特許第6567574号(P6567574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567574
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】張出床版構築用の型枠資材
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20190819BHJP
   E04B 5/18 20060101ALI20190819BHJP
   E04B 5/38 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   E01D19/12
   E04B5/18
   E04B5/38 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-2281(P2017-2281)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-111967(P2018-111967A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】509174152
【氏名又は名称】協立エンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098453
【弁理士】
【氏名又は名称】飯郷 豊
(72)【発明者】
【氏名】米田 達則
(72)【発明者】
【氏名】吉田 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】大浴 昭則
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3183117(JP,U)
【文献】 特開2011−174241(JP,A)
【文献】 特開2004−27692(JP,A)
【文献】 特許第5943135(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00〜 24/00
E04B 5/00〜 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要支持部材の上端面に形成する床版の張出部を場所打ちコンクリートによって構築するための型枠資材であって、主要支持部材上端面に固定して張出床版に埋設する腕鋼材と、この腕鋼材が支持する底型枠を備える張出床版構築用の型枠資材において、前記場所打ちコンクリートは、少なくとも上下二段に配する鉄筋を有し、前記腕鋼材は、前記底型枠の荷重及びコンクリート打設の荷重を支持し得る断面性能を有すると共に、下側鉄筋の下面に収納し得る形状であり、前記底型枠は、設計床版厚内に含まれる部材であって前記腕鋼材と一体になり撤去不要な埋設型枠を有し、場所打ちコンクリートと一体化するため、その内面に凹凸状の溝部を形成し、この凸部の先端が拡幅するセメント押出成形板であることを特徴とする張出床版構築用の型枠資材。
【請求項2】
前記下側鉄筋は、張出床版底面に沿った配筋であり、前記腕鋼材は、その下面が張出床版の内部に収納される形状であることを特徴とする請求項1記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項3】
前記溝部は、前記腕鋼材の張出方向に形成し、少なくとも腕鋼材の下方部分を収納し得る形状であることを特徴とする請求項1、請求項2記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項4】
前記腕鋼材は、中間部を絞り込んだ断面略鼓形の異形型鋼であり、前記底型枠は、この異形型鋼の下部形状に沿う断面の溝部を備えることを特徴とする請求項3記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項5】
前記主要支持部材は、橋梁の主桁であって、前記腕鋼材は、この主桁に基端部を固定する片持梁であることを特徴とする請求項4記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項6】
前記底型枠は、前記腕鋼材を工場等で取付ける組立済み底型枠であり、前記主桁は、鋼桁であって、この鋼桁上フランジ上面には前記腕鋼材基端部を固定するためのネジスタッドを溶接することを特徴とする請求項5記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項7】
前記鋼桁は、現場の地上で架設前に前記組立済み底型枠を据え付け固定することを特徴とする請求項6記載の張出床版構築用の型枠資材。
【請求項8】
前記底型枠は、前記主桁上フランジの張出床版側にその端部を載置すると共に前記腕鋼材基端部をこの上フランジの張出床版反対側に固定し、張出床版側の上フランジには型枠浮上がり防止部材を取り付けることを特徴とする請求項7記載の張出床版構築用の型枠資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、橋梁の主桁・柱頭部、あるいは建築構造物の梁や柱等、構造物の主要支持部材の上端面に形成する床版であって、この床版の内、張出床版部を場所打ちコンクリートによって構築するための型枠資材に関し、これら主要支持部材上端面に固定して張出床版に埋設する腕鋼材と、この腕鋼材が支持する底型枠を備える張出床版構築用の型枠資材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、場所打ちコンクリートの張出床版を構築する場合には、木製型枠と、これを支持するパイプサポート等の支持金具を設置してコンクリートを打設し、所要の養生期間経過後に、これら仮設材を撤去していたが、このような従来の型枠資材を用いると、取扱部材が多くなる上、設置するための期間及び撤去するまでの期間が長くなり、特に市街地に構築する橋梁等の場合には、桁下の通行規制時間が長くなる等、種々の不都合な点があった。
【0003】
桁下等の空間の安全性を確保しながら工期の短縮化を図るため、張出床版の底型枠の支持部材を床版の上面に、あるいは床版の内部に形成する工法が種々提案されてきた。
【0004】
支持部材を床版の上面に形成する型枠資材としては、例えば特許文献1に記載されるような吊桁を利用する型枠があった。
【特許文献1】特開2007−85037号公報
【0005】
特許文献1に記載される床版の構築方法は、主要支持部材である杭及び梁の上の既設床版を改修して新規の床版を構築するための工法であり、主要支持部材上に仮設の支持体を載置して、これに吊桁を架設する構成であった。吊桁には、撤去する既設床版を吊下げるための吊り材が取り付けられていた。
【0006】
既設床版の撤去後、新設床版を構築するためのプレキャストコンクリート製埋設型枠にこの吊り材を取り付けると共に、型枠上面に組み立てる鉄筋も吊り材と結合してコンクリート打設荷重を支持し得る構成としていた。更に所要の養生期間経過後、吊桁等の仮設部材を撤去すると共に吊り材を上面で切断して新設床版を構築していた。
【0007】
このような吊桁を利用して床版を構築する場合には、仮設部材である支持体や吊桁の設置及び撤去が必要となるばかりでなく、吊り材の存在が床版鉄筋の配置作業時に邪魔になるという欠点があった。又コンクリート硬化後に、吊り材の切断が必要となり、この吊り材等鋼材の破断面が床版コンクリートの上側表面に残り、錆の発生や水の浸入の恐れがあるという問題点もあった。
【0008】
一方、張出床版の底型枠の支持部材を床版の内部に形成する構造の場合は、吊桁等の仮設部材を利用しなくなるので、上記の欠点は無くなる。例えば、道路橋の鋼板・コンクリート合成床版は、鋼板に取付けたズレ止めにより鋼板とコンクリートとを一体化する形式で、この鋼板は合成部材としての下側鉄筋及びコンクリート型枠の役割を果たすものであった。一般に、鋼板にはコンクリート打設時の剛性を確保するためのリブもしくは補強材が取り付けられており、これらが底型枠の支持部材ともなっていた。
【0009】
又、剛性を確保した鋼板等に代わって、所謂ハーフプレキャストスラブを用いる構築方法も提案されてきた。このハーフプレキャスト床版工法を、例えば道路橋で用いる場合には、主桁間の中間部と張出部のスラブをプレキャストコンリートで製造し、これらのスラブ上面には連続するトラス鉄筋を埋設して、張出部の支持を担っていた。
【0010】
上記のような鋼板・コンクリート合成床版あるいはハーフプレキャストスラブを用いた床版の場合には、底型枠となる鋼板やハーフプレキャストスラブを予め工場にて製作することになるが、両者ともかなり加工手間を要する構造であり、運搬や据え付けにも十分な注意が必要であった。
【0011】
又、鋼板・コンクリート合成床版の場合、連結鋼材であるスタッドジベルが鉄筋と干渉しないように配列を工夫する必要があり、ハーフプレキャストスラブのようなコンクリートと鉄筋の埋設型枠を用いる場合には、埋設型枠の版厚が大きくなり設計荷重が重くなる欠点があった。更に、床版を場所打ちコンクリートで構築する設計の場合には、これらの合成床版等は採用できない構成であった。
【0012】
鋼板・コンクリート合成床版やハーフプレキャストスラブを用いた床版ではなく、張出床版に埋設する腕鋼材と、この腕鋼材が支持する底型枠を備えながら場所打ちコンクリートにて張出床版を構築するための型枠資材としては、例えば特許文献2に記載されるような型枠資材があった。
【特許文献2】特開2010−37725号公報
【0013】
特許文献2に記載される床版は、主要支持部材である柱頭本体部に腕鋼材となる型鋼材を載置し、この型鋼材で張出部の底面型枠を吊下げ支持すると共に、必要な配筋を行った後コンクリート打設を行い、張出部の床版を構築する構成であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、張出床版に埋設する腕鋼材を既成の型鋼材で構成する場合、現存するT型形鋼では抵抗力不足のため、例えば75mm角程度の厚板角パイプが必要であった。この形鋼であれば張出し支持できる鋼腕として採用可能であるが、角パイプの中空部分がコンクリート断面に残存して床版断面を大きく阻害し、コンクリートの断面欠損量が大きくなる欠点があった。
【0015】
又、角パイプをセメント押出成形板等の厚みのある埋設型枠の上面に取り付けると、床版下面から角パイプ上面までの距離が100mm以上になる。この場合下側鉄筋のかぶりを大きくする必要があり設計変更が不可になる場合が多かった。
【0016】
角パイプの代わりに、複数の鋼板を溶接で組み立てることも考えられるが、作製手間がかかり、コスト高となる欠点があった。又、場所打ちコンクリートと一体化するセメント押出成形板の場合、内面に凹凸溝が形成されているが、溶接組立の鋼腕は、この凹凸溝を埋めて占有することになるため、この部分のコンクリートと埋設型枠との密着力が低下する恐れがあった。
【0017】
このように種々の問題点があったため、底型枠を腕鋼材で支持しながら張出床版部を場所打ちコンクリートによって構築する型枠資材は実現されていなかった。
【0018】
この発明は、従来の張出床版構築用の型枠資材が有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、十分な抵抗力を有する断面であってもコンクリートの断面欠損が無く、かつ構築する床版コンクリートの下側鉄筋のかぶりを設計通りにできる張出床版構築用の型枠資材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、この発明の張出床版構築用の型枠資材は、主要支持部材の上端面に形成する床版の張出部を場所打ちコンクリートによって構築するための型枠資材であって、主要支持部材上端面に固定して張出床版に埋設する腕鋼材と、この腕鋼材が支持する底型枠を備える張出床版構築用の型枠資材において、前記場所打ちコンクリートは、少なくとも上下二段に配する鉄筋を有し、前記腕鋼材は、前記底型枠の荷重及びコンクリート打設の荷重を支持し得る断面性能を有すると共に、下側鉄筋の下面に収納し得る形状であり、前記底型枠は、設計床版厚内に含まれる部材であって前記腕鋼材と一体になり撤去不要な埋設型枠を有し、場所打ちコンクリートと一体化するため、その内面に凹凸状の溝部を形成し、この凸部の先端が拡幅するセメント押出成形板であることを特徴とするものである。
【0020】
腕鋼材は、主要支持部材の上端面に直接固定するか、あるいは支持金具を介して緊結固定する。床版は、腕鋼材の上面に下側配筋を有する現場打ちコンクリートの床版であって、腕鋼材は型枠自重とコンクリート打設荷重を支持し得る構成である。セメント押出成形板は、混練したセメントモルタルをトレー上に押し出して硬化させたもので、補強繊維等を混合して強度を高めている。
【0021】
請求項2記載の張出床版構築用の型枠資材は、前記場所打ちコンクリートの下側鉄筋が張出床版底面に沿った配筋であり、前記腕鋼材は、その下面が張出床版の内部に収納される形状であることを特徴とするものである。
【0022】
張出床版の下側鉄筋は、コンリートのかぶりを略均一とする構造で、腕鋼材は、この鉄筋のかぶり範囲内に位置し、下面を床版外方に露出しない構成とする。張出床版の下側鉄筋が引張鉄筋として作用する場合でも適用可能とする。
【0025】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、セメント押出成形板の溝部を前記腕鋼材の張出方向に形成し、少なくとも腕鋼材の下方部分を収納し得る形状であることを特徴とするものである。腕鋼材は上半部を埋設型枠より突出するが下側鉄筋までの距離に余裕ができる。
【0026】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、腕鋼材が中間部を絞り込んだ断面略鼓形の異形型鋼であり、前記底型枠は、この異形型鋼の下部形状に沿う断面の溝部を備えることを特徴とするものである。腕鋼材はテーパーを有する溝部に挿入して埋め込む。テーパー部と腕鋼材鼓形下半部が当接し、型枠自重及びコンクリート打設荷重を支持する。
【0027】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、前記主要支持部材が橋梁の主桁であって、前記腕鋼材は、この主桁に基端部を固定する片持梁であることを特徴とするものである。橋梁は、鋼橋でもコンクリート橋でもよい。
【0028】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、前記底型枠が腕鋼材を工場等で取付ける組立済み底型枠であり、前記主桁は、鋼桁であって、この鋼桁上フランジ上面には前記腕鋼材基端部を固定するためのネジスタッドを溶接することを特徴とするものである。
【0029】
腕鋼材と底型枠である埋設型枠を陸組し、一体化して吊り上げ、鋼桁に連結固定する。この底型枠は作業用安全通路として活用する。従来は、仮設材の架設通路を橋桁に固定し、張出床版構築用の型枠の作業進行に並行して高所作業で設置・撤去していた。
【0030】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、前記鋼桁が、現場の地上で架設前に前記組立済み底型枠を据え付け固定することを特徴とするものである。工場等にて腕鋼材と底型枠を組み立て現場に搬入する。更に、現場では地上で鋼桁の上フランジに据え付け固定し、これらを一括して所定の位置に主桁を架設する。
【0031】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材の底型枠は、前記主桁上フランジの張出床版側にその端部を載置すると共に前記腕鋼材基端部をこの上フランジの張出床版反対側に固定し、張出床版側の上フランジには型枠浮上り防止部材を取り付けることを特徴とするものである。浮上り防止部材は底型枠の溝部に挿入する板材で充填材を固化して固定する。
【発明の効果】
【0032】
この発明の張出床版構築用の型枠資材は、底型枠の荷重及びコンクリート打設荷重を支持し得る腕鋼材を場所打ちコンクリート下側鉄筋の下面に収納するので、底型枠を支持するための仮設の支保工が不要となり、コンクリート硬化後の錆の発生や水の浸入の恐れがなくなる上、下側鉄筋の床版配筋作業が容易になる。底型枠を設計床版厚内に含まれる埋設型枠とするので、型枠材の撤去が不要となり、張出床版施工時の下面の規制が大幅に減少する。しかも埋設型枠は設計床版厚内に納まるので設計荷重の増加は無くなる。底型枠は、内面に凹凸状の溝部を形成し、この凸部の先端が拡幅するセメント押出成形板であるので、床版コンクリートと埋設型枠は一体化する。
【0033】
請求項2記載の張出床版構築用の型枠資材は、腕鋼材が張出床版底面に沿った下側鉄筋の内部に収納される形状であるので、引張鉄筋として作用するようなかぶりが薄い配筋の場合でも、下側鉄筋の床版配筋作業が容易になる。
【0036】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、セメント押出成形板の溝部を腕鋼材の張出方向に形成し、少なくとも腕鋼材の下方部分を収納し得る形状であるので、溝に腕鋼材を埋め込んだ分だけ床版断面の占有量を最小化できる。このため、適切な下側鉄筋のかぶりを容易に実現できる。
【0037】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、腕鋼材が中間部を絞り込んだ断面略鼓形の異形型鋼であり、前記底型枠は、この異形型鋼の下部形状に沿う断面の溝部を備えるので、腕鋼材のみで型枠自重及びコンクリート打設荷重を支持することができ、型枠の設置作業が容易になる。又、異形型鋼は上半部が拡幅しているのでコンクリートと一体化し、埋設型枠の凹凸効果を維持できる。鼓形の異形型鋼使用により鋼板数枚を溶接して組み立てる作業を省略でき、製造コストを大幅に低減できる。
【0038】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、腕鋼材基端部を橋梁の主桁に固定する片持梁であるので、橋梁の床版構築作業が容易になり、かつ安全面の確保にも寄与する。
【0039】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、工場等で腕鋼材を取付ける組立済み底型枠で、これを鋼桁上フランジ上面に固定するので、底型枠を作業用安全通路として活用でき、高所での仮設材通路の設置・撤去作業が発生しない。
【0040】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材は、現場の地上で鋼桁架設前に組立済み底型枠を据え付け固定するので、鋼桁のクレーン吊り時に埋設型枠の荷崩れが無く、張出型枠と橋桁を一括架設できる。桁下の規制は桁架設時のみとなる。
【0041】
請求項記載の張出床版構築用の型枠資材の底型枠は、型枠浮上り防止部材を取り付けるので、コンクリート打設前の下方から風による底型枠の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】張出床版構築用型枠資材の平面図である。
図2図1のII−II断面を示す断面図である。
図3図1のIII−III断面における拡大断面図である。
図4図1のIV−IV断面における拡大断面図である。
図5】異形型鋼の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、この発明の張出床版構築用型枠資材の平面図、図2は、図1のII−II断面を示す断面図、図3は同図のIII−III断面における拡大断面図、図4は同図のIV−IV断面における拡大断面図である。
【0044】
張出床版構築用の型枠資材1は、主要支持部材である主桁2に、その基端部を固定する腕鋼材3と、この腕鋼材3が支持する底型枠4を備える。図2に示すように型枠資材1は、主桁2の上端面に形成する張出床版部5を場所打ちコンクリートによって構築するもので、床版には上下二段に配する鉄筋を有し、腕鋼材3は、その下側鉄筋6の下面に収納する。
【0045】
底型枠4は、腕鋼材3の張出方向に凹部4aと凸部4bが交互に列をなすセメント押出成形板よりなる埋設型枠であって、この凹部4aが形成する溝部に腕鋼材3を配置する。セメント押出成形板は、混練した可塑状のセメントモルタルを凹凸形状の口金より押し出してトレー上で硬化させたもので、補強繊維等を混合して強度を高めている。
【0046】
凸部4bは、図3及び図4に示すようにその先端が拡幅する形状で、凹部4aに打ち込まれるコンクリートがこれに密着硬化して底型枠4と一体化する。底型枠4は、設計床版厚内に含まれる部材であり、腕鋼材3と一体になる。
【0047】
腕鋼材3は、中間部を絞り込んだ断面略鼓形の異形型鋼であり、底型枠4の凹部4aは、この異形型鋼の下部形状に沿う断面である。腕鋼材3は溝部の端部より挿入して設置する。凸部4bのテーパー部と腕鋼材3の鼓形下半部3aが当接し、型枠自重及びコンクリート打設荷重を支持する。
【0048】
腕鋼材3は上半部3bを底型枠4の内表面4cより突出するが下側鉄筋6までの距離に余裕ができ、下側鉄筋6が底型枠4に沿った配筋で、引張鉄筋として作用する場合でも腕鋼材3を鉄筋のかぶり範囲内に位置することができる。
【0049】
腕鋼材3は、主桁2にその基端部3cを固定する片持梁で、主桁2の上フランジ2a上面にネジスタッド3dを溶接し、腕鋼材基端部3cを固定する。ネジスタッド3dは、上フランジ2aの張出床版とは反対側に突設し、張出床版側の上フランジ2aには型枠浮上り防止部材7を取り付ける。浮上り防止部材7は底型枠4の凹部4aに挿入する鋼板で充填材により溝部に埋設し固定する。
【0050】
腕鋼材3と底型枠4は工場等にて組立て現場に搬入する。更に、これらの組立済み底型枠を主桁2に地上で連結固定した後、これらを一括して所定の位置に架設する。底型枠4は作業用安全通路として活用する。
【実施例】
【0051】
図1で用いた腕鋼材3は、図5に示す断面の異形型鋼を用いた。図5における異形型鋼は、底型枠4の荷重及びコンクリート打設の荷重を支持し得る断面性能を有するもので、長さ1m当たり14.1kgの鋼材を使用し、断面形状の詳細は以下の通りである。
a=50mm、b=38mm、c=32mm、h=45mm、h1=18mm、
h2=27mm
床版張出長さ1.2m程度の場合、この腕鋼材3を2本使用して支持し、底型枠4の重量は1枚当たり22.9kgであり、張出床版構築用型枠資材1パネル当たりの重量は52kgであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明の張出床版構築用型枠資材は、橋梁の主桁より跳ね出す床板のみならず、建築構造物の梁や柱の上端面に形成する張出床版にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 型枠資材
2 主桁
2a 上フランジ
3 腕鋼材
3a 鼓形下半部
3b 上半部
3c 基端部
3d ネジスタッド
4 底型枠
4a 凹部
4b 凸部
4c 内表面
5 張出床版部
6 下側鉄筋
7 型枠浮上がり防止部材
図1
図2
図3
図4
図5