(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載の従来技術では、事前に施工試験を行う必要があり、手間が掛かるので、締固め管理を含めた全体の作業効率において改善の余地がある。
【0008】
本発明は、地盤の締固めにおける作業効率の向上を図ることが可能な地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、締固める締固め機械による地盤の締固め状態を測定する地盤の締固め状態測定装置であって、締固め機械に搭載され、地盤に対して検出波を送信して締固め機械の移動方向の前方の地盤高さ及び後方の地盤高さを計測可能な高さ計測部と、締固め機械の通過前の測定地点における前方の地盤高さの計測値と締固め機械の通過後の測定地点における後方の地盤高さの計測値との差である地盤沈下量を算出する地盤沈下量算出部と、を備える。
【0010】
このような締固め状態測定装置では、締固め機械を移動させて締固めを行いながら、締固め機械に搭載された高さ計測部から検出波を送信して、締固め機械の前方の地盤高さと、締固め機械の後方の地盤高さとを計測する。これにより、同一の測定地点について、締固め機械の通過前の地盤高さの計測値と、締固め機械の通過後の地盤高さの計測値とを比較して、リアルタイムで地盤沈下量を算出することが可能である。事前に施工試験を行う必要がなくなるので、締固め管理の手間を低減して、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
また、締固め機械が測定地点を通過した直後に地盤沈下量を算出可能であるので、通過前の地盤高さの計測時刻と通過後の地盤高さの計測時刻とに大きな差が生じないようにすることができる。そのため、GPSにおける誤差要因の影響を抑制して、地盤沈下量を計測することができる。その結果、地盤沈下量の測定精度を向上させることができる。
【0012】
また、従来の締固め管理では、事前に決定された締固め回数分、締固めを行うことになっていた。この締固め状態測定装置では、締固め機械による締固め後に、地盤沈下量を算出することができるので、算出された地盤沈下量に基づいて、所要の地盤沈下量に達しているかを判断することが可能となる。この判断に基づいて、締固めの終了を決定することができる。そのため、事前に決定された回数分の締固めを実行する前に、締固めを終了することが可能であり、不要な締固めを減らすことができる。その結果、作業効率を向上させることができる。
【0013】
高さ計測部は、締固め機械の前部に設置され、締固め機械の前方の地盤高さを計測する前方高さ計測部と、締固め機械の後部に設置され、締固め機械の後方の地盤高さを計測する後方高さ計測部と、を有する構成でもよい。これにより、締固め機械の前方の地盤に対して、前方高さ計測部を近付けて配置し、締固め機械の後方の地盤に対して、後方高さ計測部を近付けて配置することができ、高さ計測部による測定精度を向上させることができる。その結果、地盤沈下量を精度良く測定することができるので、締固めの終了を精度良く判断することができ、不要な締固め作業を削減することができる。
【0014】
また、締固め状態測定装置は、締固め機械に搭載され、当該締固め機械の位置情報を取得する位置情報取得部を更に備え、地盤沈下量算出部は、位置情報取得部で取得された位置情報に基づいて、測定地点を特定し、特定された測定地点の計測値に基づいて、地盤沈下量を算出してもよい。位置情報取得部が締固め機械に搭載されているので、締固め機械の移動に合わせて測定地点の位置情報を取得し、特定された同一の測定地点同士の計測値を比較して、地盤沈下量を算出することができる。
【0015】
また、位置情報取得部は、締固め機械の位置を検出するGPS位置検出部を含み、GPS位置検出部は、通過前の測定地点の計測値を測定した際の締固め機械の位置情報を取得すると共に、通過後の測定地点の計測値を測定した際の締固め機械の位置情報を取得する構成でもよい。これにより、締固め機械に搭載されたGPS位置検出部を用いて、締固め機械の移動に合わせて位置情報を取得して、締固め機械の通過前後における測定地点を特定することができる。
【0016】
また、位置情報取得部は、締固め機械の移動速度を検出する移動速度検出部を含み、地盤沈下量算出部は、締固め機械の移動速度に基づいて、測定地点を特定する構成でもよい。これにより、前方の地盤高さを計測してから、締固め機械が移動して、同一の測定地点について、後方の地盤高さを計測するまでの移動距離(または移動時間)を算出し、同一測定地点の計測値を特定して、地盤沈下量を算出することができる。
【0017】
本発明は、締固め機械による地盤の締固め状態を測定する地盤の締固め状態測定方法であって、締固め機械を移動させて地盤の締固めを行いながら、当該締固め機械から地盤に対して検出波を送信して締固め機械の移動方向の前方の地盤高さ及び後方の地盤高さを計測する地盤高さ計測工程と、締固め機械の通過前の測定地点における前方の地盤高さの計測値と締固め機械の通過後の測定地点における後方の地盤高さの計測値との差である地盤沈下量を算出する地盤沈下量算出工程と、を含む。
【0018】
このような締固め状態測定方法によれば、締固め機械を移動させながら、当該締固め機械から検出波を送信して、締固め機械の前方の地盤高さと、締固め機械の後方の地盤高さとを計測する。これにより、同一の測定地点について、締固め機械の通過前の地盤高さの計測値と、締固め機械の通過後の地盤高さの計測値とを比較して、リアルタイムで地盤沈下量を算出することが可能である。事前に施工試験を行う必要がなくなるので、締固め管理の手間を低減し、作業効率の向上を図ることができる。
【0019】
また、締固め機械が測定地点を通過した直後に地盤沈下量を算出可能であるので、通過前の地盤高さの計測時刻と通過後の地盤高さの計測時刻とに大きな差が生じないようにすることができる。そのため、GPSにおける誤差要因の影響を抑制して、地盤沈下量を計測することができる。その結果、地盤沈下量の測定精度を向上させることができる。
【0020】
この締固め状態測定方法では、締固め機械による締固め後に、地盤沈下量を算出することができるので、算出された地盤沈下量に基づいて、所要の地盤沈下量に達しているかを判断することが可能となる。この判断に基づいて、締固めの終了を決定することができる。そのため、事前に決定された回数分の締固めを実行する前に、締固めを終了することが可能であり、不要な締固めを減らすことができる。その結果、作業効率を向上させることができる。
【0021】
本発明は、地盤を締固める締固め機械であって、地盤を締固めるローラを有する車体と、当該車体に取り付けられており、地盤に対して検出波を送信して締固め機械の移動方向の前方の地盤高さ及び後方の地盤高さを計測可能な高さ計測部と、車体の通過前の測定地点における前方の地盤高さの計測値と車体の通過後の測定地点における後方の地盤高さの計測値との差である地盤沈下量を算出する地盤沈下量算出部と、を備える。
【0022】
このような締固め機械では、締固め機械を移動させて締固めを行いながら、車体に搭載された高さ計測部から検出波を送信して、締固め機械の前方の地盤高さと、締固め機械の後方の地盤高さとを計測する。これにより、同一の測定地点について、締固め機械の通過前の地盤高さの計測値と、締固め機械の通過後の地盤高さの計測値とを比較して、リアルタイムで地盤沈下量を算出することが可能である。事前に施工試験を行う必要がなくなるので、締固め管理の手間を低減し、作業効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、締固め機械が測定地点を通過した直後に地盤沈下量を算出可能であるので、通過前の地盤高さの計測時刻と通過後の地盤高さの計測時刻とに大きな差が生じないようにすることができる。そのため、GPSにおける誤差要因の影響を抑制して、地盤沈下量を計測することができる。その結果、地盤沈下量の測定精度を向上させることができる。
【0024】
この締固め機械では、締固め後に、地盤沈下量を算出することができるので、算出された地盤沈下量に基づいて、所要の地盤沈下量に達しているかを判断することが可能となる。この判断に基づいて、締固めの終了を決定することができる。そのため、事前に決定された回数分の締固めを実行する前に、締固めの終了することが可能であり、不要な締固めを減らすことができる。その結果、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、地盤の締固めにおける作業効率の向上を図ることが可能な地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、締固め機械を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械について説明する。
【0029】
例えば、ダムや道路の整備又は住宅地の開発等の造成工事においては、ダンプトラック等で運搬された盛土材料をブルドーザで一定厚さとなるように敷き均し、その後、振動ローラ2aで盛土を転圧することによって盛土の締固めを行う。ブルドーザで敷き均された直後の盛土は空気と水を多く含んでいるので軟らかい状態となっているが、振動ローラ2aの転圧によって盛土の空気を減らすことで盛土を所望の固さとなるように締め固める。
【0030】
図1に示されるように、振動ローラ等のローラ車両(締固め機械)1は走行可能な車体2を備え、車体2には、前輪及び後輪として複数のローラ2a,2bが設けられている。複数のローラ2a,2bは鉄製のローラであり、略円柱状を成している。車体2では、例えば前輪が起振ローラ2aである。また、車体2は、起振ローラ2aに取り付けられた起振装置2cを備えている。なお、ローラ車両1は、後輪として起振ローラを備える構成でもよい。
【0031】
ローラ車両1は、起振装置2cで振動ローラ2aを振動させながら盛土上を移動する。ローラ車両1が盛土上を移動することで、ローラ車両1の自重及び振動ローラ2aの振動が盛土に伝達されて、盛土が効果的に締め固められる。
【0032】
ローラ車両1には、盛土(地盤)の締固め状態を測定する締固め状態測定装置3が搭載されている。締固め状態測定装置3では、例えば、盛土された盛土領域A(
図3参照)を正方形状の締固め管理ブロック(締固め対象区域)Dに区画して、締固め管理ブロックD毎に盛土が充分に締め固められたか否かを判定する。
【0033】
図2に示されるように、締固め状態測定装置3は、車体2の前方及び後方の地盤高さを計測する三次元レーザスキャナ(高さ計測部)4と、盛土の沈下量を算出すると共に、盛土が締め固められたか否かを判定する締固め情報処理ユニット6と、を備える。また、締固め状態測定装置3は、ローラ車両1の位置情報を取得するGPS位置検出部(位置情報取得部)7を有する。
【0034】
GPS位置検出部7は、盛土領域Aにおけるローラ車両1の位置を検出する。GPS位置検出部7は、人工衛星から発信された電波をローラ車両1の上部に設置された受信アンテナで受信することによってローラ車両1の高さ情報を含む位置の三次元座標である位置情報を検出する。ローラ車両1の高さ情報は、後述する地盤高さを測定する際の基準としての位置情報であって必ずしも座標値でなくてもよい。
【0035】
GPS位置検出部7によって取得されたローラ車両1の位置情報は、位置情報を取得した時刻と共に締固め情報処理ユニット6の後述する記憶部10に記憶される。すなわち、測定地点の位置情報及び当該測定地点における地盤高さの計測値を計測した際の時刻が関係付けられて記憶される。
【0036】
なお、GPS位置検出部7により検出した位置情報を時刻とともに計測することで、ローラ車両1では、盛土領域Aにおけるローラ車両1の移動経路データを作成することができる。また、ローラ車両1は、締固め管理ブロックD毎にローラ車両1による転圧回数を算出することも可能となる。
【0037】
三次元レーザスキャナ4は、例えば、車体2の運転室の屋根上に設置されている。三次元レーザスキャナ4は、車体2の前方にレーザ光(検出波)L
1を照射して、車体2の前方の地盤の表面形状に関する情報を取得する。また、三次元レーザスキャナ4は、車体2の後方にレーザ光L
2を照射して、車体2の後方の地盤の表面形状に関する情報を取得する。三次元レーザスキャナ4は、基準点を起点として距離を測定できるので、レーザ光L1,L2の設定された照射角により地盤高さを算出でき、地盤の高さを計測することができる。例えば、高さ情報は三次元レーザスキャナ4によるレーザ光L
1,L
2の出射点P
4a,P
4bを基準点(上下方向における基準点)としてもよい。
【0038】
三次元レーザスキャナ4において、前方に照射されるレーザ光L
1の出射点を出射点P
4aとし、後方に照射されるレーザ光L
2の出射点を出射点P
4bとする。また、レーザ光L
1の照射角θ
1は、X方向から見た場合において、鉛直方向Zとレーザ光L
1の照射方向とが交差する角度である。レーザ光L
1の照射角θ
2は、X方向から見た場合において、鉛直方向Zとレーザ光L
2の照射方向とが交差する角度である。例えば、照射角θ
1,θ
2は三次元レーザスキャナ4を車体2に取付ける際に設定した値とすることができる。また、レーザ光L1,L2の距離の測定に際して、照射角θ
1,θ
2を測定してもよい。
【0039】
ローラ車両1では、ローラ2a,2bにより盛土を転圧しながら、前方にレーザ光L
1を照射し、後方にレーザ光L
2を照射して、盛土Aの表面形状に関する情報を取得する。三次元レーザスキャナ4では、レーザ光L
1,L
2を照射し、盛土Aの表面(以下、「地表S」という)からの反射光を受光することによって、地表Sの三次元座標データを測定する。三次元レーザスキャナ4は、ローラ車両1の走行中にリアルタイムで、車体2の前方(転圧前)の地表S(測定地点P
a0)の三次元座標データを測定すると共に、車体2の後方(転圧後)の地表S(測定地点P
b1)の三次元座標データを測定する。
【0040】
三次元レーザスキャナ4は、
図1、
図4及び
図5に示されるように、車体2の前方の地表Sの高さH
0(H
a0)と、車体2の後方の地表Sの高さH
1(H
a1)を算出する。三次元レーザスキャナ4は、測定地点の三次元座標データに基づいて、高さH
0(H
a0),H
1(H
a1)を算出する。なお、ローラ車両1は走行しながら、三次元座標データに基づく地表Sの高さH
0,H
1を算出する。測定した三次元座標データより高さを計測することができる。
【0041】
三次元レーザスキャナ4によって算出された地表Sの高さH
0,H
1に関するデータは、締固め情報処理ユニット6に出力される。
【0042】
締固め情報処理ユニット6は、演算処理を行うCPU、記憶部10となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。締固め情報処理ユニット6では、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することで、地盤沈下量算出部8、判定部9が構築される。
【0043】
締固め情報処理ユニット6は、盛土領域Aを予め締固め管理ブロックDに区画する。
図3に示されるように、締固め情報処理ユニット6は、締固め管理ブロックDの頂点(x
1,y
1)、(x
1,y
2)、(x
1,y
3)…(x
2,y
1)、(x
2,y
2)、(x
2,y
3)…(x
3,y
1)、(x
3,y
2)、(x
3,y
3)…を定めると共に、各締固め管理ブロックDを領域「X
1,Y
1」、「X
1,Y
2」、「X
1,Y
3」、「X
2,Y
1」、「X
2,Y
2」、「X
2,Y
3」、「X
3,Y
1」、「X
3,Y
2」、「X
3,Y
3」として識別する。
【0044】
締固め情報処理ユニット6の記憶部10には、三次元レーザスキャナ4の計測範囲を示す計測位置情報が格納されている。三次元レーザスキャナ4の計測範囲は、単一の締固め管理ブロックD、複数の締固め管理ブロックD又は盛土領域A全体のいずれであってもよい。
【0045】
締固め情報処理ユニット6は、GPS位置検出部7から出力された情報に基づいて、ローラ車両1の位置情報を取得する。締固め情報処理ユニット6は、ローラ車両1が領域「X
1,Y
1」の各頂点(x
2,y
1)、(x
1,y
1)、(x
2,y
2)、(x
1,y
2)に一回ずつ到達したときに、領域「X
1,Y
1」の転圧回数を1加算する。記憶部10は、締固め管理ブロックD毎の転圧回数を記憶する。
【0046】
また、記憶部10は、沈下量ΔHの判定閾値に関する情報を記憶する。また、記憶部10は、三次元レーザスキャナ4で計測された三次元座標データに基づく地表Sの高さH
0,H
1に関するデータ、及び当該三次元座標データが計測されたときの車体2の位置情報が記憶されている。
【0047】
また、締固め情報処理ユニット6は、時刻情報を取得するためのタイマーを有する。高さH
0,H
1に関するデータを記憶部10に記憶する際には、締固め情報処理ユニット6は、高さH
0,H
1に関するデータと共に、そのデータを取得した時刻を示す時刻情報を記憶する。
【0048】
地盤沈下量算出部8は、
図5に示されるように、ローラ車両1の通過前の測定地点P
aにおける地盤の高さ(前方の地盤高さの計測値)H
a0と、ローラ車両1の通過後の測定地点P
aにおける地盤の高さ(後方の地盤高さの計測値)H
a1との差である沈下量ΔH(=H
a0−H
a1)を算出する。ローラ車両1は、走行しながら沈下量ΔHを算出する。
【0049】
また、地盤沈下量算出部8は、測定位置同士を特定するための測定位置照合部を含んでいる。測定位置照合部は、同一の測定位置について、転圧前の高さに関するデータと、転圧後の高さに関するデータとを照合する。例えば、車体2から測定位置までの距離に関するデータ、及び車体2の位置情報に基づいて、同一の測定位置について転圧前後の高さに関するデータを照合する。
【0050】
図5では、図示右側から左側へ移動するローラ車両1が示されている。右側に示されたローラ車両1は、時刻t
0において位置P
t0に存在している。この右側のローラ車両1は、前方に照射したレーザ光L1によって測定地点P
aの地盤の高さH
a0を計測している。このとき、測定地点P
aは、位置P
t0に存在する車体2の基準位置から距離L
a0(=l
1sinθ
1)前方に位置している。
【0051】
左側に示されたローラ車両1は、時刻t
1において位置P
t1に存在している。ローラ車両1は、位置P
t0から位置P
t1に移動する間に測定地点P
aを転圧している。この左側のローラ車両1は、測定地点P
aを通過した後において、後方に照射したレーザ光L2によって測定地点P
aの地盤の高さH
a1を計測している。このとき、測定地点
Paは、位置P
t1に存在する車体2の基準位置から距離L
a1(=l
2sinθ
2)後方に位置している。
【0052】
地盤沈下量算出部8は、GPS位置検出部7で取得されたローラ車両1の位置情報及び車体2の基準位置からの距離L
a0に基づいて、通過前の高さH
a0を測定した際の測定地点P
aの絶対位置を特定する。特定された絶対位置に関する情報及び当該測定地点P
aにおける通過前の高さH
a0の計測値は、記憶部10に記憶される。
【0053】
地盤沈下量算出部8は、GPS位置検出部7で取得されたローラ車両1の位置情報及び車体2の基準位置からの距離L
a1に基づいて、通過後の高さH
a1を測定した際の測定地点P
aの絶対位置を特定する。特定された絶対位置に関する情報及び当該測定地点P
aにおける通過後の高さH
a1の計測値は、記憶部10に記憶される。
【0054】
地盤沈下量算出部8は、記憶部10に記憶されているデータを照合して、同一の測定地点Paの転圧前後の地盤の高さH
a0,H
a1を特定して、沈下量ΔH(=H
a0−H
a1)を算出する。
【0055】
判定部9は、例えば沈下量ΔHが判定閾値以下であるか否かを判定し、締固めの終了を判定する。また、判定部9は、前回(N−1回目)の沈下量ΔH
N−1と、今回(N回目)の沈下量ΔH
Nとの差分である沈下量変化値に基づいて、締固めの終了を判定してもよい。
【0056】
なお、算出される地盤の高さは、例えば、締固め管理ブロックD内の各測定点の高さの平均値としてもよい。地盤沈下量算出部8は、ローラ2a,2bの通過に合わせて、沈下量ΔHを算出する。
【0057】
また、締固め情報処理ユニット6には、表示部11が接続されている。表示部11は、例えば、車体2の姿勢、地盤の高さH
1,H
2、沈下量ΔH、転圧回数、ローラ車両1の走行位置などに関する情報を表示してもよい。
【0058】
図6は、転圧回数と盛土の地盤の高さとの関係を示すグラフである。
図6では横軸に転圧回数(回)を示し、縦軸に同一の測定地点における盛土の地盤の高さを示す。沈下量ΔH
1は、転圧回数が1回目であるときの沈下量である。沈下量ΔH
Nは、転圧回数がN回目であるときの沈下量である(Nは自然数)。なお、一般的に盛土は振動ローラ2aの転圧回数Nが少ないほど大きく沈下するので、転圧回数Nが増えるほど盛土の沈下量ΔH
Nは減少していく。判定部9では、沈下量ΔH
Nが判定閾値以下となった場合に、転圧を終了すると判定する。
【0059】
次に、
図7を参照して、締固め状態測定方法について説明する。
【0060】
まず、締固め情報処理ユニット6は、盛土領域Aにおける締固め管理ブロックDの設定を行う(ステップS1)。ステップS1において、ローラ2a,2bによる盛土の転圧が行われる前に盛土領域Aが区画され、正方形状の締固め管理ブロックDが定められる。
【0061】
そして、ローラ車両1を走行させて、ローラ2a,2bによる盛土領域Aの転圧を開始する(ステップS2)。また、GPS位置検出部7は、ローラ車両1の位置情報を取得する。GPS位置検出部7は、盛土領域A上におけるローラ車両1の移動経路を検出する。GPS位置検出部7は、ローラ車両1の移動経路に基づいて転圧回数を計数する。例えば、締固め管理ブロックDの各頂点が1回ずつ踏まれている場合には、転圧回数が1加算される。
【0062】
また、締固め状態測定装置3は、GPS位置検出部7によってローラ車両1の位置情報を取得する(ステップS3)。取得した位置情報は、記憶部10に記憶される。
【0063】
また、締固め状態測定装置3では、ローラ車両1による転圧が行われている際に(走行しながら)、転圧前の地表Sの高さH
a0及び転圧後の地表Sの高さH
b1を計測する(ステップS4:地盤高さ計測工程)。三次元レーザスキャナ4は、車体2の前方にレーザ光L
1を照射すると共に、車体2の後方にレーザ光L
2を照射する。三次元レーザスキャナ4は、地表Sの表面形状データに基づいて、転圧前後の盛土の地表の高さH
a0,H
b1を計測する。三次元レーザスキャナ4は、計測結果を締固め情報処理ユニット6に出力する。
【0064】
ローラ車両1が移動して転圧している間、ステップS3,S4の処理を並行して行っている。地盤沈下量算出部8は、ローラ車両1の位置情報及び車体2の基準位置からの距離L
a0に基づいて、通過前の高さH
a0を測定した際の測定地点P
aの絶対位置を特定する。同様に、地盤沈下量算出部8は、ローラ車両1の位置情報及び車体2の基準位置からの距離L
a1に基づいて、通過後の高さH
a1を測定した際の測定地点P
aの絶対位置を特定する。特定された絶対位置に関する情報及び当該測定地点P
aにおける通過前の高さH
a0の計測値及び通過後の高さH
a1は、記憶部10に記憶される。
【0065】
次に、締固め状態測定装置3は、同一の測定地点における転圧前の地盤の高さの計測値と、転圧後の地盤の高さの計測値とを特定する(ステップS5)。地盤沈下量算出部8は、記憶部10に記憶されているデータを照合して、同一の測定地点P
aの転圧前後の地盤の高さH
a0,H
a1を特定する。
【0066】
次に、地盤沈下量算出部8は、沈下量ΔHを算出する(ステップS6、地盤沈下量算出工程)。地盤沈下量算出部8は、ステップS5で特定された同一の測定地点Paの転圧前後の地盤の高さH
a0,H
a1に基づいて、沈下量ΔH(=H
a0−H
a1)を算出する。
【0067】
次に、締固め状態測定装置3の判定部9は、沈下量ΔHが判定閾値以下であるか否かを判定する(ステップS7)。沈下量ΔHが判定閾値以下である場合には、その回の転圧により、ローラ車両1による転圧を終了すると決定する。沈下量ΔHが判定閾値以下ではない場合には、ローラ車両1による転圧を継続して転圧回数を増加し、ステップS3〜ステップS7を繰り返す。
【0068】
また、締固め状態測定装置3は、表示部11を用いて各種情報を表示する。締固め情報処理ユニット6は、例えば、転圧回数、転圧前の盛土の高さH
0、転圧後の盛土の高さH
1、沈下量ΔHに関する情報を、表示部11に表示させる。
【0069】
このような締固め状態測定装置3では、ローラ車両1を移動させて締固めを行いながら、車体2に搭載された三次元レーザスキャナ4から光を照射して、ローラ車両1の前方の地盤高さと、ローラ車両1の後方の地盤高さとを計測する。これにより、同一の測定地点について、ローラ車両1の通過前の地盤高さの計測値と、ローラ車両1の通過後の地盤高さの計測値とを比較して、リアルタイムで沈下量ΔHを算出することが可能である。事前に施工試験を行う必要がなくなるので、締固め管理の手間を低減して、作業効率の向上を図ることができる。
【0070】
また、ローラ車両1が測定地点を通過した直後に沈下量ΔHを算出可能であるので、通過前の地盤高さの計測時刻と通過後の地盤高さの計測時刻とに大きな差が生じないようにすることができる。従来の技術では、前回の転圧時の計測値と、今回の転圧時の計測値とを比較しているので、時間差が大きくGPSにおける誤差要因の影響が大きくなっていた。この締固め状態測定装置3では、ローラ車両1の通過前と通過後の計測値に基づいて沈下量を測定しているので、時間差を小さくして、GPSにおける誤差要因の影響を抑制することができる。その結果、沈下量ΔHの測定精度を向上させることができる。
【0071】
また、締固め状態測定装置3では、リアルタイムで沈下量ΔHが計測されるので、沈下量の変化を素早く把握して、沈下量ΔHの変化に基づいて、所要の沈下量に達しているか否かを判断することができる。この判断に基づいて、転圧の終了時を適切に判定することができる。その結果、沈下量ΔHの変化が少ない場合において、不要な転圧作業の継続が防止され、工期の短縮を図ることができる。また、リアルタイムで沈下量ΔHが計測されるので、締固め管理の迅速化を図ることができる。従来の管理方法では、事前に決定された回数分、転圧を実行していたので、沈下量ΔHが変化しない状態となっていても、そのまま、転圧作業を継続していた。
【0072】
(第2実施形態)
次に、
図8を参照して、第2実施形態に係る地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械について説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0073】
第2実施形態に係る締固め状態測定装置3Bが、第1実施形態に係る締固め状態測定装置3と違う点は、ローラ車両1の車速(移動速度)を検出する車速センサ(移動速度検出部)12を備える点である。車速センサ12は、起振ローラ2aの回転角度を計測して、ローラ車両1の車速を検出する。検出された車速に関するデータは、締固め情報処理ユニット6に出力される。
【0074】
地盤沈下量算出部8の測定位置照合部は、ローラ車両1の車速に基づいて、ローラ車両1の移動距離を算出して、車体2の水平方向における基準位置を特定する。測定位置照合部では、例えば任意の位置を基点として設定し、この基点からの移動距離(走行履歴情報)に基づいて、測定地点を特定する。
【0075】
例えば、
図5に示されるように、時刻t
0における車体2の位置P
t0を基点として設定する。そして、ローラ車両1の車速及び移動時間に基づいて、ローラ車両1の位置P
t1を特定する。これにより、通過前の測定地点P
aの地盤高さを計測した後に、測定地点P
aを通過して転圧を行い、所定時間経過後に、通過後の測定地点Paの地盤高さを計測し、この通過後の計測値を特定することができる。
【0076】
このように、ローラ車両1の車速及び移動時間に基づいて、転圧前後の測定地点P
aの地盤高さの計測値を特定して、測定地点P
aにおける沈下量を算出することができる。なお、ローラ車両1が等速で移動する場合には、時間の経過に基づいて、転圧前後の同一の測定地点同士の計測値を特定することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、
図9を参照して、第3実施形態に係る地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械について説明する。第3実施形態の説明において、第1,第2実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0078】
図9に示される第3実施形態のローラ車両1Bが、
図1に示される第1実施形態のローラ車両1と異なる点は、三次元レーザスキャナ14A,14Bの配置が異なる点である。ローラ車両1Bでは、車体2の前部に三次元レーザスキャナ14Aが設けられ、車体2の後部に三次元レーザスキャナ14Bが設けられている。三次元レーザスキャナ14A,14Bにおけるレーザ光の出射点P
14a,P
14bは、車体2を水平面に載置したときに、同じ高さ位置となるように配置されている。締固め状態測定装置3は、車体2の前方の盛土の高さを計測する前方高さ計測部として、三次元レーザスキャナ14Aを備え、車体2の後方の盛土の高さを計測する後方高さ計測部として、三次元レーザスキャナ14Bを備える。
【0079】
三次元レーザスキャナ14Aは、例えば、車体2の運転室より前方に張り出すボンネット部に設けられている。三次元レーザスキャナ14Aは、例えば、ボンネット部の正面(前面)であり、前輪である振動ローラ2aより上方に配置されている。三次元レーザスキャナ14Aは、車体2の前方に向けてレーザ光L
1を照射する。三次元レーザスキャナ14Aは、転圧前の盛土の地表S上の測定地点P
a0の高さを測定する。
【0080】
三次元レーザスキャナ14Bは、例えば、車体2の運転室の背面(後面)に設けられている。三次元レーザスキャナ14Bは、車体2の後方に向けてレーザ光L
2を照射する。三次元レーザスキャナ14Bは、転圧後の盛土の地表S上の測定地点P
b1の高さを測定する。
【0081】
このような第3実施形態に係る締固め状態測定装置3においても、ローラ車両1Bに搭載された三次元レーザスキャナ14Aから前方にレーザ光を照射して、ローラ車両1Bの通過前の盛土の高さH
0を計測し、三次元レーザスキャナ14Bから後方にレーザ光を照射して、ローラ車両1Bの通過後の盛土の高さH
1を計測して、沈下量ΔHを算出することができる。これにより、転圧前後の地盤の高さを測定する際の時間差を短くして、GPSにおける誤差要因の影響を抑制することができる。また、位置情報を取得しないで、単に前方の地盤高さと後方の地盤高さの差により沈下量を算出することも可能である。
【0082】
また、締固め状態測定装置3では、三次元レーザスキャナ14Aを車体2の前方の地表Sに近付けて配置することができ、三次元レーザスキャナ14Bを車体2の後方の地表Sに近付けて配置することができる。これにより、レーザ光の出射点P14a,P14bとを地表Sに近付けることで、レーザ光の照射距離を短くして誤差要因を減らして測定精度の向上を図ることができる。
【0083】
(第4実施形態)
次に、
図10を参照して、第4実施形態に係る地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械について説明する。第4実施形態の説明において、第1〜第3実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0084】
図10に示される第4実施形態のローラ車両1Cが、
図9に示される第3実施形態のローラ車両1Bと異なる点は、三次元レーザスキャナ15A,15Bの配置が異なる点である。ローラ車両1Cでは、車体2の前部に三次元レーザスキャナ15Aが設けられ、車体2の後部に三次元レーザスキャナ15Bが設けられている。
【0085】
三次元レーザスキャナ15Aは、車体2のボンネットから前方に延びる支持部16によって支持されている。三次元レーザスキャナ15Aは、ローラ2aよりも前方に配置されている。三次元レーザスキャナ15Aは、鉛直方向において下方にレーザ光を照射する。
【0086】
三次元レーザスキャナ15Bは、車体2の運転室の背面から後方に延びる支持部17によって支持されている。三次元レーザスキャナ15Bは、ローラ2bよりも後方に配置されている。三次元レーザスキャナ15Bは、鉛直方向において下方にレーザ光を照射する。
【0087】
このような第4実施形態に係る締固め状態測定装置においても、ローラ車両1Bに搭載された三次元レーザスキャナ15Aからローラ2aより前方の位置にレーザ光を照射して、ローラ車両1Cの通過前の盛土の高さH
0を計測し、三次元レーザスキャナ15Bからローラ2bより後方の位置にレーザ光を照射して、ローラ車両1Cの通過後の盛土の高さH
1を計測して、沈下量ΔHを算出することができる。これにより、転圧前後の地盤の高さを測定する際の時間差を短くして、GPSにおける誤差要因の影響を抑制することができる。また、位置情報を取得しないで、単に前方の地盤高さと後方の地盤高さの差により沈下量を算出することも可能である。
【0088】
(第5実施形態)
次に、
図11を参照して第5実施形態に係る地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、及び締固め機械について説明する。第5実施形態の説明において、第1〜第4実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0089】
第5実施形態に係る締固め状態測定装置3Cが、第1実施形態に係る締固め状態測定装置3と違う点は、車体2の姿勢を検知する姿勢検知部5を備える点である。
【0090】
姿勢検知部5は、車体2の姿勢を検知するための各種センサとしてジャイロセンサを有する。姿勢検知部5は、車体2の角度を検出する傾斜計としての機能を有する。姿勢検知部5は、車体2の前後方向に延在する軸線(
図4参照)Y
θ3の水平面(XY面)に対する傾斜角θ
3を検出する。車体2が水平面に載置されている場合には、軸線Y
θ3は、水平面に平行となる。姿勢検知部5は、ローラ車両1の車幅方向(X方向)に延在するX軸周りの車体2の回転角を計測する。姿勢検知部5は、その他の方向に延在する軸線周りの回転角を計測するものでもよい。
【0091】
また、姿勢検知部5は、車体2の3軸(X軸、Y軸、Z軸)周りの角度変化を検出して、車体2の姿勢を算出してもよい。X軸及びY軸は、水平面内で直交する2軸であり、X軸は、車体2の移動方向と交差する車幅方向に延在し、Y軸は、車体2の移動方向に延在する軸である。Z軸は、鉛直方向に延在する軸である。姿勢検知部5は、各種センサから取得した情報に基づいて、車体2の姿勢として、ピッチ、ロール、ヨーを検出することができる。姿勢検知部5は、車体2の姿勢に関する情報を締固め情報処理ユニット6に出力する。また、姿勢検知部5は、例えば車体2の3軸周りの角速度又は角加速度を検出して、車体2の姿勢を算出してもよい。
【0092】
締固め状態測定装置3Cは、姿勢検知部5によって検知された車体2の姿勢に基づいて、測定位置を補正する。また、締固め状態測定装置3Cは、姿勢検知部5によって検知された車体2の姿勢に基づいて、前方の地盤高さH
a0、または後方の地盤高さH
b1の計測値を補正してもよい(
図4参照)。
【0093】
例えば、締固め状態測定装置3Cは、姿勢検知部5によって検知された車体2の傾斜角θ
3を考慮して、レーザ光L
1の照射角θ
1を算出し、前方の地盤高さH
a0を算出することができる(
図4参照)。同様に、締固め状態測定装置3Cは、姿勢検知部5によって検知された車体2の傾斜角θ
3を考慮して、レーザ光L
2の照射角θ
2を算出し、後方の地盤高さH
b1を算出することができる。
【0094】
このような第5実施形態に係る締固め状態測定装置3Cにおいても、ローラ車両1に搭載された三次元レーザスキャナ4からローラ2aより前方の位置にレーザ光L
1を照射して、ローラ車両1の通過前の盛土の高さH
0を計測し、三次元レーザスキャナ4からローラ2bより後方の位置にレーザ光L
2を照射して、ローラ車両1の通過後の盛土の高さH
1を計測して、沈下量ΔHを算出することができる。これにより、事前の施工試験を行う必要がなく、締固め管理の手間を低減し、作業効率の向上を図ることができる。
【0095】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0096】
上記実施形態に係る締固め状態測定装置の締固め情報処理ユニットは、高さ基準を補正する高さ位置照合部を備える構成でもよい。高さ位置照合部は、例えば、GPS位置検出部7で検出されたローラ車両1の高さ情報に基づいて、各測定位置におけるローラ車両1の高さ位置を把握して、車体2の高さ基準を補正してもよい。また、締固め状態測定装置は、ローラ車両1の外部から、車体2の高さ方向における位置を計測し、その計測データに基づいて、各測定位置における車体2の高さ基準としてもよい。
【0097】
上記実施形態では、締固め機械をローラ車両として説明しているが、締固め機械は、例えば、振動ローラを有する締固め機械、転圧ローラを有する締固め機械、その他締固め機械でもよい。
【0098】
上記実施形態では、三次元レーザスキャナ4を、運転室の屋根上の中央(前後方向の中央)に配置しているが、三次元レーザスキャナ4を、例えば運転室の屋根上において、前後に離間させて配置してもよい。
【0099】
上記第2実施形態では、三次元レーザスキャナ14A,14Bを前後に離間して配置し、三次元レーザスキャナ14A,14Bによるレーザ光の出射点P
14a,P
14bの高さ位置を合わせるようにしているが、ローラ車両1Bが水平面に載置された状態において、出射点P
14a,P
14bの高さ位置は異なっていてもよい。この場合には、出射点P
14a,P
14bの高さ位置の差及び車体2の傾斜角θ
3を考慮して、沈下量ΔHを算出する。
【0100】
上記実施形態の締固め状態測定装置3は、姿勢検知部が締固め機械の幅方向に延在するX軸周りの車体2の回転角を計測する傾斜計を有する構成でもよく、三次元レーザスキャナ4,14A,14BのX軸周りの車体2の回転角を計測する傾斜計を有する構成でもよい。また、傾斜計は、その他の方向に延在する軸線周りの車体2の回転角を計測するものでもよい。
【0101】
また、上記の実施形態では、地盤の高さを計測する高さ計測部として、レーザ光を照射する三次元レーザスキャナを備える構成としているが、例えば光を照射して距離を測定する光波距離測定機等でもよく、その他の検出波を用いて地盤高さを計測する高さ計測部を備える構成でもよい。なお、検出波とは、地盤高さや構造物までの距離を計測可能な電磁波、超音波などをいう。
【0102】
また、上記実施形態の締固め状態測定装置では、GPS位置検出部7を備え、振動ローラ2aの位置を検出しているが、GPS位置検出部7を備えず、振動ローラ2aの位置を検出しない構成でもよい。また、上記実施形態では、盛土領域Aを締固め管理ブロックDに区画した後に、締固め管理ブロックDを設定せずに、盛土の転圧を行ってもよい。
【0103】
また、上記の実施形態では、盛土を転圧して締め固めた際の締固め管理について説明しているが、本実施形態の地盤の締固め状態測定装置、締固め状態測定方法、および締固め機械を、その他の地盤を締固める際の締固め管理に適用してもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、締固め情報処理ユニット6がローラ車両1に搭載されている構成について説明しているが、締固め情報処理ユニット6がローラ車両1に搭載されていない構成でもよい。例えば、三次元レーザスキャナ4で測定されたデータ、姿勢検知部5で測定されたデータを通信手段によって送信し、外部の締固め情報処理ユニット6で各種処理を行って、沈下量ΔHの算出、締固め状態の判定を行ってもよい。
【0105】
また、車体2の基準位置を、ローラ車両1の外部に設置されたセンサを用いて計測してもよい。例えば、ローラ車両1の外部に設置されたセンサを用いて、車体2の位置及び姿勢を計測して、測定地点を特定してもよい。
【0106】
また、ローラ車両1は、ローラ車両1の側方に対してレーザ光を照射して、ローラ車両1によって転圧されている部分に隣接する外側の部分(今回の走行では転圧されていない領域)の地盤高さを測定してもよい。これにより、ローラ車両1によって転圧されていない領域の地盤高さを基準として、ローラ車両1による転圧前後の地盤高さを算出して、沈下量ΔHを算出してもよい。
【0107】
また、ローラ車両1は、ローラ車両1の進行方向を計測する方位計を備え、この方位計によって計測されたデータを用いて、ローラ車両1が直進しているか否かを判定してもよい。これにより、ローラ車両1が直進していない場合には、ローラ車両1の移動方向に応じて、転圧前後の測定地点を特定することができる。