特許第6567512号(P6567512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6567512熱収縮性多層フィルム、及び、熱収縮性ラベル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567512
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】熱収縮性多層フィルム、及び、熱収縮性ラベル
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20190819BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190819BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20190819BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20190819BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20190819BHJP
   B29C 61/02 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B32B27/36
   B32B27/30 A
   B32B27/30 B
   B32B27/18 D
   B65D23/08 B
   G09F3/04 C
   B29C61/02
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-523438(P2016-523438)
(86)(22)【出願日】2015年5月20日
(86)【国際出願番号】JP2015064464
(87)【国際公開番号】WO2015182451
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-109348(P2014-109348)
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中原 歩夢
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 孝典
(72)【発明者】
【氏名】安井 義勝
(72)【発明者】
【氏名】土井 満
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/011826(WO,A1)
【文献】 特開2008−031345(JP,A)
【文献】 特開2004−122670(JP,A)
【文献】 特開2010−149521(JP,A)
【文献】 特開2007−216525(JP,A)
【文献】 特開2008−062640(JP,A)
【文献】 特開2002−132159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 55/00−55/30、61/00−61/10
B65D 23/00−25/56、65/40
G09F 1/00−5/04
C08L 33/00、67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系樹脂(a)、(メタ)アクリル系樹脂、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤を含有する耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂(b)を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂(d)を含有する裏面層(D)とをこの順に有し、
前記耐摩耗層(A)は、前記ポリエステル系樹脂(a)と前記(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対する前記炭化水素系ワックスの含有量が35〜60重量部、
前記帯電防止剤の含有量が1.0〜10.0重量部である
ことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項2】
耐摩耗層(A)において、ポリエステル系樹脂(a)と(メタ)アクリル系樹脂との重量比が、10:90〜90:10であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項3】
表面層(B)と中間層(C)との間、及び/又は、中間層(C)と裏面層(D)との間に接着層(E)を有することを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の熱収縮性多層フィルムを用いてなることを特徴とする熱収縮性ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性に優れ、静電気の発生及び表面のベタツキを抑制することができる熱収縮性多層フィルムに関する。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、緑茶等の清涼飲料水がPETボトル飲料としてコンビニエンスストアー等で多量に販売されている。PETボトル飲料等に用いられる熱収縮性ラベルは、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を用いた、様々なフィルム基材に印刷等を施したものである。
【0003】
熱収縮性ラベルには、低温収縮性に優れることからポリスチレン系樹脂フィルムが多用されている。しかしながら、ポリスチレン系樹脂フィルムには、耐熱性及び耐溶剤性が不充分であるという問題がある。そこで、耐熱性及び耐溶剤性に優れたポリエステル系樹脂フィルムを用いる試みもなされているが、ポリエステル系樹脂フィルムは低温収縮性が悪く急激に収縮することから、PETボトル飲料等に装着する際には皺が発生しやすい。
【0004】
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1には、ポリエステル系樹脂を含む外面層と、ポリスチレン系樹脂を含む中間層とが、変性ポリエステル系エラストマーを含む接着層を介して積層されてなる熱収縮性多層フィルムが記載されている。
【0005】
しかしながら、これらのフィルム基材からなる熱収縮性ラベルは、PETボトル飲料の輸送時に、ボトル同士が擦れあったり、段ボール箱の壁面と擦れあったりして、表面に傷がついたり、摩耗により表面が磨り減ったりして問題になることがある。熱収縮性ラベル表面の耐摩耗性を改善する試みもなされているが(例えば、特許文献2)、未だ充分とはいえなかった。
【0006】
これに対して、熱収縮性ラベルの表面をコーティングすることで、表面に傷が生じる問題を解決しようとする試みがある。
しかしながら、コーティング層の形成によって、ラベル表面の表面固有抵抗が大きくなり、静電気を帯びる。これにより、ラベルを装着する工程での装着不良や、装着後に埃を吸い寄せることによるラベル汚れが生じるという問題が発生していた。特に、ラベル汚れの問題に対しては、コーティング層に帯電防止剤を添加することも行われているが、収縮仕上り後のラベルがべたつくという新たな問題が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−62640号公報
【特許文献2】特開2002−132159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、耐摩耗性に優れ、静電気の発生及び表面のベタツキを抑制することができる熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリエステル系樹脂(a)、(メタ)アクリル系樹脂、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤を含有する耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂(b)を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂(d)を含有する裏面層(D)とをこの順に有し、前記耐摩耗層(A)は、前記ポリエステル系樹脂(a)と前記(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対する前記炭化水素系ワックスの含有量が35〜60重量部、前記帯電防止剤の含有量が1.0〜10.0重量部である熱収縮性多層フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者は、耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂(b)を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂(d)を含有する裏面層(D)とをこの順に積層するとともに、耐摩耗層(A)を構成する樹脂としてポリエステル系樹脂(a)と(メタ)アクリル系樹脂とを併用し、更に、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤を所定の割合で含有させることにより、耐摩耗性に優れた熱収縮性多層フィルムとすることができることを見出した。更に、本発明者は、このような熱収縮性多層フィルムは静電気の発生及び表面のベタツキを抑制することも可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂(b)を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂(d)を含有する裏面層(D)とをこの順に有する。
上記耐摩耗層(A)は、ポリエステル系樹脂(a)、(メタ)アクリル系樹脂、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤を含有する。ポリエステル系樹脂(a)と、(メタ)アクリル系樹脂と、炭化水素系ワックスと、帯電防止剤とを含有することにより、耐摩耗層(A)は、耐摩耗性に優れ、また、表面層(B)に対する密着性、延伸性等にも優れたものとなる。
【0012】
上記耐摩耗層(A)を構成するポリエステル系樹脂(a)としては、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させることにより得られるものが挙げられる。
【0013】
上記ジカルボン酸としては特に限定されず、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0014】
上記ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
上記ポリエステル系樹脂(a)としては、なかでも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はイソフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール又は1,6−ヘキサンジオールに由来する成分を含有するものが好ましい。
【0016】
上記耐摩耗層(A)に含まれるポリエステル系樹脂(a)としては、上述した組成を有するポリエステル系樹脂を単独で用いてもよく、上述した組成を有する2種以上のポリエステル系樹脂を併用してもよい。
【0017】
また、上記ポリエステル系樹脂(a)は、カルボキシル基やスルホン酸基等の親水性基を有する成分を共重合させたものでもよい。
【0018】
上記ポリエステル系樹脂(a)のガラス転移温度は、耐水性、耐久性、成膜性を考慮すると、30〜80℃であることが好ましく、35〜75℃であることがより好ましく、40〜70℃であることがさらに好ましい。ポリエステル系樹脂(a)のガラス転移温度がこの範囲にあると、良好な耐摩耗性を有し、表面層(B)に対する密着性に優れた耐摩耗層(A)を得ることができ好ましい。ポリエステル系樹脂(a)のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0019】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を反応させた重合体である。
上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル基を有する単量体であり、活性水素基を有さないことが好ましい。上記(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、活性水素基を有さない、炭素数1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等)が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸ブチルの共重合体が好ましい。
【0020】
また、上記(メタ)アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル系単量体に加えて、重合性二重結合を有するその他の単量体に由来する成分を有していてもよい。このような単量体としては、例えば、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
【0021】
上記(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、0〜100℃であることが好ましく、10〜90℃であることがより好ましく、20〜80℃であることがさらに好ましい。上記(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度がこの範囲にあると、良好な耐摩耗性を有し、表面層(B)に対する密着性に優れた耐摩耗層(A)を得ることができ好ましい。(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0022】
上記耐摩耗層(A)において、上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂との重量比は特に限定されないが、10:90〜90:10であることが好ましい。上記ポリエステル系樹脂(a)の含有量がこの範囲よりも少ないと、耐摩耗層(A)の表面層(B)に対する密着性、延伸性等が低下することがあり、また、ヘイズが高くなって透明性が低下したり、光沢が悪くなったりすることがある。上記ポリエステル系樹脂(a)の含有量がこの範囲よりも多いと、耐摩耗層(A)の耐摩耗性や耐水性が低下することがある。上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂との重量比は、20:80〜60:40であることがより好ましい。
【0023】
上記耐摩耗層(A)は、炭化水素系ワックスを含有する。
上記炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等の合成ワックス、カルバナ蝋、米穀蝋、蜜蝋、キャンデリラ蝋、ライスワックス、ホホバ油、ラノリン等の動植物蝋;動植物油脂等が挙げられる。
なかでも、耐摩耗性、耐水性、透明性の観点から、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが好ましい。
上記炭化水素系ワックスは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記炭化水素系ワックスの融点は90〜160℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。炭化水素系ワックスの融点が90℃未満である場合、耐水性が低下する傾向があり、融点が160℃を超えると耐摩耗層(A)の表面の滑り性が悪くなる傾向がある。
【0025】
上記耐摩耗層(A)において、上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対する上記炭化水素系ワックスの含有量は、下限が1重量部、上限が60重量部である。上記炭化水素系ワックスの含有量がこの範囲にあると、耐摩耗層(A)の表面のベタツキを効果的に抑制することができ好ましい。上記炭化水素系ワックスの含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は50重量部である。
【0026】
上記耐摩耗層(A)は、帯電防止剤を含有する。
上記帯電防止剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0027】
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アリールスルホン酸ホルマリン縮合物、ドデシル酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ヒマシ油カリ石ケン等の脂肪酸塩等が挙げられる。
なかでも、帯電防止剤としての機能に優れることから、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩が好ましい。
【0028】
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミンの塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0029】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリアミド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物等が挙げられる。
【0030】
上記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド型乳化剤等が挙げられる。
【0031】
上記耐摩耗層(A)において、上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対する上記帯電防止剤の含有量は、下限が0.1重量部、上限が10.0重量部である。上記帯電防止剤の含有量が0.1重量部未満であると、耐摩耗層(A)の表面固有抵抗値が大きくなる。上記帯電防止剤の含有量が10.0重量部を超えると、耐摩耗層(A)の表面にベタツキが生じる。上記帯電防止剤の含有量の好ましい下限は1.0重量部、好ましい上限は5.0重量部である。
【0032】
上記耐摩耗層(A)は、上記ポリエステル系樹脂(a)、(メタ)アクリル系樹脂、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤を上述した割合で含有していればよく、その形成方法は特に限定されないが、なかでも、表面層(B)上に水性塗工用組成物を塗工することにより形成されることが好ましい。塗工方法は特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、グラビアーコート法、ロールコート法、スプレーコート法等の公知の塗工方法が挙げられる。
【0033】
上記水性塗工用組成物は、上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂とを含有する複合樹脂が水性媒体中に分散した複合樹脂水分散液と、上記炭化水素系ワックス及び帯電防止剤とを含有することが好ましい。
上記複合樹脂は、上記ポリエステル系樹脂(a)を保護コロイドとする上記(メタ)アクリル系樹脂を含有するものである。また、上記複合樹脂水分散液は、上記複合樹脂が水性媒体中に分散したコロイド溶液である。従って、上記水性塗工用組成物を用いることにより、形成される耐摩耗層(A)においては、上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂とが海島構造をとり、さらにその中に上記炭化水素系ワックスが分散し、かつ、その表面に上記帯電防止剤が存在する状態となり、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性、透明性等が向上する。
【0034】
上記複合樹脂水分散液中の上記複合樹脂の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は10nm、好ましい上限は800nmである。平均粒子径がこの範囲にあると、透明性と均一性に優れた耐摩耗層(A)を得ることができ好ましい。平均粒子径のより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は300nmである。
なお、複合樹脂水分散液中の複合樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
【0035】
上記水性媒体としては、例えば、水、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。なかでも、環境に与える負荷が少ない点で、水が好ましい。
【0036】
上記複合樹脂水分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記水性媒体中で上記ポリエステル系樹脂(a)と上記(メタ)アクリル系樹脂とを混合する方法、上記水性媒体中、上記ポリエステル系樹脂(a)の存在下で、上記(メタ)アクリル系樹脂を重合する方法等が挙げられる。
【0037】
表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工した後には、一軸以上の延伸を行うことが好ましい。延伸を行うことにより、耐摩耗層(A)と表面層(B)との間の層間強度が向上し、熱収縮時又は熱収縮後の層間剥離が抑制される。
延伸方法としては、例えば、テンター延伸機、ロール延伸機等を用い、予熱ゾーン(90〜120℃)で予熱した後、延伸ゾーン(80〜110℃)で4〜6倍に横延伸し、固定ゾーン(60〜85℃)で熱セットする方法等が挙げられる。
【0038】
上記耐摩耗層(A)は、更に、無機粒子又は有機粒子等のアンチブロッキング剤を含有していてもよい。
【0039】
上記耐摩耗層(A)の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は10μmである。耐摩耗層(A)の厚みがこの範囲にあると、耐摩耗層(A)が良好な耐摩耗性を有し好ましい。耐摩耗層(A)の厚みのより好ましい下限は0.05μm、より好ましい上限は5μmであり、さらに好ましい下限は0.1μm、さらに好ましい上限は3μmである。
【0040】
上記表面層(B)はポリエステル系樹脂(b)を含有する。
【0041】
上記表面層(B)に用いられるポリエステル系樹脂(b)としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合させることにより得られるものが挙げられる。特に上記ジカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分100モル%のうち、テレフタル酸が55モル%以上である芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。さらに上記ジカルボン酸成分として、上記テレフタル酸以外に、o−フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等を含むことができる。
【0042】
上記ジオール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。
【0043】
上記ポリエステル系樹脂(b)としては、なかでも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このようなポリエステル系樹脂(b)を用いることにより、熱収縮性多層フィルムに優れた収縮性を付与することができる。
収縮性をより高めたい場合には、ジオール成分100モル%のうち、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10〜40モル%であるものを用いることが好ましい。
【0044】
上記ポリエステル系樹脂(b)は、さらに、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%含有していてもよい。ジエチレングリコールを用いることにより、熱収縮性多層フィルムの主収縮方向の引張破断伸度が高まり、ミシン目を裂いたときに層間剥離が生じて内面側の表裏層のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。
【0045】
また、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有するポリエステル系樹脂は、ジオール成分として1,4−ブタンジオールに由来する成分を含有するものを用いることもできる。このようなポリエステル系樹脂は、一般に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂と呼ばれる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するポリエステル系樹脂(b)と併用することもできる。このような混合樹脂を用いることでより優れた仕上り性を付与することができる。
【0046】
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、テレフタル酸に由来する成分と1,4−ブタンジオールに由来する成分のみからなるポリブチレンテレフタレート系樹脂のほか、テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分及び/又は1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分を含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂であってもよい。
なお、上記テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分の含有量は、ジカルボン酸成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。また、上記1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分の含有量は、ジオール成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。
【0047】
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の添加量として特に限定されないが、30重量%以下であることが望ましい。30重量%を超えると自然収縮率が大きくなったり、フィルムの剛性が低下したりする場合がある。
【0048】
上記表面層(B)を構成するポリエステル系樹脂(b)のガラス転移温度の好ましい下限は55℃、好ましい上限は95℃である。上記ガラス転移温度が55℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの自然収縮率が大きくなることがある。上記ガラス転移温度が95℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下することがある。上記ガラス転移温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
なお、上記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0049】
上記表面層(B)を構成するポリエステル系樹脂(b)の市販品としては、例えば、「Easter」、「EmbraceLv」(イーストマンケミカル社製)、「ベルペット」(ベルポリエステルプロダクツ社製)、「ノバデュラン」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)等が挙げられる。
【0050】
上記表面層(B)は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0051】
上記裏面層(D)はポリエステル系樹脂(d)を含有する。上記裏面層を構成するポリエステル系樹脂(d)は上記表面層(B)を構成するポリエステル系樹脂(b)と同様のものを使用することができる。また、表面層(B)を構成するポリエステル系樹脂(b)とジカルボン酸成分やジオール成分の異なるポリエステル系樹脂(b)を用いることもできる。
【0052】
上記表面層(B)と上記裏面層(D)のそれぞれの厚みの割合は特に限定されないが、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限は3%、好ましい上限は25%である。厚みの割合がこの範囲にあると、熱収縮性多層フィルムは良好な耐熱性を示し好ましい。
【0053】
上記中間層(C)は、ポリスチレン系樹脂を含有する。
上記ポリスチレン系樹脂は、熱収縮性を有するものであれば特に限定されないが、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、又は芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体とスチレン単独重合体との混合樹脂が好ましい。これらを含有することにより、中間層(C)は、熱収縮性に優れ、収縮仕上がり性にも優れたものとなる。
【0054】
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体において、芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体としては、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS樹脂)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS樹脂)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SIBS樹脂)が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体において、芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、具体的には、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体が好ましい。
【0056】
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂において、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との重量比は特に限定されないが、20:80〜99:1であることが好ましい。この範囲とすることにより、中間層(C)の自然収縮率を効果的に抑えつつ、充分な熱収縮性を付与することができる。
【0057】
上記芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体とスチレン単独重合体との混合樹脂において、芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体とスチレン単独重合体との重量比は特に限定されないが、10:90〜90:10であることが好ましい。この範囲とすることにより、中間層(C)の自然収縮率を効果的に抑えつつ、充分な熱収縮性を付与することができる。
【0058】
上記芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体とスチレン単独重合体との混合樹脂は、さらに可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては芳香族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸エステル、グリコールエステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル等のエステル化合物やエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化菜種油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ピーナッツ油、エポキシ化パーム油等のエポキシ化植物油を挙げることができる。可塑剤の含有量は5〜35重量%が好ましい。
【0059】
上記中間層(C)は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0060】
上記中間層(C)の厚みの割合は特に限定されないが、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限は50%、好ましい上限は90%である。厚みの割合がこの範囲にあると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性に優れたフィルムを得ることができ好ましい。
【0061】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表面層(B)と中間層(C)との間、及び/又は、中間層(C)と裏面層(D)との間に接着層(E)を有することが好ましい。
上記接着層(E)に含まれる接着性樹脂としては、例えば、一般に市販されている接着性樹脂、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂等が挙げられる。一般に市販されている接着性樹脂としては、スチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー変性物、ポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0062】
上記スチレン系エラストマーとは、ハードセグメントであるポリスチレンと、ソフトセグメントであるポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンとポリイソプレンの共重合体等とからなるものや、これらの水素添加物を意味する。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフテック、タフプレン(以上、旭化成ケミカルズ社製)、クレイトン(クレイトンポリマージャパン社製)、ダイナロン、JSR TR、JSR SIS(以上、JSR社製)、セプトン(クラレ社製)等が挙げられる。
【0063】
上記スチレン系エラストマー変性物としては、例えば、上記スチレン系エラストマーが、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、水酸基等の官能基によって変性されたもの等が挙げられる。
【0064】
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールと、脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
上記ポリエステル系エラストマーの市販品としては、例えば、プリマロイ(三菱化学社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)等が挙げられる。
【0065】
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリエステル系樹脂としては、上述した表面層(B)と裏面層(D)とに用いられるポリエステル系樹脂(b)、ポリエステル系樹脂(d)と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。
上記接着層(E)に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%含有してもよい。
【0066】
上記接着層(E)に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は50℃、好ましい上限は95℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあると、熱収縮性多層フィルムを熱収縮させた際の層間剥離を効果的に抑制することができ好ましい。ガラス転移温度のより好ましい下限は55℃、さらに好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
【0067】
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリスチレン系樹脂としては、上述した中間層(C)に用いられるポリスチレン系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。
上記接着層(E)に含まれるポリスチレン系樹脂がスチレン−共役ジエン共重合体である場合、スチレン−共役ジエン共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が55〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜45重量%であることが好ましい。スチレン含有量及び共役ジエン含有量がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下したり、層間強度が低下したりすることがある。
【0068】
上記接着層(E)に含まれるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は85℃である。ビカット軟化温度がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。ビカット軟化温度のより好ましい下限は65℃、より好ましい上限は80℃である。
【0069】
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比は特に限定されないが、60:40〜85:15であることが好ましい。ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下したり、層間強度が低下したりすることがある。ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比は、65:35〜80:20であることがより好ましい。
【0070】
上記接着層(E)の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は3.0μmである。厚みがこの範囲にあると、熱収縮性多層フィルムの層間剥離を効果的に抑制することができ好ましい。厚みのより好ましい下限は0.7μm、より好ましい上限は2.0μmである。
【0071】
上記接着層(E)は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0072】
本発明の熱収縮性多層フィルムの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は70μmである。熱収縮性多層フィルムの厚みがこの範囲にあると、印刷加工時や熱収縮性ラベルの装着時の取扱い性に優れ好ましい。厚みのより好ましい下限は30μmであり、より好ましい上限は60μmである。
【0073】
本発明の熱収縮性多層フィルムのヘイズは特に限定されないが、好ましい上限は10%である。
なお、ヘイズは、JIS−K−6782に準拠して測定することができる。
【0074】
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては、例えば、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを共押出しする工程と、上記表面層(B)上に上述したような水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程とを有する方法等が挙げられる。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法であって、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを共押出しする工程と、上記表面層(B)上に水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程とを有し、上記水性塗工用組成物は、ポリエステル系樹脂(a)と(メタ)アクリル系樹脂とを含有する複合樹脂が水性媒体中に分散した複合樹脂水分散液と、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤とを含有する熱収縮性多層フィルムの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0075】
共押出しする方法としては、例えば、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを構成する樹脂を、それぞれ、バレル温度が160〜280℃の押出機に投入し、温度185〜280℃のマルチマニホールドダイより板状に押出し、引き取りロールで冷却固化させる方法等が挙げられる。
このようにして共押出しした後、70〜90℃に調整されたロール延伸機にて、低速度ロールと高速度ロールの速度比により1〜1.5倍に縦延伸してもよいし、その後更に、70〜120℃に調整されたテンター延伸機にて、3.0〜6.5倍に横延伸してもよい。
上記表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程は、上記縦延伸後に行ってもよいし、上記横延伸後に行ってもよい。また、上記横延伸後に一旦巻き取った後、上記表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程を別途行ってもよい。
【0076】
本発明の熱収縮性多層フィルムの用途は特に限定されないが、耐摩耗性に優れ、透明性が高く光沢も良好であることから、PETボトル飲料等に用いられる熱収縮性ラベルに適用可能である。本発明の熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルもまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0077】
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、透明性が高く光沢があり、表面のベタツキを抑えた熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0079】
(実施例1)
(1)水性塗工用組成物の調製
ポリエステル系樹脂(a)[テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合物、ガラス転移温度:60℃]と(メタ)アクリル系樹脂[(メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルの共重合物、ガラス転移温度:50℃]とを含有する複合樹脂が分散した複合樹脂水分散液(複合樹脂の平均粒子径120nm、複合樹脂の固形分濃度30.8重量%)を調製した。なお、複合樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した。
この複合樹脂水分散液に、ポリエチレンワックス(東邦化学工業社製、ハイテックE−6400、融点:120℃)をポリエステル系樹脂(a)と(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対し35重量部となるように添加し、さらに、帯電防止剤(アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩)をポリエステル系樹脂(a)と(メタ)アクリル系樹脂との合計100重量部に対し2.0重量部となるように添加して攪拌することにより、水性塗工用組成物を調製した。
【0080】
(2)フィルム基材の成形
表面層(B)を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル%を含有し、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂(b)を用いた。
裏面層(D)を構成する樹脂として、表面層(B)を構成するポリエステル系樹脂(b)と同様のもの(ポリエステル系樹脂(d))を用いた。
中間層(C)を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%、ビカット軟化温度72℃、MFR5.6g/10分)を用いた。
接着層(E)を構成する樹脂として、表面層(B)と裏面層(D)とを構成する樹脂と同様のポリエステル系樹脂と、中間層(C)を構成する樹脂と同様のスチレン−ブタジエンブロック共重合体との混合樹脂を用いた。
これらの樹脂をそれぞれバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスからシート状に押出し、40℃の引き取りロールにて冷却固化した。その後、縦延伸機にて、80℃の低速ロールと85℃の高速ロール間で1.3倍に縦延伸し、フィルム基材を得た。
【0081】
(3)熱収縮性多層フィルムの作製
得られたフィルム基材に、調製した水性塗工用組成物をバーコーター方式により塗工し、60℃の乾燥炉を通して乾燥した。
次いで、水性塗工用組成物を塗工したフィルム基材を、予熱ゾーン110℃、延伸ゾーン90℃、固定ゾーン80℃のテンター延伸機内でTDへ5.0倍に延伸した。その後、ワインダーで巻き取り、熱収縮性多層フィルムを得た。得られた熱収縮性多層フィルムは、厚みが約45μmであり、耐摩耗層(A)(0.3μm)/表面層(B)(6μm)/接着層(E)(1μm)/中間層(C)(31μm)/接着層(E)(1μm)/裏面層(D)(6μm)の6層構成からなるものであった。
なお、(2)フィルム基材の成形及び(3)熱収縮性多層フィルムの作製は一連の工程として行った。
【0082】
(実施例2〜4、6〜12、参考例5、比較例1〜7)
ポリエステル系樹脂(a)、(メタ)アクリル系樹脂、炭化水素系ワックス及び帯電防止剤の種類、配合量等、表面層(B)、(D)の構成樹脂、並びに、接着層の有無を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、熱収縮性多層フィルムを得た。
なお、表中のポリプロピレンワックスは、ビックケミー・ジャパン社製:AQUACER−593(融点:160℃)であり、パラフィンワックスは、ビックケミー・ジャパン社製:AQUACER−539(融点:90℃)である。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、固有粘度(IV値)が1.0であり、テレフタル酸に由来する成分と1,4−ブタンジオールに由来する成分のみからなるポリブチレンテレフタレート系樹脂を使用した。
【0083】
<評価>
実施例、参考例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0084】
(1)透明性(ヘイズ)
NDH5000(日本電色工業社製)を用い、JIS−K−6782に準拠して、熱収縮性多層フィルムの透明性を評価した。なお、ヘイズ値が10%以下であると、透明性が高いといえる。
【0085】
(2)光沢(光沢度)
VG2000(日本電色工業社製)を用い、JIS−Z−8741に準拠して、入射角45°にて熱収縮性多層フィルムの光沢度を評価した。なお、光沢度が135%以上であると、光沢が良好であるといえる。
【0086】
(3)表面固有抵抗値
得られた熱収縮性多層フィルムを1mにカットした試料の耐摩耗層(A)の表面の任意の場所について、ハイレスターUP(三菱化学社製)を使用して、表面固有抵抗値を測定した。測定は、試料の異なる部分で5点測定し、平均値を表面固有抵抗値とした。なお、印加電圧は500Vとし、印加時間は10sとした。
【0087】
(4)密着性
JIS−K5600−5−6(1999)に準拠して、以下のように評価を行った。
熱収縮性多層フィルムの耐摩耗層(A)を貫通して表面層(B)に達するように、1mm間隔の格子パターンの切り傷を付けた。格子パターンの縦、横方向の切り傷数をそれぞれ6とした。この25マスの格子の上に幅25mmの透明付着テ−プを3.1N/10mmの力で押して付着させた。透明付着テープを付着させてから5分以内に、60度の角度で透明付着テープの端をつかみ、0.5〜1.0秒で透明付着テープを剥がした。格子の中の耐摩耗層(A)と表面層(B)との間の層間剥離の有無をマイクロスコ−プで観察した。同様の測定を場所を変えて3ヶ所で行い、3ヶ所とも層間剥離が認められないものを実用上使用できるものとし、「○」とした。3ヶ所のうちいずれかで層間剥離が認められたものを「×」とした。
【0088】
(5)収縮後密着性
熱収縮性多層フィルムを、MD方向100mm×TD方向150mmの大きさにカットし、70℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、すぐに水道水に10秒間浸漬させた。得られたフィルムを、「(4)密着性」と同様の試験方法で評価した。
【0089】
(6)熱収縮性
熱収縮性多層フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの大きさにカットし、70℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、すぐに水道水に10秒間浸漬させた。この熱収縮性多層フィルムのTD方向の1辺の長さLを測定して、次式に従いTD方向の熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)={(100−L)/100}×100
なお、熱収縮率はn=3としてその平均値を用いた。
【0090】
(7)延伸性
SEM(日立社製、S−4800)を用いて熱収縮性多層フィルムの耐摩耗層(A)の塗膜表面を倍率2000倍で観察し、塗膜表面にクラックが認められないものを「○」、認められるものを「×」とした。
【0091】
(8)塗布性
実施例、参考例及び比較例の熱収縮性多層フィルムの製造時における水性塗工用組成物の塗布性を評価した。具体的には、水性塗工用組成物を塗工した直後にフィルム上にハジキがないか目視によって評価した。ハジキの有無によって水性塗工用組成物が均一にレベリングしていることを確認することができる。なお、ハジキの有無は、フィルム上に水性塗工用組成物が玉状に凝集することから容易に確認することが可能である
水性塗工用組成物のハジキが生じない場合を「○」、ハジキが生じた場合を「×」とした。
【0092】
(9)振動試験
得られた熱収縮性多層フィルムを用いて、折径114mm、長さ160mmのラベルを作製した。このラベルを500mlの丸型ペットボトルに被せ、フジアステック社製「SH−5000」のスチームトンネルを用いて装着させた。その後、24本のラベル装着済ペットボトルを段ボールに梱包し、JIS−Z−0232;1994に準拠し、下記の条件で振動試験を実施した。振動試験後、段ボールよりラベル装着済ペットボトルを取り出し、穴が開いたボトルの本数を数えた。
(条件)
装置:動電式振動試験装置(IMV社製、VS−2000A−140)
周波数:5〜50HZ、加速度:0.75G、時間:X、Y、Z方向に各々20分間振動
【0093】
(10)平均摩擦係数偏差測定
熱収縮性多層フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの大きさにカットし、70℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、すぐに水道水に10秒間浸漬させた熱収縮性多層フィルムの耐摩耗層(A)の表面を、KES FB4−AUTO−A(カトーテック社製)を用い、KES法により平均摩擦係数偏差(MMD)を測定した。なお、MMDは、表面の引っかかり具合を数値化したもので、MMDが7を超えるとベタツキ感を強く感じる。
【0094】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、静電気の発生及び表面のベタツキを抑制することができる熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。