(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567654
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体とその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/79 20060101AFI20190819BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20190819BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20190819BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20190819BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20190819BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20190819BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20190819BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20190819BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20190819BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20190819BHJP
A61K 31/443 20060101ALI20190819BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20190819BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20190819BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20190819BHJP
C07D 213/803 20060101ALI20190819BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
C07D213/79CSP
A61P35/00
A61P19/02
A61P37/08
A61P17/06
A61P11/00
A61P17/00
A61P43/00 105
A61P1/16
A61K31/4418
A61K31/443
A61P29/00 101
A61P9/10 101
C07D405/04
C07D213/803
A61K31/44
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-513162(P2017-513162)
(86)(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公表番号】特表2017-526705(P2017-526705A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2015004588
(87)【国際公開番号】WO2016038890
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年4月23日
(31)【優先権主張番号】62/048,203
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512155478
【氏名又は名称】学校法人沖縄科学技術大学院大学学園
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チョウタイワレ,パンドゥラング・ヴィラスラオ
(72)【発明者】
【氏名】田中 富士枝
【審査官】
東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0167443(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/102297(WO,A1)
【文献】
特開2004−196732(JP,A)
【文献】
TEYSSOT,M-L.,EUROPEAN JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2010年,18,pp.3507-3515
【文献】
GHOSHAL,A.,SYNLETT,2010年,No.10,pp.1459-1462
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07DCAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化22】
[式中、
R
1は、C
1−C
18−アルキル、C
3−C
18−シクロアルキル、アリール、C
3−C
18−ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
18−アルケニル、C
2−C
18−アルキニル、C
1−C
18−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1−C
18−ハロアルキル、C
1−C
18−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R
2は、C
1−C
18−アルキル又はベンジルである]の化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩、
但し、
ジメチル 4−メチルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(ヒドロキシメチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−エチルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−イソプロピルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(ヒドロキシエチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(クロロメチル)ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(イオドメチル)ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(ブロモメチル)ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(ジメトキシメチル)ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(ヒドロキシエチル)ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−フェニル−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3−ブロモプロピル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(トリフルオロメチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3−メチルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−シクロヘキシル−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−メチルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−ヒドロキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(2−メチルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3−クロロフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−ナフタレニル−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−メトキシルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−フルオロフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−ニトロフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−ヒドロキシ−2−メトキシルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(2,4−ジメトキシルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−[(4−オクチロキシル)フェニル]−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−ベンゾ[b]チエ−2−イル−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−[(4−オクタデシロキシル)フェニル]−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(1−ピロリジニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(2−メチル−1−ピペリジニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−モルホリニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−メチルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(ヒドロキシメチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−エチルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−tert−ブチルピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(2−カルボキシエチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(2−フラニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(4−メトキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(4−シアノフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(4−クロロフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(2−チエニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(3−チエニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(1−ピペラジニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(4−モルホリニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(1−ピペラジニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(9−アントラセニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(5−クロロ−2−エトキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(3−ブロモ−2,4,6−トリメトキシフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(3−ヘキシル−2−チエニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジ−tert−ブチル 4−(ブロモメチル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジ−tert−ブチル 4−(ピリジン−4−イル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−ヒドロキシ−2,6ジメトキシフェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−フェニル−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジエチル 4−(4−エチルフェニル)−ピリジン 2,6−ジカルボキシラート、
ジメチル 4−(4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート
、
2−(2,6−ビス(メトキシカルボニル)ピリジン−4−イル)酢酸
、
ジメチル 4−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピリジン−2,6−ジカルボキシラート、及び
ジメチル 4−[4−(2−ブロモエチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピリジン−2,6−ジカルボキシラート
を除く。
【請求項2】
R1が、C1−C8−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、フェニル、ナフチル、又は窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロアリールであり、C1−C8−アルキル、C2−C8−アルケニル、C2−C8−アルキニル、C1−C8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C8−アルキル又はベンジルである、
請求項1記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
R1が、C1−C8−アルキルであり、C2−C8−アルケニル、C2−C8−アルキニル、C1−C8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C4−アルキル又はベンジルである、
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
R1が、C3−C8−シクロアルキルであり、C2−C8−アルケニル、C2−C8−アルキニル、C1−C8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ及びフェニル、からなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C4−アルキル、又はベンジルである、
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
R1が、フェニルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、エテニル、2−プロペニル、エチニル、プロパルギル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C4−アルキル又はベンジルである、
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
R1が、窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロアリールであり、C2−C8−アルケニル、C2−C8−アルキニル、C1−C8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C4−アルキル又はベンジルである。
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
R1が、窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロシクリルであり、C2−C8−アルケニル、C2−C8−アルキニル、C1−C8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R2が、C1−C4−アルキル又はベンジルである、
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
R2がエチル又はベンジルである、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
以下:
【化23】
の群より選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
式II:
【化24】
[式中、R
1及びR
2は請求項1と同義である]の化合物とNH
4OAcを溶媒中で反応させること含む、式I:
【化25】
[式中、R
1とR
2は請求項1と同義である]の化合物の製造方法。
【請求項11】
溶媒がCH3CNである、請求項10に記載の式Iの化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物と薬学的に許容され得る佐剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
増殖性疾患の治療用の請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の治療及び/又は予防に有用な新規ピリジン−2,6−ジカルボン酸及びその誘導体に関する。更に、本発明は、簡便であり、そして温和な反応条件下で行うことができるピリジン−2,6−ジカルボン酸及びその誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸及びその誘導体は、生理活性及び生体機能分子の合成におけるビルディングブロック、細胞や分子の可視化プローブ、固体支持体試薬、及びその他の機能性分子として重要である(特許文献1及び非特許文献1)。
【0003】
ジヒドロピランは、生理活性天然物、医薬、及びそれらの中間体によく見られる重要なコア構造である。更に、ジヒドロ−2H−ピラン誘導体は、触媒、例えばβ−プロリンを触媒とした反応によってアルデヒド及びピルビン酸エステルから合成できる(特許文献2)。
【化1】
【0004】
ジヒドロ−2H−ピラン誘導体1は、次に温和な反応条件下でアミンと反応させて、アミノ基置換ジヒドロピラン誘導体11及び12、含窒素ヘテロ環(ジヒドロジアゼピン13及び14を含む)、及びキノキサリン誘導体15を生成させてもよい(非特許文献2)。
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1;WO2005/021538
特許文献2;WO2014/058078
【非特許文献】
【0006】
非特許文献1;Atanu Ghoshal, etc., Synlett, 2010(10): 1459−1462.
非特許文献2;Pandurang V. Chouthaiwale and Fujie Tanaka, Chem. Commun., 2014, 50, 14881−14884
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下:
【化3】
[式中、
R
1は、C
1−C
18−アルキル、C
3−C
18−シクロアルキル、アリール、C
3−C
18−ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
18−アルケニル、C
2−C
18−アルキニル、C
1−C
18−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1−C
18−ハロアルキル、C
1−C
18−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており、そして
R
2は、C
1−C
18−アルキル又はベンジルである]
の構造を有する4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、該化合物の混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0008】
更に、本発明は、以下:
【化4】
[式中、R
1とR
2は上記と同義である]
の構造を有する3,4−ジヒドロ−2H−ピラン誘導体とNH
4OAcを溶媒中で反応させることを含む4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の方法には、更に、溶媒中、触媒を使用して、ピルビン酸エステルとアルデヒドのアルドール縮合−マイケル付加環化カスケード反応による、以下:
【化5】
[式中、R
1とR
2は上記と同義である]
の構造を有する、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン誘導体の製造方法を含む。
【0010】
本発明は、4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体、又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、該化合物の混合物、又は薬学的に許容され得る塩、及びその薬学的に許容され得る佐剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0011】
[技術的な課題]
本発明が解決しようとする技術的課題は、医薬品、プローブ、及びリガンド等の生理活性及び生体機能分子に使用することができる、新規4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体を提供することである。更に、本発明が解決しようとする技術的課題は、4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体を温和な反応条件下で簡便に合成する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、新規4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体を提供することができる。また、本発明の方法において、4位に多様な置換基を有するピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体を、溶媒中で3,4−ジヒドロ−2H−ピラン誘導体とNH
4OAcから簡便に合成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の新規4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体は、増殖性疾患等の治療及び/又は予防に使用することができる。本発明の方法は、温和な反応条件下で簡便に合成された4位に多様な置換基を有するピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体を提供する。
【0014】
本発明の更なる態様及び実施態様は詳細な説明、実施例及び請求の範囲の検討から当業者には明らかとなるであろう。本発明は様々な形態で実施可能であるが、以下に本発明の特定の実施形態を記す。しかしながら、この実施形態は例示を目的としたものであり、本文に記載の特定の形態に限定する意図ではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示内容において、ここに明らかにされる様々な実施形態の十分な理解を与えるために、特定の量、濃度、サイズなどの詳細が記載されている。しかしながら、本開示内容はそのような特定の詳細が無くとも実施可能であることは当業者には明らかである。多くの場合において、これら条件の詳細は、そのような詳細が本発明の完全な理解を得るために必要ではなく、当該技術分野の通常の知識を有する者の知識範囲内であるがために、省略してある。
【0016】
本明細書に使用された用語のほとんどは当業者には認識可能であるが、本明細書の理解の助けとして以下の定義を示す。しかしながら、明示的に定義されていない場合には、これらの用語は当該業者によって現在認められている定義を採用していると解釈されるべきである。
【0017】
本明細書において、用語「ハロゲン」と「ハロ」は、互換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを示す。
【0018】
用語「アルキル」は、1〜24個の炭素原子、特に1〜18個の炭素原子、とりわけ1〜12個の炭素原子、更にとりわけ1〜8個の炭素原子の、一価の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、そしてtert−ブチルを示す。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルを含む。
【0019】
用語「シクロアルキル」は、単独で又は他の基と組み合わされて3〜18個の環炭素原子の一価の飽和単環又は2環式の炭化水素基、特に3〜8個の環炭素原子の一価の飽和炭化水素基を示す。単環式シクロアルキルの例はシクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0020】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’で表される基を指し、ここで、R’はアルキル基である。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ及びtert−ブトキシを含む。特に好ましいアルコキシ基はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシを含む。
【0021】
用語「ハロ−アルキル」は、一つ以上のアルキル基中の水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルキル基を示す。ハロアルキルの例はフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロプロピル及びペンタフルオロエチルを含む。
【0022】
用語「ハロ−アルコキシ」は、一つ以上のアルコキシ基中の水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基を示す。ハロアルコキシの例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1,1,1−トリフルオロエトキシ、1,1,1−トリフルオロプロポキシ、及びペンタフルオロエトキシを含む。
【0023】
用語「アルケニル」は、2〜18、2〜12、又は2〜8個の炭素原子を含む分岐、分岐のない又は環状(例えばC5やC6の場合)の炭化水素基を意味し、いくつかの実施態様では、例えば、ビニル、アリル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、シクロヘキセニルなど、一つ以上の二重結合を含む炭素原子を示す。用語「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基を意味し、具体的にビニルとアリルを含む。用語「シクロアルケニル」は環状アルケニル基を指す。
【0024】
用語「アルキニル」は、分岐された又は分岐されていない、2〜18、2〜12、又は2〜8個の炭素原子からなる炭化水素基を意味し、いくつかの実施態様では、例えば、アセチレニル、n−プロピニル、n−ブチニル、イソブチニル、オクチニル、デシニルなど、一つ以上の三重結合を含む炭素原子を示す。用語「低級アルキニル」は2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基を意味し、例えば、アセチレニルとプロピニルを含む。用語「シクロアルキニル」は環状アルキニル基を示す。
【0025】
用語「ヒドロキシル」は、単独で又は他の基と組み合わされて−OHを指す。
【0026】
用語「ニトロ」は、単独で又は他の基と組み合わされて−NO
2を指す。
【0027】
用語「シアノ」は、単独で又は他の基と組み合わされて−CNを指す。
【0028】
用語「カルボキシル」は、単独で又は他の基と組み合わされて−COOHを指す。
【0029】
用語「アリール」は、単独で又は他の基と組み合わされて、6〜14個、好ましくは6〜10個の炭素原子を含み一つ以上の芳香族環又は一つ以上の環が芳香族環である複数の縮合環を持つ芳香族炭素環基を指す。「アリール」の例は、ビフェニル、インダニル、ナフチル、フェニル(Ph)などを含む。好ましい「アリール」はフェニルである。
【0030】
用語「ヘテロアリール」は、単独で又は他の基と組み合わされて、
N、O、及びS、特にN及びOから個々に選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含有する、単一の4〜8員環又は6〜14個、好ましくは6〜10個の環原子を含
む複数の縮合環を有する芳香族炭素環基(その基において、一つ以上の複素環は、芳香族である)を指す。「ヘテロアリール」の例は、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾキサジニル、ベンゾチアジニル、ベンゾチアゾイル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾイル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル(ピラジル)、ピラゾロ[l,5−a]ピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル等を含む。好ましくは、1H−ピラゾリル、フリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリジニル−N−オキシド、及びピリミジニルである。更に好ましいヘテロアリールは、ピリジニル、ピラゾリル、ピラジニル及びピリミジニルである。
【0031】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも又はその他の点でも望ましくないことはない塩を指す。
これら塩は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、及び、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの無機酸から生成される。加えて、これらの塩は無機塩基又は有機塩基の遊離酸への付加によって合成される。無機塩基から誘導された塩はナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩などを非限定的に含む。有機塩基から誘導された塩は一級、二級、及び三級アミン、天然置換アミン、環状アミンを含む置換アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、たとえばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノ−ルアミン、リジン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩を非限定的に含む。式Iの化合物の薬学的に許容され得る特定の塩は塩酸塩、メタンスルホン酸塩およびクエン酸塩である。
【0032】
本発明の化合物はいくつかの不斉中心を含むことが可能であり、光学的に純粋なエナンチオマーや、例えばラセミ体のような混合エナンチオマー、光学的に純粋なジアステレオ異性体、混合ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性ラセミ体、又は混合ジアステレオ異性ラセミ体のような形で存在してもよい。
【0033】
カーン・インゴールド・プレローグ表示法(Cahn−Ingold−Prelog Convention)に従って、不斉炭素原子は“R”又は“S”配置である。
【0034】
本発明の4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体は、以下の式I:
【化6】
[式中、
R
1は、C
1−C
18−アルキル、C
3−C
18−シクロアルキル、アリール、C
3−C
18−ヘテロシクロアルキル又はへテロアリールであり、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
18−アルケニル、C
2−C
18−アルキニル、C
1−C
18−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1−C
18−ハロアルキル、C
1−C
18−ハロアルコキシ、及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R
2は、C
1−C
18−アルキル、好ましくはC
1−C
8−アルキル、より好ましくはC
1−C
4−アルキル、更により好ましくはC
2−C
4−アルキル又はベンジルである]
で示される。本発明の式Iの化合物は、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩を含む。
【0035】
式Iの化合物の更なる実施形態においては、R
1が、C
1−C
8−アルキル、C
3−C
8−シクロアルキル、フェニル、ナフチル、又は窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロアリールであり、C
1−C
8−アルキル、C
2−C
8−アルケニル、C
2−C
8−アルキニル、C
1−C
8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1−C
8−ハロアルキル、C
1−C
8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;R
2が、C
1−C
8−アルキル、好ましくはC
1−C
4−アルキル、より好ましくはC
2−C
4−アルキル又はベンジルである。
【0036】
本発明の追加の実施形態は、式中、R
1が、C
1−C
8−アルキルであり、C
2−C
8−アルケニル、C
2−C
8−アルキニル、C
1−C
8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C
1−C
8−ハロアルキル、C
1−C
8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そして
R
2が、C
1−C
4−アルキル、好ましくはC
2−C
4−アルキル又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0037】
本発明の追加の実施形態は、式中、R
1が、C
3−C
8−シクロアルキルであり、C
2−C
8−アルケニル、C
2−C
8−アルキニル、C
1−C
8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C
1−C
8−ハロアルキル、C
1−C
8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そしてR
2が、C
1−C
4−アルキル、好ましくはC
2−C
4−アルキル又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0038】
本発明の追加の実施形態は、式中、R
1がフェニルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、エテニル、2−プロペニル、エチニル、プロパルギル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、カルボキシル;及びニトロからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そしてR
2が、C
1−C
4−アルキル、好ましくはC
2−C
4−アルキル、又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0039】
本発明の追加の実施形態は、式中、R
1が、窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロアリールであり、C
2−C
8−アルケニル、C
2−C
8−アルキニル、C
1−C
8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C
1−C
8−ハロアルキル、C
1−C
8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そしてR
2が、C
1−C
4−アルキル、好ましくはC
2−C
4−アルキル又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0040】
本発明の追加の実施形態は、式中、R
1が、窒素、酸素及び硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む5員又は6員環ヘテロシクリルであり、C
2−C
8−アルケニル、C
2−C
8−アルキニル、C
1−C
8−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C
1−C
8−ハロアルキル、C
1−C
8−ハロアルコキシ及びフェニルからなる群より選択される一つ以上の置換基によって場合により置換されており;そしてR
2が、C
1−C
4−アルキル、好ましくはC
2−C
4−アルキル、又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0041】
本発明の追加の特定の実施態様は、式中、R
2が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0042】
本発明の追加の特定の実施態様は、式中、R
2が、C
2−C
4−アルキル又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0043】
本発明の追加の特定の実施態様は、式中、R
2はエチル又はベンジルである、式Iの化合物を含む。
【0044】
本発明の特定の実施態様は、以下:
【化7】
からなる群より選択される式Iの化合物を含む。
【0045】
上述した化合物に加えて、本発明は、それらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、又はそれらの薬学的に許容され得る塩を含む、それらの化合物の誘導体に関する。
【0046】
本発明の他の態様は、式II:
【化8】
[式中、R
1とR
2は上記と同義である]の化合物とNH
4OAcを溶媒中で反応させることを含む、式I
【化9】
[式中、R
1とR
2は上記と同義である]
の化合物の製造方法を含む。
【0047】
本発明の特定の実施態様において、R
1は、C
1−C
8−アルキル、好ましくはピリジン環の4位に隣接する位置で分岐したC
1−C
8−アルキルである。
【0048】
本発明の特定の実施態様において、式IIの化合物に対するNH
4OAcのモル比は、1:5、好ましくは1:3、より好ましくは1:2.2である。
【0049】
本発明の特定の実施態様において、反応は、溶媒中で行うことができ、好ましくはCH
3CN、THF、ジオキサンのような極性溶媒、最も好ましくはCH
3CN中で行われる。
【0050】
本発明の特定の実施態様において、反応は、4〜40℃、好ましくは10〜30℃、より好ましくは15〜28℃で行われてもよい。
【0051】
本発明の別の態様は、式IIの化合物の製造方法:
【化10】
[式中、R
1とR
2は上記と同義である]を更に含む。
【0052】
例えば、式IIの化合物は、(S)−プロリン、(R)−β−プロリン、又は(±)−β−プロリンを、CH
3CN中のアルデヒドとピルビン酸エチル(又はピルビン酸メチル又はベンジル)溶液に、周囲温度で加えることで製造することができる。
【0053】
薬理試験
式Iの化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、有益な薬理学的特性を有する。本発明の化合物は抗癌活性に関連することが見出された。下記に示した試験に従って化合物を調査した。
【0054】
細胞毒性
K562cells(American Type Culture Collection)を10%(V/V)のウシ胎児血清(FCS)(Sigma製)を含む培地中で対数期まで培養した。細胞を100μL細胞培養培地に細胞密度5000細胞/ウェルで96ウェルマイクロタイタープレートに播種し加湿インキュベーター内にて5%CO
2、37℃で一晩インキュベートする。種々の濃度の試験化合物をFCSを含まない1/10容量の培地中に10×濃度で加えた。このCO
2インキュベーターにて、37℃で6〜48時間のインキュベーションの後、生細胞数測定試薬溶液10μL、Cell counting Kit−8(5mmol/L WST−8、0.2mmol/L 1−メトキシPMS、150mmol/L NaCl)(同仁化学研究所製)を各ウェルに加え、そのCO
2インキュベーター中で1〜4時間反応させた。インキュベーション後、WST−8の還元により発生したホルマザンの吸収をマイクロプレート読取機おいて450nmで測定した。
【0055】
アッセイ読み取り値は生細胞数と相関する。低い値は高い細胞増殖抑制効果に対応し、高い値は低い細胞増殖抑制効果に対応する。式Iの化合物のIC
50値(すなわち、50%阻害に必要な濃度)を調べるために経験的に得た濃度範囲でいくつかのアッセイを行い、低、高及び中間生成阻害(値)を得て曲線近似ソフトウェアで解析した。
【0056】
式Iで示される例示化合物は、このアッセイ(IC
50)において特に1000μM以下、更には100μM以下で抑制活性を持つ。IC
50値は、pIC
50値(−logIC
50)に対数変換することができ、より高い値は、指数関数的により大きい効力を指す。IC
50値は絶対値ではないが、実験条件、例えば、用いられる濃度に依存する。
【0058】
式Iの化合物は増殖性疾患の治療及び予防に有用である。
【0059】
本発明は、更に、癌、アテローム性動脈硬化、関節リウマチ、乾癬、特発性肺繊維症、強皮症及び肝硬変等の増殖性疾患の治療及び予防法に用いる式Iの化合物に関する。
【0060】
本発明は、更に、増殖性疾患の治療及び予防方法に関し、その方法は、それを必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0061】
医薬組成物
式Iの化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、医薬品として、例えば医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟カプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与され得る。しかしながら、投与は、例えば坐薬の形態で経直腸的に、又は例えば注射液の形態で非経口的に実施され得る。
【0062】
式Iの化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング剤、糖衣剤及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機添加剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシ澱粉又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等をそのような添加剤として、たとえば錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤向けに用いることができる。
【0063】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な添加剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。
【0064】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な添加剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖等である。
【0065】
注射液に適切な添加剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油等である。
【0066】
坐薬に適切な添加剤は、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0067】
医薬製剤は、また、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩類、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、更に他の治療有用物質を含有することができる。
【0068】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然ながら、それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させられる。一般的に、経口投与の場合、一般式Iの化合物の1人当たり約10〜1000mgの1日投与量が適切であるが、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0070】
本発明は、実施例により以降説明されるが、これらは限定性を有するものではない。調製例では、エナンチオマーとジアステレオマーの混合物として得られるが、純粋なエナンチオマー又はジアステレオマーは本明細書に記載される方法又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー及び結晶化により分離することができる。
【0071】
実施例1
(2S
*,4S
*)−ジエチル 2−ヒドロキシ−4−(4−ニトロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1aa)
【0073】
実施例1の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(化合物1aa)は以下のように合成された。CH
3CN中の4−ニトロベンズアルデヒド(1.0mmol)及びピルビン酸エチル(3.0mmol)の溶液(1.0mL)に、(S)−β−プロリン(23mg、0.2mmol)を室温(25℃)で加え、混合液を同温度で24時間撹拌した。混合液を飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)に注ぎいれ、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例1の化合物(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 1aa)を得た。
【0075】
実施例2
ジエチル 4−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1ea)
ジエチル 4−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1fa)
4−(2,6−ビス(エトキシカルボニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)安息香酸(1ja)
ジエチル 2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1la)
ジエチル 4−(フラン−2−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1na)
ジエチル 4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1oa)
ジエチル 2−ヒドロキシ−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1pa)
ジエチル 4−(ジメトキシメチル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1qa)
ジエチル 4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1ra)
ジベンジル 2−ヒドロキシ−4−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1gc)
【0076】
実施例2の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1eaから1ra、及び1gc)は、実施例1にしたがって、合成された。
【0077】
実施例3
ジエチル 4−(4−ニトロフェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16aa)
【0079】
CH
3CN中の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 1aa(対応する線形式の混合物、0.1mmol)溶液(0.4mL)に、酢酸アンモニウム(16.9mg、0.22mmol)を室温(25℃)で加え、混合液を同温度で24時間撹拌した。混合液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例3の化合物(4−置換ピリジン−2,6−ジカルボン酸誘導体(16aa)を得た。
【0081】
実施例4
ジエチル 4−(4−クロロフェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16ea)
【0083】
実施例4の化合物(16ea)は、ジエチル 4−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1ea)から実施例3にしたがって、合成された。
【0085】
実施例5
ジエチル 4−(4−ブロモフェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16fa)
【0087】
実施例5の化合物(16fa)は、ジエチル 4−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1fa)から実施例3にしたがって、合成された。
【0089】
実施例6
4−(2,6−ビス(エトキシカルボニル)ピリジン−4−イル)安息香酸(16ja)
【0091】
実施例6の化合物(16ja)は、4−(2,6−ビス(エトキシカルボニル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)安息香酸(1ja)から実施例3にしたがって、合成された。
【0093】
実施例7
ジエチル 4−(4−ヒドロキシフェニル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16la)
【0095】
実施例7の化合物(16la)はジエチル 2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1la)から実施例3にしたがって、合成された。
【0097】
実施例8
ジエチル 4−(フラン−2−イル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(6na)
【0099】
実施例8の化合物(16na)はジエチル 4−(フラン−2−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1na)から実施例3にしたがって、合成された。
【0101】
実施例9
ジエチル 4−シクロヘキシルピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16oa)
【0103】
実施例9の化合物(16oa)は、ジエチル 4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1oa)から実施例3にしたがって、合成された。
【0105】
実施例10
ジエチル 4−イソプロピルピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16pa)
【0107】
実施例10の化合物(16pa)は、ジエチル 2−ヒドロキシ−4−イソプロピル3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1pa)から、実施例3にしたがって、合成された。
【0109】
実施例11
ジエチル 4−(ジメトキシメチル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16qa)
【0111】
実施例11の化合物(16qa)は、ジエチル 4−(ジメトキシメチル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1qa)から実施例3にしたがって、合成された。
【0113】
実施例12
ジエチル 4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリジン−2,6−ジカルボキシラート(16ra)
【0115】
実施例12の化合物(16ra)は、ジエチル 4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2,6−ジカルボキシラート(1ra)から実施例3にしたがって、合成された。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、R
1及びR
2が本願明細書において定義されている式Iの新規化合物に関する。式Iの化合物は、増殖性疾患の治療用の医薬組成物の製造に有用である。本発明は、また温和な反応条件下で行うことができる式Iの化合物の簡便な製造方法に関する。