【文献】
Soon Ok Jeon et al.,Journal of Materials Chemistry,2012年,22,pp.10537-10541
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
まず、スピロビフルオレン基本骨格が調製され、その後の工程で、アリールアミノもしくはカルバゾール基またはアリールアミノもしくはカルバゾール基で置換されたアリールもしくはヘテロアリール基が、有機金属カップリング反応により導入されることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物の製造方法。
請求項1〜3何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、有機発光電子化学電池、有機レーザーダイオードおよび有機エレクトロルミネッセンス素子より成る群から選ばれることを特徴とする請求項9記載の電子素子。
請求項1〜3何れか1項記載の化合物が、正孔輸送材料として、または発光層のマトリックス材料として存在することを特徴とする、請求項10記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【技術分野】
【0001】
本出願は、ベンゾフラン単位に縮合したスピロビフルオレン構造を有する化合物に関する。化合物は、電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)での使用に適している。
【0002】
本出願の意味での電子素子は、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。特に、OLEDの意味で使用される。
【0003】
有機化合物が機能性材料として用いられるOLEDの構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。一般的に、用語OLEDは、有機化合物を含む一以上の層を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの場合、特性データ、特に、寿命、効率と駆動電圧を改善することにかなりの関心がある。完全に満足できる解決は、これらの面で未だ見出されていない。
【0005】
電子素子の性能データは、たとえば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層と発光層等の正孔輸送機能を有する層によって大きく影響される。正孔輸送特性を有する新規な材料が、これらの層での使用のために引き続き探求されている。
【0006】
前述の層中で正孔輸送特性を有する材料として、トリアリールアミンを用いることが、先行技術から知られている。これらは、たとえば、JP1995/053955、WO2006/123667およびJP2010/222268に記載されたとおりのモノトリアリールアミン、または、たとえば、US 7504163またはUS 2005/0184657に記載されたとおりのビス-もしくは他のオリゴアミンであり得る。OLEDのための正孔輸送特性を有する材料としてのトリアリールアミン化合物の公知例は、とりわけ、N,N'-ジ-1-ナフチル-N,N'-ジフェニル-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)と4,4',4"-トリス-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)である。
【0007】
先行技術は、さらに、OLEDにおいて、とりわけ、正孔輸送材料として、スピロビフルオレン-アリールアミノ化合物の使用を開示している(WO2012/034627およびWO 2013/120577)。
【0008】
また、スピロビフルオレン基本構造に縮合したベンゾフラン単位を含み、スピロビフルオレンに2-位で結合した一以上のアリールアミノ基を含むスピロビフルオレン誘導体の使用も知られている((WO 2013/100467)。
【0009】
OLEDでの使用のための新規な化合物の探索中に、スピロビフルオレン基本構造に縮合したベンゾフラン単位を含み、一定の位置でスピロビフルオレンに結合したアリールアミンもしくはカルバゾール基を含む化合物が、OLEDでの、特に、正孔輸送機能を有する材料としての使用のために極めて適していることが、驚くべきことに、今回見出された。
【0010】
見出された化合物は、非常に良好な正孔伝導特性、非常に良好な電子ブロック特性、高いガラス転移温度、高い酸化安定性、良好な溶解性と高い温度安定性から選ばれる一以上の特性を有する。
【0011】
したがって、本発明は、式(I)の化合物に関し、
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
−式(I)の基本構造に、*により示される2つの隣接する位置で結合する式(B)の基を含み、ここで、縮合は、式(B)において*により示される結合が、各場合に、式(I)の基本構造上で、*により示される位置で結合するようになされ;
−式(I)の基本構造上の一以上の位置で、基R
1により、および非置換として示される式(B)の基により置換され;
−可変基の以下の定義を有する:
Aは、出現毎に同一であるか異なり、♯により示される結合を介して結合する式(A1)、(A2)または(A3)の基であり;
【0015】
【化3】
【0016】
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、単結合または1以上の基R
2により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはBR
2、C(R
2)
2、Si(R
2)
2、C=O、O、S、S=O、SO
2、NR
2、PR
2もしくはP(=O)(R
2)から選ばれる基であり;
R
0は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
3C=CR
3-、-C≡C-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-、NR
3、P(=O)(R
3)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
1、R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
3、CN、Si(R
3)
3、N(Ar
3)
2、N(R
3)
2、P(=O)(R
3)
2、OR
3、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
3C=CR
3-、-C≡C-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-、NR
3、P(=O)(R
3)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
1もしくはR
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
Ar
3は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
4、CN、Si(R
4)
3、N(Ar
3)
2、N(R
4)
2、P(=O)(R
4)
2、OR
4、S(=O)R
4、S(=O)
2R
4、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
4C=CR
4-、-C≡C-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-C(=O)O-、-C(=O)NR
4-、NR
4、P(=O)(R
4)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、1上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CNまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
4は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
qは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、式(A2)中の少なくとも1つのqは、1であり;
i、k、m、nおよびpは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり;
ここで、これらの添え字の少なくとも1つは、1である。
【0017】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0018】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(環縮合)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合(環縮合)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0019】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族環構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、トリフェニレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0020】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、一以上の随意に置換されたC、Si、NあるいはO原子のような非芳香族単位により連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図している。ここで、非芳香族単位は、好ましくは、構造中のH以外の原子の合計数を基礎として、H以外の原子を10%未満含む。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテルおよびスチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図している。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0021】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族環構造に連結していてもよいが、特に、アリールもしくはヘテロアリール基の元で上記言及した基から、およびビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、インデノカルバゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0022】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0023】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用される。しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用される。
【0024】
Aは、好ましくは式(A-1)または(A-3)の基、特に好ましくは、式(A−1)の基である。
【0025】
Ar
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはそれぞれ随意に1以上の基R
2により置換されてよい、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、インデノフルオレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンもしくは2個以上のこれらの基の組み合わせから選ばれる2価基であるが、ここで、30個を超えない芳香族環原子が、Ar
1に存在してよい。
【0026】
基Ar
1は、好ましくは、以下の式の基から選ばれる:
【0027】
【化4-1】
【0028】
【化4-2】
【0029】
【化4-3】
【0030】
式中、破線の結合は、式(I)の残部への結合であり、基は遊離位置で1以上の基R
2により置換されてよいが、好ましくは、遊離位置で非置換である。
【0031】
式(Ar
1-23)および(Ar
1-24)の基中のR
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基、特に、メチルまたはフェニル基であり、1以上の基R
3により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。ここで、2個のアルキル基R
2は、スピロ基の形成と共に環、好ましくは、シクロヘキシル環もしくはシクロペンチル環を形成してもよい。
【0032】
Ar
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。特に好ましいのは、1以上の基R
2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、ナフチル、フェナンスレニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、カルバゾリル、インドロカルバゾリルおよびインデノカルバゾリルである。
【0033】
基Ar
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式の基から選ばれる:
【0034】
【化5-1】
【0035】
【化5-2】
【0036】
【化5-3】
【0037】
【化5-4】
【0038】
【化5-5】
【0039】
【化5-6】
【0040】
【化5-7】
【0041】
【化5-8】
【0042】
【化5-9】
【0043】
式中、破線の結合は、窒素への結合であり、基は遊離位置で1以上の基R
2により置換されてよいが、好ましくは、遊離位置で非置換である。
【0044】
式(Ar
2-68)〜(Ar
2-82)および(Ar
2-85)〜(Ar
2-87)の基中のR
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基、特に、メチルまたはフェニル基であり、1以上の基R
3により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。ここで、2個のアルキル基R
2は、スピロ基の形成と共に環、好ましくは、シクロヘキシル環もしくはシクロペンチル環を形成してもよい。
【0045】
基Ar
3の好ましい態様は、基Ar
2のそれに対応する。
【0046】
Xは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはC(R
2)
2、C=O、O、SおよびNR
2より選ばれる基から選ばれる。Xは、特に好ましくは、単結合である。
【0047】
R
0は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、1以上の基R
3により置換されてよい5〜15個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。R
0は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)である。
【0048】
R
1およびR
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
3C=CR
3-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-NR
3-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR
3で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
1もしくはR
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。R
1およびR
2は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0049】
R
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。特に好ましい基R
1は、H、F、CN、メチル、tert-ブチル、フェニル、ビフェニル、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンおよびカルバゾールである。
【0050】
式(I)の基本構造に結合する基R
1がHではない場合は、好ましくは、スピロビフルオレン基本構造の4,5,4'および5'の位置の一つで結合し、番号付けは以下のとおりである。
【0051】
【化6】
【0052】
R
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
4)
3、N(Ar
3)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
4C=CR
4-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-NR
4-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR
4-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。R
3は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、N(Ar
3)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0053】
pは、好ましくは、1であり;
kは、好ましくは、1であり;
nは、好ましくは、0である。
【0054】
さらに、添え字i、k、m、nおよびpの合計は、好ましくは、1または2であり、特に好ましくは、1である。
【0055】
添え字pとmの合計は、好ましくは、1である。
【0056】
添え字i、k、m、nおよびpに関するこれらの選好は、互いに組み合わせて出現する。
【0057】
式(I)の化合物の好ましい態様は、式(I−A)に対応し、
【0058】
【化7】
【0059】
式中、出現する可変基は、式(I)に対して定義されるとおりである。出現する可変基は、好ましくは、上記好ましいとして示される態様に対応する。
【0060】
式(I)の化合物のさらに好ましい態様は、式(I−B)に対応し、
【0061】
【化8】
【0062】
式中、出現する可変基は、遊離位置が基R
1により置換されないことを除いて、式(I)に対して定義されるとおりである。式(I−B)中のR
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に好ましくは、H、F、CN、メチル、tert-ブチル、フェニル、ビフェニル、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンおよびカルバゾールから選ばれる。
【0063】
さらに、式(I−B)中の少なくとも一つの基R
1は、好ましくは、H、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい6〜25個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に好ましくは、H、F、CN、メチル、tert-ブチル、フェニル、ビフェニル、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンおよびカルバゾールから選ばれる。
【0064】
式(I−A)と式(I−B)の好ましい態様は、好ましくは、互いに組み合わせて出現する。
【0065】
ここで、R
0は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)である。ここで、R
0は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)である。
【0066】
式(I)の化合物の好ましい態様は、以下の式(I−1)〜(I−18)に対応し、
【0067】
【化9-1】
【0068】
【化9-2】
【0069】
【化9-3】
【0070】
【化9-4】
【0071】
【化9-5】
【0072】
【化9-6】
【0073】
式中、出現する記号は、上記定義のとおりである。
【0074】
R
0、Ar
1およびAの好ましい態様は、特に、式(I−1)〜(I−18)にあてはまる。
【0075】
式(I−8)の化合物の、特に好ましい態様は、以下の式(I−8−A)〜(I−17−A)に対応し、
【0076】
【化10】
【0077】
式中、出現する記号は、上記定義のとおりである。
【0078】
R
0、Ar
1およびAの好ましい態様は、特に、式(I−8−A)〜(I−17−A)にあてはまる。
【0079】
以下の表は、式(I)の化合物の例を示す。
【0080】
【化11-1】
【0081】
【化11-2】
【0082】
【化11-3】
【0083】
【化11-4】
【0084】
【化11-5】
【0085】
【化11-6】
【0086】
【化11-7】
【0087】
【化11-8】
【0088】
【化11-9】
【0089】
【化11-10】
【0090】
【化11-11】
【0091】
【化11-12】
【0092】
【化11-13】
【0093】
【化11-14】
【0094】
【化11-15】
【0095】
【化11-16】
【0096】
【化11-17】
【0097】
【化11-18】
【0098】
式(I)の化合物を、先行技術から知られたプロセスと反応のタイプ、たとえば、ハロゲン化、有機金属付加、ブッフバルトカップリングおよびスズキカップリングにより合成することができる。
【0099】
スキーム1〜10は、本発明の化合物の調製のための可能な合成経路を示す。それらは、当業者に本発明を説明するために役立つが、制限的に解釈すべきではない。当業者は、一般的専門知識の範囲内で示された合成経路を変更し、より有利であろうならば、全く異なる経路を開発することができるであろう。
【0100】
スキーム1〜8は、式(I)の化合物の製造中間体である式(II−1)〜(II−6)の化合物の製造方法を示す。
【0101】
式(II−1)〜(II−6)の化合物は、以下の構造を有する:
【0102】
【化12-1】
【0103】
【化12-2】
【0104】
ここで、それぞれ、上記定義されるとおりである基R
1により一以上の遊離位置で置換されてよく、R
0は、上記定義されるとおりであり、その他の可変基は以下のとおり定義され得る:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、B(OR
3)
2、OSO
2R
3、S(=O)R
3およびS(=O)
2R
3から選ばれ;
tは、出現毎に同一であるか異なり0または1であり、式毎のここで少なくとも一つの添え字tは、1である。
【0105】
式(II−1)〜(II−6)の化合物に対して、式(I)の化合物に対して上記示されるR
0およびR
1〜R
3の定義が、同様に好ましいと見なされる。
【0106】
式(II−1)〜(II−6)に対して、丁度1個または丁度2個の添え字tが、1であることが好ましい。
【0107】
式(II−1)〜(II−6)に対して、Zが、出現毎に同一であるか異なり、Cl、Br、IおよびB(OR
3)
2から選ばれることが好ましい。
【0108】
式(II−1)〜(II−6)のうち、好ましいのは、式(II−5)と(II−6)である。
【0109】
式(II−1)〜(II−6)の中間体は、新規であり、それ自体本出願の主題である。
【0110】
全ての以下の合成スキームにおいて、化合物は、非置換で示されている。これは、プロセスにおいて任意の所望の置換の存在を排除するものではない。
【0111】
スキーム1は、式(II−6)の中間体のための適切な合成を示す。
【0112】
【化13】
【0113】
スキーム2は、式(II−5)の中間体のための適切な合成を示す。
【0114】
【化14】
【0115】
スキーム3は、式(II−4)の中間体のための適切な合成を示す。
【0116】
【化15】
【0117】
スキーム4は、式(II−3)の中間体のための適切な合成を示す。
【0118】
【化16】
【0119】
スキーム5は、式(II−2)の中間体のための適切な合成を示す。
【0120】
【化17】
【0121】
スキーム6は、式(II−1)の中間体のための適切な合成を示す。
【0122】
【化18】
【0123】
スキーム7は、式(II−1)と(II−2)の中間体のための適切な代替的合成を示す。
【0124】
【化19】
【0125】
スキーム8は、式(II−2)と(II−3)の中間体のための適切な代替的合成を示す。
【0126】
【化20】
【0127】
上記示された構築ブロックは、以下のスキームにより示されるとおりのベンゾフルオレン上の、たとえば、ハロゲン等の反応基により提供することができる。
【0128】
【化21】
【0129】
反応性基Zにより提供される式(II−1)〜(II−6)の中間体は、以下のスキームにより示されるとおりの式(I)の化合物に変換することができ多目的に使用できる構築ブロックである。
【0130】
【化22】
【0131】
したがって、本発明は、また、まず、スピロビフルオレン基本骨格が調製され、その後の工程で、アリールアミノもしくはカルバゾール基またはアリールアミノもしくはカルバゾール基で置換されたアリールもしくはヘテロアリール基が、有機金属カップリング反応により導入されることを特徴とする、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0132】
ここで、有機金属カップリング反応は、好ましくは、ブッフバルトカップリングまたはスズキカップリングである。
【0133】
上記記載された化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの製造のためのモノマーとして使用することができる。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合を有するアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環化、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド等、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0134】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(I)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合は、R
0、R
1またはR
2により置換される式(I)中で任意の所望の位置に位置してよい。式(I)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の構成成分であるか、または主鎖の構成成分である。本発明の意味でオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明の意味でポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖で結合する構造において、式(I)の単位は、互いに直接結合してもよいか、二価基を介して、たとえば、置換あるいは非置換アルキレン基を介して、ヘテロ原子を介して、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基を介して、互いに結合してよい。分岐および樹状構造においては、たとえば、3個以上の式(I)の単位は、三価基を介して、あるいは多価基を介して、たとえば、三価あるいは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基を介して、結合してよく、分岐ポリマーまたはオリゴマーを形成する。
【0135】
式(I)の化合物に対する上記記載したのと同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(I)の繰り返し単位にあてはまる。
【0136】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2000/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはWO2004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO2007/006383にしたがう)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO0207/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、発光(蛍光もしくは燐光)単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがう)または燐光金属錯体(たとえば、WO2006/003000にしたがう)等および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものをも含んでもよい。
【0137】
本発明のポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0138】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、一以上の型のモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(I)の繰り返し単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のものである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合。
【0139】
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0140】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。二以上の溶媒の混合物を使用することが、この目的のために好ましいこともある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0141】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(I)の化合物または少なくとも一つの式(I)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0142】
本発明の化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)での使用のために適している。化合物は、置換に応じて、種々の機能と種々の層に用いられる。
【0143】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物の電子素子での使用に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。
【0144】
本発明は、さらに、既に上記示したとおりに、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む電子素子に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、上記素子から選ばれる。
【0145】
特に好ましくは、アノード、カソードと少なくとも一つの有機層を含む有機エレクトロルミッセンス素子で(OLED)あり、少なくとも一つの有機層は、発光層、正孔輸送層または別の層であってよく、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む。
【0146】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、有機エレクトロルミッセンス素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合から選ばれる。
【0147】
式(I)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下である:アノード/正孔注入層/正孔輸送層/随意にさらなる正孔輸送層/随意に電子ブロック層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード。しかしながら、前記層の全てが存在する必要がなく、さらなる層が追加的に存在してもよい。
【0148】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合にこれらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層で使用される。特に好ましいものは、3個の層、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、その3層は、青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。代替として、および/または追加的に、本発明の化合物は、好ましくは、正孔輸送層または電子ブロック層に存在する。白色光の生成のためには、広い波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適していることもあることに留意する必要がある。
【0149】
本発明にしたがうと、式(1)の化合物は、一以上のエミッターを含む電子素子で用いられることが好ましい。ここで、化合物は、種々の層に、好ましくは、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔注入層または発光層に存在してよい。
【0150】
用語燐光エミッターは、その発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を典型的に包含する。
【0151】
適切な燐光エミッター(=三重項エミッター)は、特に、可視域で、適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0152】
本発明の目的のために、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0153】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244、WO 05/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。当業者は発明性を必要とすることなく、有機エレクトロルミッセンス素子において式(I)の化合物と組み合わせて、更なる燐光発光化合物を用いることができよう。さらなる例は、後の部分での表で示される。
【0154】
しかしながら、式(I)の化合物は、本発明にしたがって、一以上の蛍光エミッターを含む電子素子に用いることもできる
本発明の好ましい1態様では、式(I)の化合物は、正孔輸送材料として用いられる。そこで、化合物は。好ましくは、正孔輸送層、電子ブロック層または正孔注入層に用いられる。
【0155】
本発明にしたがう正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送機能を有する層である。
【0156】
本発明の意味での正孔注入層と電子ブロック層は、正孔輸送層の特定の態様の意味で使用される。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、正孔注入層は、アノードに直接隣接するかまたはアノードの単一の被覆により分離されただけである正孔輸送層である。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、電子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0157】
式(I)の化合物が、正孔輸送層、正孔注入層もしくは励起子ブロック層中で正孔輸送材料として使用されるならば、化合物は、純粋材料として、すなわち正孔輸送層中で100%の割合で使用することができるか、または一以上の他の材料と組み合わせて使用することができる。好ましい態様によれば、式(I)の化合物を含む有機層は、一以上のp-ドーパントを追加的に含む。本発明にしたがうと、用いられるp-ドーパントは、好ましくは、混合物中の一以上のその他の化合物を酸化することができる有機電子受容性化合物である。
【0158】
p-ドーパントの、特に好ましい態様は、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示された化合物である。
【0159】
特に好ましいp-ドーパントはキノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I
2、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を含むリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体である。ドーパントは、さらに好ましくは、遷移金属酸化物、好ましくは、レニウム、モリブデンおよびタングステンの酸化物、特に好ましくは、Re
2O
7、MoO
3、WO
3およびReO
3である。
【0160】
p-ドーパントは、好ましくは、p-ドープ層に実質的に均一に分配される。これは、たとえば、p-ドーパントと正孔輸送マトリックス材料の共蒸発により実現することができる。
【0161】
好ましいp-ドーパントは、特に、以下の化合物である:
【0162】
【化23】
【0163】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)の化合物は、US2007/0092755に記載されたとおりのヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせて、正孔輸送材料として使用される。ここで、ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、特に好ましくは、別の層中で用いられる。
【0164】
本発明のさらなる一態様では、式(I)の化合物は、一以上のエミッター、好ましくは、燐光エミッターと組み合わせてマトリックス材料として用いられる。
【0165】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0166】
対応して、エミッターの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0167】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、エミッターは、一般的には、系中でのその割合がより少ないものであり、マトリックス材料は、系中でのその割合がより多いものである。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のエミッターの割合よりも少なくてよい。
【0168】
式(I)の化合物は、好ましくは、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。ここで、式(I)の化合物は、好ましくは、正孔輸送特性を有するマトリックス材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に好ましくは、1:10〜1:1、非常に特に好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で用いられる。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0169】
混合マトリックス系は、一以上のエミッター、好ましくは、一以上の燐光エミッターを含んでよい。一般的に、混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子で用いられる。
【0170】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0171】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、以下に示される好ましい燐光ドーパントである。
【0172】
本発明のさらに好ましい1態様によれば、式(I)の化合物は、発光層中で蛍光エミッターとして用いることができる。本発明の化合物を発光層中で蛍光エミッターとして用いる場合は、一以上のマトリックス材料と組み合わせて用いることが好ましい。エミッターとして式(I)の化合物と組み合わせての使用のための好ましいマトリックス材料は、以下に示される。
【0173】
電子素子の種々な機能性材料の好ましい態様は、以下に示される。
【0174】
好ましい燐光エミッターは、上記言及された化合物と以下の表に示された化合物である。
【0175】
【化24-1】
【0176】
【化24-2】
【0177】
【化24-3】
【0178】
【化24-4】
【0179】
【化24-5】
【0180】
【化24-6】
【0181】
【化24-7】
【0182】
【化24-8】
【0183】
【化24-9】
【0184】
【化24-10】
【0185】
好ましい蛍光エミッターは、式(I)の化合物に加えて、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいエミッターは、たとえば、WO 2006/108497もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。好ましいのは、同様に、WO2012/048780とWO2013/012328に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、WO2014/037077に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンとEP 13000012.8に開示されたベンゾフルオレンアミンである。
【0186】
好ましくは、蛍光エミッターのための適切なマトリックス材料は、種々のクラスの物質からである。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239にしたがう)のクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。さらに好ましいのは、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体とEP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0187】
燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料は、式(I)の化合物に加えて、たとえば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851に開示されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109、WO2011/000455もしくはWO2013/041176にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107、WO2011/088877もしくはWO2012/143080にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2012/048781にしたがうトリフェニレン誘導体、たとえば、WO2011/116865もしくはWO2011/137951にしたがうラクタムである。
【0188】
本発明の電子素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0189】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0190】
式(I)の化合物とは別に、本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくはWO2013/120577にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、WO2014/015937、WO2014/015938およびWO2014/015935にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO 2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2011/1500011にしたがう)である。
【0191】
電子素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましいこともある。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0192】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましいこともある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物の外部層、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウムから成ってもよい。
【0193】
電子素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、水と空気の有害な作用を排除するために、最後に封止される。
【0194】
好ましい1態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0195】
同様に好ましい電子素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0196】
更に、好ましい電子素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(I)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0197】
本発明の電子素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに好ましい。
【0198】
本発明にしたがって、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0199】
例
A)合成例
A−1)例1:化合物(1−1)〜(1−13)の合成
【0200】
【化25】
【0201】
4-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフラン Int-1の合成
100g(462ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、106g(439ミリモル)の1,2-ジブロモベンゼンと、10.7g(9.2ミリモル)のPd(Ph
3P)
4とを、980mlのジオキサン中に懸濁させる。979mlの2M炭酸カリウム溶液をゆっくりとこの懸濁液に添加し、その反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離し、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をシリカゲルにおいてクロマトグラフィーにより精製する。収率:87g(270ミリモル)、理論値の58%、HPLCによる純度>98%。
【0202】
中間体 Int-7の合成
31g(90ミリモル)の4-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフランを最初に、−78℃で300mlのTHFへ導入する。40mlのBuLi(ヘキサン中、2M)をこの温度で滴下する。1時間後、200mlのTHF中の16.9g(94ミリモル)のフルオレン-9-オンを滴下する。バッチを室温で、終夜、撹拌させておき、氷水に添加し、ジクロロメタンで抽出する。結合した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水する。溶媒を真空中で除去し、残留物をさらに精製せずに、94mlのHClおよび1074mlのAcOHとともに、100℃で還流下、終夜、加熱する。冷却後、沈殿した固形物を吸引濾過し、その度毎に、100mlの水で一度、100mlのエタノールで三度洗浄し、その後、ヘプタンから再結晶化させる。収率:23.1g(57ミリモル)、58%、
1H−NMRによる純度約98%。
【0203】
記載した化合物Int-1の合成と同じように、以下の化合物を調製する:
【0204】
【化26-1】
【0205】
【化26-2】
【0206】
【化26-3】
【0207】
記載した化合物Int-7の合成と同じように、以下の化合物を調製する:
【0208】
【化27-1】
【0209】
【化27-2】
【0210】
【化27-3】
【0211】
【化27-4】
【0212】
【化27-5】
【0213】
【化27-6】
【0214】
【化27-7】
【0215】
化合物(1−1)の合成
【0216】
【化28】
【0217】
11.5g(31.5ミリモル)のビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミンと、14.0g(28.8モル)のブロモスピロ誘導体とを、320mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、N
2で飽和させる。6.8ml(2.88ミリモル)の10%トリ-tert-ブチルホスフィン溶液と、1.32g(1.44ミリモル)のPd
2(dba)
3とを次いで添加し、9.5gのナトリウムtert-ブトキシド(86.5ミリモル)をその後、添加する。その反応混合物を、保護雰囲気下で5時間、沸騰して加熱する。混合物をその後、トルエンと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。トルエンとともにシリカゲルを通して、粗生成物を濾過後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させる。純度は99.9%である(HPLC)。化合物(1−1)の収率は16.5g(理論値の75%)である。
【0218】
化合物(1−2)〜(1−16)の合成
例1で記載した化合物(1−1)の合成と同じように、以下の化合物も調製する。
【0219】
【化29-1】
【0220】
【化29-2】
【0221】
【化29-3】
【0222】
【化29-4】
【0223】
【化29-5】
【0224】
A−2)例2:化合物(2−2)〜(2−4)の合成
【0225】
【化30】
【0226】
15.0g(36.9ミリモル)の出発化合物を、150mlのアセトニトリル中に溶解させ、5.2g(29ミリモル)のN-ブロモスクシンイミドを、室温で小分けして添加する。反応が終わると、水と酢酸エチルとを添加し、有機相を分離させ、乾燥させ、蒸発させる。粗生成物をその後、高温のMeOH/ヘプタン(1:1)とともに複数回、撹拌することにより洗浄する。収率:14.3g(80%)のブロモスピロ誘導体Int-25。
【0227】
以下の臭素化化合物を同じように調製する:
【0228】
【化31】
【0229】
化合物(2−2)〜(2−5)の合成
以下の化合物(2−2)〜(2−5)も、例1で記載した化合物(1−1)の合成と同じように調製する。
【0230】
【化32-1】
【0231】
【化32-2】
【0232】
A−3)例3:化合物3−1〜3−3の合成
【0233】
【化33】
【0234】
20.0g(40.1ミリモル)の臭素誘導体と、9.7g(40.1ミリモル)の3-フェニル-9H-カルバゾールと、24gのRb
2CO
3とを、250mlのp−キシレン中に懸濁させる。0.95g(4.2ミリモル)のPd(OAc)
2と、12.6mlの1Mトリ-tert-ブチルホスフィン溶液とを、この懸濁液に添加する。反応混合物を、還流下で36時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、150mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物を高温のトルエンで抽出し、トルエンから三度、再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させ、15.9g(24.1ミリモル)を得、これは理論値の60%に対応する。純度は99.9%である。
【0235】
化合物(3−2)〜(3−3)の合成
以下の化合物(3−2)〜(3−3)も、例1で記載した化合物(3−1)の合成と同じように調製する。
【0236】
以下の化合物が同じように得られる。
【0237】
【化34】
【0238】
A−3a) A−4)下の化合物の中間体の合成
【0239】
【化35】
【0240】
30g(74ミリモル)のジベンゾスピロフルオレンを最初に、−20℃で400mlのTHFに導入する。49mlのBuLi(ヘキサン中、2M)をこの温度で滴下する。4時間後、33ml(148ミリモル)のイソプロポキシテトラメチルジオキサボロランを滴下する。バッチを室温で、終夜、撹拌させておく。反応が終わると、水と酢酸エチルとを添加し、有機相を分離させ、乾燥させ、蒸発させる。残留物をシリカゲルにおいてクロマトグラフィーにより精製する。収率:31g(59ミリモル)、理論値の80%、HPLCによる純度>98%。
【0241】
【化36】
【0242】
A−4)例4:化合物4−1〜4−13の合成
【0243】
【化37】
【0244】
スピロフルオレンボロン酸エステル誘導体 Int-28
50g(103ミリモル)のブロモスピロフルオレン誘導体と、32g(123ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと、30g(309ミリモル)の酢酸カリウムとを、800mlのジオキサン中に懸濁させ、2.5g(3.09ミリモル)の1,1-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリド錯体をDCMとともに、この懸濁液へ添加する。その反応混合物を、16時間還流下で加熱する。冷却後、有機相を分離させ、400mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる(52g、95%の収率)。
【0245】
以下の化合物を同じように調製する:
【0246】
【化38-1】
【0247】
【化38-2】
【0248】
ビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(4-クロロフェニル)アミン Int-35
【0249】
【化39】
【0250】
23.8gのビフェニル-2-イルビフェニル-4-イルアミン(74ミリモル)と、21.2gの4-クロロヨードベンゼン(89ミリモル)とを、500mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、N
2で飽和させる。3ml(3ミリモル)の1Mトリ-tert-ブチルホスフィン溶液と、0.33g(1.48ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とを次いで添加し、10.7gのナトリウムtert-ブトキシド(111ミリモル)をその後、添加する。その反応混合物を、保護雰囲気下で12時間、沸騰して加熱する。混合物をその後、トルエンと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。トルエンとともにシリカゲルを通して、粗生成物を濾過後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させる。収率は29g(理論値の90%)である。
【0251】
以下の化合物を同じように調製する:
【0252】
【化40-1】
【0253】
【化40-2】
【0254】
化合物(4−1)の合成
24.6g(46.3ミリモル)のスピロフルオレンピナコールボロン酸エステル誘導体と、20.0g(46.3ミリモル)の塩素誘導体とを、300mlのジオキサンと14.1gのフッ化セシウム(92.6ミリモル)との中に懸濁させる。4.1g(5.56ミリモル)のビス-(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジクロリドを、この懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で24時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、100mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。トルエンとともにシリカゲルを通して、粗生成物を濾過後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させる。純度は99.9%である。収率は29.7g(理論値の80%)である。
【0255】
化合物(4−2)〜(4−11)およびInt-41a〜Int-41cの合成
以下の化合物も、例1で記載した化合物(4−1)の合成と同じように調製する。
【0256】
【化41-1】
【0257】
【化41-2】
【0258】
【化41-3】
【0259】
【化41-4】
【0260】
A−5) 化合物5−1〜5−8の合成
中間体Int-42〜Int-47の合成
【0261】
【化42】
【0262】
27g(85ミリモル)のビスビフェニルアミンと、22.0g(85ミリモル)の1-ブロモ-フルオレノンとを、170mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、N
2で飽和する。4ml(1.7ミリモル)の10%トリ-tert-ブチルホスフィン溶液と、0.2g(0.89ミリモル)のPd(AcO)
2とを、次いで添加し、12.2gのナトリウムtert-ブトキシド(127ミリモル)をその後、添加する。その反応混合物を、保護雰囲気下で12時間、沸騰して加熱する。混合物をその後、トルエンと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。トルエンとともにシリカゲルを通して、粗生成物を濾過後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させる。純度は99%(NMR)である。収率は34g(理論値の80%)である。
【0263】
以下の化合物を同じように調製する:
【0264】
【化43-1】
【0265】
【化43-2】
【0266】
【化43-3】
【0267】
化合物5−1〜5−8の合成
【0268】
【化44】
【0269】
16g(51ミリモル)の4-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフランを最初に、−78℃で80mlのTHFへ導入する。13mlのBuLi(ヘキサン中、2M)をこの温度で滴下する。1時間後、200mlのTHF中の24.5g(47ミリモル)のフルオレン-9-オンを滴下する。バッチを室温で、終夜、撹拌させておき、氷水に添加し、ジクロロメタンで抽出する。結合した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水する。溶媒を真空中で除去し、残留物をさらに精製せずに、94mlのHClおよび1074mlのAcOHとともに、100℃で終夜、還流下で加熱する。冷却後、沈殿した固形物を吸引濾過し、その度毎に、100mlの水で一度、100mlのエタノールで三度洗浄し、ヘプタンから再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させる。収率:8.8g(12ミリモル)、59%、HPLCによる純度約99.9%。
【0270】
以下の化合物を同じように調製する:
【0271】
【化45-1】
【0272】
【化45-2】
【0273】
B)素子例
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDとが、WO 04/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(たとえば材料)に適合される。
【0274】
種々のOLEDのデータを、以下の素子例、たとえばE1〜E13およびE16〜E18(本発明の例)と、V1〜V4(比較例)で提示する。使用する基板は、厚さ50nmの構造化されたITO(インジウムスズ酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/p-ドープされた正孔輸送層(HTL1)/正孔輸送層(HTL)/p-ドープされた正孔輸送層(HTL2)/正孔輸送層(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。
【0275】
OLEDの製造に必要とされる材料については、表1に示されており、種々の素子の構造は表2に示されている。
【0276】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEBが5体積%の割合で層中に在在することを意味する。同じように、電子輸送層または正孔注入層もまた、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0277】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表現「10mA/cm
2におけるEQE」は、電流密度10mA/cm
2での外部量子効率を示す。「60mA/cm
2におけるLT80(寿命)」は、OLEDが、60mA/cm
2の定電流で初期輝度の80%に低下するまでの寿命である。
【0278】
【表1-1】
【0279】
【表1-2】
【0280】
【表2】
【0281】
例E1〜E13およびE16〜E18(E1〜E8:一重項素子;E9〜E13およびE16〜E18:三重項素子)により示されているように、本発明による化合物HTM1〜HTM5とHTM8〜HTM10は、OLED材料として使用するには非常に適切である。)参照素子HTMV1およびNPB(比較例V1およびV2:一重項素子;V3およびV4:三重項素子)と比べると、この化合物でOLEDの改善された性能データが得られる。
【0282】
一重項青色素子では、本発明による試料E2(7.9%)、E3(8.6%)、E4(7.9%)、E5(8.3%)は、参照試料V1およびV2(6.2%と7.7%)と比べると、10mA/cm
2において、より高い量子効率を示す。本発明による試料E1(356時間)、E2(312時間)、E4(403時間)、E6(275時間)、E7(316時間)、E8(408時間)の場合、60mA/cm
2における寿命LT80も、参照試料V1(125時間)およびV2(257時間)の場合よりも、著しく良好である。
【0283】
三重項緑色素子では、参照試料V3(11.7%)およびV4(18.6%)は、本発明による試料E10(18.6%)、E12(19.8%)、E16(19.6%)、E17(19.4%)、E18(18.6%)よりも、2mA/cm
2において、より低いか同じ量子効率を示す。本発明による試料E9(220時間)、E10(96時間)、E11(109時間)、E12(172時間)、E13(111時間)、E16(150時間)、E17(144時間)、E18(160時間)の20mA/cm
2における寿命(80%)も、参照素子V3(80時間)およびV4(84時間)の場合よりも大きい。