(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮位置から拡張位置へと動くように構成された少なくとも1つの拡張可能な部材を更に含み、前記少なくとも1つの拡張可能な部材は、前記少なくとも1つの拡張可能な部材が前記拡張位置にある場合に前記封止カフの前記内部チャンバの形状にほぼ一致する形状を有する、請求項1に記載の外科用キット。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】吻合部を形成するための例示的な円形型ステープラーの斜視図である。
【
図2A】例示的な一実施形態に基づく封止カフの斜視図である。
【
図3】体内の管腔の周囲へのカフの配置を容易にする1つ又は2つ以上の延長ポートを有する封止カフの別の実施形態である。
【
図4A】シーラントと接触するように内側表面にわたって織り込まれた縫合糸を有する封止カフの部分断面図である。
【
図4B】カフの壁部に形成され、縫合糸が通された通路を示す
図4Aの封止カフの部分側面図である。
【
図5A】発泡させたシーラントの例示的な一実施形態である。
【
図5B】吻合部内に浸透している
図5Aの発泡させたシーラントの側面図である。
【
図6A】第1及び第2の拡張可能な部材を有する拡張可能な装置の側面図である。
【
図6B】第1及び第2の拡張可能な部材を有する拡張可能な装置の別の実施形態の側面図である。
【
図6C】1個の拡張可能な部材を有する拡張可能な装置の側面図である。
【
図6D】1個の拡張可能な部材を有する拡張可能な装置の別の実施形態の側面図である。
【
図7】第1の拡張可能な部材と第2の拡張可能な部材との間の空間に流体を送達するための管腔を有する拡張可能な装置の側面図である。
【
図8A】第1及び第2の拡張可能な部分を有するステントの一実施形態の側面図である。
【
図8B】第1及び第2の拡張可能な部分を有するステントの別の実施形態の側面図である。
【
図8C】第1及び第2の拡張可能な部分を有するステントの更に別の実施形態の側面図である。
【
図9A】管状体内臓器の第1の部分に被せて配置されつつある
図2Aの封止カフの斜視図である。
【
図9B】その内部に通され、封止カフに形成された位置決めポート内に延びる器具を有するトロカールの斜視図である。
【
図9C】外科用ステープラーのアンビル及びカートリッジアセンブリを示す
図9Aの臓器の断面図であり、アンビルは管状臓器の第1の部分の内部に配置され、カートリッジアセンブリは管状臓器の第2の部分の内部に配置されている。
【
図9D】
図9Aのステープラー及び管状臓器の断面図であり、封止カフが吻合部から離れて配置されているため、アンビルがカートリッジアセンブリの方向に動かされてステープルを展開することによって吻合部が形成されている。
【
図9E】管状臓器に沿って吻合部に向かうカフの運動方向を示した、
図9Aの封止カフの断面図である。
【
図9F】封止カフ及び吻合部内に送達されつつあるシーラントを示した、
図9Aの封止カフの断面図である。
【
図9G】シーラントが吻合部の周囲で硬化した後に管状臓器から取り外されつつある、
図9Aの封止カフの斜視図である。
【
図10A】管状臓器の内部に配置された円形型ステープラーのアンビルの半透視斜視図である。
【
図10B】アンビルに第1及び第2の拡張可能な部材が連結された、
図10Aのアンビル及び管状臓器の半透視側面図である。
【
図10C】吻合部内に形成され、スコープに連結された第1及び第2の拡張可能な部材を有する、
図10Bの管状臓器の半透視側面図である。
【
図10D】拡張位置にある、吻合部の近位に配置された第1の拡張可能な部材の半透視側面図である。
【
図10E】その拡張位置にある、吻合部の両側に配置された第1及び第2の拡張可能な部材の半透視側面図である。
【
図11A】肛門に通されて延在し、封止カフの方向に動いているスコープ上に配置された拡張可能な部材の斜視図である。
【
図11B】内部に
図11Aのスコープが通されて延在している管状臓器の部分断面図であって、拡張可能な部材は吻合部及び封止カフに隣接して第1の圧縮位置にある。
【
図11C】第2の拡張位置にある拡張可能な部材を示した、
図11Bの管状臓器の部分断面図である。
【
図12A】管状臓器の吻合部を、第1の拡張可能な部材に取り付けられたテザーが連結されたスコープとともに示した部分断面図である。
【
図12B】テザーの末端部が患者の身体の外部に配置される際に吻合部の近位に配置されている第1の拡張可能な部材の部分断面図である。
【
図12C】拡張位置に膨張させられつつある第1の拡張可能な部材、及びテザーに被せて配置されつつある第2の拡張可能な部材の部分斜視図である。
【
図12D】圧縮位置で吻合部の方向に動きつつある第2の拡張可能な部材の部分断面図である。
【
図12E】その膨張管腔を通じて拡張位置へと膨張させられつつある第2の拡張可能な部材を示す部分断面図である。
【
図13】管状臓器の内部にシールを形成している第1及び第2の拡張可能な部材の断面図であり、吻合部からの漏れを検査するために各拡張可能な部材間の封止された空間に気体が送達されている。
【
図14A】吻合部からの漏れを検査するためにそれらの間の空間に気体が送達されている第1及び第2の拡張可能な部材の別の実施形態の断面図である。
【
図14B】吻合部からの漏れを検査するために吻合部に隣接した空間に流体が送達される際に吻合部を支持するように構成された中央部分を有する拡張可能な部材の一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本明細書で開示する装置並びに方法の構造、機能、製造及び使用の原理の全体的な理解が得られるように特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者には、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に示される装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような改変及び変形は、本明細書に述べられる装置及び方法の範囲内に含まれるものとする。更に、本開示では、異なる実施形態の同様の参照符合で示された要素は、これらの要素が同じ性質のものである場合、及び/又は同じ目的を果たす場合には同様の特徴を一般的に有する。
【0017】
本明細書の全体を通じて、「異なる実施形態」、「特定の実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」などは、その実施形態との関連において説明される特定の機能、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じた箇所で、「異なる実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの語句が見られる場合には、それらは必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の機能、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の適切な形で組み合わせることができる。したがって、ある実施形態に関連して例示又は説明される特定の機能、構造、又は特性は、その全体又は一部において、制限なく、1つ又は2つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と組み合わせることができる。かかる改変及び変形は、本明細書に述べられる方法、装置、機器、及びシステムの範囲内に含まれるものとする。
【0018】
加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される場合、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点は認識されるであろう。システム及び装置並びにその要素のサイズ及び形状は、少なくともシステム及び装置が用いられる被験者の解剖学的構造、システム及び装置がそれらとともに用いられる要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び処置によって決まりうる。
【0019】
本明細書において「近位」及び「遠位」なる用語は、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として用いられる。「近位」なる用語は臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」なる用語は臨床医から遠くに位置する部分を指す。便宜上また分かりやすさのために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語は、本明細書では図面に対して使用される場合がある点は更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0020】
本明細書では、異なる例示的なシーラント及び管状体内臓器を封止するための方法が提供される。一般的に、シーラントは結腸周囲又は腸吻合部の周囲のようなステープル留めされた体内の管腔の周囲の封止を促進することができる。シーラントは様々な形で配合することができ、また様々な性質を有することができるが、一般的には第1の液体状態で与えられ、その後、所定の時間の後に第2の固化状態に硬化する。例えば、シーラントは管状体内臓器に導入することができ、吻合部のステープル線のシールの補強を助けることができる。シーラントがその液体状態にある場合、シーラントはステープル線内に浸透してその内部で固化することにより、ステープル線における管状体内臓器の完全な封止を促進することができる。シーラントは管状体内臓器の短期間の封止を促進することができ、管状体内臓器が吻合部において治癒した後に体内に吸収されるように配合することができる。特定の態様では、シーラントが第1の液体状態にある場合にシーラントを所望の位置、例えばステープル線に隣接して保持するための成形型又は型枠として機能しうる封止カフが提供される。1つ又は2つ以上の拡張可能な部材を、管状体内臓器を拡張してシーラントと封止カフとの間の接触を更に維持するように構成することができる。このように、封止カフは、シーラントがステープル線を完全に封止し、液体及び固形物が正常な身体機能において管状体内臓器を通過する際に封止状態に維持されやすくなるよう、シーラントを所望の位置に保持するように構成することができる。
【0021】
この方法は様々な形で行うことができる。例えば、少なくとも1つの拡張可能な部材を吻合部内の管状臓器内に挿入することができる。拡張可能な部材は第1の圧縮位置で挿入することができ、管状臓器の一部の直径を増大させるように第2の拡張位置へと動かすことができる。一般的に、1つ又は2つ以上の拡張可能な部材を、ステープル線の周囲の組織を拡張することができるようにステープル線に隣接して配置することができる。封止カフを、管状臓器の外表面の周囲及びステープル線の周囲に配置することができる。拡張可能な部材が拡張される際、組織は封止カフに近づく方向に動くことができる。シーラントを封止カフの内部に予め配置するか封止カフ内に導入することにより、吻合部のステープル線におけるシールを補強することができる。吻合部の漏れ検査を行うための方法もまた提供され、吻合部にシーラントが適用される前又は後でこの方法を行うことによって外科医が臓器の拡張及び収縮時に組織とステープル線との間に開口部が存在するか否かを視覚的に確認することができる。液体又は気体を異なる方法によって臓器内に送達し、可視化法を用いることでステープル線から臓器の外部に液体/気体が漏れているか否かを使用者が視覚的に確認することができる。これにより、外科手術の間に組織を補強するためにシーラントを適用するべきか否か、又はシーラントが既に適用されている場合には追加のシーラント又は他の封止法を用いてシールを補強するべきか否かを使用者が判定する助けとなる。以下に更に述べるように、封止カフ及び拡張可能な部材を漏れ検査と組み合わせて使用することにより、例えば使用者が吻合部からの漏れを確認した後に組織を補強することができる。
【0022】
外科用ステープル留め器具
当業者には認識されるように、当該技術分野では周知の様々な外科用ステープラーを使用して吻合部を形成することができる。一般的には、
図1に示されるように、外科用ステープラー200はハンドルアセンブリ212を有しており、シャフト214がそこから遠位方向に延び、組織を治療するためのエンドエフェクター250がその遠位端に配置されている。エンドエフェクター250は、ほぼ円形の形状を有する組織接触面260p、260dをそれぞれが有するカートリッジアセンブリ252及びアンビル254を有することができる。カートリッジアセンブリ252とアンビル254とは、ステープラー200のアンビル254からハンドルアセンブリ212にまで延びるシャフト262を介して互いに連結されてよく、ハンドルアセンブリ220上のアクチュエーター222を操作することでシャフト262を後退及び前進させてカートリッジアセンブリ252に対してアンビル254を動かすことができる。一実施形態では、シャフト262は、アンビル254をカートリッジアセンブリ252から分離することができるように解放可能に互いに連結されるように構成された第1及び第2の部分(図に示されていない)で構成することができ、これにより、アンビル254及びカートリッジアセンブリ252を体内に配置するうえで高い柔軟性を与えることができる。例えば、シャフトの第1の部分は、カートリッジアセンブリ252の内部に配置され、遠位方向にカートリッジアセンブリ252の外部へと延びて遠位嵌合要素において終端することができる。シャフト214の第2の部分は、アンビル254の内部に配置され、近位方向にカートリッジアセンブリ252の外部へと延びて近位嵌合要素において終端することができる。使用に際しては、近位嵌合要素と遠位嵌合要素とを互いに連結することにより、アンビル254とカートリッジアセンブリ252とを互いに対して動かすことができる。アンビル254及びカートリッジアセンブリ252は様々な機能を行うことができ、それらの間に組織を捕捉したり、カートリッジアセンブリ252からステープルを発射することにより組織をステープル留めしたり、かつ/又は組織に切開を形成するように構成することができる。一般的に、カートリッジアセンブリ252はステープルを格納したカートリッジを収容することができ、ステープルをアンビル254に対して展開することにより管状体内臓器の外周の周りにステープルの円形のパターンを形成することができる。
【0023】
ステープラー200のハンドルアセンブリ212には、ステープラーの動作を制御することができる様々なアクチュエーターを配置することができる。例えば、ハンドルアセンブリ212には回転によってエンドエフェクター250の配置を容易にする回転ノブ226、及び/又はエンドエフェクター250を作動させるためのトリガー222を配置することができる。第1の運動範囲によるトリガー222の運動によって、クランプ締めシステムの構成要素を顎に似た動き(すなわちカートリッジアセンブリ252に近づく方向にアンビル254を動かす)で作動させることができる。第2の運動範囲によるトリガー222の運動によって、発射システムの構成要素を作動させてステープルをステープルカートリッジアセンブリ252から展開させ、かつ/又はカートリッジアセンブリ252とアンビル254との間に捕捉された組織を切断するためにナイフを前進させることができる。
【0024】
外科用ステープラー200は、本明細書に開示されるシーラント及び封止カフと組み合わせて使用することができる多くの異なるステープラーのあくまで1つの例である。図に示される実施形態、並びに本開示に基づいて使用することができる外科用ステープラー、その構成要素、及びそれらの関連する使用方法の更なる例示的な実施形態の更なる詳細は、それぞれの全容を参照により本明細書に援用するところの米国特許出願公開第2013/0256377号、米国特許第8,393,514号、同第8,317,070号、同第7,143,925号において提供される装置、構成要素、及び方法が挙げられる。
【0025】
封止カフ
本明細書では、管状体内臓器の周囲に配置することが可能であり、シーラントが第1の液体状態にある場合にシーラントの成形型として機能することができる封止カフが提供される。封止カフは、異なるサイズ、形状を有することができるが、管状臓器の吻合部の周囲に配置されるように一般的には構成される。一般に、封止カフは近位及び遠位端が切り詰められた球形部材から形成することができる。封止カフは、中央部分と第1及び第2のフレア部分とを有することができる。カフの中央部分は管状体内臓器の形状に一致させることができ、第1及び第2のフレア部分はシーラントが管状臓器に送達される前に管状臓器に沿ったカフの運動を促すことができる。
図2A〜2Cに示される一実施形態では、封止カフ6000はカフ6000の長手方向中心軸LCに沿ってほぼ円形の断面形状を有することができる。封止カフ6000の中央部分6002は、管状体内臓器(図に示されていない)の外側表面と直接接触するか又は外側表面に隣接して配置されるように構成された内側表面6004を有することができる。内側表面6004は、シーラントを内部に受容するための内部チャンバ6006を画定することができる。例えば、封止カフ6000の内側表面6004は内部チャンバ6006を画定するほぼ凹状の形状を有することができる。その結果、封止カフの側壁縁部が組織と接触することによってカフの内部チャンバ内にシーラントを保持することができる。封止カフ6000は内部チャンバ6006内におけるシーラントの均一な分配を促すための様々な機構を有することができる。例えば、封止カフ6000は封止カフ6000の内側表面6004に形成された任意の数の突起6008を有することができる。一般的に突起6008は封止カフ6000が臓器の周囲に配置される際に管状体内臓器の外表面と直接接触するように構成することができ、シーラントが重力によって封止カフ6000の下部の方向に引っ張られることを防止することができる。突起6008は、円筒形、球形、円錐形など様々な形に成形することができ、突起6008の末端6008tが管状体内臓器の外側表面と直接接触するように選択された径方向の高さを有することができる。突起6008はまた、封止カフ6000の外周の周りに単一の列で、又は例えば2列、3列、4列などの複数列で、など、様々な形で離間させることもできる。突起6008は、1つの平面内の外周の周りに均等な間隔で配置するか、又は封止カフ6000の内部チャンバ6006内におけるシーラントの均一な分配を促すように構成された他の任意のパターンで間隔を置くことができる。突起は、封止カフの内側表面と体内の管腔の外側表面との間の径方向の厚さにほぼ等しいか又はそれよりも大きい径方向の高さを有することでカフの外周の周りにシーラントの均一な厚さを実現する助けとなりうる。
図2Cに示されるように、封止カフ6000は、カフ6000の中央部分6002の両側に配置され、カフ6000の中央部分6002の内径DIよりも大きい内径DFを有する第1及び第2のフレア部分6010a、6010bを更に有することができる。これらのフレア部分6010a、6010bは、より詳細に述べるように、管状体内臓器の周囲をカフが摺動しやすくすることができる。非限定的な例として、フレア部分の内径DFはカフの中央部分の内径DIの約95%とすることができる。封止カフ6000は、例えば約1〜5mmの範囲の厚さを有する比較的薄い壁を有することができる。カフの内径DIは、管状体内臓器の外径に一致した、例えば外径よりも大きいか又はこれに等しいものとすることができる。例えば、封止カフ6000の内径DIは、約19〜35mmの範囲とすることができる。
【0026】
封止カフはこれを管状臓器の周囲に配置し、その後、臓器から取り外すことを可能とする様々な機構を有することができる。例えば、
図2A〜2Cの封止カフ6000は、カフ6000が患者に挿入される際にほぼリング形状であってよい。1つ又は2つ以上の補強リブ6012、6014が、第1及び第2のフレア部分6010a、6010bの間にこれらとほぼ垂直に延在してよい。臓器からのカフ6000の取り外しを容易にするため、封止カフ6000はカフ6000に引張り力が加えられると破断するか又は裂けるように構成された破断部分(図に示されていない)を有することができる。この破断部分は、
図2Bに示されるように第1及び第2の補強リブ6012、6014の間の狭い空間内に配置することができる。当業者によれば認識されるように、破断部分は封止カフ6000の残りの部分とは異なる(例えば封止カフ6000の中央部分6002及び/又は補強リブ6012、6014を形成する材料とは異なる)より強度の低い材料で形成することができる。封止カフ6000は、封止カフ6000を配置し、かつ/又は臓器から封止カフ6000を取り外す助けとなる器具によって把持することができる複数のタブを更に有することができる。例えば
図2Aに示されるように、第1のタブ6012aを第1の補強リブ6012の第1の末端部に形成することができ、第2のタブ6012bを第1の補強リブ6012の第2の末端部に形成することができる。同様に、第3のタブ6014aを第2の補強リブ6014の第1の末端部に形成することができ、第4のタブ6014bを第2の補強リブ6014の第2の末端部6014bに形成することができる。タブ6012a、6012b、6014a、6014bのそれぞれは、タブ6012a、6012b、6014a、6014bを1つ又は2つ以上の器具によって把持することができるように比較的薄い厚さのほぼ長方形の断面形状を有することができる。
【0027】
封止カフは他の形で動くように構成することもでき、破断部分を必ずしも有さずともよい。例えば、封止カフは、封止カフの第1の端部と第2の端部とが分離される開位置と封止カフの第1の端部と第2の端部とが互いに連結される閉位置との間で枢動してもよい。これにより、封止カフが閉位置にある場合、封止カフはリング形状であり、シーラントを受容するための内部チャンバを画定する。封止カフは、枢動軸型のヒンジ及び封止カフを閉位置にロックするように構成された1つ又は2つ以上のロック機構などの封止カフの枢動可能な運動を促すための任意の数の要素を含むことができる。
【0028】
封止カフは、内部にシーラントを受容し、カフの内部チャンバにシーラントを方向付けるための1つ又は2つ以上のポートを有することができる。例えば、
図2Aの封止カフ6000は、シーラントをカフ6000に送達するための送達チューブ6026が連結されたポート6024を有している。ポート6024は、封止カフ6000の長手方向中心軸LCにほぼ平行に延びるように配置されていることでポート624における封止カフ6000の直径DPを最小とすることができる。
図2Cに示されるように、ポート6024はカフ6000の内側表面6004内に延びる通路6028を有することができ、通路6028は送達チューブ6026と嵌合するように構成された嵌合機構6030を有している。送達チューブ6026は、送達チューブ6026を1回の使用後に取り外して洗浄するか又は交換することができるように圧入又はスナップ嵌めなどの様々な形で嵌合機構6030と連結されるように構成することができる。通路6028は様々な形で成形することができるが、図の実施形態ではポートから流体を受容するための第2の部分6028bに対して垂直な第1の部分6028aを有しており、第2の部分6028bは流体を封止カフの中心内径にほぼ向かって、したがって吻合部のステープル線に向かって方向付ける。当業者によれば認識されるように、封止カフは1個のみのポートを有するものが示されているが、カフはシーラントをカフに送達するための任意の数のポートを有することができる。
【0029】
封止カフは、管状体内臓器の周囲への封止カフの配置を容易にする他の機構を有することができる。
図3に示されるように、封止カフ6100は、外側表面6112に形成された1つ又は2つ以上の延長ポート6114、6116を有することができる。1つ又は2つ以上の延長ポート6114、6116は、その内部に把持器具を受容するサイズ及び形状に構成された内径DPを有することができる。延長ポートは様々な機構を有することができる。図に示されるように、延長ポート6114は、カフ6100の内部チャンバ6106と干渉しないように封止カフ6100の外側表面6112上に画定された内腔6118を有することができる。別の実施形態では、延長ポート6114の内腔6118は、カフの内部チャンバ6106と連通してよく、これにより内腔6118を通じて(例えば内腔6118と外側との間に延びるチューブ(図に示されていない)を通じて)内部チャンバ6106内に流体を送達することができる。任意の数の延長ポートが、流体を内部チャンバ6106に送達するように構成された内腔を有することができる。内腔6118は、封止カフ6000の外側表面6112に対してほぼ垂直とするか、又は封止カフ6000の外側表面6112に対して他の角度で配置することができる。例えば
図3に示されるように、封止カフ6100は、第1及び第2の延長ポート6114、6116を有することができ、第1の延長ポート6114は第2の延長ポート6116に対して約90°で配置されている。別の実施形態(図に示されていない)では、任意の数の延長ポートが、玉継手などの、延長ポートをカフの外側表面に対して角度をなして配置するための機構を有することができる。各延長ポートはポートを所望の位置にロックするように構成されたロック機構を有することができる。当業者によれば認識されるように、封止カフ6100は、患者の体内へのカフ6100の送達を大きく妨げないように選択される封止カフの周囲の任意の数の位置に配置された任意の数の延長ポートを有することができる。内腔6118は円筒状の形状であってよく、内径DPは約19〜35mmの範囲とすることができる。第2の延長ポート6116は内腔6118とほぼ同じサイズ及び形状に構成された内腔6120を有してよく、又は内腔6120は異なるサイズ及び形状を有してもよい。封止カフは、カフが患者の体内にある場合に使用者がカフの位置を特定しやすくする機構を有することができる。例えば、カフ及び/又は把持器を光を放射するように構成することができる。
【0030】
封止カフは、管状体内臓器と封止カフの内側表面との間の所望の位置にシーラントを保持する助けとなる他の機構を有することができる。例えば、
図4Aは、封止カフ6200の内側表面6204にわたって織り込まれた縫合糸6232を有する封止カフ6200の部分斜視断面図を示している。縫合糸6232を、カフの内側表面6204にわたって交差した三角形を形成する十字に交差したパターンで設けることができる。別の実施形態(図に示されていない)では、縫合糸6232は、カフ6200の内側表面6204にわたって異なるパターンに織り込むことができる複数本の縫合糸を含むことができる。一般的に、こうした縫合糸6232を用いることでシーラントを封止カフ6200の内側表面6204から離して保持することによってシーラントが内側表面6204上で固化することを防止することができ、したがって患者の身体からのカフ6200の取り出しやすくすることができる。縫合糸6232は、様々な形で封止カフ6200に取り付けることができる。例えば、複数の取り付け点6234をカフ6200の近位端6200pに形成し、カフ6200の近位端6200pの外周の周りに等間隔で配置することができる。
図4Bに示されるように、通路6236をカフ6200の近位端6200pの外周の周りに形成することができ、通路6236はそれを通じて延びる例えば第2の縫合糸のような長尺部材6238を有することができる。通路6236には、
図4Bに示されるように、それぞれが通路6236に対してほぼ垂直である複数の径方向開口部6240を更に形成することができる。
図4Bに示されるように、各径方向開口部6240には、カフ6200の内側表面6204から、第2の縫合糸6236の周りに通し、再び各径方向開口部6249を通ってカフ6200の内側表面6204に向かって第1の縫合糸6232を通すことができる。使用時には、第2の縫合糸6236を切断して第1の縫合糸6232をカフの内側表面6204から解放することができる。
【0031】
例示的な実施形態のいずれに基づく封止カフも異なる材料から形成することができる。好ましくは、封止カフは、カフに加わる力に耐え、シーラントを送達チューブを通じて吻合部内に注入することができるように実質的に剛性の材料から形成することができる。封止カフは、射出成形などにより単一の一体構造として形成するか、又は任意の周知の固着法を用いて互いに接合される複数の部品として形成することができる。
【0032】
シーラント
シーラントは、異なる配合並びに異なる粘度及び硬化挙動を有することができる。一般的にシーラントは、重合反応などの硬化プロセスによって第1の液体状態から第2の固化状態へと変化するように構成することができる生体適合性かつ生体吸収性材料から形成することができる。第1の状態は、例えば流体、ゲル、泡などの軟化した状態であってよく、第2の状態は、例えば固体、剛性部材などの硬化した状態であってよい。下記により詳細に述べるように、シーラントが第1の軟化状態にある場合、シーラントは送達チューブを通じて封止カフ内へと流れることができる。シーラントは、所定の時間後に第1の軟化状態から第2の固化状態へと変化することができる。特定の態様では、シーラントは生物材料から形成することができる。特定の実施形態では、シーラントは、患者の体内におけるシーラントの硬化の間及び/又はその後で様々な化合物を放出することにより、創傷治癒を助けることができる。非限定的な例として、シーラントは、時間をかけてフィブリン、トロンビンなどの治療薬を放出することで体内のシーラントの位置の近くの組織の治癒を助けるように構成することができる。一実施形態では、フィブリンシーラントは、トロンビンと生物学的活性成分(BAC2)、フィブリノーゲンと第XIII因子などのように患者の体内に送達される直前に合わせられる2種類の反応性成分を含むことができる。特定の態様では、各成分は、BAC2とトロンビンとが5:1の体積比となるように与えることができる。得られるシーラントは、その配合に応じて異なる粘度及び硬化挙動を有しうるが、このシーラントの例示的な配合では、各成分が混合され、重合反応が開始した後の粘度が約1cp〜90cpの範囲であってよく、シーラントは約3分間で固化状態に硬化することができる。
【0033】
図5Aは、注射器6342内に配置されたシーラント6300の第1の成分6340を示している。図に示されるように、注射器はその内部に成分6340を吸い込むためのプランジャ6341を有することができる。注射器6342は、例えば空気などの気体を様々な方法によって成分6340中に導入するように構成することができる。例えば、注入用注射器6342の針6346に開口部6344を形成することにより、注射器6342内に成分6340が吸い込まれる際に成分6340中に空気を導入することができる。この第1の成分6340を、1又は2以上の更なる成分(図に示されていない)と、患者への注射の直前又は注射の最中に混合することが可能であり、これらの更なる成分中にも気体を導入することができる。
図5Bに示されるように、シーラント6300の成分のうちの1種類又は2種類以上に気体が存在することにより、シーラント6300がステープル線6350内で固化する際に空気ポケット及び/又は独立気泡6348が形成され、シーラント6300がこれらの空気ポケット及び/又は独立気泡6348を欠いている場合と比較して固化形態において高い可撓性を有するシーラント6300が得られる。これにより、シーラント6300は、臓器が通常の身体の機能において径方向に拡張、収縮、及び/又は捻れる際に管状体内臓器の運動と協調して径方向及び長手方向に動くことが可能となる。更に、この調製法では、気体が、所定の質量のシーラント6300に対して全体の体積を増大させる独立気泡6348をシーラント6300中に形成することができるため、封止カフに適用されるシーラント6300の量を減らすことができる。これらの独立気泡6348の存在は、使用者に対するシーラント6300の位置及び/又は厚さに関する視覚的な指標として機能することができる。
【0034】
拡張可能な装置
封止カフと組み合わせて拡張可能な装置を使用することでシーラントが液体状態から固化状態へと硬化する際にシーラントを所望の位置に保持することができる。一般的に、本明細書で提供される拡張可能な装置は、圧縮位置で管状体内臓器の内部に配置することができ、装置が管状体内臓器の内側表面に対して拡張した拡張位置へと動くことができる。これにより、管状臓器の外側表面が封止カフの内側表面に対して押され、この位置にシーラントを保持する助けとなることによって吻合部の周囲に完全なシールを得ることができる。拡張可能な装置は、異なるサイズ、形状、及び構成を有することができる。特定の実施形態では、拡張可能な装置は第1及び第2の拡張可能な部材を含んでよく、これにより、第1の拡張可能な部材を吻合部の第1の側に配置し、第2の拡張可能な部材を吻合部の第2の側に配置することができる。特定の態様では、拡張可能な装置は液体又は気体を拡張可能な部材に送達することによって拡張/膨張させることができる。
図6Aに示される一実施形態では、拡張可能な装置6400は、連結機構6417によって円筒状ロッドなどの長尺部材6416と連結された第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412(すなわち膨張可能なバルーン)を有することができる。長尺部材6416は、図に示されるようなスコープ装置6418の遠位端6418dと嵌合することによって、拡張可能な装置6400が管状体内臓器(図に示されていない)の内部に配置される際に拡張可能な部材6410、6412が使用者に見えるように構成することができる。第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412は、長尺部材6416に固定的に連結し、長尺部材6416の軸方向長さに沿って間隔を空けて配置することができる。第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412は、接着剤などの当該技術分野では周知の任意の取り付け機構を用いて長尺部材6416の周囲を封止することができる。その結果、長尺部材6416は、拡張可能な部材6410、6412の拡張及び圧縮を妨げることなく第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412のそれぞれの長手方向中心軸を通じて延びることができる。当業者によれば認識されるように、長尺部材6416は様々な材料で形成することができ、長尺部材を曲がりくねった管状体内臓器を通じて操縦するために可撓性又は半可撓性とすることができる。
【0035】
装置は、例えば液体又は気体などの流体を拡張可能な部材に送達するための様々な機構を有することができる。
図6Aに示されるように、長尺部材6416は、近位及び遠位末端部6416p、6416d、並びに長尺部材6416の近位末端部6416pから長尺部材6416を通じて延び、遠位末端部6416dの近位において終端する内腔6420を有することができる。長尺部材6416の内腔6420は、流体、例えば生理食塩水、酸素、二酸化炭素などの液体又は気体を拡張可能な部材の一方又は両方に送達するための1つ又は2つ以上の膨張管腔がその内部に配置されてもよい。例えば、
図6Aの装置は、第1及び第2の膨張管腔6422、6424を有している。第1の膨張管腔6422はこれを通じて長尺部材6416に形成された第1の出口ポート(図に示されていない)内へと流体を送達するように構成することができ、第1の拡張可能な部材6410が第1の出口ポートの周囲に配置される。同様に、第2の膨張管腔6424はこれを通じて長尺部材6416に形成された第2の出口ポート(図に示されていない)内へと流体を送達するように構成することができ、第2の拡張可能な部材6412が第2の出口ポートの周囲に配置される。第1及び第2の膨張管腔6422、6424のそれぞれは、拡張可能な部材6410、6412の選択的な膨張、例えば第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412の同時膨張、又は拡張可能な部材6410、6412の任意の順序での連続的膨張を可能とする第1及び第2の流体源(図に示されていない)と連結することができる。当業者には認識されるように、拡張可能な装置は、第1及び第2の拡張可能な部材と流体連通した1本の膨張管腔のように任意の数の膨張管腔を有することができる。拡張可能な装置は、各拡張可能な部材を膨張及び収縮させることにより圧縮位置から拡張位置へと動かしやすくするための他の機構を有することができる。例えば、各拡張可能な部材は、それぞれの膨張管腔のいずれかに配置された1つ又は2つ以上の弁(図に示されていない)を有することができる。特定の態様では、弁は拡張可能な部材が所定の膨張体積となった時点で閉じるように構成することにより、拡張可能な部材から液体又は気体が流出することを防止することができる。手術が行われた後、弁を開いて拡張可能な部材を圧縮位置に収縮させることによって患者の体内から装置を取り出しやすくすることができる。
【0036】
拡張可能な部材は、拡張及び圧縮位置において様々なサイズ及び形状を有することができる。
図6Aの拡張可能な部材が拡張位置にある場合、拡張可能な部材6410、6412はほぼ円盤状の形状をなすことができる。拡張可能な部材は、球状、管状など、管状体内臓器を拡張するように構成された任意のサイズ及び形状を有することができる。一般的に、拡張可能な部材のそれぞれは、休止状態にある管状体内臓器の内径よりも大きい、拡張位置における最大直径(例えば管状体内臓器の内径よりも約110〜115%の範囲で大きい)を有することができる。下記に更に詳細に説明するように、これにより、管状体内臓器の外側表面と封止カフの内側表面との間へのシーラントの配置を容易にすることができる。拡張可能な部材は、ゴム、シリコーン、PET、及びテフロンなどの膨張させることができる様々な材料で形成することができる。
【0037】
図6Bは、可撓性テザー6416’と固定的に連結された、例えば第1の膨張可能なバルーンのような第1の拡張可能な部材6410’を有する拡張可能な装置の別の実施形態を示している。例えば第2の膨張可能なバルーンのような第2の拡張可能な部材6412’をテザー6416’の近位末端部6416p’に被せて配置することができるが、第2の拡張可能な部材6412’は圧縮位置でテザー6416’の軸方向長さに沿って摺動できることにより、使用者が第2の拡張可能な部材6412’を第1の拡張可能な部材6410’に対して選択的に配置することができる。第2の拡張可能な部材6412’はこれに一体形成することができる膨張管腔6422’を有してもよく、又は膨張管腔6422’を第2の拡張可能な部材6412’に着脱可能に取り付けることができるチューブで構成してもよい。上記の実施形態と同様、膨張源(図に示されていない)を膨張管腔6422’に連結することができる。テザー6416’の近位末端部6416p’も膨張源(図に示されていない)に連結することができ、一方、テザー6416’の遠位末端部6416d’を第1の拡張可能な部材6410’が固定的に連結された状態で管状体内臓器内に挿入することができる。特定の態様では、下記により詳細に述べるように、テザー6416’の遠位末端部6416d’を円形型ステープラーのアンビルに取り付けることによって、吻合部が形成される際に拡張可能な装置6400’を管状体内臓器の内部に配置することができる。テザー6416’は、コイル状の位置に付勢するなど、もつれ防止機構を有することができ、曲がりくねった管状体内臓器を通じて操縦されるように構成された可撓性材料で形成することができる。テザー6416’は、その上に配置され、第2の拡張可能な部材6412’の近位に配置される磁石などの位置特定装置(図に示されていない)を有することができ、位置特定装置は、外科医が吻合部に対するテザー6416’の位置を決定することを可能とする。
【0038】
拡張可能な装置は様々な形で異なりうるものであり、
図6C及び
図6Dに示されるように、複数の拡張可能な部材の代わりに1個の拡張可能な部材を有することができる。図に示される実施形態では、拡張可能な装置6500、6500’は、異なる機構を利用して上記の拡張可能な装置6400、6400’の機能の多くを行うことができる。例えば拡張可能な部材6510、6510’は、近位固定点6526p、6526p’及び遠位固定点6528p、6528p’においてスコープ6418のような長尺部材と固定的に連結された1個のバルーンである。各拡張可能な部材6510、6510’は、スコープ6418の外側表面6418、6418’に沿って延びることができる1本の膨張管腔6522、6522’を有している。代替的に、拡張可能な部材は、長尺部材の外側表面に沿ってではなく、スコープ6418を通じて延びる膨張管腔を有してもよい。拡張可能な部材6510、6510’は様々な形で成形することができる。例えば、
図6Cは、拡張可能な部材6510が拡張位置にある場合にほぼダンベル形状をなす近位及び遠位拡張可能部分6510p、6510dを有し、更に拡張不能な中央部分6510cを有する拡張可能な部材6510を示している。
図6Dは、拡張位置にある場合にほぼ円筒状の形状を有する拡張可能な部材6510’を示している。上記の実施形態と同様、拡張可能な部材6510、6510’の最大直径は、休止状態にある(すなわち、拡張可能な部材6510、6510’が拡張位置で内部に配置される前の)管状体内臓器の内径よりも最大直径が大きくなるように選択することができる。
図7に示される別の実施形態では、拡張可能な装置6600は、第1及び第2の拡張可能な部材6410、6412を有してよく、それぞれ第1の拡張可能な部材6410及び第2の拡張可能な部材6412に流体を方向付けるように送達された遠位端6622d、6624dで終端する第1及び第2の膨張管腔6622、6624を有することができる。拡張可能な装置660は、装置の中央部分(第1の拡張可能な部材6410と第2の拡張可能な部材6412との間の空間)に液体又は気体を送達するように構成された遠位端6626dを有する第3の膨張管腔6626を更に有することができる。下記により詳細に述べるように、この管腔6626は、使用者が吻合部からの漏れを検査することができるように液体又は気体を吻合部の内壁に送達することができる。
【0039】
当業者によれば認識されるように、空気、二酸化炭素、生理食塩水、水などの様々な膨張流体(液体及び/又は気体)を拡張可能な部材に送達することができる。更に、膨張流体は、注入に先立ってメチレンブルーを膨張流体に加えることなどにより着色することができ、外科手術を可視化しやすくするための当該技術分野では周知の任意の生体適合性造影剤とすることができる。
【0040】
他の実施形態では、拡張可能な装置は、液体及び膨張管腔を使用することなく拡張位置へと動くように構成することができる。例えば、
図8A〜8Cは、拡張位置にあるステントの異なる実施形態を示している。一般的に、ステントは、圧縮位置と拡張位置との間で動くように構成することができるが、一般的には拡張位置へと付勢することができる。管状体内臓器内へのステントの送達を促すため、拡張可能なステントは、ステントを圧縮状態に保持し、ステントが吻合部に対して所望の位置となった時点で引き抜くことができる長尺シース(図に示されていない)内に配置することができる。上記の装置と同様、拡張可能なステントは、拡張位置において様々なサイズ、形状及び構成を有することができる。例えば、
図8Aのステント6700は、円錐台形状の末端部分6732、6734と、ステント6700が拡張位置にある場合に吻合部に隣接した管状体内臓器の内壁に接触するように構成された中央円筒状部分6736、6738とをそれぞれが有する第1及び第2の拡張可能な部材6710、6712を有している。ステント6700は、長尺部材6716を通じて延びるアクチュエーター6740を有する長尺部材6716又はロッドと連結することができる。アクチュエーター6740は、長尺部材6716に対して近位方向に引っ張られることによって拡張可能な部材6710、6712を
図8Aの拡張位置に展開するように構成することができる。
図8Bのステント6700’は、ほぼ漏斗状であり、かつ末端部6732’、6734’におけるよりもその中央部分6736’においてより小さい直径を有する第1及び第2の拡張可能な部材6710’、6712’を有することができ、末端部6732’、6734’は吻合部から所定の距離において管状体内臓器の内壁と接触するように構成されている。拡張可能な部材6710’、6712’は、1つ又は2つ以上の位置特定機構(図に示されていない)を配置することができるテザー6716のような可撓性体と連結することができる。
図8Cのステント6700’’は、体内臓器の長手方向軸に沿って延びるとともに長尺部材6716’’に連結された長尺状のワイヤ束6742を有してよく、ワイヤ束6742は第1の拡張可能部分6710及び第2の拡張可能部分6712を画定している。各ループの近位及び遠位端6742p、6742dを管状体内臓器の内壁に対して拡張するように構成することができるのに対して、各ループの中央部分は、拡張位置と圧縮位置とで同じ直径を有する(すなわち、吻合部における管状体内臓器よりも小さい直径を有する)。当業者によれば認識されるように、拡張可能なステントは、ニチノール、金属ワイヤ、プラスチックなどの様々な材料で形成することができる。
図8A〜8Cに示される拡張可能なステントはいずれも、吻合部における臓器の直径よりも小さい最大直径を有する中央部分を有しているが、各ステントは拡張可能な中央部分を有することもできる。ステントは様々な形で異なりうるものであり、長尺部材の代わりにスコープに連結するなど、任意の機構の組み合わせを有することができる。
【0041】
拡張可能な装置は、拡張可能な装置が患者の体内に配置された場合に使用者が装置の位置を特定しやすくする機構を有することができる。例えば、拡張可能な装置は、光を放射することが可能な材料で形成することなどにより、光を放射するように構成することができる。
【0042】
臓器へのカフの送達
患者に外科手術を行うことができるが、こうした外科手術は、内部に閉塞又は腫瘍を有する管状体内臓器の一部を切除することを含みうる。こうした手術の非限定的な例としては、直腸の低位前方切除術(LAR)が挙げられる。同様に、この手術は管状体内臓器、すなわち直腸に関して図示したものであるが、小腸の腸吻合術、腎臓の導管の尿管吻合術、胸部又は頸部の食道胃吻合術、大動脈−腸骨動脈吻合術などの別の管状の解剖学的構造も同様に処置することができる。管状体内臓器の一部が切除された後、手術は管状臓器の2つの部分を再び取り付ける(例えば、円形型外科用スクレーパーの使用などによる管腔−管腔吻合術を行う)ことを含みうる。当業者によれば認識されるように、手術は観血的外科手術であってもよいが、好ましくは低侵襲の腹腔鏡及び内視鏡外科手術であり、こうした手術では、複数の切開を患者に形成し、腹腔をガスで膨らませ、1本又は2本以上のトロカールを切開内に延ばし、そこを通じて器具を挿入するための作業通路(ワーキングチャネル)を画定する。切開のうちの1つからスコープを挿入することによって外科医が手術部位を可視化することができる。これに代えるか又はこれに加えて、患者の体内を通じてスコープを挿入することもできる(すなわち手術部位を可視化しやすくするために肛門を通じて)。下記により詳細に述べるように、拡張可能な装置及び円形型外科用スクレーパーを含む様々な装置が内視鏡下で手術部位に送達されうる。
【0043】
図9A〜9Eは、封止カフを使用して管状体内臓器をステープル留め及び封止するための外科手術の例示的な一実施形態を示している。この手術は、
図2A〜2Cの封止カフ6000及び
図1の外科用ステープラー200に関して説明されているが、封止カフ6000は本明細書に述べられる機構の任意の組み合わせを含むことができる。この手術はステープル留めに関して説明されているが、管状体内臓器は、例えばクリップ、縫合糸などのステープル以外の種類の締結具と組み合わせて本明細書に述べたようにして封止することもできる。この外科手術は、管状体内臓器の内部に配置された拡張可能な装置なしで示されているが、本明細書の装置のいずれのものも、臓器を拡張し、臓器の外側表面をカフの内側表面に対して押圧することによって臓器の外側表面とカフの内側表面との間にシーラントを保持するために使用することができる。
【0044】
図9Aは、管状体内臓器6800の第1及び第2の部分6800a、6800bを示しており、臓器6800の一部が切除された後で、かつ第1の部分6800aと第2の部分6800bとが吻合部において接合される前の状態である。管状体内臓器6800の第1の部分6800aは、その内部に配置され、そこから延びる第1のシャフト部分262aを有する外科用ステープラー200のカートリッジアセンブリ(図に示されていない)を有している。
図9Bに示されるように、カートリッジアセンブリは1本又は2本以上の縫合糸6802aによって臓器6800aの第1の部分6800a内に保持することができる。管状体内臓器6800の第2の部分6800bは、その内部に配置され、そこから延びる第2のシャフト部分262bを有する外科用ステープラー200のアンビル(図に示されていない)を有している。アンビルもまた、1本又は2本以上の縫合糸6802bによって臓器の第2の部分6800b内に保持することができる。2つの部分6800a、6800bを接合するのに先立って、カフ6000を第2のシャフト部分262b及び管状体内臓器の第2の部分6800bに被せて摺動させることによって封止カフ6000を管状体内臓器6800上に導入することができる。
【0045】
図9Bに示されるように、封止カフ6000が管状体内臓器6800の第2の部分6800b上に配置された状態で、第1の把持器具6818を患者の第1の切開から(トロカールを用いずに)直接、又はトロカール6804を通じて、封止カフ6000上に形成された第1の延長ポート6114内に挿入することによって、封止カフ6000を必要に応じて定位置に保持することができる。必要に応じて、第2の把持器具(図に示されていない)を、患者の第2の切開から(トロカールを用いずに)直接、第2のトロカール(図に示されていない)を通じて、第2の延長ポート6116内に挿入することができる。これらの把持器具を操作して封止カフ6000を管状体内臓器6800に沿って軸方向に動かしたり、かつ/又は封止カフ6000を臓器6800に対して回転させたりすることができる。特定の態様では、延長ポートが、カフの外側表面に対して延長ポートの角度を調節することを可能とする関節を有している場合、把持器具を使用してカフの外側表面に対する1つ又は2つ以上のポートの角度を変えることが可能であり、所望の角度が得られた時点でポートのそれぞれを角度をなした位置にロックすることができる。封止カフ6000が管状臓器6800の第1及び第2の部分6800a、6800bの末端部6806a、6806bから離れた位置に配置された状態で、アンビル254とカートリッジアセンブリ252とを互いに連結し、その間に組織を捕捉して吻合部の形成を開始することができる。
図9Cに示されるように、管状臓器6800の第1及び第2の部分6800a、6800bを互いの方向に動かすことができ、次いでシャフト262の第1の部分262aと第2の部分262bとを互いに連結することで、吻合部を形成するための外科用ステープラー200を準備することができる。図に示されるように、次にステープラー200のアンビル254とカートリッジアセンブリ252とは所定の間隔を空けることができる。使用者はステープラー200上のアクチュエーター(図に示されていない)を操作することができ、これにより、
図9Dに示されるように、アンビル254とカートリッジアセンブリ252とが管状体内臓器6800の一部をその間に捕捉するまでアンビル254をカートリッジアセンブリ252の方向に後退させることができる。アンビル254とカートリッジアセンブリ252とが互いに隣接して配置された状態で、装置200がカートリッジアセンブリ252からステープルを管状体内臓器6800の外周の周りに円形のパターンで発射して吻合部6808を形成することができる。吻合部6808が形成された後、ステープラー200を近位方向に患者の直腸の外部へと引き抜くことなどによって外科用ステープラー200を患者から取り出すことができる。
【0046】
封止カフ6000は様々な形で吻合部6808上に配置することができ、
図9Eに示されるように、カフ6000を吻合部6808に対して摺動させることなどにより、吻合部6808の方向に動かすことができる。封止カフ6000がシーラント6300を吻合部6808に向かって方向付けることができるように封止カフ6000の内部チャンバ6006を吻合部6808上に配置することができる。例えば、封止カフ6000は吻合部6808上に中心がほぼ位置するように配置することができる。すなわち、通路6028の第2の部分6028bを吻合部6808の長手方向中心軸LAと整列させることにより、吻合部6808へのシーラント6300の送達を促すことができる。上記に述べたように、封止カフが光を放射するように構成されている場合には、使用者は放射される光の位置に一部基づいてカフの位置を視覚的に監視することができる。
図9Fに示されるように、封止カフ6000が所望の位置に置かれた状態で、シーラント6300が液体状態である場合にはシーラント6300を送達チューブ6026内に導入することができ、シーラント6300はポート6024を通り、カフ6000の内部チャンバ6306内へと通過することができる。シーラント6300は、吻合部6808のステープル線内に浸透することができ、その内部で固化することによって漏れを防止することができる。当業者によれば認識されるように、シーラント6300が吻合部6808の周囲360°にわたって配置されるように充分な体積のシーラント6300を内部チャンバ6306内に送達することができる。封止カフ6000の内側表面6004に形成された突起6008が、シーラント6300を吻合部6808全体にわたって均一に分配する助けとなり、シーラント6300が重力により封止カフ6000の地面に最も近い部分に向かって引っ張られないようにすることができる。シーラント6300が液体状態から固化状態へと変化するまでの所定の時間、少なくともシーラント6300の硬化時間にわたって、封止カフ6000を吻合部6808の周囲に配置したままとすることができる。特定の態様では、封止カフ6000は、シーラント6300が液体から固化状態へと硬化する際に体内の管腔の周囲に回転させることによってシーラント6300による吻合部の周囲の均一な被覆を促すことができる。シーラント6300が硬化し、その固化状態において、1つ又は2つ以上の把持器具(図に示されていない)を、タブ61012a、6012b、6014a、6014bに沿って、又は延長ポート6114、6116内などの様々な位置において封止カフ6000と接触させて封止カフ6000を把持することができる。
図9Gに示されるように、把持器具を使用して封止カフ6000を破断させて破断部分を取り外すことによって第1の補強リブ6012を第2の補強リブ6014から分離させることが可能であり、封止カフ6000はC字状の断面を有する。上記に述べたカフ6200におけるように、カフがその内側表面に織り込まれた縫合糸を有する場合には、第2の縫合糸6236を切断して第1の縫合糸6232をカフ6000の内側表面6204から解放することによって、固化したシーラント6300をカフ6000から解放することができる。封止カフ6000を管状体内臓器6800から取り外して患者の身体から抜き去ることで、固化したシーラント6300bのほぼリング形状の構造を吻合部6808の周囲に留置することができる。シーラント6300bは例えば2週間後など、所定の時間の後に体内に吸収されうる。好ましくは、この時間は、管状体内臓器6800が吻合部6808において実質的に治癒するように選択される。
【0047】
臓器への拡張可能な装置の送達
図9A〜9Gの外科手術は、吻合部の形成及び吻合部の周囲への封止カフの配置を含むものであるが、本明細書に開示される拡張可能な装置を封止カフと組み合わせて使用することによってシーラントを臓器の外側表面とカフの内側表面との間に保持することができる。拡張可能な装置は、円形型外科用ステープラー又はスコープによる方法など、様々な方法で吻合部に送達することができる。例えば、
図10Aに示されるように、外科用ステープラー200のアンビル254を使用することによって吻合部が形成されるのに先立って管状体内臓器6800の内部への拡張可能な部材6410、6412の配置を容易にすることができる。
図10Bに示されるように、テザー6416’及び2個の拡張可能な部材6410、6412をアンビル254の遠位末端部254dに連結することができる。テザー6416’は、管状体内臓器6800内の構造の周囲にテザー6416’が絡みつくことを防止するためにコイル状の位置をとることができる。テザー6416’は、外科医が吻合部に対するテザー6416’の位置を視覚的に監視することができるように構成された磁石などの位置特定装置6430を必要に応じて有することができる。外科用ステープラー200がステープルを発射して吻合部6808を形成した後、テザー6416’の近位端6416p’をアンビル254から分離させ、近位端6416p’が患者の身体の外側に位置するまで管状体内臓器6800を通じて近位方向に引くことができる。また、
図10Cに示されるように、テザー6416’及び拡張可能な部材6410、6412を長尺部材6416又はロッドによってスコープ装置6417の遠位末端部6418dに連結してもよい。スコープ6418、長尺部材6416、及び拡張可能な部材6410、6412は、管状体内臓器6800を通じて経肛門的に挿入し、使用者が吻合部6800の近くへの拡張可能な部材6410、6412の配置を確認した後、テザー6416’をスコープ装置6418から分離することができる。拡張可能な装置/拡張可能な部材のいずれも、光を放射するように構成することができ、使用者は、放射された光の位置に一部基づいて吻合部に対する拡張可能な装置/拡張可能な部材の位置を特定することを行いうる。テザー6416’は、テザー6416’の近位末端部6416p’が患者の身体の外部に位置するまで近位方向に引くことができる。これらの実施形態のいずれにおいても、外科医は第1の拡張可能な部材6410を吻合部6808の第1の側、すなわち吻合部6808の遠位に配置することができる一方、外科医は第2の拡張可能な部材6412を吻合部6808の第2の側、すなわち吻合部6808の近位に配置することができる。拡張可能な部材6410、6412がそのように配置された状態で、テザー6416’の近位端6416p’を1つ又は2つ以上の膨張源(図に示されていない)に連結し、気体又は液体を拡張可能な部材6410、6412に送達することができる。例えば、第1の膨張源(図に示されていない)を第1の膨張管腔6422に流体移動可能に連結し、第1の拡張可能な部材6410を
図10Dに示されるような拡張位置へと膨張させることができる。第1の拡張可能な部材6410が拡張位置となった後、第2の膨張源(図に示されていない)を第2の膨張管腔6424に連結して第2の拡張可能な部材6412を
図10Eに示されるような拡張位置へと膨張させることができる。各工程の順序は様々な形で異なってよく、例えば、第1の拡張可能な部材6410を、第2の拡張可能な部材6412が膨張させられるのと同時に膨張させることができ、又は、拡張可能な部材6410、6412を順次膨張させてもよく、これを所望の大きさの力が管状体内臓器6800に作用するまで何回でも繰り返すことができる。
図11A及び
図11Bに示される別の実施形態では、S状結腸鏡などのスコープを経肛門的に管状体内臓器内に挿入することができ、こうしたスコープはその上に配置された1個の拡張可能な部材6500を有することができる。
図11Aに示されるように、肛門にスコープが挿入される場合、拡張可能な部材6500は圧縮位置をとることができる。より詳細には、外科医は、第1の連結部材6526dが吻合部6808の第1の側、すなわち吻合部6808の遠位に配置され、第2の連結部材6526pが吻合部6808の第2の側、すなわち吻合部6808の近位に配置されるように拡張可能な部材6500を患者の肛門内に挿入することができる。
図11Bに示されるように、拡張可能な部材6500の中央部分6510cは、封止カフ6000の中央部分と軸方向に整列させることができる。更に、封止カフ6000は中心が吻合部6808上にほぼ位置するように配置することができる。すなわち、カフ6000の通路の第2の部分を吻合部6808の長手方向中心軸LAと整列させることにより、カフ6000の内部チャンバ6006への、及び吻合部6808へのシーラント6300の送達を促すことができる。外科医は、当該技術分野では周知の可視化法を用いてこれらの装置の配置を確認することができる。拡張可能な部材6500の中央部分6510cを吻合部6800に隣接させて配置することができる。他の装置と同様、拡張可能な部材6500及び封止カフ6000は、カフ6000の中心が吻合部6808上にほぼ位置するように配置することができる。
図11Cに示されるように、膨張管腔6522を通じて気体又は液体が拡張可能な部材6500に送達されるにしたがって、第1及び第2の拡張可能な部分6510p、6510dが管状体内臓器6800の内側表面に対して力を作用させて管状体内臓器6800の外径を増大させる。これにより、管状体内臓器6800の外側表面が封止カフ6000の内側表面6004の方向に押される。当業者によれば認識されるように、流体は所望の体積又は圧力が得られるまで拡張可能な部材6500に送達することができる。シーラントがその固化状態にまでほぼ硬化した後、拡張可能な部材6500から流体を放出することにより拡張可能な部材6500を圧縮位置に動かした後、近位方向に引き抜いて患者の身体から取り出すことができる。
【0048】
本明細書に開示される拡張可能な装置のいずれも吻合部の近くに配置することができ、これを圧縮位置から拡張位置へと動かすことによって吻合部に隣接した、又はその周囲の管状体内臓器の部分の外径を増大させることができる。これには、上記に述べたような拡張可能な装置及び拡張可能なステントが含まれる。別の例では、
図6Bの拡張可能な部材6400’を使用して吻合部6808に隣接した、又はその周囲の管状体内臓器6800の外径を増大させることができる。この実施形態では、外科医は第1の拡張可能な部材6410’に対して第2の拡張可能な部材6412’を選択的に配置することができる。より詳細には、外科医は第1の拡張可能な部材6410’を吻合部6808の第1の側、すなわち吻合部6808の遠位に配置することができ、
図12Aに示されるように、拡張可能な部材6410’の位置をスコープ6418を用いて監視することができる。これに代えるか又はこれに加えて、外科医は、周知のイメージング法を用いて拡張可能な部材6410’の位置を監視することによってテザー6416’の近位端6416p’及び長尺部材6416の遠位端6416d’に連結された例えば磁石などの位置特定装置6430を識別することができる。外科医は、把持器具(図に示されていない)を管状体内臓器6808内に挿入してテザー6416’を切断するなどの様々な方法を用いて長尺部材6416からテザー6416’を分離することができ、
図12Bに示されるように、スコープ6418が患者の体外に位置するまでスコープ6418を近位方向に引き抜くことができる。膨張源(図に示されていない)をテザー6416’の近位端6416p’に連結して液体又は気体を送達することによって拡張可能な部材6410’を拡張することができる。
図12Cに示されるように、スコープ6418を管状体内臓器6800内に挿入することができ、第1の拡張可能な部材6410’の膨張の程度及び吻合部6808に対する第1の拡張可能な部材6410’の配置を監視することができる。テザー6416’の近位末端部6416p’が患者の身体の外部に位置した時点で、例えば第2の膨張可能なバルーンのような第2の拡張可能な部材6412’を近位末端部6416p’に被せて配置することができ、第2の拡張可能な部材6412’を圧縮位置でテザー6416’の軸方向長さに沿って摺動させることができる。これにより、使用者は、第2の拡張可能な部材6412’を第1の拡張可能な部材6410’に対して、また吻合部6800に対して選択的に配置することができ、使用者がスコープ6418を使用してこの配置を監視することができる。第2の拡張可能な部材6412’が所望の位置に配置された後、テザー6416’の近位末端部6416p’を膨張源(図に示されていない)に連結することができ、これを作動させて第2の拡張可能な部材6412’を
図12D及び
図12Eに示されるように拡張することができる。スコープ6418を近位方向に引き抜いて患者の身体から取り出すことができる。シーラント6300を吻合部6808の周囲に配置された封止カフ6000内に送達することなどの処置を管状体内臓器6800に対して行う際、拡張可能な部材6010’、6012’の体積を必要に応じて調節することによって、硬化反応の間、管状体内臓器6800の外側表面と封止カフ6000とがシーラント6300を確実に保持するようにすることができる。シーラント6300がその固化状態にまでほぼ硬化した後、第1及び第2の拡張可能な部材6010’、6012’を圧縮位置にまで収縮させた後、近位方向に引き抜いて患者の身体から取り出すことができる。
【0049】
臓器のシールを検査するための方法
吻合部のシールを検査するための方法によって、吻合部に沿ったシールの有効性に関するフィードバックが外科医に与えられることによって手術結果を改善することができる。より詳細には、これにより、外科医は処置を完了する前に介入を行っていっさいの漏れを修正することができる。漏れ検査はシーラントを吻合部に適用する前に行うことができ、液体又は気体が吻合部のステープル線から漏れ出ない場合には、外科医は吻合部に補強シーラントを適用する必要はないものと判断することができる。別の例として、シーラントを適用した後で漏れ検査を行うことで、シーラントがステープル線に浸透しその固化状態に硬化したことを外科医が確認することができる。本明細書で提供される拡張可能な部材のいずれのものも、吻合部に隣接した管状体内臓器の部分に液体又は気体を送達するための更なる管腔を有するように改変することができるが、これについては漏れ検査を行うための
図7の拡張可能な装置を具体的に参照されたい。
図13に示されるように、拡張可能な部材6410、6412がその拡張位置となるように装置に流体が送達された後、第3の膨張管腔6626に流体又は気体を送達することができる。この流体は第1の拡張可能な部材6410と第2の拡張可能な部材6412との間に閉じ込められることによって吻合部6808に圧力を加えることができる。拡張可能な部材6410、6412がこのように配置された状態では、組織が引き伸ばされるためにステープル線において漏れがより生じやすくなる。拡張可能な部材6410、6412において所望の体積及び圧力が得られるまで吻合部6808のこの部分に外科医が液体又は気体を送達し続ける際、周知のイメージング法を用いてあらゆる漏れを観察することができる。例えば、外科医は、ステープル線から管状体内臓器6800の外部へと移動する気泡又は液体を視覚的に特定することによって漏れの存在を確認することができる。上記に述べたように、色素又は造影剤の使用が、外科医がこれらの漏れを視覚的に特定する助けとなりうる。本方法は、膨張管腔6626を用いて管状体内臓器6800を通じて吻合部6808内に治療薬剤を送達することを更に含むことができる。かかる治療薬剤の非限定的な例としては、更なるシーラント材料、接着剤、凝固薬、治癒促進剤、抗がん剤、及び結腸ステントが挙げられる。本方法は他の形で行うこともできる。例えば、第4の管腔(図に示されていない)を拡張可能な装置6600に更に設けることができ、外科医はこの第4の管腔を使用して拡張可能な部材6410と拡張可能な部材6412との間の空間から気体又は液体を抜くことによって例えば漏れ検査を複数回行うか、かつ/又は異なる治療薬剤、気体、液体などを吻合部6808に送達することができる。
【0050】
漏れ検査を行うための他の方法も
図14A及び
図14Bに示されており、これらの図では、異なる位置において吻合部6808に作用する圧力が示されている。例えば、
図14Aは、マンドレル6910、6912の中央部分からその外周部にかけて増大する厚さを有する、第1及び第2のマンドレル6910、6912を有する拡張可能な装置6900を示しており、これは拡張可能な装置6900と管状体内臓器6800との間のシールを促進するためのものである。図に示されるように、マンドレル6910、6912の側部6910s、6912sは管状体内臓器6800の内壁の近くにおいて大きな厚さを有しているために、拡張可能な部材6910、6912のより大きな表面積が臓器6800の内側表面と接触するようになっている。これにより、拡張可能な装置6900はより高い圧力に耐えることができ、第1の拡張可能な部材6910と第2の拡張可能な部材6912との間の封止された空間6914内に流体が送達される際に吻合部6808に対してほぼ固定された位置に維持される。上記の実施形態と同様、第1の拡張可能な部材6910は、第1の膨張管腔6922を通じてこれに流体を送達することによって膨張させることができ、第2の拡張可能な部材は、第2の膨張管腔6924を通じて同時に、又は任意の順序で順次、これに流体を送達することによって膨張させることができる。
図14Aに示されるように、拡張可能な部材6910、6912が拡張位置となった時点で、気体などの流体を第3の膨張管腔6926を通じてマンドレル6910とマンドレル6912との間の空間6914内に送達することができる。これにより、流体が吻合部6808の近位又は遠位において漏れ出ないようにすることができる。このような漏れは吻合部6808に作用する圧力を低下させることによって漏れ検査の有効性を低下させるものである。
【0051】
図14Bは、
図14Aの拡張可能なマンドレル6910、6912と同様のサイズ及び形状を有する、近位及び遠位部分6912’、6910’を有する1個の拡張可能なマンドレル6900’を含む、漏れ検査を行うための方法を示している。流体を第1の膨張管腔6922’を通じて拡張可能なマンドレル6900’に送達することによってマンドレル6900’を拡張させることができる。拡張位置において、拡張可能なマンドレル6900’は、吻合部6800に隣接し、これと直接接触して配置される拡大された中央部分6900c’を有する。拡張可能なマンドレル6900’の中央部分6900c’は、吻合部6808に垂直な力を加え、図に示されるようなステープル線支持領域を形成することができる。これにより、拡張可能なマンドレル6900’は、シーラント6300がその周囲で硬化してカフ600内の定位置に保持される際に吻合部6808が径方向内側に圧縮されることを防止することができる。ステープル線の径方向への圧縮は、管状体内臓器6800の直径を減少させ、液体及び固体が管状体内臓器6800を通過する妨げとなりうることから望ましくない。拡張可能なマンドレル6900’がこのように配置されている場合、流体は、吻合部6808の遠位に配置され、遠位部分6910’と吻合部6808との間に配置された第1のチャンバ6902’に第2の膨張管腔6924’を通じて送達することができる。これと同時に、又は順次、流体を、吻合部6808の近位に配置され、近位部分6912’と吻合部6808との間に配置された第2のチャンバ6904’に第3の膨張管腔6926’を通じて送達することができる。上記の実施形態と同様、外科医は吻合部6808からのあらゆる漏れを視覚的に特定することができる。漏れが認められた場合、外科医は封止カフ6000などを使用してシーラント6300を吻合部に適用し、漏れが修復されたと外科医が判断するまで漏れ検査を何回でも行うことができる。
【0052】
漏れ検査が行われた後、かつ/又はシーラントが硬化して吻合部が補強された場合、液体又は気体を拡張可能な部材から取り除くことができ、これにより拡張可能な部材が圧縮位置となり、拡張可能な装置を近位方向に患者の身体の外部に引き抜くことができる。
【0053】
再処理
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができるか、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も装置は少なくとも1回の使用後には再使用のために再調整することができる。再調整では、装置の分解、これに続く特定の部品の洗浄又は交換、及び、その後の再組み立ての任意の組み合わせを行うことができる。詳細には、装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の要素又は部品を任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換したならば、装置は、再調整設備においてその後の使用に向けて、又は外科手術の直前に外科チームによって、再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができる点は認識されよう。かかる技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置はすべて本出願の範囲内に含まれる。
【0054】
特定の実施形態では、本明細書に述べられる装置は手術前に処理を行うことができる。最初に、付属材料を含みうる新品又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次いで器具を滅菌することができる。特定の実施形態では、例えばオーブン内で、水分に対して付属材料より高い親和性を有しうる乾燥剤製品と一緒に器具を乾燥させることができる。1つの滅菌法では、器具をプラスチック製若しくはTYVEK製バッグ又はホイルバッグなどの閉鎖かつ密封された容器に入れる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの容器を貫通することができる放射線場に置く。こうした放射線は器具上及び容器内の細菌を死滅させる。別の滅菌法では、器具を、蒸気透過性の裏張りを有するプラスチック製又はTYVEK製バッグなどの第1の容器に入れる。次いで、第1の容器を、開いたままとすることができる例えばホイルバッグなどの第2の容器内にパッケージングすることができる。この第1及び第2の容器を、器具とともにエチレンオキシド滅菌に供することができる。次いで、水分への曝露を防ぐために第2の容器を密封する。密封に先立って、装置の1つ又は2つ以上の構成要素の変化を更に防止するために第1及び第2の容器のうち少なくとも一方に乾燥剤製品を入れることができる。いずれの方法においても、滅菌された材料はその後、滅菌容器内で保管することによって容器が医療機関において開封されるまでの間、材料を滅菌状態に維持することができる。
【0055】
当業者には、上述の実施形態に基づいた本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書に引用されるすべての刊行物及び文献はそれらの全容を参照によって本明細書に明示的に援用するものである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) 固化状態へと硬化するように構成された液体シーラントと、
互いに着脱可能に嵌合することにより閉鎖ループを形成する第1及び第2の端部を有する側壁を有する封止カフであって、前記側壁が内部チャンバを画定し、前記封止カフは、体内の管腔の周囲に配置されるように構成されることによって外側壁と前記体内の管腔との間で前記内部チャンバが封止されることで前記液体シーラントがその内部に受容され、前記体内の管腔と直接接触する、封止カフと、
前記封止カフに連結され、前記シーラントを前記封止カフの前記内部チャンバに送達するように構成されたチューブと、を含む、外科用キット。
(2) 前記側壁がほぼ半球状であり、前記側壁の内側表面がほぼ凹状である、実施態様1に記載のキット。
(3) 前記封止カフが、前記内部チャンバ内における前記シーラントの分配を促すために前記側壁の内側表面に形成された複数の突起を有する、実施態様1に記載のキット。
(4) 前記複数の突起が、前記側壁の外周の周りに均等な間隔で配置された、実施態様3に記載のキット。
(5) 前記封止カフが、前記側壁の内側表面に連結された縫合糸を有する、実施態様1に記載のキット。
【0057】
(6) 前記縫合糸が十字に交差したパターンで配置されている、実施態様5に記載のキット。
(7) 前記封止カフの前記第1及び第2の端部を着脱可能に嵌合させるためのロック機構を更に含む、実施態様1に記載のキット。
(8) 圧縮位置から拡張位置へと動くように構成された少なくとも1つの拡張可能な部材を更に含み、前記少なくとも1つの拡張可能な部材は、前記少なくとも1つの拡張可能な部材が前記拡張位置にある場合に前記封止カフの前記内部チャンバの形状にほぼ一致する形状を有する、実施態様1に記載のキット。
(9) 前記シーラントが、フィブリン、トロンビン、ヒドロゲル、ベンゾカイン、シアノアクリレート、ポリグリコール酸、ヒアルロン酸、過酸化マグネシウム、過酸化水素、多血小板血漿、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載のキット。
(10) 前記シーラントが所定の時間の後に液体状態から固化状態に変化するように構成されている、実施態様8に記載のキット。
【0058】
(11) リング形状の側壁を有する封止カフを含み、前記側壁が、内部にシーラントを保持するように構成された内部チャンバを画定し、前記封止カフが、前記内部チャンバ内に前記シーラントを分配するための複数の延長部を有し、該複数の延長部は、前記封止カフが管状体内臓器の周囲に配置され、前記シーラントが前記封止カフに送達される際に前記シーラントが前記カフの前記内部チャンバ内にほぼ均一に分配されて前記臓器のほぼ外周に沿って固化するようなサイズ及び形状に構成されている、外科用装置。
(12) 前記封止カフにポートが形成され、該ポートが、前記カフの前記内部チャンバにシーラントを送達するための送達チューブと嵌合するように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記延長部のそれぞれが前記封止カフの周囲に径方向に配置されている、実施態様11に記載の装置。
(14) 前記複数の延長部が、前記内部チャンバの内側表面に沿って間隔を空けて配置されている、実施態様11に記載の装置。
(15) 前記複数の延長部がほぼ円筒形状である、実施態様14に記載の装置。
【0059】
(16) 管状臓器の吻合部を補強するための方法であって、
管状臓器に吻合部を形成することと、
吻合部の周囲に封止カフを適用することであって、前記封止カフが、前記封止カフの内側表面に沿って延在し、かつシーラントを収容するための織物構造を有する少なくとも1本の縫合糸を有する、ことと、
シーラントを前記封止カフの内部チャンバ内に注入することによって前記シーラントが前記吻合部と直接接触してその周囲に実質的なシールを形成することと、を含む、方法。
(17) 前記シーラントが前記封止カフの前記内部チャンバ内に送達される前に前記吻合部が前記管状臓器に形成される、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記シーラントが前記封止カフの前記内部チャンバ内に送達された後で前記吻合部が前記管状臓器に形成される、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記シーラントを前記封止カフの前記内部チャンバ内に注入することによって、前記シーラントが前記少なくとも1本の縫合糸の周囲で固化する、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記シーラントが固化した後、前記少なくとも1本の縫合糸を前記封止カフから分離させることによって前記カフの前記内部チャンバから前記シーラントを解放することを更に含む、実施態様19に記載の方法。