(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コポリマーがPA6−PEG、PA11−PEG、PA12−PEG、PA10.10−PEG、PA10.12−PEG及びそれらの混合物から選択される少なくとも一のPEBAを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
PAブロック及びPEブロックを含む前記コポリマーが、三つの異なる型のブロックを含むセグメント化ブロックコポリマーであり、前記コポリマーがコポリエーテルエステルアミド及びコポリエーテルアミドウレタンから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
前記少なくとも一の有機塩が、少なくとも一の以下の分子:アンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、及びそれらの混合物を含む少なくとも一のカチオンを含む、請求項8に記載の組成物。
前記少なくとも一の有機塩が、少なくとも一の以下の分子:イミド;ボレート;ホスフェート;ホスフィネート及びホスホネート;アミド;アルミネート、臭化物、塩化物、ヨウ化物アニオン等のハロゲン化物;シアネート;アセテート;スルホネート;スルフェート、硫酸水素、及びそれらの混合物を含む少なくとも一のアニオンを含む、請求項8又は9に記載の組成物。
吸湿剤;脂肪酸;潤滑剤;金属;金属フィルム;金属粉末;金属ナノ粉末;アルミノシリケート;第四級アミン等のアミン;エステル;繊維;カーボンブラック;炭素繊維;カーボンナノチューブ;ポリエチレングリコール;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール誘導体等の真性伝導性ポリマー;マスターバッチ、及びそれらの混合物から選択される表面伝導度を改善する少なくとも一の薬剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
有機若しくは無機充填剤、補強剤、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、UV遮断剤、難燃剤、カーボンブラック、カーボンナノチューブ;鉱物若しくは有機着色剤、顔料、着色剤、変形防止剤、潤滑剤、発泡剤、耐衝撃剤、耐収縮剤、難燃剤、造核剤、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一の添加剤及び/又はアジュバントを更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
以下の物品:工業用部品、自動車用部品、安全用付属品、標識、発光帯、シグナル伝達及び広告パネル、ディスプレイ、エッチング、家具、売場備品、装飾、コンタクトボール、義歯、眼科移植組織、血液透析膜、光ファイバー、芸術品、彫刻、カメラレンズ、使い捨てカメラレンズ、印刷補助物の少なくとも一部の製造のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】異なる組成物:100%のPMMA1又は80%のPMMA1/20%のPEBAの表面抵抗率のログを表す。PMMAマトリックスの表面抵抗率は、総組成物重量に関して、ブロックコポリマー(PEBA)の20重量%を包含することによって、少なくとも10の2乗が低減される。
【
図2】PMMA1に基づく組成物中の(PEBA1及びPEBA2に関する)PEBA含有量の機能としての濁度(%)を表す。PEBA1を含む本発明によらない組成物とは対照的に、本発明によるPMMA(PEBA2を含む)の組成物の場合、濁度は4%未満にとどまった。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、したがって、総組成物重量に関して、
・55%から99.9重量%のPMMA、及び
・0.1%から45重量%の、ポリエチレングリコール(PEG)を含む少なくとも一のポリアミド(PA)ブロック含有及びポリエーテル(PE)ブロック含有コポリマー(PEBA)
を含む、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に基づく透明帯電防止組成物であって、
前記コポリマーが、コポリマーの総重量に関して50%から80重量%の範囲のPEGを含むことを特徴とする、透明帯電防止組成物に関する。
【0016】
有利には、前記組成物は、総組成物重量に関して、:
・65%から97%、好ましくは70%から95%、好ましくは80%からから93%、好ましくは80%から88%、好ましくは85%から88重量%のPMMA、及び
・PEGを含む3%から35%、好ましくは5%から30%、好ましくは7%から20%、好ましくは12%から20%、好ましくは12%から15重量%のコポリマー
を含む。
【0017】
好ましくは、前記コポリマーは、コポリマーの総重量に関して55%から75%、好ましくは60%から70重量%のPEGを含む。
【0018】
用語「PMMA」とは、メチルメタクリレート(MMA)又はそれらの混合物のホモポリマー又はコポリマーを表す。
【0019】
一つの実施態様において、メチルメタクリレート(MMA)のホモポリマー又はコポリマーは、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、有利には少なくとも90%、及びより有利には少なくとも95重量%のメチルメタクリレートを含む。
【0020】
別の実施態様において、PMMAは、少なくとも一種のホモポリマーと少なくとも一種のMMAのコポリマーの混合物、又は異なる分子量を有するMMAの少なくとも二種のホモポリマー若しくはコポリマーの混合物、又は異なるモノマー組成を有するMMAの少なくとも二種のコポリマーの混合物である。
【0021】
メチルメタクリレートコポリマー(MMA)は、70%から99.7重量%のメチルメタクリレートと、0.3から30重量%の、メチルメタクリレートと共重合可能な少なくとも一種のエチレン性不飽和結合を有する少なくとも一種のモノマーを含む。
【0022】
これらのモノマーはよく知られており;特に、アクリル及びメタクリル酸並びにアルキル基が1から12の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ得る。例として、メチルアクリレート及びエチル、ブチル、又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ得る。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1から4の炭素原子を含むアルキルアクリレートである。
【0023】
好ましい実施態様において、メチルメタクリレートコポリマー(MMA)は、80%から99.7%、有利には90%から99.7%、より有利には90%から99.5重量%のメチルメタクリレートと、0.3%から20%、有利には0.3%から10%、より有利には0.5%から10重量%の、メチルメタクリレートと共重合可能な少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を含む少なくとも一つのモノマーを含む。好ましくは、コモノマーは、メチルアクリレート若しくはエチルアクリレート又はこれらの混合物から選択される。
【0024】
(メタ)アクリルポリマーの質量平均分子量は高くてもよく、50000g/molよりも大きく、好ましくは100000g/molよりも大きいことを意味する。
【0025】
質量平均分子量は、立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定され得る。
【0026】
(メタ)アクリルモノマーに関し、該モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びこれらの混合物から選択される。
【0027】
好ましくは、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びこれらの混合物から選択され、アルキル基が1から22の直鎖、分岐、又は環状の炭素を含み;好ましくはアルキル基が1から12の直鎖、分岐、又は環状の炭素を含む。
【0028】
有利には、(メタ)アクリルモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及びこれらの混合物から選択される。
【0029】
より有利には、(メタ)アクリルモノマーは、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート又はアクリル酸及びこれらの混合物から選択される。
【0030】
好ましい実施態様において、モノマーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%は、メチルメタクリレートである。
【0031】
より好ましい実施態様において、モノマーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは70重量%、有利には少なくとも80重量%、更により有利には90重量%は、イソボルニルアクリレート及び/又はアクリル酸とメチルメタクリレートとの混合物である。
【0032】
挙げられ得るPMMA添加剤は、「衝撃改質剤」として一般的に知られる衝撃強度変性剤等の有機添加剤、又は配列コポリマー、熱安定剤、UV安定剤、潤滑剤及びそれらの混合物である。
【0033】
衝撃改質剤は、エラストマーコア及び少なくとも一つの熱可塑性エンベロープを含む微粒子の形状であり、該粒子の大きさは、一般的に1μmよりも小さく、有利には50から300μmの範囲である。衝撃改質剤は、乳化重合により調製される。液体(メタ)アクリルシロップ中の衝撃改質剤の量は、0から50重量%、好ましくは0から25重量%、有利には0から20重量%である。
【0034】
挙げられ得るPMMA充填剤は、カーボンナノチューブ、又は鉱物ナノフィラー(TiO
2、シリカ)を含む鉱物充填剤である。
【0035】
「PEBA」と略されるポリエーテルブロック含有及びポリアミドブロック含有コポリマーは、反応性末端基を有するポリアミドブロックと反応性末端基を有するポリエーテルブロックとの重縮合により生じ、重縮合の例としては特に下記(1)〜(3)がある:
1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックとジカルボキシル鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックとの重縮合、
2)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオールとして知られる脂肪族のジヒドロキシル化したアルファ−オメガポリオキシアルキレンブロックをシアノエチル化及び水素添加して得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックとの重縮合、
3)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオールとの重縮合(この場合に得られる生成物を特にポリエーテルエステルアミドという)。
【0036】
ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば連鎖制限ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合で得られる。ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば連鎖制限ジアミンの存在下でのポリアミド前駆体の縮合で得られる。
【0037】
ポリアミドブロックの平均モル質量数Mnは、400から20000g/モルの範囲、好ましくは500から10000g/モルの範囲である。
【0038】
ポリアミドブロック含有及びポリエーテルブロック含有ポリマーは、ランダムに分散するモチーフを含んでいてもよい。
【0039】
有利には、3種類のポリアミドブロックが使用されてもよい。
【0040】
第一の種類において、ポリアミドブロックは、ジカルボン酸、特に4から20の炭素原子を含むもの、好ましくは6から18の炭素原子を含むものと、脂肪族若しくは芳香族ジアミン、特に2から20の炭素原子を含むもの、好ましくは6から14の炭素原子を含むものとの重縮合で得られる。
【0041】
引用され得るジカルボン酸の例は、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸並びにテレフタル及びイソフタル酸、更に二量体化された脂肪酸である。
【0042】
引用され得るジアミンの例は、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(BACM)、ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、及び2−2−ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)−プロパン(BMACP)の異性体、及びパラ−アミノ−ジ−シクロ−ヘキシル−メタン(PACM)、及びイソホロンジアミン(IPDA)、2,6−ビス−(アミノメチル)−ノルボルナン(BAMN)及びピペラジン(Pip)である。
【0043】
有利には、ブロックPA4.12、PA4.14、PA4.18、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA6.18、PA9.12、PA10.10、PA10.12、PA10.14及びPA10.18が使用される。
【0044】
第二の種類において、ポリアミドブロックは、一又は複数のアルファ−オメガアミノカルボン酸及び/又は4から12の炭素原子を含むジカルボン酸若しくはジアミンの存在下で、6から12の炭素原子を含む一又は複数のラクタムの縮合の結果である。引用され得るラクタムの例は、カプロラクタム、セリ系ラクタム及びラウリルラクタムである。引用され得るアルファ−オメガアミノカルボン酸の例は、アミノカプロン酸、アミノ−7−ヘプタン酸、アミノ−11−ウンデカノン酸及びアミノ−12−ドデカノン酸である。
【0045】
有利には、第二の種類のポリアミドブロックは、ポリアミド11、ポリアミド12又はポリアミド6である。
【0046】
第三の種類によると、ポリアミドブロックは、少なくとも一のアルファ−オメガアミノカルボン酸(又はラクタム)、少なくとも一のジアミン及び少なくとも一のジカルボン酸の縮合の結果である。
【0047】
この場合、PAポリアミドブロックは、ジカルボン酸から選択される鎖制限剤の存在下で、以下の重縮合により調製される:
・直鎖又は芳香族脂肪族ジアミン又はX炭素原子を含むジアミン;
・ジカルボン酸又はY炭素原子を含む酸;及び
・ラクタム並びにZ炭素原子を含むアルファ−オメガアミノカルボン酸及びX1炭素原子を含む少なくとも一のジアミン及びY1炭素原子を含む少なくとも一のジカルボン酸の等モル混合物であって、X1、Y1)が(X、Y)とは異なる混合物から選択されるコモノマー又はコモノマー(複数){Z}であり、
前記コモノマー又はコモノマー(複数){Z}が、ポリアミド前駆体モノマーの全体に関して50重量%まで、好ましくは20重量%まで、より有利には10重量%までの比率で導入される。
【0048】
有利には、使用される鎖制限剤は、Y炭素原子を含むジカルボン酸であり、これはジアミン(複数可)の化学量論に関して過度に導入される。
【0049】
この第三の種類の変形例において、ポリアミドブロックは、鎖制限剤の存在下で、少なくとも二のアルファ−オメガアミノカルボン酸又は6から12の炭素原子を含む少なくとも二のラクタム又は一のラクタムと炭素原子数が異なるアミノカルボン酸の縮合により生じる。引用され得る脂肪族アルファ−オメガアミノカルボン酸の例は、アミノカプロン酸、アミノ−7−ヘプタン酸、アミノ−11−ウンデカノン酸及びアミノ−12−ドデカノン酸である。引用され得るラクタムの例は、カプロラクタム、セリ系ラクタム及びラウリルラクタムである。引用され得る脂肪族ジアミンの例は、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンである。引用され得る脂環式の二酸の例は、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸である。引用され得る脂肪族二酸の例は、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、二量体化された脂肪酸(これら二量体化された脂肪酸は好ましくは少なくとも98%のダイマー含有量を有し;好ましくは水素化されており;「UNICHEMA」から「PRIPOL」の商標下、又はHENKELからEMPOLの商標下で市販されている)及びα、ωポリオキシアルキレン二酸である。引用され得る脂肪族二酸の例は、テレフタル(T)酸及びイソフタル(I)酸である。引用され得る脂環式ジアミンの例は、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(BACM)、ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、及び2−2−ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)−プロパン(BMACP)の異性体、並びにパラ−アミノ−ジ−シクロ−ヘキシル−メタン(PACM)である。しばしば使用されるその他ジアミンは、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6−ビス−(アミノメチル)−ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンである。
【0050】
引用され得る第三の種類のポリアミドブロックの例は以下の通りである:
・6.6/6、6.6はアジピン酸で縮合されるヘキサメチレンジアミンモチーフを表す6はカプロラクタムの縮合により生じるモチーフを表す。
・6.6/6.10/11/12、6.6はアジピン酸で縮合されるヘキサメチレンジアミンを表す6.10はセバシン酸で縮合されるヘキサメチレンジアミンを表す11はアミノウンデカノン酸の縮合により生じるモチーフを表す12はラウリルラクタムの縮合により生じるモチーフを表す。
【0051】
有利には、本発明の組成物で使用される前記少なくとも一のポリアミドブロックは、少なくとも一の以下のポリアミドモノマー:6、11、12、5.4、5.9、5.10、5.12、5.13、5.14、5.16、5.18、5.36、6.4、6.9、6.10、6.12、6.13、6.14、6.16、6.18、6.36、10.4、10.9、10.10、10.12、10.13、10.14、10.16、10.18、10.36、10.T、12.4、12.9、12.10、12.12、12.13、12.14、12.16、12.18、12.36、12.T及びそれらの混合物又はコポリマー;好ましく以下のポリアミドモノマー:6、11、12、6.10、10.10、10.12、及びそれらの混合物又はコポリマーから選択されるものを含む。
【0052】
PAブロックの総重量に関して、好ましくは、PAブロックは少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは100重量%のPA11を含む。
【0053】
ポリエーテルブロックは、50%から80重量%のポリアミド及びポリエーテルブロック含有コポリマーを表す。ポリエーテルブロックの質量Mnは、100から6000g/モルの範囲、好ましくは200から3000g/モルの範囲である。
【0054】
ポリエーテルブロックは、アルキレンオキシドモチーフにより構成される。これらのモチーフは、通常エチレンオキシドモチーフ、プロピレンオキシドモチーフ又はテトラヒドロフラン(これはポリテトラメチレングリコール連結を引き起こす)であり得る。本発明の組成物において、PEGブロック(ポリエチレングリコール)、即ちエチレンオキシドモチーフからなるもの、PPG(プロピレングリコール)ブロックと組み合わされていてもよいもの、即ちプロピレンオキシドモチーフからなるもの、PO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、即ちポリトリメチレンエーテルグリコールブロックからなるもの、及び/又はPTMGブロック、即ちポリテトラヒドロフランとしても知られるテトラメチレングリコールブロックからなるもの、が使用される。PEBAコポリマーは、その鎖中にいくつかの種類のポリエーテルを含んでもよく、コポリエーテルはブロック又はランダムコポリマーである可能性がある。
【0055】
有利には、組成物のコポリマーはまた、PTMG、PPG、PO3G及びそれらの混合物から選択されるPEG以外の少なくとも一のポリエーテルも含む。
【0056】
本発明の組成物に使用されるPEBAは、PEBAの総重量に関して、50重量%を超える、好ましくは55重量%を超える、又は60重量%を超えるPEGポリエーテルブロックを含む。
【0057】
例えばビスフェノールA等のビスフェノールのオキシエチル化により得られるブロックを使用することも可能である。これら後者の生成物は特許EP613919に記載される。
【0058】
ポリエーテルブロックは、第一級エトキシ化アミンからなっていてもよい。引用され得る第一級エトキシ化アミンの例は、
式:
を有する生成物である。
式中、m及びnは1から20の範囲にあり、xは8から18の範囲にある。これらの生成物は、CECAからNORAMOX(登録商標)の商標下で、CLARIANTからGENAMIN(登録商標)の商標下で市販されている。
【0059】
軟質ポリエーテルブロックはNH
2鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを含んでもよく、この種類のブロックはポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシル化アルファ−オメガポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化により得ることができる。特に、ジェファミン(例えばHuntsmannから市販されているジェファミン(登録商標)D400、D2000、ED2003、XTJ542並びに特開2004‐346274、特開2004‐352794及びEP1482011に記載のもの)を使用することが可能である。
【0060】
ポリエーテルジオールブロックは、ポリエーテルジアミンに形質転換され、カルボキシル末端を有するポリアミドブロックと縮合されるために、そのまま使用されるか、カルボキシル末端を有するポリアミドブロックと共重縮合されるか、又はアミノ化される。PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を有するPEBAコポリマーの2段階調製の一般的な方法は公知であり、例えばフランス特許FR2846332に記載されている。PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を有する本発明のPEBAコポリマーの調製の一般的な方法は公知であり、例えばヨーロッパ特許EP1482011に記載されている。ポリエーテルブロックはまた、ランダムに分散されたモチーフを有する、ポリアミドブロック含有及びポリエーテルブロック含有ポリマーを作製するために、ポリアミド前駆体及び二酸鎖制限剤と混合されてもよい(一段階法)。
【0061】
明らかに、本発明の記載におけるPEBAの指定は、Arkemaにより販売されるPEBAX(登録商標)、Evonikにより販売されるVestamid(登録商標)、EMSにより販売されるGrilamid(登録商標)、並びにSanyoにより販売されるPelestat(登録商標)タイプのPEBA、又はその他供給者からのその他PEBAを指す。
【0062】
有利には、PEBAコポリマーは、PA6、PA11、PA12、PA6.12、PA6.6/6、PA10.10及び/又はPA6.14、好ましくはPA11及び/又はPA12ブロックであるPAブロック;並びにPEGであるPEブロックを有する。
【0063】
好ましくは、本発明のコポリマーは、PA6−PEG、PA11−PEG、PA12−PEG、PA10.10−PEG、PA10.12−PEG、PA6/12−PEG及びそれらの混合物から選択される少なくとも一のPEBAを含み;好ましくはPA11−PEGを含み、更によいのはPA11−PEGである。
【0064】
上記のブロックコポリマーが一般的に少なくとも一のポリアミドブロック及び少なくとも一のポリエーテルブロックを含むのに対し、実際には本発明は、これらのブロックの少なくとも一がポリアミドブロックである限り、本明細書中に記載されるものから選択される二、三、四(又はそれ以上)の異なるブロックを含むコポリマーの全ての合金を包含すること、並びにコポリマーが50%を超えるPEGを含むことは明らかである。
【0065】
有利には、本発明のコポリマー合金は、上記のいくつかのブロックの縮合により生じる三つの異なる種類のブロック(本発明の本明細書中では「トリブロック」と称する)を含む、セグメント化ブロックコポリマーを含む。前記トリブロックは、好ましくはコポリエーテルエステルアミド、コポリエーテルアミドウレタンから選択され、ここで、トリブロックの総質量に関して、
−ポリアミドブロックの重量パーセントは10%を超え;
−PEGブロックの重量パーセントは50%を超える。
【0066】
したがって、本発明の組成物のある特定の実施態様によれば、PAブロック及びPEブロックを含む前記コポリマーは、三つの異なる型のブロックを含むセグメント化ブロックコポリマーであり、前記コポリマーはコポリエーテルエステルアミド及びコポリエーテルアミドウレタンから選択される。
【0067】
有利には、コポリマーは、2以下;好ましくは1.5以下;好ましくは1.4以下;好ましくは1.3以下;好ましくは1.2以下の固有粘度を有する。低コポリマー粘度で組成物の透明度が改善される(透過率が増加される)ことが示されている。本明細書において、固有粘度は、ウッベローデ粘度計を使用して、20℃で、溶液の総重量に関して、メタクレゾール中の溶液における0.5重量%のポリマー濃度で測定される。
【0068】
有利には、その永久的な帯電防止特性及び10
12平方オーム未満の表面抵抗率のため、本発明の組成物は、有機塩を要せず、したがってそれを含まない。
【0069】
それにもかかわらず、帯電防止性能を更に改善するために、本発明の組成物に有機塩又はイオン性液体を包含することは可能である。
【0070】
有利には、本発明の組成物は、総組成物重量に関して、融解状態下で0.1%から10%、好ましくは0.1%から5重量%の少なくとも一の有機塩を含む。
【0071】
有機塩は、無機又は有機アニオンを伴う有機カチオンからなる塩である。
【0072】
前記少なくとも一の有機塩は、融解状態、即ち有機塩がその融解温度を上回る温度で、添加される。好ましくは、前記少なくとも一の有機塩は、300℃未満、好ましくは200℃未満、好ましくは100℃未満の融解温度を有し、したがって有利にはイオン性液体を構成し、好ましくは30℃未満である。イオン性液体の主な特性は、特に、それらが不揮発性である(揮発性有機化合物の大気への拡散を伴わない)、不燃性である(したがって、扱いやすく保管しやすい)、高温で安定している(400℃までは確実)、良導体である、且つ水及び酸素に関して非常に安定していることである。
【0073】
有利には、前記少なくとも一の有機塩は、少なくとも一の以下の分子:アンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、リチウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、及びそれらの混合物を含む少なくとも一のカチオンを含む。有利には、前記少なくとも一の有機塩は、少なくとも一の以下の分子:イミド、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NTf2−と略される);ボレート、特にテトラフルオロボレート(BF4−と略される);ホスフェート、特にヘキサフルオロホスフェート(PF6−と略される);ホスフィネート及びホスホネート、特にアルキル−ホスホネート;アミド、特にジシアナミド(DCA−と略される);アルミネート、特にテトラクロロアルミネート(AlCl4−)、臭化物、塩化物、ヨウ化物アニオン等のハロゲン化物;シアネート;アセテート(CH
3COO−)、特にトリフルオロアセテート;スルホネート、特にメタンスルホネート(CH
3SO
3−)、トリフルオロメタンスルホネート;スルフェート、特にエチルスルフェート、硫酸水素、及びそれらの混合物を含む少なくとも一のアニオンを含む。
【0074】
本発明の文脈において使用される場合の用語「有機塩」とは、特に、本発明のプロセスに従ったブロックコポリマーの合成中に使用される温度で安定している任意の有機塩を意味する。当業者は、各有機塩に関する制限的な分解温度を示す、有機塩に関するデータシートを参照することができるであろう。
【0075】
特に引用され得る本発明の合成プロセスで使用されてもよい有機塩の例は、アンモニウムカチオンに基づく有機塩、イミダゾリウム若しくはイミダゾリニウムカチオンに基づく有機塩、ピリジニウムカチオンに基づく有機塩、ジヒドロピリジニウムカチオンに基づく有機塩、テトラヒドロピリジニウムカチオンに基づく有機塩、ピロリジニウムカチオンに基づく有機塩、グアニジンカチオンに基づく有機塩、ホスホニウムカチオンに基づく有機塩である。
【0076】
アンモニウムカチオンに基づく有機塩は、例えば以下を結合させる:
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するN−トリメチル−N−プロピルアンモニウムカチオン;
・臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドから選択されるアニオンを有するN−トリメチル−N−ブチルアンモニウム又はN−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン;
・ヨウ化物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はジシアナミドアニオンを有するN−トリブチル−N−メチルアンモニウムカチオン;
・テトラフルオロボレートアニオンを有するテトラエチルアンモニウムカチオン;
・ジメチルホスフェートアニオンを有する(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオン;
・トリフルオロアセテートアニオンを有するジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン;
・スルファメートアニオンを有するN,N−ジ(2−メトキシ)エチルアンモニウムカチオン;
・2−ヒドロキシアセテート又はトリフルオロアセテートアニオンを有するN,N−ジメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン;
・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンを有するN−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムカチオン;
・エチルジメチルプロピルアンモニウムカチオン及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
・メチルトリオクチルアンモニウムカチオン及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
・メチルトリオクチルアンモニウムカチオン及びトリフルオロアセテート又はトリフルオロメチルスルホネートアニオン;
・テトラブチルアンモニウムカチオン及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
・テトラメチルアンモニウムカチオン及びビス(オキサラート(2−))−ボレート又はトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン。
【0077】
二置換イミダゾール、一置換イミダゾール、三置換イミダゾール等のイミダゾールに基づく有機塩;特にイミダゾリウムカチオン又はイミダゾリニウムカチオンに基づくものを引用することも可能である。
【0078】
引用され得るイミダゾリウムカチオンに基づく有機塩の例は以下を含む:
・クロリドアニオンを有するH−メチルイミダゾリウムカチオン;
・塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラクロロアルミネート、エチル−ホスホネート又はメチル−ホスホネート、メタンスルホネート、エチル−硫酸塩、エチル−スルホネートアニオンを有する1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン;
・塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラクロロアルミネート、アセテート、ハイドロジェンスルフェート、トリフルオロアセテート、メタンスルホネートアニオンを含む1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン;
・メチル−ホスホネートアニオンを含む1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン;
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン;
・テトラフルオロボレート ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン;
・テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン;
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン;
・塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジシアナミドアニオンを含む1−エタノール−3−メチルイミダゾリウムカチオン。
【0079】
引用され得るピリジニウムカチオンに基づく有機塩の例は:N−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド、N−ブチル−メチル−4−ピリジニウムクロリド、N−ブチル−メチル−4−ピリジニウム テトラフルオロボレート、N−ブチル−3−メチルピリジニウムクロリド、N−ブチル−3−メチルピリジニウム ジシアナミド、N−ブチル−3−メチルピリジニウム メチルスルフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムクロリド、N−ブチルピリジニウム テトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウム トリフルオロメチルスルホネート、1−エチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウム エチルスルフェート、N−ヘキシルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシルピリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ブチル−3−メチルピリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、N−ブチル−3−メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェートである。
【0080】
引用され得るピロリジニウムカチオンに基づく有機塩の例は:ブチル−1−メチル−1−ピロリジニウムクロリド、ブチル−1−メチル−ピロリジニウム ジシアナミド、ブチル−1−メチル−1−ピロリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、ブチル−1−メチル−1−ピロリジニウム トリス(ペンタフルオロエチル)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ビス[オキサラート(2−)]ボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ジシアナミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム トリフルオロアセテート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、ブチル−1−メチル−1−ピロリジニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1,1−ジメチルピロリジニウムヨージド、1−(2−エトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチル−1−オクチル−1−ピロリジニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロミドである。
【0081】
以下を結合する有機塩を引用することも可能である:
・臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネートアニオンを含む1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン;
・塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジシアナミド、アセテート又はハイドロジェンスルフェートアニオンを含む1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン;
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含むN−プロピル−N−メチルピロリジニウムカチオン;
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン。
【0082】
引用され得るグアニジンカチオンに基づく有機塩の更なる例は:グアニジントリフルオロメチルスルホネート、グアニジン トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ヘキサメチルグアニジン トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートである。
【0083】
トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ビス[オキサラート(2−)]ボレート;トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート等のホスホニウムカチオンに基づく有機塩を引用することも可能である。
【0084】
有機塩並びに本発明で使用されてもよい有機塩の組成物に含まれ得る上で引用されるカチオン及びアニオンの記述は、例としてのみ与えられ;網羅的でも制限的なものでもない。結果として、有機塩の分解温度が、有機塩が存在する本発明のプロセスの工程の温度よりも高い限り、任意のその他有機塩の添加は、本発明のプロセス中に当然想定されてもよい。
【0085】
有利には、本発明の組成物は、少なくとも一の無機塩、即ちアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を含む特に引用され得るもの;及びマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類;有機酸(1から12の炭素原子を含むモノ−若しくはジ−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸等;1から20の炭素を含むスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、チオシアン酸等)を有するもの、又は鉱酸(ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸等)を更に含む。以下が引用され得る:酢酸カリウム、酢酸リチウム;塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム又は過塩素酸カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、チオシアネート等。
【0086】
これらの中でも、ハロゲン化物、好ましくは、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸カリウム及び過塩素酸カリウムが好ましい。無機塩の量は、組成物の重量に関して、一般的に0.001%から3%の範囲、好ましくは0.01%から2%である。
【0087】
本発明の組成物には、安定剤、可塑剤、潤滑剤、天然若しくは有機充填剤、着色剤、顔料、真珠層、抗菌剤、難燃剤、帯電防止薬剤、コポリマーの粘度を調節する薬剤、及び/又は既に引用されており、熱可塑性ポリマーの分野の当業者に公知の任意のその他添加剤若しくはアジュバントが補完されていてもよい。
【0088】
有利には、本発明の組成物の前記PMMA、前記PAブロック及び/又は前記PEブロックは、少なくとも部分的に、再生可能な出発物質から得られる。
【0089】
有利には、少なくとも1.2×10
−14の
14C/
12C同位体比に相当する、少なくとも1%のバイオカーボンの量を含む。好ましくは、前記組成物は、5%を超える、好ましくは10%を超える、好ましくは25%を超える、好ましくは50%を超える、好ましくは75%を超える、好ましくは90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%超える、有利には実質的に100%に等しいバイオカーボンの量を含む。
【0090】
本発明の特に有利な実施態様にしたがって、ポリアミドブロック及び/又はポリエーテルブロック及び/又はPMMAは、再生可能な出発物質の全体で得られる。
【0091】
生体材料としても知られる再生可能由来の材料は、炭素が大気中の光合成により(ヒューマンスケール上に)固定されたCO
2に由来する、有機材料である。地上では、このCO
2は植物により捕獲又は固定される。海中では、CO
2は、光合成を行う細菌又はプランクトンにより捕獲又は固定される。化石原料が比率0を有するのに対し、生体材料(100%天然炭素由来)は、10
−12を超える、典型的には1.2×10
−12とほぼ同程度の
14C/
12C同位体比を有する。実際には、
14C同位体は大気中で形成され、次いで長くても数十年のタイムスケール上で光合成により統合される。
14Cの半減期は5730年である。したがって、光合成により得られる物質、即ち一般的に植物は、
14C同位体の最大量を必然的に含む。
【0092】
生体材料又はバイオカーボン含有量は、規格ASTM D6866(ASTM D6866−06)及びASTM D7026(ASTM D7026−04)の適用により決定される。規格ASTM D6866は「放射性炭素及び同位体比質量分析を使用して天然範囲物質のバイオ原料含有量を決定すること」に関連するのに対し、規格ASTM D7026は「炭素同位体分析を介する物質のバイオ原料含有量の決定に関する結果のサンプリング及び報告」に関連する。第2の規格は、その第一段落で第一の規格について言及している。
【0093】
第一の規格は、試料の
14C/
12C比率の測定に関する試験を記載し、それを100%再生可能由来の参照試料の
14C/
12Cと比較し、試料中の再生可能由来のCの相対的割合をもたらす。規格は、
14C炭素年代測定と同じ概念に基づいているが、年代測定方程式は適用していない。
【0094】
このようにして計算された比を「pMC」(モダンカーボン割合)と称する。分析される材料が生体材料と化石原料(放射性同位体を含まない)との混合物である場合、得られたpMCの値は試料中に存在する生体材料の量に直接相関する。
14C年代測定に使用される基準値は、1950年の値である。この年が選ばれたのは、大気圏内核実験が行われ、この年以降、大気中に多量の同位体が放出されたからである。1950年基準値はpMC値100に相当する。核融合試験により、使用する実際の値はおよそ約107.5である(補正率0.93に相当)。したがって、現在の植物の放射性炭素痕跡値は107.5である。したがって、痕跡値54pMC及び99pMCはそれぞれ試料中の生体材料の量の50%及び93%に相当する。
【0095】
同位体:ASTM規格D6866は
14C同位体の量の測定のための3つの手法が提案されている:
・液体シンチレーションを使用したLSC(液体シンチレーション計数)分光分析。この手法は
14Cの崩壊により得られた「ベータ」粒子をカウントすることからなる。公知の質量(C原子の公知の数)を有する試料から得られたベータ線が一定時間測定された。この「放射能」は、
14Cの原子の数に比例し、したがって決定され得る。試料中に存在する
14Cはベータ線を放出し、それは発光液体(シンチレータ)と接触すると光子をもたらす。これらの光子は種々のエネルギー(0から156keVの範囲)を有し、
14Cスペクトルとして知られるものを形成する。この手法の二つの変形法において、分析は好適な適当な吸収溶液中で炭素含有試料により予め生じたCO
2か、又はベンゼン中の炭素含有試料の事前の変換後のベンゼンのいずれかに基づく。したがって、ASTM D6866規格は、このLSC法に基づき、二つの方法A及びCを提供する。
・AMS/IRMS(同位体放射性質量分析法と組合せた加速質量分析法)。この手法は質量分析に基づく。試料をグラファイト又はCO
2ガスにし、質量分析機で分析する。この手法は、
14Cイオンを
12Cイオンから分離するための加速器と質量分析機とを使用し、二つの同位体の比を決定する。
【0096】
本発明による組成物は、少なくとも一部が生体材料に由来し、したがって、少なくとも1%の生体材料含有量を有し、これは少なくとも1.2x10
−14の
14C含有量に相当する。この含有量は有利にはより高く、特に最大で100%であり、これは1.2x10
−12の
14C含有量に相当する。したがって、本発明の合金は、100%のバイオカーボンを含んでもよく、反対に、化石由来との混合物から生じてもよい。
【0097】
有利には、本発明による組成物は、吸湿剤;脂肪酸;潤滑剤;金属;金属フィルム;金属粉末;金属ナノ粉末;アルミノシリケート;第四級アミン等のアミン;エステル;繊維;カーボンブラック;炭素繊維;カーボンナノチューブ;ポリエチレングリコール;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール誘導体等の真性伝導性ポリマー;マスターバッチ、及びそれらの混合物から選択される表面伝導度を改善する少なくとも一の薬剤を更に含む。
【0098】
有利には、本発明の組成物は、有機若しくは無機充填剤、補強剤、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、UV遮断剤、難燃剤、カーボンブラック、カーボンナノチューブ;鉱物若しくは有機着色剤、顔料、着色剤、変形防止剤、潤滑剤、発泡剤、耐衝撃剤、耐収縮剤、難燃剤、造核剤、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一の添加剤及び/又はアジュバントを更に含む。
【0099】
本発明はまた、以下の物品:工業用部品、自動車用部品、安全用付属品、標識、発光帯、シグナル伝達及び広告パネル、ディスプレイ、エッチング、家具、売場備品、装飾、接触玉、義歯、眼科移植組織、血液透析膜、光ファイバー、芸術品、装飾、彫刻、レンズ、特にカメラレンズ、使い捨てカメラレンズ、印刷補助物、特に絵画、写真、窓ガラス、展望用屋根、自動車のヘッドライト等のためのUVインクでの直接印刷の補助物の少なくとも一部の製造のための、本発明による組成物の使用にも関連する。
【0100】
本発明のPMMAに基づく透明組成物は、本発明による少なくとも一のブロックコポリマーを上記のPMMAマトリックスの少なくとも一部に包含することにより提供される、表面抵抗率の低減による帯電防止特性を決定的に改善してきた。前記少なくとも一のコポリマーの前記マトリックスへの添加は、ポリマーの分野の当業者に知られるプロセスのいずれかを使用して、特に、乾燥混合により、又は様々な添加ポリマーのガラス転移温度より高い温度での混合により、又は特に回転、押出し、若しくは溶液中での混合による様々な添加ポリマーの流動化温度と実質的に等しい温度でのせん断により、行われ得る。