(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567517
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】サンプルを加熱する方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20190819BHJP
C12M 1/36 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/36
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-527323(P2016-527323)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-538845(P2016-538845A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】CN2014090129
(87)【国際公開番号】WO2015062550
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年10月23日
(31)【優先権主張番号】201310531474.4
(32)【優先日】2013年11月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511284155
【氏名又は名称】リードウェイ (エイチケイ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LEADWAY (HK) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ズージエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】ユー、チュン
(72)【発明者】
【氏名】リン、タオ
【審査官】
福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/119049(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/057548(WO,A1)
【文献】
特開2002−000255(JP,A)
【文献】
中国実用新案第203174009(CN,U)
【文献】
特開2002−369682(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0157224(US,A1)
【文献】
特開2007−275005(JP,A)
【文献】
特開2011−123069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C12N 15/00−90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを加熱する方法であって、
核酸抽出機により設定されたステップに従って加熱を行い、前記核酸抽出機は、ベースと、ベースに接続される外ハウジングと、外ハウジングの内部にありかつベースに取り付けられた器機本体とを備え、器機本体は、電源ユニット、メインコントロール装置、直流モータ、及び加熱装置を備え、前記加熱装置は、前記核酸抽出機の操作ステーションの上に設置される複数列の可動な加熱プレートを備え、各列の前記加熱プレートは、加熱されるディープウェルプレートの底部の形状に一致する複数の加熱孔壁を備え、前記加熱プレートは熱伝導材料からなり、その内部には加熱部材が貫通されるとともにその外周には断熱部材が設けられ、前記加熱プレートの下面には互いに独立するいくつかの圧縮バネが設けられ、前記圧縮バネが前記加熱プレートの下方に押し付けられ、
前記設定されたステップは、サンプルをディープウェルプレートに入れる第1ステップと、ディープウェルプレートを前記核酸抽出機内の所定箇所に配置する第2ステップと、核酸抽出機上の微動スイッチをオンにする第3ステップと、核酸抽出機のメインコントロール装置を起動する第4ステップと、直流モータを起動する第5ステップと、起動された前記直流モータが核酸抽出機の支持部を上方に移動させる第6ステップと、核酸抽出機のクランプアームがディープウェルプレートを締め付ける第7ステップと、加熱プレートをディープウェルプレートに密着させる第8ステップと、加熱装置は加熱モードを開始する第9ステップと含む、ことを特徴とするサンプルを加熱する方法。
【請求項2】
ディープウェルプレートを前記核酸抽出機内の所定箇所に配置する際に、ディープウェルプレートにより核酸抽出機の微動スイッチを自動的にオンにすることを特徴とする請求項1に記載の加熱方法。
【請求項3】
前記微動スイッチは、一つの傾斜の板バネと一つのボタンスイッチとを備え、ディープウェルプレートが前記核酸抽出機内の所定箇所に配置されるとき、ディープウェルプレートの底部が板バネを押圧してボタンスイッチを押し込むことで、微動スイッチをオンにしてモータを起動することを特徴とする請求項2に記載の加熱方法。
【請求項4】
ディープウェルプレートを固定する挟持装置を備え、当該挟持装置は、核酸抽出機の底板の下方に位置するモータと、核酸抽出機の操作ステーションの内部に位置する支持部と、いくつかのクランプアームと、微動スイッチとを備え、前記モータは一つのカムを備え、モータの起動時に、カムが支持部を押して上下に移動させ、さらに支持部がクランプアームを押して回転させることで、クランプアームがディープウェルプレートの外壁を締め付け又は解放し、クランプアームにねじりバネが設けられ、操作ステーションにディープウェルプレートが配置されていないとき、ねじりバネによってクランプアームが解放状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の加熱方法。
【請求項5】
加熱温度と時間が予め設定された要求に達した後に、核酸抽出機の操作ステーションの下方に配置される放熱装置により放熱を行う冷却ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項6】
前記放熱装置は、操作ステーションの下方に隠されるクロスフローファンを備えることを特徴とする請求項5に記載の加熱方法。
【請求項7】
加熱プレートのすべての加熱孔壁がディープウェルプレートの底部に貼り付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項8】
前記加熱部材は、抵抗、抵抗線、キャパシタンス、IC集積回路、トランジスタ及びセラミックから選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを加熱する方法に関し、特に核酸抽出機での加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子工学及びたんぱく質工学の技術研究分野において、核酸分子が主な研究対象であり、核酸の分離及び線形化が核酸研究の基礎技術となる。核酸は、生物の遺伝特徴情報を担う基本的な
単位であり、核酸測定は、分子レベルで行われる先進的な生物測定であり、従来の形態学測定、細胞学測定及び免疫学測定などよりも、感度性、特異性及び空白期間無しなどの優れた利点を有する。
核酸抽出の過程において、サンプルに対して加熱を行うステップは非常に重要であり、均一の加熱が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
核酸測定は、定性PCR、分子ハイブリダイゼーション、リアルタイム蛍光定量PCRなどの技術を含む。これらの核酸測定技術において最も重要なポイントは、生物サンプルに対し核酸を抽出することである。そのため、核酸モデルを有効的かつ正確的に抽出することは、それからの核酸測定の前提となる。現在、国内で核酸抽出は主に伝統的な人工作製方法を使用するため、効率が低くてコストが高いばかりではなく、再現性及び安定性もよくない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、以下のサンプルを加熱する方法を提供することにある。このサンプルを加熱する方法は、核酸抽出機により設定されたステップに従って加熱し、そのうち、前記核酸抽出機は、ベースと、ベースに接続される外ハウジングと、外ハウジングの内部にありかつベースに取り付けられた器機本体とを備え、器機本体は、電源ユニット、メインコントロール装置及び直流モータを備え、前記設定されたステップは、サンプルをディープウェルプレートに入れる第1ステップと、ディープウェルプレートを前記核酸抽出機内の所定箇所に配置する第2ステップと、核酸抽出機上の微動スイッチをオンにする第3ステップと、核酸抽出機のメインコントロール装置を起動する第4ステップと、直流モータを起動する第5ステップと、核酸抽出機の支持部が上方向に移動する第6ステップと、核酸抽出機のクランプアームがディープウェルプレートを締め付ける第7ステップと、加熱プレートをディープウェルプレートに密着させる第8ステップと、加熱装置は加熱モードをスタートする第9ステップと含む。
【0005】
さらに、ディープウェルプレートを前記核酸抽出機内の所定箇所に配置する際に、ディープウェルプレートにより核酸抽出機の微動スイッチを自動的にオンにする。
さらに、前記微動スイッチは、一つの傾斜の板バネと一つのボタンスイッチとを備え、ディープウェルプレートが前記核酸抽出機内の所定箇所に配置されるとき、ディープウェルプレートの底部が板バネを押圧してボタンスイッチを押し込むことで、微動スイッチをオンにしてモータを起動する。
【0006】
さらに、ディープウェルプレートを固定する挟持装置を備え、当該挟持装置は、核酸抽出機の底板の下方に位置するモータと、核酸抽出機の操作ステーションの内部に位置する支持部と、いくつかのクランプアームと、微動スイッチとを備え、前記モータは一つのカムを備え、モータの起動時に、カムが支持部を押して上下に移動させ、さらに支持部がクランプアームを押して回転させることで、クランプアームがディープウェルプレートの外壁を締め付け又は解放し、クランプアームにねじりバネが設けられ、操作ステーションにディープウェルプレートが配置されていないとき、ねじりバネによってクランプアームが解放状態を維持する。
【0007】
さらに、加熱温度と時間が予め設定された要求に達した後に、核酸抽出機の操作ステーションの下方に配置される放熱装置により放熱を行う冷却ステップをさらに含む
さらに、前記放熱装置は、操作ステーションの下方に隠されるクロスフローファンを備える。
【0008】
さらに、前記加熱装置は、核酸抽出機の操作ステーションの上に設置される複数列の可動な加熱プレートを備え、各列の加熱プレートは、加熱されるディープウェルプレートの底部の形状に一致する複数の加熱孔壁を備え、加熱プレートは熱伝導材料からなり、その内部には加熱部材が貫通されるとともにその外周には断熱部材が設けられている。
【0009】
さらに、加熱プレートの下面に互いに独立するいくつかの圧縮バネが設けられ、圧縮バネが加熱プレートの下方に押し付けられる。
さらに、加熱プレートのすべての加熱孔壁がディープウェルプレートの底部に貼り付けられる。
【0010】
さらに、前記加熱部材は、抵抗、抵抗線、キャパシタンス、IC集積回路、トランジスタ及びセラミックから選ばれるものである
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明は、可動な加熱装置を採用し、加熱プレートの下に複数のバネを設けることにより、ディープウェルプレートを加熱プレート上に配置した後、ディープウェルプレートの底部が下へ加熱プレートを押圧することになる。このため、ディープウェルプレートと加熱プレートとをよく密着させることができる。従って、各孔は均一に熱を受けて、温度の差が小さく、各孔内のサンプルの解離速度及び解離程度は従来技術よりも均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1からハウジングとベースを外した模示図である。
【
図3】もう一方の視野角から
図2を見た模示図である。
【
図4】本発明の核酸抽出機のハウジングを外した模示図である。
【
図5】もう一方の視野角から
図4を見た模示図である。
【
図8】
図4と類似し、本発明の核酸抽出機が初期状態にある模示図である。
【
図9】
図8と類似し、本発明の核酸抽出機で磁気ジャケットに挿入された模示図である。
【
図10】
図9と類似し、本発明の核酸抽出機にディープウェルプレートを配置した模示図である。
【
図11】
図10と類似し、本発明の核酸抽出機の磁気ロッドジャケットがディープウェルプレートに挿入した模示図である。
【
図12】本発明の核酸抽出機の磁気ロッドジャケットと磁気ロッドが共にディープウェルプレートに挿入して第1の位置にある平面模示図である。
【
図13】
図12と類似し、第1のモータユニットにより第2、第3のモータユニットを第2の位置に移動駆動させる際の平面模示図である。
【
図14】本発明の核酸抽出機の磁気ロッドジャケットと磁気ロッドに磁気ビーズと核酸が吸着された模示図である。
【
図15】本発明の核酸抽出機の磁気ロッドジャケットと磁気ロッドの運動過程中の平面模示図である。
【
図16】
図13と類似し、磁気ロッドジャケットと磁気ロッドが共にディープウェルプレートの第2の位置に入れた平面模示図である。
【
図18】もう一方の角度から見た操作ステーションの平面模示図である。
【
図19】
図18と類似し、スイッチがオン状態にある平面模示図である。
【
図24】電源コントロール部材の拡大模示図である。
【
図25】第1のモータユニットの拡大模示図である。
【
図26】第3のモータユニットの拡大模示図である。
【
図27】本発明の核酸抽出機から一部の部材を外した模示図である。
【
図28】本発明の核酸抽出機の底板と操作ステーションの模示図である。
【
図33】本発明の核酸抽出機の扉の部分拡大図である。
【
図34】本発明の核酸抽出機の操作流れの模示図である。
【
図35】本発明の核酸抽出機でディープウェルプレートへの締め付け及び加熱の模示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。これらの具体的な実施例は、本発明の思想から逸脱しない範囲で限られた例であり、当業者が従来技術と本発明を組み合わせた他の実施形態を排除する意図ではない。
【0013】
図1に示すように、本発明の核酸抽出機1は、底部にあるベース10と、ベースの上にある外ハウジング20と、外ハウジングの内部にありかつベース10に固定される器機本体30とを備える。ベース10は、比重の大きくコストの安い材料(例えば、鋳鉄、鋼材、又は鋼板にコンクリートが充填されたものなど)を用いて製作されることにより、大きい質量を有し、核酸抽出機が稼動中で振動及び移動が生じることを効率的に防止することができる。外ハウジング20は、厚さが0.1〜2.0mmであるステンレス鋼板を冷間圧延と冷間カットなどのプロセスにより加工して製作されることが好ましい。別の実施例では、外ハウジング20は、コストを低減するために、プラスチック材料を用いて射出成形プロセスにより製作されることができる。外ハウジングの強度を向上するために、外ハウジング20に複数の平行状又は千鳥状の筋やリブを設けることができる。好ましくは、外ハウジングの外観をより美しくするために、選択の材料によって、外ハウジング20に対して、塗料吹き付け、コンピューターインクジェット、コンピューター彫刻、エッチ
ング又はめっきなどのプロセス処理を行うことができる。外ハウジング20の操作者に対向する面、即ち核酸抽出機1の正面に、ダッシュボード22と、開閉を繰り返す扉24が設けられている。なお、操作者が操作し易くするように、ダッシュボード22に、表示パネルと複数の操作キーを設けることができる。操作者が直接に液晶表示パネルをタッチして操作できるように、ダッシュボード22にタッチ液晶表示パネルを設けることが好ましい。
【0014】
図2〜6に示すように、器機本体30は、前記ベース10に固定される底板32と、内ハウジング34と、門形フレーム36と、操作ステーション38と、電源ユニット40と、メインコントロール装置42と、第1のモータユニット44と、第2のモータユニット46と、第3のモータユニット48とを備える。底板32は、前記モジュールを支持する少なくとも一つの平面を提供する。好ましくは、底板32は、厚さが1.0〜10.0mmである鋼板であり、曲げ、ねじりや一部反りなどが生じ難くなるように、適当な剛性を有しかつ少なくとも一つの面が平面になる形状を維持することができる。コストを節約するために、上述の要求を満たす条件で、底板32は、硬質プラスチックで射出成形プロセスにより製作されてもよく、又は、硬質の木材や竹材を用いて木工加工プロセスにより製作されてもよい。一つの実施例において、底板32は厚さ、剛性及び質量を十分に有する場合、底板32をベース10としてもよい。なお、一つの好ましい実施例において、内ハウジング34と、門形フレーム36と、操作ステーション38と、電源ユニット40とがそれぞれ前記底板32に固定される。省スペースのために、メインコントロール装置42は、電源ユニット40の裏面(
図3に示すように)に配置される。
図6と
図7に示すように、第1のモータユニット44は底板32の上面に固定され、かつその長手方向又は軸線が底板32の上面と平行する。第2のモータユニット46と第3のモータユニット48は、モータホルダ50に固定されてから、モータホルダ50を介して第1のモータユニット44に取り付けられる。第2のモータユニット46と第3のモータユニット48は、その軸線が互いに平行しかつ底板32の上面に垂直するように隣り合って並列する。門形フレーム36に、1つのガイドレール又はスライドレール43が設けられ、モータホルダ50のガイドレール43に対応する箇所に、ガイドレール43をスライドするように制限されるスライダー51が設けられる。このように設計すれば、運動中のモータホルダ50の安定性を向上させることができるとともに、本発明の核酸抽出機の搬送中や移動中でのモータホルダ50への保護効果を向上させることもできる。一つの実施形態において、門形フレーム36は、少なくとも一本の横ビーム37と横ビーム37を支持する二本の縦ビーム39、41とを備える。前記ガイドレール43は横ビーム37に設けられ、縦ビーム39、41は、底板32又はベース10の上面にそれぞれ固定される。
【0015】
図4に示すように、操作ステーション38は、核酸抽出機1の正面に近い偏平な、ほぼ長方体状である操作パネル52を備える。操作パネル52は、適当な剛性及び強度を有し、変形し難いものである。操作パネル52は、ステンレス板により冷間加工で製作されてもよく、硬質プラスチックにより射出成形プロセスで製作されてもよい。操作パネル52は、底板32の上面にほぼ平行する台を備え、核酸抽出の操作は、ほぼ当該台で行われる。当該台は、核酸抽出機1の正面にほぼ平行する二つの長手辺を有する。扉24が開かれた状態において、操作者は、両手又は片手で扉24から入って、操作ステーション38で核酸抽出の操作を行うことができる。操作ステーション38の後側(即ち、
図6と
図7に示すように、操作ステーション38よりも核酸抽出機の正面から離れる箇所)に、第1のモータユニット44が取り付けられる。第1のモータユニット44の長手方向又は軸線方向は、操作ステーション38の長手方向とほぼ平行する。
【0016】
電源ユニット40は、220V又は110Vの通用電圧を本発明の核酸抽出機内の各種の電子デバイスの駆動に適する電圧に変換するデバイスモジュール(符号を付けていない)と少なくとも一つの電源管理モジュール54とを備える。省スペースのために、電源管理モジュール54は、電源ユニット40の上方(
図4と
図5に示す)に固定される。
図24と
図24Aに示すように、電源管理モジュール54は、少なくとも一つのプリント回路板56、複数の容量や抵抗などの電子デバイス、及び少なくとも一つの電源調節器58と放熱器60を備える。放熱器60は電源調節器58に密着される。電源調節器58は発熱電子デバイスを備え、この発熱電子デバイスは、核酸抽出機が稼動中で生じ得る瞬時オーバーロード電圧又はオーバーロード電流を熱エネルギーに変換して解消するためのものである。放熱器60は、電源調節器58で生じる熱エネルギーを即時に放出することで、電源調節器58の温度を低下させて、温度が高すぎることによる電源調節器58の焼きつきの発生を避けることができる。
【0017】
図6に示すように、モータホルダ50は、互いにほぼ垂直する第1のパネル62と第2のパネル64を備え、第1のパネル62に第2のモータユニット46と第3のモータユニット48が固定され、第2のパネル64が第1のモータユニット44に固定される。モータホルダ50は、鋼板により冷間加工で製作されてもよく、硬質プラスチックにより射出成形プロセスで製作されてもよい。モータホルダ50は、全体的にほぼ大文字「L」状である。モータホルダ50の強度を向上させ、かつ原料を節約し、質量を低くするために、第1のパネル62と第2のパネル64のなす角度が約90度である箇所に少なくとも一つの筋又はリブ66が設けられる。
図6と
図25に示すように、第1のモータユニット44は、底板32の上面に固定されかつ底板32に対して移動不可能なモータ68と、コネクター70を介してモータ68に同軸に接続されるボールスクリュー72と、ボールスクリュー72に連結されるスライダー74と、スライダー74を案内するガイドレール76とを備える。第1のモータユニット44が作動する際に、モータ68の軸は、コネクターを介してボールスクリュー72をその軸線の周りに回動させる。ボールスクリュー72の軸線回動により、スライダー74をボールスクリューの軸線に沿って往復に移動するように駆動させる。モータホルダ50の第2のパネル64が第1のモータユニット44のスライダー74に固定されるため、スライダー74がボールスクリューの軸線に沿って往復に移動する際に、スライダー74により、モータホルダ50と第2のモータユニット46と第3のモータユニット48を、底板32に平行する平面で操作ステーション38の長手方向に沿って位置「A」と「B」の間に往復移動するように駆動させる(
図25に示す)。
【0018】
図8に示すように、本発明の核酸抽出機は、第2のモータユニット46のスライダーに固定接続される磁気ロッドホルダ78と、第3のモータユニット48のスライダーに固定接続される磁気ロッドジャケットホルダ80とを備える。磁気ロッドホルダ78から下方に向かって複数列の磁気ロッド82が設けられ、各列に複数の磁気ロッドが設けられる(好ましくは、磁気ロッドが4×8である)。磁気ロッドジャケットホルダ80から下方に向かって、磁気ロッドの列に対応する数(例えば四つ)の溝84が設けられ、各溝84にそれぞれ一つの磁気ロッドジャケットが挿入可能である。
【0019】
図8〜
図16は、本発明の核酸抽出機1の稼動過程を示す。スタート位置にある時、磁気ロッドホルダ78と磁気ロッドジャケットホルダ80は、互いに離間しているとともに、操作ステーション38から十分に離れている。本発明の核酸抽出機1は、以下のステップの通り順序に稼動する。第1のステップは、サンプル投入である。つまり、サンプルを入れたディープウェルプレート(96ウェルプレートとも言う)88を操作ステーション38の所定箇所に置いて、そして、磁気ロッドジャケット86を磁気ロッドジャケットホルダ80の溝84に固定する。第2のステップは、解離である。つまり、第3のモータユニット48を起動し、磁気ロッドジャケットホルダ80により磁気ロッドジャケット86をディープウェルプレート88の所定列の孔に入るまで下方向に移動させ、そして、第3のモータユニット48により、磁気ロッドジャケットホルダ80を磁気ロッドジャケット86とともに2〜100Hz(2、4、8、16、21、30、50、800、100Hzが好ましい)から選べられる振動周波数で所定の時間で振動するように駆動する。磁気ロッドジャケット86の磁気ロッドジャケットホルダ80から離れる一端が、ディープウェルプレート88の孔内でサンプル、解離液及び磁気ビーズ(ディープウェルプレートの孔に入れておいたもの)の混合物を攪拌することにより、サンプルにおける核酸をサンプルから分離させる、磁気ビーズに吸着させる。第3のステップは、吸着である。つまり、第2のモータユニット46を起動し、磁気ロッドホルダ78を、磁気ロッド82が磁気ロッドジャケット86の所定位置に入るまで下方向に移動させてから、所定の時間で放置して、すべての磁気ビーズをサンプルから解離された核酸とともに磁気ロッドジャケット86の外面に吸着させて、そして磁気ロッドホルダ78を磁気ロッドジャケット86とともに上方向に移動させて磁気ロッドジャケット86と磁気ロッド82がともにディープウェルプレート88の所定列の洗浄孔に入って洗浄を行い、不純物を除去する。第4のステップは、溶出である。つまり、磁気ロッドジャケット86と磁気ロッド82がともに洗浄孔から溶出孔に入り、溶出液により、核酸が磁気ビーズから解放される。第5のステップは、磁気ビーズの回収である。つまり、磁気ロッドジャケット86の外面に吸着された磁気ビーズを溶出孔から磁気ビーズ回収孔に移し、磁気ロッド82が磁気ロッドジャケット86から離れる。第6のステップは、磁気除去である。つまり、磁気ロッドジャケット86を磁気ビーズ回収孔に振動させることで磁気ビーズがすべて磁気ロッドジャケット86の外面から離脱される。第7のステップは、整理である。つまり、磁気ロッドジャケット86を外し、ディープウェルプレートを取り外して、機器がスタート位置に戻る。なお、解離、溶出ステップにおいて、ディープウェルプレートにおけるサンプル混合液を予め設定する温度範囲に加熱する必要がある。
【0020】
図7、
図25及び
図26に示すように、第1のモータユニット44、第2のモータユニット46、第3のモータユニット48はそれらの構造がほぼ同一であり、いずれも正確に移動するステッピングモータとボールスクリューを採用する。本発明で採用されるステッピングモータの再現精度(即ちサイクル毎に生じる変位の誤差)が0.02mmよりも小さい。上述のように、第1のモータユニット44の役割は、予め設定されるプログラムに従って第2のモータユニット46と第3のモータユニット48を第1の位置と第2の位置の間で移動させることである。第2のモータユニット46の役割は、磁気ロッドホルダ78を上下に移動するように駆動することである。第3のモータユニット48の役割は、磁気ロッドジャケットホルダ80を上下に移動及び振動するように駆動することである。第3のモータユニット48により磁気ロッドジャケットホルダ80を高周波数で振動するように駆動するため、振動周波数が高いほど、磁気ロッドジャケットホルダ自体の質量によって生じるモーメントによる第3のモータユニット48への衝撃が大きくなる。このため、モータ脱調(一のパルスでステッピングモータが出力する位置距離の誤差が設計値を超えたという状況を「モータ脱調」という)の発生確率が高くなる。モータ脱調を避けるために、本発明では、第3のモータユニット48にエンコーダー90が設けられる。エンコーダー90は、ステッピングモータの作動状況をモニタリングするデバイスとステッピングモータに校正指令を発行するデバイスとを備える。ステッピングモータが一のパルスを受信して出力するストロークは、予め設定される値(例えば1.25μm)を超える場合、エンコーダーより校正指令を発行し、パルスごとにステッピングモータが出力するストロークを即時に校正することで、モータ脱調を避け、第3のモータユニット48による磁気ロッドジャケットホルダ80の振動への駆動精度を向上させる。
【0021】
磁気ロッドジャケットホルダ80と磁気ロッドホルダ78の移動精度を影響する要素としては、モータユニットの作動精度のほかに、磁気ロッドジャケットホルダ80と磁気ロッドホルダ78の初期位置決め精度及び最大ストロークの位置精度がある。このため、本発明の採用手段は、各モータユニットのスライダー74の外側の辺に一つの光誘起アーム92が設けられる一方、スライダー74の初期位置及び最大ストローク位置にフォトカプラセンサー93がそれぞれ設けられる。フォトカプラセンサー93は、光誘起アーム92の位置をセンスすることでスライダー74の位置を制御する。したがって、本発明では、フォトカプラセンサー93を用いることにより、第1のモータユニット44は、ディープウェルプレート88の解離、洗浄、溶出及び磁気ビーズ回収の各位置に対する第2、第3のモータユニット(つまり、磁気ロッドジャケットホルダ80と磁気ロッドホルダ78)の位置を正確に制御することができ、第2、第3のモータユニットは磁気ロッドジャケットホルダ80と磁気ロッドホルダ78の最低及び最高の位置を正確に制御することができる。
【0022】
図17と
図17Aに示すように、操作ステーション38にいくつかの可動な加熱プレート94が設けられる。各列の加熱プレート94は、ディープウェルプレート88の底部形状に一致する複数の加熱孔壁96を備える。加熱プレート94は、金属材料を使用することが好ましい。加熱プレート94の内部に抵抗線などの加熱部材(符号を付けていない)が貫通され、加熱プレート94の外周に断熱部材(符号を付けていない)が設けられる。加熱プレート94の下面に互いに独立するいくつかの圧縮バネ98が設けられ、加熱プレート94のすべての加熱孔壁96をディープウェルプレート88の底部により均一に貼り付けるように付勢し、これにより各孔に対する熱がより均一になる。このようにすれば、ディープウェルプレート88における各孔内でのサンプルの解離効率と溶出効率の一致性がはるかに向上し、さらに各孔での核酸抽出効率の誤差がはるかに低減する。
【0023】
図23、
図27、
図27A及び
図30に示すように、操作ステーション38は、同操作ステーション38に配置されたディープウェルプレート88を自動的に締め付け又は解放する挟持装置を少なくとも一つ備える。当該挟持装置は、底板32の下方(即ち操作ステーション38の裏面)にあるモータ100(モータの数はディープウェルプレートの数に対応する)と、操作ステーション38の内部にある支持部104と、複数のクランプアーム106と、微動スイッチ108とを備える。前記クランプアーム106は、一つの軸105を備え、支持部の上下移動によりクランプアームを前記軸の周りに回動させて、クランプアームの挟持部107によるディープウェルプレートへの挟持を締めたり、緩ませたりする。モータ100は、一つのカム102を備える。モータ100の起動時に、カム102は支持部104を駆動して上下移動させる。さらに、支持部104は、クランプアーム106をてこの原理に従って時計回り又は逆時計回り回転させることで、クランプアーム106はディープウェルプレート88の外壁を締め付けたり、解放したりする。クランプアーム106にねじりバネ(符号を付けていない)が設けられ、操作ステーション38にディープウェルプレート88が配置されていないとき、ねじりバネによってクランプアームが解放状態を維持し、これによりディープウェルプレート88を操作ステーション38に配置することに対する障碍を低減させる。
【0024】
図18、18A、19、19A、20、21、22、23、28及び28Aに示すように、微動スイッチ108は操作ステーション38の一端の近くにある。微動スイッチ108は、一つの板バネ110と一つのボタンスイッチ112とを備える。
図18Aは微動スイッチがオフにされた状態を示す図であり、
図19Aは微動スイッチがオンにされた状態を示す図である。ディープウェルプレート88が操作ステーション38の所定位置に配置された場合、ディープウェルプレート88の側壁で板バネ110を押圧して、ボタンスイッチ112を押し込むことで、微動スイッチ108をオンにして、モータ100を起動させる。モータ100は、カム102を駆動して支持部104を上方向に移動させる。さらに、支持部104は、クランプアーム106をてこの原理に従って回転するように駆動されることで、クランプアーム106はディープウェルプレート88の外壁を締め付けて、これにより操作ステーション38におけるディープウェルプレート88の位置を正確に固定する。核酸抽出の工程がすべて完了し、操作ステーション38からディープウェルプレート88を取り外す場合、操作者は、ダッシュボード22によりディープウェルプレート88の解放指令を出す。モータ100は、カム102を回転駆動させて、バネと自体の重力で支持部104が下方向に移動する。ねじりバネによって、クランプアーム106が逆回転し、ディープウェルプレート88を解放する状態に戻り、ディープウェルプレートへの挟持力を加えない。したがって、操作者は、操作ステーション38からのディープウェルプレート88の取り外しを容易に行うことができる。
【0025】
図28、
図29及び
図30に示すように、操作ステーション38は、ダッシュボード22に近い一端に器機の外部に放熱するためのクロスフローファン114が設けられる。前記クロスフローファン114は、操作ステーション38のダッシュボード22の下方に隠される。クロスフローファン114の出口が本発明の核酸抽出機の底部にある。
【0026】
図1、
図2及び
図3に示すように、本発明の核酸抽出機の器機本体30は、ベース10と外ハウジング20によりほぼ遮断され、ベース10の底部にクロスフローファン114の出口が設けられる。本発明の核酸抽出機は、内ハウジング34と操作パネル52をさらに備える。内ハウジング34と操作パネル52により、基本的に、ディープウェルプレート88を相対的に遮断された空間に制限する。上記構造設計は、器機内部のクリーニングに便利するとともに外部環境から器機を保護することができる。
【0027】
図32、32Aと
図33、33Aに示すように、本発明の核酸抽出機1の扉24は、ハンドル116と扉軸118を備える。そのうち、外ハウジング20は、ハンドル116に対応する箇所に永久磁石(図示せず)が設けられる。扉が閉まると、永久磁石がハンドル116に吸着されることで、扉24が閉止状態に保持される。扉軸118は、ベース10に固定されるシャフト120と扉の底部の両端に固定されるスリーブ122とを備える。シャフト120の両端がスリーブ122内にそれぞれ組み入れるとともに、シャフト120とスリーブ122の接続箇所に扉軸ねじりバネ124が設けられる。扉軸ねじりバネ124により、シャフト120とスリーブ122との接続に所定の減衰係数を持たせることで、扉24の開閉時の触り心地をよくして操作者の愉快感を向上させる。
【0028】
図34は、本発明の核酸抽出機の稼動原理及び工程を示す。第1ステップ:ディープウェルプレートにサンプル(全血)を入れる。第2ステップ:加熱して、磁気ロッドジャケットの機械振動によりサンプルを解離する。第3ステップ:磁気ロッドが磁気ロッドジャケットに入り、磁気ビーズと核酸を吸着する。第4ステップ:洗浄液で不純物を洗浄する。第5ステップ:溶出液で磁気ロッドジャケットから核酸を溶出する。第6ステップ:磁気ビーズを回収する。第7ステップ:磁気ロッドを磁気ロッドジャケットから移して、磁気ロッドジャケットの機械振動により磁気ビーズが磁気ロッドジャケットから離脱して磁気ビーズ回収孔に落とされる。
【0029】
図35は、本発明の核酸抽出機にディープウェルプレートを固定するステップとサンプルを加熱するステップを示す。第1ステップ:ディープウェルプレートを配置する。第2ステップ:微動スイッチをオンにする。第3ステップ:CPU信号に応答する。第4ステップ:モータを起動する。第5ステップ:支持部が上方向に移動する。第6ステップ:クランプアームが締め付ける。第7ステップ:加熱プレートをディープウェルプレートに密着させる。
【0030】
本願(明細書と特許請求の範囲を含む)に記載の「ある部材Aがほかの部材Bに固定される」及びこれと類似な表現は、ある部材Aがほかの部材Bに直接又は間接に固定されることをいい、ある部材Aがほかの部材Bに接して固定接続される場合とある部材Aがほかの部材Bに離間して第3部材を介して固定接続される場合との両方を含む。広く言えば、ある部材Aをほかの部材Bに対して相対的に運動不可能にすれば、本願に言う「ある部材Aがほかの部材Bに固定される」の範囲に属される。
【0031】
本願に開示の内容は本発明創造の具体的な実施形態の有限な記載のみであり、本願に開示の内容に基づいて創造的な労働をせずに得られるいかなる有限な改良はいずれも本願発明の範囲に属される。