特許第6567422号(P6567422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6567422プレストパウダー形態の固体化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567422
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】プレストパウダー形態の固体化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20190819BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20190819BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61K8/90
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61K8/89
   A61K8/88
   A61K8/26
   A61K8/31
   A61K8/37
   A61K8/891
   A61Q1/12
【請求項の数】19
【全頁数】88
(21)【出願番号】特願2015-545759(P2015-545759)
(86)(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公表番号】特表2016-507482(P2016-507482A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2013075235
(87)【国際公開番号】WO2014086710
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月14日
(31)【優先権主張番号】1261630
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/763,046
(32)【優先日】2013年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パドレイグ・マク・ダーモット
(72)【発明者】
【氏名】グウェノラ・ル・ガール
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ・ソテル
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/066457(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0164091(US,A1)
【文献】 特開2000−191424(JP,A)
【文献】 特開2012−214420(JP,A)
【文献】 特開昭56−108703(JP,A)
【文献】 特開2000−302625(JP,A)
【文献】 特開2012−184211(JP,A)
【文献】 特開2010−235513(JP,A)
【文献】 特開2011−105605(JP,A)
【文献】 特許第6199984(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレストパウダーの形態の固体化粧用組成物であって、生理的に許容される媒体中に、少なくとも、
- 組成物の総質量に対して25質量%から50質量%の間の含量で存在する油相と、
- 少なくとも1種の球状フィラー及び少なくとも1種の層状フィラーを含む、組成物の総質量に対して50質量%から80質量%の間の含量で存在する粉体相と
- スチレンとオレフィンの非晶質ブロックコポリマー;及びオレフィンの重合によって生成される非晶質コポリマーを含む、非晶質である、炭化水素系ブロックコポリマーから選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーと
を含み、
前記油相及び疎水性皮膜形成性ポリマーは、脂肪相を形成し、前記脂肪相及び粉体相は、前記脂肪相の前記粉体相に対する質量比が、30:70〜40:60の範囲になるような、それぞれの含量で存在し、
球状フィラー及び層状フィラーは、球状フィラーの層状フィラーに対する質量比が0.01以上になるような、それぞれの総質量含量で存在する、固体化粧用組成物。
【請求項2】
粉体相が、組成物の総質量に対して55質量%から75質量%の間の含量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
球状フィラーが、
- シリカ粉末、
- アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、
- ポリウレタン粉末、
- シリコーン粉末、
- ポリアミド粉末、
- パーライト粉末、
及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
球状フィラーが、組成物の総質量に対して1質量%以上の総含量で存在する、請求項1、2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
層状フィラーが、組成物の総質量に対して1質量%以上の総含量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
球状フィラー及び層状フィラーが、組成物の総質量に対して5質量%以上の総含量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
粉体相が、少なくとも1種の着色剤を含み、着色剤は、組成物の総質量に対して1質量%以上の総含量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記油相が、不揮発性油を、組成物の総質量に対して25質量%から50質量%の間の含量で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記油相が、不揮発性脂肪酸エステル、不揮発性シリコーン油、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の不揮発性油を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記油相が、式R1COOR2の油[式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖状又は分枝状脂肪酸の残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含み、分枝状である、炭化水素系鎖を表し、但しR1+R2が10以上であることを条件とする]から選択される、少なくとも1種の不揮発性脂肪酸エステル含み、不揮発性脂肪酸エステルの総含量は、組成物の総質量に対して10〜40質量%に相当する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記油相が、少なくとも1種のシリコーン油を含み、シリコーン油の総含量は、組成物の総質量に対して1〜20質量%に相当する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
油相が、少なくとも1種の脂肪酸エステルと、少なくとも1種のシリコーン油とを含み、脂肪酸エステル及びシリコーン油は、脂肪酸エステルのシリコーン油に対する質量比が1以上になるような、それぞれの総含量に従って存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
レフィンの重合によって生成される非晶質である炭化水素系ブロックコポリマー、並びにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
炭化水素系ブロックコポリマーから選択される前記疎水性皮膜形成性ポリマーが、非晶質で且つ水素化されており、スチレンブロック及びエチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマー、スチレン/エチレン-プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/イソプレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、及びこれらの混合物から選択される、非晶質である、炭化水素系ブロックコポリマーから選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
炭化水素系ブロックコポリマーから選択される疎水性皮膜形成性ポリマーが、組成物の総質量に対して0.1質量%以上の(総)含量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ブラッシャー、ブロンザー、及び健康的に見せる効果を有するパウダーを含むフェースパウダーから選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアするための、化粧用組成物の製造方法であって、
- 組成物の総質量に対して25質量%から50質量%の間の含量に従って存在する油相と少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーとを含む脂肪相と、50質量%から80質量%の間の含量に従って存在する、少なくとも1種の球状フィラー及び少なくとも1種の層状フィラーを含む粉体相と、少なくとも1種の追加の揮発性溶媒とを混合する工程と、
- 前記組成物をプレスによって成形する工程と、
- 追加の揮発性溶媒を、吸引によって容器中の圧力を下げることにより除去する工程と
を含み、
前記脂肪相及び粉体相は、前記脂肪相の前記粉体相に対する質量比が、30:70〜40:60の範囲になるような、それぞれの含量で存在する、製造方法。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載の化粧用組成物で顔面を被覆する方法であって、前記組成物を顔面に適用する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケア及び/又はメイクアップ用固体化粧用組成物、より詳細には、プレストパウダー形態の組成物の分野を対象とする。本発明はまた、皮膚、特に顔の皮膚を、前記化粧用組成物で被覆する方法に関する。
【0002】
固体組成物に従来採用されている製剤形態は、一般に、ルースパウダー又はコンパクトパウダーである。メイクアップの分野でより特別に考えられている固体製剤形態の非限定的な実例としては、特に、ファンデーションパウダー、フェースパウダー、アイシャドウ等の、ルースパウダー又はコンパクトパウダーを挙げることができる。
【0003】
上述のパウダー類の主な機能は、色彩及びマット仕上げを施すこと、又はそのほか、被覆性を付与することである。
【0004】
一般に、ルースパウダーは、もっぱら粒子を含む。しかし、一部の場合では、前記粒子の結合剤の働きをするように、組成物の総質量に対して2質量%又は3質量%の脂肪相を想定してもよい。
【0005】
一般に、コンパクトパウダーでは、大部分を占める粉体相が、少なくとも部分的に液状である脂肪相と一体化しており、これら2つの相はどちらも、粉体相の脂肪相に対する質量比が一般におよそ90/10になるような、それぞれの総含量に従って存在する。
【0006】
粉体相は、本質的に、着色剤と一体化したフィラーで構成されており、こうした着色剤の量は、所望の色彩、マスキング、又はマット仕上げメイクアップ効果が提供されるように修飾される。
【0007】
90/10型の固体形態の組成物を得るには、(100バール超で)コンパクト化することにより形成される、粉末と脂肪相の混合物で構成された、コンパクト化されたメイクアップパウダーを使用することが、先行技術より知られている。このコンパクト化は、乾式法と呼ばれる方法の間に一般に実施され、粉体相と脂肪相を一緒に混合し、その結果として得られる組成物を、ケースの中で、高圧でコンパクト化することから成る。
【0008】
しかし、このような組成物を調製するために、湿式法と呼ばれる方法を実施することは、わずかな程度に可能である。このタイプの方法では、前記組成物の粉体相及び脂肪相を、揮発性溶媒と接触させて、懸濁液が生成されるようにし、懸濁液は、後にプレスされて、コンパクト固体粉状組成物が得られ、揮発性溶媒は、組成物から除去される。
【0009】
したがって、乾式法又は湿式法によって得られるこのような組成物中の脂肪相、特に油相の量は、機械的手段による粉末の良好なコンパクト化が実現されるように、また組成物がケースからあふれるのを回避するためにも、一般に、組成物の総質量に対して10質量%を超過しない。
【0010】
これらの理由で、こうした製剤経路では、実に多くの場合、粉末の良好なコンパクト化を実現するために、製剤業者は、脂肪相、特に油の量を制限する必要に迫られることになる。
【0011】
更に、粉体相が高含量であるこのような固体組成物は、コンパクト化されすぎる、崩壊しにくくなる、快適でなくなる、かさつき、粉っぽくなる、及び、一部については、耐衝撃性が弱いことで、壊れやすく、脆いという欠点を有することもある。
【0012】
同様に、粉体相が高含量であるこのようなパウダーは、感覚的にあまり行き届いていない(すなわち、触れ心地があまりよくない、うまく崩壊しない、塗った後あまり快適でない、取り上げたとき及び塗ったときに粉っぽい、ざらつく、及び/又は塗った後付着が一様でない)という欠点を有することもある。
【0013】
続いて起こる問題は、このような組成物中に主に存在する粉体相の成分を調整しない限り、組成物の良好な着用特性を実現するのが難しいことである。
【0014】
これを行うために、別の解決策は、脂肪相、特に油の量を増やすことにあるはずであるが、当該組成物は、製造方法に関連する上述の欠点に加えて、使用する間に、もはや取り上げることができなくなるまで、蝋質になる、すなわち硬化する傾向を有することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP-56219
【特許文献2】EP-348372
【特許文献3】EP-486080
【特許文献4】EP-320473
【特許文献5】EP-112807
【特許文献6】US-3615972
【特許文献7】US5538793
【特許文献8】特開2003-128788
【特許文献9】特開2000-191789
【特許文献10】EP1579841
【特許文献11】US5002698
【特許文献12】特開平09-188830
【特許文献13】特開平10-158450
【特許文献14】特開平10-158541
【特許文献15】特開平07-258460
【特許文献16】特開平05-017710
【特許文献17】US6491927
【特許文献18】US2676182
【特許文献19】US3627851
【特許文献20】US3772247
【特許文献21】US5248739
【特許文献22】US5082706
【特許文献23】US5319040
【特許文献24】US5302685
【特許文献25】US4935484
【特許文献26】US5817302
【特許文献27】US5110890
【特許文献28】WO2005/075542
【特許文献29】WO04/055081
【特許文献30】EP-A-749747
【特許文献31】EP-A-748746
【特許文献32】EP-A-923928
【特許文献33】EP-A-930060
【特許文献34】US-A-5874069
【特許文献35】US-A-5919441
【特許文献36】US-A-6051216
【特許文献37】US-A-5981680
【特許文献38】WO03/045337
【特許文献39】EP963751
【特許文献40】特願平9-171154
【特許文献41】US-A-5061481
【特許文献42】US-A-5219560
【特許文献43】US-A-2002/005562
【特許文献44】US-A-5,221,534
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月
【非特許文献2】「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371〜386及び524〜528頁、The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association刊
【非特許文献3】Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第15巻、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1989)、265〜270頁
【非特許文献4】Polymer Handbook、第3版、1989、John Wiley
【非特許文献5】Handbook of Pressure Sensitive Adhesive、Donatas Satas編、第3版、1989、609〜619頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、あまり脆くなく、良好な耐衝撃性を有するメイクアップ組成物を開発することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的はまた、良好な粘着力及び良好な均質化を示すと同時に、申し分のない化粧料品質を提供する、メイクアップ組成物を得ることである。
【0019】
本発明の目的はまた、時間を経て蝋質にならないメイクアップ組成物を得ることである。
【0020】
本発明の目的はまた、時間を経てひび割れないメイクアップ組成物を得ることである。
【0021】
本発明の目的はまた、(塗るために取り上げられる製品の量に関して)良好な崩壊を示すメイクアップ組成物を得ることである。
【0022】
本発明の目的はまた、適切な硬さを有するメイクアップ組成物を得ることである。
【0023】
本発明の目的はまた、取り上げるときに心地よい、絹のような感触を有し、場合によりパウダーの影響を減らす、メイクアップ組成物を得ることである。
【0024】
本発明の目的はまた、(肌が乾く又はつっぱる影響なしに)つけ心地がよいメイクアップ組成物を得ることである。
【0025】
本発明の目的はまた、塗った後清涼効果を与えるメイクアップ組成物を得ることである。
【0026】
本発明の目的はまた、滑らかで、均等で、かつ/又は厚ぼったさ若しくは重大な影響のない、メイクアップ成果をこのように可能にする、メイクアップ組成物を得ることである。
【0027】
本発明の目的はまた、メイクアップされるケラチン物質、特に、顔面の皮膚への良好な接着、特に、時間を経て(例えば、8〜24時間)、また水及び/若しくは摩擦に関して、良好な着用特性を示す、メイクアップ組成物を得ることである。
【0028】
これを行うために、第1の態様によれば、本発明の主題は、好ましくはプレストパウダーの形態の、メイクアップ及び/又はケア用固体化粧用組成物であって、生理的に許容される媒体中に、少なくとも、
- 組成物の総質量に対して20質量%以上の油相と、
- 少なくとも1種の球状フィラー及び少なくとも1種の層状フィラーを含む、組成物の総質量に対して40質量%以上の粉体相と
を含み、球状フィラー及び層状フィラーは、球状フィラーの層状フィラーに対する質量比が0.01以上、好ましくは0.02から15の間になるような、それぞれの総質量含量で存在する、化粧用組成物である。
【0029】
好ましい一実施形態によれば、組成物は、油相と、場合により1種又は複数の疎水性皮膜形成性ポリマーと、粉体相と、少なくとも1種の追加の揮発性溶媒とを一緒に混合して懸濁液を生成し、その結果として得られる前記懸濁液を、吸引工程を伴うことが好ましいプレスによって引き続いて成形する方法によって得ることができ、得ることが好ましい。
【0030】
油相及び疎水性皮膜形成性ポリマーは、(特に、25℃かつ大気圧で)液体であることが好ましい、脂肪相を形成する。
【0031】
上述の方法によるプレスによって得ることが好ましい、このような組成物は、粉末を、数バール〜数十バール、例えば、2〜100バール、より良好には2〜50バール、更により良好には2〜30バール、より優先的には2〜10バール、例えば2〜5バールの低圧にさらすことにより得られる。
【0032】
上述の方法によって得ることが好ましい、このような組成物によって、有利な感覚的特性を有する組成物を得ることが可能になる。
【0033】
更に、場合によっては球状フィラーが高含量であるにもかかわらず、この組成物は、良好な耐衝撃性を示す。
【0034】
更に、場合によっては真珠光沢剤(nacre)が存在するにもかかわらず、この組成物は、脂肪相を調整することにより、良好な耐衝撃性を示しうる。
【0035】
このような組成物により、取り上げ、塗ったときに、触れ心地のよいテクスチャーを得ることが可能になる。
【0036】
このような組成物のテクスチャーにより、良好な着用特性を有する、滑らかで一様な皮膜を皮膚に付着させることが可能になる。
【0037】
前記組成物中の球状フィラーの層状フィラーに対する質量比により、得られる前記組成物の良好な化粧性が可能になり、上述の技術的問題、特に、崩壊、触れるとき、塗った後、及びつけている間の快適さ、テクスチャー、並びにメイクアップ成果の少なくともいずれか1つが解決される。
【0038】
粉体相の結合剤となる相当な液状脂肪相を有するこの組成物により、特に、着用特性、清涼効果、触れるとき、塗った後、及びつけている間の快適さ、並びにテクスチャーについての上述の技術的問題のいずれか1つを解決するために、フィラーの調整だけでなく、脂肪質又は疎水性の化合物の調整も可能になる。
【0039】
本発明の目的では、以下の定義が適用される。
- 用語「固体」とは、室温(25℃)かつ大気圧(760mmHg)での組成物の状態、すなわち、貯蔵中にその形態を維持する、稠度の高い組成物を意味するものである。「流体」の組成物とは対照的に、固体は、自重では流動しない。固体は、以下で定義するとおりの硬さを特徴とすることが有利である。
【0040】
- 用語「プレストパウダー」とは、その粘着が、製造の際のプレスによって少なくとも部分的にもたらされる、製品の塊を意味するものである。特に、Stable Micro Systems社が販売するTA.XT.plusテクスチャーアナライザーを使用して測定を実施することにより、本発明によるプレストパウダーは、有利なことに、使用するスピンドルの表面積(好適例では、7.07mm2)について、0.1kgから1kgの間、特に0.2kgから0.8kgの間の圧力に耐性を示しうる。この耐性の測定は、SMS P/3先端平型円筒形スピンドルを、パウダーと接触させて、0.5mm/秒のスピードで、2mmの距離にわたって動かすことにより実施する。
【0041】
- 用語「生理的に許容される媒体」とは、本発明による組成物の皮膚への適用に特に適する媒体を意味する。
【0042】
- 用語「フィラー」、ひいては用語「球状フィラー」又は「層状フィラー」は、本文全体を通して、「着色剤と別個である」と理解すべきである。
【0043】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して3質量%未満、好ましくは2質量%未満の水しか含まない、又は水なしであることさえ好ましい。
【0044】
本発明による組成物は、90%以上、より良好には95%以上、更に98%以上、又は更に100%と同等の固体含量を有することが有利である。
【0045】
本発明の目的では、「固体含量」とは、不揮発物の含量を意味する。
【0046】
本発明による組成物の固体含量(略してSC)は、Mettler Toledo社の市販のハロゲン乾燥装置Halogen Moisture Analyzer HG 53を使用して測定する。測定は、ハロゲン加熱によって乾燥させた試料の質量損失に基づいて実施され、したがって、水及び揮発性物が蒸発してしまった残留物の百分率を表す。
【0047】
この技術は、Mettler Toledo社によって供給される装置の説明書に十分に記載されている。
【0048】
測定プロトコールは、次のとおりである。
【0049】
およそ2gの組成物(以下では試料)を金属皿に広げ、これを上述のハロゲン乾燥装置に挿入する。次いで、試料を、質量が不変になるまで、105℃の温度に曝す。試料の当初の質量に相当する湿質量、及び試料のハロゲン加熱後の質量に相当する乾質量を、精密天秤を使用して測定する。
【0050】
測定に伴う実験誤差は、プラスマイナス2%程度のものである。
【0051】
固体含量は、次のように算出する。
【0052】
【表1】
【0053】
上述の技術的問題の少なくとも1つに対応する好ましい実施形態によれば、
- 粉体相は、組成物の総質量に対して50質量%以上、より良好には60質量%以上、有利には50質量%から80質量%の間、より良好には55質量%から75質量%の間、更により良好には58質量%から70質量%の間の含量で存在し、
- 球状フィラーは、
- シリカ粉末、
- アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、特に、アクリレート(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、
- ポリウレタン粉末、
- シリコーン粉末、
- ポリアミド粉末、
- パーライト粉末、
及びこれらの混合物から、好ましくは、アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、特に、アクリレート(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、シリコーン粉末、ポリアミド粉末、及びこれらの混合物から選択され、
- 粉体相は、真珠光沢剤、顔料、反射性粒子、及びこれらの混合物から、好ましくは顔料から、より優先的には無機顔料から、更により優先的には金属酸化物から選択される、少なくとも1種の着色剤も含み、
- 粉体相は、多数の球状フィラーと多数の層状フィラーとを含み、
- 球状フィラーは、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは8質量%から60質量%の間、より良好には10質量%から55質量%の間、更により良好には15質量%から50質量%の間の総含量で存在し、
- 層状フィラーは、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは10質量%から60質量%の間、より良好には20質量%から55質量%の間の総含量で存在し、
- 球状フィラー及び(すなわちプラス)層状フィラーは、組成物の総質量に対して5質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは、組成物の総質量に対して10質量%から60質量%の間、より良好には20質量%から58質量%の間、更により良好には40質量%から55質量%の間の総含量で存在し、
- 球状フィラー及び層状フィラープラス着色剤は、球状フィラーの層状フィラープラス着色剤に対する質量比が、0.01以上、好ましくは0.02から5の間になるような、それぞれの総質量含量で存在し、
- 粉体相は、少なくとも1種の着色剤、好ましくは、少なくとも1種の顔料、優先的には、少なくとも1種の無機顔料、特に、少なくとも1種の金属酸化物を含み、着色剤は、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して2質量%から60質量%の間、より良好には3質量%から50質量%の間、更により良好には5質量%から30質量%の間の総含量で存在し、
- フィラー及び少なくとも1種の着色剤は、フィラーの着色剤に対する質量比が、0.5から5の間、好ましくは1.5から2.5の間になるような、それぞれの総含量で存在し、
- 油相、好ましくは不揮発性油は、組成物の総質量に対して25質量%以上、より好ましくは28質量%以上、更により好ましくは30質量%以上の総含量で、有利には、25質量%から50質量%の間、より良好には28質量%から42質量%の間の含量で存在し、
- 前記油相は、少なくとも1種の炭化水素系油、優先的には、式R1COOR2の油[式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖状又は分枝状脂肪酸の残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含有する、特に分枝状である、炭化水素系鎖を表し、但しR1+R2が10以上であることを条件とする]から選択される、少なくとも1種の合成エステルから選択されることが好ましい、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油を含み、
- この不揮発性炭化水素系油は、少なくとも1種の安息香酸C12〜C15アルキルを含むことが好ましく、
- 不揮発性であることが優先される炭化水素系油、好ましくは、少なくとも1種の安息香酸C12〜C15アルキルは、組成物の総質量に対して10〜40質量%、特に15〜35質量%、より良好には20〜30質量%の範囲の含量で存在し、
- 油相は、少なくとも1種のシリコーン油、優先的には、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含み、
- 油相は、少なくとも1種のシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油、直鎖又はフェニル、好ましくはフェニル不揮発性シリコーン油から選択されることが優先される、不揮発性シリコーン油を含み、シリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油の総含量は、組成物の総質量に対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、より良好には4〜13質量%に相当することが好ましく、
- 前記油相は、不揮発性炭化水素系油、不揮発性シリコーン油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい、少なくとも1種の不揮発性油を含み、より優先的には、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油及び少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含み、
- 油相は、少なくとも1種の炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油と、少なくとも1種のシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油とを含み、炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油、及びシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油は、炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油の、シリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油に対する質量比が、好ましくは1以上、好ましくは2以上、有利には1.2から10の間、より良好には1.5から6の間、更により良好には1.6から3の間、更により優先的には1.8から2.5の間になるような、それぞれの総含量に従って存在することが好ましく、
- 組成物は、エチレン単位を含む化合物のホモポリマー及びコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、セルロース系ポリマー、例えば、ニトロセルロース、シリコーンポリマー、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンポリアミド、ポリシロキサンを含んだモノマーでグラフトされた非シリコーン有機主鎖を有するポリマー、ポリアミドポリマー及びコポリマー、ポリイソプレン、オレフィンの重合によって生成される非晶質であることが好ましい炭化水素系ブロックコポリマー、並びにこれらの混合物、好ましくは、オレフィンの重合によって生成される非晶質であることが好ましい炭化水素系ブロックコポリマーから選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーを含み、
- 組成物は、スチレンとオレフィンの非晶質ブロックコポリマーを含む少なくとも1種の非晶質炭化水素系ブロックコポリマーを含む、より優先的には、スチレンブロック及びエチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含む、非晶質であることが好ましく、水素化されていることが好ましい、少なくとも1種の炭化水素系ブロックコポリマーを含む、オレフィンの重合によって生成される、非晶質であることが好ましい、炭化水素系ブロックコポリマーから選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーを含み、
- 組成物は、スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマー、スチレン/エチレン-プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/イソプレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、及びこれらの混合物から、より好ましくは、スチレン/エチレン-プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、及びこれらの混合物から選択される、オレフィンの重合によって生成される、非晶質であることが好ましい、炭化水素系ブロックコポリマーから選択される、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーを含み、
- 疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマーは、組成物の総質量に対して0.1質量%以上、特に0.5質量%以上、好ましくは、組成物の総質量に対して0.8質量%から10質量%の間、より良好には、組成物の総質量に対して1質量%から8質量%の間の(総)含量で存在し、
- 疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマー、及び油相は、疎水性皮膜形成性ポリマー、優先的には炭化水素系ブロックコポリマーの、油相に対する質量比が、両端の数字を含めて、0.02から0.5の間、より良好には0.05から0.2の間になるような、それぞれの総含量で組成物中に存在し、
- 疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマー、及び、安息香酸C12〜C15アルキルから選択されることが好ましい、不揮発性炭化水素系油は、疎水性皮膜形成性ポリマー、優先的には炭化水素系ブロックコポリマーの、不揮発性炭化水素系油、好ましくは(前記)安息香酸C12〜C15アルキルに対する質量比が、両端の数字を含めて、0.01から0.3の間、より良好には0.04から0.2の間になるような、それぞれの総含量で組成物中に存在し、
- 疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマー、及び不揮発性シリコーン油は、疎水性皮膜形成性ポリマー、優先的には炭化水素系ブロックコポリマーの、不揮発性シリコーン油に対する質量比が、両端の数字を含めて、0.03から0.5の間、より良好には0.1から0.3の間になるような、それぞれの総含量で組成物中に存在し、
- 組成物は、ブラッシャー、ブロンザー、又は健康的に見せる効果を有するパウダーから選択されることが好ましい、フェースパウダーである。
【0054】
特に好ましい一実施形態によれば、プレストパウダーの形態である前記メイクアップ及び/又はケア用固体化粧用組成物は、生理的に許容される媒体中に、考慮に入れられる化合物それぞれについて、組成物の総質量に対して、境界を含め、乾燥物の質量として示して、少なくとも以下のものを含む。
- 非晶質であることが好ましい、0.5%〜8%の疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマー、
- 単独の、又は好ましくは、少なくとも1種の追加不揮発性シリコーン油との混合物としての、20%〜40%の不揮発性炭化水素系油、
- 特に、金属(ポリ)オキシド、好ましくは酸化鉄及び/又は酸化チタンから選択される、0.5%〜15%の顔料を含むことが好ましい、5%〜30%の着色剤、
- 10%〜30%の球状フィラーと、20%〜45%の層状フィラーとを含むことが好ましい、45%〜60%のフィラー、及び
- 5%未満の水、好ましくは0%の水。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、本発明の主題はまた、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔面を、被覆する、特にメイクアップ及び/又はケアする方法であって、予め定義したとおりの組成物を、前記ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔面に適用することを含む方法である。
【0056】
本発明の第3の態様によれば、本発明の主題はまた、ケラチン物質、特に皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための、好ましくは予め定義したとおりの組成物の製造方法であって、
- 組成物の総質量に対して20質量%以上の含量に従って存在する油相、好ましくは、少なくとも1種の疎水性皮膜形成性ポリマーと、40質量%以上の含量に従って存在する粉体相と、少なくとも1種の追加の揮発性溶媒とを混合する工程と、
- 前記組成物をプレスによって成形する工程と、
- 追加の揮発性溶媒を、好ましくは吸引によって、少なくとも部分的に、好ましくは完全に除去する工程と
を含む製造方法である。
【0057】
特定の一実施形態によれば、疎水性皮膜形成性ポリマーを、優先的には油相と混合する間に加熱する。
【0058】
特定の一実施形態によれば、液体脂肪相(油相、及び場合により疎水性皮膜形成性ポリマー)及び粉体相を、これらを混合する間に加熱する。
【0059】
特定の一実施形態によれば、前記懸濁液は、追加の揮発性溶媒が除去されるように、好ましくは成形工程と同時に、吸引工程を経る。
【0060】
特定の一実施形態によれば、成形された前記懸濁液は、追加の揮発性溶媒の除去が加速されるように、加熱工程を経てもよい。
【0061】
特定の一実施形態によれば、粉体相と液体脂肪相を、第1の工程において、例えば押出機で混合した後、第2の工程において、この混合物に追加の揮発性溶媒を加えてもよい。
【0062】
追加の揮発性溶媒は、本発明による化粧用組成物から少なくとも部分的に、好ましくは完全に除去されるような、組成物から蒸発させることを目的とした、揮発性油であることが好ましい。
【0063】
追加溶媒は、揮発性イソパラフィン油等の揮発性炭化水素系油であることが好ましい。
【0064】
本発明による化粧用組成物について言及した特徴はすべて、この特定の方法を使用して調製された組成物にも当てはまることに留意すべきである。
【0065】
粉体相
本発明による固体組成物は、粉体相の含量が、組成物の総質量に対して50質量%以上、より良好には60質量%以上、有利には、組成物の総質量に対して50質量%から80質量%の間、より良好には55質量%から75質量%の間、より良好には58質量%から70質量%の間であることが有利である。
【0066】
組成物、特に粉体相は、少なくとも1種の球状フィラーと、少なくとも1種の層状フィラーとを含み、球状フィラー及び層状フィラーは、球状フィラーの層状フィラーに対する質量比が、0.01以上、好ましくは0.02から15の間、有利には0.1から10の間、より好ましくは、0.35から5の間、より好ましくは、0.45から2の間になるような、それぞれの総質量含量で存在する。
【0067】
粉体相は、少なくとも1種の着色剤を含むことも有利である。
【0068】
フィラー
用語「フィラー」とは、組成物の媒体に不溶性であり、分散する形態である、いずれかの形状の無色又は白色の固体粒子を意味すると理解すべきである。性質が無機又は有機である、フィラーにより、メイクアップのソフト感、マット感、及び均一性を、組成物に付与することが可能になる。
【0069】
フィラーは、表面が被覆されていてもいなくてもよく、特に、シリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体、又は組成物中でのフィラーの分散及び相溶性を促進する他のいずれかの物質で表面が処理されていてもよい。
【0070】
このようなフィラーは、以下の欄で「着色剤」と呼ぶものとは別個である。
【0071】
球状フィラー
用語「球状フィラー」とは、少なくとも1つの丸みのある一般部分を含む、好ましくは、少なくとも1つの球体部分の輪郭を有する、好ましくは、内側に空洞又は凹みの輪郭を有する、フィラーを意味すると理解すべきである。
【0072】
このような「球状」フィラーは、完全球状フィラー、球形フィラー、半球状フィラー、椀状フィラー、又は他に蹄鉄状フィラーでよい。
【0073】
球状フィラーは、凹んでいることが好ましく、又はより一般には、油相、より一般的には脂肪相を、少なくとも部分的に吸収及び/又は吸着することができる。
【0074】
本発明による球状フィラーは、皮脂取込能を有する1種又は複数の皮脂吸収性粒子であることが有利である。用語「皮脂吸収性粒子」とは、皮脂を吸収及び/又は吸着することのできる粉末を意味するものである。
【0075】
皮脂取込能は、粒子によって吸収及び/又は吸着される皮脂の量に相当する。皮脂取込能は、以下のとおりのウェットポイント法に従って測定される。
【0076】
粉末の皮脂取込能の測定方法:
粉末の皮脂取込能は、NF T30-022規格に記載の、粉末の油取込みの測定方法に従って測定する。皮脂取込能は、ウェットポイントの測定による、粉末の利用可能表面に吸着された皮脂の量に相当する。
【0077】
約0.5gから5gの間の(グラムでの)量mの粉末(量は、粉末の密度に応じて決まる)をガラス板に載せ、次いで、以下の組成を有する人工皮脂を滴下する。
- トリオレイン 29%
- オレイン酸 28.5%
- オレイン酸オレイル 18.5%
- スクアレン 14%
- コレステロール 7%
- パルミチン酸コレステリル 3%
【0078】
4〜5滴の人工皮脂を加えた後、スパチュラを使用して、人工皮脂を粉末に混和し、人工皮脂と粉末の集成物が形成されるまで、人工皮脂を加え続ける。この時点から、人工皮脂を1回に1滴加え、次いで混合物をスパチュラで摩砕する。堅く滑らかなペーストが得られたとき、人工皮脂を加えるのを止める。このペーストは、ひび割れ又は塊の生成なしにガラス板に広げることができなければならない。次いで、使用した人工皮脂の(mlで示す)体積Vsを書き留める。
【0079】
皮脂取込能は、比Vs/mに相当する。
【0080】
本発明による球状フィラーは、皮脂取込能が、10ml/100g以上、特に20ml/100g以上、特に30ml/100g以上、好ましくは40ml/100g以上、特に、両端の数字を含めて、45ml/100gから1500ml/100gの間、又は他に45ml/100gから300ml/100gの間であることが有利である。
【0081】
球状フィラーは、D50値によって示される、中位径又は数平均径とも呼ばれる平均直径が、0.05μm〜50μmの範囲、好ましくは2〜40μmの範囲であることが有利である。このD50という大きさは、D50と呼ばれる、母集団の半分についての統計的粒度分布によって示される。
【0082】
本発明による球状フィラーは、BET比表面積が、300m2/g以上である、好ましくは500m2/gを越える、優先的には600m2/gを越える、特に1500m2/g未満であることが有利である。
【0083】
BET比表面積は、Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月に記載され、ISO国際規格5794/1(付録D)に対応するBET(Brunauer-Emmett-Teller)法に従って求める。BET比表面積は、粒子、特に粉末の総比表面積(したがって、ミクロ孔を含める)に相当する。
【0084】
こうした粒子をその密度によって特徴付けることも可能であり、前記密度は、特に、前記粒子の少なくとも部分的に球状の空洞の大きさによって、様々となりうる。
【0085】
本発明の状況では、この密度は、タップ密度プロトコールとして知られている、以下のプロトコールに従って評定する。
【0086】
m=40gの粉末をメスシリンダーに注ぎ、次いで、シリンダーをStampfvolumeterのStav 2003計器に載せ、次いで、シリンダーを1500回のタップ運転にかけ、次いで、タップした粉末の最終体積Vfを、シリンダーにおいて直接測定する。タップ密度は、比m/Vf、この例では、40/Vf(Vfはcm3、mはgで表される)によって求められる。
【0087】
特に、本発明に従って使用することのできる球状フィラーの密度は、0.3〜0.95、特に0.45〜0.80、より特段には0.5〜0.75の範囲となりうる。
【0088】
本発明による球状フィラーは、発泡係数が2〜70であることが有利である。
【0089】
本発明による球状フィラーは、25℃での非タップ密度が、10〜400kg/m3(DIN 53468規格)、好ましくは10〜300kg/m3の範囲であることが優先される。
【0090】
本発明による球状フィラーは、無機又は有機、好ましくは有機でよい。
【0091】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機フィラーを含むことが好ましい。
【0092】
有利な一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の有機フィラー、及び少なくとも1種の球状フィラーを含む。
【0093】
本発明によるフィラーの非限定的な実例として、かなり詳細に、以下の粒子を挙げることができる。
【0094】
本発明による球状フィラーは、皮脂を吸収し、皮膚にマット感を付与する(その光沢を低減する)効果を有することが有利であり、特に、本発明において、有利な崩壊、テクスチャー、及び感触特性を同時に付与しながら、前記化粧用組成物が、プレスによってパウダー形態で生成する可能性を保証する。
【0095】
球状フィラーは、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは8質量%から60質量%の間、より良好には10質量%から55質量%の間、更により良好には15質量%から50質量%の間の総含量で存在する。
【0096】
球状フィラー及び粉体相は、球状フィラーの粉体相プラス着色剤に対する質量比が、0.01以上、好ましくは0.015から0.99の間になるような、それぞれの総質量含量で存在する。
【0097】
球状フィラー及び油相は、球状フィラーの油相に対する質量比が、0.02〜4、好ましくは0.05〜3.5、より好ましくは0.1から1の範囲になるような、それぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0098】
球状フィラー及び液体脂肪相は、球状フィラーの液体脂肪相に対する質量比が、0.02〜3.5、好ましくは0.05〜2.5、より好ましくは0.1〜1の範囲になるような、それぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0099】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、その化学的性質、その大きさ、又はその形状ゆえに、好ましくは、少なくともその化学的性質ゆえに別個である、少なくとも2種の球状フィラーを含む。
【0100】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくともその化学的性質ゆえに、好ましくは、少なくともその化学的性質ゆえに別個である、少なくとも3種の球状フィラーを含む。
【0101】
そのようなフィラーは、以下のものから選択されることが有利である。
- シリカ粉末、
- アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、特に、ポリ(メチルメタクリレート)粉末、ポリ(メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート)粉末、ポリ(アリルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート)粉末、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー粉末、場合により架橋したアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー粉末、アクリロニトリル(コ-)ポリマーの発泡中空粒子、及びこれらの混合物から選択されることが有利である、アクリレート(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、
- ポリウレタン粉末、
- ポリメチルシルセスキオキサン粉末、シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末、及び有機シリコーン粒子の粉末から選択されることが有利である、シリコーン粉末、
- Nylon(登録商標)、特にNylon 12等の、ポリアミドの粉末、
- パーライト粉末。
【0102】
このような球状フィラーは、疎水性処理剤で被覆されていてもよい。疎水性処理剤は、脂肪酸、例えば、ステアリン酸;金属石けん、例えば、ジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタミン酸のアルミニウム塩;アミノ酸;N-アシルアミノ酸又はその塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、及びこれらの混合物から選択することができる。N-アシルアミノ酸は、例えば、2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はココイル基等の、8〜22個の炭素原子を有するアシル基を含むものでよい。これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム、又はカリウム塩でよい。アミノ酸は、例えば、リシン、グルタミン酸、又はアラニンでよい。上で挙げた化合物において言及される用語「アルキル」は、特に、1〜30個の炭素原子を有する、好ましくは5〜16個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0103】
球状フィラーは、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは8質量%から60質量%の間、より良好には10質量%から55質量%の間、更により良好には15質量%から50質量%の間の総含量で存在する。
【0104】
シリカ粉末
シリカ粉末としては、
- 三好化成株式会社がSilica Beads SB-700、又は旭硝子株式会社がSunsphere(登録商標)H51若しくはSunsphere(登録商標)H33の名称で販売する、多孔質シリカミクロスフェア、
- 旭硝子株式会社がSA Sunsphere(登録商標)H33及びSA Sunsphere(登録商標)H53の名称で販売する、ポリジメチルシロキサンで被覆された非晶質シリカミクロスフェア
を挙げることができる。
【0105】
アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末
アクリル(コ)ポリマー、特にアクリレート(コ)ポリマーの粉末として、
- Wackherr社がCovabead(登録商標)LH85の名称で販売するポリ(メチルメタクリレート)粉末、
- Dow Corning社がDow Corning 5640 Microsponge(登録商標)Skin Oil Adsorber、又はGanz Chemical社がGanzpearl(登録商標)GMP-0820の名称で販売する、ポリ(メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート)粉末、
- Amcol Health and Beauty Solutions社がPoly-Pore(登録商標)L200又はPoly-Pore(登録商標)E200の名称で販売する、ポリ(アリルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート)粉末、
- Dow Corning社がPolytrap(登録商標)6603の名称で販売するエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー粉末、
- 積水化成品工業株式会社がTechpolymer ACP-8Cの名称で販売する架橋アクリレート/エチルヘキシルアクリレートコポリマー粉末、
- Expancel社がExpancelの名称で販売するアクリロニトリル(コ)ポリマーの発泡中空粒子、
及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0106】
ポリ(メチルメタクリレート)は、一般に、白色の中空又は中実球状粒子の形態であり、その数平均径D50は、一般に、マイクロメートルの規模であり、特に、5〜20ミクロンの範囲、一般に7〜15ミクロンの範囲である。
【0107】
本発明に従って使用することのできるポリ(メチルメタクリレート)粒子の密度は、0.3〜0.95、特に0.45〜0.80、より特段には0.5〜0.75の範囲でよい。
【0108】
本発明に適するポリ(メチルメタクリレート)の非限定的な代表例としては、Wackherr社がCovabead LH 85の名称で販売するポリ(メチルメタクリレート)粒子、及び日本純薬株式会社がJurymer MB1の名称で販売するものを挙げることができる。
【0109】
アクリロニトリル(コ)ポリマーの発泡中空粒子は、少なくとも1種のアクリロニトリルポリマー又はコポリマーからそのように得られる。こうした発泡中空粒子は、皮膚に対して非毒性で非刺激性である、いずれかの発泡アクリロニトリルポリマー又はコポリマーから作られる。
【0110】
こうした粒子は、形状が球状であることが有利である。粒子の密度は、15kg/m3〜200kg/m3、より良好には30kg/m3〜120kg/m3、更により良好には40kg/m3〜80kg/m3の範囲で選択される。この低い密度を実現するために、アクリロニトリル、好ましくは、アクリル若しくはスチレンモノマー、及び/又は塩化ビニリデンを主体とする、発泡ポリマー又はコポリマーの粒子を使用することが有利である。
【0111】
例えば、塩化ビニリデンから導かれる単位を0%〜60%、アクリロニトリルから導かれる単位を20%〜90%、アクリル又はスチレンモノマーから導かれる単位を0%〜50%含有し、(質量)百分率の合計が100に等しい、コポリマーを使用することが可能である。アクリルモノマーは、例えば、メチル又はエチルアクリレート又はメタクリレートである。スチレンモノマーは、例えば、1-メチルスチレン又はスチレンである。
【0112】
本発明で使用する粒子は、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの発泡コポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとメタクリレートの発泡コポリマー、又はこれらの混合物の中空粒子であることが好ましい。こうした粒子は、無水でも、又は含水でもよい。
【0113】
本発明の粒子は、例えば、特許及び特許出願EP-56219、EP-348372、EP-486080、EP-320473、EP-112807、及びUS-3615972の方法に従って取得することができる。
【0114】
粒子の内部空洞は、原則として、空気、窒素、又は炭化水素、例えば、イソブタン又はイソペンタン、好ましくはイソブタンでよい、気体を含んでいる。
【0115】
本発明の粒子は、粒径が、1μm〜80μmの範囲、更により良好には10μm〜50μmの範囲、更により良好には20μm〜40μmの範囲であることが有利である。
【0116】
本発明で使用することのできる粒子は、例えば、Expancel社がExpancelブランドのもと551 DE 40(粒径およそ40μm)、551 DE 20(粒径およそ20μm及び密度およそ65kg/m3)、551 DE 12(粒径およそ12μm)、551 DE 80(粒径およそ80μm)、461 DE 50(粒径およそ50μm)の表示で販売する、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとメタクリレートの発泡ターポリマーのミクロスフェアである。粒径がおよそ18μm、密度がおよそ70kg/m3であり、以下ではEL23と呼ぶ、又は粒径がおよそ34μm、密度がおよそ20kg/m3であり、以下ではEL43と呼ぶ、同じ発泡ターポリマーから作られたミクロスフェアを使用してもよい。
【0117】
粉体相は、追加のフィラー及び着色剤を含んでも有利である。
【0118】
アクリロニトリル(コ)ポリマーの発泡中空粒子は、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの発泡コポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとメタクリレートの発泡コポリマー、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0119】
ポリウレタン粉末
ポリウレタン粉末は、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールヘキシルラクトンのコポリマーの粉末であることが有利である。
【0120】
本発明による組成物は、皮膜形成性でない、すなわち、皮膚等の支持体に付着させたときに連続的な皮膜を形成しないポリウレタン粉末を含有することが有利である。
【0121】
このようなポリウレタン粉末は、特に、東色ピグメント株式会社が、Plastic Powder D-400、Plastic Powder D-800、及びPlastic Powder T-75の名称で販売している。
【0122】
使用することのできる別のポリウレタン粉末は、東色ピグメント株式会社がPlastic Powder CS-400の名称で販売するものである。
【0123】
シリコーン粉末
シリコーン粉末は、ポリメチルシルセスキオキサン粉末、シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末、及び有機シリコーン粒子の粉末から選択されることが有利である。
【0124】
ポリメチルシルセスキオキサン粉末
本発明による組成物は、少なくとも1種のシリコーンフィラーを含み、このシリコーンフィラーが、ポリメチルシルセスキオキサン粉末であることが好ましい。
【0125】
このようなフィラーが存在することで、特に、組成物で作られた、皮膚又は唇への付着層の着用特性、特に色堅牢度を、光彩を損なうことなく改善することが可能になる。本発明による組成物は、あまりべたつかない、又は少しもべたつかない付着層を得ることも可能にする。
【0126】
ポリメチルシルセスキオキサン粉末としては、Momentive Performance Materials社が、Tospearlの名称、特にTospearl 145Aの表示で販売する製品を使用することができる。
【0127】
シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末
本発明による組成物は、例えば、その内容が参照により援用される、特許US5538793に記載されているとおり、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂で被覆された、少なくとも1種のオルガノポリシロキサンエラストマー粉末を含む。
【0128】
このようなエラストマー粉末は、信越化学工業株式会社がKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、及びKSP-105の名称で販売しており、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーというINCI名を有する。
【0129】
シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末は、INCI名がビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーである化合物であることが好ましい。
【0130】
挙げることのできるシリコーンエラストマー粉末には、Dow Corning社がTrefil(登録商標)Powder E-505C及びTrefil(登録商標)Powder E-506Cの名称で販売する粉末が含まれる。
【0131】
有機シリコーン粒子
本発明の特定の一実施形態によれば、椀状中空球状部分を使用する。こうした部分は、特許出願特開2003-128788に記載のとおりに取得することができ、蹄鉄状中空球状部分も、特許出願特開2000-191789、又は他に特許出願EP1579841に記載されている。
【0132】
本発明に従って使用することのできる球状部分の凹状粒子としては、特に、以下のものを挙げることができる。
- 竹本油脂株式会社の架橋有機シリコーンTAK-110(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)で構成された椀状粒子の、幅2.5μm、高さ1.2μm、厚さ150nmのもの(竹本油脂株式会社がNLK506の名称で販売する粒子)、
- 竹本油脂株式会社の架橋有機シリコーンTAK-110(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)で構成された椀状粒子の、幅2.5μm、高さ1.5μm、厚さ350nmのもの、
- 竹本油脂株式会社の架橋有機シリコーンTAK-110(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)で構成された椀状粒子の、幅0.7μm、高さ0.35μm、厚さ100nmのもの、
- 竹本油脂株式会社の架橋有機シリコーンTAK-110(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)で構成された椀状粒子の、幅7.5μm、高さ3.5μm、厚さ200nmのもの。
【0133】
ポリアミド粉末
ポリアミド粒子は、数平均径が、50nm〜350ミクロンの範囲、より良好には100nmから100ミクロンの間、更により優先的には0.5ミクロンから100ミクロンの間であることが好ましい。
【0134】
ポリアミド粒子は、ナイロン12の粒子から選択される。
【0135】
ポリアミド粉末として、Arkema社がOrgasol(登録商標)2002 EXS NAT COSの名称で販売するナイロン粉末も挙げることができる。
【0136】
パーライト粒子
パーライトは、溶岩が急速に冷却される結果として生じ、真珠に似ている小さい粒子の形をした、薄灰色又はつやのある黒色の、火山起源の天然ガラスから一般に得られる。パーライトは、800℃を越えて加熱されたとき、含有する水を失い、(その当初の体積の4〜20倍に相当する)多孔質の発泡した形態を取り、多量の液体、特に油及び水を吸収することが可能になるという特殊な特色を有する。次いで、パーライトは白色になる。
【0137】
無機起源であるパーライトは、土壌から直接抽出し、次いで細かく微粉砕して、非常に微細な白色粉末:パーライト粉末又はパーライト粒子を得る。
【0138】
したがって、パーライト粒子は、少なくとも1種の火山岩から得られる、発泡していることが有利である、非晶質無機材料の粒子である。
【0139】
こうした粒子は、ケイ素、アルミニウム、及びマグネシウムから選択される少なくとも2種の元素を含む。
【0140】
より詳細には、こうした無機材料は、岩石組成の総質量に対して1〜10質量%の水、好ましくは1%〜5質量%の水と、10質量%未満の結晶質岩石とを含む火山又は「噴出」岩を熱によって発泡させ、好ましくは続いて粉砕することにより取得する。発泡化方法の温度は、700〜1500℃、好ましくは800〜1100℃の範囲でよい。特に、特許US5002698に記載の発泡化方法を使用することができる。
【0141】
火山又は「噴出」岩は、一般に、液状のマグマが空気又は水と接触して急速に冷却されることによって生じる(ガラス質の岩を与える急冷現象)。本発明に従って使用することのできる火山岩は、Streckeisen分類(1974)に従って定められたものから選択される。そうした火山岩の中でも、特に、粗面岩、ラタイト、安山岩、玄武岩、流紋岩、及びデイサイトを挙げることができる。特に、流紋岩及びデイサイト、より特段には流紋岩が適切である。
【0142】
本発明に従って使用することのできるパーライト粒子は、火山起源のアルミノケイ酸塩であることが好ましい。こうしたパーライト粒子は、以下の組成を有することが有利である。
70.0〜75.0質量%のシリカSiO2
12.0〜15.0質量%の酸化アルミニウムAl2O3
3.0〜5.0%の酸化ナトリウムNa2O
3.0〜5.0%の酸化カリウムK2O
0.5〜2%の酸化鉄Fe2O3
0.2〜0.7%の酸化マグネシウムMgO
0.5〜1.5%の酸化カルシウムCaO
0.05〜0.15%の酸化チタンTiO2
【0143】
本発明を実施する際、パーライトは、パーライト粒子が生成されるように、第1の微粉砕工程にかけ、乾燥させ、次いで較正する。パーライト鉱石として知られる、得られる産出物は、色が灰色であり、大きさが100μm程度である。次いで、パーライト鉱石を発泡させて(1000℃/2秒)、概ね白色の粒子を得る。温度が850〜900℃に達するとき、材料の構造に閉じ込められた水が蒸発し、そのもとの体積と比較して、材料の発泡を引き起こす。本発明による発泡パーライト粒子は、特許US5002698に記載の発泡化方法によって得ることができる。
【0144】
次いで、使用するパーライト粒子は、使用するパーライト粒子の大きさを更に縮小するために、第2の微粉砕工程において微粉砕することが好ましく、この場合、こうした粒子を発泡微粉砕パーライト(EMP)と呼ぶ。こうした粒子は、中位径D50によって定義される粒径が、0.5〜50μm、好ましくは1〜40μmの範囲であることが好ましい。
【0145】
パーライト粒子は、小平板形状を有することが優先され、それゆえに、球体状の球状フィラーに対するものとして、通常は層状フィラーと呼ばれる。
【0146】
パーライト粒子は、発泡係数が2〜70であることが有利である。
【0147】
パーライト粒子は、25℃での非タップ密度が、10〜400kg/m3(DIN 53468規格)、好ましくは10〜300kg/m3の範囲であることが優先される。
【0148】
本発明の特定の一実施形態によれば、パーライト粒子は、シリカ含量が、材料の組成の総質量に対して65質量%以上である。本発明の特定の一実施形態によれば、パーライト粒子は、10質量%の水分散液中において25℃で測定した自発的pHが、6〜8の範囲である。
【0149】
本発明による発泡パーライト粒子は、ウェットポイントにおいて測定した吸水能が、200%〜1500%、好ましくは250%〜800%の範囲であることが好ましい。
【0150】
本発明に従って使用されるパーライト粒子は、特に、World Minerals社から、Perlite P1430、Perlite P2550、Perlite P2040、又はOpTiMat(商標)1430 OR若しくは2550 ORの商品名で市販品として入手可能である。
【0151】
本発明による組成物中に優先的に使用することのできる球状フィラーは、アクリル(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、特に、アクリレート(コ)ポリマー及びその誘導体の粉末、シリコーン粉末、ポリアミド粉末、並びにこれらの混合物から選択される。
【0152】
層状フィラー
粉体相は、少なくとも1種の層状フィラーを含む。
【0153】
層状フィラーは、無機であることが好ましい。
【0154】
本発明による組成物中に使用することのできる層状フィラーは、タルク、天然又は合成マイカ、ある特定のシリカ、クレイ類、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリメチルシロキシシリケート、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、並びにこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0155】
本発明の状況で好ましく使用される、このようなフィラーの代表例として、特に、タルク、マイカ、フルオロフロゴパイト、及びケイ酸マグネシウムアルミニウム等のクレイ類を挙げることができる。
【0156】
層状フィラーは、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは10質量%から60質量%の間、より良好には20質量%から55質量%の間の総含量で本発明による組成物中に存在することが有利である。
【0157】
層状フィラー及び粉体相は、層状フィラーの粉体相に対する質量比が、0.01以上、好ましくは0.015から0.99の間になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0158】
層状フィラー及び油相は、層状フィラーの油相に対する質量比が、0.02〜4、好ましくは0.05〜3.5、より優先的には0.1〜1の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0159】
層状フィラー及び液体脂肪相は、層状フィラーの液体脂肪相に対する質量比が、0.02〜3.5、好ましくは0.05〜2.5、より優先的には0.1〜1の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0160】
球状フィラー及び層状フィラーは、組成物の総質量に対して5質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して5質量%から70質量%の間、好ましくは10質量%から60質量%の間、より良好には20質量%から58質量%の間、更により良好には40%から55%の間の総含量で存在する。
【0161】
着色剤
着色剤又は色素は、顔料、真珠光沢剤、及び反射性粒子、並びにこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0162】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、真珠光沢剤を含まない。
【0163】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、顔料を含まない。
【0164】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の真珠光沢剤を含み、真珠光沢剤は、顔料の(総)含量より高い(総)質量含量で存在する。
【0165】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の顔料を含む。
【0166】
有利な一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して1質量%以上、特に2質量%から60質量%の間、より良好には、組成物の総質量に対して3%から50%の間、更により良好には5質量%から30質量%の間の総含量の着色剤を含む。
【0167】
着色剤及び粉体相は、着色剤の粉体相に対する質量比が、0.015〜0.5、好ましくは0.1〜0.2の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0168】
着色剤及び油相は、着色剤の油相に対する質量比が、0.01〜0.6、より良好には0.05〜0.5、更により良好には0.1〜0.4の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0169】
着色剤及び液体脂肪相は、着色剤の液体脂肪相に対する質量比が、0.01〜0.6、より良好には0.05〜0.5、更により良好には0.1〜0.4の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0170】
顔料
用語「顔料」とは、生理的媒体に不溶性であり、組成物を着色するためのものである、いずれかの形状の白色又は色付きの無機又は有機粒子であると理解すべきである。
【0171】
顔料は、白色又は色付きでよく、無機及び/又は有機でよい。
【0172】
無機顔料の中でも、二酸化チタン、場合により表面処理されている酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、また酸化亜鉛、酸化鉄(ブラック、イエロー、又はレッド)、又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物(chromium hydrate)、及びフェリックブルー(ferric blue)、並びに金属粉末、例えば、アルミニウム粉末及び銅粉末を挙げることができる。
【0173】
有機顔料は、以下の材料及びそれらの混合物から選択することができる。
- コチニールカルミン、
- アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料、又はフルオラン染料の有機顔料。
【0174】
有機顔料の中でも、特に、D&C Blue No.4、D&C Brown No.1、D&C Green No.5、D&C Green No.6、D&C Orange No.4、D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.6、D&C Red No.7、D&C Red No.17、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.30、D&C Red No.31、D&C Red No.33、D&C Red No.34、D&C Red No.36、D&C Violet No.2、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、D&C Yellow No.10、D&C Yellow No.11、FD&C Blue No.1、FD&C Green No.3、FD&C Red No.40、FD&C Yellow No.5、FD&C Yellow No.6の名称で知られているD&C認可顔料を挙げることができる。
【0175】
先に挙げた有機色素それぞれに相当する化学材料は、その内容が参照により本特許出願に援用される、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371〜386及び524〜528頁、The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association刊の中で挙げられている。
【0176】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して1質量%以上、例えば、組成物の総質量に対して2質量%から60質量%の間、より良好には、組成物の総質量に対して3%から50%の間、更により良好には5質量%から30質量%の間の総含量の顔料を含んでよい。
【0177】
顔料及び粉体相は、顔料の粉体相に対する質量比が、0.015〜0.5、好ましくは0.1〜0.2の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0178】
顔料及び油相は、着色剤の油相に対する質量比が、0.01〜0.6、より良好には0.05〜0.5、更により良好には0.1〜0.4の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0179】
顔料及び液体脂肪相は、顔料の液体脂肪相に対する質量比が、0.01〜0.6、より良好には0.05〜0.5、更により良好には0.1〜0.4の範囲になるようなそれぞれの総含量で組成物中に存在することが有利である。
【0180】
真珠光沢剤
用語「真珠光沢剤」とは、玉虫色に変化するものでも、そうでなくてもよく、特に、ある特定の軟体動物によってその殻の中で産生されるものでも、又は別法として、合成されるものでよく、光学干渉による着色効果を有する、いずれかの形状の色付きの粒子を意味すると理解すべきである。
【0181】
挙げることのできる真珠光沢剤の例には、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ等の真珠光沢顔料、及びオキシ塩化ビスマスを主体とする真珠光沢顔料が含まれる。真珠光沢剤は、その表面上に、金属酸化物及び/又は有機色素からなる少なくとも2つの連続層が重ねられている、マイカ粒子でもよい。
【0182】
真珠光沢剤は、より詳細には、イエロー、ピンク、レッド、ブロンズ、オレンジ系、ブラウン、ゴールド、及び/若しくはコパー系のカラー又はティントを有してよい。
【0183】
組成物に導入することのできる真珠光沢剤の実例として、特に、Engelhard社がBrilliant gold 212G (Timica)、Gold 222C (Cloisonne)、Sparkle gold (Timica)、Gold 4504 (Chromalite)、及びMonarch gold 233X (Cloisonne)の名称で販売するゴールドカラーの真珠光沢剤;特に、Merck社がBronze fine (17384) (Colorona)及びBronze (17353) (Colorona)の名称で、またEngelhard社がSuper bronze (Cloisonne)の名称で販売するブロンズ真珠光沢剤;特に、Engelhard社がOrange 363C (Cloisonne)及びOrange MCR 101 (Cosmica)の名称で、Merck社がPassion orange (Colorona)及びMatte orange (17449) (Microna)の名称で販売するオレンジ真珠光沢剤;特に、Engelhard社がNu-antique copper 340XB (Cloisonne)及びBrown CL4509 (Chromalite)の名称で販売するブラウン真珠光沢剤;特に、Engelhard社がCopper 340A (Timica)の名称で販売する、コパーティントを有する真珠光沢剤;特に、Merck社がSienna fine (17386) (Colorona)の名称で販売する、レッドティントを有する真珠光沢剤;特に、Engelhard社がYellow (4502) (Chromalite)の名称で販売する、イエローティントを有する真珠光沢剤;特に、Engelhard社がSunstone G012 (Gemtone)の名称で販売する、ゴールドティントを有するレッド真珠光沢剤;特に、Engelhard社がTan opale G005 (Gemtone)の名称で販売するピンク真珠光沢剤;特に、Engelhard社がNu antique bronze 240 AB (Timica)の名称で販売する、ゴールドティントを有するブラック真珠光沢剤;特に、Merck社がMatte blue (17433) (Microna)の名称で販売するブルー真珠光沢剤;特に、Merck社がXirona Silverの名称で販売する、シルバー系ティントを有するホワイト真珠光沢剤;及び特に、Merck社がIndian summer (Xirona)の名称で販売する、ゴールデングリーンピンキーオレンジ真珠光沢剤、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0184】
更に真珠光沢剤の例として、酸化チタンで被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げることができる。
【0185】
酸化チタンで被覆されたガラス基材を含む粒子は、特に、Toyal社がMetashine MC1080RYの名称で販売している。
【0186】
最後に、同じく挙げることのできる真珠光沢剤の例は、ポリエチレンテレフタレートフレーク、特に、Meadowbrook Inventions社がSilver 1P 0.004X0.004 (シルバー系フレーク)の名称で販売するものである。
【0187】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より優先的には5質量%以下の総含量の真珠光沢剤を含み、又はそれどころか、真珠光沢剤を含まない。
【0188】
このように低い含量の真珠光沢剤と共に提供され、又は真珠光沢剤を完全に欠いてさえいる、液体脂肪相の百分率の高い、本発明による組成物の実施形態はすべて、真珠光沢剤が、一般に、液体脂肪相の一部を吸収することにより、前記組成物のテクスチャーに寄与するものであるため、実施することがより難しい。
【0189】
反射性粒子
用語「反射性粒子」とは、大きさ、構造、特に、それをなす層の厚さ、その物理的及び化学的性質、並びに表面状態によって、入射光を反射することが可能である、粒子を意味する。この反射は、適切な場合、組成物又は混合物の表面において、後者がメイクアップされる支持体に適用されるとき、肉眼で見えるハイライトポイント、すなわち、きらめくように見えることによってその周囲と対照して引き立つ、より光を発するポイントを作り出すのに十分な強度を有してよい。
【0190】
反射性粒子は、合わせられる着色剤によって生じる呈色効果が有意に変更されないように、より詳細には、この効果がカラーイールドに関して最適になるように選択することができる。反射性粒子は、より詳細には、イエロー、ピンク、レッド、ブロンズ、オレンジ系、ブラウン、ゴールド、及び/若しくはコパー系のカラー又はティントを有してよい。
【0191】
こうした粒子は、変化に富む形態を呈することができ、特に小平板又は球体形態、特に球状の形態にすることができる。
【0192】
反射性粒子は、その形態が何であれ、多層構造を示すものでもそうでなくてもよく、多層構造の場合では、例えば、特に反射性材料である、均等な厚さの、少なくとも1つの層を呈するものでよい。
【0193】
反射性粒子は、多層構造を示さないとき、例えば、金属酸化物、特に、合成によって得られた酸化チタン又は酸化鉄で構成されていてよい。
【0194】
反射性粒子は、多層構造を示すとき、例えば、反射性材料、特に、少なくとも1種の金属又は金属材料の少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、天然又は合成基材、特に合成基材を含んでよい。基材は、1種又は複数の有機及び/又は無機材料製でよい。
【0195】
より詳細には、基材は、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、シリケート、特にアルミノシリケート及びボロシリケート、合成マイカ、並びにこれらの混合物から選択することができ、この記載は限定的でない。
【0196】
反射性材料は、金属又は金属材料の層を含んでよい。
【0197】
反射性粒子は、特に、文献特開平09-188830、特開平10-158450、特開平10-158541、特開平07-258460、及び特開平05-017710に記載されている。
【0198】
更に、金属の層で被覆された無機基材を含む反射性粒子の例として、銀で被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げることができる。
【0199】
小平板形態の、銀で被覆されたガラス基材を含む粒子は、Toyal社がMicroglass Metashine REFSX 2025 PSの名称で販売している。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基材を含む粒子は、この同じ会社がCrystal Star GF 550及びGF 2525の名称で販売している。
【0200】
銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、マグネシウム、鋼鉄、青銅、チタン等の金属基材を含み、前記基材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ケイ素、及びこれらの混合物等の、少なくとも1種の金属酸化物の少なくとも1つの層で被覆されている、粒子も使用することができる。
【0201】
挙げることのできる例には、Eckart社がVisionaireの名称で販売する、SiO2で被覆されたアルミニウム粉末、青銅粉末、又は銅粉末が含まれる。
【0202】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して10質量%以下、好ましくは2質量%未満の総含量の反射性粒子しか含まず、又はそれどころか、反射性粒子を含まない。
【0203】
着色剤は、酸化鉄と酸化チタンの混合物等の無機顔料を含むことが好ましい。
【0204】
油相
本発明による固体化粧用組成物は、組成物の総質量に対して20質量%以上、より良好には25質量%以上、より好ましくは28質量%以上、更により好ましくは30質量%以上の含量、有利には、25質量%から50質量%の間、より良好には28〜42質量%の含量で存在する、少なくとも1種の油相を含む。
【0205】
この油相は、前記粉体相において結合剤として働くことが有利である。
【0206】
油相は、1種又は複数の油を含む。
【0207】
油相は、少なくとも1種の不揮発性油を含むことが好ましく、不揮発性油の混合物からなることが好ましい。
【0208】
用語「油」は、室温(25℃)かつ大気圧(760mmHg)で液体である、水に不混和性の非水性化合物を意味するものである。
【0209】
用語「不揮発性油」は、室温及び大気圧で皮膚又はケラチン線維上に残る油を意味すると理解される。より詳細には、不揮発性油は、厳密に0.01mg/cm2/分未満の蒸発速度を示す。
【0210】
油相、及び存在するとき、疎水性皮膜形成性ポリマーが、本発明による組成物の液体脂肪相を形成することが好ましい。
【0211】
本発明による油相は、少なくとも1種の炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油を含むことが好ましい。
【0212】
本発明による油相は、少なくとも1種のシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油を含むことが好ましい。
【0213】
本発明による油相は、少なくとも1種の炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油と、少なくとも1種のシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油とを含むことが好ましい。
【0214】
炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油、及びシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油は、炭化水素系油、好ましくは不揮発性炭化水素系油のシリコーン油、好ましくは不揮発性シリコーン油に対する質量比が、好ましくは1以上、好ましくは2以上、有利には1.2から10の間、より良好には1.5から6の間、更により良好には1.6から3の間、更により優先的には1.8から2.5の間になるようなそれぞれの総含量に従って存在する。
【0215】
不揮発性炭化水素系油
本発明による油相は、以下のものから選択される1種又は複数の不揮発性炭化水素系油を含むことが有利である。
- 植物性の炭化水素系油、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリン酸フィトステアリル、グルタミン酸ラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリル等のフィトステアリルエステル類;特に、その脂肪酸の鎖長がC18〜C36の範囲でよく、その油は、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の可能性がある、グリセロールの脂肪酸エステルから生成されるトリグリセリド類。こうした油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、シア油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキン油、ミレット油、大麦油、キノア油、ライ麦油、クワイ油、トケイソウ油、シアバター、アロエ油、甘扁桃油、桃核油、ラッカセイ油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、ツバキ油、ニンジン油、ベニバナ油、麻油、菜種油、綿実油、ヤシ油、ゼニアオイ種子油、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、黒スグリ種子油、キーウィ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、スクウォッシュ油、パンプキン油、キノア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、及びスイカ油、並びにこれらの混合物、又は別法として、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド類、例えば、特に、Stearineries Dubois社が販売するもの、又は特に、Dynamit Nobel社がMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の名称で販売するものでよい。
- 10〜40個の炭素原子を含有する合成エーテル。
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油[式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖状又は分枝状脂肪酸の残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含有する、特に分枝状である、炭化水素系鎖を表し、但しR1+R2が10以上であることを条件とする]。エステルは、特に、脂肪酸とアルコールのエステル類、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル類、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、オクチルドデシステアロイルステアレート(octyldodecy stearoyl stearate)、ヒドロキシル化エステル類、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル類、特にヘプタン酸イソステアリル、アルコール又はポリアルコールのオクタン酸エステル類、デカン酸エステル類、又はリシノール酸エステル類、例えば、プロピレングリコールジオクタン酸エステル、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、安息香酸アルキル類、特に安息香酸C12〜C15アルキル類、ポリエチレングリコールジヘプタン酸エステル、プロピレングリコール2-ジエチルヘキサン酸エステル、及びこれらの混合物、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル類、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル類、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル類、例えば、乳酸イソステアリル、及びリンゴ酸ジイソステアリルから選択することができる。
- ポリオールエステル類及びペンタエリトリトールエステル類、例えば、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリトリチル。
- ジオール二量体と二酸二量体のエステル。
- ジオール二量体と二酸二量体のコポリマー及びそのエステル、例えば、ジリノレイルジオール二量体/ジリノール酸二量体コポリマー及びそのエステル。
- ポリオールと二酸二量体のコポリマー及びそのエステル。
- 12〜26個の炭素原子を含有する、分枝状かつ/又は不飽和の炭素主体鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール類、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、及び2-ウンデシルペンタデカノール。
- C12〜C22高級脂肪酸類、例えば、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸、並びにこれらの混合物。
- 2本のアルキル鎖が同一又は異なる可能性のある、炭酸ジアルキル類、例えば、炭酸ジカプリリル。
- モル質量が約400g/molから約10000g/molの間、特に約650〜約10000g/mol、特に約750〜約7500g/mol、より特段には約1000〜約5000g/molの範囲である油。特に、単独で、又は混合物として、(i)親油性ポリマー類、例えば、例えば水素添加された、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリデセン及び水添ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー類、例えば、ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、及びポリビニルピロリドン(PVP)コポリマー類、例えば、C2〜C30アルケン、例えばC3〜C22アルケンのコポリマー、並びにこれらの組合せ、(ii)35〜70個の範囲の総炭素数を含んでいる直鎖状脂肪酸エステル類、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリトリチル、(iii)ヒドロキシル化エステル類、例えば、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、(iv)芳香族エステル類、例えば、トリメリト酸トリデシル、(v)脂肪アルコール又は分枝状C24〜C28脂肪酸のエステル類、例えば、特許US6491927に記載のもの、及びペンタエリトリトールエステル類、特に、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリトリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、2-トリデシルテトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル、テトライソステアリン酸ポリ(2-グリセリル)、又は2-テトラデシルテトラデカン酸ペンタエリトリチル、(vi)ジオール二量体エステル類及びポリエステル類、例えば、ジオール二量体と脂肪酸のエステル、及びジオール二量体と二酸のエステルを挙げることができる。
【0216】
有利な一実施形態によれば、本発明による油相は、式R1COOR2の油[式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖状又は分枝状脂肪酸の残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含有する、特に分枝状である、炭化水素系鎖を表し、但しR1+R2が10以上であることを条件とする]から選択される少なくとも1種の合成エステルから選択される、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油を含む。このような不揮発性炭化水素系油の総含量は、組成物の総質量に対して10〜40質量%、好ましくは、組成物の総質量に対して12〜35質量%、より良好には15〜30質量%に相当することが好ましい。
【0217】
好ましい一実施形態によれば、油相は、以下の式(A)の安息香酸C12〜C15アルキルから選択される、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油を含むことが好ましく、
【0218】
【化1】
【0219】
式(A)において、Rは、C12〜C15アルキル基である。
【0220】
この不揮発性油は、安息香酸の、1種又は複数のC12〜C15アルコールとのエステル化から得られる。
【0221】
安息香酸C12〜C15アルキルは、単独で、又は好ましくは、1種又は複数の追加の不揮発性炭化水素系油又はシリコーン油及びこれらの混合物、より優先的には少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との混合物として、本発明による組成物中に提供することができる。
【0222】
前記組成物中の不揮発性炭化水素系油、好ましくは安息香酸C12〜C15アルキルの含量は、組成物の総質量に対して10〜40質量%、特に15〜35質量%、より良好には20〜30質量%の範囲でよい。
【0223】
不揮発性シリコーン油
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明による油相は、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含む。
【0224】
本発明による油相は、式R1COOR2の油[式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖状又は分枝状脂肪酸の残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含有する、特に分枝状である、炭化水素系鎖を表し、但しR1+R2が10以上であることを条件とする]から選択される、少なくとも1種の合成エステルから選択される、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油を、1種又は複数の不揮発性シリコーン油との混合物として含むことが有利である。
【0225】
油相は、安息香酸C12〜C15アルキルから選択されることが有利である、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油を、1種又は複数の不揮発性シリコーン油との混合物として含むことが優先される。
【0226】
本発明で使用することのできる不揮発性シリコーン油は、25℃での粘度が8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)以上800000cSt未満、好ましくは10cStから600000cStの間であるシリコーン油から選択することができる。このシリコーンの粘度は、ASTM D-445規格に従って測定することができる。
【0227】
こうしたシリコーン油の中で、2タイプの油を、フェニルを含んでいるか否かに従って区別することができる。別の方法において、本発明による組成物は、直鎖状シリコーン油及びフェニルシリコーン油並びにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含むことが有利である。
【0228】
挙げることのできる、こうした不揮発性直鎖状シリコーン油の代表例には、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン;及びまた、場合によりフッ素化されている脂肪族基、又はヒドロキシル、チオール、及び/若しくはアミン基等の官能基で改質されたシリコーンが含まれる。
【0229】
不揮発性非フェニルシリコーン油としては、
- ペンダントである及び/又はシリコーン鎖の末端にある、アルキル又はアルコキシ基を含み、こうした基がそれぞれ2〜24個の炭素原子を含有する、PDMS、
- 脂肪族基、又はヒドロキシル、チオール、及び/若しくはアミン基等の官能基を含むPDMS、
- フッ素化された基で場合により置換されているポリアルキルメチルシロキサン、例えば、ポリメチルトリフルオロプロピルジメチルシロキサン、
- ヒドロキシル、チオール、及び/又はアミン基等の官能基で置換されているポリアルキルメチルシロキサン、
- 脂肪酸、脂肪アルコール、又はポリオキシアルキレン、及びこれらの混合物によって改質されたポリシロキサン
を挙げることができる。
【0230】
特定の一実施形態によれば、油相は、少なくとも1種の直鎖状非フェニルシリコーン油を含む。
【0231】
直鎖状非フェニルシリコーン油は、特に、式:
【0232】
【化2】
【0233】
のシリコーンから選択することができ、
式中、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別個に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別個に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、ビニル基、アミン基、又はヒドロキシル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、ヒドロキシル基、又はアミン基であり、
n及びpは、流体化合物を伴うように選択される整数である。
【0234】
本発明に従って使用することのできる不揮発性シリコーン油としては、
- R1〜R6及びX置換基がメチル基を表し、p及びnが、粘度を500000cStにするようなものであるシリコーン油、例えば、General Electric社がSE30の名称で販売する製品、Wacker社がAK 500000の名称で販売する製品、Bluestar社がMirasil DM 500000の名称で販売する製品、及びDow Corning社がDow Corning 200 Fluid 500000cStの名称で販売する製品、
- R1〜R6及びX置換基がメチル基を表し、p及びnが、粘度を60000cStにするようなものであるシリコーン油、例えば、Dow Corning社がDow Corning 200 Fluid 60000CSの名称で販売する製品、及びWacker社がWacker Belsil DM 60000の名称で販売する製品、
- R1〜R6及びX置換基がメチル基を表し、p及びnが、粘度を350cStにするようなものであるシリコーン油、例えば、Dow Corning社がDow Corning 200 Fluid 350CSの名称で販売する製品、
- R1〜R6置換基がメチル基を表し、X基がヒドロキシル基を表し、p及びnが、粘度を700cStにするようなものであるシリコーン油、例えば、Momentive社がBaysilone Fluid T0.7の名称で販売する製品
を挙げることができる。
【0235】
特定の一実施形態によれば、油相は、ポリジメチルシロキサン、特に、粘度が10cStから20cStの間であるものから選択される、少なくとも1種の直鎖状不揮発性油を含む。
【0236】
好ましい一変形実施形態によれば、油相は、少なくとも1種のフェニルシリコーン油を含む。
【0237】
挙げることのできる不揮発性フェニルシリコーン油の代表例には、以下のものが含まれる。
- 次式:
【0238】
【化3】
【0239】
に対応するフェニルシリコーン油[式(I)において、R基は、互いに独立に、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基は、フェニルを表す]。この式では、フェニルシリコーン油は、少なくとも3つ、例えば、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのフェニル基を含むことが好ましい。
【0240】
- 次式:
【0241】
【化4】
【0242】
に対応するフェニルシリコーン油[式(II)において、R基は、互いに独立に、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基は、フェニルを表す]。この式では、前記オルガノポリシロキサンは、少なくとも3つ、例えば、少なくとも4つ、又は少なくとも5つのフェニル基を含むことが好ましい。先に記載したフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を使用してもよい。挙げることのできる例には、トリフェニル、テトラフェニル、又はペンタフェニルオルガノポリシロキサン類の混合物が含まれる。
【0243】
- 次式:
【0244】
【化5】
【0245】
に対応するフェニルシリコーン油[式(III)において、Meは、メチルを表し、Phは、フェニルを表す]。このようなフェニルシリコーンは、特に、Dow Corning社が、PH-1555 HRI又は他にDow Corning 555 Cosmetic Fluid(化学名:1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)の表示で製造している。Dow Corning 554 Cosmetic Fluidの表示を使用してもよい。
【0246】
- 次式:
【0247】
【化6】
【0248】
に対応するフェニルシリコーン油[式(IV)において、Meは、メチルを表し、yは、1から1000の間であり、Xは、-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す]。
【0249】
- 以下の式(V):
【0250】
【化7】
【0251】
に対応するフェニルシリコーン油[式(V)において、Meは、メチルであり、Phは、フェニルであり、OR'は、-OSiMe3基を表し、yは、0であるか、又は1から1000の間の範囲であり、zは、1から1000の間の範囲であり、化合物(V)が不揮発性油になるようになっている]。
【0252】
第1の実施形態によれば、yは、1から1000の間の範囲である。例えば、特にWacker社がBelsil PDM 1000の表示で販売する、トリメチルシロキシフェニルジメチコンを使用することができる。
【0253】
第2の実施形態によれば、yは、0に等しい。例えば、特にDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの表示で販売されている、フェニルトリメチルシロキシトリシロキサンを使用することができる。
【0254】
- 以下の式(VI)に対応するフェニルシリコーン油及びその混合物:
【0255】
【化8】
【0256】
[式(VI)において、
- R1〜R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状、又は分枝状C1〜C30炭化水素系基であり、
- m、n、p及びqは、互いに独立に、0から900の間の整数であり、但し、m+n+qの合計は、0以外である]。
【0257】
m+n+qの合計は、1から100の間であることが好ましい。m+n+p+qの合計は、1から900の間、更により良好には1から800の間であることが好ましい。qは、0に等しいことが好ましい。
【0258】
- 以下の式(VII)に対応するフェニルシリコーン油及びその混合物:
【0259】
【化9】
【0260】
[式(VII)において、
- R1〜R6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状、又は分枝状C1〜C30炭化水素系基であり、
- m、n及びpは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、n+mの合計は、1から100の間である]。
【0261】
R1〜R6は、互いに独立に、飽和した直鎖状又は分枝状C1〜C30、特にC1〜C12炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基を表すことが好ましい。
【0262】
R1〜R6は、特に、同一でよく、加えて、メチル基でよい。
【0263】
好ましくは、式(VII)において、m=1若しくは2若しくは3、かつ/又はn=0、及び/又はp=0若しくは1が適用されてよい。
【0264】
- 式(VIII)に対応するフェニルシリコーン油及びその混合物:
【0265】
【化10】
【0266】
[式(VIII)において、
- Rは、C1〜C30アルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、
- nは、0〜100の範囲の整数であり、
- mは、0〜100の範囲の整数であり、但し、n+mの合計は、1〜100の範囲である]。
【0267】
特に、式(VIII)のR基、及び先に定義したR1〜R10は、それぞれ、飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝状アルキル基、特にC2〜C20、特にC3〜C16、より特段にはC4〜C10、又は単環式若しくは多環式C6〜C14、特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基を表すものでよく、そのアリール及びアルキル残基は、先に定義したとおりである。
【0268】
好ましくは、式(VIII)のR及びR1〜R10は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、デシル、ドデシル、若しくはオクタデシル基、又は別法として、フェニル、トリル、ベンジル、若しくはフェネチル基を表すものでよい。
【0269】
一実施形態によれば、25℃での粘度が5mm2/sから1500mm2/sの間(すなわち、5〜1500cSt)である、好ましくは、粘度が5mm2/sから1000mm2/sの間(すなわち、5〜1000cSt)である、式(VIII)のフェニルシリコーン油を使用することができる。
【0270】
式(VIII)のフェニルシリコーン油としては、特に、Dow Corning社のDC556 (22.5cSt)、Rhone-Poulenc社のSilbione 70663V30油(28cSt)等のフェニルトリメチコン類、又はWacker社のBelsil油、特にBelsil PDM1000 (1000cSt)、Belsil PDM 200 (200cSt)、及びBelsil PDM 20 (20cSt)等のジフェニルジメチコンを使用することが可能である。括弧内の値は、25℃での粘度を表す。
【0271】
- 次式に対応するフェニルシリコーン油及びその混合物:
【0272】
【化11】
【0273】
[式(IX)において、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別個に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別個に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、又はアリール基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、ヒドロキシル基、又はビニル基であり、
n及びpは、200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満の質量平均分子量が油に付与されるように選択される]。
【0274】
本発明に最も特段に適するフェニルシリコーンは、上述の式(II)、特に式(III)、(V)、及び(VIII)に対応するものである。
【0275】
より詳細には、フェニルシリコーンは、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、並びにこれらの混合物から選択される。
【0276】
本発明による不揮発性フェニルシリコーン油の質量平均分子量は、500〜10000g/molの範囲であることが好ましい。
【0277】
油相は、ポリジメチルシロキサン、式(II)、特に式(III)、(V)、及び(VIII)、特に(V)のフェニルシリコーン、より詳細にはフェニルトリメチルシロキシトリシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含むことが好ましい。こうした油は、粘度が10cStから20cStの間であることが好ましい。
【0278】
前記油相は、不揮発性の直鎖状又はフェニル、好ましくはフェニルシリコーン油から選択される、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含むことが好ましく、このような不揮発性シリコーン油の総含量は、組成物の総質量に対して1〜20質量%、好ましくは、組成物の総質量に対して2〜15質量%、より良好には4〜13質量%に相当することが好ましい。
【0279】
揮発性油
油相は、場合により、少なくとも1種の揮発性油を含んでもよい。
【0280】
用語「揮発性油」とは、室温かつ大気圧において、皮膚と接触すると1時間足らずで蒸発しうる油(又は非水性媒体)を意味するものである。揮発性油は、室温で液体である揮発性化粧用油である。より詳細には、揮発性油は、境界を含めて0.01mg/cm2/分から200mg/cm2/分の間の蒸発速度を示す。
【0281】
この蒸発速度を測定するために、温度25℃に温度調節され、相対湿度50%に湿度調節されている、およそ0.3m3の大型チャンバーにおいて、天秤に載せた直径7cmの結晶皿に、試験する油又は油混合物15gを投入する。液体は、撹拌せずに自由に蒸発させ、その間、前記油又は前記混合物を含有する結晶皿の直上に置かれ、ブレードが、結晶皿の方へ向けられ、結晶皿の底を基準にして20cmの距離にある、送風機(Papst-Motoren、8550 Nの表示、毎分2700回転で回転する)によって換気を行う。結晶皿に残存する油の質量を一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位表面積(cm2)あたり、単位時間(分)あたりの蒸発した油のmgで表示する。
【0282】
この揮発性油は、炭化水素系油、シリコーン油、又はフルオロ油(fluoro oil)でよい。炭化水素系油であることが好ましい。
【0283】
用語「炭化水素系油」とは、水素原子及び炭素原子を主として含んでいる油を意味するものである。
【0284】
用語「シリコーン油」とは、少なくとも1個のケイ素原子を含有する、特にSi-O基を含んでいる油を意味するものである。一実施形態によれば、前記組成物は、組成物の総質量に対して10質量%未満、より良好には5質量%未満の不揮発性シリコーン油しか含まず、又はそれどころか、シリコーン油を含まない。
【0285】
用語「フルオロ油」とは、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味するものである。
【0286】
油は、例えば、ヒドロキシル又は酸ラジカルの形態で、酸素、窒素、硫黄、及び/又はリン原子を場合により含んでもよい。
【0287】
揮発性油は、8〜16個の炭素原子を含有する炭化水素系油、特にC8〜C16分枝状アルカン(イソパラフィン類としても知られる)、例えば、イソドデカン、イソデカン、及びイソヘキサデカンから選択することができる。
【0288】
揮発性炭化水素系油は、7〜17個の炭素原子、特に9〜15個の炭素原子、より特段には11〜13個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンでもよい。特に、n-ノナデカン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン、及びn-ヘキサデカン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0289】
油相は、揮発性油を含まないことが好ましい。そのように揮発性油が存在しないことにより、適切な場合は、前記組成物のための完璧に漏れない調整アセンブリを省くことが可能になる。
【0290】
追加の揮発性溶媒
先に述べたとおりの揮発性溶媒又は揮発性油は、懸濁液を生成する準備のために使用することができる。この溶媒は、化粧用組成物中に残して置くためのものでなく、前記組成物を製造する少なくとも1工程の間にただ使用されるだけであるので、追加と記載する。
【0291】
したがって、このような追加の揮発性溶媒は、吸引及び/又は加熱によって、前記組成物から除去されることが有利である。
【0292】
このような追加の揮発性溶媒は、8〜16個の炭素原子を含有する炭化水素系油、特にC8〜C16分枝状アルカン(イソパラフィン類としても知られる)、例えば、イソドデカン、イソデカン、及びイソヘキサデカンから選択することのできる揮発性油から選択されることが好ましい。
【0293】
このような追加の揮発性溶媒は、例えば、調製される組成物100gあたり20gから50gの間のイソドデカンが加えられるような比率に従って導入することができる。
【0294】
疎水性皮膜形成性ポリマー
本発明の目的では、用語「ポリマー」とは、1種又は複数の単位(こうした単位は、モノマーとして知られる化合物から導かれる)の繰返しに相当する化合物を意味するものである。こうした単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
【0295】
本発明の目的では、用語「疎水性皮膜形成性ポリマー」とは、水に対して親和性をもたず、この点において、水性媒体の溶質の形態では製剤に向いていない、皮膜形成性ポリマーを意味するものである。特に、用語「疎水性ポリマー」は、25℃での水への溶解度が1質量%未満であるポリマーを意味するものである。
【0296】
用語「皮膜形成性」ポリマーとは、それだけで、又は皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質上に、巨視的に切れ目のない皮膜、好ましくは粘着性皮膜、より良好には、例えば、前記皮膜を、非粘着性表面、例えばTeflon被覆又はシリコーン被覆された表面に流すことにより調製するとき、前記皮膜が、分離可能であり、分離の際に操作可能となりうるような粘着性及び機械的性質を有する皮膜を形成しうる、ポリマーを意味するものである。
【0297】
好ましい実施形態では、疎水性皮膜形成性ポリマーは、次のものを含む群から選択されるポリマーである。
- 有機溶媒媒体に可溶性である皮膜形成性ポリマー、特に脂溶性ポリマー。これは、ポリマーが、有機媒体に可溶性又は混和性であり、媒体に混ぜられるとき、単一の均質な相を形成することを意味する。
【0298】
- 有機溶媒媒体に分散性である、すなわち、有機媒体において不溶性相を形成し、この媒体に一度混ざると、安定及び/又は適合したままである、皮膜形成性ポリマー。特に、このようなポリマーは、ポリマー粒子の非水性分散液、好ましくはシリコーン油又は炭化水素系油分散液の形態でよく、一実施形態では、非水性ポリマー分散液は、少なくとも1種の安定剤でその表面が安定化されているポリマー粒子を含み、こうした非水性分散液は、多くの場合、NADと呼ばれる。
【0299】
- ポリマー粒子の水性分散液の形態である、すなわち、水中に不溶性相を形成し、一度水に混ざると安定及び/又は適合したままであり、ポリマー粒子は、少なくとも1種の安定剤でその表面が安定化されていることもありうる、皮膜形成性ポリマー。こうしたポリマー粒子は、多くの場合、「ラテックス」と呼ばれ、この場合では、組成物は、水相を含まなければならない。
【0300】
疎水性皮膜形成性ポリマーとして、特に、エチレン単位を含む化合物のホモポリマー及びコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、ニトロセルロース等のセルロース系ポリマー、シリコーンポリマー、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンポリアミド;ポリシロキサンを含んだ、モノマーでグラフトされた非シリコーン有機主鎖を有するポリマー;ポリアミドポリマー及びコポリマー、ポリイソプレン、少なくとも1つのスチレン基を含む少なくとも1つのブロックと、少なくとも1つのオレフィンを有する少なくとも1つのブロックとを含む炭化水素系ブロックコポリマーを挙げることができる。
【0301】
皮膜形成性ポリマーは、少なくとも1つのスチレン基を有するブロックと、少なくとも1つのオレフィンを有する少なくとも1つのブロックとを含む、非晶質であることが好ましい、炭化水素系ブロックコポリマーから選択されることが好ましい。
【0302】
本発明による化粧用組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%以上、特に0.5質量%以上、好ましくは、組成物の総質量に対して0.8質量%から10質量%の間、より良好には、組成物の総質量に対して1質量%から8質量%の間の(総)含量の疎水性皮膜形成性ポリマー、好ましくは炭化水素系ブロックコポリマーを含むことが好ましい。
【0303】
疎水性皮膜形成性ポリマー及び液体脂肪相は、疎水性皮膜形成性ポリマーの油相に対する質量比が、2/98〜30/70、5/95〜20/80、10/90〜25/75の範囲になるようなそれぞれの総含量で存在することが有利である。
【0304】
本発明に格別に適する疎水性皮膜形成性ポリマーとして、有利には、以下のものが挙げられる。
- ポリアミドシリコーンブロックポリマー、
- ブロックエチレン系ポリマー、
- 少なくとも1種のカルボシロキサンデンドリマー誘導体を含むビニルポリマー、
- カルボキシレート基及びポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー、
- シリコーン樹脂(T樹脂、MQ樹脂)、
- ポリマー粒子の非水性分散液の形態の脂質分散性(lipodispersible)ポリマー、
- 少なくとも1つのスチレン基を有するブロックと、少なくとも1つのオレフィンを有する少なくとも1つのブロックとを含む、非晶質であることが好ましい、炭化水素系ブロックコポリマー、
- 及びこれらの混合物。
【0305】
シリコーン樹脂
一変形実施形態によれば、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成性ポリマーとして、少なくとも1種のシリコーン樹脂を含んでよい。
【0306】
より一般には、用語「樹脂」とは、構造が三次元である化合物を意味するものである。「シリコーン樹脂」は、「シロキサン樹脂」とも呼ばれる。したがって、本発明の目的では、ポリジメチルシロキサンは、シリコーン樹脂でない。
【0307】
シリコーン樹脂(シロキサン樹脂としても知られる)の命名法は、樹脂を、含まれる種々のシロキサンモノマー単位に応じて記述し、「MDTQ」の文字それぞれによって、単位のタイプが特徴付けられる、「MDTQ」の名称で知られている。
【0308】
Mの文字は、式R1R2R3SiO1/2の一官能価単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマーにおいて、1個の酸素原子にしか結合していない。
【0309】
Dの文字は、ケイ素原子が2個の酸素原子に結合している、二官能価単位R1R2SiO2/2を意味する。
【0310】
Tの文字は、式R1SiO3/2の三官能価単位を表す。
【0311】
このような樹脂は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第15巻、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1989)、265〜270頁、並びにUS2676182、US3627851、US3772247、US5248739又はUS5082706、US5319040、US5302685、及びUS4935484に記載されている。
【0312】
先に定義した単位M、D及びTにおいて、R、すなわちR1及びR2は、1〜10個の炭素原子を含有する炭化水素系基(特にアルキル)、フェニル基、フェニルアルキル基、又は他にヒドロキシル基を表す。
【0313】
最後に、Qの文字は、ケイ素原子が、ポリマーの残部にそれら自身で結合している4個の酸素原子に結合している、四官能価単位SiO4/2を意味する。
【0314】
異なる特性を有する種々のシリコーン樹脂を、こうした異なる単位から得ることができ、こうしたポリマーの特性は、モノマー(又は単位)のタイプ、R基の性質及び数、ポリマー鎖の長さ、分枝の程度、及びペンダント鎖の大きさに応じて様々となる。
【0315】
本発明による組成物中に使用することのできるシリコーン樹脂として、例えば、MQ型、T型、又はMQT型のシリコーン樹脂を使用することができる。
【0316】
MQ樹脂:
MQ型のシリコーン樹脂の例として、式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)y(MQ単位)[式中、x及びyは、50〜80の範囲の整数であり、その結果、基R1は、先に定義したとおりの基を表し、好ましくは、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、又はヒドロキシル基、好ましくはメチル基である]のアルキルシロキシシリケートを挙げることができる。
【0317】
- トリメチルシロキシシリケート型のMQ型の固体シリコーン樹脂の例として、General Electric社がSR1000の表示で、Wacker社がTMS 803の表示で、信越化学工業株式会社がKF-7312Jの名称で、又はDow Corning社がDC 749若しくはDC 593で販売するものを挙げることができる。
【0318】
MQシロキシシリケート単位を含むシリコーン樹脂としては、フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート(General Electric社が販売するSilshine 151)等のフェニルアルキルシロキシシリケート樹脂も挙げることができる。このような樹脂の調製は、特に、特許US5817302に記載されている。
【0319】
T樹脂:
挙げることのできる、T型のシリコーン樹脂の例には、式(RSiO3/2)x(T単位)[式中、xは、100より大きく、その結果、R基は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基である]のポリシルセスキオキサンが含まれ、前記ポリシルセスキオキサンは、Si-OH末端基を含むこともありうる。
【0320】
好ましく使用することのできるポリメチルシルセスキオキサン樹脂は、Rがメチル基を表すもの、例えば、
- Wacker社がResin MKの表示で販売するもの、例えば、Belsil PMS MK、すなわち、CH3SiO3/2繰返し単位(T単位)を含み、1質量%までの(CH3)2SiO2/2単位(D単位)も含んでよく、平均分子量が約10000g/molであるポリマー、又は
- 式CH3SiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を有する、KR220Lの表示、98%のT単位及び2%のDジメチル単位を含み、Si-OH末端基を有する、KR242Aの表示、又は別法として、88%のT単位及び12%のDジメチル単位を含み、Si-OH末端基を有する、KR251の表示で、信越化学工業株式会社が販売するもの
である。
【0321】
MQT樹脂:
特に知られている、MQT単位を含む樹脂は、文献US5110890で挙げられている。
【0322】
MQT型の樹脂の好ましい形態は、MQT-プロピル(MQTprとしても知られる)樹脂である。本発明による組成物中に使用することのできる、このような樹脂は、その内容が参照により本明細書に援用される、特許出願WO2005/075542において記載及び調製されているものである。
【0323】
MQ-T-プロピル樹脂は、
(i)(R13SiO1/2)a
(ii)(R22SiO2/2)b
(iii)(R3SiO3/2)c及び
(iv)(SiO4/2)d
の単位を含むことが好ましく、
R1、R2及びR3は、独立に、1〜10個の炭素原子を含有する炭化水素系基(特にアルキル)、フェニル基、フェニルアルキル基、又は他にヒドロキシル基、好ましくは、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、又はフェニル基を表し、
aは、0.05から0.5の間であり、
bは、0から0.3の間であり、
cは、0より大きく、
dは、0.05から0.6の間であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdは、モル分率であり、
但しシロキサン樹脂の40mol%を越えるR3基がプロピル基であることを条件とする。
【0324】
好ましくは、シロキサン樹脂は、
(i)(R13SiO1/2)a
(iii)(R3SiO3/2)c及び
(iv)(SiO4/2)d
の単位を有し、
R1及びR3は、独立に、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、R1は、メチル基であることが好ましく、R3は、プロピル基であることが好ましく、
aは、0.05から0.5の間、好ましくは0.15から0.4の間であり、
cは、0より大きい、好ましくは0.15から0.4の間であり、
dは、0.05から0.6の間、好ましくは0.2から0.6の間、又は別法として0.2から0.55の間であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdは、モル分率であり、
但しシロキサン樹脂の40mol%を越えるR3基がプロピル基であることを条件とする。
【0325】
本発明に従って使用することのできるシロキサン樹脂は、
A)少なくとも80mol%の(R13SiO1/2)a及び(SiO4/2)d単位を含み、
R1は、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基を表し、
a及びdは、0より大きく、
a/dの比は、0.5から1.5の間である、MQ樹脂と、
B)少なくとも80mol%の(R3SiO3/2)c単位を含み、
R3は、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基を表し、
cは、0より大きく、
但しR3基の少なくとも40mol%がプロピル基であることを条件とする、T-プロピル樹脂
との反応を含む方法によって得ることができ、
A/Bの質量比は、95/5から15/85の間であり、好ましくは、A/Bの質量比は、30/70である。
【0326】
A/Bの質量比は、95/5から15/85の間であることが有利である。A/Bの比は、70/30以下であることが好ましい。こうした好ましい比では、付着物中のMQ樹脂の硬質粒子がしみ出ないために、快適な付着が可能になることが証明されている。
【0327】
したがって、シリコーン樹脂は、
a)特に、(i)式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)y[式中、x及びyは、50〜80の範囲の整数であり、その結果、R1基は、1〜10個の炭素原子を含有する炭化水素系基、フェニル基、フェニルアルキル基、又はヒドロキシル基を表し、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチル基であることが好ましい]の、トリメチルシロキシシリケートでよい、アルキルシロキシシリケート、及び(ii)フェニルアルキルシロキシシリケート樹脂、例えば、フェニルプロピルジメチルシロキシシリケートから選択される、MQ型の樹脂、及び/又は
b)特に、式(RSiO3/2)x[式中、xは、100より大きく、R基は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、メチル基である]のポリシルセスキオキサンから選択され、前記ポリシルセスキオキサンは、Si-OH末端基を含むこともありうる、T型の樹脂、及び/又は
c)(i)(R13SiO1/2)a、(ii)(R22SiO2/2)b、(iii)(R3SiO3/2)c、及び(iv)(SiO4/2)dの単位を含んでよく、
R1、R2及びR3は、独立に、炭化水素系基、特に、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル、フェニル基、フェニルアルキル基、又は他にヒドロキシル基、好ましくは、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基、又はフェニル基を表し、
aは、0.05から0.5の間であり、
bは、0から0.3の間であり、
cは、0より大きく、
dは、0.05から0.6の間であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdは、モル分率であり、
但しシロキサン樹脂の40mol%を越えるR3基がプロピル基であることを条件とする
MQT型、特にMQT-プロピル型の樹脂、
を含む群から選択されることが好ましい。
【0328】
NADとしても知られる、ポリマー粒子の非水性分散液の形態の脂質分散性皮膜形成性ポリマー
別の変形実施形態によれば、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成性ポリマーとして、NADとしても知られる、ポリマー粒子の非水性分散液の形態の脂質分散性皮膜形成性ポリマーから選択される、少なくとも1種のポリマーを含んでよい。
【0329】
使用することのできる、疎水性皮膜形成性ポリマーの非水性分散液としては、
- 特に、文献WO04/055081に記載のとおりの、粒子の表面における追加安定剤なしで分散させたエチレン系ポリマー粒子の形態、
- 又は表面を安定化した粒子を液体脂肪相に分散させた形態
のいずれかの、グラフトされたエチレン系ポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子の、液体油相分散液が挙げられる。表面を安定化したポリマー粒子の分散液は、文献EP-A-749747に記載のとおりに製造することができる。ポリマー粒子は、単独又は混合物としての、ブロックポリマー、グラフトされたポリマー、及び/又はランダムポリマーでよい安定剤によって、表面を安定化することができる。安定剤存在下の皮膜形成性ポリマーの液体脂肪相分散液は、特に、その内容が参照により本特許出願に援用される、文献EP-A-748746、EP-A-923928、及びEP-A-930060に記載されている。
【0330】
エチレン系ポリマー粒子の表面における追加安定剤なしで分散させた、前記粒子の分散液を使用することが有利である。
【0331】
より詳細に挙げることのできるNAD型のポリマーの例には、アクリルイソドデカン分散液、例えば、Chimex社が販売するMexomer PAP(登録商標)(ピレン/イソプレンコポリマーを用いた、イソドデカン分散液(25%)としてのアクリルコポリマー)が含まれる。
【0332】
ブロックエチレン系コポリマー
本発明の第1の実施形態によれば、疎水性皮膜形成性ポリマーは、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上になるような、1つ又は複数の第1のモノマーから、完全に又は部分的に導かれたものである、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である、少なくとも1つの第1のブロックと、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度が20℃以下になるような、1つ又は複数の第2のモノマーから、完全に又は部分的に導かれたものである、ガラス転移温度が20℃以下である、少なくとも1つの第2のブロックとを含んでおり、前記第1のブロックと前記第2のブロックは、第1のブロックの前記第1の構成モノマーの少なくとも1つと、第2のブロックの前記第2の構成モノマーの少なくとも1つとを含む、ランダムな中間セグメントによってつなぎ合わされている、ブロックエチレン系コポリマーであり、前記ブロックコポリマーは、多分散性指数Iが2を上回る。
【0333】
すなわち、本発明に従って使用されるブロックポリマーは、少なくとも1つの第1のブロックと、少なくとも1つの第2のブロックとを含む。
【0334】
用語「少なくとも1つのブロック」は、1つ又は複数のブロックを意味するものである。
【0335】
用語「ブロックポリマー」は、少なくとも2つの別個のブロック、好ましくは、少なくとも3つの別個のブロックを含むポリマーを意味するものである。
【0336】
用語「エチレン系ポリマー」は、エチレン性不飽和を含むモノマーの重合によって得られるポリマーを意味するものである。
【0337】
本発明に従って使用されるブロックエチレン系ポリマーは、もっぱら一官能価モノマーから調製される。
【0338】
これは、本発明に従って使用されるブロックエチレン系ポリマーが、ポリマーの直線性を乱すことを可能にして、多官能価モノマーの含量に応じて、分枝状、又はそれどころか架橋ポリマーが得られるようにする、いかなる多官能価モノマーも含んでいないことを意味する。本発明に従って使用されるポリマーはまた、グラフトされたポリマーの調製に使用される、いかなるマクロモノマー(用語「マクロモノマー」とは、ポリマーの性質である、好ましくは分子量が500g/molを越えているペンダント基、又は別法として、その末端の一方だけに重合可能な(又はエチレン性不飽和の)末端基を含むポリマーを含んでいる、一官能価モノマーを意味するものである)も含んでいない。
【0339】
上記及び下記の文言において、用語「第1」及び「第2」のブロックは、ポリマーの構造における前記ブロックの序列を一切左右しないことが指摘される。
【0340】
本発明で使用されるポリマーの第1のブロック及び第2のブロックは、有利なことに、互いに不適合でもよい。
【0341】
用語「互いに不適合のブロック」とは、第1のブロックに相当するポリマーと第2のブロックに相当するポリマーで作られた混合物が、前記ポリマーと前記重合溶媒の混合物の総質量に対して5質量%以上の含量の前記ポリマーの混合物について、室温(25℃)かつ大気圧(105Pa)において、質量でブロックポリマーより多くを占める重合溶媒中で混和性でないことを意味するものとし、以下のことが理解される。
i)前記ポリマーは、それぞれの質量比が10/90〜90/10の範囲になるような含量で混合物中に存在し、
ii)第1及び第2のブロックに相当するポリマーはそれぞれ、平均(質量平均又は数平均)分子量が、ブロックポリマーの平均分子量に±15%で等しい。
【0342】
重合溶媒の混合物の場合、及び2種以上の溶媒が同一の質量割合で存在する事象では、前記ポリマー混合物は、それらの少なくとも1種において混和性である。
【0343】
言うまでもなく、単一溶媒中でなされる重合の場合では、この溶媒は、過半量になる溶媒である。
【0344】
本発明によるブロックポリマーは、第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントによってつなぎ合わされた、少なくとも1つの第1のブロックと、少なくとも1つの第2のブロックとを含む。(中間ブロックとしても知られる)中間セグメントは、ガラス転移温度Tgが、第1のブロックと第2のブロックのガラス転移温度の間である。
【0345】
中間セグメントは、ポリマーの第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと、第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含み、こうしたブロックを「適合性にする」ことのできる、ブロックである。
【0346】
ポリマーの第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと、第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントは、ランダムポリマーであることが有利である。
【0347】
中間ブロックは、本質的に第1のブロック及び第2のブロックの構成モノマーから導かれることが好ましい。
【0348】
用語「本質的」とは、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より良好には95%、更により良好には100%を意味するものである。
【0349】
本発明によるブロックポリマーは、皮膜形成性ブロックエチレン系ポリマーであることが有利である。
【0350】
用語「エチレン系ポリマー」とは、エチレン性不飽和を含むモノマーの重合によって得られるポリマーを意味するものである。
【0351】
用語「皮膜形成性ポリマー」は、それだけで、又は皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質上に、切れ目のない付着物を形成することのできる、ポリマーを意味するものである。
【0352】
本発明によるポリマーは、その主鎖の中にケイ素原子を含まないことが優先される。用語「主鎖」とは、側鎖の対語として、ポリマーの主要な鎖を意味するものである。
【0353】
本発明によるポリマーは、水溶性でない、すなわち、ポリマーは、pHの加減なし、少なくとも1質量%の乾燥物含量、室温(25℃)で、水、又は水と、2〜5個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝状低級モノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、若しくはn-プロパノールの混合物に、溶解性でないことが好ましい。
【0354】
本発明によるポリマーは、エラストマーでないことが好ましい。
【0355】
用語「非エラストマー性ポリマー」とは、(例えば、その初期の長さに対して30%まで)それを引っ張ろうとする応力を受けるとき、応力がなくなってもその初期の長さと実質上同一の長さに戻らないポリマーを意味するものである。
【0356】
より詳細には、用語「非エラストマー性ポリマー」とは、30%伸長させた後の瞬間回復Riが50%未満であり、遅延回復R2hが70%未満であるポリマーを意味する。Riが30%未満であり、R2hが50%未満であることが好ましい。
【0357】
より詳細には、ポリマーの非エラストマー性の性質は、次のプロトコールに従って求める。
【0358】
Teflonで被覆された型にポリマーの溶液を注いだ後、23±5℃かつ相対湿度50±10%に調節された環境で7日間乾燥させることにより、ポリマー皮膜を調製する。
【0359】
こうして厚さ約100μmの皮膜を得、それから(例えば、パンチを使用して)幅15mm長さ80mmの長方形の試験片を切り取る
【0360】
Zwickの表示で販売されている機械を使用して、乾燥に関してのもの同じ温度及び湿度条件下で、この試料に引張り応力をかける。
【0361】
試験片を50mm/分の速度で引っ張り、掴み具間の距離を、試験片の初期長さ(l0)に相当する50mmとする。
【0362】
瞬間回復Riは、次のようにして求める。
- 試験片を30%(εmax)、すなわち、その初期長さ(I0)の約0.3倍まで引っ張り、
- 引張り速度に等しい戻り速度、すなわち50mm/分を適用することにより応力を緩め、応力負荷0(εi)に戻した後、試験片の残余伸長を百分率として測定する。
【0363】
瞬間回復百分率(Ri)は、次式によって得られる。
Ri=(εmaxi)/εmax)×100
【0364】
遅延回復を求めるために、2時間後、すなわち、応力負荷0に戻ってから2時間後に、試験片の残余伸長百分率(ε2h)を測定する。
【0365】
遅延回復百分率(R2h)は、次式によって得られる。
R2h=(εmax2h)/εmax)×100
【0366】
単に指針として、本発明の一実施形態によるポリマーは、瞬間回復Riが10%であり、遅延回復R2hが30%である。
【0367】
本発明のポリマーの多分散性指数は、2より大きい。
【0368】
本発明による組成物中に使用されるブロックポリマーは、多分散性指数Iが2を上回る、例えば、2〜9の範囲である、好ましくは2.5以上、例えば、2.5〜8の範囲、より良好には2.8以上、特に2.8〜6の範囲であることが有利である。
【0369】
ポリマーの多分散性指数Iは、質量平均質量Mwの数平均質量Mnに対する比に等しい。
【0370】
質量平均モル質量(Mw)及び数平均モル質量(Mn)は、ゲル浸透液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖状ポリスチレン標準物質を用いて作成される検量線、屈折率検出器)によって求める。
【0371】
本発明によるポリマーの質量平均質量(Mw)は、300000以下であることが好ましく、例えば、35000〜200000g/mol、より良好には45000〜150000g/molの範囲である。
【0372】
本発明によるポリマーの数平均質量(Mn)は、70000以下であることが好ましく、例えば、10000〜60000g/mol、より良好には12000〜50000g/molの範囲である。
【0373】
本発明によるポリマーの多分散性指数は、2を上回る、例えば2〜9の範囲、好ましくは2.5以上、例えば2.5〜8の範囲、より良好には2.8以上、特に2.8〜6の範囲であることが好ましい。
【0374】
Tgが40℃以上である第1のブロック
Tgが40℃以上であるブロックは、例えば、Tgが、40〜150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃〜120℃の範囲、より良好には60℃以上、例えば60℃〜120℃の範囲である。
【0375】
第1及び第2のブロックについて示されるガラス転移温度は、Polymer Handbook、第3版、1989、John Wiley等の参考手引書で見ることのできる、ブロックそれぞれの構成モノマーの理論上のTg値から、Foxの法則として知られる次の関係:
1/Tg=Σ(ωi/Tgi),i
に従って求めた、理論上のTg値でもよく、
ωiは、検討中のブロックにおけるモノマーiの質量分率であり、Tgiは、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0376】
別段指摘しない限り、本特許出願において第1及び第2のブロックについて示すTg値は、理論上のTg値である。
【0377】
第1のブロックと第2のブロックのガラス転移温度の差は、一般に、10℃より大きい、好ましくは20℃より大きい、より良好には30℃より大きい。
【0378】
本発明において、「...から...の間」という表現は、言及した境界が除外される、値の範囲を意味するものであり、「...〜...」及び「...〜...の範囲」は、境界が含まれる、値の範囲を意味するものである。
【0379】
Tgが40℃以上であるブロックは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
【0380】
Tgが40℃以上であるブロックは、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上になるような、1つ又は複数のモノマーから完全又は部分的に導かれるものでよい。このブロックは、「硬質ブロック」と呼ばれることもある。
【0381】
このブロックがホモポリマーである場合では、ブロックは、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上になるようなモノマーから導かれる。この第1のブロックは、(対応するホモポリマーのTgが40℃以上である)1タイプだけのモノマーからなるホモポリマーでよい。
【0382】
第1のブロックがコポリマーである場合では、ブロックは、得られるコポリマーのTgが40℃以上になるようにその性質及び濃度が選択された、1つ又は複数のモノマーから完全又は部分的に導かれるものでよい。
【0383】
コポリマーは、例えば、
- そうしたモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のTg値、例えば、40℃〜150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃〜120℃の範囲、より良好には60℃以上、例えば60℃〜120℃の範囲のTgを有するようなモノマー、及び
- 後述のとおりの、20℃から40℃の間のTgを有するモノマー、及び/又は20℃以下であるTg、例えば-100℃〜20℃の範囲、好ましくは15℃未満、特に-80℃〜15℃の範囲、より良好には10℃未満、例えば-50℃〜0℃の範囲であるTgを有するモノマーから選択される、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのTg値が40℃未満であるようなモノマー
を含んでよい。
【0384】
そのホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上である第1のモノマーは、主モノマーとしても知られる、次のモノマーから選択されることが好ましい。
- 式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリレート
[式中、R1は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状非置換アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソブチル基を表し、又はR1は、C4〜C12シクロアルキル基、好ましくはC8〜C12シクロアルキル、例えば、イソボルニルメタクリレートを表す]、
- 式CH2=CH-COOR2のアクリレート
[式中、R2は、C4〜C12シクロアルキル基、例えば、イソボルニル基やtert-ブチル基を表す]、
- 式:
【0385】
【化12】
【0386】
の(メタ)アクリルアミド[式中、R7及びR8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C12アルキル基、例えば、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル、若しくはイソノニル基を表し、又はR7は、Hを表し、R8は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、R'は、H又はメチルを表す]。挙げることのできるモノマーの例には、N-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及びN,N-ジブチルアクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0387】
第1のブロックは、式CH2=CH-COOR2の少なくとも1つのアクリレートモノマーと、式CH2=C(CH3)-COOR2の少なくとも1つのメタクリレートモノマー[式中、R2は、C4〜C12シクロアルキル基、好ましくはC8〜C12シクロアルキル、例えばイソボルニルを表す]とから取得することが有利である。モノマー及びその部分は、第1のブロックのガラス転移温度が40℃以上になるように選択することが好ましい。
【0388】
一実施形態によれば、第1のブロックは、
i)式CH2=CH-COOR2の少なくとも1つのアクリレートモノマー[式中、R2は、C4〜C12シクロアルキル基、好ましくはC8〜C12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す]と、
ii)式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1つのメタクリレートモノマー[式中、R'2は、C4〜C12シクロアルキル基、好ましくはC8〜C12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す]
とから得られる。
【0389】
一実施形態によれば、第1のブロックは、式CH2=CH-COOR2の少なくとも1つのアクリレートモノマー[式中、R2は、C8〜C12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す]と、式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1つのメタクリレートモノマー[式中、R'2は、C8〜C12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す]とから得られる。
【0390】
R2及びR'2は、独立に又は同時に、イソボルニル基を表すことが好ましい。
【0391】
ブロックコポリマーは、50〜80質量%のイソボルニルメタクリレート/アクリレート、10〜30質量%のイソブチルアクリレート、及び2〜10質量%のアクリル酸を含むことが好ましい。
【0392】
第1のブロックは、前記アクリレートモノマーと前記メタクリレートモノマーだけから得ることができる。
【0393】
アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーは、30/70から70/30の間、好ましくは40/60から60/40の間、特に50/50程度の質量割合であることが好ましい。
【0394】
第1のブロックの割合は、ポリマーの20〜90質量%、より良好には30%〜80%、更により良好には60%〜80%の範囲であることが有利である。
【0395】
一実施形態によれば、第1のブロックは、イソボルニルメタクリレートとイソボルニルアクリレートの重合によって得られる。
【0396】
ガラス転移温度が20℃未満である第2のブロック
第2のブロックは、ガラス転移温度Tgが20℃以下である、例えば、Tgが-100℃〜20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃〜15℃の範囲、より良好には10℃以下、例えば-100℃〜10℃の範囲、特に-30℃〜10℃の範囲であることが有利である。
【0397】
第2のブロックは、そうしたモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度が20℃以下になるような、1つ又は複数の第2のモノマーから完全又は部分的に導かれる。
【0398】
このブロックは、「軟質ブロック」と呼ばれることもある。
【0399】
Tgが20℃以下であるモノマー(第2のモノマーとしても知られる)は、次のモノマーから選択されることが好ましい。
- 式CH2=CHCOOR3のアクリレート[R3は、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子が場合により挿入されている、tert-ブチル基を除く、直鎖状又は分枝状C1〜C12非置換アルキル基を表す]、
- 式CH2=C(CH3)-COOR4のメタクリレート[R4は、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子が場合により挿入されている、直鎖状又は分枝状C6〜C12非置換アルキル基を表す]、
- 式R5-CO-O-CH=CH2のビニルエステル[式中、R5は、直鎖状又は分枝状C4〜C12アルキル基を表す]、
- ビニルアルコール及びC4〜C12アルコールのエステル、
- N-(C4〜C12)アルキルアクリルアミド、例えば、N-オクチルアクリルアミド、
- 及びこれらの混合物。
【0400】
Tgが20℃以下である好ましいモノマーは、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、又はすべての割合のこれらの混合物である。
【0401】
第1及び第2のブロックはそれぞれ、他方のブロックの少なくとも1つの構成モノマーを少ない割合で含んでいてもよい。
【0402】
したがって、第1のブロックは、第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーを含んでいてもよく、逆もまたそうである。
【0403】
第1及び/又は第2のブロックはそれぞれ、上で示したモノマーに加えて、上で言及した主モノマーと異なる、追加モノマーとして知られる1つ又は複数の他のモノマーも含んでよい。
【0404】
こうした追加モノマーの性質及び量は、これらが存在するブロックが所望のガラス転移温度を有するように選択される。
【0405】
この追加のモノマーは、例えば、
- 少なくとも1つの第三級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、並びにこれらの塩、
- 式CH2=C(CH3)-COOR6のメタクリレート[式中、R6は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソブチル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基(例えば、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートや2-ヒドロキシエチルメタクリレート)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)(トリフルオロエチルメタクリレート等)から選択される、1つ又は複数の置換基で置換されている]、
- 式CH2=C(CH3)-COOR9のメタクリレート[R9は、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子が場合により挿入されている、直鎖状又は分枝状C6〜C12アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1つ又は複数の置換基で置換されている]、
- 式CH2=CHCOOR10のアクリレート[R10は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1つ又は複数の置換基で置換されている直鎖状又は分枝状C1〜C12アルキル基(例えば、2-ヒドロキシプロピルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレート)を表し、又はR10は、オキシエチレン単位が5〜10回繰り返される、C1〜C12アルキル-O-POE(ポリオキシエチレン)、例えば、メトキシ-POEを表し、又はR10は、5〜10のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン化された基を表す]
から選択される。
【0406】
特に、第1のブロックは、追加モノマーとして、
- (メタ)アクリル酸、好ましくはアクリル酸、
- tert-ブチルアクリレート、
- 式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリレート[式中、R1は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状非置換アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソブチル基である]、
- 式:
【0407】
【化13】
【0408】
の(メタ)アクリルアミド[式中、R7及びR8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C12アルキル基、例えば、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル、若しくはイソノニル基を表し、又はR7は、Hを表し、R8は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、R'は、H又はメチルを表す。挙げることのできるモノマーの例には、N-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及びN,N-ジブチルアクリルアミドが含まれる]、
- 及びこれらの混合物
を含んでよい。
【0409】
追加モノマーは、ポリマーの質量に対して0.5〜30質量%存在してよい。一実施形態によれば、本発明のポリマーは、追加モノマーを含んでいない。
【0410】
本発明のポリマーは、少なくとも、第1のブロックにイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマー、第2のブロックにイソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを含むことが好ましい。
【0411】
ポリマーは、少なくとも、第1のブロックに、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを同等な質量割合で、第2のブロックにイソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを含むことが好ましい。
【0412】
ポリマーは、少なくとも、第1のブロックに、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを同等な質量割合で、第2のブロックにイソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを含み、第1のブロックは、ポリマーの70質量%に相当することが好ましい。
【0413】
ポリマーは、少なくとも、第1のブロックに、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを同等な質量割合で、第2のブロックにイソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを含むことが好ましい。Tgが40℃より高いブロックが、ポリマーの70質量%に相当し、アクリル酸がポリマーの5質量%に相当することが好ましい。
【0414】
一実施形態によれば、第1のブロックは、追加モノマーを含まない。
【0415】
好ましい一実施形態によれば、第2のブロックは、追加モノマーとしてアクリル酸を含む。特に、第2のブロックは、アクリル酸モノマーと、Tgが20℃以下である少なくとも1つの他のモノマーとから得ることが有利である。
【0416】
ブロックコポリマーは、有利には、前記コポリマーの総質量に対して2質量%を越えるアクリル酸モノマー、特に2〜15質量%、例えば3〜15質量%、特に4〜15質量%、又はなお4〜10質量%のアクリル酸モノマーを含んでよい。
【0417】
第2のブロックの構成モノマー及びその割合は、第2のブロックのガラス転移温度が20℃以下になるように選択する。
【0418】
中間セグメント
(中間ブロックとしても知られる)中間セグメントは、本発明に従って使用されるポリマーの第1のブロックと第2のブロックを接続する。中間セグメントは、
i)第1のブロックを生成するために90%の最大変換率まで重合した後、利用可能なままである、第1のモノマー、及び場合により追加モノマーと、
ii)反応混合物に加えられた、第2のモノマー、及び場合により追加モノマーと
の重合の結果として生じる。
【0419】
第2のブロックの生成は、第1のモノマーが、すべて消費され、又はその反応性によるその消費がもはや可能でなくなるために、もはや反応しない、又はポリマー鎖にもはや組み込まないときに開始される。
【0420】
したがって、中間セグメントは、ポリマー合成の際に第2のモノマーを導入する間、そうした第1のモノマーの変換率が90%以下である結果として生じる、利用可能な第1のモノマーを含む。
【0421】
ブロックポリマーの中間セグメントは、(ランダムブロックと呼ばれることもある)ランダムポリマーである。これは、中間セグメントが、ランダムに分布した第1のモノマー及び第2のモノマー、また存在してもよい追加モノマーを含むという意味である。
【0422】
したがって、中間セグメントは、ランダムブロックであり、第1のブロック及び第2のブロックも、ホモポリマーでない場合(すなわち、両方が少なくとも2種の異なるモノマーから生成されている場合)、同様である。
【0423】
コポリマーの調製方法
本発明によるブロックエチレン系コポリマーは、ラジカル重合によって、このタイプの重合についてよく知られている技術に従って調製される。
【0424】
フリーラジカル重合は、所望の重合温度及び重合溶媒に応じて、既知の方法でその性質を適合させた、開始剤の存在下で実施される。特に、開始剤は、ペルオキシド官能性を有する開始剤、酸化還元対、又は当業者に知られている他のフリーラジカル重合開始剤から選択することができる。
【0425】
特に、挙げることのできる、ペルオキシド官能性を有する開始剤の例には、
a. ペルオキシエステル類、例えば、ペルオキシ酢酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Akzo Nobel社のTrigonox 21S)、又は2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社のTrigonox 141)、
b. ペルオキシジカーボネート類、例えば、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
c. ペルオキシケトン類、例えば、過酸化メチルエチルケトン、
d. ヒドロペルオキシド類、例えば、過酸化水素水(H2O2)又はtert-ブチルヒドロペルオキシド、
e. 過酸化ジアシル類、例えば、過酸化アセチル又は過酸化ベンゾイル、
f. 過酸化ジアルキル類、例えば、過酸化ジ-tert-ブチル、
g. 無機ペルオキシド類、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)
が含まれる。
【0426】
酸化還元対の形態の開始剤としては、例えば、チオ硫酸カリウム+ペルオキソ二硫酸カリウム対を挙げることができる。
【0427】
好ましい一実施形態によれば、開始剤は、8〜30個の炭素原子を含む有機ペルオキシドから選択される。使用する開始剤は、Akzo Nobel社がTrigonox(登録商標)141の表示で販売する2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンであることが好ましい。
【0428】
本発明に従って使用されるブロックコポリマーは、フリーラジカル重合によって調製され、制御又はリビング重合によって調製されない。特に、ブロックエチレン系コポリマーの重合は、制御剤不在で、特に、リビング又は制御重合法において従来使用されている制御剤、例えば、ニトロキシド、アルコキシアミン、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオカーボネート若しくはキサンテート、トリチオカーボネート、又は銅触媒不在で実施される。
【0429】
先に言及したとおり、中間セグメントは、ランダムブロックであり、第1のブロック及び第2のブロックも、ホモポリマーでない場合(すなわち、両方が少なくとも2種の異なるモノマーから生成されている場合)、同様である。
【0430】
ブロックコポリマーは、フリーラジカル重合によって、特に、同じ反応器において、重合溶媒、開始剤、ガラス転移温度が40℃以上である少なくとも1種のモノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマーを、以下の順序に従って混合することにある方法によって調製することができる。
- 重合溶媒の一部と、場合により開始剤の一部及び最初に加えるモノマーを反応器に注ぎ、混合物を60℃から120℃の間の反応温度に加熱し、
- 次いで、最初の添加において、Tgが40℃以上である前記の少なくとも1種の第1のモノマー、及び場合により開始剤の一部を注ぎ、混合物を、前記モノマーの最大変換率90%に対応するT時間放置して反応させ、
- 次いで、2回目の添加において、さらなる重合開始剤、及びガラス転移温度が20℃以下である前記の少なくとも1種の第2のモノマーを反応器に注ぎ、混合物を、前記モノマーの変換率がプラトーに達するまでのT'時間放置して反応させ、
- 反応混合物を室温に冷却する。
【0431】
好ましくは、コポリマーは、フリーラジカル重合によって、特に、同じ反応器において、重合溶媒、開始剤、アクリル酸モノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、式CH2=CH-COOR2の少なくとも1種のアクリレートモノマー[式中、R2は、C4〜C12シクロアルキル基を表す]、及び式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1種のメタクリレートモノマー[式中、R'2は、C4〜C12シクロアルキル基を表す]を、以下の順序の工程に従って混合することにある方法によって調製することができる。
- 重合溶媒の一部と、場合により開始剤の一部及び最初に加えるモノマーを反応器に注ぎ、混合物を60℃から120℃の間の反応温度に加熱し、
- 次いで、最初の添加において、Tgが40℃以上であるモノマーとしての、前記の式CH2=CH-COOR2の少なくとも1種のアクリレートモノマー及び前記の式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1種のメタクリレートモノマーと、場合により開始剤の一部を注ぎ、混合物を、前記モノマーの最大変換率90%に対応するT時間放置して反応させ、
- 次いで、2回目の添加において、さらなる重合開始剤、アクリル酸モノマー、及びガラス転移温度が20℃以下である前記の少なくとも1種のモノマーを反応器に注ぎ、混合物を、前記モノマーの変換率がプラトーに達するまでのT'時間放置して反応させ、
- 反応混合物を室温に冷却する。
【0432】
用語「重合溶媒」とは、溶媒又は溶媒の混合物を意味するものである。特に、使用することのできる重合溶媒としては、
- 室温で液体であるケトン類、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、又はアセトン、
- 室温で液体であるプロピレングリコールエーテル類、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジプロピレングリコールn-ブチルモノエーテル、
- (合計で3〜8個の炭素原子を含有する)短鎖エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、又は酢酸イソペンチル、
- 室温で液体であるエーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、又はジクロロジエチルエーテル、
- 室温で液体であるアルカン類、例えば、デカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、及びイソヘキサデカン
- 室温で液体である芳香族環式化合物、例えば、トルエンやキシレン、
- 室温で液体であるアルデヒド類、例えば、ベンズアルデヒドやアセトアルデヒド、
並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0433】
従来、重合溶媒は、引火点が80℃未満である揮発性油である。引火点は、特に、ISO 3679規格に従って測定される。
【0434】
重合溶媒は、特に、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノールやエタノール等のアルコール類、イソドデカン等の脂肪族アルカン、及びこれらの混合物から選択することができる。重合溶媒は、酢酸ブチルとイソプロパノール又はイソドデカンの混合物であることが好ましい。
【0435】
別の実施形態によれば、コポリマーは、同じ反応器において、重合溶媒、開始剤、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、及びTgが40℃以上である少なくとも1種のモノマーを、以下の順序の工程に従って混合することにある調製方法に従って、ラジカル重合によって調製することができる。
- 重合溶媒の一部と、場合により開始剤の一部及び最初に加えるモノマーを反応器に注ぎ、混合物を60℃から120℃の間の反応温度に加熱し、
- 次いで、最初の添加において、ガラス転移温度が20℃以下である前記の少なくとも1種のモノマー、及び場合により開始剤の一部を注ぎ、混合物を、前記モノマーの最大変換率90%に対応するT時間放置して反応させ、
- 次いで、2回目の添加において、さらなる重合開始剤、及びTgが40℃以上である前記の少なくとも1種のモノマーを反応器に注ぎ、混合物を、前記モノマーの変換率がプラトーに達するまでのT'時間放置して反応させ、
- 反応混合物を室温に冷却する。
【0436】
好ましい一実施形態によれば、コポリマーは、同じ反応器において、重合溶媒、開始剤、アクリル酸モノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、Tgが40℃以上である少なくとも1種のモノマー、特にTgが40℃以上であるモノマーとして、式CH2=CH-COOR2の少なくとも1種のアクリレートモノマー[式中、R2は、C4〜C12シクロアルキル基を表す]及び式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1種のメタクリレートモノマー[式中、R'2は、C4〜C12シクロアルキル基を表す]を、以下の順序の工程に従って混合することにある調製方法に従って、ラジカル重合によって調製することができる。
- 重合溶媒の一部と、場合により開始剤の一部及び最初に加えるモノマーを反応器に注ぎ、混合物を60℃から120℃の間の反応温度に加熱し、
- 次いで、最初の添加において、アクリル酸モノマー、及びガラス転移温度が20℃以下である前記の少なくとも1種のモノマーと、場合により開始剤の一部を注ぎ、混合物を、前記モノマーの最大変換率90%に対応するT時間放置して反応させ、
- 次いで、2回目の添加において、さらなる重合開始剤、Tgが40℃以上であるモノマーとしての前記の式CH2=CH-COOR2の少なくとも1種のアクリレートモノマー及び前記の式CH2=C(CH3)-COOR'2の少なくとも1種のメタクリレートモノマーを反応器に注ぎ、混合物を、前記モノマーの変換率がプラトーに達するまでのT'時間放置して反応させ、
- 反応混合物を室温に冷却する。
【0437】
重合温度は、約90℃であることが好ましい。
【0438】
2回目の添加の後の反応時間は、3時間から6時間の間であることが好ましい。
【0439】
ブロックエチレン系コポリマーは、組成物の総質量に対して0.1〜60質量%、より良好には0.5〜50質量%、より良好には1〜30質量%、更により良好には1〜40質量%の範囲の乾燥物含量で組成物中に存在することが好ましい。
【0440】
合成溶媒の蒸留
前記揮発性油又は溶媒(慣例的にイソドデカン)を完全又は部分的に除去する工程を実施することは可能である。そこで、この工程は、場合により真空下で、また少なくとも16個の炭素原子を含み、モル質量が650g/mol未満である不揮発性炭化水素系エステル油、例えば、ネオペンタン酸オクチルドデシル(特にネオペンタン酸2-オクチルドデシル)を場合により加えて、特に、蒸留によって実施される。
【0441】
この工程は、高温で、場合により真空下で実施して、最大量の揮発性合成溶媒を留去するものであり、当業者に知られている。
【0442】
ポリアミドシリコーンブロックポリマー
別の変形実施形態によれば、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成性ポリマーとして、シリコーンポリアミドとしても知られる、少なくとも1種のポリアミドシリコーンブロックポリマーを含む。
【0443】
シリコーンポリアミドは、室温(25℃)かつ大気圧(760mmHg)で固体であることが好ましい。
【0444】
本発明の目的では、用語「ポリマー」は、少なくとも2つの繰返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰返し単位、更により良好には10の繰返し単位を含んでいる化合物を意味するものである。
【0445】
本発明の組成物のシリコーンポリアミドは、ポリオルガノシロキサン型のポリマー、例えば、文献US-A-5874069、US-A-5919441、US-A-6051216、及びUS-A-5981680に記載のものでよい。本発明によれば、シリコーンポリマーは、次の2つの系統に属する。
(1)少なくとも2つのアミド基を含み、これら2つの基が、ポリマー鎖の中に配置されているポリオルガノシロキサン、及び/又は
(2)少なくとも2つのアミド基を含み、これら2つの基が、グラフト部又は枝部上に配置されている、ポリオルガノシロキサン。
【0446】
第1の変形形態によれば、シリコーンポリマーは、上で定義したとおりであり、かつポリマー鎖の中に、水素相互作用を確立することのできる単位が配置されている、ポリオルガノシロキサンである。
【0447】
シリコーンポリマーは、より詳細には、一般式Iに相当する少なくとも1つの単位を含むポリマーでよい。
【0448】
【化14】
【0449】
[式中、
R4、R5、R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、
1個又は複数の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子をその鎖の中に含有する可能性があり、またフッ素原子で部分的又は完全に置換されている可能性のある、直鎖状、分枝状、又は環状の、飽和又は不飽和C1〜C40炭化水素系基、
1つ又は複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されている、C6〜C10アリール基、
1個又は複数の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含有する可能性のある、ポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表し、
X基は、同一であっても異なっていてもよく、1個又は複数の酸素、及び/又は窒素原子をその鎖の中に含有する可能性のある、直鎖状又は分枝状C1〜C30アルキレンジイル基を表し、
Yは、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状のC1〜C50アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレンの二価基であり、これは、1個又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を含むことができ、並びに/又は、置換基として、以下の原子、又は原子の基:フッ素、ヒドロキシル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C40アルキル、C5〜C10アリール;1〜3つのC1〜C3アルキル、C1〜C3ヒドロキシアルキル及びC1〜C6アミノアルキル基で任意選択で置換されているフェニルのうちの1個を保持することができ、又は
Yは、式:
【0450】
【化15】
【0451】
(式中、
Tは、ポリオルガノシロキサン鎖で任意選択で置換されていてO、N及びSから選択される1個又は複数の原子をおそらくは含有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の三価又は四価のC3〜C24炭化水素系基を表し、又はTは、N、P及びAlから選択される三価原子を表し、
R8は、ポリマーの別の鎖とおそらくは連結していることもある1種又は複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素及び/又はスルホンアミド基をおそらくは含む、直鎖状若しくは分枝状のC1〜C50アルキル基、又はポリオルガノシロキサン鎖を表す)
に相当する基を表し、
G基は、同一であっても異なっていてもよく、
【0452】
【化16】
【0453】
(式中、R9は、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C20アルキル基を表し、但しポリマーのR9基の少なくとも50%が水素原子を表し、ポリマーのG基の少なくとも2つが
【0454】
【化17】
【0455】
以外の基であることを条件とする)
から選択される二価基を表し、
nは、2〜500を、好ましくは2〜200を範囲とする整数であり、mは、1〜1000を、好ましくは1〜700を、更に良好には6〜200を範囲とする整数である]に相当する少なくとも1つの単位を含むポリマーとすることができる。
【0456】
本発明によれば、ポリマーのR4基、R5基、R6基及びR7基のうちの80%は、好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基及び3,3,3-トリフルオロプロピル基から選択される。
【0457】
本発明によれば、Yは、ポリマー又はコポリマーの他の単位と結合を確立する1種又は2種の遊離原子価を任意選択で更に含む種々の二価基を表すことができる。好ましくは、Yは、以下から選択される基を表す:
C1〜C20、好ましくは直鎖状のC1〜C10アルキレン基、
環及び非共役の不飽和をおそらくは含む分枝状のC30〜C56アルキレン基、
C5〜C6シクロアルキレン基、
1つ又は複数のC1〜C40アルキル基で任意選択で置換されたフェニレン基、
1〜5つのアミド基を含むC1〜C20アルキレン基、
ヒドロキシル基、C3〜C8シクロアルカン基、C1〜C3ヒドロキシアルキル基及びC1〜C6アルキルアミン基から選択される1つ又は複数の置換基を含むC1〜C20アルキレン基、
次式のポリオルガノシロキサン鎖、
【0458】
【化18】
【0459】
(式中、R4、R5、R6、R7、T及びmは、上で定義したものである)、及び次式のポリオルガノシロキサン鎖である。
【0460】
【化19】
【0461】
第2の変形によれば、ポリオルガノシロキサンは、式(II)に相当する少なくとも1つの単位を含むポリマーとすることができる。
【0462】
【化20】
【0463】
[式中、
R4及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、上で式(I)について定義したものであり、
R10は、上でR4及びR6について定義した基を表し、又は式-X-G-R12(式中、X及びGは、上で式(I)について定義している)の基を表し、R12は、水素原子、又はその鎖内にO、S及びNから選択される1個又は複数の原子を任意選択で含んで、1個又は複数のフッ素原子及び/又は1個又は複数のヒドロキシル基、又は1個若しくは複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されたフェニル基で任意選択で置換されている、直鎖状、分枝状若しくは環状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C50炭化水素系基を表し、
R11は、式-X-G-R12(式中、X、G及びR12は、上で定義したものである)の基を表し、
m1は、1〜998を範囲とする整数であり、
m2は、2〜500を範囲とする整数である]
【0464】
本発明によれば、構造化剤として使用されるシリコーンポリマーは、ホモポリマーであってよく、即ち幾つかの同一の、単位、特定すると式(I)又は式(II)の単位を含むポリマーとすることができる。
【0465】
本発明によれば、式(I)の幾つかの異なる単位を含むコポリマーから形成されたシリコーンポリマー、即ち、式中、R4、R5、R6、R7、X、G、Yのうちの少なくとも1つ、m及びnが単位のうちの1つにおいて異なるポリマーを、使用することも可能である。コポリマーはまた、式(II)(式中、R4、R6、R10、R11のうちの少なくとも1つ、m1及びm2は、単位のうちの1つにおいて異なる)の幾つかの単位から形成されていてよい。
【0466】
式(I)の少なくとも1つの単位、及び式(II)の少なくとも1つの単位を含むポリマーを使用することもまた可能であり、式(I)の単位及び式(II)の単位は、おそらく互いに同一であるか又は互いに異なる。
【0467】
本発明の一変形によれば、エステル、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、ウレタン、チオ尿素、オキサミド、グアニジノ及びビグアニジノ基、及びそれらの組合せから選択される、水素の相互作用を確立できる2つの基を含む少なくとも1つの炭化水素系単位を更に含むポリマーを使用することもまた可能である。
【0468】
これらのコポリマーは、ブロックポリマー又はグラフト化ポリマーであってよい。
【0469】
本発明の有利な一実施形態によれば、水素の相互作用を確立できる基は、式-C(O)NH-及び-HN-C(O)-のアミド基である。この事例では、構造化剤は、式(III)又は(IV):
【0470】
【化21】
【0471】
(式中、R4、R5、R6、R7、X、Y、m及びnは、上で定義したものである)
のうちの少なくとも1つの単位を含むポリマーであってよい。
【0472】
こうした単位は、
次の反応スキーム:
【0473】
【化22】
【0474】
による、α,ω-カルボン酸末端を含有するシリコーンと、1種又は複数のジアミンとの間の濃縮反応によるか、
又は次の反応スキーム:
【0475】
【化23】
【0476】
による、α不飽和カルボン酸と、ジアミンとの2つの分子の反応であって、
続いて、次のスキーム:
【0477】
【化24】
【0478】
[式中、X1-(CH2)2-は、上で定義したXに相当し、Y、R4、R5、R6、R7及びmは、上で定義したものである)、
により、シロキサンをエチレン性不飽和に加える反応によるか、
又は次の反応スキーム:
【0479】
【化25】
【0480】
による、シリコーンを含有するα,ω-NH2末端と、式HOOC-Y-COOHの二酸との反応によるか、
で得ることができる。
【0481】
これらの式(III)又は(IV)のポリアミドにおいて、mは、1〜700、特定すると15〜500、特に50〜200を範囲とし、nは、特定すると1〜500、好ましくは1〜100、更に良好には4〜25を範囲とし、
Xは、好ましくは、1〜30個の炭素原子、特定すると1〜20個の炭素原子、特に5〜15個の炭素原子、より特定すると10個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖であり、
Yは、好ましくは、1〜40個の炭素原子、特定すると1〜20個の炭素原子、更に良好には2〜6個の炭素原子、特定すると6個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状の、又はそれが環及び/又は不飽和を含むことができるアルキレン鎖である。
【0482】
式(III)及び(IV)中、X又はYを表すアルキレン基は、そのアルキレン部分の中に、
1〜5つの、アミド基、尿素基、ウレタン基又はカルバメート基、
C5又はC6シクロアルキル基、及び
1〜3個の、同一又は異なるC1〜C3アルキル基で任意選択で置換されたフェニレン基
の成分のうちの少なくとも1種を任意選択で含有することができる。
【0483】
式(III)及び(IV)中、アルキレン基はまた、
ヒドロキシル基、
C3〜C8シクロアルキル基、
1〜3つの、C1〜C40アルキル基、
1〜3つのC1〜C3アルキル基で任意選択で置換されたフェニル基、
C1〜C3ヒドロキシアルキル基、及び
C1〜C6アミノアルキル基
からなる群から選択される少なくとも1種の成分で置換されてよい。
【0484】
これらの式(III)及び(IV)中、Yはまた、
【0485】
【化26】
【0486】
[式中、R8は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、式:
【0487】
【化27】
【0488】
(式中、a、b及びcは、それぞれ独立に、1〜10を範囲とする整数であり、R13は、水素原子、又はR4、R5、R6及びR7について定義したもの等の基である)
の基を表す]
を表す。
【0489】
式(III)及び(IV)中、R4、R5、R6及びR7は、好ましくは、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のC1〜C40アルキル基、好ましくはCH3、C2H5、n-C3H7又はイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖、又は1〜3つのメチル基又はエチル基で任意選択で置換されたフェニル基を表す。
【0490】
前に見てきたように、ポリマーは、式(III)又は(IV)の、同一又は異なる単位を含んでよい。
【0491】
したがって、ポリマーは、長さの異なる、式(III)又は(IV)の幾つかの単位を含有するポリアミドであってよく、即ち式(V):
【0492】
【化28】
【0493】
(式中、X、Y、n及びR4〜R7は、上で付与された意味を有し、m1及びm2は、それぞれ異なり、1〜1000の範囲内で選択され、pは、2〜300を範囲とする整数である)
に相当するポリアミドとすることができる。
【0494】
この式中、単位は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマー又は交互コポリマーのいずれかを形成するために構造化されうる。このコポリマーにおいて、単位は、長さが異なるだけでなく化学構造も異なっていてよく、例えば、異なるY基を含有する。この事例では、ポリマーは、式VI:
【0495】
【化29】
【0496】
(式中、R4〜R7、X、Y、m1、m2、n及びpは、上で付与した意味を有し、Y1は、Yとは異なってYについて定義した基から選択される)
に相当することができる。前述の通り、種々の単位が、ブロックコポリマー又はランダムコポリマー又は交互コポリマーのいずれかを形成するために構造化されうる。
【0497】
本発明のこの第1の実施形態では、構造化剤はまた、グラフト化コポリマーから形成されてよい。したがって、シリコーン単位を含有するポリアミドは、グラフト化されてよく、且つアミド基を含有するシリコーン鎖と任意選択で架橋されてよい。こうしたポリマーは、三官能アミンで合成されうる。
【0498】
この事例では、ポリマーは、式(VII):
【0499】
【化30】
【0500】
(式中、X1及びX2は、同一であっても異なっていてもよく、式(I)中のXについて付与された意味を有し、nは、式(I)中で定義したものであり、Y及びTは、式(I)中で定義したものであり、R14〜R21は、R4〜R7と同じ基から選択される基であり、m1及びm2は、1〜1000の範囲内の数であり、pは、2〜500を範囲とする整数である)
の少なくとも1つの単位を有することができる。
【0501】
式(VII)中で、以下のようであることが好ましい:
pは、1〜25の範囲、更に良好には1〜7の範囲であり、
R14〜R21は、メチル基であり、
Tは、次の式:
【0502】
【化31】
【0503】
[式中、R22は、水素原子、又はR4〜R7について定義した基から選択される基であり、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のアルキレン基である]
のうちの1つに相当し、より好ましくは式:
【0504】
【化32】
【0505】
(特に、式中、R23、R24及びR25は、-CH2-CH2-を表す)
に相当し、
m1及びm2は、15〜500の範囲、更に良好には15〜45の範囲であり、
X1及びX2は、-(CH2)10-を表し、
Yは、-CH2-を表す。
【0506】
これらの、式(VII)のグラフト化シリコーン単位を含有するポリアミドは、式(II)のポリアミドシリコーンと共重合されて、ブロックコポリマー、交互コポリマー又はランダムコポリマーを形成することができる。コポリマー中のグラフト化シリコーン単位(VII)の質量百分率は、0.5質量%から30質量%を範囲とすることができる。
【0507】
本発明によれば、前に見てきた通り、シロキサン単位は、ポリマーの主鎖(main chain)又は主鎖(backbone)であることができるが、それらはまた、グラフト鎖又はペンダント鎖の中にも存在することができる。主鎖中で、シロキサン単位は、上で説明したようなセグメントの形態にあることができる。ペンダント鎖又はグラフト鎖の中で、シリコーン単位は、個々に見えることがあり、又はセグメントにあるように見えることがある。
【0508】
本発明の一実施形態の変形によれば、シリコーンポリアミドと炭化水素系ポリアミドとのコポリマー、又は式(III)若しくは(IV)の単位と炭化水素系ポリアミド単位とを含むコポリマーが使用されうる。この事例では、ポリアミドシリコーン単位は、炭化水素系ポリアミドの末端に位置することができる。
【0509】
好ましい一実施形態によれば、シリコーンポリアミドは、式III(好ましくは、式中、R4基、R5基、R6基及びR7基は、メチル基を表し、X及びYのうちの1つは6個の炭素原子のアルキレン基を表して他は11個の炭素原子のアルキレン基を表し、nは、ポリマーの重合度DPを表す)の単位を含む。こうしたシリコーンポリアミドの例として挙げることができるのは、Dow Corning社により名称DC 2-8179(DP 100)及びDC 2-8178 (DP 15)で販売されている化合物であり、そのINCI名がナイロン-611/ジメチコンコポリマーである。
【0510】
有利には、本発明の組成物は、一般式(I)(式中、mの指数値は約15である)の少なくとも1種のポリジメチルシロキサンブロックポリマーを含む。
【0511】
より詳細には、本発明の組成物は、式(III)[式中、mは、5〜100を、特定すると10〜75を範囲とし、更に特定すると約15であり;より好ましくはR4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のC1〜C40アルキル基、好ましくは式(III)中のCH3基、C2H5基、n-C3H7基又はイソプロピル基を表す]のうちの少なくとも1つの単位を含む少なくとも1種のポリマーを含む。
【0512】
好ましい一形態によれば、Dow Corning社により名称DC 2-8179(DP 100)で販売されているシリコーンポリアミドポリマーが使用される。
【0513】
使用できるシリコーンポリマーの例として挙げることができるのは、文献US-A-5981680の文献の実施例1〜3に従って得られるシリコーンポリアミドのうちの1種である。
【0514】
少なくとも1種のカルボシロキサンデンドリマー系単位を含むビニルポリマー
特定の一実施形態によれば、本発明に従って使用される組成物は、疎水性皮膜形成性ポリマーとして、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含む少なくとも1種のビニルポリマーを含むことができる。
【0515】
本発明に従って使用されるビニルポリマーは、特に、主鎖及び少なくとも1つの側鎖を有し、これは、カルボシロキサンデンドリマー構造を有するカルボシロキサンデンドリマー系単位を含む。
【0516】
Dow Corning社による特許出願WO03/045337及びEP963751に記載のとおりの、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー単位を含むビニルポリマーを特に使用することができる。
【0517】
本発明の状況における用語「カルボシロキサンデンドリマー構造」とは、高分子量の分枝した基を有し、主鎖への結合部から径方向への高い規則性を有する、分子構造を表す。このようなカルボシロキサンデンドリマー構造は、公開出願特願平9-171154において、高度に分枝したシロキサン-シリルアルキレンコポリマーの形態で記載されている。
【0518】
本発明によるビニルポリマーは、次の一般式によって表すことのできる、カルボシロキサンデンドリマーを主体とする単位を含んでいてよい。
【0519】
【化33】
【0520】
[式中、R1は、アリール基、又は1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、Xiは、シリルアルキル基を表し、i=1であるとき、式:
【0521】
【化34】
【0522】
によって表され[式中、R1は、上で定義したとおりであり、R2は、2〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、R3は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、Xi+1は、水素原子、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、又はi=i+1である上で定義したシリルアルキル基を表し、iは、前記シリルアルキル基の世代を表す1〜10の整数であり、aiは、0〜3の整数である]、Yは、次のものから選択される、ラジカル重合可能な有機基を表す。
- メタクリル基又はアクリル基を含んでおり、式:
【0523】
【化35】
【0524】
によって表される有機基[式中、R4は、水素原子又はアルキル基を表し、R5は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を表し、メチレン基及びプロピレン基が好ましい]、及び
- スチリル基を含んでおり、式:
【0525】
【化36】
【0526】
によって表される有機基[式中、R6は、水素原子又はアルキル基を表し、R7は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基を表し、メチル基が好ましく、R8は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を表し、エチレン基が好ましく、bは、0〜4の整数であり、cは、0又は1であり、そのため、cが0である場合、-(R8)c-は、結合を表す]。
【0527】
一実施形態によれば、R1は、1〜10個の炭素原子を含有するアリール基又はアルキル基を表すことができる。アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基に相当しうる。アリール基は、好ましくは、フェニル基及びナフチル基に相当しうる。メチル及びフェニル基がより特に好ましく、全ての中でメチル基が好ましい。
【0528】
少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を含有する分子側鎖を有し、以下の重合生成物でありうる:
(A)ビニルモノマー0〜99.9質量部と
(B)次の一般式で表されるラジカル重合性有機基を含有するカルボシロキサンデンドリマー100〜0.1質量部
【0529】
【化37】
【0530】
{式中、Yは、ラジカル重合性有機基を表し、R1は、1〜10個の炭素原子を含有するアリール基又はアルキル基を表し、Xiは、i=1であるときに、次式で表されるシリルアルキル基を表す:
【0531】
【化38】
【0532】
[式中、R1は、上で定義したものであり、R2は、2〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、R3は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、Xi+1は、水素原子、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、又は上でi=i+1と定義したシリルアルキル基を表し;iは、前記シリルアルキル基の階層を表す1〜10の整数であり、aiは、0〜3の整数であり;
式中、成分(B)中に含有されている前記ラジカル重合性有機基は、以下から選択される:
- メタクリル基又はアクリル基を含有して次式で表される有機基、
【0533】
【化39】
【0534】
(式中、R4は、水素原子又はアルキル基を表し、R5は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基を表す);及び
- スチリル基を含有して次式で表される有機基
【0535】
【化40】
【0536】
(式中、R6は、水素原子又はアルキル基を表し、R7は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、R8は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、bは、0〜4の整数であり、cは、cが0である場合に-(R8)c-が結合を表すように、0又は1である)]}。
【0537】
ビニルポリマー中の成分(A)であるビニル型のモノマーは、ラジカル重合性ビニル基を含有するビニル型のモノマーである。
【0538】
こうしたモノマーに関して、特に限定はされない。
【0539】
以下は、このビニル型のモノマーの例である:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル又は低級アルキル類似体のメタクリレート;メタクリル酸グリシジル;メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル又は高級類似体メタクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又は低級脂肪酸類似体のビニルエステル;カプロン酸ビニル、ビニル2-エチルヘキソエート、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル又は高級脂肪酸類似体のエステル;スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、ビニルピロリドン又は類似のビニル芳香族モノマー;メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、イソブトキシメトキシメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド又はアミド基を含有するビニル型の類似のモノマー;メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルアルコール又はヒドロキシル基を含有するビニル型の類似のモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又はカルボン酸基を含有するビニル型の類似のモノマー;メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、モノメタクリル酸ポリプロピレングリコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル又はエーテル結合を有するビニル型の類似のモノマー;メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、その分子末端の1つにメタクリル基を含有するポリジメチルシロキサン、その分子末端の1つにスチリル基を含有するポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を含有する類似のシリコーン化合物;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;メタクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;無水コハク酸;メタクリルグリシ
ジルエーテル;メタクリル酸の、イタコン酸の、クロトン酸の、マレイン酸の又はフマル酸の有機アミン塩、アンモニウム塩及びアルカリ金属塩;スチレンスルホン酸基等のスルホン酸基を含有するラジカル重合性不飽和モノマー;メタクリル酸から誘導される第四級アンモニウム塩、例えば2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;並びに第三級アミン基を含有するアルコールのメタクリル酸エステル、例えばジエチルアミンのメタクリル酸エステル。
【0540】
多官能ビニルモノマーもまた、使用することができる。
【0541】
以下は、こうした化合物の例を表す:トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸ペンタエリスリチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,4-ブタンジオール、ジメタクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ネオペンチルグリコール、メタクリル酸トリメチロールプロパントリオキシエチル、ジメタクリル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメタクリル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジビニルベンゼン基を有するスチリル基で両末端がキャップされたポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を有する類似のシリコーン化合物。
【0542】
カルボシロキサンデンドリマーは、成分(B)であり、次式で表すことができる:
【0543】
【化41】
【0544】
[式中、Yは、前に定義したラジカル重合性有機基を表す。
以下は、ラジカル重合性有機基Yの好ましい例を表す:アクリルオキシメチル基、3-アクリルオキシプロピル基、メタクリルオキシメチル基、3-メタクリルオキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタアリル基及び5-ヘキセニル基。
R'は、前に定義したものである。
X1は、iが1に等しいとき、次の式:
【0545】
【化42】
【0546】
(式中、R1は、上で定義したものである。
R2は、2〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又は類似の直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基又は類似の分枝状アルキレン基を表す。
【0547】
これらすべての中で、エチレン、メチルエチレン、ヘキシレン、1-メチルペンチレン、及び1,4-ジメチルブチレン基が好ましい。
R3は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びイソプロピル基を表す。
Xi+1は、水素原子、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、又はi=i+1であるシリルアルキル基を表す。
aiは、0〜3の整数であり、iは、シリルアルキル基の繰り返しの数を表す階層数を示す1〜10の整数である)
で表されるシリルアルキル基を表す]。
【0548】
例えば、階層数が1に等しいとき、カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第1の一般式(式中、Y、R1、R2及びR3は、上で定義したものであり;R12は、水素原子を表し、又はR1と同一であり;a1は、aiと同一である)で表すことができる。好ましくは、分子中のOR3基の平均総数は、0〜7の範囲内にある。
【0549】
階層数が2に等しいとき、カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第2の一般式(式中、Y、R1、R2、R3及びR12は、上で定義したものと同一であり;a1及びa2は、示されている階層のaiを表す)で表すことができる。好ましくは、分子中のOR3基の平均総数は、0〜25の範囲内にある。
【0550】
階層数が3に等しいとき、カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第3の一般式(式中、Y、R1、R2、R3及びR12は、上で定義したものと同一であり;a1、a2及びa3は、示されている階層のaiを表す)で表される。好ましくは、分子中のOR3基の平均総数は、0〜79の範囲内にある。
【0551】
【化43】
【0552】
ラジカル重合性有機基を含有するカルボシロキサンデンドリマーは、次の平均構造式:
【0553】
【化44A】
【0554】
【化44B】
【0555】
で表すことができる。
【0556】
カルボシロキサンデンドリマーは、特開平9-171154号に記載されている、分枝鎖シルアルキレンシロキサンを製造する方法に従って製造することができる。
【0557】
例えば、それは、次の一般式:
【0558】
【化45】
【0559】
で表される、ケイ素原子に連結した水素原子を含有する有機ケイ素化合物に、及びアルケニル基を含有する有機ケイ素化合物に、ヒドロシリル化反応を施すことによって生成することができる。
【0560】
上記の式において、有機ケイ素化合物は、3-メタクリロキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シランに相当してもよく、3-アクリロキシプロピルトリスは、カルボシロキサンデンドリマー系単位が、(ジメチルシロキシ)シラン及び4-ビニルフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シランであるようなポリマーから選択されうる。アルケニル基を含有する有機ケイ素化合物は、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルフェニルシロキシ)シラン及び5-ヘキセニルトリス(トリメチルシロキシ)シランに相当しうる。
【0561】
ヒドロシリル化反応は、塩化白金酸、ビニルシロキサンと白金との錯体、又は類似の遷移金属触媒の存在下で実施する。
【0562】
少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー系単位が、式(I)で表されるカルボシロキサンデンドリマー性構造であるようなポリマーから選択されうる。
【0563】
【化46】
【0564】
{式中、Zは、二価の有機基であり、「p」は、0又は1であり、R1は、1〜10個の炭素原子を有するアリール又はアルキル基であり、Xiは、式(II)で表されるシリルアルキル基である:
【0565】
【化47】
【0566】
[式中、R1は、上で定義したものであり、R2は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、R3は、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基であり、Xi+1は、水素原子、10個までの炭素原子を含有するアリール基及びアルキル基、及びXi(式中、パワー「i」は、式(I)中のXi基についての値1を有する各カルボシロキサンデンドリマー性構造中に、開始シリルアルキル基の発生を示す1〜10の整数である)シリルアルキル基から選択される基であり、指数「ai」は、0〜3の整数である]}。
【0567】
少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマー中で、成分(A)と成分(B)との重合比は、(A)と(B)との質量比に換算して、0/100〜99.9/0.1、又は更には0.1/99.9〜99.9/0.1、好ましくは1/99〜99/1の範囲内とすることができる。成分(A)と成分(B)との比0/100は、化合物が成分(B)のホモポリマーとなることを意味する。
【0568】
少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーは、成分(A)と成分(B)との共重合によって、又は成分(B)単独の重合によって、得ることができる。
【0569】
重合は、フリーラジカル重合又はイオン重合であってよいが、フリーラジカル重合が好ましい。
【0570】
重合は、成分(A)と成分(B)との間に、溶液中、ラジカル開始剤の存在下で、温度50℃〜150℃において、3〜20時間、反応をもたらすことによって実施することができる。
【0571】
この目的に好適な溶媒は、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン又は類似の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン又は類似の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン又は類似のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン又は類似のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル又は類似のエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール又は類似のアルコール;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン又は類似のオルガノシロキサンオリゴマーである。
【0572】
ラジカル開始剤は、標準のフリーラジカル重合反応で当技術分野で既知である任意の化合物であってよい。こうしたラジカル開始剤の特定の例は、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)又はアゾビス型の類似の化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、過安息香酸tert-ブチル、2-エチルヘキサン酸tert-ブチルペルオキシ又は類似の有機ペルオキシドである。これらのラジカル開始剤は、単独で使用してよく、又は2種以上の組合せで使用してもよい。ラジカル開始剤は、成分(A)及び成分(B)の100質量部当たり、0.1〜5質量部の量で使用されうる。連鎖移動剤を加えてもよい。連鎖移動剤は、2-メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピル基を含有するポリジメチルシロキサン又はメルカプト型の類似の化合物;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化ブチル、3-クロロプロピルトリメトキシシラン又は類似のハロゲン化化合物とすることができる。
【0573】
ビニル型のポリマーの製造では、重合後に、残りの未反応ビニルモノマーを、真空加熱条件下で除去することができる。
【0574】
化粧用製品の出発材料の混合物を調製しやすくするために、カルボシロキサンデンドリマーを含有するビニルポリマーの数平均分子量は、3000から2000000の間、好ましくは5000から800000の間の範囲内で選択することができる。それは、液体、ガム、ペースト、固体、粉末又は任意の他の形態であってよい。好ましい形態は、ディスパーションの希釈液、又は溶媒中粉末の希釈液からなる溶液である。
【0575】
ビニルポリマーは、その分子側鎖内にカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル型のポリマーの、液体(例えばシリコーン油、有機油、アルコール又は水)中ディスパーションとすることができる。
【0576】
シリコーン油は、2つの分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたジメチルポリシロキサン、2つの分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、2つの分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、又は類似の非反応性直鎖状シリコーン油、及び更にヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン又は類似の環状化合物とすることができる。非反応性シリコーン油に加えて、末端に、又は分子側鎖内に、シラノール基、アミノ基及びポリエーテル基等の官能基を含有する修飾ポリシロキサンを使用することができる。
【0577】
有機油は、イソドデカン、液状パラフィン、イソパラフィン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル;パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ホホバ油、ガム油、ヒマワリ油、ダイズ油、ツバキ油、スクアラン、ヒマシ油、綿実油、ヤシ油、卵黄油、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール又は類似のグリコールエステル油;イソステアリン酸トリグリセリル、ヤシ油の脂肪酸のトリグリセリド又は多価アルコールエステルの類似の油;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル又は類似のポリオキシアルキレンエーテルとすることができる。
【0578】
アルコールは、化粧用製品の出発材料との組合せによる使用に好適な任意の型であってよい。例えば、アルコールは、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール又は類似の低級アルコールであってよい。
【0579】
アルコールの溶液又はディスパーションは、粘度が、25℃で10〜109mPaの範囲内にあるようにすべきである。化粧用製品に使用される場合の官能使用特性を向上させるために、粘度が、100〜5×108mPa.sの範囲内にあるようにすべきである。
【0580】
溶液及びディスパーションは、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーを、シリコーン油、有機油、アルコール又は水と混合することによって容易に調製されうる。液体は、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーを重合させる工程において存在することができる。この事例では、残りの未反応ビニルモノマーは、大気圧又は減圧下で、溶液又はディスパーションを熱処理して完全に除去されるべきである。
【0581】
ディスパーションの場合、ビニル型のポリマーの分散度は、界面活性剤を添加することで改善されうる。
【0582】
こうした作用剤は、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンスルホン酸、又はこれらの酸のナトリウム塩の陰イオン性界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、牛脂-トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヤシ油-トリメチルアンモニウムヒドロキシド、又は類似の陽イオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンのソルビトールエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールトリメチルノナノールのエチレンオキシド付加物、及びポリエステル型の非イオン界面活性剤、並びに更に混合物とすることができる。
【0583】
加えて、溶媒及びディスパーションは、粉末の形態にある、化粧用製品での使用に好適な酸化鉄又は類似の顔料、及び更に酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、雲母、タルク又は類似の無機酸化物と合わせることができる。ディスパーション中で、ビニル型のポリマーの平均粒径は、0.001〜100ミクロン、好ましくは0.01〜50ミクロンの範囲内とすることができる。この理由は、推奨範囲外では、エマルションと混合された化粧用製品が、皮膚上若しくは手触りが十分良くなく、又は十分な延展性若しくは快適な感触が十分でないことになるためである。
【0584】
ディスパーション又は溶液の中に含有されるビニルポリマーは、濃度が、0.1質量%から95質量%、好ましくは5質量%から85質量%の範囲内とすることができる。しかし、混合物の取扱い及び調製を容易にするためには、範囲は好ましくは10質量%から75質量%とするべきである。
【0585】
好ましい一態様によれば、本発明における使用に好適なビニルポリマーは、特許出願EP0963751の実施例に記載されているポリマーのうちの1種とすることができる。
【0586】
好ましい一実施形態によれば、カルボシロキサンデンドリマーでグラフト化されたビニルポリマーは、
(A)1種又は複数のアクリレート又はメタクリレートモノマー0.1〜99質量部と、
(B)トリス[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーのアクリレート又はメタクリレートモノマー100〜0.1質量部と
の重合の生成物とすることができる。
【0587】
一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーは、式:
【0588】
【化48】
【0589】
のうちの1つに相当するトリス[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマー系単位を含むことができる。
【0590】
好ましい一態様によれば、本発明において使用される少なくとも1種のカルボシロキサンデンドリマー系単位を含有するビニルポリマーは、少なくとも1種のアクリル酸ブチルモノマーを含む。
【0591】
一実施形態によれば、ビニルポリマーはまた、少なくとも1種のフルオロ有機基を含んでよい。フルオロビニルポリマーは、特許出願WO03/045337の実施例に記載されているポリマーのうちの1種とすることができる。
【0592】
好ましい一実施形態によれば、本発明の意味でグラフトされたビニルポリマーは、好ましくは揮発性であって特にシリコーン油及び炭化水素系油、並びにそれらの混合物から選択される、油、又は油の混合物中へ移されてよい。
【0593】
特定の一実施形態によれば、本発明における使用に好適なシリコーン油は、シクロペンタシロキサンであってよい。
【0594】
特定の別の実施形態によれば、本発明における使用に好適な炭化水素系油は、イソドデカンであってよい。
【0595】
本発明における使用に特に好適でありうる、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位でグラフト化されたビニルポリマーは、Dow Corning社により名称TIB 4-100、TIB 4-101、TIB 4-120、TIB 4-130、TIB 4-200、FA 4002 ID(TIB 4-202)、TIB 4-220及びFA 4001 CM(TIB 4-230)で販売されているポリマーである。Dow Corning社により名称FA 4002 ID(TIB 4-202)及びFA 4001 CM(TIB 4-230)で販売されているポリマーが好ましくは使用される。
【0596】
好ましくは、本発明の組成物中で使用できる、少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー系単位でグラフト化されたビニルポリマーは、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーであり、特にDow Corning社により名称Dow Corning FA 4002 ID Silicone Acrylateでイソドデカンとして販売されている製品である。
【0597】
シリコーンアクリレートコポリマー
特定の一実施形態によれば、本発明により使用される組成物は、疎水性皮膜形成性ポリマーとして、カルボキシレート基及びポリジメチルシロキサン基を含む少なくとも1種のコポリマーを含んでよい。
【0598】
本特許出願では、用語「カルボキシレート基及びポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」は、(a)1種又は複数のカルボン(酸又はエステル)モノマー、及び(b)1つ又は複数のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖から得るコポリマーを意味するものである。
【0599】
本特許出願では、用語「カルボン酸モノマー」は、カルボン酸モノマーと、カルボン酸エステルモノマーとの双方を意味するものである。したがって、モノマー(a)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、それらのエステル、並びにそれらのモノマーの混合物から選択されてよい。挙げることができるエステルには、以下のモノマーがある:アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル及び/又はクロトン酸エステル。本発明の好ましい一実施形態によれば、エステル形態にあるモノマーは、より詳細には、直鎖状又は分枝状の、好ましくはC1〜C24及び更に良好にはC1〜C22アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルから選択され、アルキル基は、優先的には、メチル、エチル、ステアリル、ブチル及び2-エチルヘキシル基、並びにそれらの混合物から選択される。
【0600】
したがって、本発明の特定の一実施形態によれば、コポリマーは、カルボキシレート基として、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにメチル、エチル、ステアリル、ブチル又はアクリル酸2-エチルヘキシル若しくはメタクリル酸2-エチルヘキシル、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0601】
本特許出願において、用語「ポリジメチルシロキサン」(オルガノポリシロキサンとしても知られ、PDMSと略記される)は、一般に許容されるものに従って、好適に官能化されたシランの重合及び/又は重縮合によって得られる、可変分子量の直鎖状構造の任意の有機ケイ素のポリマー又はオリゴマーであって、そのケイ素原子が酸素原子を介して一緒に連結している(シロキサン結合≡Si-O-Si≡)主な単位の繰り返しから本質的に成り、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結しているトリメチル基を含むものを指すものである。本発明に従って使用されるコポリマーを得るために使用できるPDMS鎖は、少なくとも1つの重合性ラジカル基を含み、好ましくは鎖の末端のうちの少なくとも1つに位置しており、即ち、PDMSは、例えば、重合性ラジカル基を鎖の2つの末端上に、又は1つの重合性ラジカル基を鎖の1つの末端上に且つ1つのトリメチルシリル末端基を鎖の他の末端上に有することができる。ラジカル重合性基は、特にアクリル基又はメタクリル基、具体的には、CH2=CR1-CO-O-R2[式中、R1は、水素又はメチル基を表し、R2は、-CH2-、-(CH2)n-(式中、n=3、5、8又は10)、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2 CH2-O-CH2-CH2-CH2-を表す]とすることができる。
【0602】
本発明の組成物中で使用されるコポリマーは、重合及びグラフト化の通常の方法に従って一般に得られ、例えば、(A)少なくとも1つの重合性ラジカル基(例えば、鎖の末端の1つにある、又は両端上にある)を含むPDMSと、(B)少なくとも1つのカルボン酸モノマーとのフリーラジカル重合によって得られ、それは例えば文献US-A-5061481及びUS-A-5219560に記載されている。
【0603】
得られたコポリマーは、一般に、分子量が、約3000〜200000であり、好ましくは約5000〜100000である。
【0604】
本発明の組成物中で使用されるコポリマーは、その天然の形態にあってよく、又はイソプロピルアルコール等の、2〜8個の炭素原子を含有する低級アルコール、又は揮発性シリコーン油(例えばシクロペンタシロキサン)等の油等の溶媒中に分散させた形態にあってよい。
【0605】
本発明の組成物中で使用できるコポリマーとして挙げることができるのは、例えば、ポリジメチルシロキサングラフトを含有するアクリル酸とアクリル酸ステアリルとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含有するメタクリル酸ステアリルのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含有するアクリル酸とメタクリル酸ステアリルとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含有する、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル及びメタクリル酸ステアリルのコポリマーである。本発明の組成物中で使用できるコポリマーとして具体的に挙げることができるのは、信越化学工業株式会社により名称KP-561(CTFA名:アクリレート/ジメチコン)、KP-541(そこでコポリマーはイソプロピルアルコール中60質量%で分散している)(CTFA名:アクリレート/ジメチコン及びイソプロピルアルコール)、及びKP-545(そこでコポリマーはシクロペンタシロキサン中30質量%で分散している)(CTFA名:アクリレート/ジメチコン及びシクロペンタシロキサン)である。本発明の好ましい一実施形態によれば、KP561が好ましくは使用され、このコポリマーは溶媒中に分散していないがワックス形態にあり、その融点は約30℃である。
【0606】
更に挙げることができるのは、ポリアクリル酸と、ジメチルポリシロキサンとの、イソドデカン中に溶解したグラフト化コポリマーであり、信越化学工業株式会社により名称KP-550で販売されている。
【0607】
非晶質であることが好ましい、炭化水素系ブロックコポリマー
本発明による組成物は、非晶質炭化水素系ブロックコポリマーとも呼ばれる、非晶質であることが好ましい、少なくとも1種の炭化水素系ブロックコポリマー、好ましくは、液体脂肪相に可溶性又は分散性であるブロックコポリマーを含むことが好ましい。
【0608】
炭化水素系ブロックコポリマーは、特に、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、放射状若しくは星型コポリマー、又はこれらの混合物でよい。
【0609】
このような炭化水素系ブロックコポリマーは、特許出願US-A-2002/005562及び特許US-A-5,221,534に記載されている。
【0610】
コポリマーは、そのガラス転移温度が好ましくは20℃未満、好ましくは0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である、少なくとも1つのブロックを含んでいてよい。前記ブロックのガラス転移温度は、-150℃から20℃の間、特に100℃から0℃の間でよい。
【0611】
本発明による組成物中に存在する炭化水素系ブロックコポリマーは、オレフィンの重合によって生成された非晶質コポリマーであることが好ましい。オレフィンは、特に、エチレン性不飽和モノマーでよい。
【0612】
挙げることのできるオレフィンの例には、特に、1つ又は2つのエチレン性不飽和を含んでおり、2〜5個の炭素原子を含有する、エチレン系炭化物モノマー、たとえば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンが含まれる。
【0613】
炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレンとオレフィンの非晶質ブロックコポリマーであることが有利である。
【0614】
少なくとも1つのスチレンブロックと、ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン、及びイソプレン、又はこれらの混合物から選択される単位を含む少なくとも1つのブロックとを含むブロックコポリマーが特に好ましい。
【0615】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、モノマーを重合させた後に水素化されて、残存するエチレン性不飽和が還元される。
【0616】
特に、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレンブロック及びエチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含んでいる、場合により水素化されたコポリマーである。
【0617】
挙げることのできる、水素化されていることが好ましい、ジブロックコポリマーには、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン/エチレン-プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/イソプレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマー、及びスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーが含まれる。ジブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社がKraton(登録商標)G1701Eの名称で販売している。
【0618】
挙げることのできる、水素化されていることが好ましい、トリブロックコポリマーには、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーが含まれる。トリブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社が、Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102、及びKraton(登録商標)D1160の名称で販売している。
【0619】
本発明の特定の一実施形態によれば、特に、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマーとスチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマーの混合物、特に、Kraton Polymers社がKraton(登録商標)G1657Mの名称で販売するものを使用することが可能である。
【0620】
本発明の好ましい一実施形態によれば、疎水性皮膜形成性ポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマー、スチレン/エチレン-プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/イソプレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、及びこれらの混合物から、更により好ましくは、スチレン/エチレン-プロピレンジブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、及びこれらの混合物から選択される、非晶質炭化水素系ブロックコポリマーから選択される。
【0621】
本発明による組成物は、少なくとも1つの炭化水素系ブロックコポリマーを含み、炭化水素系ブロックコポリマーが、組成物の総質量に対して0.1質量%以上、特に0.5質量%以上、好ましくは、組成物の総質量に対して0.8質量%から10質量%の間、より良好には、組成物の総質量に対して1質量%から8質量%の間の(総)含量で存在することが好ましい。
【0622】
炭化水素系樹脂
本発明による組成物は、有利には、先に述べたとおりの、非晶質であることが好ましい、少なくとも1種の炭化水素系ブロックコポリマーと合わせて、少なくとも1種の炭化水素系樹脂を含んでよい。
【0623】
本発明による組成物中に使用される(粘着性付与樹脂とも呼ばれる)樹脂は、数平均分子量が、10000g/mol以下、特に250〜10000g/molの範囲、好ましくは5000g/mol以下、特に250〜5000g/molの範囲、より良好には2000g/mol以下、特に250〜2000g/molの範囲、更により良好には1000g/mol以下、特に250〜1000g/molの範囲であることが好ましい。
【0624】
数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖状ポリスチレン標準物質を用いて作成される検量線、屈折率検出器)によって求める。
【0625】
本発明による組成物の樹脂は、粘着性を付与する樹脂であることが有利である。そのような樹脂は、特に、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive、Donatas Satas編、第3版、1989、609〜619頁に記載されている。
【0626】
炭化水素系樹脂は、含まれるモノマーのタイプに従って、次のとおりに分類することのできる、低分子量ポリマーから選択される。
- インデン炭化水素系樹脂、好ましくは、たとえば、大半の割合を占めるインデンモノマーと、スチレン、メチルインデン、及びメチルスチレン、並びにこれらの混合物から選択される、少ない割合を占めるモノマーの重合から得られる樹脂。こうした樹脂は、場合により水素化されていてもよい。こうした樹脂は、分子量が290〜1150g/molの範囲でよい。
【0627】
挙げることのできるインデン樹脂の例には、Exxon Chem.社がEscorez 7105の表示で、Neville Chem.社がNevchem 100及びNevex 100の表示で、Sartomer社がNorsolene S105の表示で、Hercules社がPicco 6100の表示で、Resinall Corp.社がResinallの表示で販売するもの、又はEastman Chemical社が「Regalite」の名称で販売する水素化されたインデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー、特に、Regalite R1100、Regalite R1090、Regalite R7100、Regalite R1010 Hydrocarbon Resin、及びRegalite R1125 Hydrocarbon Resinが含まれる。
【0628】
- 脂肪族ペンタンジエン樹脂、たとえば、主要な1,3-ペンタンジエン(trans-又はcis-ピペリレン)モノマーと、イソプレン、ブテン、2-メチル-2-ブテン、ペンテン、及び1,4-ペンタンジエン、並びにこれらの混合物から選択される、副モノマーの重合から得られるもの。こうした樹脂は、分子量が1000〜2500g/molの範囲でよい。
【0629】
このような1,3-ペンタンジエン樹脂は、たとえば、Eastman Chemical社がPiccotac 95の表示で、Exxon Chemicals社がEscorez 1304の表示で、Neville Chem.社がNevtac 100の表示で、又はGoodyear社がWingtack 95の表示で販売している。
【0630】
- 上述のもの等のペンタンジエンモノマーとインデンモノマーの混合物の重合から得られる、ペンタンジエンとインデンの混合樹脂、たとえば、Exxon Chemicals.社がEscorez 2101の表示で、Neville Chem.社がNevpene 9500の表示で、Hercules.社がHercotac 1148の表示で、Sartomer社がNorsolene A 100の表示で、Goodyear社がWingtack 86、Wingtack Extra、及びWingtack Plusの表示で販売する樹脂。
【0631】
- シクロペンタンジエン二量体のジエン樹脂、たとえば、インデン及びスチレンから選択される第1のモノマーと、ジシクロペンタンジエン、メチルジシクロペンタンジエン、他のペンタンジエン二量体、及びこれらの混合物等のシクロペンタンジエン二量体から選択される第2のモノマーの重合から得られるもの。こうした樹脂は、一般に、分子量が500〜800g/molの範囲である。たとえば、Arizona Chemical Co.社がBetaprene BR 100の表示で、Neville Chem.社がNeville LX-685-125及びNeville LX-1000の表示で、Hercules社がPiccodienE 2215の表示で、Lawter社がPetro-Rez 200の表示で、又はResinall Corp.社がResinall 760の表示で販売するもの。
【0632】
- イソプレン二量体のジエン樹脂、たとえば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーの重合から得られるテルペン系樹脂。こうした樹脂は、分子量が300〜2000g/molの範囲となりうる。このような樹脂は、たとえば、Hercules社がPiccolyte A115及びS125の名称で、又はArizona Chem社がZonarez 7100若しくはZonatac 105 Liteの名称で販売している。
【0633】
- 水素化されたC6〜C20ポリオレフィン、たとえば、Eastman Chemical Co.社がEastotac H-142W、Eastotac H-142R、及びEastotac H-100Wの名称で販売するもの。
【0634】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、インデン炭化水素系樹脂、特に、水素化されたインデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー、たとえば、Eastman Chemical社がRegaliteの名称で販売するもの、たとえば、Regalite R1100、Regalite R1090、Regalite R7100、Regalite R1010 Hydrocarbon Resin、及びRegalite R1125 Hydrocarbon Resinから選択される。
【0635】
炭化水素系樹脂は、組成物の総質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%の範囲、より優先的には1〜5質量%の範囲の含量で本発明による組成物中に存在してよい。
【0636】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して少なくとも1質量%の炭化水素系樹脂を含むことが好ましい。
【0637】
水相
本発明による組成物は、水相を含んでよい。
【0638】
この水相は、存在するとき、本発明に従って要求される粉状の製剤形態と共存できる量で使用される。
【0639】
水相は、脱イオン水、又は別法として、ヤグルマギク水等のフラワーウォーター、及び/若しくは、Vittel水、Lucas水、La Roche Posay水等の鉱水、及び/若しくは湧水でよい。
【0640】
水相は、特に2〜20個の炭素原子を含有する、好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する、優先的には2〜6個の炭素原子を有するポリオール類、たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール;(特に3〜16個の炭素原子を有する)グリコールエーテル類、たとえば、モノ-、ジ-、又はトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-、又はトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル;及びこれらの混合物から特に選択される、室温(25℃)で水と混和性であるポリオールを含むこともある。
【0641】
本発明による組成物は、室温で水と混和性であるポリオールを含んでよい。そのようなポリオールは、組成物が適用される皮膚表面の保湿を促進しうる。
【0642】
加えて、本発明による組成物は、2〜6個の炭素原子を含有するモノアルコール、たとえば、エタノールやイソプロパノールも含んでよい。
【0643】
本発明による組成物は、水相、特に水を、組成物の総質量に対して5質量%未満しか含まないことが有利である。本発明による組成物は、水相を含まない、特に水を含まないことが優先される。
【0644】
補助剤
組成物は、化粧品に一般に使用される他の成分(補助剤)、たとえば、保存剤、化粧活性剤、保湿剤、UV遮蔽剤、増粘剤、香料を含んでよい。
【0645】
当然のことながら、当業者は、本発明による組成物に本質的に付与される有利な特性が、想定した添加によって不利益な影響を受けない、又は実質的に受けないように、本発明による組成物に加える任意選択の補助剤又は補助剤の選択に注意を払うことになる。
【0646】
「湿式法」による製造方法
以下の、この方法についての記述において、脂肪相とは、1種又は複数の皮膜形成性ポリマーを場合により含む油相を指す。
【0647】
本発明による化粧用組成物は、好ましくは、「湿式法」によって取得することができ、「湿式法」によって取得することがより優先され、
- 脂肪相と、粉体相と、少なくとも1種の追加の揮発性溶媒とを混合して、懸濁液を調製する工程と、
- その結果として得られる組成物を、両端の数字を含めて、2バールから20バールの間、より良好には2バールから20バールの間、より優先的には2バールから10バールの間でプレスすることにより成形する工程と、
- 追加の揮発性溶媒を、好ましくは完全に除去する工程と
を含む。
【0648】
追加の揮発性溶媒は、有機である、特に、イソドデカン等の揮発性炭化水素系溶媒であることが好ましい。
【0649】
追加の揮発性溶媒を除去する工程は、吸引によって実施することが有利である。
【0650】
有利に使用される方法は、たとえばオーブンにおいて、たとえば30℃から100℃の間の温度で乾燥させる追加の工程を含む。
【0651】
用語「好ましくは完全に」とは、揮発性溶媒が、組成中に痕跡だけしか残り得ないように除去されて、組成物の総質量に対して1質量%未満の含量でしか存在しない、好ましくは、この調製方法の結果として得られる前記化粧用組成物が無いことを意味すると理解すべきである。
【0652】
使用する追加溶媒含量は、調製される組成物100g当たり20gより多い、好ましくは、調製される組成物100g当たり20gから50gの間であることが好ましい。
【0653】
使用する方法は、たとえば組成物100g当たり10g未満の、少量の追加溶媒を使用し、本発明の意味の範囲内の懸濁液の生成が可能にならない、「半湿式法」とは異なることが好ましい。
【0654】
使用する方法は、コンパクト化する前に懸濁液を乾燥させる方法とは異なることが好ましい。したがって、使用する方法は、使用した揮発性溶媒を、プレスする前に組成物から除去する方法とは異なることが好ましい。
【0655】
混合工程
この工程では、脂肪相の化合物と、粉体相の化合物と、追加の揮発性溶媒とを、粉状材料の溶媒懸濁液又は分散液が調製されるように混合する。
【0656】
粉体相は、脂肪相と混合する前に、適切ないずれかの手段によって微粉砕することが好ましい。
【0657】
混合工程は、たとえば、押出機、Henschelミキサー、又は適切な他のいずれかの手段によって実施することができる。
【0658】
特定の一実施形態によれば、脂肪相と粉体相の化合物を混合して混合物を生成し、次いで、1種又は複数の追加の揮発性溶媒を、前記の脂肪相-粉体相混合物と混合する。
【0659】
別の実施形態によれば、脂肪相の化合物と追加の揮発性溶媒を混合して混合物を生成し、次いで粉体相を前記の脂肪相-追加の揮発性溶媒混合物と混合する。
【0660】
油相、好ましくはより一般に脂肪相、及び粉体相は、前記油相、好ましくはより一般に脂肪相の前記粉体相に対する質量比が、20:18〜50:50、好ましくは25:75〜45:65、より好ましくは30:70〜40:60の範囲になるような、それぞれの含量で存在する。
【0661】
追加の揮発性溶媒は、水、エタノールやイソプロパノール等の低級アルコール、エーテル、過フッ化炭化水素、揮発性直鎖状又は環状シリコーン油、及び揮発性炭化水素系油から、好ましくは揮発性炭化水素系油から選択される。
【0662】
必要なら、混合工程の間に脱気工程を実施することができる。
【0663】
成形工程
この工程では、懸濁液を、容器又はケースにおいて、場合により吸引工程を伴うプレスによって成形する。
【0664】
好ましくは、組成物を受け入れる容器は、残留揮発性溶媒を除去するためのものであるが、組成物が通過するのを妨げる、空孔を有してよい。
【0665】
脂肪相-粉体相-追加の揮発性溶媒懸濁液を容器に入れる方法は、限定されない。この工程は、流し込み、(容器の頂部からの)トップ射出、又は他に(容器の底部からの)バック射出によって実施することができる。
【0666】
懸濁液を容器においてプレスする工程は、いずれかの手段によって、特に、プレス機等の機械的手段、又は前記組成物をタッピングする目的で懸濁液と接触する、平たい表面を有する、若しくは(組成物の表面において効果が所望される場合)型押しされた、プレートによって実施することができる。
【0667】
吸引工程は、たとえば真空を適用して、容器中の圧力を下げることにより実施できる。吸引工程は、数回繰り返すことができる。必要なら、振動を起こしてもよい。
【0668】
プレス工程及び/又は吸引工程により、追加の揮発性溶媒の少なくとも部分的な、好ましくは完全な除去が可能になる結果、組成物が凝固する。
【0669】
乾燥工程
この工程では、成形された懸濁液を乾燥させて、残留する追加の揮発性溶媒を除去することができる。この乾燥の温度及び時間は、特に、使用する追加の揮発性溶媒の性質に応じて決まる。したがって、この乾燥工程は、たとえば、30℃から100℃の間の温度で実施することができる。必要となる時間は、たとえば、1/2時間〜48時間の範囲となりうる。
【0670】
本発明による組成物の製造には、「湿式法」製造方法が好ましく、より有利ではあるが、本発明による配合物を調製するために、より従来型の「乾式法」製造方法を実施することもできる。
【0671】
組立品
別の態様によれば、本発明はまた、
i)1つ又は複数の区画の境界を定めており、閉じ部材によって閉じられ、場合により漏れ止めされていない、容器と、
ii)前記区画の内部に据えられた、本発明によるメイクアップ及び/又はケア組成物と
を含む、化粧用組立品に関する。
【0672】
容器は、たとえば、ポット又はケースの形態にすることができる。
【0673】
閉じ部材は、変形によって、又は前記メイクアップ及び/若しくはケア組成物を収容する容器を軸とした回転によって外すことができるように取り付けられたキャップを含む蓋の形にすることができる。
【実施例】
【0674】
本発明を非限定的に説明するためのいくつかの実施例についてここで述べる。
【0675】
本発明による、プレストパウダー、フェースパウダーの形態の前記化粧用組成物を、次のとおりに調製し、次いで、種々の、特に感覚による、化粧品評価基準に従って試験した。
【0676】
調製した実施例1〜9の製剤には、球状フィラーを、単独又は混合物として、同等又は異なる含量で使用している、様々な例のフェースパウダーが用いられ、これらを、層状フィラーだけを含む例と比較する。
【0677】
【表2A】
【0678】
【表2B】
【0679】
以下の手順を使用して、本発明による組成物を調製した。
【0680】
1- P相の調製:
P相(粉体相)の化合物を秤量し、次いで、Novamix 1Lミキサー-ディスパーサーにおいて、3000rpmでのパドル撹拌及び2700rpmでの脱ケーキング(decaking)によって、3分30秒間かけて分散させた。次いで、真珠光沢剤を混合物に導入し、3000rpmでのパドル撹拌によって、3分間かけて分散させた。
【0681】
2- F相の調製:
F相(脂肪相)の化合物を秤量して加熱用受皿に入れ、次いで95℃に加熱し、解膠剤(Turbotest 33/300 PH - Rayneri、VMIグループ)を使用して撹拌しながら均質化する。混合物が均質になったなら、それを55℃に冷却して、保存系の化合物を導入する。
【0682】
3- 配合物の仕上げ:
Kenwood Chef KM010ブレンダーにおいて、P相とF相を撹拌しながら一緒にし、次いで、イソドデカン等の揮発性有機溶媒を、調製される組成物100g当たり少なくとも20gのイソドデカンが加えられるような比率にしたがって導入する。次いで、混合物をおよそ2分間均質化する。
【0683】
次いで、得られた調製物を、るつぼにおいて手作業でプレスする。イソドデカンは、毛管現象によって上昇し、布に吸収される。
【0684】
この調製、特に、場合により吸引を伴うプレス工程の実施には、Nanyo機械を使用することができる。
【0685】
任意選択の工程によれば、組成物は、揮発性有機溶媒を除去するこの工程を加速させ、又は改善するために、30℃から80℃の間、たとえば45℃のオーブン又は炉に入れて加熱することができる。
【0686】
感覚評価
評価プロトコール:
評価プロトコールは、10人の熟練者からなるパネルにおいて行い、
- 粉末のテクスチャー
- 感覚性、特に触れ心地の柔らかさ、クリーミーさ、取り込まれた後のすべすべ感、
- 適用(取り上げられる量、適用しやすさ、適用後の接着性)、
- メイクアップ結果:本発明による組成物の均一性、パウダー効果、被覆性、色彩効果、マット感、1日を通しての快適さ、着用特性、メイクアップの落としやすさ
に関する結果を、同じ人物によって評価した。
【0687】
結果
試験者パネルによって、特に、ファンデーションとパウダーの間のテクスチャー、より詳細には、特に崩壊及び適用の際の軽いテクスチャー、適用しやすさ、適用の際に跡がつかないこと、付着の均一性、マット感付与効果、不備点の軽減、日中を通しての良好な着用特性、快適さの感覚、皮膚に付与される柔らかさ、及び自然な効果の側面が前面に出された。
【0688】
球状フィラーを含まない、配合物10については、特に、崩壊後のすべすべ感がそれほど示されず、より粗く、乾燥し、快適でなく、皮膚に付与される柔らかさもより少ない。
【0689】
耐衝撃性の測定
測定原理
Co Pack社(イタリア国)が販売するPackage Drop-Test機械として知られている、このような測定を行うのに使用する機械により、コンパクトパウダー形態の固体組成物に関する落下試験を行って、その耐衝撃性を測定することが可能になる。落下高さは30cmとする。小さい定規によって、コンパクトを保持する支持体のサイズを(るつぼの大きさに応じて)設定し、次いで、支持体の開口部を動かす圧縮空気によって、コンパクトを落下させる。
【0690】
この機械は、配合者が30cmの定規を使用して以前に行った手作業による落下試験に代わるものである。この新しい方法において、試験は、再現可能であり、したがってより信頼できる。
【0691】
こうした落下試験によって、フェースパウダーの良好な耐性が示され、測定された落下値は、1以上、特に、より厳密には1より大きい、特に2から5の間である(実質上ひび割れ又は離型がない)。
【0692】
本発明の状況では、化合物又は化合物の一群について示す質量百分率は、常に、問題の化合物の乾燥物の質量として示されると理解される。
【0693】
本特許出願全体において、用語「間」とは、別段指定しない限り、「両端を含めた間」を意味すると理解すべきである。
【0694】
本特許出願全体において、用語「comprises one」又は「includes one」(「1つを含む」)は、別段指定しない限り、「comprising at least one」又は「including at least one」(「少なくとも1つを含む」)を意味すると理解すべきである。