特許第6567641号(P6567641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567641
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】抗歯石口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20190819BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61Q11/00
   A61K8/24
   A61K8/34
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-500326(P2017-500326)
(86)(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公表番号】特表2017-519797(P2017-519797A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】CN2014081955
(87)【国際公開番号】WO2016004597
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホンメイ
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ストランド
(72)【発明者】
【氏名】ス、ヤン
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−026814(JP,A)
【文献】 特開2003−128529(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01961452(EP,A1)
【文献】 米国特許第04923684(US,A)
【文献】 米国特許第04565691(US,A)
【文献】 米国特許第04357318(US,A)
【文献】 特表2011−518227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0269287(US,A1)
【文献】 特表2013−539782(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0224270(US,A1)
【文献】 特開平10−167940(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/094312(WO,A1)
【文献】 特開平01−254618(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00331415(EP,A1)
【文献】 特開昭63−045214(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00249398(EP,A1)
【文献】 特表2009−520829(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/076001(WO,A1)
【文献】 特開平08−040859(JP,A)
【文献】 特表2012−522778(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0020901(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152602(US,A1)
【文献】 米国特許第04826675(US,A)
【文献】 特開昭58−189107(JP,A)
【文献】 特開平03−034918(JP,A)
【文献】 特表2009−517455(JP,A)
【文献】 特表2010−517994(JP,A)
【文献】 特開平10−017447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61K 8/24
A61K 8/34
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用組成物であって、
(a)1wt%〜60wt%のカルシウム含有研磨剤であって、前記カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムオルトリン酸塩、カルシウムメタリン酸塩、カルシウムポリリン酸塩、カルシウムオキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、カルシウム含有研磨剤と、
(b)少なくともリン酸塩イオン(PO3−)100mMをもたらすのに十分な量のカルシウム捕獲リン酸塩源と、
(c)湿潤剤20wt%以下と、
(d)少なくとも30wt%の水と、を含み、
該口腔用組成物は、pH8〜11を有し、かつグリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびその組み合わせからなる群から選択される湿潤剤を実質的に含まない、口腔用組成物。
【請求項2】
前記カルシウム含有研磨剤が、微粉砕天然白亜、粉砕炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源が、ピロリン酸塩源、ポリリン酸塩源、ポリリン酸化イノシトール源、ポリホスホネート源及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源が、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、フィチン酸塩、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸塩)、ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸塩)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸塩)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源が、直鎖状トリポリリン酸塩、環状トリポリリン酸塩、直鎖状テトラポリリン酸塩、環状テトラポリリン酸塩、直鎖状ヘキサメタリン酸塩、環状ヘキサメタリン酸塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の前記口腔用組成物。
【請求項6】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源が、少なくとも120mMのリン酸塩イオンPO3−をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
前記水が、30から80wt%の量で存在する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
前記口腔用組成物が、8.0から11.3のpHを有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
前記カルシウム含有研磨剤が、10から55wt%の量で存在する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
フッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるフッ化物イオン源を更に含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
キサンタンガム、セルロース系ポリマー、カラギーナン、ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸、ポリカルボフィル、アルギン酸塩、粘土、グルコース、ペクチン、ゼラチン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される増粘剤を更に含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
前記増粘剤は、0.01から20wt%の量で存在する、請求項11に記載の口腔用組成物。
【請求項13】
ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ドミフェン、スズイオン源、亜鉛イオン源、銅イオン源及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗菌活性剤を更に含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項14】
抗歯石口腔用組成物を製造するための、カルシウム捕獲リン酸塩源の使用であって、該抗歯石口腔用組成物は、
(a)1wt%〜60wt%のカルシウム含有研磨剤であって、前記カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムオルトリン酸塩、カルシウムメタリン酸塩、カルシウムポリリン酸塩、カルシウムオキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、カルシウム含有研磨剤と、 (b)少なくともリン酸塩イオン(PO3−)100mMをもたらすのに十分な量のカルシウム捕獲リン酸塩源と、
(c)湿潤剤20wt%以下と、
(d)少なくとも30wt%の水と、を含み、
該口腔用組成物は、pH8〜11を有し、かつグリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびその組み合わせからなる群から選択される湿潤剤を実質的に含まないものである、使用。
【請求項15】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源が、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸塩)、ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸塩)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸塩)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記カルシウム捕獲リン酸塩源は、少なくとも120mMのリン酸塩イオンPO3−をもたらすのに十分な量で存在する、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム含有研磨剤を含む抗歯石口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯石(Dental calculus)(又は歯石(tartar)とも称されることがある)とは、歯肉縁の歯の表面上に形成される堆積物である。歯肉縁上歯石は、主に唾液管オリフィスに近接する領域内(例えば、下顎前歯の舌面上、上側第1及び第2臼歯の頬面上、及び後方臼歯の遠心表面上など)に発現する。
【0003】
成熟した歯石は、大部分が、骨、エナメル質及び象牙質に類似したヒドロキシアパタイト結晶格子構造中に配置されるリン酸カルシウムである無機部分から構成される。また、有機部分も存在し、剥離した上皮細胞、白血球、唾液沈降物、食物の破片、及び様々な種類の微生物から構成される。
【0004】
成熟した歯石が発現すると、いくつかの外来剤により染色されるか又は変色するまで、その外観は、明らかに色が白くなるか又は黄色になる。この点については、美的観点からは望ましいものではない。この問題を解決するための1つの方法としては、定期的な歯科検診により、機械的に歯石堆積物を取り除くことである。別の解決法としては、種々の生物化学剤を使用することにより、歯石の形成を遅延させるか、又は形成された後、歯石を除去することである。
【0005】
化学的に歯石形成を抑制する後者の方法には、概して、カルシウムイオンのキレート化及び/又は結晶成長抑制を伴う。この方法により、カルシウム除去を介して、成熟した歯石の形成を阻止し、かつ/又は破断する。例えば、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩など、この目的のために効果的であることが既知であるいくつかのキレート剤がある。
【0006】
シリカは、口腔ケア組成物中で一般に使用される研磨剤である。また、カルシウム含有研磨剤も、口腔用組成物中で使用されている(例えば、練り歯磨き)。しかし、カルシウム含有研磨剤に伴う問題点は、カルシウムイオンが口腔用組成物中の遊離ピロリン酸塩イオン又はリン酸塩イオン及び他の抗歯石源と錯体を形成し、抗歯石効果の潜在的減少をもたらす点である。その結果、カルシウム含有研磨剤、例えば、炭酸カルシウムは、抗歯石口腔用組成物において好ましい研磨剤ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、抗歯石効果が改善された口腔用組成物が必要とされている。口腔用組成物は、改善された清掃効果を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、
(a)1wt%〜60wt%のカルシウム含有研磨剤であって、カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムオルトリン酸塩、カルシウムメタリン酸塩、カルシウムポリリン酸塩、カルシウムオキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、カルシウム含有研磨剤と、
(b)少なくともリン酸塩イオン(PO3-)100mMをもたらすのに十分な量のカルシウム捕獲リン酸塩源と、
(c)湿潤剤20wt%以下と、
(d)少なくとも5wt%の水と、を含み、
前記口腔用組成物は、pH8〜11を有する、口腔用組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は歯石の制御方法を提供し、本方法は、被験者の口腔へ本発明の口腔用組成物を投与する工程を含む。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、抗歯石口腔用組成物を製造するためのカルシウム捕獲リン酸塩源の使用を提供し、抗歯石口腔用組成物は、カルシウム含有研磨剤を含み、pH8〜11を有し、カルシウム捕獲リン酸塩源は、抗歯石口腔用組成物中、少なくともリン酸塩イオン(PO3−)100mMをもたらすのに十分な量で存在する。
【0011】
概して、カルシウム捕獲リン酸塩源は、カルシウム含有研磨剤の存在下において、十分な抗歯石効果をもたらすのに十分に可溶性であり、かつ生物学的に利用可能である必要があると考えられている。しかし、口腔用組成物中に存在する利用可能な可溶性カルシウム捕獲リン酸塩源の濃度が非常に低い場合でも、pHにより引き起こされる効果に基づいて、本発明は、抗歯石口腔用組成物を提供する。本発明では、口腔用組成物が保管されている場合は高いpHにより非有効な不溶性源としてのカルシウム捕獲リン酸塩源が非活性化するが、使用する時点では、pHが推移することにより、追加のカルシウム又はカルシウムイオンの捕捉が可能なリン酸種が形成され、このために、抗歯石効果がもたらされる。
【0012】
本発明のこれらの特徴、態様及び利点及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳述な説明により、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
用語「口腔用組成物」は、本発明で使用する場合、通常の使用過程で、口腔作用の目的のために、一部又はすべての歯科表面及び/又は口腔組織に接触するのに十分な時間、口腔内で保持される製品を意味する。一実施形態では、組成物は、口腔内で使用される場合に、この組成物が利益をもたらすことを意味する「口腔ケア組成物」である。本発明の口腔用組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯科用ゲル、歯磨き粉、錠剤、すすぎ剤、歯肉下用ゲル、発泡体、ムース、チューインガム、リップスティック、スポンジ、フロス、予防ペースト、ワセリンゲル、又は義歯用製品などの各種形態であってもよい。一実施形態において、口腔用組成物は、ペースト又はゲルの形態である。別の実施形態において、口腔用組成物は、歯磨剤の形態である。また、口腔用組成物は、口腔表面に直接塗布するか若しくは装着するために、又はフロス内に組み込むために、ストリップ片若しくはフィルム上に組み込まれてもよい。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「歯磨剤」は、特に指定されない限り、口腔表面を清掃するために使用されるペースト、ゲル、粉剤、錠剤又は液体配合物を意味する。本明細書で使用するとき、用語「歯」は、天然歯並びに人工歯、又は歯科補綴物を意味する。
【0015】
用語「歯石(tartar)」及び「歯石(calculus)」は、本明細書では同義的に使用され、石灰化したプラークバイオフィルムを意味する。
【0016】
すべての百分率、部、及び比率は、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量を基準とする。列挙されている成分に関するとき、こうした重量はすべて、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。用語「重量%」は、本明細書では「wt%」と示してもよい。本明細書で使用するとき、すべての分子量は、特に指定されない限り、グラム/モルとして表される重量平均分子量である。
【0017】
本明細書で使用するとき、「1つの(a及びan)」を包含する項目は、請求項に使用するとき、請求又は記載されているものの1つ又はそれ以上を意味すると理解される。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」「含んでいる(comprising)」「備える(include)」「備える(includes)」「備えている(including)」「含有する(contain)」「含有する(contains)」及び「含有している(containing)」は、非限定的であること、すなわち、結果の終結に影響を及ぼすことのない他の工程及び他のセクションを加えることができることを意味する。上記用語は、用語「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0019】
本明細書で使用するとき、単語「好ましい」、「好ましくは」及びその変形は、一定の条件下において一定の利益をもたらす本発明の実施形態に関する。しかしながら、同じ、又は他の状況下においては、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0020】
本明細書で言及される測定はすべて、特に指定されない限り、室温約25℃で行われる。
【0021】
カルシウム含有研磨剤
口腔用組成物は、特に、練り歯磨き、ゲル又は粉末剤の形態では、概して、研磨剤を含む。ゲルは、通常、シリカを含有し、不透明なクリームは、概して、カルシウム含有研磨剤を含有する。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、1wt%〜60wt%のカルシウム含有研磨剤を含有し、カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムオルトリン酸塩、カルシウムメタリン酸塩、カルシウムポリリン酸塩、カルシウムオキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態では、口腔用組成物は、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、又は25wt%から、35wt%、40wt%、50wt%、55wt%、又は60wt%のカルシウム含有研磨剤を含む。
【0023】
好ましい実施形態では、カルシウム含有研磨剤は、微粉砕天然白亜、微粉砕炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
微粉砕天然白亜(FGNC)は、本発明において有用なより好ましいカルシウム含有研磨剤の1つである。これは、石灰石又は大理石から得られる。また、FGNCは、製粉中又は製粉後に熱処理によってコーティングすることにより化学的又は物理的に改変されてもよい。典型的なコーティング材料としては、ステアリン酸マグネシウム又はオレイン酸塩が挙げられる。FGNCの形態は、更に、製粉工程中、例えば、ボールミリング、気流式分級ミリング又はスパイラルジェットミリングなど、異なる製粉技術を使用することによって、改変されてもよい。天然白亜の一例としては、中程度の粒径1〜15μm及びBET表面積0.5〜3m/gを有し、PCT国際公開特許WO 03/030850に記載されている。天然炭酸カルシウムは、325〜800メッシュ、あるいは、325、400、600、800又はこれらの組み合わせから選択されるメス(mess)の粒径を有し得る。あるいは、粒子は、0.1〜30ミクロン、又は0.1〜20ミクロン、又は5〜20ミクロンである。
【0025】
カルシウム含有研磨剤に加えて、他の研磨剤は、更に、目的の磨耗程度に応じて、本発明の口腔用組成物において使用してもよい。これらとしては、非晶質沈殿シリカ及びシリカゲルなどの合成砥粒研磨剤が挙げられる。他の研磨剤としては、炭酸マグネシウム、ナトリウムメタリン酸塩、カリウムメタリン酸塩、ジルコニウムケイ酸塩、カリウムメタリン酸塩、マグネシウムオルトリン酸塩、リン酸三カルシウム、マグネシウムオルトリン酸塩、リン酸三マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ジルコニウムケイ酸塩、及びパーライトが挙げられる。
【0026】
カルシウム捕獲リン酸塩源
用語「カルシウム捕獲」「カルシウムキレート化」及び「カルシウム結合」は、本明細書では互換的に用いられ、化学的又は物理的にカルシウム又はカルシウムイオンに結合する能力を意味する。本明細書で使用されるカルシウム捕獲リン酸塩源は、カルシウムイオンをキレート化するように、2つ以上のリン酸基を有するリン酸塩源であることが好ましい。口腔ケア組成物中では、カルシウム捕獲リン酸塩源を抗歯石剤として使用し、歯石形成を予防することが可能である。
【0027】
歯石の形成は、唾液によるプラークの石灰化の結果として生じ、これによって、唾液のカルシウム及びリン酸塩がプラークに付着し、蓄積する。カルシウム捕獲リン酸塩源を使用することが、結晶成長抑制剤の役割を果たし、プラークの石灰化及びその後の歯石の構築の双方を制限する。カルシウム含有研磨剤を含む口腔用組成物内では、カルシウム捕獲リン酸塩源は、口腔用組成物内で遊離カルシウムに結合し、不溶性カルシウムリン酸塩錯体を形成し、これはカルシウムと更に結合することができないため、結晶成長を抑制し、抗歯石効果をもたらす。臨床的に証明されている抗歯石練り歯磨きによれば、高レベルの入手可能なカルシウム捕獲リン酸塩源が必要とされる。このため、概して、カルシウム捕獲リン酸塩源は、カルシウム含有研磨剤の存在下において、十分な抗歯石効果をもたらすことができないと考えられている。しかし、本発明者らは、驚くべきことに、カルシウム捕獲リン酸塩源が、可溶性形態又は不溶性形態のいずれかにおいて、少なくとも、100mMのリン酸塩イオンPO3−をもたらす場合には、抗歯石効果を得ることができることを見出した。単位「mM」及び「mmol/L」は、本明細書では同義で使用され、口腔用組成物中でのリン酸塩イオンPO3−のモル濃度を意味する。
【0028】
一実施形態において、口腔用組成物中のカルシウム捕獲リン酸塩源の量は、少なくとも120mM、好ましくは140mM、200mM、300mM、又は400mMから、500mM、600mM、800mM、又は1000mMのリン酸塩イオンPO3−を提供するのに十分である。
【0029】
好ましいカルシウム捕獲リン酸塩源としては、ピロリン酸塩源、ポリリン酸塩源、ポリリン酸化イノシトール源、ポリホスホネート源、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カルシウム捕獲リン酸塩源は、単独で又は追加の抗歯石剤と組み合わせて存在してもよい。
【0030】
ピロリン酸塩源
本発明において有用なピロリン酸塩源としては、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。非水和形態及び水和形態のピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)が好ましい化学種である。本発明の口腔用組成物中では、ピロリン酸塩源は、ほとんど溶解した、ほとんど溶解していない、又は溶解したピロリン酸塩と溶解していないピロリン酸塩との混合物の3通りの状態のうちの1つで存在してもよい。
【0031】
ほとんど溶解したピロリン酸塩を含む口腔用組成物は、少なくとも1つのピロリン酸塩イオン源が少なくとも1.0wt%の遊離ピロリン酸塩イオンをもたらすのに十分な量である口腔用組成物を意味する。遊離ピロリン酸塩イオンの量は、1wt%、1.5wt%、2wt%、又は3wt%から、5wt%、6wt%、10wt%、又は15wt%であってもよい。遊離ピロリン酸塩イオンは、組成物のpHに応じて様々なプロトン化した状態で存在してもよい。特定の実施形態では、好ましくは口腔用組成物中で使用されるNaの量は、0.5wt%〜13.8wt%で存在し、Naは、0.5wt%〜6wt%(すべて未水和形態)で存在する。代替的実施形態では、Naの量は、1wt%、1.5wt%、3wt%、又は4wt%から、5wt%、6wt%、8wt%、又は10wt%で存在する。別の代替的実施形態では、Naの量は、1wt%、又は2wt%から、3wt%、又は5wt%で存在する。
【0032】
ほとんど溶解していないピロリン酸塩を含む口腔用組成物は、組成物中に溶解させた全ピロリン酸塩20wt%以下、好ましくは15wt%未満、又はより好ましくは口腔用組成物中に溶解させた全ピロリン酸塩の10wt%未満を含有する口腔用組成物を意味する。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの口腔用組成物中において、好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩形態若しくは十水和物形態、又は口腔用組成物中、固形形態で安定している任意の他の種であってもよい。本塩は固体粒子形態であり、これは、塩の粒径が好ましくは、審美的に許容可能であり、かつ使用中速やかに可溶するのに十分に小さい結晶状態及び/又は非晶質状態であってもよい。これらの口腔用組成物を作製するにあたって有用なピロリン酸塩の量は、任意の歯石制御有効量であり、概して、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3.5wt%、又は5wt%から、6wt%、7wt%、8wt%、10wt%、又は15wt%で存在する。
【0033】
口腔用組成物は更に、溶解及び非溶解ピロリン酸塩の混合物を含んでもよい。上記のピロリン酸塩をいずれも使用してもよい。
【0034】
ポリリン酸塩源
本明細書で考察される通り、本発明において有用なポリリン酸塩源としては、直鎖状及び/又は環状構造で配置される3つ以上のリン酸塩分子を有するようなものが挙げられる。好ましい無機ポリリン酸塩としては、直鎖状及び/又は環状構造のトリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩及びヘキサメタリン酸塩が挙げられる。非晶質ガラス状材料として、通常、テトラポリリン酸塩より大きいポリリン酸塩が発生する。本発明では、次式を有する直鎖状「ガラス質」ポリリン酸が好ましい:
XO(XPO
(式中、「X」は、ナトリウム又はカリウムであり、「n」は、3〜125の整数を平均したものであり、好ましくは6〜21である)。商業的にはSodaphos(登録商標)として公知のポリリン酸塩(nは約6)、Hexaphos(登録商標)(nは約13)、及びGlass H(登録商標)(nは約21)が好ましく、これらは、FMC Corporation及びAstarisによって製造されている。これらのポリリン酸は、単独で又は組み合わせて使用してもよい。
【0035】
ポリリン酸塩源は、典型的には、0.5wt%、2wt%、4wt%、6wt%、又は7wt%から、9wt%、10wt%、12wt%、15wt%、又は20wt%で存在する。
【0036】
ポリリン酸化イノシトール源
本発明において有用なポリリン酸化イノシトール源としては、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸塩);ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸塩)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸塩)及びアルカリ金属、アルカリ土類金属又はそのアンモニウム塩が挙げられる。本明細書では、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(二水素リン酸塩)としても公知のフィチン酸又はイノシトールヘキサリン酸、及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩が好ましい。本明細書では、用語「フィチン酸塩」としては、フィチン酸及びその塩並びに他のポリリン酸化イノシトール化合物が挙げられる。
【0037】
ポリリン酸化イノシトール源は、典型的には、0.1wt%〜35wt%、好ましくは2wt%、5wt%、6wt%、又は10wt%から、15wt%、20wt%、25wt%、又は30wt%で存在する。代替的実施形態では、ポリリン酸化イノシトール源は、1wt%〜9wt%、若しくは7wt%〜12wt%、若しくは16wt%〜28wt%、又はこれらの組み合わせで存在する。
【0038】
ポリホスホネート源
本明細書で使用するとき、ポリホスホネートとしては、ジホスホネート、ポリジホスホネート及びポリホスホネートが挙げられる。これらの材料は、これらの酸又は水溶性塩として用いてもよい。また、ジホスホン酸及びポリホスホン酸のポリマーなど、ホスリン酸をベースとする合成ポリマーも使用可能である。ホスホネートは、P−C共有結合を含有することを特徴とした化合物であり、リン酸基を分子に結合させる。ジホスホネートは、P−C−P結合を含有することを特徴としている。好ましいジホスホネートとしては、アザシクロアルカンジホスホネートが挙げられる。これらの材料の合成は、1976年3月2日発行のPlogerらの米国特許第3,941,772号に記載されている。アザシクロヘプチリジン(azacycloheptylidne)−2,2−ジホスホン酸(AHP)及びエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート(EHDP)のナトリウム塩が好ましい。ポリホスホネートの更なる説明は、1994年8月16日発行米国特許第5,338,537号(White,Jr.ら)及び1972年7月18日発行の米国特許第3,678,154号(Widderら)に見出される。
【0039】
ポリホスホネートは、0.1wt%、0.3wt%、0.5wt%、又は0.8wt%から、1wt%、2wt%、6wt%、又は12wt%の量で存在してもよい。
【0040】

本発明の口腔用組成物は、本明細書では、全量で少なくとも5wt%、好ましくは10wt%、20wt%、30wt%、又は40wt%から、60wt%、65wt%、70wt%、又は80wt%の水を含む。一実施形態において、組成物中に存在する水の量は、5wt%〜20wt%、若しくは15wt%〜38wt%、若しくは35wt%〜50wt%、若しくは45wt%〜68wt%、又はこれらの組み合わせである。水は、配合物に添加してもよく、かつ/又は他の成分の封入物から組成物に入れてもよい。水は、USP水であることが好ましい。
【0041】
甘味剤
本明細書における口腔用組成物は、甘味剤を含めてもよい。これらとしては、例えば、サッカリン、デキストロース、スクロース、ラクトース、マルトース、レブロース、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、ネオテーム及びこれらの混合物などの甘味剤が挙げられる。甘味剤は、概して、口腔用組成物中、口腔用組成物の重量を基準にして0.005wt%〜5wt%、あるいは、0.01wt%〜1wt%、あるいは0.1wt%〜0.5wt%、あるいはこれらの組み合わせの濃度で使用される。
【0042】
フッ化物イオン源
口腔用組成物としては、有効量の虫歯予防薬を含めてもよい。一実施形態では、虫歯予防薬は、フッ化物イオン源である。フッ化物イオンは、25℃で組成物中、フッ化物イオン濃度をもたらすのに十分な量で存在してもよく、かつ/又は一実施形態では、口腔用組成物の重量を基準にして、約0.0025wt%〜約5wt%、あるいは口腔用組成物の重量を基準にして、約0.005wt%〜約2.0wt%の濃度で使用して、虫歯予防効果をもたらしてもよい。好適なフッ化物イオン産生材料の例としては、米国特許第3,535,421号及び同第3,678,154号に開示されている。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、口腔用組成物は、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、及びこれらの混合物から選択されるフッ化物源を含有する。本発明の好ましい実施形態では、フッ化物イオン源は、モノフルオロリン酸ナトリウムであり、口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、モノフルオロリン酸ナトリウムを0.0025wt%〜2wt%、あるいは、0.5wt%〜1.5wt%、あるいは、0.6wt%〜1.7wt%、あるいはこれらの組み合わせで含む。一実施形態では、口腔用組成物は、モノフルオロリン酸(monofluorphosphate)(MFP)イオン1ppm〜15,000ppm、あるいは、100ppm〜8,000ppm、あるいは、5,000ppm〜10,000ppm、あるいは7,000〜9,000ppmを含む。
【0043】
pH
本発明の口腔用組成物のpHは、好ましくは、8〜11、あるいは8.0、8.5、9.0、又は9.5から、10.5、10.7、11.0又は11.3の範囲内である。
【0044】
pHは、好ましくは、カルシウム捕獲リン酸塩源の適切な釣り合いを介するか、又はアルカリ性剤又は酸性剤を添加することにより達成される。高pHが、カルシウム含有研磨剤とカルシウム捕獲リン酸塩源との結合を安定させるものと考えられ、これにより不溶性のカルシウムリン酸塩錯体、例えば、カルシウムリン酸塩酸化物/水酸化物種などが生成される。pHの変化時に、不溶性カルシウムリン酸塩錯体は、追加のカルシウムイオンの捕捉が可能になり、このため、抗歯石効果をもたらす異なるリン酸塩種を形成する傾向にある。
【0045】
本発明の組成物については、分配される前に塩基性pHが維持され、その後、口腔に塗布されると、比較的素早くpHが酸性レベル(すなわち7未満)に変化することが望ましい。代替的実施形態では、高含水量の本発明の口腔用組成物は、低pHの口腔環境に晒したとき、この組成物のpHの更に迅速な低下を促進させ、それによって、追加のカルシウムイオンの捕捉を可能にする異なるリン酸塩種の形成が可能になると考えられている。口腔用組成物は、概して、長時間口腔に含まれていないため、このことは重要であり、これによって、比較的短時間でpHが塩基性から酸性に変化することが期待される。
【0046】
歯磨剤のpHの評価方法について記載する。pHは、自動温度補正(ATC)プローブを備えたpH計によって測定される。pH計は、0.001pH単位で読み取りが可能である。pH電極は、次から選択されてもよい:(i)Orion Ross Sure−Flow組み合わせ:Glass body−VWR#34104−834/Orion#8172BN若しくはVWR#10010−772/Orion#8172BNWP;Epoxy body−VWR#34104−830/Orion#8165BN若しくはVWR#10010−770/Orion#8165BNWP;Semi−micro,epoxy body−VWR#34104−837/Orion#8175BN又はVWR#10010−774/Orion#3175BNWP;又は(ii)Orion PerpHectt組み合わせ:VWR#34104−843/Orion#8203BNセミミクロガラス体;又は(iii)好適な等価物。自動温度補正プローブは、Fisher Scientific,Cat #13−620−16である。
【0047】
25wt%の歯磨剤スラリーは、脱イオン水を用いて調製され、その後、SORVALL RC 28S遠心分離器及びSS−34ローターを使用して10分間、15000回転/分(又は24149gの力である等価の重力)で遠心分離にかける。このpHは、1分間後又は読取り値が安定した後、上澄み中で評価する。それぞれのpHを評価後、電極を脱イオン水にて洗浄する。過剰な水はいずれも実験室グレードのティッシュで拭き取る。使用していないときには、pH7の緩衝液又は適切な電極保管液に電極を浸漬させた状態を維持させる。
【0048】
pH調整剤
本明細書に記載の口腔用組成物としては、有効量のpH調整剤を含めてもよく、あるいは、pH調整剤は、pH緩衝剤である。本明細書で使用するとき、pH調整剤とは、口腔用組成物のpHを上記pH範囲に調整するために使用可能な剤を意味する。pH調整剤としては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アンモニウム化合物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール及びこれらの混合物を挙げることができる。特定のpH剤としては、一ナトリウムリン酸塩(リン酸一ナトリウム)、リン酸三ナトリウム(リン酸三ナトリウム12水和物又はTSP)、安息香酸ナトリウム、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、グルコン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又はリン酸が挙げられる。一実施形態では、口腔用組成物の重量を基準にして0.01wt%〜3wt%、好ましくは0.1wt%〜1wt%のTSP、及び口腔用組成物の重量を基準にして0.001wt%〜2wt%、好ましくは0.01wt%〜0.3wt%の一ナトリウムリン酸塩が使用される。理論に束縛されるものではないが、TSP及び一ナトリウムリン酸塩は、カルシウムイオンキレート活性を有してもよく、このため、(モノフルロリン酸塩を含有するこれらの配合物中において)若干のモノフルオロリン酸塩の安定化をもたらす。
【0049】
界面活性剤
本明細書に記載の口腔用組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双極性、カチオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択されてもよい。口腔用組成物は、口腔用組成物の全重量を基準にして、約0.1wt%〜約10wt%、約0.025wt%〜約9wt%、約0.05wt%〜約5wt%、約0.1wt%〜約2.5wt%、約0.5wt%〜約2wt%,又は約0.1wt%〜約1wt%の濃度の界面活性剤を含めてもよい。アニオン性界面活性剤の非限定的例としては、米国特許公開番号US2012/0082630(A1)の段落32、33、34及び35に記載の界面活性剤を挙げることができる。双極性又は両性界面活性剤の非限定的例としては、米国特許公開番号US2012/0082630(A1)の段落36に記載の界面活性剤を挙げることもでき;カチオン性界面活性剤としては、本参考文献の段落37に記載の界面活性剤を挙げることもでき;非イオン性界面活性剤としては、本参考文献の段落38に記載の界面活性剤を挙げることもできる。一実施形態では、口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、0.1wt%〜5wt%、好ましくは0.1wt%〜3wt%、あるいは0.3wt%〜3wt%、あるいは1.2wt%〜2.4wt%、あるいは1.2wt%〜1.8wt%、あるいは1.5wt%〜1.8wt%、又はこれらの組み合わせのアニオン性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む。
【0050】
増粘剤
本明細書での口腔用組成物は、1つ以上の増粘剤を含むことができる。増粘剤は、0.01wt%〜20wt%、0.01wt%、0.1wt%若しくは0.3wt%から、3wt%、10wt%、若しくは20wt%、又は0.1wt%〜5wt%の量で使用してもよい。非限定的例としては、米国特許第US2008/0081023(A1)号段落134〜137及びその中に引用されている参考文献に記載されているものを挙げることもできる。
【0051】
一実施形態では、増粘剤は、キサンタンガム、セルロース系ポリマー、カラギーナン、ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸、ポリカルボフィル、アルギン酸塩、粘土、グルコース、ペクチン、ゼラチン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
別の実施形態では、口腔用組成物は、増粘剤として、直鎖状硫酸化多糖を含む。カラギーナン又はカラゲニンは、直鎖状硫酸化多糖の一例である。一般に、カラギーナンは、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン及びラムダカラギーナンなど、硫酸化の程度に基づいて変化し得る。カラギーナンを組み合わせたものを用いてもよい。一実施形態では、本組成物は、本組成物の重量を基準にして、0.1wt%〜3wt%、好ましくは0.5wt%〜2wt%、若しくは0.6wt%〜1.8wt%、又はこれらの組み合わせの直鎖状硫酸化多糖を含む。一実施形態では、イオタカラギーナンが使用されている。
【0053】
別の実施形態では、口腔用組成物は、シリカ剤、好ましくは、非常に細かい粒子を生成するように、酸により不安定化させることによって、ケイ酸ナトリウム溶液から得られた増粘性シリカを含む。市販されている一例としては、Huber Engineered Materialsの商品名ZEODENT(登録商標)(例えば、ZEODENT(登録商標)103、124、113、115、163、165、167)のシリカである。別の実施形態では、口腔用組成物は、組成物の重量を基準にして、0.5wt%〜5wt%、好ましくは1wt%〜4wt%、あるいは1.5wt%〜3.5wt%、あるいは2wt%〜3wt%、あるいは2wt%〜5wt%、あるいは1wt%〜3wt%、あるいはこれらの組み合わせのシリカ剤を含む。
【0054】
別の実施形態では、口腔用組成物は、カルボキシメチルセルロース(「CMC」)を含む。CMCは、アルカリ及びモノクロロ酢酸又はそのナトリウム塩で処理することによって、セルロースから調製される。異なる種は、商業上、粘度によって特徴付けられる。市販されている一例は、Ashland Special IngredientsのAqualon(商標)商品名CMC(例えば、Aqualon(商標)7H3SF;Aqualon(商標)9M3SF Aqualon(商標)TM9A;Aqualon(商標)TM12A)である。一実施形態では、本口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、0.1wt%〜3wt%、好ましくは0.5wt%〜2wt%、若しくは0.6wt%〜1.8wt%、又はこれらの組み合わせのCMCを含む。
【0055】
更に別の実施形態では、コストを削減すると同時に粘度及び弾性の適切なバランスを達成するために、増粘剤は、直鎖状硫酸化多糖(例えば、カラギーナン)、CMC、及び、好ましくは、増粘性シリカを含んでもよい。一実施形態では、本口腔用組成物は、以下の増粘剤を含む:(a)口腔用組成物の重量を基準にして0.01wt%〜1.4wt%未満、好ましくは0.1wt%〜1.3wt%、より好ましくは0.5wt%〜1.3wt%のカラギーナン;及び(d)口腔用組成物の重量を基準にして、0.4wt%超〜2wt%、好ましくは0.5wt%〜1.8wt%、より好ましくは0.6wt%〜1.8wt%のカルボキシメチルセルロース(CMC)。更に別の実施形態では、上述の増粘剤は、口腔用組成物の重量を基準にして、0.5wt%〜5wt%、好ましくは1wt%〜4wt%の増粘性シリカを更に含む。
【0056】
少量の湿潤剤又は湿潤剤非含有
本明細書に記載の口腔用組成物は、湿潤剤を実質的に含まないか又は含まなくてもよい。あるいは、少ない量で湿潤剤を含有してもよい。本発明に関して、用語「湿潤剤」としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組み合わせなどの食用多価アルコールが挙げられる。一実施形態では、湿潤剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組み合わせから選択される。更に別の実施形態では、湿潤剤はソルビトールである。一実施形態では、本口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、以下の湿潤剤を含む;0wt%〜20wt%未満、好ましくは0wt%〜10wt%、あるいは0wt%〜5wt%、あるいは0wt%〜3wt%、あるいは0wt%〜2wt%、あるいは0wt%〜1wt%、あるいは20%未満、又は19%未満、18%、15%、12%、8%、7%、6%、4%、3%、2%、1%、若しくは0.5%未満;又は本口腔用組成物の重量を基準にして1wt%超、又は2wt%超、5wt%超、10wt%超、又は15wt%超;又はこれらの組み合わせ。更に別の実施形態では、口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、20%未満のソルビトールを含有する。
【0057】
代替的実施形態では、本発明の口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、好ましくは1wt%〜15wt%の湿潤剤を含む。
【0058】
着色剤
本明細書に記載の口腔用組成物は、着色剤を含めてもよい。二酸化チタンは、着色剤の一例である。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔用組成物の重量を基準にして、約0.25%〜約5%を占めることができる。
【0059】
風味剤
本明細書に記載の口腔用組成物は、口腔用組成物の重量を基準にして、約0.001%〜約5%、あるいは約0.01%〜約4%、あるいは約0.1%〜約3%、あるいは約0.5%〜約2%、あるいは1〜1.5%、あるいは0.5%〜1%、あるいはこれらの組み合わせの風味剤組成物を含むことができる。用語「風味剤組成物」は、最も広範な意味で使用され、香味成分、若しくは感覚剤(sensates)若しくは感覚剤(sensate agents)、又はこれらの組み合わせを含む。風味成分としては、米国特許第US2012/0082630(A1)号明細書の段落39に記述されているものを挙げることができ、また、感覚剤及び感覚剤成分としては同明細書の段落40〜45に記述されているものを挙げることができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。「甘味剤」は、風味剤組成物の定義から除外される(上記の通り)。
【0060】
抗菌活性剤
また、本発明は、抗菌活性剤を更に含み得る。非水溶性非カチオン性抗菌活性剤及び水溶性抗菌活性剤、例えば第四級アンモニウム塩及びビス−ビクアナイド塩(bis-biquanide salt)が、とりわけ、封入に好適である。トリクロサン一リン酸塩は、追加の水溶性抗菌活性剤である。いくつかの好ましい実施形態では、抗菌活性剤は、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ドミフェン、スズイオン源、亜鉛イオン源、銅イオン源及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの抗菌活性剤は、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、又は0.2wt%から、0.5wt%、1.0wt%、1.2wt%、又は1.5wt%の濃度で存在してもよい。
【0061】
方法及び使用
本発明は更に、歯石(dental calculus)又は歯石(tartar)の制御方法に関し、被験者の口腔へ本発明の口腔用組成物を投与する工程を含む。
【0062】
特定の実施形態では、本方法は、本発明の口腔用組成物を、1秒超、好ましくは5秒超、更に好ましくは10秒超、又は最も好ましくは30秒超の間、被験者の歯に接触させる工程を含む。口腔用組成物を繰返し使用すると、時間の経過とともに、本発明の口腔用組成物の利点が増す場合がある。
【0063】
被験者は、その歯表面及び口腔を本発明の口腔用組成物で処理する必要のある任意のヒト又は動物であってもよい。「動物」は、家庭で飼うペット又は他の家畜、又は飼育下の動物を包含することを意味する。
【0064】
本発明は、更に、抗歯石口腔用組成物を製造するためのカルシウム捕獲リン酸塩源の使用に関し、本抗歯石口腔用組成物は、カルシウム含有研磨剤を含み、pH8〜11を有し、本カルシウム捕獲リン酸塩源は、抗歯石口腔用組成物中、少なくともリン酸塩イオン(PO3−)100mMをもたらすのに十分な量で存在する。
【実施例】
【0065】
本明細書の実施例は、本発明を例示することを意味するが、本発明の範囲を制限する又は定義するために使用するものではない。
【0066】
口腔用組成物
本発明による口腔用組成物を表1に示す。比較の口腔用組成物を表2に示す。成分量はいずれも、別段の指定がない限り重量パーセント(wt%)で記載されている。口腔用組成物は、次のように調製される。水及び水溶性塩を主ミックスタンクに添加し、十分に混合し、すべての塩が溶解していることを確認し、増粘剤及び/又はピロリン酸塩を主ミックスタンクに添加し、十分に分散し、均一となるまで、混合/均質化し、ラウリル硫酸ナトリウム溶液、風味剤及び着色剤を主ミックスタンクに添加し、均質になるまで混合し;バッチを35℃未満まで冷却する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
効果の測定
2つの測定法を使用して、その抗歯石性能の効果を実証して比較する。結晶成長抑制(CGI)試験は、インビトロ歯石抑制試験法であり、変性プラーク成長及び石灰化モデル(mPGM)は、臨床的歯石低減結果に相関する方法論である。
【0070】
(A)結晶成長抑制(CGI)試験
CGI試験は、一定の溶液pHでのミネラルの培養又は分解動態を調べるために設計されている。CGI試験には以下の工程を含む:
1)25% wt/wtの組成物スラリーを調製し、10,000rpmで15分間遠心分離にかける。
2)10グラムの上澄みを清浄な試験管に入れる。
3)3mlのヒドロキシアパタイト(HAP)スラリー(約0.3g)を上澄みに添加し、1分間混合する。
4)水20gを試験管に入れ、その反応を「クエンチ」させる。
5)処置混合物を10,000rpmで15分間遠心分離にかけ、その流体をデカントする。
6)HAPプラグを、30mLの水に再懸濁させることによって2回洗浄し、10,000rpmで15分間遠心分離にかける。
7)得られたHAPプラグを、試験管内で37℃で24時間又は乾燥するまで乾燥させる。
8)種子を、乳鉢及び乳棒を使用して粉砕する。
9)0.050gの処理済みHAP種子を量り分けし、50mLの人工唾液(カルシウム1.75mM、リン酸塩1.05mM及びNaCl0.15M)を含有する反応槽に注入する。
10)結晶成長率を、非抑制成長曲線と比較する。
【0071】
比較実施例6以外の新たに調製された組成物すべてに対して試験を行い、その結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
表3から、本発明により新たに調製された組成物はすべて、CGI試験を介して、良好な歯石形成の抑制を提供することが分かる。PO3−は、例えば、ピロリン酸四ナトリウム(実施例1〜実施例7における)、トリポリリン酸ナトリウム(実施例8における)、ポリリン酸ナトリウム(実施例9における)、及びフィチン酸(実施例10)における)など、様々な源からであり得る。実施例3〜5のデータにより、本発明は、幅広いCaCO範囲に適用されることが示される。
【0074】
本発明による実施例1〜10のCGI値は、比較実施例1〜4のCGI値よりも有意に高い。比較実施例1〜4はそれぞれ、研磨剤として、炭酸カルシウムを含む口腔用組成物である。比較実施例1は、カルシウム捕獲リン酸塩源を含まない。比較実施例2及び3は、それぞれ、リン酸塩イオンPO3−のモル濃度100mM未満を有する。比較実施例4は、本発明によって必要とされるpH範囲未満であるpH7.6を有する。
【0075】
本発明による実施例1〜10のCGI値は、比較実施例5のCGI値と同じであるか、又はよりも高くてもよい。比較実施例5は、研磨剤としてシリカ及び歯石の制御において効果的であることが臨床的に証明されている抗歯石剤として酸性ピロリン酸二ナトリウム(disodium acid pyrophosphate)を含む口腔用組成物である。表3に示すように、比較実施例5の口腔用組成物は、本発明による口腔用組成物よりも、遥かに高い濃度の可溶性ピロリン酸塩(pyrophosphaste)イオン(P4−)を有する。従来は、抗歯石の利点は、口腔用組成物中に可溶性P4−の存在により得られると考えられていた。可溶性P4−の濃度が高いほど、口腔用組成物は抗歯石のより高い利点を提供する。しかし、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の口腔用組成物は、可溶性P4−の非常に低い濃度を有するが、結晶成長及び歯石形成を抑制する同程度の効果を達成することができることを見出した。
【0076】
抗結石効果に関する組成物の貯蔵安定性を実証するために、実施例2の組成物をプラスチックのラミネート加工した管に入れて密封し、25℃で12週間エージングさせた。エージング後の実施例2のCGI値は20.2であり、エージング前(例えば、表3に示す通り23.1)とほぼ同一である。
【0077】
(B)変性プラーク成長及び石灰化モデル(mPGM)試験
変性プラーク培養及び石灰化モデル(mPGM)は、プラークを、その石灰化を促進するように設計された条件下でヒト唾液から培養する技術である。
【0078】
この技術の目的は、以下の通りである:1)本化合物の歯石効果を定義すること;2)抑制剤の反応動態を調べること;及び3)歯石活性のメカニズムを定義すること。この方法のプロトコルは以下の通りである:
1)600グリット炭化ケイ素紙により、片面が荒面仕上げしたガラスロッドをプラークを培養させるマトリックスとして使用する。ガラスロッドをヒト唾液中に浸漬し、プラークを、最初の4日間は、37℃の培養媒体中で培養する。
2)プラークが一旦ガラスロッドの末端部に形成されたら、歯磨剤スラリーを用いて、ロッドの末端部をスラリー中に30秒間浸漬することによ処理し、続いてそれぞれを脱イオン水の入った試験管に浸漬することにより10秒間の洗浄を2回行い、微量の歯磨剤をすべて除去する。プラークを有するロッド末端部を毎日6時間石灰化溶液中に入れ、その後ヒト唾液中で一晩保存する。この方法を6日間繰返し行う。
3)プラークを空気乾燥させ、0.9MのKOH溶液、その後1MのHCl:1M HAc溶液に溶解させる。
4)カルシウム溶液の濃度を、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)により、317.933nmで測定する。カルシウム標準液を2:1の0.9M KOH/1MHCl:1M HAcマトリックス中に、濃度5、10、25、50、100、及び200ppmで調製する。
5)結果を、カルシウム中央値(mg)及び乾性堆積物重量当たりのカルシウム(mg)として報告する。最終結果を、カルシウム(mg)対陰性対照のパーセント低下(又は過度の擦過又ははがれ落ちにより、プラークの成長にばらつきがある場合、乾燥堆積物重量当たりのカルシウム(mg)のパーセント低下)として報告する。
【0079】
実施例2及び比較実施例1、2、5及び6は、mPGMにより試験を行い、その結果を表4に示す。mPGM値は、本質的にCGI値と一致する。mPGM値によれば、本発明の口腔用組成物(実施例2)は、比較実施例1及び2の組成物よりも有意に良好な抗歯石効果及び比較実施例5及び6の組成物と同等の抗歯石効果をもたらす。
【0080】
【表4】
【0081】
特に指示がない限り、百分率、比率及び割合はすべて、組成物全体の重量を基準として算出される。すべての温度は、特に断らない限り、摂氏温度(℃)である。特別の定めのない限り、測定はすべて25℃で行われる。構成成分又は組成物の濃度はすべて、その構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0082】
本明細書の全体を通して示されているすべての最大数値の限定は、それよりも小さい数値限定を、こうしたより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのごとく、包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して与えられるあらゆる最小数値限定は、それより高いあらゆる数値限定を、そのようなより高い数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭いあらゆる数値範囲を、そのような狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0083】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0084】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、明示的に除外又は別の方法で限定しない限りにおいて、参照によりその全容が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0085】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。