(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567513
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】エネルギー効率の良い油水分離のための海藻多糖類をベースとした超親水性泡膜
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20190819BHJP
B01D 71/08 20060101ALI20190819BHJP
B01D 71/74 20060101ALI20190819BHJP
B01D 17/022 20060101ALI20190819BHJP
C08J 9/28 20060101ALI20190819BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20190819BHJP
【FI】
C02F1/44 FZBP
B01D71/08
B01D71/74
B01D17/022 502C
C08J9/28 101
C08J9/28CEP
!C08L101/16
【請求項の数】2
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-524140(P2016-524140)
(86)(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-540627(P2016-540627A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】IN2014000658
(87)【国際公開番号】WO2015056273
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】3079/DEL/2013
(32)【優先日】2013年10月17日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】596020691
【氏名又は名称】カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】メーナ、ラマバタル
(72)【発明者】
【氏名】サナンディヤ、ナレシュ・ダールマシバーイ
(72)【発明者】
【氏名】チャウダーリー、ジャイ・プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】モンダル、ディビェンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】コトラッパナバル、ナタラジ・サンナ
【審査官】
高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−518922(JP,A)
【文献】
特開2002−146100(JP,A)
【文献】
特開2012−021212(JP,A)
【文献】
特表2002−537989(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0039193(US,A1)
【文献】
特開2001−129372(JP,A)
【文献】
特開平01−159051(JP,A)
【文献】
Vaibhav pandit, et al.,Evaluation of Multifunctional Polysaccaride Hydrogels with Varying Stiffness for Bone Tissue Engineering,TISSUE ENGINEERING PART A,米国,Mary Ann Liebert, Inc. ,2013年,19/21-22,2452-2463
【文献】
Stalin Kondaveeti, et al.,Functional modification of agarose: A facile synthesis of a fluorescent agarose-tryptophan based hydrogel,CARBOHYDRATE POLYMERS,NL,Elsevier Ltd.,2013年,97/1,165-171
【文献】
Gaurav K, et al.,Facile synthesis of agarose-L-phenylalanine ester hydrogels,POLYMER CHEMISTRY,英国,Royal Society of Chemistry,2011年,2334-2340
【文献】
J. B. Xu, et al.,Preparation and Characterization of Alginate Hydrogel Membranes Crosslinked Using a Water-Soluble Carbodiimide,JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE,米国,Wiley Periodicals, Inc.,2003年,90/3,747-753
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00 − 71/82
17/00 − 17/12
C02F 1/44
C08J 9/00 − 9/42
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 −101/14
101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性生分解性ハイブリッド泡膜であって、
a.84.9〜88.3重量%の範囲の海藻由来の多糖類と、
b.9.4〜9.8重量%の範囲のアミノ化合物と、
c.1.9〜5.6重量%の範囲の架橋剤
から成り、前記海藻由来の多糖類、前記アミノ化合物および前記架橋剤の重量%での合計が100重量%であり、前記膜の含水率が5〜15重量%の範囲であり、
前記海藻由来の多糖類が、寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択され、前記アミノ化合物が、ゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択され、前記架橋剤がゲニピンであり、
前記親水性生分解性ハイブリッド泡膜は、260〜900L.m-2.h-1の範囲のフラックス速度および96〜99%の範囲の油阻止率で、油水混合物およびエマルションを分離するのに使用される、
親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
【請求項2】
請求項1に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、
[a]100〜120℃の範囲の温度で5〜45分の範囲の期間加熱することによって、0.5〜7重量%の寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択される海藻由来の多糖類またはその組合せを水に溶解させて、均質溶液を得る工程と、
[b]水に溶解させた0.05〜4重量%のゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択されるアミノ化合物を工程[a]で得られた前記均質溶液に40〜85℃の範囲の温度で1〜60分の範囲の期間絶えず撹拌しながら添加して、反応混合物を得る工程と、
[c]前記海藻由来の多糖類に対して0.01〜1.0重量%のゲニピンである架橋剤を工程[b]で得られた前記反応混合物に添加し、25〜80℃の範囲の温度で20分〜12日の範囲の期間維持して、架橋ヒドロゲルを得る工程と、
[d]工程[c]で得られた前記架橋ヒドロゲルをスライスし、10〜40時間の範囲の期間凍結乾燥して、前記親水性生分解性ハイブリッド泡膜を得る工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、油水混合物およびエマルションを含めて種々の混合物を周囲条件下で分離するための持続可能な超親水性生分解性ハイブリッド泡膜に関する。特に、本発明は、周囲条件下にゲニピンで架橋された、海藻由来多糖類およびアミノバイオポリマーおよび/またはタンパク質および/またはアミノ酸/遊離アミノ基を含まない化合物のハイブリッドである生分解性架橋泡膜に関する。さらに特定すると、本発明は、持続可能な超親水性架橋泡膜を調製するための方法に関する。
【0002】
現在、合成材料またはバイオポリマーをベースとした材料で構成され、高圧を使用する多数の用途、例えば油水エマルションを含む様々なタイプの混合物の分離で主に使用される様々なタイプの膜が入手可能である。
【0003】
油を含んだ水エマルションは、インド・グジャラート州アラン(Alang、Gujarat、India)のアジア最大の船舶解体ヤードを含む諸産業および家庭排水によって水中に放出される主要汚染物質の1つである。内陸水路および沿岸地帯における油を含んだ水も、至急解決する必要がある水質汚染の最も重大な問題の1つである。
【0004】
ポリビニルピロリドン(PVP)を添加剤として使用して、油/水分離用のポリエーテルイミド(PEI)中空糸膜を作製するための方法が報告されている、Xu、ChungおよびHuangによる「Effect of Polyvinylpyrrolidone Molecular Weights on Morphology, Oil/Water Separation, Mechanical and Thermal Properties of Polyetherimide/Polyvinylpyrrolidone Hollow Fiber Membranes」(Journal of Applied Polymer Science、74、2220−2233、1999)を参照していてもよい。
【0005】
膜材料としてポリエーテルイミド(PEI)、添加剤としてポリベンゾイミダゾール(PBI)およびポリ(エチレングリコール)(PEG 600)を使用して、油−界面活性剤−水分離用の非対称中空糸膜を作製するための方法が報告されている、Xu、Chung、LohおよびLimによる「Polymeric asymmetric membranes made from polyetherimide/polybenzimidazole/poly (ethylene glycol) (PEI/PBI/PEG) for Oil−surfactant−water separation」(Journal of Membrane Science、158(1999) 41−53)を参照していてもよい。
【0006】
ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)水溶液の約100分間透過と同時にポリマーの前吸着によって、ポリエーテルスルホン限外濾過膜(MWCO:9,000、35,000および85,000)を表面改質するための方法が報告されている、Reddy、Mohan、Bhattacharya、Shah、Ghoshによる「Surface modification of ultrafiltration membranes by preadsorption of a negatively charged polymer I. Permeation of water soluble polymers and inorganic salt solutions and fouling resistance properties」(Journal of Membrane Science 214(2003) 211−221)を参照していてもよい。MWCO値のより低い膜では主に上面を改質し、高MWCO膜では表面も孔壁も同様に改質した。
【0007】
水を水と炭化水素の混合物から、また水を水とハロゲン化炭化水素の混合物から分離するための装置を作製するための方法が銅アンモニウムセルロースの非多孔質自立型中空糸から本質的になる膜を含む、TaylorおよびMichによる「Separation of water from hydrocarbons and halogenated hydrocarbons」(米国特許第4857081号、1989年)を参照していてもよい。
【0008】
Chen、Su、Zheng、Wang、Jiangによる(Journal of Membrane Science 337(2009) 98−105)は、セルロースアセテート−graft−ポリアクリロニトリル膜の油/水分離性能が改善されたことを報告している。
【0009】
Panpanit、VisvanathanおよびMuttamara(Water Science & Technology、41(2000)、109−116)は、洗車場から排出された油水エマルションのUFおよびNF膜による分離を報告している。
多孔質ガラス膜を使用することによって、油中水型エマルションを解乳化するための方法が報告されている、Sun、Duan、Li、およびZhouによる「Demulsification of water−in−oil emulsion by using porous glass membrane」(Journal of Membrane Science 146(1998) 65−72)を参照していてもよい。
【0010】
Yang、Zhang、Xu、Shi(Journal of Membrane Science 142(1998) 235−243)は、ZrO2/a−Al2O3 MF膜の調製および油水分離における適用を報告している。
【0011】
モデル油のn−テトラデカンを水中50%(v/v)n−テトラデカンから分離する際に疎水性ポリテトラフルロエチレン(PTFE)管膜が有効であった、Konishiらによる「The separation of oil from an oil−water−bacteria mixture using a hydrophobic tubular membrane」(Biochemical Engineering Journal 24(2005) 49−54)を参照していてもよい。
【0012】
Ahmad、Ismail、およびBhatia(Desalination、157(2003) 87−95)は、膜技術を使用した、パーム油工場廃液(POME)からの水再資源化を報告している。マレーシアは、パーム油の最大の生産国および輸出国である。パーム油加工はパーム油工場で実施され、パーム油果房から油を搾り取る。生鮮果房から粗パーム油を抽出する際に大量の水が使用され、水の約50%がパーム油工場廃液(POME)になる。この汚染度の高い廃液の処分は、排出された廃液に対してマレーシア環境省が課した厳格な規準限度に応じて適切に処置されない場合に大問題になりつつある。膜技術に基づくPOME処置システムは、環境問題をなくす可能性が高いことを示し、さらにこの代替処置システムによって、水再資源化がもたらされる。処置された廃液は、ボイラー給水としてまたは飲料水製造の供給源として使用することができる高品質で水晶のように澄んだ水を有する。
【0013】
寒天をベースにした新型のポリマー電解質が調製され、インピーダンス分光、X線回折測定、紫外可視分光および走査電子顕微鏡検査(SEM)によって特性決定が行われた、Raphaelらによる「Agar−based films for application as polymer electrolytes」(Electrochimica Acta 55(2010) 1455−1459)を参照していてもよい。濃度50重量%の酢酸を含む試料では、最高のイオン伝導率が得られた。
【0014】
Buschmannによる「Semipermeable polymers and method for producing same」(米国特許第8147735号)を参照していてもよく、この特許には、不活性雰囲気中での熱処置と、その後に続くUV放射線源を使用した架橋による、高性能ポリマー膜の芳香族ポリイミド膜からの調製が開示されている。膜は、処置をまったく行わない芳香族ポリイミド膜と比較してガス分離の選択性および透過性が著しく改善されたことを示した。
【0015】
Kooら「Composite polyamide reverse osmosis membrane and method of producing the same」(米国特許第7479300号)を参照していてもよく、この特許には、多孔質ポリスルホン支持体を2重量%のm−フェニレンジアミン(MPD)および0.1重量%のジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを含有する水溶液でコーティングすることによるポリアミド逆浸透複合膜の調製が開示されている。過剰の溶液を除去し、コーティングされた支持体を、8〜12個の炭素原子を有するアルカンの混合物中0.1重量%のトリメソイルクロリド(TMC)有機溶媒溶液に浸漬する。TMC溶液を排液した後、得られた複合膜を風乾し、次いで塩基性水溶液中ですすぐ。得られた膜は、2000ppmのNaClを含有する水溶液について225psiで使用されるとフラックス21.3gfdおよび塩阻止率98.9%を示す。
【0016】
複合収着剤が支持体に少なくとも部分的なコーティングを有するものであり、コーティングはポリアニリンまたはポリアニリンの誘導体を本質的に含み、前記複合体は分析または分取スケールでの生体分子、特に核酸、タンパク質、多糖類の分離、単離、同定、精製および/または検出に使用される、Leiserら「Use of a composite polymer−coated sorbent for separation, purification, desalting and concentration of biopolymers」(米国特許第7018538号)を参照していてもよい。
【0017】
Riceら「High performance composite membrane」(米国特許第6536605号)を参照していてもよく、前記特許には、タンデムコーティング技法を用いて、微多孔質基材を約25Å〜1.0ミクロンの薄膜でコーティングすることによる、高品質の逆浸透膜、ナノ濾過膜、および限外濾過膜の調製が開示されている。逆浸透膜およびナノ濾過膜を作製するために、ウェットオンウェットコーティング方法を使用して、多孔質基材を水溶液、続いて有機溶液でコーティングして、架橋し、界面重合させた複合膜を生成した。シングルスロットコーティングアプリケーターを限外濾過膜の調製に使用した。
【0018】
Leeら「Polyion complex separation membrane with a double structure」(米国特許第6325218号)を参照していてもよく、前記特許には、二重構造をもつポリイオンコンプレックス分離膜が開示されている。この膜は、高価なイオン性有機材料を回収するため、イオン性分子を有する水溶性混合物を逆浸透圧によって分離するのに適している。アニオン性ポリマーを有する膜を基材として、多価イオン架橋剤を含有するカチオン性ポリマー溶液に浸し込み、それによって分離膜の表面において反対のイオンのイオン性ポリマー間でイオンコンプレックスが形成して、二重構造の安定な分離膜が得られる。
【0019】
Colquhounら「Polymer and porous structure」(米国特許第5847075号)を参照していてもよく、前記特許には、ポリマー主鎖中にイリド結合が存在することを特徴とするポリマーが開示されている。彼らは合成ポリマーおよび危険な化学反応を用いて、所望の材料を生成した。前記ポリマーを使用して、様々な分離方法、例えば限外濾過、ナノ濾過、および逆浸透のための膜を製作していてもよい。
【0020】
Colquhounら「Polymer porous structure and process」(米国特許第5698105号)を参照していてもよく、前記特許には、架橋ポリオール層に積層された、塩阻止特性をそれ自体備えた支持物を有する逆浸透膜が開示されている。支持物はスルホン化芳香族ポリエーテルスルホンであり、ポリオールはポリビニルアルコールであってもよい。
【0021】
Moyaら「Process for forming membrane having a hydrophobic fluoropolymer surface」(米国特許第5554414号)を参照していてもよく、前記特許には、その表面全体が架橋ポリマーで改質された多孔質ポリマー基材から生成された複合多孔質体が報告されている。彼らはエチレン性不飽和モノマーを架橋剤として使用して、架橋ポリマーをインサイチューで調製した。
【0022】
Neelら「Composition membrane for separating water from fluids containing organic components by means of pervaporation」(米国特許第5334314号)を参照していてもよく、前記特許には、有機成分を含有する流体混合物から浸透気化によって水を分離するための複合膜の調製が開示されている。複合膜は架橋ポリビニルアルコールの分離層を含み、この分離層を酸処置による後架橋にかけた。酸は、好ましくはハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、亜硝酸、硝酸または酢酸である。
【0023】
Scarmoutzosら「Hydrophobic polymeric membrane composites」(米国特許第5286382号)を参照していてもよく、前記特許には、その表面全体が架橋ポリマーで改質され、疎水性および疎油性表面になる多孔質ポリマー基材からの複合多孔質膜の調製が開示されている。エチレン性不飽和モノマーを架橋剤として含み、重合開始剤を使用する反応物質系から、架橋ポリマーがインサイチューで形成される。
【0024】
Wang,D.「Hydrophobic membrane having hydrophilic and charged surface and process」(米国特許第5137633号)を参照していてもよく、疎水性多孔質基材の表面が、親水性架橋ポリマーと一定の正電荷を有する架橋ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂とのインターポリマー網目で改質されている。疎水性基材を(a)親水性ポリマーのモノマー前駆体、非イオン性またはカチオン性重合開始剤および架橋剤と(b)正に帯電した架橋樹脂の前駆体との溶液を含む反応系と接触させる。モノマーをラジカル重合により重合、架橋し、続いて接触させた基材を加熱して、荷電樹脂を形成する。
【0025】
顕微鏡下で透明な複合多孔質膜の調製が、所望のバルク特性を有する多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜から行われ、これには所望の表面特性を有する架橋ポリマーが直接コーティングされている、Pittら「Transparent porous membrane having hydrophilic surface and process」(米国特許第4917793号)を参照していてもよい。複合膜は多孔質ポリマー膜の多孔度を保持する。
【0026】
Bruschke「Multi−layer membrane and the use thereof for the separation of liquid mixtures according to the pervaporation process」(米国特許第4915834号)を参照していてもよく、この特許には、ポリアクリロニトリル、ポリスルホンなどの多孔質裏打ち層およびポリビニルアルコールまたはセルロースアセテートの活性分離層を有する多層膜の調製が開示されている。膜は、浸透気化法に従った水−アルコール混合物の分離に特に適している。
【0027】
Karakaneら「Polymer composite membrane」(米国特許第4871461号)を参照していてもよく、この特許には、水またはその蒸気が選択的に浸透し、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの間のイオン結合による会合によって膜の表面および/または膜中に形成されたポリイオンコンプレックスを含む透過膜の調製が開示されている。この膜は有機物質の水溶液または水と有機物質のガス状混合物から水を分離するのに有用であり、溶媒、特に水に対して優れた抵抗性を示し、かつ高透過速度および高分離度を示す。
【0028】
Hubnerら「Composite membrane for the separation of water and method for manufacturing same」(米国特許第8,256,626号、2012年)を参照していてもよく、この特許には、架橋ポリビニルアルコールの少なくとも1つの分離層を備えた、水を分離するための複合膜の調製であって、分離層を別個のプロセス工程で酸または酸放出化合物および少なくとも1種のジアルデヒドを用いた架橋後操作にかける調製が開示されている。
【0029】
この背景から、重力傾斜下における油水混合物を含む様々な種類の混合物の分離に使用することができる疎水性生体適合性架橋多孔質材の調製に利用されてきた海藻多糖類およびアミノ含有バイオポリマーから調製された架橋複合物を開示する文献はないことが明らかである。
【0030】
発明の目的
本発明の主な目的は、周囲条件下に様々な用途で使用するための親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供することである。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、環境に優しい材料を使用して親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を費用効果高く提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、天然ポリマーの組合せを使用して親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供することである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、海藻多糖類とアミノ官能性を有するバイオポリマーとの組合せを使用して親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供することである。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、海藻多糖類とアミノ化合物の組合せを使用して親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供することである。
【発明の概要】
【0036】
したがって、本発明は、親水性生分解性ハイブリッド泡膜であって、
a.50〜95重量%の範囲の海藻由来の多糖類と、
b.5〜50重量%の範囲のアミノ化合物と、
c.0.01〜0.1重量%の範囲の架橋剤と
と含み、前記膜の含水率が5〜15重量%の範囲である親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供する。
【0037】
本発明の態様において、周囲条件下において260〜900L.m
-2.h
-1の範囲のフラックス速度および96〜99%の範囲の油阻止率で、油水混合物およびエマルションを含む種々の混合物を分離するのに使用するための親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供する。
【0038】
本発明の別の態様において、海藻由来の多糖類が寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択される、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供する。
【0039】
本発明のさらに別の態様において、アミノ化合物がゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択される、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供する。
【0040】
本発明のさらに別の態様において、架橋剤がゲニピンである、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を提供する。
【0041】
本発明の態様は、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、下記の工程を含む方法を提供する。
【0042】
[a]100〜120℃の範囲の温度で5〜45分の範囲の期間加熱することによって、0.5〜7重量%の海藻由来の多糖類またはその組合せを水に溶解させて、均質溶液を得る工程、
[b]水に溶解させた0.05〜4重量%のアミノ化合物を工程[a]で得られた均質溶液に40〜85℃の範囲の温度で絶えず撹拌しながら1〜60分の範囲の期間添加して、反応混合物を得る工程、
[c]海藻由来の多糖類に対して0.01〜1.0重量%の架橋剤を工程[b]で得られた反応混合物に添加し、25〜80℃の範囲の温度で20分〜12日の範囲の期間維持して、架橋ヒドロゲルを得る工程、
[d]工程[c]で得られた架橋ヒドロゲルをスライスし、10〜40時間の範囲の期間凍結乾燥して、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を得る工程。
【0043】
本発明のさらに別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、架橋が5cm〜50cmの範囲の厚さを有するバルクヒドロゲルまたは厚さ0.2cm〜2cmの薄層の形のキャスト(cast)で行われる方法を提供する。
【0044】
本発明の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、海藻由来の多糖類が寒天、アガロース、およびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択される方法を提供する。
【0045】
本発明の別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、アミノ化合物がゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択される方法を提供する。
【0046】
本発明の別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、架橋剤がゲニピンである方法を提供する。
【0047】
本発明の別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、方法が、水性混合物状態に耐えることができる安定なハイブリッド泡膜の調製をもたらす方法を提供する。
【0048】
本発明のさらに別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、方法が、天然多糖類と天然アミノポリマーまたはアミノ化合物をブレンドすることによって泡膜に安定性を付与する方法を提供する。
【0049】
本発明のさらに別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、方法が、天然の架橋剤であるゲニピンを用いて天然多糖類と天然アミノ化合物を架橋することによって、所望の機械的安定性を付与する方法を提供する。
【0050】
本発明のさらに別の態様において、親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、ハイブリッド泡膜が土壌中で生分解性を示す方法を提供する。
【0051】
本発明の別の態様において、海藻ポリマーから調製されたハイブリッド泡膜は油水混合物および/またはエマルションの分離に適している。
【0052】
本発明の別の態様において、ハイブリッド泡膜は油水混合物の分離に適している。
【0053】
本発明のさらに別の態様において、ハイブリッド泡膜はヘキサン−水混合物の分離に適している。
【0054】
本発明のさらに別の態様において、ハイブリッド泡膜はトルエン−水混合物の分離に適している。
【0055】
本発明のさらに別の態様において、ハイブリッド泡膜は沿岸地域に影響を及ぼす油流出からの流出油試料の分離に適している。
【0056】
本発明のさらに別の態様において、ハイブリッド泡膜は、有色の生分解性膜またはビーズの形で調製することができる。
【0057】
本発明のさらに別の態様において、ハイブリッド泡膜は、寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらのハイブリッドブレンドにより制御された親水性および安定性を有する。
【0058】
本発明のさらに別の態様において、マイクロ波を使用してまたは通常もしくはオートクレーブ加熱を80〜140℃の範囲の温度で5〜60分間、さらに特定すると20分間実施して、海藻由来の多糖類またはその組合せを水に溶解させ、均質溶液を得る。
【0059】
本発明のさらに別の態様において、オートクレーブ加熱を80〜130℃の範囲の温度で行って、海藻由来の多糖類またはその組合せを10〜30分間、さらに特定すると20分間溶解させて、均質溶液を得る。
【0060】
本発明のさらに別の態様において、水に溶解させたアミノ化合物またはポリマーを均質溶液に0.01重量%〜4重量%、さらに特定すると0.2重量%の範囲で添加し、前記アミノ化合物は架橋するための遊離アミノ官能性部位を提供する。
【0061】
本発明のさらに別の態様において、水に溶解させたアミノ化合物またはポリマーを均質溶液に40〜95℃の範囲の温度で絶えず撹拌しながら添加して、反応混合物を得る。
【0062】
本発明のさらに別の態様において、天然の架橋剤を反応混合物に0.01から0.2重量%の範囲で、さらに特定すると0.04重量%添加する。
【0063】
本発明のさらに別の態様において、天然の架橋剤を反応混合物に40〜95℃の範囲の温度で、さらに特定すると50℃で撹拌下に添加し、反応混合物中に存在しているポリマーを架橋する。
【0064】
本発明のさらに別の態様において、天然の架橋剤を反応混合物に40〜95℃の範囲の温度で撹拌しながら添加し、室温(20〜35℃)で維持して、反応混合物中に存在しているポリマー間を周囲条件下で20分〜12日間架橋する。
【0065】
本発明のさらに別の態様において、生分解性ハイブリッド泡膜は直交流型実験条件下で汚れがない。
【0066】
本発明のさらに別の態様において、生分解性ハイブリッド泡膜は、外部刺激、例えば圧力を加えない膜分離に適している。
【0067】
本発明のさらに別の態様において、リサイクルした生分解性ハイブリッド泡膜の品質および性能は、油水分離を5〜10サイクル行った後でさえほぼ同じである。
【0068】
本発明のさらに別の態様において、生分解性ハイブリッド泡膜は開放環境において処理するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1A】
図1Aは、生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法の代表を概略的に示す。
【
図1B】
図1Bは、凍結乾燥の前および後におけるゲニピンによるアガロースとゼラチンの架橋を示す。
【
図2】
図2は、ハイブリッド泡膜の写真画像を示す。左側から1番目の試料は対照であり、2番目から4番目の試料は異なるブレンド濃度で架橋させたアガロースとゼラチンである。
【
図3A】
図3Aは、異なる油水混合物50:50(v:v)の重力駆動型油水分離装置を示す。
【
図3B】
図3Bは、供給および透過液試料の分離性能を評価するための粗油のFTIRによる特性決定を示す。油のエステルのC=OおよびC−H伸縮の特徴的なピークの消失によって、透過液の純度が確認される。
【
図3C】
図3Cは、供給および透過液試料の分離性能を評価するためのヘキサンのFTIRによる特性決定を示す。油のエステルのC=OおよびC−H伸縮の特徴的なピークの消失によって、透過液の純度が確認される。
【
図3D】
図3Dは、様々な油水混合物の透過液フラックス(L.m
-2.h
-1)および阻止率(%)を示す。
【
図4】
図4は、試験より前に実施されたゲニピン浸出調査を示す。
【
図5A】
図5Aは、異なる泡膜に対して純水中でのそれらの吸水能力を確認するために実施された膨潤調査を示す。
【
図5B】
図5Bは、異なる泡膜に対して油水混合物中でのそれらの吸水能力を確認するために実施された膨潤調査を示す。
【
図6】
図6は、土壌条件下におけるハイブリッド泡膜の生分解性を示す。
【0070】
本発明の目的のために使用される海藻由来の海藻コロイドは、M/s Sisco Research Laboratories(SRL) Pvt. Ltd. Mumbai−400 093, Maharashtra, Indiaから市販されていた細菌学的寒天(製品コード:0140132)、アガロース(製品コード:014011)およびアルギナート(製品コード:1947295)、ならびにM/s Aquagri Processing Pvt. Ltd., New Delhi, Indiaから市販されていた半精製カラギナン(製品コード:Aqua gel 250)から選択される。
【0071】
本発明は、機械的安定性が高く、柔軟性が良好な生分解性超親水性泡膜に関する。本発明には、前記泡膜材料を海藻由来の多糖類およびアミノポリマー/化合物ブレンドからゲニピンのような天然の架橋剤を用いた架橋反応により調製するための簡単で環境に優しく、一工程の架橋も記載されている。方法は、100〜120℃で5〜45分間加熱することによって、0.5〜7重量%の海藻由来の多糖類またはそれらの組合せを水に溶解させて、均質溶液を得ること;0.05〜4重量%のアミノポリマーまたは化合物を均質溶液に40〜85℃で絶えず撹拌しながら1〜60分間添加して、反応混合物を得て、次いで(海藻多糖類に対して)0.01〜1.0重量%の架橋剤ゲニピンを反応混合物に添加し、室温(25℃)で20分〜12日維持して、架橋ヒドロゲルを得ること;架橋ヒドロゲルを25〜40℃の温度でスライスし、10〜40時間凍結乾燥して、重力駆動型力の下で油水分離を含む多岐にわたる用途に適した親水性生分解性ハイブリッド泡膜を得ることを含む。
【0072】
本発明は、親水性生分解性ハイブリッド泡膜の、天然ポリマー、例えば海藻多糖類からのアミノ天然ポリマーまたはアミノ化合物とのブレンドと、その後に続く天然の架橋剤を用いた架橋反応による調製に関する。開発された架橋ヒドロゲルは泡膜、ビーズなどの形で成形することができ、これは、油水混合物およびエマルションを含む多様な用途向けの合成膜分離の代わりとして使用することができる。分離実験の結果から、調製されたハイブリッド泡膜は周囲条件下、大気圧での油水の分離に適しており、純度約<98%の水をもたらすことが明らかになった。これらの泡膜は非常に柔軟であり、取扱いが容易である。これらの泡膜は、性能の著しい変化を伴うことなく6回超の回復および再使用に適している。さらに、泡膜を周囲条件下で流出油、粗油−水、ヘキサン−水、トルエン−水などの分離に使用することもできる。
【0073】
[実施例]
以下の例は例として示すものであり、したがって本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0074】
例1
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で15分間加熱することによって、1900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に50℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た(
図1)。泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高かったが、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。油水混合物から、フラックス300L.m
-2.h
-1で純度約96%の水を分別した。
【0075】
最終凍結乾燥生成物では、水および有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン)での洗浄後に重量減少が認められず、これは、反応物質量の大部分が架橋反応の完了後に架橋生成物中に存在していることを示し、最終架橋泡膜物質の収量は初期段階における架橋反応で使用される反応物質(例えば、アガロース、ゼラチンおよび架橋剤)の全量とほぼ同じである。したがって、生成物の組成は、本発明で使用される反応物質の初期重量に完全に基づいている。
【0076】
例2
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は柔軟であり、海綿状であったが、吸水能力が無視できるほどであった。簡単な洗浄によってリサイクルおよび再使用を行うことが容易であり、5サイクル後の性能は同一であった。様々な溶媒系の分離性能を表1(
図2および
図3A〜3D)に示す。
表1. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0078】
例3
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、1700mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。300mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に60℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。油水混合物から、フラックス350L.m
-2.h
-1で純度約94%の水を分別した。わずかに有色の浸出が認められた(
図4)。
【0079】
膜の特徴的変化および網目におけるゲニピンの架橋について、包括的な特性決定を行った。ゼラチン(Gel)の
1H NMRスペクトルは、δ 7.83および8.05ppmに特徴的なピークを示した。架橋によって、ゲニピンとゼラチンの架橋が確認された後、架橋生成物(アガロース−ゼラチン−ゲニピンまたはAgr+Gel+Gen)のNMRスペクトルには7.83および8.05ppmのピークが認められない。
【0080】
例4
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で35分間加熱することによって、1500mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。500mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に80℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。この泡膜では、ゼラチンの浸出が認められたので分離は適切でなかった。
【0081】
例5
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で5分間加熱することによって、1000mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。1000mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に40℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切ではなく、水接触時に崩壊した。この泡膜では、ゼラチンの浸出が認められたので分離は適切でなかった。
【0082】
例6
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に85℃でアガロース溶液に添加し、続いて10mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。120分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く(
図5)、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。この泡膜では、有色の浸出が認められたので分離は適切でなかった。
【0083】
例7
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて20mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。この泡膜では、有色の浸出が認められたので分離は適切でなかった。
【0084】
例8
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で45分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて30mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は可能であるが、有色の浸出が認められた。
【0085】
例9
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて60mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。7分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。架橋反応はヒドロゲルの塊全体にわたって均質であった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟性がより低く、海綿状であり、洗浄可能であり、吸水能力が無視できるほどであった。膜を5回超リサイクルし、性能は約350L.m
-2.h
-1の連続フラックスで5サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。泡膜は環境条件下で土壌分解性を有する(
図6)。
【0086】
例10
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて100mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。5分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟性がより低く、海綿状であり、洗浄可能であり、吸水能力が無視できるほどであった。膜を5回超リサイクルし、性能は440L.m
-2.h
-1の連続フラックスで5サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0087】
例11
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、実験条件下で不安定であり、吸水能力が高かった。膜は分離実験中に崩壊し、有色の浸出が認められた。
【0088】
例12
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で5日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、実験条件で不安定であり、吸水能力が高く、有色の浸出が認められた。
【0089】
例13
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で7日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、実験条件下で安定であり、吸水能力が低かった。膜を分離に使用し、フラックス速度は500L.m
-2.h
-1であったが、リサイクリングは2サイクルまでしか適切でなかった。
【0090】
例14
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。7分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。架橋反応はヒドロゲルの塊全体にわたって均質であった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、洗浄可能であり、吸水能力が無視できるほどであった。膜を5回超リサイクルし、性能は490L.m
-2.h
-1の連続フラックスで5サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0091】
例15
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、2700mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。300mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は相当に堅く、脆く、吸水能力が高かった。泡膜は均質でなく、生産水の純度は70%であり、有色の浸出があった。
【0092】
例16
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で45分間加熱することによって、3600mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。400mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で15日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は堅く、脆く、吸水能力が高かった。泡膜は均質でなく、分離実験は行われなかった。水接触時に、有色の浸出が認められた。
【0093】
例17
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、4500mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。500mgのゼラチンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で15日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は非常に堅く、脆く、吸水能力が高かった。泡膜は均質でなく、分離実験は行われなかった。水接触時に、有色の浸出が認められた。
【0094】
例1〜17から、全ポリマー濃度2重量%、ゼラチン0.2重量%、架橋剤濃度0.04重量%で最高品質の泡膜が得られたと考えられ、架橋時間は周囲条件下で10日である。
【0095】
例18
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、450mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。50mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋ヒドロゲルは脆弱であり、ゲルのスライシングは適していなかった。
【0096】
例19
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。
【0097】
膜の特徴的変化およびゲニピンとアミノ基の架橋について、包括的な特性決定を行った。キトサンおよびアガロースのUVスペクトルはUVスペクトルにおいていずれの吸収ピークも示さないが、架橋剤ゲニピンは240nmに特徴的なピークを示した。282nmおよび600nmにおける新たなピークの像によって、ゲニピンとキトサンのアミノ部分との架橋が確認された。以下に、架橋生成物アガロース−キトサン−ゲニピン(Agr+CH+Gen)のUVスペクトルによって、ゲニピンとの架橋においてアミノ基の使用が確認された。
【0098】
泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が無視できるほどであり、実験条件下で安定であった。リサイクルおよび洗浄は容易であった。油水混合物から、フラックス750L.m
-2.h
-1で純度約97%の水を分別した。性能は3サイクルまで同一であった。
表2. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0100】
例20
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が無視できるほどであった。簡単な洗浄によってリサイクルおよび再使用を行うことが容易であり、性能は3サイクルまで同一であった。油水混合物から、フラックス700L.m
-2.h
-1で純度約98%の水を分別した。
【0101】
最終凍結乾燥生成物では、水および有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン)での洗浄後に重量減少が認められず、これは、反応物質量の大部分が架橋反応の完了後に架橋生成物中に存在していることを示し、最終架橋泡膜物質の収量は初期段階における架橋反応で使用される反応物質(例えば、アガロース、キトサン/BSAおよび架橋剤)の全量とほぼ同じである。したがって、生成物の組成は、本発明で使用される反応物質の初期重量に完全に基づいている。
【0102】
例21
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で30分間加熱することによって、500mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。500mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。泡膜は均質でなく、吸収能力が低い海綿状であり、実験条件下で安定であった。油水混合物から、フラックス45L.m
-2.h
-1で純度約92%の水を分別した。
【0103】
例22
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で5分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて10mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。この泡膜では、分離は適切でなかった。
【0104】
例23
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で15分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて20mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。リサイクリングおよび洗浄は適切でない。この泡膜では、分離は適切でなかった。
【0105】
例24
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて30mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。架橋は完全でなく、得られる泡膜は柔軟であり、海綿状であり、吸水能力が高く、実験条件下で安定性がより低かった。
【0106】
例25
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて50mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。7分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。架橋反応はヒドロゲルの塊全体にわたって均質であった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、洗浄可能であり、吸水能力が無視できるほどであった。膜を3回超リサイクルし、性能は700L.m
-2.h
-1の連続フラックスで3サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0107】
アガロースのCP−MAS
13C NMR(固体NMR)スペクトルは特徴的なピーク:δ 62.66、70.02、76.08、80.02、98.43および102.18ppmを示し、キトサンの固体NMRスペクトルは特徴的なピーク:δ 23.38、57.32、61.0、75.29、82.91、105.06および174.39ppmを示した。架橋生成物アガロース−キトサン−ゲニピンの固体NMRスペクトルは、δ 111.88、133.61、152.72および166.20ppmにゲニピンの特徴的なピークを示すと共に、アガロースおよびキトサンの特徴的なピークの大部分を23〜173.43ppmの範囲に示し、これは、架橋生成物におけるゲニピンの架橋および挿入を示唆する。
【0108】
例26
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて60mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。5分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟性がより低く、洗浄可能であった。膜を5回超リサイクルし、性能は650L.m
-2.h
-1の連続フラックスで3サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0109】
アガロースのFTIRスペクトルは、932cm
-1のピーク(3,6−アンヒドロガラクトース結合による)を含む特徴的なIRバンドを示した。キトサンのIRスペクトルも、3352cm
-1(−OH基)、2878cm
-1(−CH
3基)、1560cm
-1(N−H基変角振動)、および1404cm
-1にそれぞれ第一級アルコール基の−OH基の振動の典型である特徴的なピークを示す。さらに、キトサンは、1320および1077cm
-1のバンドがC−O−NおよびC−O基の伸縮に相当することを示す。架橋生成物のFTIRスペクトルにおいて、わずかな広がりもしくはシフトおよび/または変化に富む強度を示す、アガロースの特徴的なピーク(1162、1076および932cm
-1)およびキトサンの特徴的なピーク(1560、1320、1154、1077および897cm
-1)の像によって、架橋生成物中におけるアガロースとキトサンの両方の存在および架橋が確認される。架橋の反応も架橋を示した後、新たなピークが約1630cm
-1に出現すると共に、様々なピークについて吸光度の大幅な低下も認められた。顕著な変化が、キトサン(約3435cm
-1)とのブレンド後に約3438cm
-1におけるより広範なアガロース伸縮ピーク(OH)の約3400cm
-1へのシフトに現れ、これはゲニピン架橋後も不変のままであった。したがって、アガロース中に存在しているヒドロキシル(OH)基はキトサンと水素結合相互作用を起こし、キトサンがアガロースを両側保持するラメラ構造を生じる。したがって、それによって、超親水性アガロースミクロ孔は油水エマルションからの選択的分離のために使用されているキトサン壁で包囲されていることが確認されることになる。
【0110】
例27
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で3日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟性がより低く、洗浄可能であった。膜を5回超リサイクルし、性能は700L.m
-2.h
-1の連続フラックスで3サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0111】
例28
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で35分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で5日間放置すると、架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟性がより低く、洗浄可能であった。膜を5回超リサイクルし、性能は650L.m
-2.h
-1の連続フラックスで3サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約98%であった。
【0112】
例29
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、2700mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。300mgのキトサンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。7分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で2日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。架橋反応はヒドロゲルの塊全体にわたって均質であった。架橋ヒドロゲルは均質でなく、スライシングは適切でなかった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜も均質でなく、分離実験には使用されなかった。
【0113】
例18〜29から、全ポリマー濃度1重量%、キトサン0.1重量%、架橋剤濃度0.04重量%で最高品質の泡膜が得られたと考えられ、架橋時間は周囲条件下で2日である。
【0114】
例30
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で10分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのウシ血清アルブミン(BSA)を周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で10日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、洗浄可能であった。膜を3回超リサイクルし、性能は850L.m
-2.h
-1の連続フラックスで3サイクルまでほぼ同一であり、生産水は純度約97%であった。
表3. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0116】
例31
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのウシ血清アルブミン(BSA)を周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に85℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、分離実験に適していた。
表4. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0118】
例32
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で40分間加熱することによって、900mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。100mgのウシ血清アルブミン(BSA)を周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に60℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であったが、分離実験に適していなかった。有色の浸出が水溶液に認められた。
【0119】
例33
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で25分間加熱することによって、2700mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。300mgのウシ血清アルブミン(BSA)を周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であったが、分離実験に適していなかった。有色の浸出が水溶液に認められた。
【0120】
例34
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で30分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのフェニルアラニンを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加し、室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成した。10分後、溶液全体の色が架橋のため透明な溶液から淡青色に変化し始め、得られたヒドロゲルを室温(25℃)で12日間放置すると、完全架橋反応が可能になった。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、分離実験に適していた。膜を3回超リサイクルし、性能は3サイクルまでほぼ同一であった。
表5. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0122】
例35
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で20分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのBSAを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加した。ホットプレートで80℃にて20分間加熱し、次いで室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成する。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、分離実験に適していた。膜を2回超リサイクルし、性能は2サイクルまでほぼ同一であった。
表6. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0124】
例36
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で30分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのBSAを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に80℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加した。その後、ホットプレートで80℃にて120分間加熱し、次いで室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成する。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、分離実験に適していた。
表7. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0126】
例37
マイクロ波/オートクレーブ条件下に100℃で30分間加熱することによって、1800mgのアガロースを75mlの蒸留水に溶解させた。200mgのBSAを周囲条件下で25mlの蒸留水に溶解させ、撹拌条件下に70℃でアガロース溶液に添加し、続いて40mgの天然の架橋剤ゲニピンを添加した。その後、ホットプレートで80℃にて300分間加熱し、次いで室温(25℃)に徐々に冷却して、ヒドロゲルを形成する。その後、架橋ヒドロゲルを厚さ0.4mmのスライスにカットし、真空下に凍結乾燥温度−85℃で凍結乾燥して、多孔質泡膜を得た。得られる膜は柔軟であり、海綿状であり、分離実験に適していた。
表8. 溶媒混合物のタイプへのフラックス速度の依存性
【0128】
発明の新規な特徴
・環境に優しい材料を使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・天然ポリマーを使用した超親水性生分解性生体適合性架橋泡膜の調製の認識。
・海藻由来の多糖類を使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・海藻由来の多糖類を使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・天然ポリマーのハイブリッドを使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・海藻多糖類と他のバイオポリマーのハイブリッドを使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・海藻多糖類とアミノポリマーのハイブリッドを使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・海藻多糖類とアミノ化合物のハイブリッドを使用した超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・多孔質構造を有する超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・目的に適合した多孔度を有する超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・油水エマルションの分離を含む多数の用途で高圧下における通常の膜の働きに置換するものとしての超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・ヘキサン−水混合物の分離を含む潜在的な用途で高圧下における通常の膜の働きに置換するものとしての超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・トルエン−水混合物の分離を含む潜在的な用途で高圧下における通常の膜の働きに置換するものとしての超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・流出油−水混合物の分離を含む潜在的な用途で高圧下における通常の膜の働きに置換するものとしての超親水性生分解性架橋泡膜の調製の認識。
・合成膜によって生じる環境汚染は有害であり得るが、本方法で作製された超親水性生分解性架橋泡膜は生態系にとってよりよいものになることの認識。
・超親水性生分解性架橋泡膜は90℃までの滅菌をオートクレーブ条件下で行うことができ、これは要求仕様書を伴う薬学的用途に有用であり得ることの認識。
・これらの超親水性生分解性架橋泡膜は標的用途の要求仕様書を伴うイオン交換ツール/電気化学ツール/フィルム/膜を作製するのに使用できることの認識。
【0129】
発明の効果
・油水混合物およびエマルションを含む様々な混合物の分離は必然的に適当な膜の使用を要すること、既存の膜の非生分解性は重大な脅威になる恐れがあり、分離が非常に大規模で行われ、固体廃棄物による汚染の大問題を招くということを認識して、本発明は、エネルギー効率が良く、環境に優しい膜分離に使用することができる超親水性生分解性泡膜を提供することによって、問題に対する解決策をもたらす。
・アミノ化合物およびアミノポリマー、例えばゼラチン、キトサンなどを親水性の海藻多糖類上にブレンドすることによって、調製された泡膜の生分解性、特に土壌中での生分解性で過剰に妥協することなく、それらの泡膜に安定性を付与することが可能である。
・調製された超親水性生分解性泡膜は高い熱安定性を示し、より広範な用途、例えば薬学的用途で高温において滅菌することが可能になる。
・調製された超親水性生分解性泡膜は水中で90℃まで安定性を示し、より広範な水性用途、例えば油水分離で使用していてもよい。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する
[1]
親水性生分解性ハイブリッド泡膜であって、
a.50〜95重量%の範囲の海藻由来の多糖類と、
b.5〜50重量%の範囲のアミノ化合物と、
c.0.01〜0.1重量%の範囲の架橋剤と
含み、前記膜の含水率が5〜15重量%の範囲である親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
[2]
前記海藻由来の多糖類が、寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択される、[1]に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
[3]
前記アミノ化合物が、ゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択される、[1]に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
[4]
前記架橋剤がゲニピンである、[1]に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
[5]
周囲条件下において260〜900L.m-2.h-1の範囲のフラックス速度および96〜99%の範囲の油阻止率で、油水混合物およびエマルションを含む種々の混合物を分離するのに使用するための[1]に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜。
[6]
[1]に記載の親水性生分解性ハイブリッド泡膜を調製するための方法であって、
[a]100〜120℃の範囲の温度で5〜45分の範囲の期間加熱することによって、0.5〜7重量%の海藻由来の多糖類またはその組合せを水に溶解させて、均質溶液を得る工程と、
[b]水に溶解させた0.05〜4重量%のアミノ化合物を工程[a]で得られた前記均質溶液に40〜85℃の範囲の温度で絶えず撹拌しながら1〜60分の範囲の期間添加して、反応混合物を得る工程と、
[c]前記海藻由来の多糖類に対して0.01〜1.0重量%の前記架橋剤を工程[b]で得られた前記反応混合物に添加し、25〜80℃の範囲の温度で20分〜12日の範囲の期間維持して、架橋ヒドロゲルを得る工程と、
[d]工程[c]で得られた前記架橋ヒドロゲルをスライスし、10〜40時間の範囲の期間凍結乾燥して、前記親水性生分解性ハイブリッド泡膜を得る工程と
を含む方法。
[7]
架橋が5cm〜50cmの範囲の厚さを有するバルクヒドロゲルまたは厚さ0.2cm〜2cmの薄層の形のキャストで行われる、[6]に記載の方法。
[8]
前記海藻由来の多糖類が、寒天、アガロースおよびカラギナンまたはそれらの組合せからなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[9]
前記アミノ化合物が、ゼラチン、キトサン、ウシ血清アルブミンおよびアミノ酸からなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[10]
前記架橋剤がゲニピンである、[6]に記載の方法。