(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567516
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ガラス小瓶の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 23/04 20060101AFI20190819BHJP
C03B 33/085 20060101ALI20190819BHJP
A61J 1/06 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
C03B23/04
C03B33/085
A61J1/06 A
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-526478(P2016-526478)
(86)(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公表番号】特表2016-528144(P2016-528144A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014062550
(87)【国際公開番号】WO2015007445
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】102013107607.6
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート メンル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン トラツキー
(72)【発明者】
【氏名】フランツ イェーガー
【審査官】
有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭35−015545(JP,B1)
【文献】
特開平04−119932(JP,A)
【文献】
米国特許第02447568(US,A)
【文献】
特公昭30−007797(JP,B1)
【文献】
特開2001−328612(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0129026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
C03B 40/00−40/04
A61J 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスチューブ(10)からガラス小瓶を製造する方法において、
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
(a)前記ガラスチューブ(10)をその長手方向軸(12)の周りで200回転/分から500回転/分の回転数で回転させるステップと、
(b)バーナ(14)を用いて、少なくとも一方の側から、少なくともガラスの軟化温度(EW)まで前記ガラスチューブ(10)を局所的に加熱するステップと、
(b2)前記バーナ(14)を前記ガラスチューブ(10)から遠ざけるステップと、
(c)加熱領域(16)に少なくとも1つの成形体(28)を側方から押し付けることによって直径を低減させるステップと、
(d)前記バーナ(14)を用いて前記ガラスチューブ(10)を切り離すステップと、
を有し、
前記成形体(28)は、前記ガラスチューブ(10)に押し付ける面が平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)の後、収縮領域(16)を形成するため、回転する前記ガラスチューブ(10)を軸方向に引っ張り伸ばすステップ(b1)を付加的に実行する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスチューブ(10)を回転させて、前記ステップ(a)〜(d)および必要に応じて前記ステップ(b1)を示した順序で実行する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切り離しステップ(d)の後、残存する閉じたガラスチューブ(10III)の閉じた端部(21)をバーナ(20)によって穴開けする、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)の後まず、回転する前記ガラスチューブ(10)の一方の端部を加熱して成形して、成形すべき小瓶(18)のネック領域(23)を形成し、引き続いて前記ステップ(b)にしたがい、前記端部からあらかじめ定めた間隔で、前記端部を加熱する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
250回転/分から450回転/分の回転数で前記ガラスチューブ(10)を駆動する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
300回転/分から400回転/分の回転数で前記ガラスチューブ(10)を駆動する、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記成形体(28,28a)は、タングステン合金から、電気黒鉛から、または耐熱鋼から構成される、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記成形体(28,28a)を回転駆動する、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記成形体(28,28a)を加熱する、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記成形体(28,28a)は、前記ガラスチューブ(10)に向かって先細りになっている、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記成形体(28,28a)は、尖って形成されている、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
両側から前記成形体(28)を送り出す、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラス小瓶(18)を製造するため、ホウケイ酸ガラスの形態の中性ガラスからなるガラスチューブ(10)を使用する、
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス小瓶、特に医薬小瓶および医薬アンプルを製造する方法、ならびに、この方法にしたがって製造されたガラス小瓶に関する。
【0002】
医薬用に利用される(いわゆる「バイアル」とも称される)ガラス小瓶は、中性ガラス、すなわちヒュードロリティッククラス1に分類することができるガラスから構成され、これに対しては、規格化された検査ISO 719(DIN12111)が使用される。このような中性ガラスには特に、例えばDURAN(R)またはFiolax(R)(共にマインツ在SCHOTT社の登録商標)のようなホウケイ酸ガラスが属する。
【0003】
医薬小瓶または医薬アンプルはさらに、可能な限りにアルカリ溶出が少なくなければならず、この測定は、規格化された試験ISO 4802にしたがって行われる。さらにいわゆる層間剥離、すなわち、特に高温成形中に気化してガラス表面に堆積するガラス成分によって発生する、ガラス表面の剥落領域を回避しなければならない。最悪の場合には、このような層間剥離は、医薬小瓶の内容物に到達し、これによってこの内容物を使用できないようにしてしまう可能性があるのである。
【0004】
従来、医薬小瓶は一般的にホウケイ酸ガラスから、ホウケイ酸ガラスチューブを高温成形することによって製造されている。この際にはまず開放されたチューブ端部から小瓶の口が形成される。引き続いて小瓶の底部が成形され、同時にこの小瓶がガラス管の残りの部分から切り離される。
【0005】
医薬小瓶の製造は複数のステップで行われる。一般的には、第1のステップにおいてガラスチューブが上下のチャックによって固定されてつぎに回転させられる。回転するガラスチューブは、所定の領域において、1つまたは2つの切り離しバーナにより、これが変形可能になるまで加熱される。この温度に到達すると直ちに、このチューブは、(回転を継続させ、バーナによる加熱の下で)、軸方向における下側のチャックの直線運動により、下方に引っ張り伸ばされる。これによってチューブは、加熱領域においてその直径が先細りになると同時に伸びるため、収縮領域が生じる。下方へ運動させた後、この収縮領域がさらに加熱される。この際にガラスチューブは、この収縮領域において、バーナガスの流れ圧力によってさらに縮むため、この加熱領域においてガラス壁は溶けて小さくなり、最終的には上側および下側のチューブ部分と間の接続部が引きちぎられる。
【0006】
これにより、閉じた端部を有する2つのチューブ部分が得られ、下側のチューブ部分は、製品の小瓶になり、上側のチューブ部分は、別の小瓶を成形することができる残りガラスチューブになるのである。つぎのステップでは、上側のチューブ部分の下にいわゆる「穴開けバーナ」が配置され、これによって上側のチューブ部分の底部が再度溶融される。この過程の間にも上側のチューブは回転している。
【0007】
上記のことは基本的にUS-A-2 935 819から公知である。
【0008】
EP-A-2 239 237からも上記の製造方法が公知である。これによればまず小瓶の開口部が成形され、つぎに底部が成形される。底部を成形する際にはガラスチューブは比較的高い温度に加熱しなければならないため、アルカリホウ酸塩成分がガラスチューブから気化して小瓶の内側表面に沈殿することがある。したがってこのガラス小瓶の内側表面には変質領域があり、この変質領域からは、アルカリ成分がわずかに浸出している可能性があり、またこの変質領域には層間剥離傾向もあるのである。
【0009】
アルカリ浸出を低減するため、硫酸ナトリウムによって処理するかまたは薄い石英層によって内側表面をCVDコーティングすることが公知である。
【0010】
US-A1-2009/0099000によれば、小瓶を製造する際の製造ステップを逆にすることによってアルカリの漏れを低減することが試みられている。これによれば、まず底部を形成し、その後はじめて瓶のネックを成形する。アルカリ放出は、底部成形中に火炎を用いて内側表面を付加的に処理することによって低減しようとしている。
【0011】
EP-A-2 239 237にしたがってアルカリ浸出を低減するために提案されるのは、ガラス小瓶の内側表面をバーナ火炎によって処理して、この内側表面に付着するアルカリ成分などを除去することである。
【0012】
これによってアルカリ浸出を低減しようとしている。
【0013】
上記の公知の製造方法は一方では比較的繁雑であり、他方ではアルカリ浸出がなお多すぎると思われる解決手段にしかならない。
【0014】
上記を背景にして本発明が課題とするのは、医薬小瓶の製造に特に適しており、かつ、アルカリの漏れが低減されるガラス小瓶製造方法を提供することである。本発明では、さらに相応に改善されたガラス小瓶を提供する。
【0015】
この課題は、以下のステップを有する、ガラスチューブからガラス小瓶、特に医薬小瓶を製造する方法によって解決される。すなわち、
(a) ガラスチューブをその長手軸の周りで回転させるステップと、
(b) 少なくとも1つのバーナを用いて、少なくとも一方の側から、少なくともガラスの軟化温度(E
W)までガラスチューブを局所的に加熱するステップと、
(c) 収縮領域に少なくとも1つの成形部を側方から押し付けることによって直径を低減させるステップと、
(d) 少なくとも1つのバーナを用い、収縮領域においてガラスチューブを切り離すステップとを有する方法によって解決される。
【0016】
本発明の上記の課題は、これによって完全に解決される。
【0017】
本発明によれば、付加的なステップ(c)により、すなわち、少なくとも1つの成形部分の軟化した領域を押圧することによって直径を低減することにより、後続の切り離しステップ(d)においてバーナによる切り離しが行われる前に、この軟化した領域の直径がさらに格段に小さくされる。
【0018】
これにより、上記の切り離しは、格段に高速に行うことができ、および/または、切り離しを行うべき領域における温度は、従来の方法の場合よりも格段に低くすることができる。切り離し時間か短くなることにより、また、温度が低くなることにより、アルカリホウ酸塩蒸気の発生量は格段に少なくなる。また小瓶内部表面の温度の低い領域において再凝縮される量も少なくなる。これにより、ISO 4802に規定された検査の際にこの小瓶のアルカリ放出が格段に低減される。同時に層間剥離傾向が格段に低減される。
【0019】
本発明の別の実施形態では、ステップ(b)におけるガラスチューブの加熱の後、収縮領域(16)を形成するため、回転するガラスチューブ(10)を軸方向に引っ張り伸ばすステップ(b1)を付加的に実行する。
【0020】
本発明の有利な実施形態では、ガラスチューブを回転させて、上記のステップ(a)〜(d)および必要に応じてステップ(b1)を上で示した順序で実行する。
【0021】
上記の切り離しステップ(d)の後、成形された小瓶の他に、閉じた端部を有するガラスチューブが残存する。このガラスチューブは、有利には引き続きのステップにおいて、バーナ(穴開けバーナ)を用いて再び穴が開けられ、引き続いてつぎのガラス小瓶の形成を行うことができる。
【0022】
本発明の有利な実施形態において、ステップ(a)の後まず、回転するガラスチューブの一方の端部を加熱して成形して、成形すべき小瓶のネック領域を形成し、引き続いて、この端部からあらかじめ定めた間隔で、バーナによってこの端部を局所的に加熱する。
【0023】
上記のガラスチューブは有利には、200回転/分から500回転/分で、有利には250回転/分から450回転/分で、さらに有利には300回転/分から400回転/分の回転数で駆動される。
【0024】
このような回転数により、ガラスチューブの上記の局所的な加熱、直径低減、切り離しおよび必要に応じて行われる引っ張り伸ばしを有利に実行できることが判明した。
【0025】
有利にはガラス小瓶を製造するため、ホウケイ酸ガラスの形態の中性ガラスからなるガラスチューブを使用する。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、上記の成形体は、タングステン合金から、電気黒鉛から、または耐熱鋼から構成される。
【0027】
例えばタングステン合金または電気黒鉛から成形体を作製すれば、ガラス表面の特に好適の濡れ特定が得られ、これによって直径低減が促進される。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、成形体は回転駆動される。
【0029】
回転駆動することにより、加熱領域における直径低減をさらに改善することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、成形体を付加的に加熱する。
【0031】
この成形体を加熱することにより、直径低減がさらに促進される。
【0032】
成形体は有利にはガラスチューブに向かって先細りに形成されており、有利には尖って形成されている。
【0033】
これにより、直径低減がさらに改善される。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、有利にはガラスチューブの両側から1つずつの成形体を送り出す。
【0035】
これらの手段により、全体として加熱領域における直径低減が格段に改善される。
【0036】
上記のように直径低減が改善されることにより、切り離し過程が容易になるため、発生するアルカリホウ酸塩蒸発損失が少なくなる。
【0037】
これにより、切り離しバーナの火炎にガラスチューブが曝される時間が大きく低減されるため、ナトリウムホウ酸塩蒸発が大きく低減される。
【0038】
同時に切り離しバーナの温度を従来技術に比べて低減することができる。
【0039】
本発明の課題はさらに、閉じた底部および開いた瓶ネックを有するガラス小瓶、特に医薬小瓶によって解決され、このガラス小瓶は有利には、中性ガラス、特にホウケイ酸ガラスから構成され、このホウケイ酸ガラスでは、表面近傍の、高温成形される領域におけるアルカリ含有量が、ガラス内部のアルカリ含有量に対して最大で30%、有利には最大で20%、さらに有利に最大で10%低減される。
【0040】
本発明の課題はさらに、ISO4802-2によるナトリウム放出が、0.5μg/cm
2未満であり、有利には0.25μg/cm
2未満である、ガラス小瓶、特に医薬小瓶によって解決される。
【0041】
本発明にしたがって製造される医薬小瓶は、従来のガラス小瓶よりもアルカリ放出が格段に少ないと共に従来のガラス小瓶よりも層間剥離傾向が格段に少ないという特徴を有する。
【0042】
したがって本発明によるガラス小瓶は全体として、医薬小瓶として使用するための格段に改善された特性を有するのである。
【0043】
上で述べた特徴的構成および以下でさらに説明する特徴的構成は、本発明の枠を逸脱することなく、それぞれ示した組み合わせだけで使用できるのではなく、別の組み合わせまたは単独で使用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】従来技術にしたがって医薬小瓶を高温成形する製造ステップを略示する図である。
【
図2】本発明にしたがって医薬小瓶を成形する製造ステップを略示する図である。
【
図3】2つのホウケイ酸ガラスタイプ(タイプ1およびタイプ2)に対し、検査方法ISO4802−2によるナトリウム放出の比較を示す図である。
【
図4】回転駆動される2つの成形体を用いて直径を低減するフェーズにおけるガラス小瓶の拡大図である。
【0045】
本発明の別の特徴的構成および利点は、図面を参照して行われる有利な実施例の以下の説明から得られる。
【0046】
図3では、従来技術にしたがって製造したホウケイ酸ガラスにおけるタイプ1の検査結果をA1で示しており、タイプ2をB1で示しており、その他の点では同じ条件およびパラメタで本発明にしたがって製造した小瓶における検査結果を対比している。
【0047】
図1に基づき、まず従来技術(例えばUS-A-2 935 819またはEP-A2-2 239 237を参照されたい)による医薬小瓶の高温成形を説明する。
【0048】
ほぼホウケイ酸ガラスからなる、例えばFiolax(R)(マインツ在のSCHOTT社の登録商標)のようなガラスチューブ10を2つのチャックの間に緊締し、矢印13によって示したようにその長手方向軸12の周りで回転駆動させる。
【0049】
つぎにガラスチューブ10の側面に直接向けられ、かつ、側方に配置されたバーナ14により、
図1a)のガラスチューブ10が、軟化して変形可能になるまで加熱される。この温度に到達すると直ちに、ガラスチューブ10は、回転が継続されてバーナ14による加熱の下で、下側のチャックの軸方向における直線運動により、
図1bの矢印17に示したように引っ張り伸ばされる。これによってガラスチューブは、加熱領域においてその直径が先細りになると同時に伸びるため、直径が小さくなった収縮領域16が生じる。下方へ運動させた後、収縮領域16はさらに加熱される。この際にガラスチューブ10
Iは、この先細り箇所において、バーナガスの流れ圧力によってさらに縮まるため、
図1c)に示したようにガラス壁は加熱領域において溶けて小さくなり、最終的には上側および下側のチューブ部分と間の接続部が引きちぎられる。これにより、閉じた端部を有する2つのチューブ部分が得られ、下側のチューブ部分は、底部19を有する製品の小瓶18になり、上側のチューブ部分は、つぎの小瓶が成形される残りガラスチューブ10
IIになるのである。つぎのステップでは、上側のチューブ部分10
IIの下にいわゆる「穴開けバーナ」20が配置され、これによって上側のチューブ部分10
IIの閉じた端部21が再度溶融される。このことは
図1e)に示した通りである。
【0050】
発明者の調査によって判明したのは特に、最終的に収縮領域16においてガラスチューブ10を2つの閉じた部分に切り離すためのバーナ14による加熱は、ガラスマトリクスからアルカリホウ酸塩が大量に蒸発することの原因になることである。
【0051】
本発明の方法によれば、アルカリホウ酸塩蒸発が格段に低減される。なぜならば、ガラスチューブを切り離す際に必要な温度が格段に低減されるからである。
【0052】
このことを以下、
図2に基づいて詳しく説明する。
【0053】
ここで、対応する部分には対応する参照符号を使用する。
【0054】
図2a)に示した第1ステップでは、例えばFiolax(R)(マインツ在のSCHOTT社の登録商標)のようなホウケイ酸ガラスからほぼ構成され得るガラスチューブ10が、上側のチャック24と、下側のチャック26との間に垂直方向に緊締される。つぎにガラスチューブ10は、長手方向軸12に周りで回転駆動される。このためには約300〜400回転/分の回転数を使用することができる。引き続き、回転するガラスチューブ10は、1つまたは2つの切り離しバーナ14により、回転が継続されて加熱され、ここでこの加熱は、バーナの火炎が半径方向にガラスチューブ10に直接向けられることによって行われ、これによって約2cmの領域が加熱される。ガラスチューブ10が軟化して変形可能になると直ちに、このガラスチューブは、矢印17によって示されるように下側のチャック26を軸方向に下に動かすことによって引っ張り伸ばされる。これにより、ガラスチューブ10は、加熱領域においてその直径が先細りになると同時に伸びるため、収縮領域16が生じる。ここでバーナ14は側方に揺動して遠ざかり、チューブが引き続いて回転されて、成形部28が半径方向に可能な限りに大きな距離でガラスチューブ10内に圧入される。これにより、
図2c)および
図2d)に示したように可能な限りに幅の狭いガラス接続部だけが上側のチューブ部分と、下側のチューブ部分との間に残存するようにする。
【0055】
収縮領域16を形成するために軸方向に引っ張り伸ばす上記のステップを省略することもできる。その代わりに、少なくとも軟化温度E
Wまで加熱されるガラスチューブ10の変形は、成形部28を押し付けることによって直接行うことができる。
【0056】
ここで使用される成形部28は有利には、タングステン合金または電気黒鉛から構成され、ガラスチューブ10側を向いた表面が丸められているかまたは尖らせられている。
【0057】
引き続いて成形部28は再度揺動して遠ざかり、バーナ14が、ガラスチューブ10
IIの残存している収縮領域16の前に揺動して戻り、これによって残存している幅の狭いガラスロッドを溶融する。
【0058】
図2f)によれば、ここでも、閉じられた底部を有する2つの部分が発生し、下側部分は、底部19を有する製造が完了したガラス小瓶18であり、上側部分は、上側のチャック24に保持された、閉じた端部21を有するガラスチューブ10
IIIである。後続のステップでは、
図2g)および
図2h)にように、ガラスチューブ10
IIIの閉じた端部が、ここでも穴開けバーナ20によって溶融され、これにより、
図2h)のようにガラスチューブ10
IVの下側の端部に開口部22が得られる。
【0059】
ガラスチューブを最初に加熱し、場合によっては引っ張り伸ばした後、成形部28を半径方向に押し付けて加熱した領域16を大きく先細りさせ、幅の狭い残りのロッドだけしか残存しないようにする、従来技術に対して実質的に変更した方法を実行することにより、切り離し過程中に比較的に低い温度において加工することができ、ないしは、切り離し過程を短縮することができる。これによりさらに、アルカリの損失が格段に少なくなり、最終的にISO4802に規定された浸出検査時の検査結果が格段に改善される。引っ張り伸ばすステップを省略しても、必要な直径低減を得るため、上記の軟化温度またはこれをわずかに上回る温度で十分になる。
【0060】
当然のことながら、従来技術において基本的に公知であるように、直径低減およびこれに続く切り離し過程を開始する前に、まずバーナ火炎を用いて、また場合によっては成形部を用いて、任意のネック領域をガラスチューブの下側端部に成形できることは明らかである。このことは本発明の核心に属しないため、このことについてここでは詳しく説明しない。
【0061】
比較のため、1mmの壁厚で16mmの外径を有するガラスタイプ1ないしは2のガラスチューブ(共にマインツ在のSchott社のホウケイ酸ガラス)を有する単一ステーションチューブ加工装置において、
図1に示した従来の成形方法にしたがって、また、
図2に示した本発明による新しい底部成形方法にしたがって容器を作製した。
【0062】
ガラスタイプ2は、Schott社からFiolax(R)という商標で市販されている、以下の主成分(酸化物ベースの重量%)を有するホウケイ酸である。すなわち、
SiO
2 75
B
2O
3 10.5
Al
2O
3 5
Na
2O 7
BaO <<1
CaO 1.5
である。
【0063】
軟化温度E
Wは、わずかに785℃であるのに対し、加工温度V
Aは、1165℃である。従来の加工では、収縮部を形成するための引っ張り伸ばしのためにこの加工温度まで加熱しなければならなかった。
【0064】
ガラスチューブの加熱の開始から、チューブ両端部におけるガラス底部の形成までの全体加工時間は、2つの製造方法において同じであった。
【0065】
従来の方法によって作製した容器および本発明の方法によって作製した容器の2つの容器を、容器内部表面におけるナトリウムの漏れについてISO4802-2の検査方法にしたがって分析した。
【0066】
この検査方法は、ISO4802-2規格から得られ、また“Special Glanns Containers for Primary Packaging: Alkali Release Measurement”, Pharma Information Letter, 8th Edition, 06/2004,第1〜6に詳しく説明されている。
【0067】
μm/cm
2で示した発生したナトリウム漏れは、
図3にまとめられている。バーA1は、ホウケイ酸ガラスタイプ1(Fiolax(R))からなる試料におけるナトリウム漏れを示しており、バーB1は、ホウケイ酸ガラスタイプ2からなる試料におけるナトリウム漏れを示しており、これらの2つのタイプは、従来の方法にしたがって作製されている。
【0068】
A2およびB2は、本発明の方法にしたがって作製したガラス試料における対応するナトリウム漏れを示している。
【0069】
本発明の方法にしたがって製造したガラス小瓶におけるナトリウム漏れが格段に低減されていることがわかる。
【0070】
図4には本発明による方法の別の変形実施形態が示されている。
【0071】
ここでは、対応する部分には対応する参照符号が付されている。
【0072】
この場合、回転するガラスチューブ10
Iの収縮領域16は、前に記載したようにただ1つの成形体だけによって力が加えられるのではなく、2つの側から1つずつの成形体28aによって力が加えられる。
【0073】
さらに成形体28aは回転駆動されている。これらの成形体は、例示的に示したように、可動のフーレム34にシャフト36によって支承されており、駆動部32を介して駆動することができる。この駆動部には、成形体28aを付加的に加熱するための加熱装置をさらに接続することができる。
【0074】
成形体28ないしは28aは有利にはタングステン合金、純粋なタングステンまたは電気黒鉛から構成される。これにより、ガラス表面に対して特に有利な濡れ特性が得られる。基本的に耐熱鋼から作製することも考えられるが、濡れ特性はタングステンまたは黒鉛の方が有利である。成形体28ないしは28aは有利にはガラスチューブに向かって先細りになっており、特に尖った形状を使用することができる。これにより、
図4に示した回転駆動される成形体28aの場合、縁部側において尖ったほぼ円板状の形状が得られる。
【0075】
ここで仮定したのは、
図4のような実施によれば、加熱することができないスチール製の固定の成形体だけを使用していた
図3に示した検査結果と比べて、アルカリ放出をさらに低減できるということである。