特許第6567599号(P6567599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6567599硬化性樹脂組成物、コンクリート被覆組成物及びライニング材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567599
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、コンクリート被覆組成物及びライニング材
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/06 20060101AFI20190819BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20190819BHJP
   C09D 7/43 20180101ALI20190819BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20190819BHJP
   C09D 1/08 20060101ALI20190819BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20190819BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20190819BHJP
   C04B 26/06 20060101ALI20190819BHJP
   C04B 26/14 20060101ALI20190819BHJP
   C04B 26/16 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   C08F299/06
   C09D4/02
   C09D7/43
   C09D7/61
   C09D1/08
   C04B28/02
   C04B24/26 E
   C04B24/26 F
   C04B26/06
   C04B26/14
   C04B26/16
【請求項の数】12
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2017-118310(P2017-118310)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2018-9155(P2018-9155A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-130001(P2016-130001)
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512290344
【氏名又は名称】株式会社コーケン
(73)【特許権者】
【識別番号】304059775
【氏名又は名称】飯森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】増田 聖史
(72)【発明者】
【氏名】飯森 博
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−095002(JP,A)
【文献】 特開平11−199639(JP,A)
【文献】 特開2004−083845(JP,A)
【文献】 特開平03−257048(JP,A)
【文献】 特開平05−310871(JP,A)
【文献】 特開平06−263501(JP,A)
【文献】 米国特許第05912086(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 299/00−299/08
C04B 24/26
C04B 26/00−26/32
C04B 28/02
C09D 1/08
C09D 4/02
C09D 7/43
C09D 7/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子末端に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレ−ト、
(B)芳香族系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物からなり、数平均分子量が500〜1100の範囲にあって、酸価が10KOHmg/g以下のエポキシ(メタ)アクリレ−ト、
(C)エチレンオキサイド付加モル数2〜10のエトキシ化ビスフェノ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、及び、
(D)分子量が300以下のアルコ−ル残基として環内に炭素間二重結合又は窒素原子を1個のみを有する環状炭化水素基を含む基を有する単官能性(メタ)アクリレ−ト系モノマーを含み、
さらに、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレ−トモノマ−1〜10質量部を含み、
(A)ウレタン(メタ)アクリレ−トと(B)エポキシ(メタ)アクリレートとの重量比(A)/(B)が、5/95以上50/50以下である、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、
(A)ウレタン(メタ)アクリレ−ト10〜50質量部、
(B)エポキシ(メタ)アクリレ−ト5〜50質量部、
(C)エトキシ化ビスフェノ−ルジ(メタ)アクリレ−ト3〜30質量部、及び、
(D)単官能性(メタ)アクリレ−ト系モノマー15〜50質量部を含み、
さらに、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレ−トモノマ−を1〜10質量部を含み、
(A)ウレタン(メタ)アクリレ−トと(B)エポキシ(メタ)アクリレートとの重量比(A)/(B)が、5/95以上50/50以下であり、
(C)エトキシ化ビスフェノ−ルジ(メタ)アクリレ−トが、2官能性(メタ)アクリレ−トモノマ−のエトキシ化ビスフェノ−ルAジ(メタ)アクリレ−トである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が400〜700のポリアルキレングリコールと、ポリイソシアネートと、水酸基を1つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーの重合物である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)分子末端に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレ−ト、
(B)芳香族系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物からなり、数平均分子量が500〜1100の範囲にあって、酸価が10KOHmg/g以下のエポキシ(メタ)アクリレ−ト、
(C)エチレンオキサイド付加モル数2〜10のエトキシ化ビスフェノ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、及び、
(D)分子量が300以下のアルコ−ル残基として環内に炭素間二重結合又は窒素原子を1個のみを有する環状炭化水素基を含む基を有する単官能性(メタ)アクリレ−ト系モノマーを含み、
さらに、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレ−トモノマ−1〜10質量部を含む硬化性樹脂組成物を含むライニング材であって
更に、水硬性セメント、セメント減水剤及び水を含むライニング材
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含むライニング材。
【請求項6】
前記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤を1〜30質量部含有する請求項4または5に記載のライニング材。
【請求項7】
前記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、光重合開始剤0.5〜2.5質量部を含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載のライニング材。
【請求項8】
前記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、鱗片状無機充填剤5〜50質量部含有する請求項〜7のいずれか1項に記載のライニング材。
【請求項9】
更に、有機過酸化物を含有する請求項〜8のいずれか1項に記載のライニング材。
【請求項10】
更に、水硬性セメントと、セメント減水剤とを有する請求項9に記載のライニング材。
【請求項11】
更に、水を含有する請求項10に記載のライニング材。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含み、当該硬化性樹脂組成物100質量部に対し、微粒子状又は粉状の不活性な無機材料を100〜600質量部含有し、
前記無機材料の平均粒径は10mm〜0.02mmの範囲にあるコンクリート被覆組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、低臭気性、接着性、耐薬品性、表面空気硬化性、耐熱性、耐摩耗性、高反応性、耐久性に優れ、下水道処理施設のコンクリートの表面塗布のライニング材、人孔内面等の補修用ライニング材及び食品工場、医薬品工場、電子材料関連工場のコンクリート施設の補修ライニング材等の形成に適した硬化性樹脂組成物、及びこの硬化性樹脂組成物を含むコンクリート被覆組成物及びライニング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水道処理施設のコンクリート構造物の気相部は硫黄酸化細菌による硫化水素が硫酸化し、長期間の使用により、表面が脆弱化して施設の構造強度に影響を与える。
老朽化した下水道処理施設の補修方法には、通常既存の劣化コンクリート構造物の壁面の劣化層厚に断面修復材を塗布硬化後にプライマーを塗布し、次いで、不陸調整を目的として素地調整材を塗布型の樹脂ライニング材を塗布する工法が用いられている。また、構造物新設の場合は、コンクリート下地にプライマーを塗布し、次いで、不陸調整を目的として素地調整材を塗布型後に防食被覆樹脂ライニング材を塗布する工法が用いられている。
【0003】
上記のような塗布型の樹脂ライニング材に使用される硬化性樹脂組成物としては、従来から不飽和ポリエステル樹脂組成物が使用されており、最近ではエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、特にアクリル酸あるいはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物(一般にビニルエステル樹脂組成物)も使用されている。
【0004】
塗布型ライニング材に使用される公知の不飽和ポリエステル樹脂組成物及びビニルエステル樹脂組成物のうち、共重合可能な単量体としては、一般にスチレンモノマーが用いられている。しかしながら、このエステルとスチレンとの混合物は特有の臭気があり、この臭気が施工周辺環境に拡散し、問題となるため、発生するスチレンを活性炭吸着装置により吸着する方法が導入されている。また、スチレンは、PRTR制度(化学物質排出把握管理促進法)の第一種指定化学物質により、排出量、移動量公表制度が適用されている。しかも、スチレンは平成26年11月1日付で特定化学物質に指定(厚生労働省)され、その管理が必要である上、スチレン含有不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂
中のスチレン濃度の規制は厳しくなっており、その対策が迫られている。
【0005】
エポキシ樹脂に不飽和1塩基酸、特にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる、いわゆるエポキシアクリレート(又はエポキシメタクリレート)及びこのエステルと共重合可能な単量体の混合物からなる組成物は公知である。この組成物は、従来、例えば繊維強化プラスチックのマトリックスとして使用されていた。
【0006】
低臭性樹脂組成物の技術については、下記特許文献1〜10等に、低臭性に係る技術が開示されている。また、硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を添加し、紫外線照射で硬化させる光重合性樹脂組成物を用いたライニング材は、例えば下記特許文献11〜16等に開示されており、例えば、特許文献15(特開2003−33970号公報)には、不飽和ポリエステル及び/又はビニルエステル樹脂(エポキシ樹脂)とビスアシルホスフィンオキサイド化合物を含む光硬化性材料が記載されている。
【0007】
しかしながら、このような樹脂組成物は、低臭性、耐水性、耐薬品性、耐久性、付着性、空気乾燥性の性能において未だ十分とは言えない。
【0008】
更に、水系樹脂組成物の技術については、下記特許文献17〜25等に、水系に係る技術が開示されている。いずれも活性水素含有化合物、ポリイソシアネ−ト化合物、水硬性セメント、水、セメント減水剤が基本構成要素である。
【0009】
しかし、いずれの材料も、硬化物の強度、防水性、接着性などの各種特性や、硬化特性が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−211952号公報
【特許文献2】特開平11−12448号公報
【特許文献3】特開平9−15337号公報
【特許文献4】特開平11−12448号公報
【特許文献5】特開平10−231453号公報
【特許文献6】特開平11−255847号公報
【特許文献7】特開2001−240632号公報
【特許文献8】特開2002−60282号公報
【特許文献9】特開平11−106452号公報
【特許文献10】特開平50−59497号公報
【特許文献11】特開平11−199639号公報
【特許文献12】特公昭60−8047号公報
【特許文献13】特開平1−92214号公報
【特許文献14】特開平2−188227号公報
【特許文献15】特開平11−210981号公報
【特許文献16】特開2003−33970号公報
【特許文献17】特開2000−72507号公報
【特許文献18】特開平8−169740号公報
【特許文献19】特開平8−169744号公報
【特許文献20】特開2005−47719号公報
【特許文献21】特開2002−179454号公報
【特許文献22】特開2000−302514号公報
【特許文献23】特開2009−29682号公報
【特許文献24】特開2006−240919号公報
【特許文献25】特開平11−79820号公報
【特許文献26】特許3897657号公報
【特許文献27】特開2004−09591号公報
【特許文献28】特開2006−009461号公報
【特許文献29】特開平9−169898号公報
【特許文献30】特開2014−095002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、非スチレン型ビニルエステル樹脂の提供を目的とし、特に、注型板及び積層板の物性がスチレン型ビニルエステル樹脂と同水準であり、また、コンクリートに被覆した硬化物を温水等に長期浸漬した後でも付着強度が初期値を維持し、温水浸漬後の重量変化率もスチレン型ビニルエステル樹脂硬化物と同等になるような非スチレン型ビニルエステル樹脂を提供することを目的とする。更に、本発明は、機械強度が任意に調整可能であり、低臭性、接着性、耐薬品性、表面空気硬化性、耐クラック性、耐摩耗性、高反応性、耐久性、光硬化性が良好な非スチレン型ビニルエステル樹脂系の硬化性樹脂を提供することを目的とする。更に、本発明は上記の特性を有するコンクリート被覆組成物及びライニング材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明者等は下記成分(A)〜(E)を含む硬化性樹脂組成物により上記課題が解決されることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0014】
1)(A)分子末端に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート、(B)芳香族系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物からなり、数平均分子量が500〜1100の範囲にあって、酸価が10KOHmg/g以下のエポキシ(メタ)アクリレート、(C)エチレンオキサイド付加モル数2〜10のエトキシ化ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、及び、(D)分子量が300以下のアルコール残基として環内に炭素間二重結合又は窒素原子を1個のみを有する環状炭化水素基を含む基を有する単官能性(メタ)アクリレート系モノマーを含み、さらに、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマー1〜10質量部を含む硬化性樹脂組成物である。この硬化性樹脂組成物を用いれば、特有の臭気を持ち、使用が制限される共重合性単量体(スチレン等)の使用をゼロにするか、その使用量の低減が可能になる。
【0015】
2)上記(A)〜(D)成分の好ましい組成は、例えば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、(A)ウレタン(メタ)アクリレート10〜50質量部、(B)エポキシ(メタ)アクリレート5〜50質量部、(C)エトキシ化ビスフェノールジ(メタ)アクリレート3〜30質量部、(D)単官能性(メタ)アクリレート系モノマー15〜50質量部であって、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを1〜10質量部を含み、(A)ウレタン(メタ)アクリレートと(B)エポキシ(メタ)アクリレートとの重量比(A)/(B)が、70/30≦(A)/(B)<95/5であり、(B)エポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量が500〜1100、より好ましくは500〜1000の範囲にあり、(C)エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが、2官能性(メタ)アクリレートモノマーのエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートであることを特徴とする。この組成の硬化性樹脂組成物を硬化させると、軟質の硬化物が得られる。
【0016】
3)上記(A)〜(D)成分の好ましい他の組成は、例えば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、(A)ウレタン(メタ)アクリレート10〜50質量部、(B)エポキシ(メタ)アクリレート5〜50質量部、(C)エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート3〜30質量部、及び、(D)単官能性(メタ)アクリレート系モノマー15〜50質量部を含み、さらに、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、(E)フェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを1〜10質量部を含み、(A)ウレタン(メタ)アクリレートと(B)エポキシ(メタ)アクリレートのとの重量比(A)/(B)が、5/95≦(A)/(B)<70/30であり、(B)エポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量が500〜1100、より好ましくは500〜1000の範囲にあり、(C)エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが、2官能性(メタ)アクリレートモノマーのエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートであることを特徴とする。この組成の硬化性樹脂組成物を硬化させると、硬質の硬化物が得られる。
【0017】
4)上記(A)ウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)は、重量平均分子量が400〜700のポリアルキレングリコールと、ポリイソシアネートと、水酸基を1つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーから得られる。
【0018】
5)更に、本発明は、上記いずれかに記載の硬化性樹脂組成物を含むライニング材をも提供する。
【0019】
6)上記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤を1〜30質量部添加してライニング材としてもよい。
【0020】
7)上記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、光重合開始剤0.5〜2.5質量部を添加してライニング材としてもよい。
【0021】
8)上記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、鱗片状無機充填剤5〜50質量部を添加してライニング材としてもよい。
【0022】
9)更に、有機過酸化物を添加してライニング材としてもよい。
【0023】
10)更に、水硬性セメントと、セメント減水剤とを添加してライニング材としてもよく、この場合、上記2)の配合割合を有し、9)の有機過酸化物を含有し、更に、(B)成分が二官能性(メタ)アクリレートモノマーのエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートであるものが最も好ましい。
11)上記水硬性セメント及びセメント減水剤を使用する場合、使用の際には、ライニング材に(F)水硬性セメントの水和硬化に必要な水を含有させる。
【0024】
12)上記いずれかの硬化性樹脂組成物100質量部に対し、微粒子状又は粉状の不活性な無機材料を100〜600質量部を添加してコンクリート被覆組成物としてもよく、この場合、無機材料の平均粒径は10mm〜0.02mmの範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、スチレンのような規制が多い共重合性単量体を用いなくても、従来技術の欠点を解消し、低臭気性、耐水、耐クラック性、耐薬品性、耐久性、付着性、空気乾燥性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することが可能である。本発明の硬化性樹脂組成物は、上記特性を有するコンクリート被覆組成物やライニング材等の多様な用途に使用可能であり、しかも硬化前後でスチレン臭がないので、周辺環境汚染がない。本発明の樹脂組
成物は、成分(A)、(B)の質量比を変えることで、硬質から軟質まで硬化物の特性を変化させることができるので、多様な物性要求に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物に用いる成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と、任意に添加可能なその他の成分について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
<成分(A)>
本発明において硬化性樹脂組成物の成分(A)は硬化性樹脂組成物の必須成分の一つである。
【0028】
この成分(A)としてのウレタン(メタ)アクリレートは、1分子中に1個以上の水酸基及び1個以上の共重合性不飽和基を有する化合物と、1分子中に2個以上の水酸基を有するグリコール及び/又はポリオールと、1分子中に2個以上のイソシアネートを有する化合物から、公知の方法、例えば特公昭55−30527号又は特公昭60−26132号に記載されている方法により製造され、ポリマー鎖中にウレタン結合を有するとともに、ポリマー末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するポリマーである。
【0029】
例えば、成分(A)は、ポリアルキレングリコール、ポリイソシアネート、1分子中に水酸基を1つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させ合成して得られるウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0030】
更により好ましくは、ポリアルキレングリコールのアルキレン基の繰返し単位の炭素数が2から4のポリアルキレングリコールであり、より好ましくはポリプロピレングリコールである。これらのポリアルキレングリコールを使用することで、(A)分子末端に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを合成することができる。この(A)ウレタン(メタ)アクリレートと、後述する(B)エポキシ(メタ)アクリレートとを用いることで、低臭気、耐久性、耐クラック追従性、耐衝撃性などの特徴を兼ね備えた硬化物が得られる。また、(A)ウレタン(メタ)アクリレートと(B)エポキシ(メタ)アクリレートの重量比を変え、軟質から硬質まで硬化物の硬さを調整することができる。例えば、成分(A)を成分(B)より多量に用いる、より具体的には、これら成分の重量比(A)/(B)を70/30以上95/5未満にすることで、軟質硬化物用の樹脂組成物が得られる。これとは逆に、成分(B)を成分(A)より多量に用いる、より具体的には、これら成分の重量比(A)/(B)を5/95以上70/30未満にすることで、硬質硬化物用の樹脂組成物が得られる。なお、後述するように、(A)ウレタン(メタ)アクリレートの原料(ポリオール)の分子量も制御して、硬化物の物性を調整することがより好ましい。
【0031】
ウレタンメタクリレート(A)は、ポリマー鎖中にウレタン結合を有し、例えば、ポリマー末端に、アクリロイル基又はメタクリロイル基、すなわち(メタ)アクリロイル基を有するものである。かかるウレタン(メタ)アクリレートは、一分子中に1個以上のヒドロキシル基(水酸基)と1個以上の(メタ)アクリロイル基(共重合性不飽和基)を有する化合物と、一分子中2個以上のヒドロキシル基を有する化合物と、芳香族及び/又は脂肪族ポリイソシアネート化合物から公知の方法、例えば特公昭55−30527号公報、特公昭55−8013号公報、特公昭54−21879号公報、特公昭60−326132号公報及び特公昭60−26133号公報に記載されているような方法により製造可能である。
【0032】
上記1分子中に1個以上の水酸基と1個以上の共重合性不飽和基を有する化合物には、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロバン(メタ)アクリレート、ジピロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
【0033】
また、上記一分子中に2個以上の水酸基を有する化合物は、例えばグリコール及び/又はポリオールであって、より具体的には、
‐ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、水添化ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等のグリコール類と、アジピン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多塩基酸との脱水縮合反応から得られる分子量1000〜2000の飽和ポリエステルポリオール、
‐エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの開環反応により得られる分子量300〜2000のポリエチレングリコール、
‐ポリプロピレン類、又は、
‐カプロラクトンの開環反応で得られるポリカプロラクトン
等であり、これらは単独或いは2種類以上を併用して使用することができる。これらグリコール及び/又はポリオール成分の分子量が上記範囲内であると、得られる樹脂組成物の粘度が良好で、液状樹脂組成物を強化材に含浸樹脂組成物を強化材に含浸させる工程の作業性にも優れるため好ましい。
【0034】
また、上述した重量比(A)/(B)以外にも、より好ましくは、グリコール及び/又はポリオールの分子量を制御して硬化物の物性を制御する。例えば、ポリオール(グリコール)が高分子量であれば、硬化物の軟性(EL)は高くなるが、構造物性支配因子である引張強度(TS)が低下するおそれがあるので、ポリオール(グリコール)の重量平均分子量は700以下が好ましい。最も望ましくは、重量平均分子量が400〜700のポリオール及び/又はグリコールを用い、かつ、上記重量比(A)/(B)を制御して硬質と軟質を制御することである。なお、ポリオール(グリコール)を2種以上使用する場合は、ポリオール(グリコール)全体の重量平均分子量が400〜700になればよい。
【0035】
上記ポリイソシアネート、すなわち、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、芳香族及び/又は脂肪族ポリイソシアネート化合物が用いられ、例えば、トリレンシイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等を挙げることができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることかできる。
【0036】
使用されるポリプロピレングリコールとしては、好ましくは重量平均分子量が200〜3000、より好ましくは300〜2000、最も好ましくは400〜700のものである。この範囲より分子量が小さいと、硬化物の柔軟性(伸び率)が小さくなってしまうことや樹脂粘度が大幅に上がる結果となる。一方この範囲より分子量が大きいと柔軟性は増すが強度が低下することがある。ポリプロピレングリコール以外のポリアルキレングリコールの例として、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリテトラヒドロフラン)、ビスフェノールAまたはビスフェノールFにアリキレンオキサイドを付加させたポリオールなどのポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0037】
諸物性を損なわない範囲で、ポリアルキレングリコール以外に他のポリオールを併用できる。使用できるポリオールとしては、代表的にはポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとは、二塩基酸類と多価アルコール類の縮合重合体、
又は、ポリカプロラクトンの様に環状エステル化合物の開環重合体である。ここで使用する二塩基酸類としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12ードデカンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、またはこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
【0038】
より好ましくは、上記(A)成分の原料をNCO基含有量が5モル%以下、より好ましくは1モル%以下、最も好ましくはNCO基が消失(実質0%)するまで反応させて(A)成分とする。
【0039】
本発明において、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の使用量は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100質量%に対し、10〜50質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲である。(A)の使用量が少なすぎると得られる硬化性樹脂組成物の硬化物は耐クラック追従性が低下し、(A)の使用量が多すぎると硬化物は長時間の温水浸漬で白化現象が発生しやすい。
【0040】
<成分(B)>
本発明において硬化性樹脂組成物の必須成分の一つであるエポキシ(メタ)アクリレート(B)とは、芳香族系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸より得られる芳香族系エポキシ(メタ)アクリレートであり、本発明では、数平均分子量500〜1100の範囲、より好ましくは数平均分子量が500〜1000であって、酸価が10KOHmg/g以下のものを用いる。
【0041】
(B)成分の原料として用いられる芳香族系エポキシ樹脂としては、分子内に芳香族を有するエポキシ樹脂であるものであり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、N−グリシジルアミン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を挙げることができる。こられのエポキシ樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、コンクリート被覆硬化性樹脂組成物及びライニング材硬化物に均衡のとれた特性をもたらすという点でより好ましい。
【0042】
エポキシ樹脂に反応させる不飽和一塩基酸はアクリル酸、メタクリル酸であるが、他の不飽和一塩基酸、例えばクロトン酸、ソルビタン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、モノメチルアクリレート、モノメチルフマレート、モノシクロヘキシルフマレートあるいはソルビン酸等を少量併用することができる。これら酸は単独もしくは2種以上を併せて用いることができる。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる芳香族系エポキシ(メタ)アクリレート(B)は、上記芳香族系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の通常の反応から得られるものであり、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応比率は、モル比で通常0.9〜1.1:1.1〜0.9の範囲である。この際の反応は、通常80〜130℃で行われ、反応触媒としてトリエチルアミン、ジメチルアニリン等の3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ピリジニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、水酸化リチウム、塩化リチウムなどの無機塩類が用いられる。必要に応じて重合禁止剤を用いてもよい。
【0044】
重合禁止剤としてはハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどのハイドロキノン類、
ベンゾキノン、メチル−p−ベンソキノンなどのベンゾキノン類、t−プチルカテコールなどのカテコール類、2,6−ジ−t−ブチル−t−メチルフェノール、4−メトキシフェノールなどのフェノール類、フェノチアジンなどが上げられる。エステル化触媒の添加量は芳香族系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを合計したもの100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で使用することができる。好ましくは0.05〜5質量部の範囲で使用することができる。0.01質量部未満ではエステル化反応が極端に遅くなり、10質量部を超える場合はエステル化反応が極端に速くなり、急激な発熱により温度制御が難しくなるので好ましくない。
【0045】
本発明において、芳香族系エポキシ(メタ)アクリレート(B)の使用量は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100%に対して5〜50質量%の範囲である。すなわち、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対し、成分(B)が5質量部未満では、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物は長時間の温水浸漬で白化現象が発生し、40質量部を超えると硬化時に収縮き裂が発生しやすい。
【0046】
また、芳香族系エポキシ(メタ)アクリレート(B)の数平均分子量が500未満では末端のアクリロイル基濃度が大きくなり吸水率が大きくなる欠点があり、末端基とエステル結合密度が大きくなると耐アルカリ性が低下し、他方、数平均分子量が1100を超えると合成時及び硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下し、耐溶剤性も劣る。
【0047】
上記性能の均衡を図るため、芳香族系エポキシ樹脂1モル中に、通常分子量500以下の液状タイプのエポキシ樹脂を0.3〜0.7モル%、分子量900以上の固形タイプのエポキシ樹脂を0.7〜0.3モル%の範囲の組成比の樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物から芳香族系エポキシ(メタ)アクリレートを得て、これを成分(B)として使用することもできる。
【0048】
なお、酸価が10KOHmg/gを超えると刺激臭を有する不飽和一塩基酸のアクリル酸又はメタクリル酸のモノマーが芳香族系エポキシ(メタ)アクリレートに残留するため、好ましくない。
【0049】
なお、ここで分子量はポリスチレン換算値であり、酸価はJIS K2501 2003により測定した値である。
【0050】
<成分(C)>
本発明に用いる樹脂組成物の成分(C)は、アルキレンオキサイド付加モル数2〜10のエトキシ化ビスフェノールジ(メタ)アクリレートであって、ビスフェノール(好ましくはビスフェノールA及び/又はビスフェノールF)にアルキレンオキサイドを付加させた2価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物のものが上げられる。原料のビスフェノールについてはビスフェノールAとビスフェノールFのいずれか一方又は両方、特にビスフェノールAが好ましく、アルキレンオキサイドは反応性を考慮するとエチレンオキサイドがより好ましい。
【0051】
成分(C)のエトキシ化ビスフェノールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイドは、付加モル数が10以上では架橋密度が低下して、硬化性樹脂組成物の反応性の低下、硬化物の耐水性、特に常温水及び温水浸漬の重量変化率が増加する上、耐薬品性として、特に日本下水道事業団の指針で指定している10%の硫酸水溶液に120日間硬化物を浸漬して電子線マイクロアナライザー(EPMA)で硫酸中の硫黄の浸透深さによりライニング材の耐久性の寿命予測する試験方法では浸透深さの増加、繊維強化材との親和性、接着力が低下するので、液相環境での使用は不適である。また、エチレンオキサイドの付加モル数が2以下では樹脂組成物の粘度が高くなり、作業が困難になる欠点があり好ましく
ない。
【0052】
この成分(C)の含有量は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100部に対し3〜30質量部の範囲である。すなわち、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%に対し、3質量%未満では得られる硬化性樹脂組成物の硬化物の表面が常温水及び温水浸漬で白化現象が発生し、30質量%以上では水中及び温水浸漬で硬化性樹脂組成物の硬化物にフクレが発生するため好ましくない。エトキシ化ビスフェノールジ(メタ)アクリレート(C)の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開平7−268079号公報記載の公知の方法で製造することができる。より具体的には、先ずビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルを、ビスフェノールAにエチレンオキサイドを付加した含核ポリオールとエピハロヒドリンとをエーテル反応させエチレンオキサイド付加ビスフェノールAジグリシジルを得、次いでエステル化触媒を使用してメタアクリル酸又はアクリル酸との反応物のエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートを製造する。
【0053】
<成分(D)>
成分(D)に用いる単官能性(メタ)アクリレート系モノマーは特に限定されないが、例えば、環内にアルコール残基として炭素間二重結合又は窒素原子を1個有する環状炭化水素基を有する1官能(メタ)アクリレート系モノマーである。この単官能性(メタ)アクリレート系モノマー(D)の分子量や特性は特に限定されないが、好ましくは、分子量が300以下、より好ましくは分子量が240以上で、かつ25℃の粘度が100mPa・s以下、蒸気圧が0.5mmHg以下のものが好ましい。なお、この粘度は、例えば、JIS K6901の4.4.1記載のブルックフィールド形粘度計を使用して測定される粘度である。具体的には、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレートなどがあり、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、2種以上併用した混合物、即ち、成分(D)全体の数平均分子量が240以上で、かつ、成分(D)全体の25℃の粘度が100mPa・s以下、蒸気圧が0.5mmHg以下とすることが好ましい。これらの中でも、本発明では低臭気性、反応性、硬化物の特性から、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレートからなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることが好ましい。
【0054】
上記成分(D)の使用量は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100質量%(100質量部)に対し15〜50質量%、好ましくは30〜50質量%の範囲である。(D)の使用量が少なすぎると、硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬化物の表面指触乾燥性が劣る上、硬化性樹脂組成物の粘度が高く、作業性に劣る。また、(D)の使用量が多すぎると高温水浸漬したときに硬化物の表面にフクレが発生し、耐久性に劣るものとなる。
【0055】
<成分(E)>
成分(E)はフェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマーであって、特に限定されないが、その具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレートモノマー、フェノキシエチル(メタ)アクリレートモノマー、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中でも、モノマーの臭気を考慮すると、フェ
ノキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。フェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用することで、十分な引張り強度を有する硬化物が得られ、更に耐水性、耐熱劣化性、耐候性などの耐久性に優れる硬化物が得られる。
【0056】
成分(E)の使用量は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100質量%に対し1〜10質量%の範囲が好ましく、1質量%未満では硬化性樹脂組成物の硬化物は引張り強度が劣り、また、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなって作業性が劣る。成分(E)の使用量が10質量%を超えると、硬化物の耐水性、耐熱劣化性が劣る。
【0057】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)〜(E)のみでも使用できるが、他の成分を添加することもできる。硬化性樹脂組成物を2以上の薬剤(例:主及び副主剤)とする場合、これら他の成分はいずれか1以上の薬剤に添加すればよい。以下に、他の成分の具体例を説明する。なお、(A)〜(E)以外の成分の配合割合(質量部)は、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計100質量部を基準とした値である。
【0058】
シックハウス問題及び化学物質排出把握管理移動登録法(PRTR法)などによるスチレン排出濃度規制を考慮する場合は、以下の架橋用重合性ビニルモノマーを併用し、架橋用重合性モノマーを大幅に軽減する樹脂組成物として使用してもよい。
【0059】
架橋用重合性ビニルモノマーとしては、芳香族系であるスチレン、ビニルトルエンまたはα−メチルスチレンなどが上げられる。また、メタクリル系であるメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が上げられる。これら架橋用重合性モノマーは、単独使用でも2種以上併用でもよいが、一般的にはスチレンが使用される。
【0060】
架橋性重合性モノマー(C)、(D)の配合量合計は、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%に対して40質量%〜50質量%が好ましい。他方、(C)、(D)以外の架橋用重合性モノマー(X)(上述したスチレンなど)の含有率は、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%に対し30%以下であって、かつ、架橋性のモノマー(C)、(D)、(X)の合計100質量%に対し40質量%以下が好ましい。通常の硬化性樹脂組成物では、ビニルエステル樹脂の架橋性重合性モノマーの含有率は40〜50質量%である。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を用いれば、架橋性重合性モノマー含有率を大幅に低減させ、作業時の揮発量を著しく低減可能な低架橋性重合性モノマー含有樹脂組成物として適用できる。
【0061】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必須成分(A)〜(E)に加え、光重合開始剤を添加し、光重合により硬化させることができる。光重合開始剤は特に限定されず、公知のものを1種以上使用することが可能であり、例えば、紫外線重合開始剤及び/又は可視光重合開始剤があり、可視光重合開始剤は、例えば、厚膜の繊維入り硬化性複合材料の硬化にも使用できる。紫外線重合開始剤の例としては、ベンゾインエーテル系(イソピロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル)、ベンジルケタール系(ヒドロシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール)、ケトンベンゾフェノン系(ベンジル、メチル−O−ベンゾインベンゾエート、2−クロロチオキサントン、メチルトオオキサントン)、ベンゾフェノン系(ベンゾフェノン)、第3級アミン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、アシロホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、カンファーキノン等の代表例として挙げることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化性のライニング材に用いる場合、ライニング材の表面に紫外線を照射して速硬化する被覆方法を採用することができる。この場合、紫外光波長領域から可視光波長領域(例
:250nm〜450nm)の吸収をもつ光重合開始剤が好ましい。特に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンジルメチルケタールが好ましく、これらは単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0062】
可視光重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド化合物が有効である。その具体例は、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルベンジルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド等があり、これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
光重合開始剤の使用量は、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計量100質量部に対して0.01〜20質量部、より好ましくは0.5〜2.5質量部の範囲である。0.01質量部未満だと重合が充分に行われないおそれがあり、20質量部を超えても硬化時間はほぼ横ばいとなるだけであり、硬化速度は向上しない。
【0064】
本発明の硬化性樹脂組成物に増粘剤を添加し、好適粘度に調整することによりプリプレグシートを形成することができる。その増粘剤は特に限定されず、例えば、アルカリ土類金属の酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カルシウム、金属アルコキシド類からなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることが可能である。金属アルコキシド類の例としては、アルミニウムイソプロピレート、メチルアセトアセテートアルミニウムジブチレート、メチルエチルアセトアセテートアルミニウムイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジエトキシエチラート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を挙げることができる。さらに、トルイレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート等の単独あるいは2種以上の混合物をアリカリ土類金属と併用することも可能である。
【0065】
スチレン型不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂に通常使用されるアルカリ土類金属の酸化物(例えば酸化マグネシウム)は、樹脂組成物が遊離するカルボキシル基間で分子間架橋を生じせしめて増粘するものであるが、その架橋反応は緩慢であるため、樹脂組成物を繊維に含浸後、増粘促進のため40℃以上の温度環境で熟成する方法が通常採用されている。これに対し、低臭性の光硬化性樹脂組成物(すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物)は遊離カルボキシル基がなく、増粘効果がないため、熱可塑性樹脂を硬化性樹脂組成物に添加し、増粘温度50〜90℃で昇温溶解して増粘効果を発揮させる方法を採用することができる。増粘剤としての熱可塑性樹脂は、硬化性組成物100質量部(すなわち、成分(A)〜(E)の合計100質量部)に対し、1〜30質量部添加することが好ましい。
【0066】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記増粘剤として公知の熱可塑性樹脂粉末を用いる。熱可塑性樹脂粉末の平均単一粒子径(一次粒子径の平均)は0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜3.0μmである。平均単一粒子径が0.1μm未満の超微細文末であると、(D)成分である単官能性(メタ)アクリル系モノマーへの室温での吸収速度が速く、粘度が高くなりすぎて繊維への含浸が容易でなくなるおそれがある。平均単一粒子径が5.0μmを超えると、(D)単官能性(メタ)アクリル系モノマーの吸収速度が遅くなり、擬似硬化が遅くなる。また、増粘剤としての熱可塑性樹脂は、重量平均重合度が1000〜150000のものが好ましい。重量平均重合度が150000を超えると(B)の単官能性(メタ)アクリル系モノマーの吸収速度が遅くなり、長時間経過しても増粘性付与は困難である。また、1,000未満では単官能性(メタ)アクリル系モノマーの吸収速
度が速く、急速に増粘付与するため、繊維状材料への含浸が不均一となり、その結果、プリプレグ硬化物の機械強度が低く、耐薬品性は顕著に低下するため好ましくない。また、熱可塑性樹脂粉末が架橋性単量体を共重合している場合には、架橋度が高すぎると適性粘度付与のプリプレグシート形成に長時間を要する傾向にある。従って、架橋度としては、熱可塑性樹脂粉末を溶剤に溶解した際の不溶解のゲル成分が50重量%以下となる程度であることが好ましい。
【0067】
熱可塑性樹脂粉末の製造方法は公知の方法を採用可能であり、例えば特開平9−188770号公報などに開示されている。熱可塑性樹脂粉末は、均一成分重合体(ホモポリマー)、二種以上のモノマーの共重合体及びコア・シェル構造体に大別されるが、熱可塑性樹脂粉末を、硬化性樹脂組成物や、その一成分である(メタ)アクリル系モノマーと混合した混合物は、混合調整直後は低粘度であり、繊維状材料を添加後急速に増粘しさらにその後は粘度の経時安定性を示す。
【0068】
特開平9−174781号公報に開示されたように、熱可塑性樹脂粉末としては単官能性(メタ)アクリルモノマーを吸収して膨潤するものであれば特に制限はないが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物からなる群より選択された少なくとも少なくとも1種の単量体単位を50重量%以上有し、かつカルボキシル基又はエポキシ基含有単量体単位を1〜20重量%を有する熱可塑性樹脂粉末であることが好ましい。熱可塑性樹脂粉末の原料単量体として用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ピロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどから群より選択される1種以上を用いることができる。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートからなる群より選択される1種以上を好適に用いることができる。また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン及びこれらの単量体のベンゼン核に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが置換された単量体、例えば、ビニルトルエンやイソブチルスチレンなどを挙げることができる。これらの単量体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。熱可塑性樹脂粉末中のこれらアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物の単量体単位の含有量が50重量%未満であると、熱可塑性樹脂粉末が十分な増粘効果を示さないおそれがある。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物の増粘付与の成分である熱可塑性樹脂粉末は、上記の単量体と共重合可能な他の単量体単位を含有してもよく、共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、2−エチルプロピオン酸、クロトン酸、桂皮酸などの不飽和ジカルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエンなどの共役ジェン系化合物;1,4−ヘキサン、ジシクロペンタジェンなどの非共役ジエン系化合物などを挙げることができる。さらに、熱可塑性樹脂粉末を硬化性ビニルエステル樹脂組成物のプリプレグ作成の過程で増粘剤として使用する際の溶解性の調整を行うために、熱可塑性樹脂粉末を構成する重合体を適当に架橋することができる。架橋構造を与えるための共重合成分としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−アミノブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレン基数が1〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、アリルグリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌリレートなどの単量体を挙げることができる。これら架橋性単量体の量は、共重合体中0.5重量%を超えてはならない。架橋度が高すぎると吸収速度が遅く、所定の増粘効果は発揮できない。共重合可能な他の単量体は1種のみを用いることが可能であり、また、2種以上を組合せて用いることもできる。熱可塑性樹脂粉末の製造方法については特に制限はなく、公知の方法を採用可能であり、例えば特開平9−188770号公報に示されるポリメチルメタクリレートなどの微細樹脂粉末の製造に用いられている方法、例えば、微細懸濁重合法、乳化重合法、播種乳化重合法などを採用することができる。これらの方法の中で、特に粒径が極微細とならずにかつ球形のものが得られる重合法が好適である。例えば,微細懸濁重合法としては、通常、界面活性剤や分散剤が用いられる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩類;ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウムなどの脂肪酸塩類;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類;さらにドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルピタンモノステアレートなどのソルビタンエステル類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類などのノニオン界面活性剤;セチルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどのカチオン性などのカチオン性界面活性剤などを挙げることができる。また、分散剤としてポリビニルアルコール、メチメセルロース、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。これらの界面活性剤や分散剤は、1種を単独で用いることが可能であり、2種以上を組合せて用いることができる。その使用量は、通常使用単量体100重量部当たり0.05〜10重量部、好ましくは,0.2〜7重量部の範囲で適宜選択することができる。
【0070】
熱可塑性樹脂粉末の製造方法は、上述した特開平9−188770号公報などの均一成分重合体(ホモポリマー)、二種以上のモノマーの共重合体及びコア・シェル構造体に大別されるが、本発明に使用される熱可塑性樹脂粉末は、カルボキシル基含有単量体単位またはエポキシ基含有単量体単位を1〜20重量%含有する重合体をシェル層に有するコア/シェル型の構造とすることができる。コア成分は、そのガラス転移点が−30℃以下、好ましくは−40℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び/又はジエン系共重合体であると、成型品の機械強度及び弾性率が大きく向上するので好ましい。
【0071】
本発明の樹脂硬化性組成物の成分(A)〜(E)のみで乾燥性に優れたことが特徴であるが、より乾燥性を向上させる目的でパラフィン及び/又はワックス類を併用してもよい。
【0072】
上記パラフィン及び/又はワックス類としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックス類、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸から選択される1種以上を使用可能でがあるが、好ましくはパラフィンワックスが用いられる。パラフィン及び/又はワックス類は、塗膜表面における硬化反応中の空気遮断作用、耐汚れ性の向上を目的に添加される。添加率としては成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の樹脂組成物100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。
【0073】
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に、不活性な微粒子状及び/又は粉状の無機骨材材料(無機材料)を添加することができる。このような無機骨材材料としては、砂、シリカ粉末、粉砕岩石、炭酸カルシウム、アルミナ粉、クレー、珪石粉、タルク、ガラス粉、シリカパウダー、水酸化アルミニウム、珪砂、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、セメントなどを使用することができる。
【0074】
さらに、無機骨材材料の使用量は、所望の流動性などの作業性に応じ、また、コンクリ−ト組成物の硬化物の強度などにより決定されるが、添加率は硬化性樹脂組成物の100質量部に対して100〜600質量部、好ましくは150〜600質量部の範囲とされる。無機骨材材料の平均粒径は0.02mm〜10mm、好ましくは0.05mm〜5mmである。また、骨材は、JIS G5901−1968で規定される1号珪砂(平均粒径5〜2.5mm)、2号珪砂(粒径2.5〜1.2mm)、3号珪砂(粒径1.2〜0.6mm)、4号珪砂(粒径0.6〜0.3mm)、5号珪砂(粒砂0.3〜0.15mm)、6号珪砂(粒砂0.15〜0.074mm)、7号珪砂(粒径0.074mm以下)も用いることができる。
【0075】
本発明に使用される不活性な微粒子は、炭酸カルシウム、フライアッシュ、クレー、アルミナ粉、珪石粉、タルク、シリカパウダー、ガラス粉、マイカ、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグルシウム、セメント、大理石等が好ましい。微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜20μm程度である。不活性な微粒子(無機骨材材料)の添加率は硬化性樹脂組成物100質量部(成分(A)〜(E)の合計100質量部)に対して2.5〜100質量部の量で添加されることが好ましい。また、無機骨材材料は1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0076】
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該樹脂組成物100質量部(成分(A)〜(E)の合計100質量部)に対して5〜50質量部の鱗片状無機充填材を添加し、コンクリートライニング材とすることも可能である。
【0077】
上記鱗片状無機充填材としては、ガラスフレーク、マイカフレークなどが上げられるが、これらの中でもガラスフレークを用いることがより好ましい。鱗片状無機充填材としては、通常、平均粒子径10〜4000μmのものを用いることが可能であるが、コンクリート組成物の作業性を良好に保持するには平均粒子径の100〜1000μmの範囲のものを用いることがより好ましい。
【0078】
本発明の硬化性樹脂組成物には有機過酸化物を添加することが好ましい。この有機過酸化物は、ケトンパーオキサイド類(例えばメチルエチルケトンパーオキサイドなど);ハイドロパーオキサイド類(例えばクメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなど);パーオキシエステル類(例えばt−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなど);ジアルキルパーオキサイド類(例えばジクミルパーオキサイドなど);ジアシルパーオキサイド類(例えばラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド)など公知のものから1種以上を選択して使用する。
【0079】
有機過酸化物の使用量は、必須成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0080】
本発明はさらに、上記樹脂組成物100質量部(すなわち、成分(A)〜(E)の合計100質量部)に対して0.01〜5質量部の他の添加剤(芳香族アミン系促進剤及び/又は多価金属塩及び/又は錯体)を加え、次いで有機過酸化物を混合した熱硬化性樹脂組成物を形成してもよく、この場合、ライニング材を硬化促進に特に有効である。上記他の
添加剤の添加量が0.01質量部未満では硬化が十分でなく、5質量部を越えてもそれ以上の効果を示さない。
【0081】
芳香族アミン系促進剤としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トルイジン、N,N−ジメチル−Pートルイジンなどの一種以上の組合せで用いることができる。
【0082】
多価金属塩及び/又は錯体のうち、多価金属塩は、例えばナフテン酸、オクテン酸などであり、多価金属とは、カルシウム、銅、マンガン、コバルト、バナジウムなどを示す。特に好ましくは、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルトがある。
【0083】
錯体としては、アセチルアセトン、コバルトアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネートなどがある。
【0084】
また、上述した樹脂組成物、コンクリート被覆組成物、ライニング材には、顔料,酸化防止剤、流動制御剤、チキソトロピー剤、可塑剤などの更なる添加剤を必要に応じて1種以上添加することも可能である。
【0085】
老朽化した下水道処理施設の補修には、通常は、既存の劣化コンクリート構造物の壁面の劣化層厚に断面修復材を塗布後にプライマーを塗布し、次いで、不陸調整を目的として新素地調整材を塗布型の樹脂ライニング材を塗布する工法が用いられている。また、構造物の新設の場合は、コンクリート下地にプライマーを塗布し、次いで、不陸調整を目的としいて素地調整材を塗布後に防食被覆樹脂ライニング材を塗布する工法が用いられている。
【0086】
上記のプライマーとしては、従来では、湿気硬化型ウレタンプライマー等が使用されており、このウレタンプライマーにはトルエン、キシレン等の溶剤、ウレタン樹脂への溶解性、減粘性、乾燥性を高めるために使用されているが、トルエン、キシレンは、毒物および劇物取締法(厚生労働省)、悪臭防止法(環境省)の対象物質であり、室内環境汚染(シックハウス)の濃度指針対象物質(厚生労働省)にも挙げられている。また、PRTR(経済産業省および環境省)で第1種指定化学物質であり、さらに平成14年度からは文部科学省が学校の新築・改築工事引き渡し時に濃度測定を義務付けされている。このように、これら溶剤は今後さらに規制が厳しくなることが予想される。上記のトルエン、キシレンの対策として、水性ブライマー又は、非芳香族系溶剤を使用するシステムが提案されているが、前者は下地コンクリートへの含浸性、ヌレ性、冬季低温環境での乾燥不良、接着不良等実用上問題があり、非芳香族系溶剤はプライマー層に揮発せずに残留すると、上層被覆材のフクレ由来要因となり、また、プライマー塗布後、指触乾燥時間が長い等課題がある。
【0087】
また、塗布型の樹脂ライニング材に使用される硬化性樹脂組成物としては、従来から不飽和ポリエステル樹脂組成物が使用されており、最近ではエポキシ樹脂には不飽和一塩基酸、特にアクリル酸あるいはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物(一般にビニルエステル樹脂組成物)が使用されるようになっている。
【0088】
塗布型ライニング材に使用される公知の不飽和ポリエステル樹脂組成物及びビニルエステル樹脂組成物は、共重合可能な単量体としては、一般にスチレンモノマーが用いられている。しかしながら,このエステルとスチレンとの混合物は特有の臭気があり、施工周辺環境に拡散するため、発生するスチレンを活性炭吸着装置により吸着する方法が導入されている。また、スチレンは、上述したように、PRTR制度や、特定化学物質の指定(厚
生労働省)により管理が必要であり、樹脂中のスチレン濃度の規制も厳しくなっている。
【0089】
スチレン規制対策として、特開2002−60282号、特開平10−231453号、特開2000−63448号、特開2000−63449号等の開示された従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂プライマーをコンクリート構造物(劣化コンクリート又は新設コンクリート)に塗布後、本発明の硬化性樹脂組成物を含有するライニング材を塗布し、防食被覆層を形成することも可能であるが、本発明の硬化性樹脂組成物(成分(A)〜(E))をプライマー材として用いることが好ましい。
【0090】
すなわち、プライマーから防食被覆層の全工程が、本発明の硬化性樹脂組成物を利用したノンスチレン樹脂組成物で形成されるため、上記の法的規制を解消し、低臭気性、耐水性、耐薬品性、耐久性、付着性、空気乾燥性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することが可能になる。
【0091】
また、本発明の樹脂組成物やライニング材には、顔料、酸化防止剤、流動制御剤、チキソトロピー剤、可塑剤などを必要に応じて添加することも可能である。
【0092】
次に、本発明のライニング材の他の例について説明する。
本発明は、上述したいずれか1以上の成分(鱗片状無機充填材、有機過酸化物、その他添加剤等)と共に、または、これら成分とは別に、(F)水硬性セメントと(H)セメント減水剤を、成分(A)〜(E)を含む硬化性樹脂組成物に添加したライニング材も提供する。
【0093】
なお、(F)水硬性セメントとは水と混和することで硬化または凝結するセメント類を指し、(F)水硬性セメントを含有するライニング材の硬化には(G)水を必要とするが、(G)水は製品としてのライニング材に含有させる必要はなく、使用直前に添加してもよい。
【0094】
<成分(F)>
水硬性セメントは特に限定されないが、例えば、ポルトランドセメントや高アルミナ含量の迅速性硬化型セメントが好ましい。ポルトランドセメントとしては普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、鉄及び炭素含量の低い白色ポルトランド、更には下記に示すようなその他セメントなど、多様なセメント類を1種上用いることが可能である。
【0095】
その他セメントとしては、珪酸二カルシウムとアルミノ亜鉄酸四カルシウムの含水率が高く、珪酸三カルシウムとアルミン酸三カルシウムの含有率が低いことを特徴とする低熱(ポルトランド)セメント;珪酸カルシウム三カルシウムと珪酸二カルシウムの含有率が異常に高く、アルミン酸三カルシウムとアルミノ亜鉄酸四カルシウムの含有率が異常に低い率を特徴とする耐硫酸塩(ポルトランド)セメント;ポルトランドセメントクリンカーと顆粒状鉱滓との混合物であることを特徴とするポルトランドプラストファーネスセメント;ポルトランドセメントと水和石灰、顆粒状鉱滓、粉砕石灰石、コロイド状粘土、珪藻土、もしくはその他のシリカ、ステアリン酸カルシウムとパラフィンの微粉状物のうちから選ばれた一種又は二種以上との混合物であることを特徴とするメーソンリーセメント;アメリカ合衆国リーハイ・ヴァレーなどの自然堆積物から得られる物であることを特徴とする天然セメント;純粋な、もしくは不純な形のカルシウムの酸化物であり、若干の土質材料を含んでおり、もしくは含んでいないことを特徴とするセレナイトセメント;火山灰、火山灰珪藻土、軽石、石灰華、サントリン土、もしくは顆粒状鉱滓と石灰モルタルとの混合物であることを特徴とする火山灰混合セメント;硫酸カルシウムの水和物及び石膏プラスターを含有していることを特徴とする硫酸カルシウムセメントがある。
【0096】
(F)水硬性セメントの使用量は特に限定されないが、好ましい使用量は、硬化性樹脂組成物の(A)、(B)、(C)、(D)成分の合計100質量部に対し5〜300質量部であり、より好ましくは10〜200質量部であり、特に好ましくは20〜100質量部である。(F)水硬性セメントを使用する場合も、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)成分の好ましい量は、上記硬化性樹脂組成物並びに他のライニング材と同様である。すなわち、(A)、(B)、(C)、(D)成分の合計100質量部に対する好ましい量は、(E)成分が1〜10質量部、(A)成分が10〜50質量部、(B)成分が5〜50質量部、(C)成分が3〜30質量部、(D)成分が15〜50質量部である。また、(A)成分と(B)成分の質量比は、上述した軟質硬化物用、すなわち、質量比(A)/(B)が70/30以上95/5未満であることが好ましい。
【0097】
<成分(H)>
本発明のライニング材には、一般に使用される(H)セメント減水剤を広く使用することが可能であり、このセメント減水剤は上記成分(G)を使用するときに用いることが好ましい。(H)セメント減水剤は、通常、水硬性セメント配合物であるコンクリート、モルタル又はセメントペーストの流動性及び空気量の経時による低下を防止し、その施工性、作業性を改善する目的で使用される。
【0098】
セメント減水剤は特に限定されず、公知のものを1種以上用いることができるが、具体的には、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物系減水剤;メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物系減水剤;ポリカルボン酸系減水剤;リグニンスルホン酸系減水剤;ポリスチレンスルホン酸系減水剤;フェノールホルムアルデヒド縮合物系減水剤:及びアニリンスルホン酸系減水剤、並びに、これらの酸塩系減水剤及びこれらの酸エステル系減水剤(例:カルボン酸塩、カルボン酸エステル、スルホン酸塩、スルホン酸エステル)からなる群から選ばれる少なくとも1種のセメントのセメント減水剤が好ましく使用できる。
【0099】
これら減水剤は基本的には水溶性であり、分子内に疎水性部分と親水性部分を有する界面活性剤的な性質を示し、上記(F)セメントと(G)水とを含む分散液状のライニング材を安定的に分散させる乳化剤の役割を果たす。
【0100】
すなわち、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む第一成分及び(F)水硬性セメントを含む第二成分を混合した場合、(H)セメント減水剤が(F)のセメント粒子の表面を被覆することで、特に(G)水の分散液中での分散を促進し、均一な混合液を改良できる。
【0101】
(H)セメント減水剤の使用量は、(F)水硬性セメントに対して(水硬性セメントの質量を100質量%とした場合に)0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15重量%であり、(F)水硬性セメント100質量部に対して特に好ましい量は0.1〜5重量部である。る。この使用量を調整することにより、本発明のセメント組成物を硬化させる際に、適当な作業性を確保するだけの良好な分散混合効果が得られる。
【0102】
(A)を除いた(B)、(C)、(D)、(E)の成分液は水分による硬化阻害の影響が大きく、(F)水硬性セメント、(G)水及び(H)セメント減水剤の混合成分液を添加した場合、十分な強度、耐薬品性、接着性が得られない欠点がある。
【0103】
本発明の(G)水の使用量は、(F)水硬性セメント100質量部に対して5〜1000質部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましく、10〜500質量部が特に好ましい。
【0104】
(F)水硬性セメントを使用する場合も、上述した無機骨材材料を使用可能であり、その他、公知の無機系骨材、有機系骨材も使用できる。好ましい無機系骨材は、川砂、珪砂などの天然ケイ酸質;ガラス、セラミックス、電融アルミナ、炭化ケイ素などの無機材料を粉砕したもの;ガラスバルーンやシラスバルーンのような中空材料など多様な種類から1種以上を選択して使用できる。
【0105】
無機質系骨材は粒径が0.05mm〜4mmであるものが好ましい。これらの材料は天然の状態でもよく、例えば染料や顔料の使用により人工的に着色されたものでもよい。有機系骨材としてはプラスチックの粉砕物などが使用できる。骨材の含有量は(F)水硬性セメント100質量部に対して10〜2000質量部が好ましく、25〜1000重量部がより好ましく、100〜700質量部が特に好ましい。
【0106】
更に、上記(F)、(H)成分を使用する場合は、有機過酸化物を添加することがより好ましい。
【実施例】
【0107】
次に、本発明の実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中「部」は特に断らない限り「質量部」である。
【0108】
参考例1
<ウレタンメタアクリレート(A)の製造>
攪拌機、還流管、滴下ロート、ガス導入管を具備した4つ口フラスコにアクトコールD−400(三井化学)60.97g、アクトコールD−700(三井化学)124.45gを仕込み、減圧下100℃にて脱水し、含水率を0.016%以下としてから60℃以下に冷却した。これに芳香族ジイソシアネート化合物として2,6−トルエンジイソトシアネート(コスモネートT−80:三井化学)114.7gを室温で1時間をかけて滴下した後、内温を80℃〜85℃に保持しながら反応させた。NCO基含有量が9.23%以下に到達後、50℃以下に冷却し、続いでハイドロキノン0.05g、ヒドロキシプロピルメタクリレート(日本触媒)99.67gを滴下し、50℃に保持してジブチル錫ジラウレート0.14gを添加し、反応温度60℃を保持し、赤外線吸収スペクトルで2270cm−1のNCO基の吸収が消失するまで反応させ、ウレタンメタアクリレート(A)を得た。
【0109】
<数平均分子量約750の芳香族系エポキシメタクリレート(B)の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計、空気導入管を備えた2リットルの四つ口フラスコにjER828(三菱化学)148g、jER1001(三菱化学)360g及び240gのjER1002を仕込み、攪拌下毎分10リットルの乾燥空気を吹き込みながら130℃まで昇温した。昇温後148g、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.3g、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド2gを添加し、メタクリル酸172gを2時間かけて滴下した。滴下終了後3時間経過した時点から、1時間毎に酸価の測定を開始し、10KOHmg/g以下になったことを確認した後、100℃まで冷却して芳香族系エポキシメタクリレート(B)であるビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物を得た。
【0110】
<硬化性樹脂組成物の配合>
上記の製造で得たウレタンメタアクリレート(A)40質量部及び芳香族系エポキシメタクリレート(B)10質量部に、エチレンオキサイド2.6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−100)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)(日立化成工業社 FA−512MT)35質量部の(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して、フ
ェノキシエチルメタアクリレート(E)(共栄社化学社 ライトエステルPO)5質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、参考例1の硬化性樹脂組成物を得た。
【0111】
次に、各硬化性樹脂組成物の評価試験方法を説明する。この硬化性樹脂組成物をベース組成物(I)とし、下記配合で以下の試験に用いた。
【0112】
【表1】
【0113】
ガラスフレークRCF140:日本板硝子株式会社製
珪石粉:クリスタライトAA、株式会社龍森製
パーキュア−K:日油株式会社製
【0114】
<試験の実施条件>
上記組成物(II)を良く混合した後、金型中へ流し込み、25℃で72時間硬化させ、厚さ3mmの樹脂硬化物(注型物)を得た。この樹脂硬化物について、JIS K6901により、試験速度を1000mm/分で曲げ試験(弾性率)を行った。
【0115】
引張試験(弾性率及び伸び)はJIS K7113で測定した。この引張試験の積層板は、離型処理したガラス板上でチョップストランドマットMC−450(日東紡績株式会社製)3プライを用いて、ガラス含有量30%のFRPを積層した。25℃で72時間硬化させ、積層板とした。
【0116】
曲げ強さ(弾性率)はJIS K6911、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)はJIS K7113に従って測定した。また、バーコル硬度、硫黄浸透深さは前記の方法で測
定した。
【0117】
表面乾燥時間は、20℃室温のガラス板上にアプリケーターを用いて塗布膜を作成し、表面乾燥性について指触試験を実施した。評価方法は脱脂綿約2〜3cmを塗膜表面に押し付けても脱脂綿が粘着によって塗膜表面に残らなくなるまでの時間を測定した。
【0118】
コンクリート付着強度は、建研式引張り試験機でJIS A6916にしたがって試験を行い、接着強度を測定した。
【0119】
コンクリートピーリング試験は、JISA5304規格歩道板(サイズ;300mm×300mm)に、上記表1の配合でプライマー層と、素地調整材と、表面保護層を積層した。より具体的には、参考例1参考例2〜4および実施例1〜4の場合も各実施例の樹脂組成物を用いた)の硬化性樹脂組成物を用いて樹脂組成物(プライマー:表1の「プライマー」欄の配合)塗布量150g/mを塗布し、指で触って乾燥を確認した後、表1の「素地調整材」の配合の組成物を700g/m塗布し、指で触って乾燥を確認した後、更に、表1の「表面保護層」の配合の組成物を1kg/m(厚み0.6mm)の塗布量で塗布して防食被覆層を完成させた。25℃、72時間硬化養生してから幅×長さ×厚み=20mm×90mm×2mmのFRP板の内、長さ方向片側末端に未接着の部分20mmを残してエポキシ接着剤で接着させた。未接着部の中心に直径2mmの孔を開け、バネ秤先端のフックをこの開孔に挿入し、JIS K6256の加硫ゴムの接着試験方法に準拠して90度ピーリングを測定した。
【0120】
重量変化率は、十分混合した表1の組成物(II)10gを直径40mm(高さ15mm)のガラスシャーレに流し込み、25℃、72時間硬化させた後に脱型した注型物を温水(80℃)に96時間浸漬した後、浸漬する前と後での重量変化率を測定した。スチレンの揮発量は、十分に混合した表1の組成物(II)100gを、直径145mmのガラスシャーレに入れ、60分後に重量変化率を測定した。
【0121】
磨耗量はJIS A1453(建築材料及び建築構成部分の摩耗試験方法(研磨紙法))の摩耗輪法で、摩耗輪CS−17、荷重1kg、回転数1,000rpmの条件で測定した。
【0122】
実施例に記載の数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として示した。
【0123】
硬さ試験のバーコル硬度の測定方法は、JIS K7060(ガラス繊維強化プラスチック)のバーコル硬さ試験法に規定されている。
【0124】
EPMA(電子線マイクロアナライザー)は、積層板を10%硫酸水溶液中に120日間浸漬し、硫酸中の硫黄の浸透深さを測定した。下水道施設のコンクリート構造物の気相部は硫酸環境に置かれているため、硫黄浸透深さから樹脂塗膜厚さの寿命が予測できる。
【0125】
耐衝撃性の測定方法は、JIS K5400(塗料一般試験方法)の落球式試験法に規定されており、積層板を用い、おもりの質量は300.0±0.5g、呼び直径が25.40mm、等級60のものを規定の高さから積層板の表面に落とした。
【0126】
下地耐クラック(ひび割れ)追従性の測定方法は、日本下水道事業団編著「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術指針・同マニュアル」(平成14年2月版)参考資料−2無溶剤ポリウレタン樹脂の品質規格(参−20)のクラック追従性試験として参−57のゼロスパンによってクラック追従性を測定した。試験方法は、旧日本道路公
団JHS417−1999(コンクリート塗装材の品質規格試験方法)4.7ひび割れの追従性試験において「塗膜」を「防食被覆層」に読み替えて適用した。
【0127】
スチレンの揮発量は、参考例1の配合割合の樹脂組成物を十分に混合してから、100gを直径145mmのガラスシャーレに入れ、60分放置後と放置前の重量変化率を測定した。
【0128】
参考例2
成分(C)をエチレンオキサイド6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(共栄社化学社 BP−6EM)に代えた以外は、参考例1と同じ成分(A)、(B)、(D)、(E)を用い、表2の参考例2の欄の配合で、参考例1と同じ条件で硬化性樹脂組成物を得た。
【0129】
参考例2の硬化性樹脂組成物について、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ試験(弾性率)、引張試験(弾性率及び伸び)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率,伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、コンクリート付着強度、コンクリートピーリング試験、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0130】
[実施例
参考例2と同じ成分(A)〜(E)を用い、表2の実施例に記載の配合割合で、参考例1、2と同じ条件で、混合、溶解し、実施例の硬化性樹脂組成物を得た。実施例の硬化性樹脂組成物について、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ試験(弾性率)、引張試験(弾性率及び伸び)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率,伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、コンクリート付着強度、コンクリートピーリング試験、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0131】
[実施例
参考例1と同じ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を用い、表2の実施例の欄の配合で、参考例1、2および実施例1と同じ条件で、各成分を溶解、冷却して実施例の硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を用い、参考例1と同じ条件で注型物の曲げ試験(弾性率)、引張試験(弾性率及び伸び)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率,伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0132】
参考例3
参考例2と同じ成分(A)〜(E)を用い、成分(A)40質量部、成分(B)10質量部、成分(C)15質量部、成分(D)40質量部の合計100質量部に対してフェノキシエチルメタアクリレート(E)5質量部を加え、参考例1および2ならびに実施例1および2と同じ条件で溶解、冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0133】
参考例3の樹脂組成物を用いて参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ試験(弾性率)、引張試験(弾性率及び伸び)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率,伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、コンクリート付着強度、コンクリートピーリング試験、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0134】
更に、参考例3の樹脂組成物については、下記レジンコンクリート試験を行った。レジ
ンコンクリートは、成分(A)〜(E)の合計量を配合割合の基準とし、この合計量100質量部に対し、6%ナフテン酸コバルト1.0質量部、ジメチルアニリン0.5質量部、パーキュア−K2.0質量部を参考例3の硬化性樹脂組成物((A)〜(E))に添加、混合し、次いで無機骨材材料(第1表記載配合の混合珪砂)450質量部を添加し配合物を得た。このレジンコンクリート配合物を40×40×160mmのモールドに流し込み、圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体を作成した。引張強度は直径2.5cmの棒状モールドに流し込み作成した。これら供試体を用いて測定した結果を下記表3に記載する。
【0135】
[実施例
参考例2と同じ成分(A)〜(E)を用い、成分(A)10質量部、成分(B)、40質量部に、成分(C)10質量部、成分(D)40質量部を混合して、この合計100質量部に対して成分(E)5質量部を加え、参考例1と同じ条件で溶解、冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0136】
実施例3の樹脂組成物を用いて参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ試験(弾性率)、引張試験(弾性率及び伸び)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率,伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、コンクリート付着強度、コンクリートピーリング試験、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。更に、実施例3の樹脂組成物を用いて、参考例3と同じ条件でレジンコンクリート試験を行った。その結果を表3に記載する。
【0137】
参考例4
参考例1と同じ成分(A)、(B)、(D)、(E)を用い、成分(C)としてエチレンオキサイド6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(共栄社化学社 BP−6EM)を用いて、表2の参考例4の欄の配合で各成分を配合し、参考例1と同じ条件で溶解、冷却して参考例4の硬化性樹脂組成物を得た。
【0138】
この配合物を用い、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(弾性率、伸び率)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、表面乾燥性、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0139】
参考例4についてはガラスフレーク入り組成物(GF)の特性を測定した。この特性は、表2の参考例4の欄の組成で(A)〜(E)を配合した該樹脂組成物100質量部に、先ず6%ナフテン酸コバルト1.0質量部、ジメチルアニリン0.5質量部、パーキュア−K2.0質量部を添加混合し、次いでガラスフレークRCF−140(日本板硝子株式会社製)25質量部を添加し、ガラスフレーク入り配合物を得た。この配合物を40×40×160mmのモールドに流し込み、圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体を作成した。引張強度は直径2.5cmの棒状モールドに流し込み作成した。これら供試体を用いて測定した結果を下記表3に記載する。
【0140】
[実施例
参考例1と同じ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を用い、表2の実施例4の欄の配合で各成分を配合し、参考例1と同じ条件で溶解、冷却して実施例4の硬化性樹脂組成物を得た。
【0141】
表1の組成の配合物を用い、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(弾性率、伸び率)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、表面乾燥性、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0142】
実施例4については、参考例4と同じ条件でガラスフレーク入り組成物の特性も測定した。これらの測定結果を表3に記載する。
【0143】
[比較例1]
酸価が15mgKOH/gになったことを確認した時点で100℃迄冷却した以外は、参考例1と同じ条件で成分(B)(すなわち、平均分子量750、酸価15mgKOH/gの芳香族系エポキシ(メタ)アクリレート)を得た。
【0144】
この成分(B)50質量部に、参考例1と同じ成分(C)、(D)をそれぞれ40質量部、10質量部を添加し、これら(B)〜(D)の合計100質量部に対してフェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、比較例1の硬化性樹脂組成物を得た。
【0145】
上記硬化性樹脂組成物を用い、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(弾性率、伸び率)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、表面乾燥性、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0146】
[比較例2]
参考例1と同じ成分(A)、(C)、(D)を用い、成分(A)45質量部、成分(C)45質量部、成分(D)10質量部の合計100質量部に対して、フェノキシエチルメタアクリレート(E)5質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、比較例2の硬化性樹脂組成物を得た。
【0147】
上記硬化性樹脂組成物を用い、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(弾性率、伸び率)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、表面乾燥性、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0148】
[比較例3]
酸価が17mgKOH/gになったことを確認した時点で100℃迄冷却した以外は、参考例1と同じ条件で成分(B)(すなわち、平均分子量750、酸価17mgKOH/gの芳香族系エポキシ(メタ)アクリレート)を得た。
【0149】
参考例1と同じ成分(A)5質量部、上記成分(B)50質量部、エチレンオキサイド2.6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BP−100)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)30質量部の配合し、これら成分(A)〜(D)の合計100質量部に対して、フェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0150】
この硬化性樹脂組成物を用いて、参考例1と同じ条件で、注型物の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(弾性率、伸び率)、並びに積層板の曲げ強さ(弾性率)、引張強さ(引張り弾性率、伸び率)、バーコル硬度、硫黄浸透深さ、表面乾燥時間、表面乾燥性、コンクリート付着強度、重量変化率、スチレン揮発量、EPMA、バーコル硬度及び摩耗量を測定した。
【0151】
[比較例4]
<数平均分子量約1300の芳香族系エポキシメタクリレート(B)の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計、空気導入管を備えた2リツトルの四つ口フラスコにjER828(三菱化学)93g、jER1002(三菱化学)180g及びjER1004 990gを仕込み、攪拌下に毎分10リットルの乾燥空気を吹き込みながら130℃まで昇温した。昇温後、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.3g、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド2gを添加し、メタクリル酸172gを2時間かけて滴下した。滴下終了後3時間経過したところから、1時間毎に酸価の測定を開始し、17KOHmg/g以下になったことを確認した後、100℃まで冷却し、数平均分子量約1300の芳香族系エポキシメタクリレートの製造物を得た。
【0152】
<樹脂組成物の配合>
参考例1の製造で得たウレタンメタクリレート(A)40質量部、上記成分(B)10質量部、エチレンオキサイド2.6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BP−100)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)(日立化成工業社 FA−512MT)35質量部を混合し、成分(A)〜(D)の合計100質量部に対してフェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0153】
この硬化性樹脂組成物を用いて、参考例1と同じ方法で注型物及び積層板を作成し、各特性値を測定した。また、その他試験についても参考例1と同じ方法で行った。
【0154】
比較例4の樹脂組成物に6%ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン及びパーキュア−Kを添加した配合物のコンクリート付着強度及びコンクリートとのピーリング強度は低く、また、コンクリートにプライマー、素地調整材、表面保護材を積層した供試体を80℃の温水に全面浸漬25日後ではいずれもプライマー層、素地調整材層、表面保護層の各層間で微小のフクレ、剥離が無数に発生した。また、温水(80℃)浸漬吸水率は本発明の樹脂組成物の2倍前後と高かった。
【0155】
[比較例5]
スチレン型ビニルエステル樹脂(昭和電工 リポキシR804)100質量部にガラスフレークRCF−140(日本板硝子製)40質量部、6%ナフテン酸コバルト1質量部、及びメチルエチルケトンパーオキサイド(日油 パーメックNS)2質量部を添加して配合物を作製した。この配合物を用いて参考例1と同じ条件で各特性試験を行ったところ、スチレン揮発量は80g/mと極めて高い。その他の測定結果を表4に記載する。
【0156】
[比較例6]
参考例1の製造で得たウレタンメタクリレート(A)30質量部、比較例4の製造で得た数平均分子量1300の芳香族系エポキシメタクリレート(B)40質量部、エチレンオキサイド2.6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−100)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)15質量部を混合し、これら成分(A)〜(D)の合計100質量部に対してフェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0157】
この硬化性樹脂組成物を用いて、参考例1と同じ方法で注型物及び積層板を作成し、各特性値を測定した。また、その他試験についても参考例1と同じ方法で行った。
【0158】
レジンコンクリートは、上記硬化性樹脂組成物100質量部に、先ず6%ナフテン酸コバルト1.0質量部、ジメチルアニリン0.5質量部、パーキュア−K2.0質量部を添加混合し、次いで無機骨材材料(第2表記載配合の混合珪砂)450質量部を添加し配合物を得た。この配合物について、圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体は40×40×160
mmのモールドに上記配合物を流し込み作成した。引張強度は2.5cmφの棒状モールドに流し込み作成した。
【0159】
[比較例7]
参考例1の製造で得たウレタンメタクリレート(A)50質量部、比較例4の製造で得た数平均分子量1,300の芳香族系エポキシメタクリレート(B)15質量部、エチレンオキサイド30モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−1300)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)20質量部を混合し、これら成分(A)〜(D)の合計100質量部に対してフェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0160】
この硬化性樹脂組成物を用いて、参考例1と同じ条件で各特性試験を行った。
【0161】
ガラスフレーク入り樹脂組成物は第2表の比較例7の欄の配合欄とした。すなわち、ガラスフレーク入り樹脂組成物の配合は、該樹脂組成物100質量部に20%120度F/(FA−512MT)パラフィンワックス3.0質量部(固形分0.6質量部)を溶解した後、先ず6%ナフテン酸コバルト1.0質量部、ジメチルアニリン0.5質量部、パーキュア−K2.0質量部を添加、混合し、次いでガラスフレークRCF−140(日本板硝子(株)製)40質量部を添加し配合物を得た。この配合物を40×40×160mmのモールドに流し込み、圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体を作成し、直径2.5cmの棒状モールドに配合物を流し込み引張強度用の供試体を作成した。
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
【0165】
表中、*1はガラスフレーク入り組成物を示し、*2はメチルエチルケトンパーオキサイドを示し、*3(樹脂組成物の刺激臭有無)はスチレンモノマーの刺激臭を示す。
【0166】
参考例5
参考例1と同じウレタンメタクリレート(A)45質量部、参考例1と同じ芳香族系エ
ポキシメタアクリレート(B)10質量部、エチレンオキサイド4.0モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−200)15質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)35質量部の合計100質量部に対し、フェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0167】
該樹脂組成物100質量部に、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製ルシリンTPO)1.5質量部を添加し、十分に攪拌、混合して溶解させた後、室温まで冷却し、次いで平均粒径1.9μm、重量平均重合度30000のポリメチルメタアクリレート樹脂粉末(ガンツ化成製、ゼファイアックF320)30質量部を加えて80℃に加熱溶解し、光硬化性のプリプレグ用樹脂組成物を得た。
【0168】
厚み0.2mmのポリウレタンエラストマーフィルム・790M60K(日本バルカー工業製)を敷き、その上に単位重量450g/mのチョップストランドマット(REM450−G5;日本板硝子製)を重ねてその上に上記プリプレグ用樹脂組成物流し込んで含浸させ、その上に最初のものと同じ厚み0.2mmのポリウレタンエラストマーフィルム・790M60K(日本バルカー工業製)を被覆し、紫外線照射(メタルハライドランプ:Ga系,240W,照射強度 80mW/cm)を3分間実施し、積層体を作製した。この積層体の物性値を第4表に示す。
【0169】
[実施例
参考例1と同じウレタンメタクリレート(A)10質量部、参考例1と同じ芳香族系エポキシメタアクリレート(B)40質量部、エチレンオキサイド4.0モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−200)10質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)40質量部の合計100質量部に対し、フェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。該樹脂組成物100質量部に、光重合開始剤2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製ルシリンTPO)1.5質量部を良く攪拌、混合して溶解後、室温まで冷却し、次いで平均粒径1.9μm、重量平均重合度30000のポリメチルメタアクリレート樹脂粉末(ガンツ化成製、ゼファイアックF320)30質量部を加えて80℃に加熱、溶解し光硬化性プリプレグ用樹脂組成物を得た。この硬化性プリプレグ樹脂組成物を用いて参考例5と同じ条件で積層体を作製した。この積層体の物性値を第4表に示す。
【0170】
[比較例8]
参考例1と同じウレタンメタクリレート(A)10質量部、比較例4と同じ芳香族系エポキシメタアクリレート(B)50質量部、エチレンオキサイド2.6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社NKライトエステル BPE−1300)35質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(D)10質量部の合計100質量部に対して、フェノキシエチルメタアクリレート(E)10質量部を加えて溶解後、室温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。該樹脂組成物100質量部に光重合開始剤2,4,6ートリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製ルシリンTPO)1.5質量部を良く攪拌、混合して溶解後、室温まで冷却し、次いで平均粒径1.9μm、重量平均重合度30000のポリメチルメタアクリレート樹脂粉末(ガンツ化成製、ゼファイアックF320)30質量部を加えて80℃に加熱、溶解し光硬化性プリプレグ用樹脂組成物を得た。この硬化性プリプレグ樹脂組成物を用いて参考例5と同じ条件で積層体を作製した。この積層体の物性値を第4表に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
<水硬性セメント含有ライニング材>
以下、水硬性セメントを含有するライニング材について比較試験を行った。
【0173】
[実施例11]
参考例1と同じ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を用い、参考例1と同じ条件でベース組成物を製造し、(F)水硬性セメント(住友大阪セメント社製早強ポルトランドセメント)、(G)水、(H)セメント減水剤((株)フローリック社製SF500H、ポリカルボン酸系)を下記表6に記載の割合で配合して実施例11の水硬性樹脂組成物(ライニング材)を得た。この水硬性樹脂組成物に、更に、表6の実施例11欄に記載の配合割合で、8%オクチル酸コバルト、ジメチルアニリン、有機過酸化物(ナイパーNS)を添加した後、参考例1と同じ条件で、各種評価試験を行った。
【0174】
[実施例12]
成分(C)をエチレンオキサイド6モル付加エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(C)(共栄社化学社 BP−6EM)に代えた以外は、実施例11と同じ条件で、表6の配合割合の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行った。
【0175】
[実施例13]
実施例12と同じ成分(A)〜(E)を用い、実施例11と同じ条件で、表6の配合割
合の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行った。
【0176】
[実施例14]
実施例11と同じエチレンオキサイド2.6モル付加物の成分(C)を用い、表6の実施例14の欄に記載の配合割合に変え、実施例11と同じ条件で実施例14の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行った。
【0177】
[実施例15]
実施例12と同じ(A)〜(E)を用い、表6の実施例15の欄に記載の配合割合に変え、実施例11と同じ条件で水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行い、更に、この水硬性樹脂組成物については下記レジンコンクリート試験も行った。
【0178】
レジンコンクリートは、成分(A)〜(E)の合計量を配合割合の基準とし、この合計量100質量部に対し、8%オクチル酸コバルト溶液1.0質量部、ジメチルアニリン0.5質量部、ナイパーNS(日油製、ジアシルパーオキサイド)3質量部を、実施例11の水硬性樹脂組成物に更に添加し、これに加えて無機骨材材料(混合珪砂)を250質量部添加したレジンコンクリート配合物を、40×40×160mmのモールドに流し込み、圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体を作成した。引張強度は直径2.5mmの棒状モールドに流し込み作成した。これら供試体を用いて、実施例5と同様に評価試験を行った。
【0179】
[実施例16]
実施例12と同じエチレンオキサイド6モル付加物の成分(C)を用い、表6の実施例16欄に記載の配合割合に変えた以外は実施例11と同じ条件で実施例16の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行い、更に、オクチル酸コバルト溶液、ジメチルアニリン、ナイパーNSの配合量を表6の実施例16欄に記載の配合割合に変えた以外は、実施例15と同じ条件でレジンコンクリート試験を行った。
【0180】
[実施例17]
実施例12と同じエチレンオキサイド6モル付加物の成分(C)を用い、表6の実施例17欄に記載の配合割合に変えた以外は実施例11と同じ条件で実施例17の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同様に各種評価試験を行い、更に、この水硬性樹脂組成物については下記ガラス入りフレーク入り組成物(GF)の特性も測定した。
【0181】
ガラスフレーク入り組成物(GF)の特性は、上記実施例17の組成で配合した水硬性樹脂組成物の(A)〜(E)100質量部に対し、20%120度F/(FA−512MT)パラフィンワツクス3.0質量部(固形分0.6質量部゛)を溶解した後、8%オクチル酸コバルト溶液1.0質量部、ジメチルアニリン0.2質量部、ナイパーNS(日油製有機過酸化物)2.0質量部を添加混合し、次いでガラスフレークRCF−140(日本板硝子株式会社製)25質量部を添加し、ガラフレーク入り配合物を得た。この配合物を40×40×160mmのモールドに流し込み,圧縮強度及び曲げ強度測定用供試体を作成した。引張強度は直径2.5cmの棒状モールドに流し込み作成した。
【0182】
[実施例18]
表6の実施例18の欄に記載の配合割合に変えた以外は、実施例11と同じ条件で、実施例18の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物についても、実施例11と同
様に各種評価試験を行い、更に、実施例17と同じ条件でガラス入りフレーク入り組成物(GF)の特性も試験した。
【0183】
[比較例9]
上記比較例1と同じ条件で、平均分子量750、酸価15KOHmg/gの芳香族系エポキシ(メタ)アクリレートからなる成分(B)を得た。この成分(B)を用い、成分(A)を用いずに、下記表6の比較例9の欄に記載の配合でベース組成物を製造し、このベース組成物に表6の比較例9の欄に記載の配合で、更に、(F)、(G)、(F)を配合し、比較例9の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物を用い、実施例11と同じ条件で、各種評価試験を行った。
【0184】
[比較例10]
成分(B)を用いずに、下記表6の比較例10の欄に記載の配合で比較例10の水硬性樹脂組成物を製造した。この水硬性樹脂組成物を用い、実施例11と同じ条件で各種評価試験を行った。
【0185】
[比較例11
上記比較例4と同じ条件で、数平均分子量約1300の芳香族エポキシメタクリレートを製造し、成分(B)とした。この成分(B)と、実施例11と同じ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を用い、表6の比較例11の欄に記載の配合割合で比較例11の水硬性樹脂組成物を製造した。
【0186】
比較例11の水硬性樹脂組成物を用いて実施例11と同じ条件で各種評価試験を行った。表8に示すように、比較例11の水硬性樹脂組成物を用いた場合、コンクリート付着強度及びコンクリートとの間のピーリング強度は低く、また、コンクリートにプライマー、素地調整材、表面保護材を積層した供試体を80℃の温水に25日間全面浸漬した後では、いずれもプライマー層、素地調整材層、表面保護層の各層間で微小のフクレ、剥離が無数に発生した。また、温水(80℃)浸漬吸水率は本発明の樹脂組成物の2倍前後と高かった。
【0187】
[比較例12
スチレン型ビニルエステル樹脂(昭和電工社製のリポキシR804)100質量部に8%オクチル酸コバルト1質量部及び日油製のスチレン系ビニルエステル樹脂硬化剤(メチルエチルケトンパーオキサイド)2質量部を添加して配合物を作成した。この配合物を用いて実施例11と同じ条件で各特性試験を行ったところ、スチレン揮発量は80g/mと極めて高くなった。
【0188】
[比較例13
配合割合を表6の比較例13欄に記載のものに変えた以外は、比較例11と同じ条件で比較例13の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物を用い、実施例11と同じ条件で各種評価試験を行い、更に、実施例15と同じ条件でレジンコンクリート試験を行った。
【0189】
[比較例14
(C)成分をエチレンオキサイド30モル付加エトキシ化ビスフエノールAジメタクリレート(C)(新中村化学工業社 BPE−1300)に変え、比較例11と同じ芳香族系エポキシメタクリレート(数平均分子量1300)を用い、更に、配合割合を表6の比較例14欄に記載のものに変えた以外は、実施例11と同じ条件で比較例14の水硬性樹脂組成物を得た。この水硬性樹脂組成物を用いて実施例11と同じ条件で各種評価試験を行い、更に、ガラスフレークの量を40質量部に変えた以外は、実施例17と同じ条件でガラス入りフレーク入り組成物(GF)の特性も試験した。
【0190】
上記実施例11〜18及び比較例9〜14の組成を表6に、評価試験結果をそれぞれ表7〜8に示す。
【0191】
【表6】
【0192】
【表7】
【0193】
【表8】
【0194】
表中、*1はガラスフレーク入り組成物を示し、*3はスチレンモノマーの刺激臭を示す。
【0195】
上記参考例1で説明した通り、成分(A)のウレタンメタクリレートは、赤外線吸収スペクトルでNCO基の吸収が消失するまで反応させて得ているため、この成分(A)を用いた水硬性樹脂組成物及びライニング材は、NCO基と水分とのウレタン結合による発泡はなかった。上記成分(A)を含有しないノンスチレン系ビニルエステル樹脂組成物(成
分(B)〜(E))では、水分により硬化阻害が起こるため、水と接触あるいは組成物中に水を含有させることで、強度が劣り、耐薬品性、接着性なども得られないという欠点があり、このようなノンスチレン系ビニルエステル樹脂組成物に(F)水硬性セメント、(G)水及び(H)セメント減水剤を添加し、過酸化物と混合しても上記欠点は解消されなかった。
【0196】
これに対し、(A)ウレタンメタクリレートとノンスチレン系ビニルエステル樹脂組成物(成分(B)〜(E))を併用した本発明の樹脂組成物に、(F)水硬性セメント、(G)水及び(H)を添加し、過酸化物と混合した樹脂組成物は硬化阻害のない均一硬化物を形成し、十分な強度、耐薬品性、接着性等が得られた。