(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の無線基地局と携帯通信端末装置との間の通信を、アップリンク信号及びダウンリンク信号による時分割通信により中継する通信中継システムで実行される制御方法であって、
当該通信中継システムの中継により発生する伝送遅延時間を検出する過程と、
前記一の無線基地局とダウンリンク期間の同期が取られた他の無線基地局が存在する場合に、前記ダウンリンク信号の受信とアップリンク信号の送信との切換えを前記中継により発生する前記伝送遅延時間に基づいたタイミングで調整する過程と、
を備えた制御方法。
一の無線基地局と携帯通信端末装置との間の通信を、アップリンク信号及びダウンリンク信号による時分割通信により中継する通信中継システムをコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
当該通信中継システムの中継により発生する伝送遅延時間を検出する手段と、
前記一の無線基地局とダウンリンク期間の同期が取られた他の無線基地局が存在する場合に、前記ダウンリンク信号の受信とアップリンク信号の送信との切換えを前記中継により発生する前記伝送遅延時間に基づいたタイミングで調整する手段と、
して機能させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態の携帯電話通信ネットワークの概要構成ブロック図である。
携帯電話通信ネットワーク10は、図示しない関門交換機(Interconnecting Gateway Switch)を介して他接続事業者通信ネットワーク11との間の相互接続を行い、当該接続事業者に属する携帯電話端末の接続制御を行う携帯電話コアネットワーク12と、携帯電話コアネットワーク12に接続され、後述の基地局の管理及び制御を行う複数の基地局制御装置13と、各基地局制御装置13に接続される複数(
図1では三つ)の無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)14−1〜14−3と、対応する無線基地局14−1に光ケーブルLCで接続された光リピータシステム(通信中継システム)15と、光リピータシステム15及び無線基地局14−2に接続され、光リピータシステム15及び無線基地局14−2においてアンテナ16の共用を行うアンテナ共用・分配器17と、を備えている。
本実施形態においては、光リピータシステム15は、いわゆる不感地帯の一種であるビルディングBLD内及び地下街UG内に配置されているものとする。
【0009】
図2は、二つの無線基地局の通信エリアの説明図である。
アンテナ共用・分配器17に接続されている無線基地局14−1及び無線基地局14-2は、
図2に示すように通信エリアがほぼ同じであり、互いに同期して動作している。
図3は、二つの無線基地局の通信周波数の説明図である。
図3に示すように、アンテナ共用・分配器17に接続されている無線基地局14−1が使用している周波数帯=F1であり、同じくアンテナ共用・分配器17に接続されている無線基地局14-2が使用している周波数帯=F2であり、互いに隣接した周波数帯となっている。
【0010】
図4は、光リピータシステムの概要構成ブロック図である。
光リピータシステム15は、無線基地局14−1と通信ケーブルで接続された親機装置(MU:Master Unit)21と、親機装置21に光通信ケーブルを介して接続されたハブ装置(HU:Hub Unit)22−1と、ハブ装置22−1に光通信ケーブルを介して接続されハブ装置22−1を介して親機装置21に接続されたハブ装置22−2と、ハブ装置22−1あるいはハブ装置22−2に光通信ケーブルを介して接続され、携帯電話、スマートフォン等の携帯通信端末装置23に対して無線接続可能な複数の子機装置(RU:Remote Unit)24、24Aと、を備えている。なお、
図2中、子機装置24、24Aは、RUと表記している。
上記構成において、子機装置24Aは、アンテナ共用・分配器17を介して無線基地局14−2とアンテナ16を共用している。
【0011】
[1]第1実施形態
図5は、第1実施形態の親機装置及び子機装置の概要構成ブロック図である。
図5においては、説明の容易のため、ハブ装置22−1については記載を省略している。
親機装置21は、一端が無線基地局14-1に接続され、ダウンリンク通信路DLCとアップリンク通信路ULCとを切り替えるためのスイッチ31と、ダウンリンク通信路DLCの伝送信号を2系統に分岐するカプラ32と、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力され、TDD(Time Division Duplex)タイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整制御を行うTDDタイミング抽出・制御部33と、TDDタイミング抽出・制御部33の制御下で各子機装置24、24A毎に実際のTDDタイミング調整を行うためのTDDタイミング調整信号を生成し出力するTDDタイミング調整部34と、を備えている。
【0012】
また、親機装置21は、一端がダウンリンク通信路DLCに接続され、電/光変換を行って他端側から子機装置24、24A側に出力するE/O変換部35と、一端が子機装置24、24A側に接続され、子機装置24、24A側から入力されたアップリンク信号の光/電変換を行って他端側からアップリンク通信路ULCに出力するO/E変換部36と、遅延測定用信号をE/O変換部35を介して子機装置24、24Aに出力するとともに遅延測定用信号を受信した子機装置24、24Aが返送した遅延測定用信号をO/E変換部36を介して受信し、遅延測定用信号の送信時刻及び受信時刻に基づいて遅延時間を測定する遅延測定部37と、親機装置21全体の制御を行う制御部38と、を備えている。
【0013】
子機装置24は、親機装置21側から入力されたダウンリンク信号の光/電変換を行って出力するO/E変換部41と、O/E変換部41の出力信号であるダウンリンク信号を増幅して出力する増幅器42と、一端がアンテナ25に接続され、ダウンリンク受信時とアップリンク送信時とで通信路を切り替えるためのスイッチ43と、アンテナ25及びスイッチ43を介して入力されたアップリンク信号を低ノイズで増幅するロウノイズ増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)44と、ロウノイズ増幅器44の出力信号の電/光変換を行って出力するE/O変換部45と、親機装置21のTDDタイミング調整部からのTDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行うTDDタイミング制御部46と、子機装置24全体の制御を行う制御部47と、を備えている。
ここで、子機装置24が子機装置24Aとして構成される場合には、スイッチ43は、アンテナ25に代えて、アンテナ共用・分配器17を介してアンテナ16に接続される。
【0014】
ここで、実施形態の動作説明に先立ち、従来の光リピータシステムの問題点について検討する。
図4に示すように、無線基地局14−1においては、無線基地局14−1とアンテナ16との間には、光リピータシステム15及びアンテナ共用・分配器17が設けられている。
【0015】
これに対し、無線基地局14−2においては、アンテナ共用・分配器17のみが設けられている。
したがって、ダウンリンク信号に着目すると、無線基地局14−1においては、無線基地局14−2と比較して光リピータシステム分の信号遅延が発生することは明らかである。
【0016】
ところで、TDD方式を採用するシステムにおいては、異なる無線基地局(
図4の例の場合、無線基地局14−1及び無線基地局14−2)であってもダウンリンク期間と、アップリンク期間との、衝突を避けるために同期を取ることを実施している。
しかしながら、この同期は、あくまで無線基地局間の同期を取ることが目的である。
したがって、子機装置24における遅延については考慮されない。そのため、
図2に示した構成においては、対応する子機装置24から出力される無線基地局14−1側の信号と、対応する子機装置24から出力される無線基地局14−2側の信号とは、タイミングがずれていることとなる。
【0017】
図6は、従来の問題点の説明図である。
より具体的には、
図6に示すように、無線基地局14−1に接続されている光リピータシステム15においては、光ファイバ分の伝送遅延が発生するので避けることはできない。
このため、光リピータシステム15におけるダウンリンク信号DLとアップリンク信号ULのタイミングを、伝送遅延の影響により無線基地局14−2側のタイミングに合わせることはできない。
【0018】
すなわち、無線基地局14−1側の子機装置24Aがアップリンク期間と認識しているタイミングにおいても、無線基地局14−2がダウンリンク信号を出力することとなる。
したがって、無線基地局14−1側の子機装置24Aは、アップリンク期間だと認識している期間において、無線基地局14−2のダウンリンク信号DLを受信してしまうことになる。すなわち、時刻t1〜時刻t2の期間及び時刻t3〜時刻t4の期間において、無線基地局14−1側の子機装置24Aは、未だアップリンク期間中として動作しているにも拘わらず、無線基地局14−2によるダウンリンク信号DLを受信してしまうこととなるのである。
【0019】
一般的に、ダウンリンク信号は、広範囲に伝送する必要があるため、アップリンク信号に比べて信号レベルが高い。
このため、無線基地局14−1側の子機装置24、24Aにおいては、アップリンク期間に異常に信号レベルが高い信号が入力されたと認識し、正常に動作することができなくなってしまうという問題点が生じることとなっていた。
【0020】
そこで、本第1実施形態においては、光リピータシステム15を構成している親機装置21がTDDタイミングを抽出して、当該光リピータシステム15を構成している子機装置24、24AについてTDDタイミングを調整して、光リピータシステム15を備えていない無線基地局14−2側からの影響を除去するようにしている。
【0021】
図7は、第1実施形態のタイミングチャートである。
図7に示すように、無線基地局14−1及び無線基地局14−2のダウンリンク期間への移行開始が時刻t1である場合に子機装置24、24Aのダウンリンク期間への移行開始が時刻t2であり、無線基地局14−1及び無線基地局14−2のアップリンク期間への移行開始が時刻t3であり、実際に子機装置24、24Aからのアップリンク信号が到達した時刻が時刻t4である場合に、光リピータシステム15のダウンリンク遅延時間TDLdly及びアップリンク遅延時間TULdlyは、それぞれ次式により表される。
TDLdly=t2−t1
TULdly=t4−t3
【0022】
また、無線基地局14−1及び無線基地局14−2において、時刻t1に開始されるいダウンリンク期間の次にダウンリンク期間に移行開始する時刻が時刻t7であるとすると、子機装置24、24Aにおけるアップリンク期間の終了時刻TULendは、次式により表される時刻以前である必要がある。
TULend=t7−TULdly
【0023】
このことは、子機装置24、24Aにおける時刻t2に開始されるいダウンリンク期間の次にダウンリンク期間に移行開始する時刻が時刻t8であるとすると、子機装置24、24Aにおけるアップリンク期間の終了時刻TULendは、次式により表される時刻以前である必要がある。
TULend=t8−TDLdly−TULdly
したがって、子機装置24、24Aにおいて、スイッチをダウンリンク側に切り替えるタイミングTswは、次式を満たしている必要がある。
t7−TULdly≦Tsw(=t6)≦t8−TDLdly−TULdly
【0024】
次に具体的な処理手順について説明する。
図8は、第1実施形態の処理フローチャートである。
親機装置21の遅延測定部37は、まず、伝送遅延時間を測定するための遅延測定用信号をE/O変換部35に出力する(ステップS11)。
【0025】
これによりE/O変換部35は、遅延測定用信号のE/O変換(電/光変換)を行って、下位装置である子機装置24、24Aに出力する(ステップS12)。
子機装置24、24AのO/E変換部41は、親機装置21側から入力された遅延測定用信号のO/E変換(光/電変換)を行ってE/O変換部45に出力する。
E/O変換部45は、遅延測定用信号の電/光変換を行って上位装置である親機装置21に出力する。
【0026】
続いて親機装置21のO/E変換器36は、子機装置24、24Aが返送した遅延測定用信号の光/電変換を行って遅延測定部37に出力する。
遅延測定用信号を受信した遅延測定部37は、遅延測定用信号の送信時刻及び受信時刻に基づいて遅延時間を測定し、TDDタイミング調整部34に出力する(ステップS)。
これらと並行して、TDDタイミング抽出・制御部33は、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力され、TDDタイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整部34に対しTDDタイミング調整制御を行う。
【0027】
この結果、TDDタイミング調整部34は、TDDタイミング抽出・制御部33の制御下で各子機装置24、24A毎に実際のTDDタイミング調整を行うためのTDDタイミング調整信号を生成し、E/O変換部35は、入力されたTDDタイミング調整信号のE/O変換を行って、下位装置である子機装置24、24Aに出力する。
子機装置24、24AのO/E変換部41は、親機装置21側から入力されたTDDタイミング調整信号のO/E変換(光/電変換)を行ってTDDタイミング制御部46に出力する。
【0028】
TDDタイミング制御部46は、入力されたTDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行い、ダウンリンク信号DLの伝送及びアップリンク信号ULの伝送を行う。
【0029】
このときのTDDタイミング制御部46に入力されるTDDタイミング調整信号は、上述したように、子機装置24、24Aにおいて、スイッチをダウンリンク側に切り替えるタイミングTswは、次式を満たしているので、無線基地局14−1側の子機装置24、24Aが、アップリンク期間だと認識している期間において、無線基地局14−2のダウンリンク信号DLを受信してしまうことは起こらない。
t7−TULdly≦Tsw(=t6)≦t8−TDLdly−TULdly
すなわち、子機装置24、24Aにおいてアップリンク信号を送信している時間帯において、無線基地局14−2側からダウンリンク信号を受信してしまうことはないので、子機装置24、24Aは、確実にアップリンク動作を行うことができる。
【0030】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、光リピータシステム15を介して無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−1)に接続されている子機装置24、24Aを介して通信を行う携帯通信端末装置23あるいは無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−2)と直接通信を行う携帯通信端末装置23のいずれであっても、無線基地局14−1、14−2のダウンリンク期間にアップリンク信号ULが送出されることが無い、換言すれば、子機装置24、24Aがアップリンク期間において、ダウンリンク信号DLが他の無線基地局から入力されることはないので、子機装置24、24Aは正常に動作を継続することが可能となる。
【0031】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、TDDタイミング調整部を子機装置24、24A側に設けた点である。
【0032】
図9は、第2実施形態の親機装置及び子機装置の概要構成ブロック図である。
図9においても、
図5と同様に説明の容易のため、ハブ装置22−1については記載を省略している。
図9において、
図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0033】
親機装置21は、一端が無線基地局14-1に接続され、ダウンリンク通信路DLCとアップリンク通信路ULCとを切り替えるためのスイッチ31と、ダウンリンク通信路DLCの伝送信号を2系統に分岐するカプラ32と、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力され、TDD(Time Division Duplex)タイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整制御を行うTDDタイミング抽出・制御部33と、を備えている。
【0034】
また、親機装置21は、一端がダウンリンク通信路DLCに接続され、電/光変換を行って他端側から子機装置24、24A側に出力するE/O変換部35と、一端が子機装置24、24A側に接続され、子機装置24、24A側から入力されたアップリンク信号の光/電変換を行って他端側からアップリンク通信路ULCに出力するO/E変換部36と、遅延測定用信号をE/O変換部35を介して子機装置24、24Aに出力するとともに遅延測定用信号を受信した子機装置24、24Aが返送した遅延測定用信号をO/E変換部36を介して受信し、遅延測定用信号の送信時刻及び受信時刻に基づいて遅延時間を測定する遅延測定部37と、親機装置21全体の制御を行う制御部38と、を備えている。
【0035】
子機装置24は、親機装置21側から入力されたダウンリンク信号の光/電変換を行って出力するO/E変換部41と、O/E変換部41の出力信号であるダウンリンク信号を増幅して出力する増幅器42と、一端がアンテナ25に接続され、ダウンリンク受信時とアップリンク送信時とで通信路を切り替えるためのスイッチ43と、アンテナ25及びスイッチ43を介して入力されたアップリンク信号を低ノイズで増幅するロウノイズ増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)44と、ロウノイズ増幅器44の出力信号の電/光変換を行って出力するE/O変換部45と、親機装置21のTDDタイミング抽出・制御部33が送信したTDDタイミング信号に基づいて、各子機装置24、24A毎に実際のTDDタイミング調整を行うための第2TDDタイミング調整信号を生成し出力するTDDタイミング調整部51と、TDDタイミング調整部51からのTDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行うTDDタイミング制御部46と、子機装置24全体の制御を行う制御部47と、を備えている。
【0036】
次に第2実施形態の動作を説明する。
この場合において、親機装置21の遅延測定部37は、第1実施形態と同様に、遅延時間を測定し、TDDタイミング調整部51に出力しているものとする。
これによりTDDタイミング抽出・制御部33は、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力されて、TDDタイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整制御を行うためのタイミング調整制御信号を生成して、E/O変換部35を介して子機装置24、24Aに出力する。
【0037】
子機装置24、24AのO/E変換部41は、親機装置21側から入力された第1TDDタイミング調整制御信号のO/E変換(光/電変換)を行ってTDDタイミング調整部51に出力する。
この結果、TDDタイミング調整部51は、タイミング調整制御信号に基づいて実際のTDDタイミング調整を行うためのTDDタイミング調整信号を生成し、TDDタイミング制御部46に出力する。
TDDタイミング制御部46は、入力されたTDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行い、ダウンリンク信号DLの伝送及びアップリンク信号ULの伝送を行う。
【0038】
このときのTDDタイミング制御部46に入力されるTDDタイミング調整信号は、第1実施形態と同様に子機装置24、24Aにおいて、スイッチをダウンリンク側に切り替えるタイミングTswは、次式を満たしているので、無線基地局14−1側の子機装置24、24Aが、アップリンク期間だと認識している期間において、無線基地局14−2のダウンリンク信号DLを受信してしまうことは起こらない。
t7−TULdly≦Tsw(=t6)≦t8−TDLdly−TULdly
すなわち、子機装置24、24Aにおいてアップリンク信号を送信している時間帯において、無線基地局14−2側からダウンリンク信号を受信してしまうことはないので、子機装置24、24Aは、確実にアップリンク動作を行うことができる。
【0039】
以上の説明のように、本第2実施形態によっても、光リピータシステム15を介して無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−1)に接続されている子機装置24、24Aを介して通信を行う携帯通信端末装置23あるいは無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−2)と直接通信を行う携帯通信端末装置23のいずれであっても、無線基地局14−1、14−2のダウンリンク期間にアップリンク信号ULが送出されることが無い、換言すれば、子機装置24、24Aがアップリンク期間において、ダウンリンク信号DLが他の無線基地局から入力されることはないので、子機装置24、24Aは正常に動作を継続することが可能となる。
【0040】
[3]第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。
第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、TDDタイミング調整部を親機装置21及び子機装置24、24A側にそれぞれ設けた点である。
【0041】
図10は、第3実施形態の親機装置及び子機装置の概要構成ブロック図である。
図10においても、
図5と同様に説明の容易のため、ハブ装置22−1については記載を省略している。
図10において、
図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0042】
親機装置21は、一端が無線基地局14-1に接続され、ダウンリンク通信路DLCとアップリンク通信路ULCとを切り替えるためのスイッチ31と、ダウンリンク通信路DLCの伝送信号を2系統に分岐するカプラ32と、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力され、TDD(Time Division Duplex)タイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整制御を行うTDDタイミング抽出・制御部33と、TDDタイミング抽出・制御部33の制御下で子機装置24、24AのTDDタイミング調整を行うための第1TDDタイミング調整信号を生成し出力するTDDタイミング調整部61と、を備えている。
【0043】
ここで、第1TDDタイミング調整信号は、子機装置24、24Aにおける基本的なTDDタイミングを調整するものであり、子機装置24、24A毎に最適な調整量とはなっていない。
【0044】
また、親機装置21は、一端がダウンリンク通信路DLCに接続され、電/光変換を行って他端側から子機装置24、24A側に出力するE/O変換部35と、一端が子機装置24、24A側に接続され、子機装置24、24A側から入力されたアップリンク信号の光/電変換を行って他端側からアップリンク通信路ULCに出力するO/E変換部36と、遅延測定用信号をE/O変換部35を介して子機装置24、24Aに出力するとともに遅延測定用信号を受信した子機装置24、24Aが返送した遅延測定用信号をO/E変換部36を介して受信し、遅延測定用信号の送信時刻及び受信時刻に基づいて遅延時間を測定する遅延測定部37と、親機装置21全体の制御を行う制御部38と、を備えている。
【0045】
子機装置24は、親機装置21側から入力されたダウンリンク信号の光/電変換を行って出力するO/E変換部41と、O/E変換部41の出力信号であるダウンリンク信号を増幅して出力する増幅器42と、一端がアンテナ25に接続され、ダウンリンク受信時とアップリンク送信時とで通信路を切り替えるためのスイッチ43と、アンテナ25及びスイッチ43を介して入力されたアップリンク信号を低ノイズで増幅するロウノイズ増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)44と、ロウノイズ増幅器44の出力信号の電/光変換を行って出力するE/O変換部45と、親機装置21のTDDタイミング調整部61が送信した第1TDDタイミング信号に基づいて、当該子機装置24(あるいは当該子機装置24A)における実際のTDDタイミング調整を行うための第2TDDタイミング調整信号を生成し出力するTDDタイミング調整部62と、TDDタイミング調整部51からの第2TDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行うTDDタイミング制御部46と、子機装置24全体の制御を行う制御部47と、を備えている。
【0046】
次に第3実施形態の動作を説明する。
この場合において、親機装置21の遅延測定部37は、第1実施形態と同様に、遅延時間を測定し、TDDタイミング調整部61、62に出力しているものとする。
【0047】
これによりTDDタイミング抽出・制御部33は、カプラ32により分岐された一方の系統の伝送信号が入力されて、TDDタイミング信号を抽出しスイッチ31の切り替えを制御するとともに、TDDタイミング調整制御を行うためのタイミング調整制御信号を生成して、TDDタイミング調整部61に出力する。
【0048】
TDDタイミング調整部61は、TDDタイミング抽出・制御部33の制御下で子機装置24、24AのTDDタイミング調整を行うための第1TDDタイミング調整信号を生成し、E/O変換部35を介して子機装置24、24Aに出力する。
子機装置24、24AのO/E変換部41は、親機装置21側から入力された第1TDDタイミング調整制御信号のO/E変換(光/電変換)を行ってTDDタイミング調整部62に出力する。
【0049】
この結果、TDDタイミング調整部62は、第1TDDタイミング調整制御信号に基づいて実際のTDDタイミング調整を行うための第2TDDタイミング調整信号を生成し、TDDタイミング制御部46に出力する。
TDDタイミング制御部46は、入力された第2TDDタイミング調整信号にもとづいて、スイッチ43、増幅器42及びロウノイズ増幅器44の制御を行い、ダウンリンク信号DLの伝送及びアップリンク信号ULの伝送を行う。
【0050】
このときのTDDタイミング制御部46に入力される第2TDDタイミング調整信号は、第1実施形態と同様に当該子機装置24、24A毎において、スイッチをダウンリンク側に切り替えるタイミングTswは、次式を満たしているように設定されるので、無線基地局14−1側の子機装置24、24Aが、アップリンク期間だと認識している期間において、無線基地局14−2のダウンリンク信号DLを受信してしまうことは起こらない。
t7−TULdly≦Tsw(=t6)≦t8−TDLdly−TULdly
すなわち、子機装置24、24Aにおいてアップリンク信号を送信している時間帯において、無線基地局14−2側からダウンリンク信号を受信してしまうことはないので、子機装置24、24Aは、確実にアップリンク動作を行うことができる。
【0051】
以上の説明のように、本第3実施形態によっても、光リピータシステム15を介して無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−1)に接続されている子機装置24、24Aを介して通信を行う携帯通信端末装置23あるいは無線基地局(本第1実施形態の場合、無線基地局14−2)と直接通信を行う携帯通信端末装置23のいずれであっても、無線基地局14−1、14−2のダウンリンク期間にアップリンク信号ULが送出されることが無い、換言すれば、子機装置24、24Aがアップリンク期間において、ダウンリンク信号DLが他の無線基地局から入力されることはないので、子機装置24、24Aは正常に動作を継続することが可能となる。
【0052】
本実施形態の光リピータシステム15で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0053】
また、本実施形態の光リピータシステム15で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の光リピータシステム15で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の光リピータシステム15のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。