(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記与えるステップは、調整可能軌道角運動量生成回路部に提供される少なくとも1つの調整パラメータに応じて、選択された軌道角運動量を前記第1信号に与えることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2014年3月12日に出願され「CONCENTRATION MEASUREMENTS USING PHOTON ORBITAL ANGULAR MOMENTUM」と題する米国仮出願第61/951,834号(代理人事件番号NXGN−32089)の利益を主張する、2014年7月24日に出願され「SYSTEM AND METHOD FOR MAKING CONCENTRATION MEASUREMENTS WITHIN A SAMPLE MATERIAL USING ORBITAL ANGULAR MOMENTUM」と題する米国特許出願第14/339,836号(代理人事件番号NXGN−32196)の特許協力条約出願であり、参照によりこれらの明細書の全体が援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、様々な有機および非有機(non-organic)物質の濃度測定に関し、より詳細には、物質のサンプルを通過した波の軌道角運動量を用いた有機および非有機物質の濃度測定に関する。
【0003】
[背景技術]
人体組織内の有機および非有機物質の濃度測定は、各個人に対するヘルスケアにとって、より重要となりつつある一面である。人体組織内の生物学的および代謝性物質を監視するための非侵襲性測定技術の発達は、様々な人間の疾病の診断療法の重要な一面であり、疾病の適切な管理において重要な役割を果たす可能性がある。
【0004】
人体組織内において監視され得る生物学的物質の一例はグルコースである。グルコース(C
6H
12O
6)は単糖(monosaccharide sugar)であり、最も重要な炭水化物栄養源のひとつである。グルコースは、ほぼすべての生物学的プロセスの基礎であり、ATPアデノシン三リン酸その他の必須細胞物質の生産に必要となる。人間の血液中のグルコース濃度の通常の範囲は、最後の食事の時刻、物理的許容度(the extent of physical tolerance)および他の要因に依存し、70〜160mg/dlである。自由に循環するグルコース分子は膵臓からのインシュリンの解放を刺激する。インシュリンは、細胞膜(cell membrane)(通常はグルコースに対して不透過性である)内に2つの特定の受容器を拘束することによって、グルコース分子が細胞壁(cell wall)を貫通することを助ける。
【0005】
グルコース濃度に関する問題に関連する疾病の1つは糖尿病である。糖尿病は、インシュリンの生産減少またはインシュリンを利用して細胞膜を通してグルコースを輸送する能力の減少によって起きる疾病である。結果として、疾病の間、血液内に潜在的に危険な高濃度のグルコースが蓄積する(高血糖)可能性がある。したがって、起こり得る重症生理学的合併症を防止するために、血液グルコース濃度を通常範囲内に維持することは非常に重要である。
【0006】
生理学的グルコース監視の重要な役割の1つは、いくつかの代謝性疾病(たとえば、真性糖尿病(diabetes mellitus)または単に糖尿病(diabetes)等)の診断および管理である。現在、グルコースの監視に用いられる侵襲性および非侵襲性の技術がいくつかある。既存の非侵襲性グルコース監視技術の問題は、臨床的に需要可能なプロセスが未だ決定されていないということである。血液の分析からの標準的技術は、現在、個人が指を刺すことと、その後に、指から収集された血液サンプルを分析することとを伴う。ここ数十年では、非侵襲性の血液グルコース監視は、生物医学工学の領域において、ますます重要な研究トピックになってきている。とくに、当該分野では、光学的手法の導入がいくらかの進歩をもたらした。光学の進歩は、光学的結像技術(optical imaging technologies)に焦点を絞った関心および非侵襲性結像システム(non-invasive imaging systems)の発展を導いた。ガンの診断および処置における監視への光学的手法の応用もまた、光学的検出方法の単純さおよび低リスクのために、成長しつつある分野である。
【0007】
生物組織内の様々な代謝産物およびグルコースを感知するための光学的技術が、過去50年以上にわたって発展してきた。それらの方法は、繁栄した(florescent)、近赤外および中赤外分光法、ラマン分光法、光音響、光コヒーレンス断層撮影法、およびその他の技術に基づいていた。しかしながら、これらの試された技術のうち、まったく申し分ないとわかったものはない。
【0008】
光学的物質濃度センシングに向いている別の有機構成要素は、人間の皮膚を含む。人間の皮膚の防御機構は、カロチノイド、ビタミン、酵素、等の抗酸化物質の作用に基づいている。ベータカロチンおよびリコピンは、人間の組織体内のカロチノイドの70%以上に相当する。ベータカロチンおよびリコピンの局所的または組織的な(systematic)適用は、人体の防御系を改善するための一般的な戦略である。この処置の評価および最適化には、人体組織内の(とくに環境に対する障壁としての人間の皮膚において)bカロチンおよびリコピンの濃度測定を要する。
【0009】
このように、人体または他種のサンプルにおける様々な物質の濃度の検出を可能にする改良された非侵襲性技術は、医療分野においていくつかの用途を有するであろう。
【0010】
[サマリー]
本明細書に開示され説明される発明は、その一態様において、サンプル内の物質の濃度を測定するための装置を備える。信号生成回路部は、そこに与えられる少なくとも1つの軌道角運動量を有する第1信号を生成し、第1信号をサンプルに当てる。検出器が、第1信号がサンプルを通過した後に第1信号を受信するとともに、サンプルから受信した第1信号に伴う軌道角運動量の検出値に基づいて、サンプル内の物質の濃度を決定する。
【0011】
より完全な理解のために、添付図面とともに読まれる以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】光ビームまたは他の波を用いてサンプル内の特定の物質の濃度を決定するための態様の概略的表現を示す図である。
【
図2】軌道角運動量が伝えられた光ビームを示す図である。
【
図4】波面の伝搬の向きの周りに螺線状に進むポインティングベクトルを有する波面を示す図である。
【
図7】スピンベクトルにのみ変化を有する平面波を示す図である。
【
図8】波に対する固有軌道角運動量の付与を示す図である。
【
図9a】
図9bおよび
図9cとは異なる軌道角運動量を与えられた信号を示す図であり、相違を示す図である。
【
図9b】
図9aおよび
図9cとは異なる軌道角運動量を与えられた信号を示す図であり、相違を示す図である。
【
図9c】
図9aおよび
図9bとは異なる軌道角運動量を与えられた信号を示す図であり、相違を示す図である。
【
図10】様々な固有モードに対するポインティングベクトルの伝搬を示す図である。
【
図11】軌道角運動量を用いて様々な物質の濃度測定を提供する装置のブロック図である。
【
図13】
図11のシステムの固定軌道角運動量生成器を示す図である。
【
図14a】平面波信号に様々な軌道角運動量を与える際に用いられるホログラムを示す図である。
【
図14b】平面波信号に様々な軌道角運動量を与える際に用いられるホログラムを示す図である。
【
図14c】平面波信号に様々な軌道角運動量を与える際に用いられるホログラムを示す図である。
【
図14d】平面波信号に様々な軌道角運動量を与える際に用いられるホログラムを示す図である。
【
図15】エルミート・ガウスモードとラゲール・ガウスモードとの関係を示す図である。
【
図16】信号に軌道角運動量を与えるための、重ね合わされたホログラムを示す図である。
【
図17】
図11のシステムにおいて用いられる調整可能軌道角運動量生成器を示す図である。
【
図18】複数のホログラム画像を含む、調整可能軌道角運動量生成器のブロック図である。
【
図19】OAM生成器の出力が、他の軌道角運動量を与えることによって変化し得る態様を示す図である。
【
図20】OAM生成器がエルミート・ガウスビームをラゲール・ガウスビームに変換可能である代替的態様を示す図である。
【
図21】OAM生成器内のホログラムが光のビームをねじることができる態様を示す図である。
【
図22】OAMねじれ波をサンプルが受信し、特定のOAMシグネチャを有する出力波を提供する態様を示す図である。
【
図23】軌道角運動量が、軌道角運動量のビーム軸の周りの分子と相互作用する態様を示す図である。
【
図24】受信した軌道角運動量信号を増幅する整合回路部のブロック図である。
【
図25】より高次の軌道角運動量光ビームを生成するために、整合モジュールが非線形結晶を使用可能な態様を示す図である。
【
図26】軌道角運動量検出器およびユーザインタフェースのブロック図である。
【
図27】サンプルを通過する光ビームのスピン角偏波および軌道角偏波に対するサンプルの濃度の影響を示す図である。
【
図28】サンプルを通過する光ビームの軌道角運動量偏波を変更するプロセスをより詳細に示す図である。
【
図29】
図11のシステムのユーザインタフェースのブロック図である。
【
図30】
図11に示すような装置を介して収集されたデータを伝達してまわるネットワーク構成を示す図である。
【
図31】軌道角運動量を用いてグルコースの濃度を測定する装置のより詳細な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[詳細な説明]
軌道角運動量を用いてサンプル物質内の濃度測定を行うシステムおよび方法の様々な視点および実施形態が、図面(全体を通して、類似の要素を指すために類似の参照番号が用いられている)を参照して図示され説明され、他の可能な実施形態が説明される。各図は必ずしも縮尺を表すように描かれてはおらず、図示のみの用途で、場合によっては図面が部分的に誇張または単純化されている。当業者は、以下の、可能な実施形態の例に基づき、多くの可能な応用および変形を理解する。
【0014】
図面(とくに
図1)を参照すると、特定の物質サンプル102を通って伝達される光ビームまたは他の波に与えられた軌道角運動量を用いて物質サンプル102の濃度が監視可能である態様の概略的表現が示されている。物質サンプル102には、物質サンプル102の全長を通してビーム104が照射されている。物質サンプル102を通過した後、出射ビーム106は物質サンプルを離れ、物質サンプル102内の様々な濃度特性を決定するために分析されてもよい。出射ビーム106内で物質サンプル102の様々な特性が決定可能な態様は、物質サンプル102内の濃度によって出射ビーム106に伝達された軌道角運動量シグネチャの分析に関して達成される。
【0015】
図2も参照すると、システムとともに用いるためのビームの一実施形態が示される。光ビーム104は、光ビーム104内の光子流202からなる。各光子は
【0017】
のエネルギーと、波面に垂直な光ビーム軸204に沿って向けられた線形運動量
【0019】
とを有する。周波数と無関係に、光ビーム内の各光子202は、光ビーム伝搬の向きと平行または逆平行に揃った
【0021】
のスピン角運動量206を有する。全光子202のスピンが揃うことにより、円偏光ビームが生じる。円偏波に加え、光ビームは、円偏波に依存しない(したがって光子スピンに関係しない)軌道角運動量208も搬送する場合がある。
【0022】
定義された周波数の行儀のよい光ビーム源として、光学実験において広くレーザーが用いられる。
図1に関して説明した光ビーム104を提供するために、レーザーが用いられてもよい。任意の光ビーム104内のエネルギー束は、光ビーム内の電磁界のベクトル積から計算され得るポインティングベクトルによって与えられる。真空または任意の等方性物質において、ポインティングベクトルは波数ベクトル(wave vector)に平行であり、光ビームの波面に垂直である。通常のレーザー光では、
図3に示すように各波面300は平行である。光子の線形運動量および波数ベクトルは、zの向きの軸302に沿って向けられる。このような光ビームの場の分布はマックスウェルの波動方程式の近軸解であり、これらの単純なビームが最もありふれているが、他の可能性も存在する。
【0023】
たとえば、l個の絡み合った螺旋波面を持つビームもまた、波動方程式の解である。これらの複雑なビームの構造は可視化困難であるが、それらの形状はl=3フジッリパスタからよく知られている。最も重要なことは、
図4に402で示すように、その波面は、ポインティングベクトルと、光ビームの伝搬の軸の向きの周りに螺旋状に進む波数ベクトルとを有するということである。
【0024】
ポインティングベクトルは波面上に方位角成分を有し、ビーム断面にわたって積分した時の合成はゼロではない。円偏光のスピン角運動量も同様にして解釈可能である。円偏波した平面波面を持つビームは、軌道角運動量を持たない場合であっても、径方向強度勾配に比例するポインティングベクトルの方位角成分を有する。これを光ビームの断面にわたって積分すると有限の値となる。ビームが線形に偏波しているときには、ポインティングベクトルの方位角成分はなく、したがってスピン角運動量もない。
【0025】
このように、光ビーム104内の各光子202の運動量は方位角成分を有する。運動量の詳細な計算には、光ビーム内の全電界および全磁界(とくにビームの伝搬の向きの電界および磁界)を必要とする。ビーム内の各点について、運動量の方位角成分とz成分との比はl/krであることがわかる。(ただし、l=__であり、k=__であり、r=__である。)光ビーム104内の各光子202の線形運動量は
【0027】
で与えられるので、半径ベクトルr内の方位角成分のクロス積を取ると、光子202について
【0029】
の軌道運動量を得る。波数ベクトルの方位角成分はl/rであり、波長に無関係であるということにも注意すべきである。
【0030】
図5および6を参照すると、平面波面および螺旋波面が示される。通常は、平面波面502を持つレーザービームはエルミート・ガウスモードの観点から特徴付けられる。これらのモードは矩形対称性を有し、m504およびn506という2つのモードインデックスによって記述される。xの向きにm個のノードがあり、yの向きにn個のノードがある。合わせると、xの向きおよびyの向きにおける合成モードは、HG
mn508とラベル付けされる。これに対し、
図6に示すように、螺旋波面602を持つビームは、インデックスI603と、絡み合う螺旋の数604と、径方向ノードの数p606とによって記述されるラゲール・ガウスモードの観点から最もよく特徴付けられる。ラゲール・ガウスモードはLG
mn610とラベル付けされる。l≠0について、光ビーム104上の位相特異点は結果として軸強度上で0となる。螺旋波面を持つ光ビーム104が円偏波もしている時には、角運動量は軌道成分およびスピン成分を有し、光ビームの全角運動量は光子ごとに
【0033】
伝達されるエネルギー信号の軌道角運動量状態を用いて、信号によって伝達される電磁放射内に物理的情報を埋め込むことができる。マックスウェル・ヘビサイド方程式は次のように表せる:
【0035】
ただし∇はデル演算子であり、Eは電界強度であり、Bは磁束密度である。これらの方程式を用いて、マックスウェルの原方程式から23個の対称性/保存量を導出することができる。しかしながら、よく知られた保存量は10個しかなく、それらのうちいくつかのみが商業的に用いられる。歴史的に、マックスウェルの方程式が元の四元形式に維持される場合、対称性/保存量を見て取るのが比較的容易であるが、ヘビサイドによる現在のベクトル形式に修正された時には、マックスウェル方程式にそのような固有の対称性を見て取るのが比較的困難となった。
【0036】
保存量および電磁界は、系のエネルギーの保存と、系の線形運動量の保存とに従って表現することができる。時間の対称性すなわち系のエネルギーの保存は、上記各方程式に従い、ポインティングの定理を用いて表現することができる:
【0038】
空間対称性すなわち電磁的ドップラーシフトを表す系の線形運動量の保存は、次の各方程式により表される:
【0040】
系のエネルギー中心の保存は、次の方程式によって表される:
【0042】
同様に、系の角運動量の保存(方位角のドップラーシフトを生じる)は、次の方程式によって表される:
【0044】
自由空間内の放射ビームについては、EMフィールド角運動量J
emが2つの部分に分けられる:
【0046】
実数値表現における特異フーリエモードのそれぞれについて、
【0048】
第1の部分はEMスピン角運動量S
emであり、その古典的な発現は波の偏波である。第2の部分はEM軌道角運動量L
emであり、その古典的な発現は波の螺旋性(ヘリシティ)である。一般的に、EM線形運動量P
emおよびEM角運動量J
em=L
em+S
emは、遠距離電磁界(far field)までずっと放射される。
【0049】
ポインティングの定理を用いて、信号の光学的渦度は、光学的速度方程式
【0051】
に従って決定可能である。ただしSは、ポインティングベクトル
【0055】
であり、EおよびHはそれぞれ電界および磁界を構成し、εおよびμ
0はそれぞれ媒体の誘電率および透磁率である。この場合、光学的渦度Vは、方程式
【0057】
に従って、光学的速度の回転によって決定可能である。
【0058】
図7および8を参照すると、スピンベクトルのみが変化する平面波の状況(
図7)において、および、伝搬の向きの周りにポインティングベクトルを螺旋状に進ませる態様でスピンおよび軌道ベクトルが変化する状況(
図8)において、信号および信号に関連するポインティングベクトルが変化する態様が示される。
【0059】
図7に示される平面波の状況において、平面波のスピンベクトルのみが変化する時には、伝達される信号は、3つの構成のうち1つを取る可能性がある。各スピンベクトルが同一の向きである時には、概して704で示されるように線形信号が提供される。なお、704は線形信号を提供するためにx方向にのみ変化するスピンベクトルを示しているが、スピンベクトルは、704に示すものと同様であるが704に示す信号と直交する方向の線形信号を提供するためにy方向に変化することもできるということに注意すべきである。704に示すような線形偏波では、信号の各ベクトルは同一の向きであり、同一の大きさを有する。
【0060】
706に示すような円偏波内では、各信号ベクトル712は互いに対して90度であるが、同一の大きさを有する。これにより、信号は706に示すように伝搬し、
図7に示す円偏波714を提供する。楕円偏波708でも各信号ベクトル716は互いに対して90度であるが、互いに異なる大きさを有する。これにより、信号伝搬408について示される楕円偏波718を提供する。
図7Aに示される平面波については、図示される様々な信号構成について、ポインティングベクトルは一定の向きに維持される。
【0061】
図8の状況は、信号に固有軌道角運動量が与えられた時を示す。これが起きると、ポインティングベクトルS810は、信号の伝搬の概略的な向き812の周りを螺旋状に進む。ポインティングベクトル810は、3つの軸成分S
φ,S
pおよびS
zを有し、これらは、ベクトルを信号の伝搬の向き612の周りに螺旋状に進ませながら変化する。後述するように、ポインティングベクトル810を構成する様々なベクトルの値が変化することにより、各信号を同一の波長または周波数上で伝達できるようにするために、ポインティングベクトルの螺旋が変化する場合がある。加えて、ポインティングベクトル410によって示される軌道角運動量の各値は、濃度走査機構によって処理される特定の物質に関連付けられた濃度を決定するために測定することができる。
【0062】
図9a〜9cは、異なるヘリシティ(すなわち与えられた軌道角運動量)を有する各信号における相違を示す。異なるヘリシティは、ビームが通過したサンプル内の物質の異なる濃度を示す。信号に関連付けられた特定の軌道角運動量シグネチャを決定することにより、物質の濃度量を決定することができる。信号902、904および906に関連付けられた、螺旋状に進むポインティングベクトルのそれぞれが、異なる形状の信号を提供する。信号902は+1の軌道角運動量を有し、信号904は+3の軌道角運動量を有し、信号906は−4の軌道角運動量を有する。各信号は、個別の軌道角運動量と、関連付けられたポインティングベクトルとを有し、これによって、検出された軌道角運動量に関連付けられた物質の特定の濃度を信号が示すことを可能にする。これによって、各軌道角運動量が個別に検出可能であり、サンプル物質を通って伝達された信号の軌道角運動量に影響を与えた特定の物質の濃度の固有の指標を提供するので、信号から決定されるべき、様々な種類の物質の濃度の決定が可能になる。
【0063】
図10は、様々な固有モードについてポインティングベクトルの伝搬を示す。各リング1020は、異なる軌道角運動量を表すねじれまたは異なる固有モードを表す。異なる軌道角運動量は、それぞれ、ある特定の物質のある特定の濃度に関連付けられる。軌道角運動量の向きは、装置によって監視される、関連付けられた物質濃度の指標を提供する。各リング1020は、それぞれ、監視中の選択された物質の異なる濃度を表す。各固有モードは、異なる物質濃度を示すリングを生成するポインティングベクトル1022を有する。
【0064】
図11を参照すると、上述の原理に従って、装置によって検出される軌道角運動量に応じて様々な物質の濃度測定を提供する装置のブロック図が示されている。放射器1102は、平面波の列を含む波エネルギー1104を発信する。放射器1102は、
図3に関連して上述したような平面波の列を提供してもよい。軌道角運動量生成回路部1106は、既知の態様で、波1108に与えられる軌道角運動量を有する波の列を生成する。軌道角運動量生成回路部706は、後に詳述するように、ホログラムまたは他の種類の軌道角運動量生成プロセスを利用してもよい。軌道角運動量ねじれ波708は、試験中のサンプル物質1110に当てられる。サンプル物質1110は物質を含み、物質の濃度は、本明細書に記載のプロセスに従って、濃度検出装置を介して決定される。
【0065】
サンプル物質710からの出力波1112の列がサンプルを出射し、サンプル物質710内の、研究中の特定の物質の濃度の結果として、特定の軌道角運動量を与えられる。出力波1112は、研究中の具体的物質によって生成された特定の軌道角運動量を増幅するためのマッピング開口を含む整合モジュール1114に当てられる。整合モジュール1114は、装置によって検出される、物質の特定の濃度に関連付けられた軌道角運動量を増幅する。増幅されたOAM波1116は、検出器1118に提供される。検出器1118は、サンプル内の物質の濃度に関するOAM波を検出し、この濃度情報をユーザインタフェース1120に提供する。ユーザインタフェース1120は濃度情報を解釈し、関連する濃度指標を個人または記録装置に提供する。
【0066】
図12を参照すると、放射器1102がより詳細に示されている。放射器1102は、OAM生成モジュール1106に、いくつかの種類のエネルギー波1104を放射してもよい。放射器1102は、光学的波(optical wave)1200、電磁波1202、音響波1204、または他の任意の種類の粒子波1206を放射してもよい。放射された波1104は、
図7に示されるような、軌道角運動量が与えられておらず、様々な種類の放射装置から到来することができ、情報が含まれている平面波である。一実施形態では、放射装置はレーザーを備えてもよい。平面波は、ねじれもヘリシティも与えられていない互いに平行な波面を有し、波の軌道角運動量は0に等しい。平面波内のポインティングベクトルは、波の伝播の向きと完全に整列している。
【0067】
OAM生成モジュール1106は、入射する平面波1104を処理して、放射器1102から提供される平面波1104に既知の軌道角運動量を伝達する。OAM生成モジュール1106は、放射器702の平面波から、ねじれたまたは螺旋状の、電磁波、光学的波、音響波、または他の種類の粒子波を生成する。螺旋波1108は、伝搬の向きに整合しておらず、
図5に示すように、伝搬の向きの周りに進む。OAM生成モジュール1106は、一実施形態では、
図13に示すような固定軌道角運動量生成器1302を備えてもよい。固定軌道角運動量生成器1302は、放射器1102から平面波1104を受信し、固定軌道角運動量が与えられた出力波1304を生成する。
【0068】
固定軌道角運動量生成器1302は、一実施形態では、OAMねじれ波904を生成するために、平面波1104に固定軌道角運動量を与えるためのホログラフィ画像を備えてもよい。軌道角運動量生成器1102に当てられている光信号に対する所望の軌道角運動量ねじれを作成するために、様々な種類のホログラフィ画像を生成することができる。
図14a〜14dに、これらのホログラフィ画像の様々な例が示されている。一実施形態では、軌道角運動量生成回路部706によって放射器1102から発信される平面波信号の変換は、ホログラフィ画像を用いて達成されてもよい。
【0069】
大部分の商用レーザーは、ガウス関数(Gaussian function)によって記述される横方向の強度と平面波面とを持つ、HG
00(エルミート・ガウス)モード1502を放射する(
図15)。HG
00エルミート・ガウスモード1502をラゲール・ガウスモード1504にうまく変換するためにいくつかの異なる方法が用いられてきたが、最も簡単に理解できるものはホログラムの使用である。
【0070】
ラゲール・ガウスビームを記述する円筒対称解u
pl(r,φ,z)は次の方程式で与えられる:
【0072】
ただしz
Rはレイリー範囲であり、w(z)はビームの半径であり、L
pはラゲール多項式であり、Cは定数であり、ビームウェスト(beam waist)はz=0にある。
【0073】
最も単純な形式では、所望のビームが小さい角度で従来のレーザーのビームと交差する時に結果として生じる計算された干渉パターンから、コンピュータ生成ホログラムが作成される。計算されたパターンは高解像ホログラフィフィルムに転写される。現像されたホログラムが元のレーザービーム中に配置されると、結果として回折パターンが生じる。これの1次(first order)は、所望の振幅および位相分布を有する。これは、OAM生成モジュール1106を実装するための一態様である。OAM生成モジュール内で用いるためのホログラフィ画像のいくつかの例が、
図14a〜14eに関して示される。
【0074】
ホログラムの設計には、様々な複雑さのレベルがある。黒と白のみを含みグレースケールを持たないホログラムは、バイナリホログラムと呼ばれる。バイナリホログラム内では、2つの干渉するビームの相対的強度には意味がなく、ホログラムの透過は、ゼロとπの間の計算された位相差についてゼロにセットされるか、または、πと2πの間の位相差について単位量にセットされる。バイナリホログラムの制限は、入射した電力がほとんど1次の回折スポットに到達しないということである(格子を照射する(blaze)ことによって部分的に解消されるが)。モードの純度がとくに重要である時には、回折したビームが要求される径方向プロファイルを有するようにパターンのコントラストが半径の関数として変化する、より複雑なホログラムを作成することも可能である。
【0075】
ホログラフィ画像1402を通って照射される平面波は、ホログラフィ画像1402を通過した後には、所定の軌道角運動量シフトを与えられている。OAM生成器1102は、ホログラフィ画像を通過するビームに、同一の画像が用いられ適用されるという意味において、固定されている。ホログラフィ画像1402は変化しないので、ホログラフィ画像1402を通過するビームに対しては常に同一の軌道角運動量が与えられる。
図14a〜14eは、軌道角運動量生成器1102内で利用可能な様々なホログラフィ画像のいくつかの実施形態を示すが、画像1402を通って照射されるビーム内で所望の軌道角運動量を達成するために、任意の種類のホログラフィ画像1402が利用可能であるということが理解される。
【0076】
図16に示すホログラフィ画像の別の例では、豊富な数の軌道角運動量(l)を生成するために2つの独立したホログラムが互いにグリッディングされた(gridded)ものを利用するホログラムが示される。
図16の重ね合わされたホログラムは、合成渦格子1602を構成するために互いに重ね合わされたl=1およびl=3の軌道角運動量を有する。利用される各ホログラムは、線上(l=+1,l=0,l=−1)のみならず、多数の変数をより容易に特定できる正方形上で、変化する数の軌道角運動量(l)を生成するために、2つのホログラムが互いにグリッディングされた態様で構築されてもよい。このように、
図16の例では、上縁に沿って軌道角運動量は+4から+1まで、−2まで変化し、下縁では+2から−1まで、−4まで変化する。同様に、左縁に沿って軌道角運動量は+4から+3まで、+2まで変化し、右縁では−2から−3まで、−4まで変化する。ホログラムの水平中心を横切って、提供される軌道角運動量は+3から0まで、−3まで変化し、垂直軸に沿って+1から0まで、−1まで変化する。このように、ビームが通過し得る格子の部位によって、変化する軌道角運動量が達成可能である。
【0077】
図17を参照すると、固定軌道角運動量生成器に加え、軌道角運動量生成回路部1106はまた、調整可能軌道角運動量生成回路部1702を備えてもよい。調整可能軌道角運動量生成器1702は、入力平面波1104を受信するが、さらに、1つ以上の調整パラメータ1704を受信する。調整パラメータ1704は、選択された軌道角運動量を与えるために調整可能OAM生成器1702を調整し、OAM生成器1702から出力される調整されたOAM波1706が選択された軌道角運動量値を与えられるようにする。
【0078】
これは任意の数の仕方で達成可能である。
図18に示す一実施形態では、調整可能軌道角運動量生成器1002は、調整可能OAM生成器1702内に複数のホログラム画像1802を含んでもよい。調整パラメータ1704は、選択回路1804を通して所望のOAM波ねじれ出力信号1706を提供するために、ホログラフィ画像1806のうち1つを選択できるようにする。代替的に、
図16に記載するようなグリッディングされたホログラフィ画像が利用されてもよく、所望のOAM出力を提供するために、ビームがグリッディングされた画像の一部に照射されてもよい。調整可能OAM生成器1702は、提供された入力パラメータ1704に基づいて出力軌道角運動量波1706に特定の軌道角運動量を与えるように制御されるという利点を有する。これによって、様々な異なる物質の濃度を監視することが可能となる(または、代替的に、監視すべき同一の物質の様々な異なる濃度に対して)。
【0079】
図18を参照すると、調整可能軌道角運動量生成器1702のブロック図がより詳細に実施されている。生成器1702は、提供される光信号に様々な種類の軌道角運動量を提供するための複数のホログラフィ画像1802を含む。これらのホログラフィ画像1802は、入力された調整パラメータ1704に応じた選択回路1804に応じて選択される。選択されたフィルタ1806は、選択コントローラ1804に応じて選択されたホログラフィ画像を備えており、調整された軌道角運動量波出力1706を提供するために、入力平面波1104を受信する。このようにして、OAM生成回路部1106から所望の軌道角運動量を有する信号が出力可能である。
【0080】
図19を参照すると、OAM生成器1106の出力が異なる軌道角運動量を与えることによって信号を変化させ得る態様が示されている。
図19は、ポインティングベクトルがもはやビーム軸に平行ではなく、したがって軌道角運動量が与えられている螺旋位相面を示す。ビーム内の任意の固定径において、ポインティングベクトルは軸周りの螺旋軌跡に従う。各行はl(軌道角運動量量子数)によってラベル付けされ、
【0082】
は出力信号内の光子あたりのビーム軌道角運動量である。各lについて、左列1902は光ビームの瞬時位相である。中央列1904は角強度プロファイルを含み、右列1906は、そのようなビームが平面波と干渉し、螺旋強度パターンを生成する時に何が起こるかを示す。これは、
図19の様々な行内に−1,0,1,2,3の軌道角運動量について示されている。
【0083】
図20を参照すると、OAM生成器1106が、モード変換器2004およびドーブプリズム(Dove prism)2010を用いて、放射器1102からのエルミート・ガウスビーム出力を、軌道角運動量が伝達されたラゲール・ガウスビームに変換可能な、代替的態様が示されている。エルミート・ガウスモード平面波2002は、π/2モード変換器2004に提供される。π/2モード変換器2004は、ラゲール・ガウスモード2006でビームを生成する。ラゲール・ガウスモードビーム2006は、逆ラゲール・ガウスモード信号2012を生成するために、モードを反転させるπモード変換器2008またはドーブプリズム2010に当てられる。
【0084】
図21を参照すると、OAM生成器1106内のホログラムがねじれ光ビームを生成する態様が示されている。ホログラム2102は、螺旋波面を有し、光子あたりの軌道角運動量lhが関連付けられた光ビーム2104および光ビーム2106を生成可能である。所望のビーム形態2104,2106と、平面波2108との間の干渉パターンから、適切なホログラム2102が計算または生成される。結果となるホログラム2102内のホログラフィパターンは回折格子に似ているが、ビーム軸においてlプロングの位置変化を有する。ホログラムが平面波2108で照射された時、1次の回折ビーム2104および2106は、所望の1次回折ビーム表示2110を提供するための、所望の螺旋波面を有する。
【0085】
図22を参照すると、OAM生成器1106から提供される入力OAMねじれ波1108をサンプル1110が受信し、サンプル1110内の特定の監視される物質の濃度に基づく、特定のOAMシグネチャが関連付けられた出力OAM波1112を提供する態様が、より詳細に示されている。サンプル1110は、研究中の任意のサンプルを含んでよく、固体形態、液体形態または気体形態であってもよい。本明細書に記載されるシステムを用いて検出可能なサンプル物質1110は、様々な異なる物質を含んでもよい。上述のように、物質は、血液、水、油または化学物質のような液体を含んでもよい。検出のために様々な種類の炭素結合(C−H、C−O、C−P、C−SまたはC−N)が提供されてもよい。システムは、炭素原子間の様々な種類の結合(単結合(メタンまたはイソオクタン)、二重結合物(ブタジエンおよびベンゼン)または三重結合物(アセチレン等))を検出可能であってもよい。
【0086】
サンプル1110は、有機複合物質(炭水化物、脂質(グリセロール(cylcerol)および脂肪酸)、核酸(C、H、O、N、P)(RNAおよびDNA)、または様々な種類のタンパク質(アミノNH
2のポリマー(polyour)およびカルボキシルCOOH等)またはアミノ(トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニン等))等の検出可能な品目を含んでもよい。サンプル1110内の様々な連鎖(chain)(モノマー、異性体およびポリマー等)もまた検出されてもよい。サンプル内のATPおよびADP等の酵素が検出されてもよい。身体の腺によって生成または放出される物質がサンプル内にあってもよく、検出されてもよい。これらは、筒状器官(tube)/導管(duct)を介して外分泌腺によって放出される品目、血液サンプル内に直接的に放出される内分泌腺、またはホルモンを含む。サンプル1110内で分泌物が検出可能な様々な種類の腺は、視床下部、松果体、下垂体、副甲状腺、甲状腺、胸腺、胴の副腎および膵臓、および、男性または女性の卵巣または精巣から放出されるホルモンを含む。
【0087】
サンプル1110は、個人の血液および尿内の様々な種類の生化学マーカー(メラノサイトおよびケラチノサイト等)を検出するために用いることもできる。サンプル1110は、含まれる防衛物質を検出するために身体の様々な部位を含んでもよい。たとえば、皮膚に関して、サンプル1110は、カロチノイド、ビタミン、酵素、bカロチンおよびリコピンを検出するために用いられてもよい。目の色素に関して、メラニン/ユーメラニン、ジヒドロキシインドールまたはカルボキシル基を持つもの(carboxylic)が検出されてもよい。システムは、サンプル1110内の身体の生合成経路内の様々な種類の物質(ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクローム、ポルフィリン分子(プロトポルフィリン、コポルフィリン、ウロポルフィリン、ヘマトポルフィリン、等)を含む)を検出してもよい。サンプル1110は、プロピオン酸菌、アクネ等の、検出すべき様々なバクテリアを含んでいてもよい。また、様々な種類の歯垢バクテリア(porphyromonos gingivitis、prevotella intremediおよびprevotella nigrescens等)が検出されてもよい。サンプル1110はまた、血液サンプル1110内のインシュリンにおけるグルコースの検出に用いられてもよい。
【0088】
サンプル1110内で提供されたビーム内の軌道角運動量は、物質分子の回転に基づき、光から物質分子へと伝達されてもよい。螺旋波面を持つ円偏波レーザービームがビーム軸の周りの光の角リング(angular ring)内に分子をトラップする時、軌道角運動量およびスピン角運動量双方の伝達を観測することができる。このトラップは、リングの強度勾配によって機械的束縛なしに達成される光ピンセット(optical tweezing)の一形態である。分子に伝達された軌道角運動量は、
図23の2302に示すように、分子をビーム軸の周りに周回させる。スピン角運動量は、2304に示すように、分子をそれ自身の軸上でスピンさせる。
【0089】
サンプル1110からの出力OAM波1112には、入力OAM波1108上で提供された軌道角運動量とは異なる軌道角運動量が関連付けられることになる。出力OAM波1112における相違は、サンプル1110内に含まれる物質と、サンプル1110内のそれらの物質の濃度とに依存する。異なる濃度の異なる物質には、それぞれ固有の軌道角運動量が関連付けられる。このように、出力OAM波1112に関連付けられた特定の軌道角運動量シグネチャを分析することによって、サンプル1110内に存在する物質について決定を行うことができ、サンプル内におけるそれらの物質の濃度もまた決定可能となる。
【0090】
図24を参照すると、整合モジュール1114は、サンプル1110から、サンプル1110を通過する波に伝達された軌道角運動量に基づいて特定のシグネチャが関連付けられた出力軌道角運動量波1112を受信する。整合モジュール1114は、増幅された波(対象の所望の軌道角運動量2416が増幅されている)を提供するために、特定の対象軌道角運動量を増幅する。整合モジュール1114は、研究中の具体的物質または特性に関連付けられた検出軌道角運動量を増幅する整合開口を備えてもよい。整合モジュール1114は、一実施形態では、対象の所望の軌道角運動量波を増幅するために、
図14a〜14dに関して説明したようなホログラフィフィルタを備えてもよい。整合モジュール1114は、システムが検出しようと試みる対象の具体的な物質に基づいて設置される。整合モジュール1114は、
図14a〜14dに示すようなホログラムを用いる固定モジュールを備えてもよいし、OAM生成モジュール1106に関して論じたものと同様の態様の調整可能モジュールを備えてもよい。その場合、サンプル1110内の異なる物質または物質の異なる濃度を検出するために、整合モジュールによっていくつかの異なる軌道角運動量が増幅されてもよい。整合モジュール1114の構成要素の他の例は、サンプル1110からの受信波形内の任意の所望の軌道角運動量値を増幅するための、量子ドット、ナノ物質またはメタ物質の使用を含む。
【0091】
図25を参照すると、整合モジュール1114は、所望の軌道角運動量信号を増幅するために、ホログラフィ画像の使用ではなく、より高い(higher)軌道角運動量光ビームを生成するために、非線形結晶を用いてもよい。非線形結晶2502を用いると、基本成分軌道角運動量ビーム2504が非線形結晶2502に当てられてもよい。非線形結晶2502は2次調和信号2506を生成する。
【0092】
図26を参照すると、検出器1118(これに対して検出器1118が所望のOAM測定値2602を抽出できるようにするために、整合回路1114から増幅された軌道角運動量波1116)がより詳細に示されている。検出器1118は、増幅されたOAM波1116を受信し、放射された波の軌道角運動量における、サンプル1110内の研究中の特定の物質の濃度に起因する観測可能な変化を、検出し測定する。検出器1118は、サンプル1110に当てられた入力OAM波1108の状態からの、放射され増幅されたOAM波1116内の観測可能な変化を測定することができる。抽出されたOAM測定値2602は、ユーザインタフェース1120に適用される。検出器1118が軌道角運動量における相違を検出可能な態様は、
図27〜29に関してより詳細に示される。
【0093】
図27は、サンプル2702を通って光のビームが通過することに起因するスピン角偏波および軌道角偏波の間の影響における相違を示す。サンプル2702aでは、サンプル2702aを通過するビームに応じてスピン角偏波が変化する態様が示されている。サンプル2702aを通過する波の偏波(特定のスピン角運動量2704を有する)は、位置2704から新たな位置2706へと回転する。この回転は同一の偏波面内で発生する。同様にして、サンプル2702bに関して示されるように、画像がサンプル2702bを通過する前に、概して2708で示されるような画像が現れる。サンプル2702bを通して画像を通過させる際に、画像は、2710で示される位置から2712で示される回転後位置へと回転する。回転の量は、サンプル2702内の検出される物質の濃度のレベルに依存する。このように、
図27のサンプル2702に関してわかるように、サンプル2702内の物質の濃度に基づいて、スピン角偏波および軌道角運動量の双方が変化する。軌道角運動量内の変化によって発生する画像の回転の量を測定することによって、特定の物質の濃度を決定することができる。
【0094】
この全体的なプロセスは、
図28により詳細に示される。光源2802は拡大光学部品2804を通して光ビームを照射する。拡大された光ビームは、ビームに軌道角運動量を伝達するメタラブ生成ホログラム(metalab generated hologram)2806を通って当てられる。ホログラム2806からのねじれビームが、特定長Lを有するサンプル2808を通って照射される。これにより、様々な軌道角運動量2810が関連付けられたいくつかの検出可能な波を生成するために、サンプル2808の出力側にねじれビームが生成される。サンプル2808に当てられる光ビームに関連付けられた画像2812は、サンプル2808内の物質の濃度に依存して、角度φだけ回転する。画像2812の回転φは、軌道角運動量の各値−lまたは+lごとに異なる。画像Δφの回転の変化は、次の方程式に従って記述される:
Δφ=φ
l−φ
−l=f(l,L,C)
ただしlは軌道角運動量数であり、Lはサンプルの経路長であり、Cは検出される物質の濃度である。
【0095】
このように、サンプルLの長さが既知であり、軌道角運動量は本明細書に記載のプロセスを用いて決定可能であるので、これら2片の情報は、提供されたサンプル内の物質の濃度を計算することができる。
【0096】
上述の方程式は、
図29により詳細に示すユーザインタフェース内で利用可能である。ユーザインタフェース1120は、なんらかの種類のユーザディスプレイにおいて表示可能な濃度情報2904の生成を規定する内部アルゴリズム2902を用いて、OAM測定値2502を処理する。このアルゴリズムは、一実施形態では、サンプルの長さと、軌道角運動量において検出された変化とに基づいて濃度を決定するために、上述の方程式を利用する。濃度を計算するための処理は、実験室のセッティングにおいて実行可能である(情報が無線で実験室に伝送されてもよく、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークを介して個人向けまたは公共クラウドに接続された携帯電話上のアプリケーションを実行する携帯電話またはメーター(meter)に接続されたウェアラブル装置にユーザインタフェースが関連付けられてもよい)。装置のユーザインタフェース2920は、Bluetooth(登録商標)、ZigBeeまたは他の無線プロトコルを利用する無線接続または有線接続を有してもよい。
【0097】
図30を参照すると、上述の態様で収集されたユーザインタフェース1120内に蓄積された様々なデータが、より高いレベルの分析のために記憶され利用される態様が示される。上述のデータを収集するための様々な装置3002は、プライベートネットワーククラウド3004または公共クラウド3006を介して通信可能であってもよい。プライベートクラウド3004と通信する時には、装置3002は単に、特定のユーザ装置に関連付けられたユーザの分析に関して用いられるそのユーザ装置に関連付けられた情報を記憶する。このように、ユーザ個人が、自身の糖尿病を監視し維持するために、自身の現在のグルコース濃度に関して情報を監視し記憶することができる。
【0098】
代替的に、情報が公共クラウド3006内の複数の装置3002から集められる時には、この情報は、個々の装置3002から公共クラウド3006に直接提供されてもよいし、関連付けられたネットワーク装置3002のプライベートクラウド3004を通って提供されてもよい。公共クラウド3006大規模データベース内のこの情報の利用は、個々の装置3002それぞれから処理された情報に関連付けられた様々な健康関連問題の大規模分析を可能にするために、公共クラウド3006に関連付けられたサーバ3008内に確立されてもよい。この情報は公共の健康問題を分析するために用いられてもよい。
【0099】
このように、ユーザインタフェース1120は、濃度情報2904を決定するためのアルゴリズム2902を含むことに加え、収集した情報を、
図30に関して説明したような公共クラウドまたはプライベートクラウド上で無線で伝送可能とする無線インタフェース2906を含む。代替的に、ユーザインタフェースは、収集した情報を、遠隔地に無線で伝送されるのではなく、ローカルで記憶できるようにするストレージデータベース2908を備えてもよい。
【0100】
図31を参照すると、グルコースサンプルを通して照射される光ビームの光子の軌道角運動量を用いてグルコースの濃度を測定するための特定の装置のブロック図の特定の例が示されている。このプロセスは、
図25に関して説明したような非線形結晶を用いて、螺旋光ビームを伴う2次高調波を生成する。放射モジュール2402は、OAM生成モジュール3104に提供される平面電磁波を生成する。OAM生成モジュール3104は、電磁渦を有する波を生成するためのホログラムを用いて、軌道角運動量が与えられた光波を生成する。血液のサンプル内のグルコース濃度を検出するために、OAMねじれ波が、研究中のサンプル3106に当てられる。回転したシグネチャが、
図27〜28に関して上述した態様でサンプル3106を出射し、整合モジュール3108に提供される。整合モジュール3108は、観測された濃度がグルコースのシグネチャの軌道運動量から計算可能となるように、軌道角運動量を増幅する。これらの増幅された信号は、検出モジュール3110に提供される。検出モジュール3110は、ビームw(z)の半径を測定するか、または、光ビームを介してサンプルに提供される画像の回転を測定する。検出された情報は、サンプルに関する濃度情報の表示のためのユーザ電話機または読み取りメーター(reading meter)への物質の供給を可能にするために、有線接続されたセンサインタフェースまたは無線BluetoothまたはZigBee接続を含むユーザインタフェースに提供される。
【0101】
このようにして、本明細書に記載される様々な種類の物質の濃度が、研究中のサンプルの軌道角運動量シグネチャを利用して決定可能であり、サンプル内のこれらの物質またはそれらの濃度の検出は上述のように決定される。
【0102】
軌道角運動量を用いてサンプル物質内の濃度測定を行うこのシステムおよび方法は、物質濃度を検出するための非侵襲性の態様を提供するということが、本開示の恩恵を有する当業者によって理解される。図面および本明細書の詳細な説明は、限定的態様ではなく例示と見なされるべきであり、開示された特定の形態および例に限定するようには意図されないということが理解されるべきである。反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの、当業者に明白な、任意のさらなる修正、変更、再構成、置換、代替、設計選択、および実施形態が含まれる。このように、添付の特許請求の範囲は、そのようなさらなる修正、変更、再構成、置換、代替、設計選択、および実施形態のすべてを包含すると解釈されることが意図される。