特許第6567556号(P6567556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567556
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】凝集した超吸収性ポリマー粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20190819BHJP
   C08F 20/06 20060101ALI20190819BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20190819BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20190819BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20190819BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20190819BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20190819BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   C08J3/12 ACEY
   C08F20/06
   C08L33/02
   B01J20/26 D
   B01J20/28 Z
   B01J20/30
   A61F13/15 320
   A61F13/53 300
【請求項の数】17
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-566721(P2016-566721)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公表番号】特表2017-520637(P2017-520637A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】US2015030500
(87)【国際公開番号】WO2015175620
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】14168064.5
(32)【優先日】2014年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン、カンプフス
(72)【発明者】
【氏名】マリオン、ルッチェ
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−528708(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/095810(WO,A1)
【文献】 特表2013−540190(JP,A)
【文献】 特表2013−507467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00− 3/28;99/00
A61F13/15− 13/84
B01J20/00− 20/34
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
C08C19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00;301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、
b)前記超吸収性ポリマー粒子を、、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、マンガン、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選択されるカチオンとを含む塩とからなる溶液と混合する工程と、を含む、凝集した超吸収性ポリマー粒子を得る方法であって、
前記凝集した超吸収性ポリマー粒子が、前記第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の平均粒径を有する、方法。
【請求項2】
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、
b)前記超吸収性ポリマー粒子を、有機溶媒と、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、マンガン、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選択されるカチオンとを含む塩とからなる溶液と混合する工程と、を含む、凝集した超吸収性ポリマー粒子を得る方法であって、
前記凝集した超吸収性ポリマー粒子が、前記第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の平均粒径を有する、方法。
【請求項3】
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、
b)前記超吸収性ポリマー粒子を、表面架橋剤と、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、マンガン、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選択されるカチオンとを含む塩とからなる溶液と混合する工程と、を含む、凝集した超吸収性ポリマー粒子を得る方法であって、
前記凝集した超吸収性ポリマー粒子が、前記第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の平均粒径を有する、方法。
【請求項4】
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、
b)前記超吸収性ポリマー粒子を、有機溶媒と表面架橋剤と、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、マンガン、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選択されるカチオンとを含む塩とからなる溶液と混合する工程と、を含む、凝集した超吸収性ポリマー粒子を得る方法であって、
前記凝集した超吸収性ポリマー粒子が、前記第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の平均粒径を有する、方法。
【請求項5】
前記工程b)の後に、
c)前記超吸収性ポリマー粒子を乾燥させる工程
が続き、
前記第2の平均粒径が工程c)の後に決定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記工程b)の後に、
c)前記超吸収性ポリマー粒子を乾燥させる工程と、
d)粒径下限を得るために前記超吸収性ポリマー粒子を分級する工程と、
が続き、
前記第2の平均粒径が工程d)の後に決定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記超吸収性ポリマー粒子が、工程b)の後に表面架橋に供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記超吸収性ポリマー粒子が、工程b)の前に表面架橋に供され、工程b)が水分を添加する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記工程a)で提供された超吸収性ポリマー粒子が、規定された粒径上限を得るために分級される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程a)で提供された超吸収性ポリマー粒子が、規定された粒径下限を得るために分級される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒径上限と前記粒径下限の差が600μm以下であり、前記工程a)で提供された超吸収性ポリマー粒子の前記粒径上限が500μm以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程a)で提供された超吸収性ポリマー粒子が、ベースポリマーから形成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記が、アルミニウム、乳酸、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程b)において、前記混合が、毎分、超吸収性ポリマー1kg当たり、前記を含む溶液が少なくとも1gの割合で行われる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面架橋剤が、二価アルコール、多価アルコール、アルキレンカーボネート、ケタール、ジグリシジルエーテル、ポリグリシジルエーテル、ハロエポキシ化合物、ポリアルデヒド、ポリオール、ポリアミン、およびそれあの混合物からなる群から選択される、請求項3〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記工程a)で提供された超吸収性ポリマー粒子が、
−50%〜95%の中和度でアクリル酸モノマーを重合することによって、ポリアクリル酸ポリマーゲルを提供する工程、
−前記ゲルを第1の粉砕工程及び第1の乾燥工程に供して、ベースポリマー粒子を得る工程、
−任意に、前記ベースポリマー粒子を再湿潤させる工程、
−前記ベースポリマー粒子を第2の粉砕工程及び第2の乾燥工程に供する工程、によって、この順序で得られる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法で得た凝集した超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを形成することにより吸収性物品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価塩を使用することによって形成されている、凝集した超吸収性ポリマー粒子を目的とする。
【背景技術】
【0002】
超吸収性ポリマー粒子を、特に吸収性物品において使用することは、当該技術分野において周知である。超吸収性ポリマー粒子は、典型的には、超吸収性ポリマーの比較的大きなブロックを粉砕ないしは別の方法で細片化することによって作製される。しかしながら、そうした粉砕又は細片化によって得られる粒子のサイズを完全に制御することはできない。よって、得られた超吸収性ポリマー粒子は、典型的には一定の粒径分布を有し、したがって、比較的大きなサイズ(例えば、1000μm又は更にはそれより大きい)の粒子が存在する一方で、その他のものは大幅に小さくなり(例えば、100μm未満又はそれよりも更に有意に小さい)、粒径の大部分はこの範囲内となる。小粒子は、多くの場合「微粒子」と呼ばれる。
【0003】
良好な吸収及び封じ込め機能を呈する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品を有するために、超吸収性ポリマー粒子により特定の技術的要件が満たされる必要があることが知られている。
【0004】
超吸収性ポリマー粒子は、第1に液体排出物を素早く吸収できなければならない。超吸収性ポリマー粒子の吸収速度は、概して先行技術において粒子の自由膨潤率(FSR)を測定することにより特徴づけられている。
【0005】
高吸収速度を有することに加えて、吸収性物品に含まれる吸収性コア内に存在する超吸収性ポリマー粒子は、液体に対して高透過性である必要もある。超吸収性ポリマー粒子の透過性が悪いと、ゲルブロッキングのために吸収性物品の漏れを引き起こすことがある。ゲルブロッキングは、膨潤する超吸収性ポリマー粒子が粒子間の空隙をふさぐときに吸収性コア内で生じ得る。そのような場合、液体排出物は、吸収性コア内に配置された超吸収性ポリマー粒子の下の層に到達できないか、又はゆっくりとしか到達できない。液体排出物は、吸収性コアの表面にとどまり、したがっておむつから漏れることがある。
【0006】
超吸収性ポリマー粒子の透過率は、典型的に先行技術において粒子のSFC(塩水流伝導度)を測定することにより特徴づけられている。このパラメータは平衡状態で測定され、即ち、測定は十分に予め膨潤させた超吸収性ポリマー粒子のゲルベッドで行われる。
【0007】
ゲルブロッキングの問題に対処するために、典型的には、超吸収性ポリマー粒子に表面架橋を施して、粒子の剛性及び膨潤の際の変形抵抗を増大させる。
【0008】
表面架橋は、超吸収性ポリマー粒子の透過性を高めるのに役立つが、透過性が高くなると、通常、容量が低下してしまう。すなわち、粒子がより剛性の表面を有する場合には、表面架橋されていない粒子と同様に制約を受けずに膨潤することができない。この相殺関係は、超吸収性ポリマー粒子が小さくなるほどより著しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
微粒子を廃棄する必要なしに微粒子の数を減らす一つの方法は、超吸収性ポリマー粒子の凝集体を形成することである。凝集した超吸収性ポリマー粒子を形成するためのいくつかのアプローチが記載されてきたが、凝集した超吸収性ポリマー粒子の改善された作製方法の必要性、並びに改善された凝集した超吸収性ポリマー粒子の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
凝集した超吸収性ポリマー粒子が開示されており、該凝集した超吸収性ポリマー粒子は、
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、
b)超吸収性ポリマー粒子を、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液と混合する工程と、を含む方法によって得られる。
【0011】
凝集した超吸収性ポリマー粒子は、第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の平均粒径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】いくつかの層が部分的に取り除かれている、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子を含むことができる、おむつの形態の例示的な吸収性物品の平面図である。
図2図1のおむつの横断面図である。
図3】以下により詳細に説明する実施例SAP5の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図4】以下により詳細に説明する実施例SAP6のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「吸収性物品」とは、身体排出物、具体的には尿及びその他の水を含有する液体を吸収しかつ封じ込めるデバイスを指し、より具体的には、身体から排出される種々の排出物を吸収しかつ封じ込めるために、着用者の身体に接して、又はその近傍に配置されるデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ(乳幼児用おむつ及び成人失禁用おむつ)、パンツ、生理用ナプキン若しくはパンティーライナーなどの婦人用保護吸収性物品、胸当て、介護用マット、よだれ掛け、拭き取り布、並びに同様のものを挙げることができる。本明細書で使用する時、用語「滲出物」は、限定するものではないが、尿、血液、膣排泄物、母乳、汗及び糞便を含む。本発明の好ましい吸収性物品は使い捨て吸収性物品であり、より好ましくは、使い捨ておむつ及び使い捨てパンツである。
【0014】
本明細書において「吸収性コア」とは、吸収性物品により受容される液体を吸収しかつ封じ込めるために、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置される構造物を指すために使用される。
【0015】
吸収性物品が吸収性コアに加えてトップシート、及び/又はバックシート、及び/又は捕捉システムを含む場合、吸収性コアは、トップシート、バックシート、及び/又は捕捉システムを含まない。
【0016】
「エアフェルト」は、セルロース繊維の一形態である粉砕木材パルプを指すために本明細書中で用いられる。
【0017】
「ベースポリマー」は、本明細書で使用するとき、重合され、超吸収性ポリマー粒子に粉砕された後にいかなる表面架橋も施されていない、超吸収性ポリマー粒子を指す。
【0018】
「使い捨て」は、通常の意味で、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、20回未満、10回未満、5回未満、又は2回未満の後に、処分又は廃棄される物品を意味するのに使用される。使い捨て吸収性物品が、おむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド又は個人衛生用途のためのウェットティッシュである場合、使い捨て吸収性物品はほとんどの場合、1回の使用後に処分されることが意図されている。
【0019】
「おむつ」及び「パンツ」とは、乳児、幼児及び尿失禁者によって、着用者の腰及び脚を取り囲むように下部胴体の周りに一般的に着用され、特に、尿及び糞便排泄物を受け止め収容するように適合される、吸収性物品を指す。パンツにおいては、本明細書で使用するとき、第1の腰部領域及び第2の腰部領域の縦方向縁部は、腰部開口部及び脚部開口部をあらかじめ形成するために互いに付着される。パンツは、着用者の脚を脚部開口部内に挿入し、パンツ吸収性物品を着用者の下部胴体の周りの所定位置に滑り込ませることによって、着用者の所定位置に配置される。パンツは、限定するものではないが、再締結可能な接合材及び/又は再締結不可能な接合材(例えば、縫合、溶接、接着剤、粘着性接合材、留め具など)を用いて吸収性物品の一部をともに結合することなどの任意の好適な手法によって、あらかじめ形成されてもよい。パンツは、物品の周囲に沿った任意の場所であらかじめ形成されてもよい(例えば、側部固定、前側腰部固定)。おむつにおいて、腰部開口部及び脚部開口部は、おむつが、第1の腰部領域及び第2の腰部領域の縦方向縁部を好適な固定システムによって両側で互いに(剥離可能に)付着させることによって着用者に適用された時にのみ形成される。
【0020】
「超吸収性ポリマー粒子」とは、遠心分離保持容量試験(EDANA WSP 241.2−05)を使用して測定したときに、0.9%食塩水溶液をその重量の少なくとも10倍吸収可能な架橋された高分子材料を指すために本明細書中で用いられる。超吸収性ポリマー粒子は、乾燥状態で流動可能であるように微粒子の形態である。本発明の好ましい超吸収性ポリマー粒子は、ポリアクリル酸ポリマーで作製される。しかしながら、例えば、デンプン系の超吸収性ポリマー粒子も本発明の範囲内に含まれる。
【0021】
「熱可塑性接着剤材料」とは、繊維を形成可能であり、かつ乾燥及び湿潤状態の両方で超吸収性ポリマー粒子を固定化する目的で超吸収性ポリマー粒子に適用される、ポリマー組成物を指すために本明細書中で用いられる。本発明の熱可塑性接着剤材料は、好ましくは超吸収性ポリマー粒子の上に繊維網を形成する。
【0022】
超吸収性ポリマー粒子
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子を形成するのに有用な超吸収性ポリマー粒子は、様々な形状であってよい。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の分野の当業者に既知のその他の形状及び形態を指す。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、繊維の形状、すなわち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。こうした実施形態では、超吸収性ポリマー粒子繊維は、約1mm未満、通常は約500μm未満、好ましくは250μm未満〜50μmまでの小さい寸法(すなわち、繊維の直径)を有する。繊維の長さは、好ましくは約3mm〜約100mmである。
【0023】
あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、凝集した超吸収性ポリマー粒子を形成するために使用される、本発明の超吸収性ポリマー粒子は、球状粒子である。本発明によれば、繊維とは対照的に、「球状粒子」は、粒子の最長粒子寸法と最短粒子寸法との比が1〜5の範囲内である、最長及び最短の寸法を有し、ここで値1は完全な球状粒子と同等であると見なされ、5はそのような球状粒子からの若干のずれを考慮したものである。そのような実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、EDANA法WSP 220.2−05に従って測定して、1500μm未満、又は1000μm未満、又は50〜850μm、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜300μmの粒径を有し得る。
【0024】
本発明で有用な超吸収性ポリマー粒子としては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収できる様々な水膨潤性ポリマーが挙げられる。このようなポリマー材料は、一般に当該技術分野において既知である。
【0025】
好適な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、米国特許第4,340,706号及び同第5,849,816号に記載されるような逆相懸濁重合、又は米国特許出願公開第2009/0192035号、同第2009/0258994号、及び同第2010/0068520号に記載されるような噴霧液相分散重合又は他の気相分散重合から得ることができる。いくつかの実施形態では、好適な超吸収性ポリマー粒子は、国際特許公開第2006/083584号の12頁23行目〜20頁27行目により詳細に記載されるような現況技術の製造プロセスによって得ることができる。
【0026】
超吸収性ポリマー粒子の表面は、コーティングされてもよい。
【0027】
凝集した超吸収性ポリマー粒子
本発明は、凝集した超吸収性ポリマー粒子に関する。驚くべきことに、凝集した超吸収性ポリマー粒子を作製するために、原子価が少なくとも3価である1つ以上の多価塩を使用することにより、良好な容量を有すると同時に、初期吸収速度が速くかつ透過率が良好な凝集した超吸収性ポリマー粒子が、比較的高収率でもたらされることが見出された。
【0028】
原子価が少なくとも3価である好適な多価塩は、多価金属塩である。原子価が3価以上である好適な多価金属塩の例は、硫酸アルミニウム、ポリアミン、並びにジルコニウム、鉄、及びアルミニウムなどの多価の金属カチオンの非水溶性リン酸塩である。本発明の多価塩に使用可能な3価のカチオンは、元素の周期律表の第3主族、第三遷移系列、又はランタン族、より好ましくはアルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、又はセリウム、最も好ましくはアルミニウムの金属カチオンであり得る。
【0029】
好適な3価のカチオンは、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、及びマンガンのカチオンであり、好適な4価のカチオンは、チタニウム及びジルコニウムのカチオンである。可能な対イオンは、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩、並びにカルボン酸塩、例えば酢酸塩及び乳酸塩である。これらの中でも、硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。ポリアミンを更なる多価カチオンとして使用することも可能である。
【0030】
概して、本発明では、原子価が3価以上である好ましい多価塩は、アルミニウムを含むことができ、更に乳酸塩を含むことができる。これらには乳酸アルミニウムが含まれるが、アルミニウム塩とその他の乳酸塩との混合塩も含まれる。
【0031】
原子価が少なくとも3価である多価塩の使用は、水の存在下での凝集体形成に比べて、凝集した超吸収性ポリマー粒子の形成を改善する。理論に束縛されるものではないが、多価塩のカチオンは、とりわけの超吸収性ポリマー粒子の表面に通常存在するナトリウムカチオンを、ある程度置換することができると考えられる。一価のナトリウムカチオンと比較して原子価が高いので、多価カチオンは、1つを超える超吸収性ポリマー粒子とのイオン相互作用を確立して、隣接する超吸収性ポリマー粒子を「架橋」することができる。こうして、凝集が水の存在下でのみで行われる場合に形成される比較的弱い水素結合に比べて、凝集した超吸収性ポリマー粒子内の超吸収性ポリマー粒子の間に比較的強いイオン相互作用(「イオン結合」)が形成される。凝集体は、原子価が少なくとも3価である多価塩を使用したときにより効率的に形成されるが、それは、凝集体の形成中、凝集体は、水の存在下のみでの凝集に比べて、より容易にそれらの凝集した状態を維持する傾向があるからであり、水のみの場合には、既に形成されている凝集体は分離し、再度「バラバラ」になり、したがって安定した凝集体を形成しない場合がある。
【0032】
得られた凝集した超吸収性ポリマー粒子は、超吸収性ポリマー粒子間のイオン結合により、(水の存在下でのみで形成された凝集した超吸収性ポリマー粒子に形成される、より弱い水素結合と比べて)水の存在下、並びに尿などの体液の存在下でより安定していると考えられる。
【0033】
更に、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子は、粒子間の結合力が高いため、水素結合によって形成されたものと比べて、あまり圧密されていない凝集体が可能となる。すなわち、高い結合力により、依然として安定した凝集体を提供しながらも、凝集した超吸収性ポリマー粒子間の接触面積が少なくて済む。比較として、安定した凝集体を形成するのに小さい接触面積で十分であるということは、異なる表面を互いに固着するために比較的強力な接着剤を使用するのと似ている。同等な付着強度を得るために高い表面積被覆率が必要となる弱い接着剤と異なり、強力な接着剤はより小さな表面積に提供することができる。
【0034】
接触面積の低減及び圧密の低減により、例えば、凝集した超吸収性ポリマー粒子が吸収性物品で使用される場合に、凝集した超吸収性ポリマー粒子の、使用中に液体を吸収するための表面積がより大きくなる。続いて、これにより、凝集した超吸収性ポリマー粒子は比較的高い吸収速度を有するものとなり、このことは、以下でより詳細に説明するT20値として与えられる遅い吸収時間に反映される、凝集した超吸収性ポリマー粒子の初期流体吸収において特に望ましい場合がある。
【0035】
完全性に関しては、超吸収性ポリマー粒子が共有結合によって相互に結合されている凝集した超吸収性ポリマー粒子は、容量が低減するという問題を有し得る。すなわち、凝集した超吸収性ポリマー粒子が膨潤すると、粒子内のポリマー鎖は「移動」し、それらの位置をわずかに再配置する傾向がある。共有結合は、簡単に開裂させ再形成することができないので、ポリマー鎖のそのような再配置により張力が生じる場合があり、この張力は、粒子の膨潤の低減(よって、容量低減につながる)、又は共有結合の破断の可能性のいずれかの原因となり得る。一旦破断すると、再形成は容易に可能ではないので、凝集した超吸収性ポリマー粒子の安定性に悪影響を及ぼし得る。これと比べて、イオン相互作用は、より容易に逆転させ、再形成することが可能である。凝集した超吸収性ポリマー粒子が膨潤すると、結果として、最初のイオン結合に隣接した位置でイオン結合を再び形成するように、イオン結合が所与のポリマー鎖内で(すなわち分子レベルで)わずかに移動する場合がある。それによって、凝集した超吸収性ポリマー粒子の容量も安定性も損なわれない。
【0036】
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子の20g/gの吸収達成時間(T20)は、240秒未満、又は200秒未満、又は180秒未満であり得る。20g/gの吸収達成時間(T20)は、少なくとも40秒、又は少なくとも60秒、又は少なくとも80秒、又は少なくとも少なくとも100秒であり得る。T20は、欧州特許第2535027 A1号に記載されているK(t)試験方法に従って測定される。
【0037】
吸収時間の遅い凝集した超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品は、先行技術の吸収性物品に比べて、特に初期噴出(すなわち最初の液体侵襲)において、改善された吸収特性を有し、したがって漏れの軽減を示す。よって、そのような超吸収性ポリマー粒子は、吸収性物品に使用するのに特に適している。
【0038】
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子は、40.10−7cm.s/g〜500.10−7cm.s/g、又は50.10−7cm.s/g〜400.10−7cm.s/g、又は80.10−7cm.s/g〜400.10−7cm.s/gのUPM値を有し得る。
【0039】
UPM値は、欧州特許第2535027 A1号に提示されるUPM試験方法に従って測定される。この方法は、先行技術のSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、超吸収性ポリマー粒子の予め膨潤させた層の流動抵抗を測定する。すなわち、流動抵抗は平衡状態で、又はそれに近い状態で測定される。したがって、高UPM値を有する凝集した超吸収性ポリマー粒子は、高い透過率を示す。高い透過率は、吸収性物品の有意な容積が液体排泄物によって既に濡れている場合の吸収性物品において特に望ましい。こうした吸収性物品は、初期噴出時だけでなく、続く噴出においても良好な吸収特性を呈する。
【0040】
更に、凝集した超吸収性ポリマー粒子は、遠心保持容量(CRC)として測定して、18g/g〜40g/g、又は22g/g〜40g/gの容量を有してよい。
【0041】
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。比較的高いCRC値を有する超吸収性ポリマー粒子は、液体吸収に求められる全体容量を増強するのに必要とされる超吸収性ポリマー粒子がより少量でよいため、好ましい。
【0042】
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子は、以下のように作製することができる。
【0043】
a)第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を提供する。
更に、本発明の目的のため、超吸収性ポリマー粒子(第1の質量平均粒径)又は凝集した超吸収性ポリマー粒子(第2の質量平均粒径)の質量平均粒径を、所与の超吸収性ポリマー粒子(又は凝集した超吸収性ポリマー粒子)の質量基準の平均粒径である粒径として定義する。質量平均粒径を測定する方法は、試験方法の項で以下に説明される。第2の質量平均粒径が第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい限りにおいて、超吸収性ポリマー粒子(又は凝集した超吸収性ポリマー粒子)の質量平均粒径は、50μm〜850μm、又は100μm〜650μm、又は200μm〜600μmであってよい。
【0044】
第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子は、任意の超吸収性ポリマー粒子であってよい。しかしながら、既に分級された超吸収性ポリマー粒子を使用するのが望ましいことがある。例えば、超吸収性ポリマー粒子は、規定された粒径上限を有するように分級されていてよい。粒径上限は、500μm、又は400μm、又は300μm、又は150μmであり得る。
【0045】
分級は当該技術分野において周知であり、典型的には、規定の網目サイズを使用して粒子を篩別することによって行われる。篩を通過する粒子は、使用した網目サイズよりも小さな粒径を有し、篩を通過しない粒子は、(ほとんどの場合)網目サイズと等しいかそれよりも大きい粒径を有する。当然のことながら、多すぎる量の超吸収性ポリマー粒子を同時に篩別した場合、篩を通過しない超吸収性ポリマー粒子の一部は、通過しないにもかかわらず、網目サイズよりも小さい粒径を有する場合がある。よって、当業者には理解されるように、篩別は、一度に多すぎる量の超吸収性ポリマー粒子を使用せずに、注意深く、念入りに行うことが重要である。
【0046】
更に、篩別される超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子の形状もまた、篩別の正確さに影響を及ぼす。非常に不規則な形状の粒子又は凝集体では、それらの現時点の向きが、所与の網目サイズを通過するかどうかを決定し得る。よって、非常に不規則な形状を有する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子の篩別は、比較的高い標準偏差をもたらす可能性がある。当業者には理解されるように、そのような状況では、適宜、篩別の繰り返しを増やすか、又は試料の数を増やすことが望ましい場合がある。
【0047】
よって、本明細書で使用される粒径上限及び粒径下限は、篩別を用いて分級することによって得たことを前提として、以下の通りであると理解すべきである。粒径上限については、対応する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子は、最大10重量%、又は最大5重量%の、粒径上限よりも大きい粒径を有する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。粒径下限については、対応する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子は、最大10重量%、又は最大5重量%の、粒径下限よりも小さい粒径を有する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0048】
超吸収性ポリマー粒子を粒径上限を有するように分級することに加えて、粒子下限も有するように超吸収性ポリマー粒子を更に分級することも望ましい場合がある。粒径下限は、20μm、又は30μm、又は50μm、又は80μmであり得る。
【0049】
工程a)で得られた超吸収性ポリマー粒子の粒径上限と粒径下限との差は、600μm未満、又は500μm未満、又は300μm未満、又は150μm未満であり得る。粒径上限と粒径下限との差は、20μm未満でなくてもよい。
【0050】
分級を用いて、所望の第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子を得ることができる。
【0051】
得られた超吸収性ポリマー粒は、ベースポリマー、すなわち、表面架橋が全く施されていない超吸収性ポリマー粒子であり得る。しかしながら、あまり望ましくはないが、超吸収性ポリマー粒子は表面架橋されていてもよく、及び/又はコーティングなどの他の処理が施されていてもよい。
【0052】
概して、工程a)で得られた超吸収性ポリマー粒子は、超吸収性ポリマー粒子の10重量%未満、又は5重量%未満、又は3重量%未満の含水量を有する、望ましい乾燥超吸収性ポリマー粒子である。しかしながら、工程a)で得られた超吸収性ポリマー粒子は、最大15重量%、最大25重量%、最大50重量%、又は更にはそれ以上といった高い含水量を有していてもよい。
【0053】
b)超吸収性ポリマー粒子と、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液と、を混合する。
第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子は、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液と混合される。溶液は、水に加えて更なる溶媒(例えば、有機溶媒など)を含んでいてもよいが、水に加えていかなる溶媒も使用しないのが望ましい。
【0054】
超吸収性ポリマー粒子と、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液との混合は、毎分、提供された超吸収性ポリマー粒子1kg当たり、溶液が少なくとも1g、又は少なくとも2g、又は少なくとも4g、又は少なくとも6g、又は少なくとも8gである割合で行われてよい。割合は、200g/kg/分未満、又は100g/kg/分未満であり得る。
【0055】
溶液は、原子価が3価以上である多価塩を、3重量%〜80重量%、例えば、5重量%〜50重量%、又は10重量%〜30重量%、又は12重量%〜25重量%含んでもよい。
【0056】
混合は、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液を超吸収性ポリマー粒子に噴霧することによって行われることができる。溶液を適用している間及び/又は適用した後に、超吸収性ポリマー粒子を攪拌するのが望ましい場合がある。概して、原子価が3価以上である多価塩は、比較的均一に超吸収性ポリマー粒子に適用されるべきである。
【0057】
混合は、コーター、パドルミキサ、プローシェアミキサ、捏和機、流動床コーター、ワースターコーター、回転ディスク反応器等などの当該技術分野において周知の装置の中で行うことができる。
【0058】
混合は、室温又は高温(例えば、約70℃〜100℃)で行うことができる。混合が高温で行われる場合、得られる凝集した超吸収性ポリマー粒子は既に十分に乾燥されている可能性があるので、後続の乾燥工程は必要ない。しかしながら、温度は、適用された溶液の過剰量を素早く蒸発させるほど高くなくてもよい。
【0059】
必要に応じて、混合の後に、例えば70℃〜100℃の温度で乾燥工程を行ってもよい。
【0060】
工程b)及び任意の乾燥工程によって得た凝集した超吸収性ポリマー粒子は、凝集した乾燥超吸収性ポリマー粒子であるのが望ましい。凝集した乾燥超吸収性ポリマー粒子は、10重量%未満、又は5重量%未満、又は3重量%未満の含水量を有し得る。
【0061】
本発明によると、得られた凝集した超吸収性ポリマー粒子の質量平均粒径(本明細書では第2の質量平均粒径と呼ぶ)は、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液にさらされる前の超吸収性ポリマー粒子の質量平均粒径である第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい。第2の質量平均粒径は、第1の質量平均粒径よりも、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%大きくてよい。
【0062】
工程b)を行った後の第2の質量平均粒径が、第1の質量平均粒径よりも25%未満大きい場合は、工程b)の後に分級工程を加えることができる。
【0063】
この分級工程によって、凝集していない超吸収性ポリマー粒子の量を大幅に低減して、第2の質量平均粒径を増大させることができる。
【0064】
工程b)の後、及び任意の乾燥工程の後に行われる任意の分級工程により、粒径が粒径下限未満である超吸収性ポリマー粒子が除去される。任意の分級工程の粒径下限、よって、凝集した超吸収性ポリマー粒子の粒径下限は、150μmであってよく、又は300μmであってよく、又は500μmであってよい。
【0065】
第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子が分級工程によって提供され、ある粒径上限を有する場合、工程b)(及び任意の乾燥工程)の後に行われる任意の分級工程の粒径下限、凝集した超吸収性ポリマー粒子に対して行われる分級工程の粒径下限は、第1の質量平均粒径を有する超吸収性ポリマー粒子の粒径上限の80%〜100%、又は90%〜100%であってよい。よって、この後者の分級工程において、凝集していない超吸収性ポリマー粒子の大部分(又は、凝集体の粒径下限が、第1の平均粒径を有する粒子の上限粒径の100%、すなわち該上限粒径に等しい場合は、実質的に全て)が篩い分けられ、凝集した超吸収性ポリマー粒子は保持される。
【0066】
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子が、ベースポリマー粒子、すなわち、凝集体形成に先立って表面架橋が施されていない超吸収性ポリマー粒子を用いて形成される場合、作製されるベースポリマーは以下のように得ることができる。
−ポリアクリル酸ポリマーゲルを提供する。ポリアクリル酸ポリマーゲルは、周知の方法によって作製することができ、例えば、アクリル酸モノマーを重合することによって(例えば、50%〜95%の中和度でアクリル酸モノマーを重合することによって)作製することができる。中和は、典型的には、水酸化ナトリウムを用いて行われる。
−ゲルを第1の粉砕工程に供した後、第1の乾燥工程に供して、ベースポリマー粒子を得る。
−第1の乾燥工程の後、ベースポリマー粒子が乾燥し過ぎていて第2の粉砕工程を行えない場合は、ベースポリマー粒子を任意に再湿潤させることができる。
−続いて、ベースポリマー粒子を第2の粉砕工程に供した後、第2の乾燥工程に供することができる。
【0067】
第2の粉砕工程に供する前に、ベースポリマー粒子の含水量は、乾燥ベースポリマー粒子1g当たり少なくとも0.4gの水であってよいが、15g/g以下、望ましくは0.4g/g〜5g/g、又は0.8g/g〜3g/g、又は1g/g〜2g/gであってよい。それぞれの含水量は、第1の乾燥工程においてベースポリマー粒子を所望の含水量レベルまで乾燥させる(すなわち、ベースポリマー粒子を「完全に」乾燥させない)ことのいずれかによって得ることができる。あるいは、第1の乾燥工程の後に得たベースポリマー粒子が乾燥し過ぎている場合、第2の粉砕工程の前に該ベースポリマー粒子を再湿潤させて、所望の含水量を得ることができる。
【0068】
第1及び第2の粉砕工程を行うことによって、ポリマーは粉砕機の中で剪断力に2回さらされているので、比較的高い表面積を有するベースポリマー粒子を得ることが可能である。
【0069】
ベースポリマーの詳細な例については、以下に記載する。
【0070】
表面架橋
超吸収性ポリマー粒子の表面架橋は、当該技術分野において周知である。本発明では、凝集した超吸収性ポリマー粒子の表面架橋、又はあまり望ましくはないが、凝集体の形成の前又は形成と同時の超吸収性ポリマー粒子の表面架橋は、既知の表面架橋方法のいずれかによって行うことができる。
【0071】
一般的に適用される表面架橋剤は、熱活性化される表面架橋剤である。「熱活性化される表面架橋剤」という用語は、典型的には約150℃の高温にさらすことによってのみ反応する表面架橋剤を指す。従来技術において既知の熱活性化される表面架橋剤は、例えば、超吸収性ポリマー粒子のポリマー鎖間に更なる架橋を構築することができる二官能性剤又は多官能性剤である。その他の熱活性化される表面架橋剤としては、例えば、二価アルコール若しくは多価アルコール、又は二価アルコール若しくは多価アルコールを形成できるそれらの誘導体が挙げられる。そのような剤の代表は、アルキレンカーボネート、ケタール、及びジ−又はポリグリシジルエーテルである。更に、(ポリ)グリシジルエーテル、ハロエポキシ化合物、ポリアルデヒド、ポリオール、及びポリアミンもまた、周知の熱活性化される表面架橋剤である。架橋は、超吸収性ポリマー粒子に含まれる官能基間の反応、例えば、カルボキシル基(ポリマーに含まれている)とヒドロキシル基(表面架橋剤に含まれている)との間のエステル化反応に基づくものである。
【0072】
一般に、表面架橋剤は、超吸収性ポリマー粒子を、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液と混合することによって、凝集した超吸収性ポリマー粒子が形成される前、形成している間、又はより望ましくは形成された後に、超吸収性ポリマー粒子の表面に適用される。したがって、反応は、好ましくは、超吸収性ポリマー粒子の表面上、又は凝集した超吸収性ポリマー粒子の表面上で起こり、これが、粒子のコアに実質的な影響を与えずに、粒子表面上の改善された架橋をもたらす。それによって、(凝集した)超吸収性ポリマー粒子の表面はより剛性になる。
【0073】
表面架橋剤は、多くの場合、有機溶媒からなる、又は有機溶媒を含む溶液で適用される。そのような有機溶媒は、概して、水を溶媒として使用する場合に比べて、超吸収性ポリマー粒子の表面の粘着性を少なくする。しかしながら、粘着性表面は凝集を助長するので、凝集した超吸収性ポリマー粒子を形成するためには、粘着性表面が望ましい。よって、特に表面架橋剤が有機溶媒からなる又は有機溶媒を含む溶液で適用される場合は、超吸収性ポリマー粒子を、水と原子価が3価以上である多価塩とを含む溶液と混合することによって、凝集した超吸収性ポリマー粒子が形成された後に、超吸収性ポリマー粒子を表面架橋するのが望ましい場合がある。
【0074】
しかしながら、表面架橋剤はまた、気相によって(すなわち、液状の表面架橋剤を気化させる)、又は液体形態の純粋な表面架橋剤を添加することによって、水溶液で添加されてもよい。
【0075】
表面架橋剤はまた、界面活性剤などの他の物質と共に添加されてもよい。
【0076】
典型的には、表面架橋は、少なくとも100℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも150℃の温度で行われる。例えば、(凝集した)超吸収性ポリマー粒子の黄変を防ぐために、温度を200℃を超えて、又は180℃を超えて上昇させないことが望ましい場合がある。
【0077】
吸収性物品
本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子を使用することができる典型的な使い捨て吸収性物品は、身体から排泄される様々な排泄物を吸収しかつ封じ込めるために、着用者の身体に接して、又はその近傍に配置され、図1及び図2におむつ20の形態で描かれている。
【0078】
より詳細には、図1は、平らに広げられた状態の例示的なおむつ20の平面図であり、おむつ20の構造をより明瞭に示すために、おむつの一部が切り取られている。本発明の構造体は多種多様のおむつ又はその他の吸収性物品内に含まれ得るため、このおむつ20は例示の目的のためにのみ示されている。
【0079】
図1及び図2に示すように、吸収性物品(ここでは、おむつ)は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート26と、トップシート24とバックシート26との間に位置付けられる吸収性コア28と、を含むことができる。吸収性コア28は、吸収性物品によって受け止められた液体を吸収しかつ封じ込めることができ、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子66及び/又はセルロース繊維などの吸収性材料60、並びに吸収性物品において一般的に用いられるその他の吸収性材料及び非吸収性材料(例えば、超吸収性ポリマー粒子を固定化する熱可塑性接着剤)を含んでもよい。吸収性材料及び非吸収性材料は、例えば、上部コアカバー層56をトップシートに面するようにし、下部カバー層58をバックシートに面するようにすることによって、基材(例えば、1つ以上の不織布、ティッシュ等)の内部に包み込まれてもよい。そのような上部及び下部コアカバー層は、不織布、ティッシュ等で作製されてもよく、(例えば、周囲に沿って)互いに連続的又は不連続的に付着させてもよい。
【0080】
吸収性コアは、1つ以上の基材層(例えば、不織布ウェブ又はティッシュペーパーなど)と、1つ以上の基材層の上に配置される超吸収性ポリマー粒子と、超吸収性ポリマー粒子上に通常配置される熱可塑性組成物と、を含み得る。典型的には、熱可塑性組成物は、熱可塑性接着剤材料である。一実施形態では、熱可塑性接着剤材料は、1つ以上の基材層上の超吸収性ポリマー粒子と少なくとも部分的に接触し、かつ1つ以上の基材層と部分的に接触している、繊維性層を形成する。超吸収性ポリマー粒子及び/又は熱可塑性接着剤材料のそれぞれの基材層への接着性を高めるために、超吸収性ポリマー粒子を適用する前に、1つ以上の基材層上に補助接着剤が配置される場合がある。吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子が1つ以上の基材層と1つ以上のカバー層との間に含まれるように、1つ以上のカバー層も含むことができる。1つ以上の基材層及びカバー層は、不織布ウェブを含んでもよく、又は不織布ウェブからなってもよい。吸収性コアは、臭気制御化合物を更に含むことができる。
【0081】
吸収性コアは、1つ以上の基材層、超吸収性ポリマー粒子、熱可塑性組成物、必要に応じて補助接着剤、必要に応じてカバー層、及び必要に応じて臭気制御化合物から本質的になることができる。
【0082】
吸収性コアはまた、超吸収性ポリマー粒子とエアフェルトとの混合物を含んでよく、該混合物は、不織布ウェブ又はティッシュペーパーなどの1つ以上の基材層の内部に包まれ得る。そのような吸収性コアは、吸収性材料の30重量%〜95重量%、又は50重量%〜95重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでよく、吸収性材料の5重量%〜70重量%、又は5重量%〜50重量%のエアフェルトを含んでもよい(これらの割合に関しては、包んでいるあらゆる基材層も吸収性材料とみなされない)。吸収性コアはまた、エアフェルトを含んでいなくてもよく、吸収性材料の100重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでいてもよい。
【0083】
吸収性コアは、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子と、その他の超吸収性ポリマー粒子と、の混合物を含んでもよい。例えば、吸収性コアは、吸収性材料の少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでよく、これら超吸収性ポリマー粒子は、少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%の凝集した超吸収性ポリマー粒子を含む。
【0084】
本発明の吸収性物品、特におむつ及びパンツは、捕捉層52、分配層54、又はそれら両方の組み合わせ(すべて本明細書では合わせて捕捉分配システム「ADS」50と呼ぶ)を含み得る。ADS 50の機能は、典型的には、効率的な方法で流体を迅速に捕捉し、それを吸収性コアに分配することである。ADSは、2つ又はそれ以上の層を含み得る。以下の例において、ADS 50は2つの層、つまり、分配層54と捕捉層52とを備え、捕捉層52は吸収性コアとトップシートとの間に配置されている。
【0085】
ADSは超吸収性ポリマーを含んでいなくてもよい。先行技術により、多くのタイプの捕捉分配システムが開示されており、例えば、国際特許公開第2000/59430号、同第95/10996号、米国特許第5700254号、国際公開第O02/067809号を参照されたい。しかしながら、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子は、ADSに含まれてもよい。
【0086】
分配層54の機能は、吸収性コアの吸収能力がより効率的に利用されることができるように、侵襲流体の液体を、物品内のより大きい表面にわたって広げることである。分配層は、合成繊維又はセルロース繊維系の比較的低密度の不織布材料で作製され得る。分配層は、典型的には、30〜400g/m、とりわけ80〜300g/mの平均坪量を有し得る。
【0087】
分配層は、例えば、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮されるか、撚り合わされるか、若しくはカールされてもよく、又は、捲縮、撚り合わせ、及びカールを含むそれらの組み合わせが施されてもよい。架橋セルロース繊維は、製品パッケージ内の圧縮に対して、又は(例えば、赤ちゃんの重量下での)使用状況下において、第1の吸収性層に対して高い復元力、及びそれ故高い耐性を付与する。これにより、コアに、比較的高い空隙容積、透過性、及び液体吸収作用がもたらされるので、漏れが軽減し、乾燥状態が改善される。
【0088】
架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含んでもよいが、この層は、有利には、層の重量の少なくとも50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は更には最大100%の架橋セルロース繊維を含んでよい。架橋セルロース繊維のそのような混合層の例は、化学架橋セルロース繊維を70重量%、ポリエステル(PET)繊維を10重量%、及び未処理のパルプ繊維を20重量%含んでよい。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を70重量%、リヨセル繊維を20重量%、及びPET繊維を10重量%含んでよい。別の例では、該層は、化学架橋セルロース繊維を68重量%、未処理のパルプ繊維を16重量%、及びPET繊維を16重量%含んでよい。
【0089】
吸収性物品20は捕捉層52を更に備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉して、着用者に優れた乾燥度を提供することである。捕捉層52は、典型的には、トップシートの直下かつ分配層の下方に配置される。捕捉層は、典型的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は代替的に、カーディングを施された化学結合された不織布を含む、例えばSMS又はSMMS材料など、不織布材料であってよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、具体的にはラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層52が米国特許第7786341号に開示されている。使用される繊維が、中実で円形又は円形で中空のPETステープル繊維(例えば、6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合など)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布が使用され得る。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。
【0090】
捕捉層52は、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)などラッテクス結合剤により安定化されてもよい。かかる格子状構造を得るためのプロセスは、例えば、欧州特許第149880号(Kwok)及び米国特許出願公開第2003/0105190号(Diehlら)から既知である。結合剤は捕捉層52中に12重量%、14重量%、又は16重量%を超えて存在してよいが、捕捉層の30重量%以下、又は25重量%以下まで存在してよい。SBラテックスは、商品名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(Akron,Ohio))で入手可能である。
【0091】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる捕捉層が使用されてもよい。例えば、ティッシュ層が、第1の捕捉層と分配層との間に配置されてもよい。ティッシュは、上述した捕捉層と比較して、強化された毛管現象による分配特性を有し得る。ティッシュ層及び第1の捕捉層は同じサイズのものであっても異なるサイズのものであってもよく、例えば、ティッシュ層は、第1の捕捉層よりも、吸収性物品の背面へと更に延在していてもよい。親水性ティッシュの例は、供給業者Havixによるセルロース繊維から作製された、13〜15gsmの高湿潤強度である。
【0092】
おむつはまた、特に脚部開口部の領域における、液体及びその他の身体排出物の改善された封じ込めをもたらす弾性脚部カフ32及びバリア脚部カフ34を含んでもよい。通常、各脚部カフ32及びバリアカフ34は、図1及び図2に誇張した形で表されている、1つ以上のゴムひも33及び35を含む。更に、おむつ20は、複合おむつ構造体を形成するために取り付けられる、後耳部40、前耳部46、及び/又はバリアカフ34などの他の機構を含んでもよい。おむつは、接着締結装置又は機械的締結装置(例えば、フックアンドループ締結装置など)などの締結装置を更に含んでもよく、こうした締結装置は、ランディング区域44(例えば、フックアンドループ締結装置においてループを提供する不織布ウェブ)と協働する、接着テープタブ、又はフック要素を含むテープタブなどの、テープタブ42を含むことができる。更に、おむつは、後側弾性腰部構造及び前側弾性腰部構造、側面パネル又はローション塗布などの、他の要素を含んでもよい。
【0093】
図1及び図2に示されるおむつ20は、第1の腰部領域36、第1の腰部領域36と反対側の第2の腰部領域38、及び第1の腰部領域36と第2の腰部領域38との間に位置する股部領域37に理論上分割することができる。縦方向中心線80は、おむつをその長さに沿って2等分する想像線である。横断中心線90は、完全に平になったおむつの平面内の縦線80に垂直であり、おむつの長さの中央を通る想像線である。おむつ20の周囲は、おむつ20の外縁部によって画定される。おむつの縦方向縁部はおむつ20の縦方向中心線80に概ね平行に延びることができ、末端縁部は縦方向縁部間に、おむつ20の横断中心線90に概ね平行に延びる。
【0094】
試験方法
篩別試験による質量平均粒径
10g(少なくとも0.01gの精度で秤量)の対応する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子の代表的な試料を、直径約10cmの篩(例えば、Retsch GmbH,Haan,Germanyから入手可能なDIN/ISO 3310−1)を通して篩別する。以下の網目サイズの篩の積み重ね(上から下に順番に)を使用する:850μm、800μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、パン(本明細書では0μm相当とみなす)。各空の篩の重量を0.01gの精度で書き留める。
【0095】
10gの試料を最上部の篩(すなわち850μm)に装填し、篩分器(Retsch GmbH(Haan,Germany)から入手可能な「AS 400コントロール」)によって250RPMで3分間篩別する。篩別後の各篩の重量を、0.01gの精度で記録する。各サイズに関して、充填した篩の重量と空になった篩の重量との差が、網目サイズごとの粒子の重量となる。
【0096】
篩のサイズDとして、篩の表記をし、例えば、500μmの篩上で、m500の量に対するD500の割合であり、D500=500μmとする。
【0097】
本明細書における質量平均粒径(mAvPS)を以下の通りに算出する。
【0098】
【数1】
【0099】
T(20)及びU20を測定するためのK(t)試験方法(動的有効透過率及び吸収速度測定試験方法)、並びにUPM及びFSR(自由膨潤率)試験方法は、欧州特許第2535027A1号に詳細に開示されている。本明細書の実施例は、欧州特許第2535027A1号に開示されているK(t)及びUPM試験方法に従った。これら試験方法は、本発明の凝集した超吸収性ポリマー粒子を使用して行われた。
【0100】
K(t)試験方法は、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から形成されたゲル層又はこのような粒子を収容している吸収性構造体の、時間依存性有効透過率(K(t))及び吸収速度を、封圧下で判定する。本発明では、(吸収性構造体に含まれていない)凝集した超吸収性ポリマー粒子を使用して、K(t)試験方法を適用する。この方法の目的は、ポリマーが吸収性物品中に高濃度で存在し、吸収性物品の使用中に典型的に生じるような機械的圧力にさらされたときの、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から形成されたゲル層の体液捕捉及び分配能力を評価することである。有効透過率の計算には、Darcyの法則及び定常流動法を用いる。(例えば、「Absorbency,」 ed.by P.K.Chatterjee,Elsevier,1982,Pages 42〜43及び”Chemical Engineering Vol.II,Third Edition,J.M.Coulson and J.F.Richardson,Pergamon Press,1978,Pages 122〜127も参照されたい。)
【0101】
これまでに公表された方法とは対照的に、K(t)試験方法の試料は事前に膨潤させないため、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子を合成尿中で事前に膨潤させることによるヒドロゲルの形成はないが、乾燥粒子を使用して測定を開始する。
【0102】
UPM値は、欧州特許第2535027A1号に記載されているUPM試験方法に従って測定される。この方法は、従来技術のSFC(塩水流伝導度)試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予め膨潤させた層の流動抵抗を測定する。すなわち、流動抵抗は平衡状態で測定される。したがって、高UPM値を有するかかる超吸収性ポリマー粒子は、有意な容積の吸収性物品が液体排泄物によって既に濡れている場合に、高い透過率を示す。
【0103】
CRC(遠心保持容量)は、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定した。
【実施例】
【0104】
ベースポリマーAの調製:
20000mLの樹脂製ケトル(温度計、注入針の導入に適した隔壁で閉じた四首ガラスカバーを備える)を、約5089.0gの氷(12128.0gである氷の総量のおよそ30〜40%、氷は脱イオン水から調製)で充填する。(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加え、撹拌を開始する。
【0105】
45.7gの脱イオン水を採取して、例えば、プラスチック製のスナップ式の蓋付きガラス容器内で、4.516gの「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals(Neuss,Germany)より入手可能)を溶解させる。「V50」溶液を入れた容器を閉め、約4℃の冷蔵庫内に置いておく。
【0106】
312.5gの精製アクリル酸(本明細書では以降「AA」と呼ぶ、例えば、Merck KGaA(Germany)から入手可能な合成用のアクリル酸)を、合計で4000.1gのAAから取り出して、例えば、ガラスのビーカー内で25.67gのメチレンビスアクリルアミド(本明細書では以降「MBAA」と呼ぶ)を溶解する。MBAA溶液を入れたビーカーを、例えばパラフィルムで覆い、置いておく。
【0107】
残りのAAを、撹拌を続けながら樹脂製ケトル内の氷に添加する。
【0108】
温度計を導入し、合計3330.7gの50%のNaOH溶液(分析用、Merck KGaA(Germany)より入手可能)及び残りの量の氷(脱イオン水から調製)を、温度が約15〜30℃の範囲を維持するように、分割して続けて添加する。
【0109】
撹拌を続けながら約15〜30℃の温度で、MBAA溶液をAA、NaOH溶液、及び氷の混合物に添加する。MBAA溶液の入ったビーカーを、1度の洗浄当たり約10%のMBAA溶液体積の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、撹拌した混合物に添加する。
【0110】
脱イオン水(総量12639.3g(氷及び水)を達成するための残りの必要量から、「V50」の入った容器を1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で脱イオン水を用いて2度洗浄するための量を減じる)を、撹拌した混合物に添加する。
【0111】
次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば、隔壁を通して2つの注射針で穴をあけることによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、80cmの注入針を通して、約0.04MPa(0.4バール)で、溶液をアルゴンで激しくパージする。溶存酸素を効果的に速く除去するために、アルゴン流を攪拌棒の近くに置く。
【0112】
最低1時間及び最大2時間のアルゴンパージ及び撹拌の後、「V50」溶液を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、注入器によって約20〜25℃の温度で反応混合物に添加する。「V50」溶液の入った容器を、1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、注入器によって隔壁を通して撹拌した混合物に添加する。
【0113】
反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後、撹拌及びアルゴンパージを約5分間続ける。その後、反応混合物が約20〜25℃の温度を有している間に、2つのフォトランプ(最大明度の、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備した、Kaiser Fototechnik GmbH & Co.KG(Buchen,Germany)から入手可能なProVision 2.55 HF)を容器の両側に配置し、スイッチを入れる。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、0.02MPa(0.2バール)の減少させた流量でアルゴンによるパージを続ける。
【0114】
温度を監視する。温度は、典型的には、60分以内に約23℃から約60℃まで上昇する。温度が約60℃に達したら、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(Binder GmbH(Tuttlingen,Germany)から入手可能なFED 720)内に移し、約60℃で約18時間保持する。
【0115】
この後、オーブンのスイッチを切り、樹脂製ケトルをオーブン内に残したまま約20〜40℃に冷却させる。その後、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、粉砕機(Licoswiss M.Liechti(Grenchen,Switzerland)から入手可能なUnger R70プレートシステム:直径17mmの真っ直ぐな穴を有する3枚のプリカッターキドニープレートを備えた、Hermann Scharfen GmbH & Co.Maschinenfabrik KG(Witten,Germany)から入手可能なX70G)で粉砕し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、開口面積50%、RS製、乾燥前の最大ゲル高さ:約3cm)上に置き、循環式オーブン(Binder GmbH(Tuttlingen,Germany)から入手可能なFED 720)の中に移し、約105℃で約18時間保持する。
【0116】
乾燥したゲルの残留水分は約6.2重量%である。
【0117】
4つの焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm、W.F.Kaiser u.Co.GmbH(Diez/Lahn,Germany)より入手可能)の中に、トレーごとに規定量の乾燥したゲルを入れ、規定量の脱イオン水(以下の表を参照のこと)を一度に添加し、溶液を約10分間手で撹拌する。
【0118】
【表1】
【0119】
混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間トレーの中に保持した。続いて、4つのトレーの湿潤したベースポリマーをまとめ、ミートグラインダ(a)直径20 8mmの孔を有するプレート、b)3シャフト付きカッターナイフ、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレート、を装備したUnger R70プレートシステム(Licoswiss M.Liechti(Grenchen,Switzerland)より入手可能)を有するGrinder X70G(Hermann Sharfen GmbH & Co.(Maschinenfabrik KG,Witten Germany)より入手可能))によって4回粉砕する。粉砕のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。粉砕中、湿潤したポリマーは熱くなり、水が蒸発する。湿潤し粉砕されたポリマーを、いくつかの50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、開口面積50%、RS製)上に約3cmの最大ゲル高さで広げ、循環式オーブン(Binder GmbH(Tuttlingen,Germany)より入手可能なFED 720)内で105℃にて18時間、続いて105℃にて2.5時間、そして最大約0.008MPa(80mバール)で80℃の真空オーブン(例えば、蒸気トラップ、例えばTitan Vapor Trap,Kineticsを装備した、及び/又は真空ポンプ、例えばTrivac(登録商標)(Oerlikon Leybold Vacuumより入手可能)を装備した、Vacutherm,VT6130 P−BL、Heraeus(Hanau,Germany))内で14時間、乾燥させる。
【0120】
乾燥したゲルの残留水分は約3.1重量%である。
【0121】
次に、遠心ミル(振動フィーダーDR 100(設定50〜60)、開口設定1.5mmの交換式篩、回転速度8000rpmのRetsch ZM 200(Retsch GmbH(Haan,Germany)より入手可能)を使用して、乾燥したゲルを粉砕する。得られたベースポリマー粒子を、120℃のオーブン(例えば、Binder GmbH(Tuttlingen,Germany)より入手可能なAPT.Line FD 240)の中で12時間再度乾燥し、次に、篩機(篩DIN/ISO 3310−1を備えた、Retsch GmbH(Haan,Germany)より入手可能なAS 400 control、約200〜280rpmにて約5〜10分間)によって、以下の収量で以下の粒径カットまで篩別する。
【0122】
【表2】
【0123】
ベースポリマーB:
20000mLの樹脂製ケトル(温度計、注入針の導入に適した隔壁で閉じた四首ガラスカバーを備える)を、約5388.3gの氷(氷の総量(=12149.9g)の約30〜45%、氷は脱イオン水から調製)で充填する。(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加え、撹拌を開始する。
【0124】
43.0gの脱イオン水を採取して、例えば、プラスチック製のスナップ式の蓋付きガラス容器内で、4.516gの「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals(Neuss,Germany)より入手可能)を溶解させる。「V50」溶液を入れた容器を閉め、約4℃の冷蔵庫内に置いておく。
【0125】
299.5の精製アクリル酸(本明細書では以降「AA」と呼ぶ、例えば、Merck KGaA(Germany)から入手可能な合成用のアクリル酸)を、総量4000.7gのAAから取り出して、例えばガラスのビーカー内で)25.67gのMBAAを溶解する。MBAA溶液を入れたビーカーを、例えばパラフィルムで覆い、置いておく。
【0126】
残りのAAを、撹拌を続けながら樹脂製ケトル内の氷に添加する。
【0127】
温度計を導入し、合計3330.6gの50%のNaOH溶液(分析用、Merck KGaA(Germany)より入手可能)及び残りの量の氷(脱イオン水から調製)を、温度が約15〜30℃の範囲となるように、分割して続けて添加する。
【0128】
撹拌を続けながら約15〜30℃の温度で、MBAA溶液をAA、NaOH溶液、及び氷の混合物に添加する。MBAA溶液を含むビーカーを、1度の洗浄当たり約10%のMBAA溶液体積の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、撹拌した混合物に添加する。
【0129】
脱イオン水(総量12639.3g(氷及び水)を達成するための残りの必要量から、「V50」の入った容器を1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で脱イオン水を用いて2度洗浄するための量を減じる)を、撹拌した混合物に添加する。
【0130】
次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば、隔壁を通して2つの注射針で穴をあけることによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、80cmの注入針を通して、約0.04MPa(0.4バール)で、溶液をアルゴンで激しくパージする。溶存酸素を効率的に速く除去するために、アルゴン流を攪拌棒の近くに置く。
【0131】
最低約1時間及び最大約2時間のアルゴンパージ及び撹拌の後、「V50」溶液を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、注入器によって約20〜25℃の温度で反応混合物に添加する。「V50」溶液の入った容器を、1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、注入器によって隔壁を通して撹拌した混合物に添加する。
【0132】
反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後、撹拌及びアルゴンパージを約5分間続ける。その後、反応混合物が約20〜25℃の温度を有している間に、2つのフォトランプ(最大明度の、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備した、Kaiser Fototechnik GmbH & Co.KG(Buchen,Germany)から入手可能なProVision 2.55 HF)を容器の両側に配置し、スイッチを入れる。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、0.02MPa(0.2バール)の減少させた流量でアルゴンによるパージを続ける。
【0133】
温度を監視する。温度は、典型的には、60分以内に約23〜24℃から約60℃まで上昇する。温度が約60℃に達したら、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(Binder GmbHから入手可能なFED 720)内に移し、約60℃で約18時間保持する。
【0134】
この後、オーブンのスイッチを切り、樹脂製ケトルをオーブン内に残したまま約20〜40℃に冷却させる。その後、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、粉砕機(Licoswiss M.Liechti(Grenchen,Switzerland)から入手可能なUnger R70プレートシステム:直径17mmの真っ直ぐな穴を有する3枚のプリカッターキドニープレートを備えた、Hermann Scharfen GmbH & Co.Maschinenfabrik KG(Witten,Germany)から入手可能なX70G)で粉砕し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、開口面積50%、RS製、乾燥前の最大ゲル高さ:約3cm)上に置き、循環式オーブン(Binder GmbHから入手可能なFED 720)の中に移し、120℃で約20時間保持する。
【0135】
乾燥したゲルの残留水分は約5.8重量%である。
【0136】
4つの焼成トレー(例えば、例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)の中に、トレーごとに規定量の乾燥したゲルを入れ、規定量の脱イオン水(以下の表を参照のこと)を一度に加え、溶液を約10分間手で撹拌する。
【0137】
【表3】
【0138】
混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間トレーの中に保持した。続いて、4つのトレーの湿潤したベースポリマーをまとめ、ミートグラインダ(a)直径20 8mmの孔を有するプレート、b)3シャフト付きカッターナイフ、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレート、を装備したUnger R70プレートシステム(Licoswiss M.Liechti(Grenchen,Switzerland)より入手可能)を有するGrinder X70G(Hermann Sharfen GmbH & Co.(Maschinenfabrik KG,Germany)より入手可能))によって4回粉砕する。粉砕のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。粉砕中、湿潤したポリマーは熱くなり、水が蒸発する。湿潤し粉砕されたポリマーを、いくつかの50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、開口面積50%、RS製)の上に約3cmの最大ゲル高さで広げ、循環式オーブン(Binder Gmbから入手可能なFED 720)中で120℃にて20時間乾燥した。
【0139】
乾燥したゲルの残留水分は約2.7重量%である。
【0140】
次に、遠心ミル(振動フィーダーDR 100(設定50〜60)、開口設定1.5mmの交換式篩、回転速度8000rpmのRetsch ZM 200(Retsch GmbH(Haan,Germany)より入手可能))を使用して、乾燥したゲルを粉砕する。ミルにかけたポリマーを、120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)中で12時間再度乾燥し、次に、篩過器(篩DIN/ISO 3310−1を有するRetsch GmbH製のAS 400 control、約200〜280rpmにて約5〜10分間)によって、以下の収量で以下の粒径カットまで篩別する。
【0141】
【表4】
【0142】
凝集した超吸収性ポリマー粒子
表面架橋され凝集した超吸収性ポリマー粒子SAP 1〜5を以下のように作製した。
600.0gのそれぞれのベースポリマー(表を参照のこと)を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5(Gebruder Lodige Maschinenbau GmbH(Paderborn,Germany)より入手可能)に添加し、回転速度設定6で混合する。規定量の乳酸アルミニウム溶液(表を参照のこと)(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製のL−乳酸アルミニウム95%))を、約0.2MPa(2バール)の噴霧圧、溶液約4.3g/分の流量、約23℃の開始温度で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmの、Buchi Labortechnik GmbH(Essen,Germany)から入手可能なMini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が、例えば1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)により添加する。約12.5分後、乳酸アルミニウムの添加を完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、液体ホースの接続を断ち、Denacol溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merckより入手可能)でのNagase製のDenacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の溶液−以下の表を参照のこと)を用いて洗浄及び噴流を流し、噴霧装置に接続する。
【0143】
規定量のDenacol EX 810溶液(表を参照のこと)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約4.0g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。Denacol EX 810溶液の添加が完了した後、液体ホースの接続を断ち、脱イオン水を用いて洗浄及び噴流を流し、噴霧装置に再度接続する。その後、規定量の脱イオン水(表を参照のこと)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約13.6g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。脱イオン水の添加が完了した後、Lodige混合器の底部出口を開放し、Ploughshare混合器の回転によってのみ押し出される底部出口から出る物質を収集し、テフロンコーティングした焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に均一に分配して厚さ約2〜3cmの層にする。焼成トレーをアルミホイルで覆い、約20〜24時間室温で維持する。その後、覆った焼成トレーを120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間20分加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを作る。試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。その後、試料を手で破砕し、篩別して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、以下の表に見出されるような最終材料を得る。
【0144】
【表5】
【0145】
SAP 5及びSAP 6を形成する際に篩別することによって、異なる粒径カットとして、対応する比較例SAP 7及びSAP 8を得た(下の表)。いくらかの凝集した超吸収性ポリマー粒子を潜在的に含んでいるものの(凝集した超吸収性ポリマー粒子の大部分は篩い分けられている)、これら実施例では、第2の質量平均粒径は第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きくはないので、これらは比較例を表す。
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
【表8】
【0149】
比較例SAP 7と実施例SAP 5を比較することにより、SAP 5は、同様の吸収速度(T20)及び同様のCRC性能において、対応する比較例よりも良好なUPM性能を示すことが明らかである。
【0150】
比較例SAP 8と実施例SAP 6との比較は、SAP 6が、わずかに遅い吸収速度(T20)(−9.3%)において、良好なUPM性能(+9.4%)及び良好なCRC性能(+2.1%)を示すことを示している。よって、実施例SAP 6は全般的に見て、比較例SAP 8よりも良好である。
【0151】
【表9】
【0152】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載される値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0153】
本明細書で引用されているあらゆる文献は、あらゆる相互参照する特許又は出願を含め、明示的に除外されたり、別段に限定されたりしている場合を除き、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する範囲においては、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0154】
以上、本発明の特定の実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を実施することが可能である点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4