、ワークフローが滑らかになり、それなしではもっと多い、心房への施術で用いられる異なる種類のカテーテルの数を減らすことができるという利点がある。バルーン電極アセンブリによれば、その操作者が、肺静脈内に電極をより確信をもって配置させることができるようになるばかりではなく、同じカテーテルを使いながら遠位側電極アセンブリにより、限局的な点状の処置ができるようになる。
【0017】
一実施形態においては、カテーテルは、細長いカテーテル本体と、第1のアセンブリと、第2のアセンブリと、を含む。前記第1のアセンブリは、外表面を有する少なくとも1つのバルーン部材と、前記外表面上の少なくとも1つの電極と、を有し、前記カテーテル本体の遠位側にある。前記第2のアセンブリは、少なくとも1つの電極を有し、前記第1のアセンブリの遠位側にある。また、前記カテーテルは、前記カテーテル本体を通って延在する管を備える。前記カテーテル本体において、当該管は、前記少なくとも1つのバルーン部材を膨張させるように、そこを通って前記少なくとも1つのバルーン部材内に流体を通すように適合された管腔を画定する。
【0018】
さらに詳細な実施形態において、前記カテーテルは感圧アセンブリをさらに備える。前記感圧アセンブリは、前記少なくとも1つのバルーン部材の近位側に、又は前記少なくとも1つのバルーン部材の遠位端部と近位端部との間に位置することができる。
【0019】
さらに詳細な実施形態において、前記少なくとも1つのバルーン部材は、流体が前記バルーン部材の内部から外部へと流れるのを可能にするように構成された少なくとも1つの流体ポートを有する。
【0020】
さらに詳細な実施形態において、前記カテーテルは、前記少なくとも1つのバルーン部材の少なくとも一部を覆うように構成された第2の外側バルーン部材をさらに備える。
【0021】
さらに詳細な実施形態において、前記少なくとも1つの電極は細長く、前記カテーテルの長手方向の軸に沿って位置している。前記第2のアセンブリの前記少なくとも1つの電極は、灌注式先端電極又は輪状電極を含む。
【0022】
代替的な実施形態において、カテーテルは、細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の遠位側にあるバルーン電極アセンブリと、前記カテーテル本体を通って延在する管とを備える。前記バルーン電極アセンブリは、少なくとも、内側バルーン部材と、前記内側バルーン部材の少なくとも一部を覆う外側バルーン部材と、前記外側バルーン部材の外表面上の少なくとも1つの電極と、を有する。前記管は、前記内側バルーン部材を膨張させるために、それを通って前記内側バルーン部材内に流体を通すように適合された管腔を画定する。前記外側バルーン部材は、前記内側バルーン部材の膨張に対応して膨張するように適合されている。
【0023】
さらに詳細な実施形態において、前記カテーテルは、前記バルーン電極アセンブリの遠位側にある、遠位側電極アセンブリを備える。
【0024】
さらに詳細な実施形態において、前記内側バルーン部材は、流体を、前記内側バルーン部材の内部から、前記外側バルーン部材で覆われた内側バルーン部材の外部の空間へと通過させるように構成された、少なくとも1つの流体ポートを有する。前記外側バルーン部材は、流体を前記空間から、前記外側バルーン部材の外側に通すように構成された、少なくとも1つの流体ポートを有する。
【0025】
さらに詳細な実施形態において、前記カテーテルは、前記バルーン電極アセンブリにかかる接触圧に対して感応する弾性部材を有する、感圧アセンブリを備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮されるときに、以下の発明を実施するための形態を参照することで、より十分に理解されるであろう。
図1】一実施形態による、本発明のカテーテルの斜視図である。
図2図1のカテーテルのバルーン電極アセンブリ及び遠位先端部の側断面図であり、それが、収縮された/畳まれた状態で示された図である。
図2A図2のバルーン電極アセンブリの、図A−Aに沿って切った端部断面図である。
図2B】線B−Bに沿って切った、図2の遠位先端部の端部断面図である。
図3図2のバルーン電極アセンブリの、端部断面図であり、それが膨張した/拡張された状態で示された図である。
図3A図3のバルーン電極アセンブリの、図A−Aに沿って切った端部断面図である。
図4図1のバルーン電極アセンブリの、斜視図であり、それが膨張した/拡張された状態で示された図である。
図5】一実施形態による本発明の遠位側電極アセンブリの斜視図である。
図5A図5の電極アセンブリの側断面図である。
図6A】本発明の他の実施形態による、中間屈曲可能部を有するカテーテルの、第1の直径に沿って切った側断面図である。
図6B】第1の直径に概ね垂直な第2の直径に沿って切った、図6Aのカテーテルの側断面図である。
図6C図6A及び6Bの中間屈曲可能部の、線C−Cに沿って切った端面断面図である。
図7】他の実施形態による本発明の遠位側電極アセンブリの斜視図である。
図7A図7の遠位側電極アセンブリの側断面図である。
図8】他の実施形態による本発明の半分拡張させた/膨張したバルーン電極アセンブリの斜視図である。
図8A図8のバルーン電極アセンブリの、図A−Aに沿って切った端部断面図である。
図9】他の実施形態による本発明のバルーン電極アセンブリの斜視図である。
図9A図9のバルーン電極アセンブリとともに用いるのに好適な中間屈曲可能部の一実施形態の端部断面図である。
図10】本発明の他の実施形態による、カテーテルの、第1の直径に沿って切った側断面図である。
図10A図10の中間屈曲可能部の、線A−Aに沿って切った端部断面図である。
図10B】本発明の他の実施形態による、スペーサを有する中間屈曲可能部のバルーン部材の、端部断面図である。
図11】本発明の一態様による、感圧アセンブリを収容しているカテーテル部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、本発明は、左心房まわりの肺静脈を含む、心臓のチューブ状領域をマッピング及び/又は焼灼するために必要とされるように、拡張させたり収縮させたりすることが可能なバルーン電極アセンブリ25を有するカテーテル10を対象としている。
【0028】
カテーテル10は、細長いカテーテル本体12、カテーテル本体12の近位端部に位置する制御ハンドル16、及びカテーテル本体12の遠位端部に位置するバルーン電極アセンブリ25を備える。
【0029】
図2及び2Aに示されるように、カテーテル本体12は、細長いチューブ状の構造を持ち、当該構造は、1つの管腔21を有する外側チューブ17と、1つの管腔20を有する内側チューブ18と、ガイドワイヤ管腔22を有するガイドワイヤチューブ19を備える。チューブ17、18、及び19は、同軸になっており、内側チューブ18は、外側チューブ17の管腔21を通じて延在し、ガイドワイヤチューブ19は、内側チューブ18の管腔20を通じて延在している。チューブ17、18、及び19は可撓性を有する、すなわち屈曲可能であるが、長手方向には、実質的に圧縮できない。上記チューブはいずれも、好適な構造であればどのような構造でもよく、好適な素材であればどのような素材でできていてもよい。一実施形態においては、チューブ17、18、及び19はポリウレタン又はPEBAX(登録商標)でできている(なおPEBAXは、ポリエーテルブロックアミド共重合体である)。外側チューブ17はさらに、カテーテル本体12のねじり剛性を高めるためのステンレス鋼等の埋め込み式編組みメッシュを備え、それにより、制御ハンドル16が回転された際に、カテーテル本体12の遠位端部が、それに合わせた形で回転する。
【0030】
図1に示されるように、制御ハンドル16の近位側で、接続部材又はハブ4が、内側チューブ18及びガイドワイヤチューブ19に取り付けられている。内側チューブ18及びガイドワイヤチューブ19のそれぞれは、制御ハンドルの近位側に延在する近位部を有する。接続部材4はポート8及び9を有し、ポート8及び9は、それぞれ、内側チューブ18の管腔21及びガイドワイヤチューブ19の管腔22と接続している。ポート8は、圧力をかけることのできる流体のソース及びポンプ(不図示)と接続するように適合されている。ポート9はガイドワイヤ(不図示)を受けるように適合されている。
【0031】
カテーテル本体12の外径は、重要ではない。一実施形態においては、外径は約8フレンチ以下であり、より好ましくは7フレンチ以下である。同様に、各管腔がそれぞれのチューブの間に、各種部品及び/又は物質が収容されたり通ったりするのに十分な隙間空間を提供する限りにおいて、各チューブの厚みも重要ではない。図2及び2Aに示されるように、外側チューブ17と内側チューブ18との間の管腔20を通じて延在する部品には、電極用リードワイヤ30及びアセンブリ25内又は近くに収容されている電磁式位置センサー32用ケーブル28が含まれる。他の部品としては、熱電対ワイヤのペア(不図示)が含まれていてよい。内側チューブ18とガイドワイヤチューブ19との間の管腔21の中を流れる物質は、バルーンアセンブリ25を膨張させるための、例えば生理食塩水のような、拡張用媒体である。
【0032】
患者の体内に挿入される、アセンブリ25を除いたカテーテル本体12の有効長さは、望まれる状況に応じてさまざまに変化し得る。一実施形態において、有効長さは、約110cm〜約120cm、より好ましくは約115cm〜約117cm、更に好ましくは約116cmに及ぶ。
【0033】
図2及び4を参照して、バルーン電極アセンブリ25がカテーテル本体12の遠位端部に設けられている。バルーン電極アセンブリ25は、少なくとも一対の、概ね似たような形状でサイズの、外側バルーン部材23及び内側バルーン部材24、並びに外側バルーン部材23の外表面に設けられた複数の電極26を含む。遠位側アセンブリ27は、バルーン電極アセンブリ25の遠位端部から延在している。図示されている実施形態においては、遠位側アセンブリは、外側リング又はチューブ28、内側リング又はチューブ29、及び、遠位側アセンブリ内に、リング28とリング29との間に収容される位置センサー32を含む。センサー32に取り付けられているケーブル34は、内側バルーン部材24と外側バルーン部材23との間のギャップG内に延在する。ガイドワイヤチューブ19の遠位端部は、内側リング29の中を延在し、内側リング29の遠位端部と同じ位置まで延在する。接着剤35が遠位側アセンブリ27を一体に保つために塗布される。当該接着剤により、ガイドワイヤチューブ19の遠位端部の周囲に、非侵襲的端部が形成される。そのため、リング28及び/又はリング29の遠位端部はテーパー状になっている。
【0034】
図2、3、及び3Aを参照して、バルーン部材23及び24のそれぞれは、概ねチューブ状であり、近位側開口部、遠位側開口部、及び両者の間にある空洞C23及びC24を有する。内側バルーン部材24は外側バルーン部材25よりもわずかに小さいので、外側バルーン部材23内にフィットするようになっている。しかし、内側バルーン部材24が拡張されると、外側バルーン部材に対して外向きの力をかけて膨張させることができる。なお、本明細書においては、「膨張」及び「拡張」という二つの用語は交換可能である。同様に、「畳む」及び「収縮」も交換可能である。内側バルーン部材24は、カテーテル本体12から遠位側方向に延在するガイドワイヤチューブ19の遠位側の部分を覆うように装着されている。すなわち、内側バルーン部材24は、同部材24の近位側開口部24Pと遠位側開口部24Dとの間の空洞C24の中を通って延在している、ガイドワイヤチューブ19の遠位側部分を囲んでいる。近位側開口部24Pは、内側チューブ18の遠位端部の外表面の周囲に装着され、シールされる。遠位側開口部24Dは、遠位側アセンブリ27の内側リング29の近位端部の外表面の周囲に装着され、シールされる。
【0035】
外側バルーン部材23は、内側バルーン部材24が外側バルーン23の内部に取り囲まれて存在するように、内側バルーン部材24を覆うように装着される。近位側開口部23Pは、外側チューブ17の遠位端部の外表面の周囲に装着され、シールされる。遠位側開口部23Dは、遠位側アセンブリ27の外側リング28の近位端部の外表面の周囲に装着され、シールされる。
【0036】
図4を参照して、電極26は、少なくとも1つの円周状の列をなすように、外側バルーン部材の周囲に放射状に配置される。それぞれの電極は、同じ列内の隣り合う電極と、等しい距離を置いて並んでいる。図示されている実施形態においては、電極は、外側バルーン部材23の、概ね遠位側の半分の上に、円周状の2列以上の列状に配置されている。ただし、隣り合う列R1とR2では、互いに放射状にずれて、又は互い違いになっている。一実施形態においては、列R2は9つの電極を、列R1は少なくとも9つの電極を有しているが、より好ましくは、3つ又は4つの電極が望ましい。
【0037】
それぞれの電極は、外側バルーン部材23の外表面に、貼り付けられたり、蒸着されたり、又はその他の方法で装着され、同部材23の側壁に開けられた小穴や開口部を通じて、それぞれ対応するリードワイヤ30と接続される。それぞれのリードワイヤ30は、カテーテル本体12から、遠位方向に、それぞれの電極に向かって、外側バルーン部材23と内側バルーン部材24との間のギャップGを通って延在している。
【0038】
バルーン部材23及び24は、可撓性があり、順応性のある素材でできている。そのような素材は、弾性的であっても非弾性的であってもよいが、部材23及び24が内部からの力を受けて外側に拡張したり、膨張したりする(図2参照)ことが可能になるような素材であり、そうした力がかかっていない時またはそれまでかかっていた力が抜かれた時には、部材23及び24が収縮されたり畳まれたりする(図3参照)ことが可能になるような素材である。そのような内側からの力は、内側バルーン部材24の空洞C24に拡張用媒体を導入することで提供される。ポート8(図1参照)は、加圧できる流体又は拡張用媒体のソース及びポンプ(不図示)と接続されており、当該ポンプは、拡張用媒体をポート8に、さらに内側チューブ18の管腔21を通じて、内側チューブ18とガイドワイヤチューブ19との間の空間に送達する。内側チューブ18及びガイドワイヤチューブ19それぞれの相対サイズは、拡張用媒体が十分に、妨げられずに、カテーテルの全長に渡って流れることができるように決められる。拡張用媒体はカテーテル本体12を通って、内側バルーン部材23の空洞C23に入り、同バルーン部材を膨張させる。膨張した内側バルーン部材23は、次に外側バルーン部材24を膨張させる。バルーン部材23及び24を収縮させるために、拡張用媒体を、ポンプを逆転させて、管腔21を介して空洞C23から抜き取ることも可能である。
【0039】
図5及び5Aは、他の実施形態による遠位側アセンブリ227を示している。遠位側アセンブリ227は、図2及び3に図示され、上に説明されたような遠位側アセンブリ27と類似の構造を持っている。しかし、異なっている点の1つは、輪状電極248が遠位側アセンブリ227には設けられていることである。遠位側アセンブリ227においては、外側リング228がバルーンアセンブリ225の遠位側に、少なくとも1つの輪状電極248を有していることである。図示されている実施形態においては、外側リング228には、2つの輪状電極が設けられており、それぞれ、対応するリードワイヤ230に接続されている。該リードワイヤ230は、外側リング228と内側リング229との間、及びより近位側では、内側バルーン部材223及び外側バルーン部材224との間に延在する。内側リング229は、遠位側アセンブリ227を支持するのを助けるために、その長さを長くしてもよい。位置センサー232及びそのケーブル234が、両リング228及び229の間に配置されている。
【0040】
図6Aおよび6Bに示されるように、他の実施形態のカテーテル本体112は、軸付近、または中央の単一の管腔115を有する、細長いチューブ状の構造を持っている。カテーテル本体112は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長手方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体112は、任意の好適な構造をなし、任意の好適な材料で作られ得る。1つの可能な構造は、ポリウレタン又はPEBAX(登録商標)製である(なおPEBAXは、ポリエーテルブロックアミド共重合体である)。カテーテル本体112は、外壁117を有し、当該外壁117は、カテーテル本体112のねじり剛性を増やすための、ステンレス鋼等からなる埋め込み式の編組みメッシュを備えている。それゆえ、制御ハンドル(不図示)が回転させられると、カテーテル本体112の遠位端部が、それに対応して回転する。
【0041】
カテーテル本体112の外径は、重要ではない。一実施形態においては、外径は約8フレンチ以下であり、より好ましくは7フレンチ以下である。同様に、中央の管腔115が、当該管腔115を通って延在する各種部品を収容できる限りにおいて、各チューブの厚みも重要ではない。必要に応じて、外壁の内面は、ねじり安定性を向上させるために補強管118で裏打ちされる。本発明と関連した使用に好適なカテーテル本体構造の一例が、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,064,905号に説明及び図示される。
【0042】
制御ハンドル116からカテーテル本体112の中央管腔115へと延在する部品には、例えば、中間部114を屈曲させるための1つ以上のプラーワイヤ136、電極用リードワイヤ130、管腔137を有する灌注用/拡張用管111、管腔122を有するガイドワイヤ管119、及びアセンブリ125内又は近くに収容される電磁式位置センサー132用ケーブル134が含まれる。
【0043】
図6A、6B、及び6Cは、他の実施形態による、管113のより短い部分を含む中間部114を示す。その管は、編組みメッシュ構造を有し、中央管腔121及び、複数の、オフ軸の管腔を有する。オフ軸の管腔には、例えば、管腔138、139、140、及び141がある。径方向に互いに対向している第1の管腔138と第2の管腔139のそれぞれには、それぞれプラーワイヤ136が収まっており、これらのワイヤ136は、カテーテルが2方向に屈曲するのを可能にする。第3の管腔140には、リードワイヤ130が収められている。また、第4の管腔141には、センサーケーブル134が収められている。必要に応じて、管腔を追加して設けることができる。
【0044】
中間部分113の管114は、好ましくはカテーテル本体112よりもわずかに可撓性の高い好適な非中毒性材料でできている。管113に適した材料は、編組みされたステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれた、編組ポリウレタンである。各管腔の寸法は、これらの管腔を通じて延在するそれぞれの構成要素を収容するのに十分な長さである限りは重要ではない。
【0045】
中間部14の長さは、カテーテルの有効長さの比較的小さい部分であり、約6.35cm〜約7.62cm、より好ましくは、約6.43cm〜約6.5cm、そしてさらにより好ましくは、約6.4cmである。
【0046】
カテーテル本体112を中間部分114に取り付ける手段が、図6A及び図6Bに示されている。中間部分114の近位端は、カテーテル本体112の外壁117の内側表面を受容する外表面ノッチ142を備えている。中間区域114及びカテーテル本体112は、接着剤等により取り付けられる。
【0047】
必要に応じて、スペーサ(不図示)を、カテーテル本体112内、捕剛チューブ118(実際に設けられた場合)の遠位端部と近位端部の中間部との間に設けることができる。スペーサは、カテーテル本体と中間区域との間の接合部で可撓性の変化をもたらし、これにより接合部が折り畳まれる又はよじれることなく滑らかに曲がることが可能になる。このようなスペーサを有するカテーテルは、米国特許第5,964,757号に開示され、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
中間シャフト14の管腔138及び139に収まっているプラーワイヤ136は、好ましくは、テフロン(登録商標)でコーティングされている。プラーワイヤは、ステンレス鋼若しくはニチノールなどの任意の好適な金属、又は、ベクトラン(登録商標)ナイロンのチューブ材などのより強固な材料で作られてよく、テフロンコーティングは、プラーワイヤに潤滑性を付与する。それぞれのプラーワイヤは、その直径が約0.02cm〜約0.03cm(約0.006インチ〜約0.010インチ)であってよい。
【0049】
図6Bに示されるように、それぞれ対応するプラーワイヤを囲っている圧縮コイル143の中を、それぞれのプラーワイヤ136は通過している。圧縮コイル143は、概ね、カテーテル本体112の近位端部から中間部114の近位端部にかけて延在し、その近位端部及び遠位端部がそれぞれ、補剛チューブ118と、管113の近位端部とに、接着剤接合部(不図示)によって固定されていてもよい。圧縮コイル143は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、可撓性がある、すなわち屈曲できるが、圧縮には抵抗するように、それ自体に対して緊密に巻き付けられる。圧縮コイルの内径は、プラーワイヤの直径よりもわずかに大きいことが好ましい。カテーテル本体112内で、圧縮コイル143の外側表面はまた、例えばポリイミドのチューブ材でできた、可撓性の非導電性シース144で被覆されている。中間部114内で、各プラーワイヤは、曲がる際にプラーワイヤが中間部114の管113の中に食い込むのを防止するために、保護シース145を通して延在している。
【0050】
プラーワイヤ136の近位端部は、制御ハンドル116に定着されている。プラーワイヤの遠位端は、管113の中間部114の遠位端に、又は遠位端付近に定着される。図6Bに示されるように、T字型固定具が形成される。T字型固定具は、プラーワイヤの遠位端部の上にはまるようになっている、例えば、皮下横木のような小片の環状ステンレス鋼146を含み、その小片の環状ステンレス鋼146がプラーワイヤにしっかりとかしめて固定されている。チューブ状のステンレス鋼146の遠位端部は、ステンレス鋼のリボンなどで形成された十字片147に、例えば溶接によってしっかりと取り付けられている。十字片147が、管113内に形成されたホール(不図示)を通じて延在している。十字片147はそのホールよりも大きいため、そのホールから引き抜かれることがなく、また、十字片147は、プラーワイヤの遠位端部を中間部114の遠位端部に定着させる。
【0051】
中間部114の管113の中央管腔121を通って延在しているのは、管腔137を有する灌注用/拡張用管111である。ガイドワイヤ管119は、管111の管腔137の内部にあって、それを通って延在している。管111及び119それぞれの近位端部は、図1示されているものと類似のポートを有する接続部材に接続されている。1つのポートは、圧力をかけることができる灌注用/拡張用媒体のソース及びポンプ(不図示)との接続に適合されている。他のポートは、(不図示)ガイドワイヤを受けるように適合されている。
【0052】
中間部114の遠位端部に、バルーン電極アセンブリ125が配置されている。上述のように、バルーン電極アセンブリ125は、上に述べたバルーン電極アセンブリ25と類似の構造を有している。バルーン電極アセンブリ125は、外側バルーン部材123、内側バルーン部材124、及び外側バルーン部材123の外表面に装着された複数の電極を含む。しかしながら、中間部114の複数の管腔を有する管113が、カテーテル本体112からアセンブリ125に延在しており、内側バルーン部材124の近位側開口部124Pが、管113の中央管腔121の遠位端部に挿入され、中央管腔121の内表面にシールされる。外側バルーン部材123の近位側開口部123Pは、管113の遠位端部の外表面の周囲に装着され、シールされる。
【0053】
ガイドワイヤ管119が、灌注用/拡張用管111の管腔と、中間部114の管113の中央管腔121と、内側バルーン部材124の空洞C124と、を通って延在している。管119及び111、それぞれの相対的サイズは、灌注用及び/又は拡張用媒体が十分に、妨げられずに、カテーテルの全長に渡って、管111の管腔137の中を通って、バルーン電極アセンブリ125まで流れることができるように決められる。上述のように、バルーン部材123及び124は、可撓性があり、順応性のある素材でできている。そのような素材は、弾性的であっても非弾性的であってもよいが、前記両部材が拡張したり、収縮したりするのを可能にする素材である。拡張用媒体を内側側バルーン124の空洞C124に導入することで、内部力を提供できる。
【0054】
図10、10A、及び10Bは、他の実施形態による、中間部414及びバルーンアセンブリ425を示す。カテーテル本体412は、図6A及び6Bに示した管113によく似た構造の、複数の管腔を有する管413を有する。管413は、1つ以上の追加的管腔を有する。例えば、径方向に互いに対向する、灌注液を中間部414に沿って輸送するためのオフ軸の管腔457が、設けられる。灌注液は、中間部114に接続されたカテーテル本体(不図示)を通って延在しているそれぞれ対応する灌注用管(不図示)によって、管413の近位端部でそれぞれの管腔457に送られる。管425の遠位端部では、それぞれの管腔457が、外側バルーン部材423と内側バルーン部材424との間の空間Sと連通している。外側バルーン部材424内には、灌注液ポート456が形成されている。該ポート456は、空間Sに入った灌注液が、外側バルーン部材423の外部に出ることを可能にする。
【0055】
図10Bは、外側バルーン部材423の内表面と内側バルーン部材424の外表面との間に配置された、1つ以上のスペーサ455を示す。スペーサは外側バルーン部材の内表面及び/又は内側バルーン部材の外表面に取り付けることができる。スペーサ455は、流体の流路としての空間又はチャネルを、内側バルーン部材と外側バルーン部材との間に提供するために適合されており、それにより、内側バルーン部材と外側バルーン部材との間に流体が分配されることができ、たとえ両バルーン部材が互いに相手に押し付けられるような状況になっても、いかなる特定のエリアに流体がせきとめられたり、その流れを妨げられたりすることがないようになっている。スペーサは、任意の好適な外形又は構成を持つことができ、又は任意の好適な断面形状または構成を持つことができる。スペーサは、ブロック形状又は細長い形状(長手方向に延びた形状)をしている場合が多い。図示されている例においては、スペーサは、台形の断面形状を持ち、その長い方の底辺が、内側バルーン部材424の外表面と接し、短い方の底辺が外側バルーン部材425の内表面に接するようになっており、そうすることで、流体の流路として大きな空間を、膨張時及び/又は組織に押し当てられている時に、両バルーン部材423及び424間に確保することができる。外側バルーン部材の内表面及び内側バルーン部材の外表面のいずれか一方又は両方に、溝を刻んで流体の分配を確保するようにしてもよい。
【0056】
本発明の一特徴によると、灌注液及びカテーテル全体を通じたその流路は、拡張用媒体及びカテーテル全体を通じたその流路とは隔離されている。後者の点について、拡張用媒体は、図6A、6B、及び6Cのカテーテルに関して説明されたのと類似の構造を介して内側バルーン部材424に送達される。図示された実施形態においては、拡張用媒体管411がカテーテル本体を通じて延在し、さらに、内側バルーン部材424の空洞内に繋がる管413内の管腔421を通じて延在し続ける。
【0057】
図7及び7Aは、他の実施形態による、灌注式先端電極155を有する遠位側アセンブリ127’を示す。遠位側アセンブリは、灌注用管111が、一般に図2のガイドワイヤチューブ19又は図6Aのガイドワイヤチューブ119に置き換わっているカテーテルとともに用いられるとよい。先端電極155は、導電性のあるドーム形シェル151及び導電性のあるプラグ部材152を含むツーピース構造を持つ。ドーム形シェル151とプラグ部材152とは、シェル151及びプラグ部材152で囲まれ閉ざされた内部プレナムチャンバ153の空洞を画定している。シェル151は、組織への接触に適合されているドーム形の非侵襲的遠位端部と、通常はプラグ部材152でシールされている、開放近位端部と、を有している。シェルの側壁には、複数の流体ポート156が形成され、チェンバ153とシェル151の外部との間を流体が連通するのを可能にしている。
【0058】
プラグ部材152には、灌注用管111の遠位端部が入る貫通孔154が形成されている。そして、管111は、例えば生理食塩水等の流体を提供するが、その流体は、カテーテル本体、もしあれば中間部、及びバルーンアセンブリを通過し、先端電極155に流入し、当該先端電極を冷却する。本実施形態においては、管111を通過する流体は、図2に示される内側チューブ18の管腔21、又は図6Aに示される管111の管腔137を通過する拡張用媒体とは別れて移動する。
【0059】
図4を参照して、本明細書に記載されたバルーンアセンブリのいずれか1つに設けられる電極26は概ね矩形の、凸状の形状で、バルーン部材の外表面から盛り上がった断面形状を有する。なお、当該電極は、図8及び8Aに示されるように、細長い形状の電極を、その長手方向をアセンブリの長手方向に一致させて配置するものを含めて任意の好適な形状であってよい。その点に関して、内側バルーン部材224及び外側バルーン部材223は、細長い電極帯226どうしの間に延在する長手方向のひだ又は折目260を有してもよい。そうすることで、バルーン部材が畳まれる際に、より予見可能な、秩序ある形でそれが実現されるのを容易にすることができる。それぞれの電極帯は、アセンブリ225の遠位側の半分の領域に、長手方向又は軸方向に沿って延在している。ひだ260及び電極帯226は、互いに間を離して設けられており、互いに他方の構造又は機能に干渉をしないようになっている。
【0060】
なお、それぞれのバルーン電極又は電極帯、さらに輪状電極及び/又は遠位先端部電極は、焼灼用エネルギー源に、それぞれ対応するリードワイヤにより接続されている。焼灼用エネルギー源は、必要に応じた又は所望の電極に選択的にエネルギーを供給するように適合されている。
【0061】
図9及び9Aは、単一の、又は外側のバルーン部材323上に設けた電極326を有し、灌注式バルーン電極アセンブリ325の一実施形態を示す。部材324の近位側開口部323Pは、中間屈曲可能部314の複数の管腔を有する管313の遠位端部に装着されている。開示されている実施形態においては、管313は、中央管腔321、並びに4つのオフ軸管腔338、339、340、及び341を有する。バルーン電極326及び遠位側電極アセンブリ325の電極のうちいずれの他の電極に対するリードワイヤ330も、中央管腔321を通って延在している。双方向屈曲実現のためのプラーワイヤ336は、管腔338及び339を通って延在している。拡張液及び灌注液はともに、管腔340及び341の一方又は両方を通って流れる。
【0062】
バルーン部材323の側壁には、多くの小穴が設けられるか、灌注用ポート372が形成されることができる。バルーン部材323の空洞に流体が流入すると、バルーン部材は膨張し、流体は灌注用ポート372を通ってバルーン部材から出て、バルーン電極326を冷却する。ポート372は、一般に、電極326のごく近くに配置される。なお、任意の輪状電極及び/又は遠位先端部電極を冷却するために、遠位側の先端アセンブリに流体が流入することができるように適合されてもよい。
【0063】
保護用支持管319が、中間屈曲可能部314と遠位側電極アセンブリ327との間に設けられる。当該管は、バルーン部材の空洞を通って延在している。その近位端部は中央管腔321内に入っている。開口部373が、管319の側壁に設けられ、開口部373を通ってリードワイヤが管319の内部から出て、それぞれの対応する電極326へ至る。開口部は、空洞から管319の管腔内へと流体が漏れ出すのを防ぐために、接着剤又はシール剤によってシールされていてもよい。その点に関して、プラーワイヤが収容されている管腔338及び339の遠位側開口部もまた、流体がこれらの管腔内に流入するのを防ぐために、接着剤又はシール剤によってシールされる。
【0064】
本発明は、感圧機能を、遠位側の部分に採用したカテーテルをも含む。図11は、バルーン電極アセンブリの近位側にあるカテーテル本体又は屈曲可能な中間部を表す、カテーテルの一部区間500の一実施形態を示す。カテーテル区間500は、図4A、4B、6A、及び6Bに示された、前述のカテーテル本体及び中間部と多くの構造的類似点を有している。区間500が複数の同軸管又は複数の管腔を有する管513のいずれを含むにせよ、区間500は、中央のオン軸の管腔を画定する中央管又は管519の中央部分を有する。当該管腔には、管519の遠位端部に、又はその付近に、感圧アセンブリ560が収容される。図11に示されるように、感圧アセンブリ560は、一般に遠位部519Dと近位部519Pとの間の接合部562に取り込まれる。接合部562は、管519と似たような形状であって、同管519のオン軸管腔と接続される少なくとも1つの管腔を有する、可撓性のある管561の短い一部区間によって形成される。管519の他の管腔又は通路と対応し、同軸に配列される、他の管腔又は通路が設けられてもよい。管561は、接合部が曲がったり圧縮されたりするのを妨げられないような素材で作られているとよい。管513は、管561と比べて、硬くて曲がりづらい。
【0065】
接合部562は、弾性部材563を含む。弾性部材563は、例えば、コイルスプリング等の形をとって良いが、替わりに他のタイプの弾性部品をこの目的のために用いることもできる。弾性部材563は、バルーン電極アセンブリが組織と接触するに至った際に加えられる力のような、同アセンブリに加えられた力に反応して、バルーン電極アセンブリ525と中間部514との間で、限られた範囲の相対動作を可能にする。
【0066】
弾性部材563の遠位側には、磁気式位置センサー564が、管519の管腔(好ましくは中間部514内で、中央のオン軸の管腔)内に収容されている。センサー564は、1つ以上の小形コイルを備えていてもよく、通常、種々の軸線に沿って方向付けられた複数のコイルを備えている。弾性部材563の近位側には、小型で磁気式の磁場発生器565が、管519の管腔内に収容されている。通常、磁場発生器565は、コイルを備え、当該コイルは、カテーテルを通じて送られた電流によって駆動される。あるいは、位置センサー564は、別の種類の磁気センサー、つまり位置変換器として働く電極か、又はインピーダンスベースのセンサー若しくは超音波位置センサーなどの、他の種類の位置変換器のいずれかを含み得る。図11においては、単一の位置センサー564が示されているが、本発明の実施形態においては、2つ以上の位置センサーが用いられてもよい。
【0067】
当業者によって理解されるように、磁場発生器565が作り出す磁場によって、センサー564のコイルが磁場発生器565の駆動周波数の電気信号を生成する。これらの信号の振幅は、バルーン電極アセンブリ525の中を通って延在する、中間部14に対して長手方向の管519の、少なくとも遠位部519Dの位置や向きによって変化する。較正ユニット(富士市)の較正用プロセッサ(不図示)が、軸方向の遠位部519Dの近位部519Pに対する屈曲角の変位および大きさを決定するために、これらの信号を処理する。(コイルによって発生される磁場は軸対称となるため、屈曲の大きさのみが、磁場発生器565内の単一のコイルを使用して検出されることができ、屈曲の方向は検出されることができない。光学的には、磁場発生器565は、2つ以上のコイルを備えることができ、その場合には、屈曲の方向も決定することができる。その点に関して、図11の実施形態は、3つのコイルを備える。)変位及び屈曲の大きさは、それぞれのベクトルの加算をすることにより組み合わせて、遠位部519Dの、近位部519Pに対する動きの合計した大きさを得ることができる。
【0068】
遠位部519Dの遠位端部14に対する相対的動きにより、弾性部材563の変形の程度を表す尺度が得られる。そして、磁場発生器565とセンサー564を組み合わせて、圧力を感知する。変位と屈曲とを組あわせて感知することで、遠位部519D又はバルーン電極アセンブリにかかる圧力が真正面からかかっているのか、斜めからかかっているのかに関わらず、感圧アセンブリ560は、その圧力を正しく示すはずである。位置センサーに関するさらなる詳細は、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,357,152号及び第8,535,308号に記載されている。
【0069】
カテーテルは、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用記憶装置(EEPROM)のような不揮発性メモリも備える。その全開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,521,462号に記載されるように、当該メモリには、較正時に算出された算出係数が格納される。当該カテーテルが、後日、医療システムにおいて用いられる際には、このメモリに格納された、較正時に得られる係数を用いて、カテーテルのバルーン電極アセンブリが身体の組織に対してかける実際の圧力を、測定された屈曲の値から高い精度で導き出すことができる。なお、カテーテルがバルーン電極アセンブリの遠位側にある遠位側電極アセンブリを有する場合、感圧アセンブリは、遠位側アセンブリが身体の組織に対してかける実際の圧力を感知するように適応される。
【0070】
なお、感圧アセンブリ560は、バルーン電極アセンブリの遠位端部と近位端部との間に延在する部分を含めて、遠位部519Dに沿った、さまざまな異なる位置に配置されてよい。組織表面にバルーン電極アセンブリが押し付けられた際、上記さまざまな異なる位置は、バルーン電極アセンブリの安定性を変化させる。
【0071】
当該技術分野において一般に知られているように、本発明のカテーテルを使用するために、電気生理学医が、ガイドシース及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。また、図2及び図5に示されるカテーテルのような、上記のような使用法に適合されたカテーテルに対して、ガイドワイヤを導入してもよい。本発明のカテーテルと関連して用いるのに好適なガイドシースは、(カリフォルニア州、ダイヤモンドバー市のバイオセンスウェブスター社(Biosense Webster, Inc.)から市販されている)編組ガイドシース、PREFACE(商標)である。ガイドワイヤが用いられる場合には、ガイドワイヤが挿入され、拡張器が取り外される。続いてカテーテルが、ガイドシースを通じて導入される。カテーテルは右心房に、下大静脈を介して導入されてもよい。カテーテルが左心房に届くには、隔壁を通る。
【0072】
ガイドシースは、畳まれた位置にあるバルーン電極アセンブリを覆うので、カテーテル全体が、患者の血管系を通されて、所望の位置に到達する。バルーン部材の順応性のある素材により、アセンブリは、ガイディングシース内にぴったり合うように収縮させる及び/または畳まれるのが容易である。カテーテルの遠位端部が所望の位置、例えば左心房、に到達すると、ガイドシースは引き抜かれて、バルーン電極アセンブリがむき出しになる。続いて、バルーン部材へ拡張液を導入することで、バルーン電極アセンブリが膨張させられてもよい。バルーン電極アセンブリは、心門又は心房の凹形状領域にぴったり合うように、必要又は所望のように膨張する。円環状にマッピングをすること及び/または焼灼することが実現されるには、
(1)バルーン電極アセンブリを拡張させ、
(2)バルーン電極アセンブリの1つ以上の電極と、心房の組織が1つの円周に沿って接触するように、バルーン電極アセンブリを所望の位置に、入れ子のようにして、あるいは他の状態にして配置し、
(3)感知用及び/又は焼灼用に、1つ以上の電極を作動させ、
(4)心房のさまざまな異なる組織が、バルーン電極アセンブリの1つ以上の電極と、同一の円周に概ね沿って接触するように、バルーン電極アセンブリをその長手方向の軸周りに回転させ、
(5)感知用及び/又は焼灼用に、1つ以上の電極を作動させ、
(6)ステップ(4)及び(5)を、望むところに応じて繰り返し、
(7)バルーン電極アセンブリを収縮させ、
(8)感知用及び/又は焼灼用に、遠位側電極アセンブリ上の1つ以上の電極を作動させる。
【0073】
なお、上記のステップ又は行動は、上記の通りの順序で実行されてもよく、必要に応じて、又は適切であれば、上記以外の順序で実行されてもよい。任意の1つ以上の上記ステップが、マッピング、焼灼、及び/又は検証のために実行されてもよい。
【0074】
インピーダンス、温度、及び/又は、接触力を測定することのような、既知の方法によって、電気生理学医は、どの電極が心房の組織に接触しているかを判定できる。選択された複数の電極を同時に作動させることができるバイオセンスウェブスター社製のnMARQジェネレータのような、完全に統合された多電極のプラットフォームがあれば、効率性が高く、複雑さが少ない単一のカテーテルを用いて、マッピング、焼灼、及び検証は実行できる。
【0075】
当業者により認識されるように、バルーン電極アセンブリは完全に又は部分的に拡張されことができる。双方向に屈曲できるので、カテーテルは、バルーン電極アセンブリ及び遠位側電極アセンブリを、心門内に、若しくは心門の近くに、又は、肺静脈内に、若しくは肺静脈の近くに配置するように操作することができる。上記アセンブリ上の電極を位置センサーと組み合わせて用いると、電気生理学医は、局所的作動時間をマッピングし、焼灼し、及び検証することができ、そのことは、電気生理学医が診断をし、治療法を患者に提供するのにガイドとなることができる。したがって、電気生理学医は、1つの3Dマッピングシステム上に、それぞれの電極を視覚化することができる。それゆえ、電気生理学医は、バルーン部材が拡張された際に、それぞれの電極が患者の身体のどこにあるかを知ることができる。それぞれの電極は、例えばサーミスタや熱電対のような、温度のフィードバックシステムを備えていてもよい。
【0076】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。当業者は、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、説明された構造の改変及び変更を実施することが可能であることを理解するであろう。当業者に理解されるように、図面は必ずしも実寸ではない。また、必要に応じ、又は、それが適切である限り、さまざま異なる実施形態のさまざまな異なる特徴は、組み合わせて用いることができる。さらに、本明細書に記載される前記カテーテルは、マイクロ派、レーザ、高周波、及び/又は寒剤などの、さまざまなエネルギーの形に適用されるように、適応され得る。したがって、上記の説明は、説明され添付図面に示される厳密な構造のみに関係するものとして読み取るべきではなく、むしろ、最も完全で公正な範囲を有するであろう以下の特許請求の範囲と符合し、かつ特許請求の範囲を支持するものとして読み取るべきである。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 近位端部と遠位端部とを有する細長いカテーテル本体と、
外表面を有する少なくとも1つのバルーン部材と、該外表面上の少なくとも1つの電極とを有し、前記カテーテル本体の遠位側にある第1のアセンブリと、
前記カテーテル本体を通って延在し、前記少なくとも1つのバルーン部材を膨張させるために前記少なくとも1つのバルーン部材内に流体を通すように適合された管腔を画定している管と、
少なくとも1つの電極を有し、前記第1のアセンブリの遠位側にある第2のアセンブリと、を備える、カテーテル。
(2) 感圧アセンブリをさらに備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記感圧アセンブリが、前記少なくとも1つのバルーン部材の近位側に位置する、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記感圧アセンブリが、前記少なくとも1つのバルーン部材の遠位端部と近位端部との間に位置する、実施態様2に記載のカテーテル。
(5) 前記少なくとも1つのバルーン部材が、前記バルーン部材の内部から外部へと流体が流れるのを可能にするように構成された少なくとも1つの流体ポートを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
【0078】
(6) 前記少なくとも1つのバルーン部材の少なくとも一部を覆うように構成された第2の外側バルーン部材をさらに備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記少なくとも1つの電極は細長く、前記カテーテルの長手方向の軸に沿って位置している、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記第2のアセンブリの前記少なくとも1つの電極が、灌注式先端電極を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記第2のアセンブリの前記少なくとも1つの電極が、輪状電極を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記流体が、拡張液を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
【0079】
(11) 前記流体が、灌注液を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 近位端部と遠位端部とを有する細長いカテーテル本体と、
少なくとも内側バルーン部材と、前記内側バルーン部材の少なくとも一部を覆う外側バルーン部材と、前記外側バルーン部材の外表面上の少なくとも1つの電極と、を有し、前記カテーテル本体の遠位側にある、バルーン電極アセンブリと、
前記カテーテル本体を通って延在し、前記内側バルーン部材を膨張させるために前記内側バルーン部材内に流体を通すように適合された管腔を画定している管と、を備え
前記外側バルーン部材が、前記内側バルーン部材の膨張に対応して膨張するよう適合された、カテーテル。
(13) 前記バルーン電極アセンブリの遠位側にある、遠位側電極アセンブリをさらに備える、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記内側バルーン部材が、前記内側バルーン部材の内部から、前記外側バルーン部材によって覆われた、前記内側バルーン部材の外部の空間に流体を通過させるように構成された少なくとも1つの流体ポートを有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(15) 前記外側バルーン部材が、流体を前記空間から前記外側バルーン部材の外側に通すように構成された、少なくとも1つの流体ポートを有する、実施態様14に記載のカテーテル。
【0080】
(16) 感圧アセンブリをさらに備える、実施態様12に記載のカテーテル。
(17) 前記感圧アセンブリは、前記バルーン電極アセンブリの近位側にある、実施態様16に記載のカテーテル。
(18) 前記感圧アセンブリは、前記バルーン電極アセンブリの遠位端部と近位端部との間にある、実施態様16に記載のカテーテル。
(19) 前記感圧アセンブリは、弾性部材を有する、実施態様16に記載のカテーテル。
(20) 前記バルーン電極アセンブリの遠位側にある、灌注式先端電極をさらに備える、実施態様12に記載のカテーテル。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図4
図5
図5A
図6A
図6B
図6C
図7
図7A
図8
図8A
図9
図9A
図10
図10A
図10B
図11