【文献】
          ZHAO, Neil,3軸デジタル加速度センサーを使用したフル機能の歩数計の設計,Analog Dialogue,2010年  6月,Vol.44, No.2,p.1-5
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記プロセッサは、所定の処理ウィンドウにわたって前記平滑化された加速度計データの最大平均絶対値を有する前記軸を求めることによって前記最活動軸を識別するように構成されている、請求項2に記載のデバイス。
  前記プロセッサは、前記平滑化された加速度計データをg値データに変換し、前記最活動軸の前記g値データの最大g値に基づいて前記活動を分類するように構成されている、請求項3に記載のデバイス。
  前記プロセッサは、前記最活動軸の前記g値データの前記最大g値から前記g値データの平均g値を引いたものに基づいて前記活動を分類するように構成されている、請求項4に記載のデバイス。
  前記プロセッサは、前記所定の処理ウィンドウにわたって測定された前記平滑化された加速度計データに基づいて、前記ユーザーの前記活動を分類するように構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
  所定の処理ウィンドウにわたって前記平滑化された加速度計データの最大平均絶対値を有する前記軸を求めることによって前記最活動軸を識別することを含む、請求項13に記載の方法。
  前記所定の処理ウィンドウにわたって測定された前記平滑化された加速度計データに基づいて、前記ユーザーの前記活動を分類することを含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
  本発明の実施形態は、ユーザーの活動を分類するウェアラブルデバイス及び方法と、ユーザーが進めた歩数をカウントするウェアラブルデバイス及び方法とに関する。1つの非限定的な例示の実施形態では、このデバイスは、ユーザーの手首に装着され、ユーザーの加速度情報を取得して処理し、ユーザーの活動を分類し及び/又はユーザーが進めた歩数をカウントするように構成されている。
 
【0014】
  本明細書は、上記方法の動作を実行する装置も開示し、この装置は、例示の実施形態では、ウェアラブルデバイスの内部及び/又は外部に存在することができる。そのような装置は、所要の目的で特別に構築することもできるし、コンピューターに記憶されたコンピュータープログラムによって選択的にアクティブ化又は再構成される汎用コンピューター又は他のデバイスを含むこともできる。本明細書に提示されるアルゴリズム及び表示は、本来的に、どの特定のコンピューターにも関係付けられていないし、それ以外の装置にも関係付けられていない。様々な汎用マシンを本明細書の教示によるプログラムとともに用いることができる。代替的に、必要とされる方法ステップを実行する、より特殊化された装置を構築することが適切である場合がある。従来の汎用コンピューターの構造は、以下の説明から明らかになる。加えて、本明細書において説明する方法の個々のステップをコンピューターコードによって実施することができることが当業者に明らかであるという点で、本明細書は、コンピュータープログラムも暗に開示している。このコンピュータープログラムは、どの特定のプログラミング言語及びその実施態様にも限定されないことが意図されている。様々なプログラミング言語及びこれをコード化したものを用いて、本明細書に含まれる開示の教示内容を実施することができることが理解されるであろう。さらに、コンピュータープログラムは、どの特定の制御フローにも限定されないことも意図されている。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく異なる制御フローを用いることができるコンピュータープログラムの他の多くの変形形態が存在する。
 
【0015】
  さらに、コンピュータープログラムのステップのうちの1つ又は複数は、逐次的ではなく並列に実行することができる。そのようなコンピュータープログラムは、任意のコンピューター可読媒体に記憶することができる。このコンピューター可読媒体は、磁気ディスク若しくは光ディスク、メモリチップ、又は汎用コンピューターとインターフェースするのに適した他の記憶デバイス等の記憶デバイスを含むことができる。コンピューター可読媒体は、インターネットシステムに例示されるようなハードワイヤード媒体、又はGSM(登録商標)移動電話システムに例示されるような無線媒体も含むことができる。コンピュータープログラムは、そのような汎用コンピューターにロードされて実行されると、好ましい方法のステップを実施する装置が効果的に得られる。
 
【0016】
  本発明は、ハードウェアモジュールとしても実施することができる。より詳細に言えば、ハードウェアという意味で、モジュールは、他の構成要素又はモジュールとともに用いられるように設計された機能性ハードウェアユニットである。例えば、モジュールは、ディスクリート電子構成要素を用いて実施することもできるし、特定用途向け集積回路(ASIC)等の完全な電子回路の一部分を形成することもできる。非常に多くの他の可能性が存在する。当業者であれば、このシステムをハードウェアモジュール及びソフトウェアモジュールの組み合わせとして実施することもできることを理解するであろう。
 
【0017】
  図1は、一例示の実施形態によるユーザーの活動を分類する方法を示すフローチャート100を示している。この方法は、
  ステップ102において、ウェアラブルデバイスを通じてユーザーの加速度信号を取得することと、
  ステップ104において、加速度信号のデータを複数の処理ウィンドウに分割することと、
  各処理ウィンドウにおいて、
    ステップ106において、移動平均関数を用いてデータを平滑化することと、
    ステップ108において、加速度計データがg値データに変換されることと、
    ステップ110において、加速度信号の最活動軸を識別することと、
    ステップ112において、最活動軸からの加速度信号に基づいてユーザーの活動を分類することと、
を含む。
 
【0018】
  他の例示の特徴のうちの1つ又は複数と別個に及び/又は組み合わせて用いることができる例示の特徴の詳細を次に説明する。
 
【0019】
処理ウィンドウ
  ウィンドウのサイズは、本明細書では、単なる一例としてウィンドウの継続時間として説明される。活動を分類し及び/又は歩数をカウントするのに適した精度は、限定ではなく例として、特定の精度要件に応じて約0(0を含まず)秒〜5秒のウィンドウサイズを利用することによって達成することができることが分かっている。一般に、ウィンドウサイズが長いほど、ウィンドウ移行エリア内でオーバーカウントされるピークの機会を減らすことができ、したがって、精度を高めることができる。ウィンドウが短いほど、非常に短い時間期間内で発生する可能性がある異なる活動間の移行をより良好に捉えることができる。
 
【0020】
加速度計データの平滑化
  生の加速度計データは通常、雑音を有する。例示の加速度計データ202における浮遊スパイク(stray spike)200が
図2に示されている。この浮遊スパイク200は、誤った軸が後続の処理の最活動軸として識別される結果をもたらす場合がある。例示の実施形態では、平滑化が、生の加速度計データ202に有利に適用される。好ましくは、平滑化は、生の加速度計データ200に移動平均演算を適用することによって達成される。
 
【0021】
  図3は、好ましくは後続の処理の最活動軸の識別に影響を与えない減衰したスパイク200
*を有する、1つの例示の実施形態による平滑化後の加速度計データ202
*を示している。
 
【0022】
最活動軸
  例示の実施形態における最活動軸は、重力と、地面に対する装着者の足の衝撃力との寄与効果を表す、最大振幅信号を有する加速度計軸として識別される。換言すれば、例示の実施形態における最活動軸は、鉛直方向に最も近い、すなわち、地表に実質的に垂直な加速度計軸である。
 
【0023】
  有利には、最活動軸は、デバイスがユーザーによって使用又は装着されている位置又は向きを問わず、他の軸よりも容易に識別することができる。
 
【0024】
  好ましい実施形態における最活動軸は、本明細書において移動平均と呼ばれる各ウィンドウ内の平滑化されたx軸、y軸及びz軸(すなわち、地面に対する実際の向きに関係なく、3つの加速度計軸)のデータを比較することによって選択される。各ウィンドウからの各軸の絶対値が求められ、この絶対値は、本明細書において絶対移動平均と呼ばれる。この絶対値に基づく各軸の平均値が次に求められ、この平均値は、本明細書において平均絶対移動平均と呼ばれる。これらの3つの平均値の比較から、最大平均値を有する軸が、好ましい実施形態において、各ウィンドウの最活動軸として識別される。
 
【0025】
活動分類
  ユーザーの活動は、例示の実施形態では、最活動軸からの移動平均データを用いて低活動(light activity)状態、中活動(moderate activity)状態又は高活動(heavy activity)状態に分類される。
 
【0026】
  1つの実施形態では、最活動軸の信号振幅は、
図4に示すように、例えば、約0(0を含まず)s〜5sのサイズを有するウィンドウ408において、最活動軸データ406の最大(max)g値404から平均g値400又は最小(min)g値402を減算することによって計算される。
 
【0027】
  図5は、一例示の実施形態による閾値レベルを用いて活動を分類するプロセスを示すフローチャート500を示している。デバイスがユーザーによる手首装着式のものである例では、実験結果(
図6参照)は、例えば、0.1g及び1gの閾値レベルを活動分類に用いることができることを示している。
 
【0028】
  ステップ502において、最活動軸の信号振幅(SA)が求められる。ステップ504において、SAが閾値1よりも小さい場合、例えば、SA<0.1gである場合、低活動状態への分類が行われる(ステップ506参照)。ステップ508において、SAが閾値2よりも小さい場合、例えば、SA<1gである場合、中活動状態への分類が行われる(ステップ510参照)。換言すれば、0.1g≦SA<1gの1つの例では、分類は中活動状態に行われる。SA≧閾値2である場合、例えば、SA≧1gである場合、高活動状態への分類が行われる(ステップ512参照)。
 
【0029】
  分類の例には、以下のものが含まれる。
  低活動−静止した起立、交通信号機が青に変わることの待機又は(例えば、デスク上での)タイプ入力等の移動のない動作
  中活動−ゆっくりとしたウォーキング、きびきびとした歩行
  高活動−ジョギング、ランニング
 
【0030】
  身体の移動を伴う他のほとんどの活動、例えば、階段を上ること、サイクリング、スイミング、フットボールのプレーも、例示の実施形態では、例えば、
  これらの異なる活動のそれぞれに対応する複数のSA閾値(上記例では、閾値1及び2の上)に更に分割することに基づいて分類可能とすることができ、及び/又は
  上記3つの一般的分類の更なる処理は、例示の実施形態では、
  周波数分類を用いたフィルタリング及び識別及び/又は信号マッチング技法、
によって実行することができる。
 
【0031】
  図6を参照すると、プロット600及び602はそれぞれ、処理ウィンドウ内の最大値から最小値を引いたものに基づいて計算された最活動軸のSAと、処理ウィンドウ内の最大値から平均値を引いたものに基づいて計算された最活動軸のSAとを示している。
図6から見て取ることができるように、SAが処理ウィンドウ内の最大値から平均値を引いたものに基づくことは、閾値に基づく分類にとって好ましいものとすることができる。なぜならば、それぞれの活動領域内の絶対値が低減し、値の幅がより狭くなったより平滑なプロットが得られるからである。
 
【0032】
  図7は、一例示の実施形態による歩数をカウントするプロセスを示すフローチャート700を示している。ステップ702において、加速度計データが捕捉される。ステップ704において、このデータは、プロセスウィンドウに分割される。ステップ706において、ローパスフィルタリングが、分類された活動に基づく最活動軸からのデータに適用される。ステップ708において、パントンプキンス微分演算子を用いた、フィルタリングされたデータの導関数が計算される。ステップ710において、導関数信号の出力が正規化される。ステップ712において、歩数をカウントするためのピーク検出が実行される。ステップ714において、適応的閾値が、現在のプロセスウィンドウに基づいて求められ、次のプロセスウィンドウに用いられるように更新される。ステップ716において、オーバーカウントされたピークが削除される。
 
【0033】
  他の例示の特徴のうちの1つ又は複数と別個に及び/又は組み合わせて用いることができる例示の特徴の詳細を次に説明する。
 
【0034】
活動タイプに基づくローパスフィルター(ステップ706、
図7)
  ローパスフィルターのカットオフ周波数は、好ましくは、正確な周波数レンジの動作雑音を除去するように、活動タイプに基づいて調整される。正確なカットオフ周波数を選ぶことによって、有利には、後続のピーク検出処理中の誤ったピーク又は検出されないピークを回避する信号ジオメトリーを改善することができる。
 
【0035】
  例示の実施形態では、活動タイプは、ユーザーが入力することもできるし、上記で説明した活動分類方法及びデバイスを用いて又は他の任意の方法若しくはデバイスによって識別することもできる。
 
【0036】
パントンプキンス微分演算子(ステップ708、
図7)
【数1】
ここで、nはデータ点を示し、n>4である。
 
【0037】
  式(1)におけるパントンプキンス微分演算子は、好ましい実施形態では、勾配情報を有利に拡大すること及びピーク検出の信号状態を最適化することによって、ピーク検出の精度を更に改善するのに用いられる。
 
【0038】
  通常のウォーキング及びランニングの間、例えば、腕の振りは、通例、反対の脚と同期している。例えば、右腕が前方に振れたとき、左脚が前方に進み、また、逆もしかりである。この理由に基づいて、1つの加速度ピークは、ユーザーが行う足の運びごとに例えば手首装着式デバイスにおいて検出される。
 
【0039】
  加速度変化は、手の振り及び足の衝撃力の変化にも依存する可能性がある。通常のウォーキング状態の間、衝撃力は通常、十分強くなく、例えば手首装着式デバイスにおける加速度変化のほとんどは、手の振りに起因している。手の前方及び後方への振りは通常、足の運びごとに同じではないので、信号波形の一致しないピーク及び谷が、正確なピーク検出アルゴリズムを実施することを困難にする可能性があり、好ましい実施形態では、パントンプキンス微分演算子は、より一致したピーク及び谷のパターンを与える。
図8a及び
図8bはそれぞれ、一例示の実施形態によるパントンプキンス微分演算子の適用前(曲線800)及び適用後(曲線802)の手首装着式デバイスの信号波形を示している。
 
【0040】
正規化(ステップ710、
図7)
  例示の実施形態における正規化プロセスは、導関数信号がピーク検出処理のために正確にスケーリングされるようなものが好ましい。1つの実施形態では、信号は、最初に信号からその信号の最小値を減算し、次に、減算された信号の最大値によって除算することによって正規化される。
 
【0041】
ピーク検出(ステップ712、
図7)
  例示の実施形態によれば、正規化された導関数信号が閾値レベルを越えているとき、ピークが検出される(すなわち、歩数がカウントされる)。データは、この時、正規化されるので(例えば、min値=0、max値=1)、最初の処理ウィンドウの閾値Δ
1は、例えば、0(0を含まず)〜0.5の任意の所定の値に設定することができる。
 
【0042】
適応的閾値の決定及び更新(ステップ714、
図7)
  
図9に示すように、適応的閾値(Δ
w)が求められ、後続のウィンドウに用いられる。この適応的閾値は、現在のウィンドウの最後のピーク値と谷値との差の約0(0を含まず)%〜50%の任意の所定の値に設定することができる。1つの例では、以下の式となる。
【数2】
ここで、Δ
w=次のウィンドウwの適応的閾値であり、a=現在のウィンドウ(w−1)内の最後のピーク値であり、b=この現在のウィンドウ(w−1)内の最後の谷値であり、w≧2である。
 
【0043】
オーバーカウントされたピークの削除(ステップ716、
図7)
  パントンプキンス微分演算は、後続のウィンドウにおいて誤った最初のピークを生成する傾向を有する可能性があり、その結果、ピーク、すなわち歩数をオーバーカウントする可能性があることが、発明者らによって見出されている。
 
【0044】
  図10は、好ましい実施形態においてカウントから除去されるそのような誤ったピークを有利に識別する方法を示している。誤ったピークは、現在の測定ウィンドウ1002の最初のピーク1000と前のウィンドウ1006の最後のピーク1004との間の距離dを調べることによって識別される。
 
【0045】
  閾値は、1つの実施形態では、毎秒4歩に設定することができる。例えば、80Hzのサンプリングレートのデータ点領域では、距離閾値は、毎秒4歩に基づいて20データ点に設定することができる。ピークツーピーク距離dが20データ点よりも小さい場合、現在のピーク1200は、誤りであると識別され、歩数カウントから除去される。
 
【0046】
  図11は、1つの実施形態のプロセスフロー1100を示すフローチャートを示している。この実施形態では、活動分類技法及び活動に基づく歩数カウント技法の双方が、単一のリストウェアラブルデバイスに統合されている。
 
【0047】
  ステップ1102において、ユーザーの加速度データが、デバイスによって3軸加速度計を通じて捕捉される。ステップ1104において、加速度計信号が、約0(0を含まず)秒〜5秒の処理ウィンドウに分割される。ステップ1106において、各ウィンドウ内の信号が、移動平均関数を実行することによって平滑化される。ステップ1108において、最活動軸が、各軸の平均絶対移動平均値を比較することによって識別される。最大値を有する軸が最活動軸である。
 
【0048】
  ステップ1110及び1114において、各ウィンドウ内の活動が、最活動軸の移動平均信号の信号振幅(最大−平均)を計算することによって分類される。分類は、1つの非限定的な例では、0.1g及び1gの閾値に基づく。低活動状態が識別されると(ステップ1110)、カウントする必要のある歩数がないので、プロセスは次のウィンドウに移動する(ステップ1112)。
 
【0049】
  中活動状態及び高活動状態の場合(ステップ1114)、歩数のカウントが実行される。ステップ1116及び1118において、各ウィンドウのローパスフィルターのカットオフ周波数は、識別された活動に基づいて更新され、それに応じて、ローパスフィルタリングが適用される。
 
【0050】
  次に、ステップ1120において、パントンプキンス微分演算子が適用される。次に、ステップ1122において、導関数信号が、(1つの非限定的な例では、最初に信号からその信号の最小値を減算し、次に、減算された信号の最大値によって除算して)正規化され、信号振幅が各ウィンドウ内で例えば0〜1の範囲内に調整される。
 
【0051】
  次に、ステップ1124において、検出された各ピークが歩数カウントに寄与するピーク検出が実行される。低活動状態から中活動状態又は高活動状態に移行した後の最初のウィンドウにおいて、閾値は、1つの非限定的な例では、0(0を含まず)〜0.5に設定される。換言すれば、低活動状態から移行した最初のウィンドウは、通常、歩数削除を必要としない。後続のウィンドウ(中活動状態又は高活動状態にある)について、オーバーカウントされたピーク検出及び削除は、低活動状態がそのウィンドウについて検出されるまで有利に実行される。後続のウィンドウでは、適応的閾値が用いられ、ステップ1126において、1つの非限定的な例では、先行ウィンドウの最後のピークと谷との間の高さの差の約0(0を含まず)%〜50%に設定される。
 
【0052】
  次に、ステップ1128において、パントンプキンス演算に由来する誤ったピークが、例えば、ピークツーピーク距離(現在のウィンドウの最初のピーク対直前のウィンドウの最後のピーク)閾値を用いて除去される。1つの非限定的な例における閾値は、毎秒4歩に基づいている。例えば、80Hzのサンプリングレートのデータ点領域では、距離閾値は20データ点に設定される。ピークツーピーク距離が20データ点よりも小さい場合、現在のピークは、誤ったものとして識別され、歩数カウントから除去される。
 
【0053】
  次のウィンドウのプロセスは、ループバックし、上記で説明したステップ1106〜1128を実行する。
 
【0054】
  図12は、一例示の実施形態による腕時計1201の形態のウェアラブルデバイスを備えるアセンブリ1200を示している。異なる実施形態では、このデバイスは、ユーザーの腕、ウエスト、ヒップ又は足等のユーザーの身体の任意の部分における装着に適した他の任意の形態とすることもできることが理解されるであろう。腕時計1201は、ユーザーの活動を分類し及び/又はユーザーが進めた歩数を計算し、結果(複数の場合もある)を、移動電話1202若しくは他のポータブル電子デバイス等のアセンブリ1200の電気通信デバイス、又はデスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、タブコンピューター等の計算デバイスに無線で通信する。
 
【0055】
  図13は、ユーザーの活動を分類し及び/又は歩数をカウントする、一例示の実施形態によるウェアラブルデバイス1301を備えるアセンブリ1300の概略ブロック図を示している。デバイス1301は、ユーザーの加速度情報を取得する加速度計又はジャイロスコープ等の信号検知モジュール1302を備える。
 
【0056】
  このデバイスでの使用に適合することができる好ましい加速度計の1つの非限定的な例は、Freescale Semiconductor, Inc社から入手できる3軸加速度計MMA8652FCである。この加速度計は、単一のパッケージを用いて3つの全ての方向で加速度を測定するという利点を提供することができる。代替的に、3軸検知を提供するように指向された幾つかの単軸加速度計を異なる実施形態において用いることができる。
 
【0057】
  デバイス1301は、信号検知モジュール1302から加速度情報を受信して処理するように構成されたプロセッサ等のデータ処理計算モジュール1304も備える。デバイス1301は、当該デバイス1301のユーザーに結果を表示する表示ユニット1306も備える。この実施形態におけるデバイス1301は、アセンブリ1300の電気通信デバイス1310と無線で通信するように構成された無線送信モジュール1308を更に備える。電気通信デバイス1310は、ウェアラブルデバイス1301から信号を受信する無線受信機モジュール1312と、電気通信デバイス1310のユーザーに結果を表示する表示ユニット1314とを備える。
 
【0058】
  図14は、1つの実施形態によるデバイス1400を装着したユーザーの活動を分類する当該デバイスのブロック図を示している。デバイス1400は、複数の軸の加速度計データを測定する加速度計1402と、加速度計データに基づいて複数の軸のうちの最活動軸を識別するとともに、最活動軸の加速度計データの信号振幅及び1つ又は複数の閾値に基づいてユーザーの活動を分類するように構成されたプロセッサ1404とを備える。
 
【0059】
  プロセッサ1404は、最活動軸を識別する前に平滑化を加速度計データに適用するように構成することができる。
 
【0060】
  プロセッサ1404は、平滑化された信号の最大平均絶対振幅を有する軸を求めることによって最活動軸を識別するように構成することができる。この最大平均絶対振幅は、最大平均絶対移動平均信号値と呼ばれる場合もある。
 
【0061】
  プロセッサ1404は、最活動軸の加速度計データの最大信号振幅に基づいて活動を分類するように構成することができる。
 
【0062】
  プロセッサ1404は、最活動軸の加速度計データの最大信号振幅から平均信号振幅を引いたものに基づいて活動を分類するように構成することができる。
 
【0063】
  プロセッサ1404は、所定の処理ウィンドウにわたって測定された加速度計データに基づいて最活動軸を識別するとともに、ユーザーの活動を分類するように構成することができる。
 
【0064】
  処理ウィンドウは、約0(0を含まず)秒〜5秒の範囲とすることができる。
 
【0065】
  図15は、1つの実施形態によるデバイスを装着したユーザーが進めた歩数をカウントするデバイス1500のブロック図を示している。デバイス1500は、少なくとも1つの軸の加速度計データを測定する加速度計1502と、連続する処理ウィンドウにおいて微分演算子を加速度計データに適用し、各処理ウィンドウ内の加速度計データの導関数のピークをカウントし、現在のウィンドウ内の最初のピークと先行処理ウィンドウ内の最後のピークとの間の時間差に基づいて、オーバーカウントされたピークを削除するように構成されたプロセッサ1504とを備える。
 
【0066】
  プロセッサ1504は、現在の処理ウィンドウが、低活動状態から中活動状態又は高活動状態に移行した後の最初の処理ウィンドウである場合に、第1の閾値に基づいてピークをカウントするように構成することができる。
 
【0067】
  プロセッサは、次のウィンドウの適応的閾値を更新するように更に構成することができる。次のウィンドウの適応的閾値は、現在の処理ウィンドウ内の最後の連続するピーク及び谷の対の信号振幅の差に基づくことができる。次のウィンドウの適応的閾値は、現在の処理ウィンドウ内の最後の連続するピーク及び谷の対の信号振幅の差の約0(0を含まず)%〜50%とすることができる。
 
【0068】
  プロセッサ1504は、現在のウィンドウ内の最初のピークと先行処理ウィンドウ内の最後のピークとの間の時間差が第2の閾値よりも小さい場合、現在のウィンドウにおけるピークカウントからピークを削除するように構成することができる。この第2の閾値は、約1/4秒とすることができる。微分演算子は、パントンプキンス微分演算子を含むことができる。
 
【0069】
  デバイス1400、1500は、ウェアラブルデバイスに実装することができる。
 
【0070】
  デバイス1400、1500は、ウェアラブルデバイス及び通信デバイスを備えるアセンブリに実装することができる。
 
【0071】
  デバイス1400、1500は、ウェアラブルデバイス及び無線通信デバイスを備えるアセンブリに実装することができる。
 
【0072】
  図16は、一例示の実施形態によるユーザーの活動を分類する方法を示すフローチャート1600を示している。ステップ1602において、複数の軸の加速度計データが測定される。ステップ1604において、複数の軸のうちの最活動軸が、加速度計データに基づいて識別される。ステップ1606において、ユーザーの活動が、最活動軸の加速度計データの信号振幅及び1つ又は複数の閾値に基づいて分類される。
 
【0073】
  本方法は、最活動軸を識別する前に平滑化を加速度計データに適用することを含むことができる。
 
【0074】
  本方法は、平滑化された信号の最大平均絶対値を有する軸を求めることによって最活動軸を識別することを含むことができる。この最大平均絶対値は、最大平均絶対移動平均信号値と呼ばれる場合もある。本方法は、最活動軸の加速度計データの最大信号振幅に基づいて活動を分類することを含むことができる。
 
【0075】
  本方法は、最活動軸の加速度計データの最大信号振幅から平均信号振幅を引いたものに基づいて活動を分類することを含むことができる。
 
【0076】
  本方法は、所定の処理ウィンドウにわたって測定された加速度計データに基づいて最活動軸を識別するとともに、ユーザーの活動を分類することを含むことができる。
 
【0077】
  処理ウィンドウは、約0(0を含まず)秒〜5秒の範囲とすることができる。
 
【0078】
  図17は、ユーザーが進めた歩数をカウントする方法を示すフローチャート1700を示している。ステップ1702において、少なくとも1つの軸の加速度計データが測定される。ステップ1704において、微分演算子が、連続する処理ウィンドウ内の加速度計データに適用される。ステップ1706において、各処理ウィンドウ内の加速度計データの導関数のピークがカウントされる。ステップ1708において、オーバーカウントされたピークが、現在のウィンドウ内の最初のピークと先行処理ウィンドウ内の最後のピークとの間の時間差に基づいて削除される。
 
【0079】
  本方法は、現在の処理ウィンドウが、低活動状態から中活動状態又は高活動状態に移行した後の最初の処理ウィンドウである場合に、第1の閾値に基づいてピークをカウントすることを含むことができる。
 
【0080】
  本方法は、次のウィンドウの適応的閾値を更新することを更に含むことができる。次のウィンドウの適応的閾値は、現在の処理ウィンドウ内の最後の連続するピーク及び谷の対の信号振幅の差に基づくことができる。次のウィンドウの適応的閾値は、現在の処理ウィンドウ内の最後の連続するピーク及び谷の対の信号振幅の差の約0(0を含まず)%〜50%とすることができる。
 
【0081】
  本方法は、現在の処理ウィンドウ内の最初のピークと先行処理ウィンドウ内の最後のピークとの間の時間差が第2の閾値よりも小さい場合、現在の処理ウィンドウにおけるピークカウントからピークを削除することを含むことができる。この第2の閾値は、約1/4秒とすることができる。
 
【0082】
  微分演算子は、パントンプキンス微分演算子を含むことができる。
 
【0083】
  本発明の例示の実施形態は、有利には、モニタリング期間全体を通して固定した向きにデバイスを取り付ける必要がない。これは、例示の実施形態におけるデバイスが、後続のプロセスに用いられる最活動軸(衝撃力の方向に最も近い軸)を処理ウィンドウ内で絶えず検出するからである。この最活動軸は、例示の実施形態では、各ウィンドウ内の最大平均絶対移動平均加速度信号を有する軸を探すことによって識別することができる。
 
【0084】
  本発明の実施形態は、有利には、変化を検出可能とすることができ、加速度計データをプロセスウィンドウに分割し、各ウィンドウ内で閾値レベル(例えば、0.1g及び1g)に対する信号振幅(例えば、最大−平均又は最大−最小)を観察することによって低状態、中状態又は高状態に対応する信号を区別可能とすることができる。
 
【0085】
  本発明の実施形態では、動作雑音は、有利には、活動に応じて適したカットオフ周波数を有するローパスフィルターを用いて正確に除去することができる。
 
【0086】
  本発明の実施形態では、パントンプキンス微分演算は、ピーク距離とピークの最大−最小値に基づく適応的閾値とに基づくピーク削除アルゴリズムを伴うことで、有利には、上記デバイス及び上記方法がピークを歩数カウントとして正確に識別することを助ける。
 
【0087】
  当業者には、包括的に記載されている本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示されている本発明に対して数多くの変形及び/又は変更を行うことができることが理解される。したがって、本実施形態は、全ての観点において例示的であり限定的ではないと見なされる。また、本発明は、特徴又は特徴の組合せが特許請求の範囲又は本実施形態に明示的に記載されていなくても、任意の特徴の組合せ、特に、特許請求の範囲における任意の特徴の組合せを含む。
 
【0088】
  例えば、手首装着式デバイスが幾つかの実施形態で説明されているが、上記デバイスは、ユーザーの腕、ヒップ、ウエスト又は足に装着することができる。また、上記デバイス及び上記方法は、上記で説明したような活動分類及び歩数カウントのうちの一方のみを実行することもできるし、双方を同時に実行することもできる。