(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567660
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】蓄電のための装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/05 20100101AFI20190819BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20190819BHJP
H01M 6/16 20060101ALI20190819BHJP
H01M 6/30 20060101ALI20190819BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20190819BHJP
H01M 4/583 20100101ALI20190819BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20190819BHJP
H01M 4/60 20060101ALI20190819BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20190819BHJP
H01M 6/50 20060101ALI20190819BHJP
H01G 11/42 20130101ALI20190819BHJP
H01G 11/48 20130101ALI20190819BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20190819BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20190819BHJP
【FI】
H01M10/05
H01M10/058
H01M6/16 A
H01M6/30
H01M10/0568
H01M4/583
H01M4/48
H01M4/60
H01M10/42 Z
H01M6/50
H01G11/42
H01G11/48
H01G11/30
H01G11/62
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-517094(P2017-517094)
(86)(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公表番号】特表2017-538245(P2017-538245A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】FI2015050656
(87)【国際公開番号】WO2016055695
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】14187884.3
(32)【優先日】2014年10月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ディ
【審査官】
松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0026643(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/086888(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0183180(US,A1)
【文献】
特開2011−097035(JP,A)
【文献】
特開平11−126610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−0587,42
H01M 6/14−16,30−38,50
H01G 11/00−86
H01M 4/36−62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、および電解質を備える装置であって、
前記第1の電極は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成され、
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように構成され、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、
前記第1の電極と前記電解質の一方または両方が前記周囲環境内の水に暴露されるようにするべく、前記装置は、
・ 覆われない、又は密閉されないか、
・ 透水性及び/又は通気性の材料内に収容されるか、
・ 開閉可能な部分を有するケースに収容されるか、
・ 水源を備える、
の少なくともいずれかである、装置。
【請求項2】
前記第1の電極および前記第2の電極は、互いの間の界面において相互に接合部を形成するように構成され、前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極の前記接合部と接触している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の電極は、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、水酸化カリウム、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸、塩基、および伝導性ポリマーの1つまたは複数を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記室温のイオン性流体は、−100℃〜+100℃、−50℃〜+50℃、+15℃〜+35℃、および+20℃〜+27℃のいずれかの温度範囲内において、液体またはゲルである、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記室温のイオン性流体は、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを含む、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記室温のイオン性流体は、1‐ブチル‐3‐メチル‐イミダゾリウムを含む、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記室温のイオン性流体は、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを含む、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記電解質は、前記第1の電極から前記第2の電極へのプロトンの流れを支援する、および/または前記室温のイオン性流体による前記周囲環境からの水の吸収を促進するように構成された1つまたは複数の塩類をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記室温のイオン性流体は、陽イオンおよび陰イオンを含み、前記陽イオンは前記陰イオンよりも実質的にサイズが大きい、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極および前記第2の電極とそれぞれ接触し、前記電極それぞれと前記外部回路との間に電気経路を提供するように構成される集電体をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
バッテリ、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリ/キャパシタハイブリッドである、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第1の電極、第2の電極、および電解質を備える装置を製造する方法であって、
酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成される前記第1の電極と、前記第2の電極とを形成することと、
前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように前記電解質を具備させることと、
を含み、前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、
さらに前記方法は、前記第1の電極と前記電解質の一方または両方が前記周囲環境内の水に暴露されるようにするべく、
・ 前記装置を覆わない、又は密閉しないこと、
・ 前記装置を透水性及び/又は通気性の材料内に収容すること、
・ 前記装置を開閉可能な部分を有するケースに収容すること、
・ 前記装置に水源を設けること、
の少なくともいずれかを含む、
方法。
【請求項13】
装置を用いて電位差を生じさせる方法であって、前記装置は第1の電極、第2の電極、および電解質を備え、
前記第1の電極は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成され、
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように構成され、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、前記方法は、
前記第1の電極による前記プロトンの生成と、前記第1の電極と前記第2の電極間における対応する電位差の発生とを促進するために、前記周囲環境内の水に前記電解質を暴露させることを含み、ここで前記暴露させることは、
・ 前記装置を覆わない、又は密閉しないこと、
・ 前記装置を透水性及び/又は通気性の材料内に収容すること、
・ 前記装置を開閉可能な部分を有するケースに収容すること、
・ 前記装置に水源を設けること、
の少なくともいずれかを含む、
方法。
【請求項14】
第1の電極、第2の電極、および電解質を備える装置を製造する方法であって、
酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成される前記第1の電極と、前記第2の電極とを形成することと、
前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように前記電解質を具備させることと、
を含み、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ対応する第1の酸化グラフェンインクおよび第2の酸化グラフェンインクから形成され、前記第1の酸化グラフェンインクのpHは前記第2の酸化グラフェンインクのpHよりも低い、
方法。
【請求項15】
前記第1の酸化グラフェンインクのpHは1〜4であり、前記第2の酸化グラフェンインクのpHは13〜14である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
装置を用いて電位差を生じさせる方法であって、
前記装置は第1の電極、第2の電極、および電解質を備え、
前記第1の電極は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成され、
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように構成され、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、
前記方法は、
前記第1の電極による前記プロトンの生成と、前記第1の電極と前記第2の電極間における対応する電位差の発生とを促進するために、前記周囲環境内の水に前記電解質を暴露させることを含み、
ここで前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ対応する第1の酸化グラフェンインクおよび第2の酸化グラフェンインクから形成され、前記第1の酸化グラフェンインクのpHは前記第2の酸化グラフェンインクのpHよりも低い、
方法。
【請求項17】
前記第1の酸化グラフェンインクのpHは1〜4であり、前記第2の酸化グラフェンインクのpHは13〜14である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置分野(バッテリ、スーパーキャパシタ、バッテリ/キャパシタハイブリッド等を含む)に関し、関連する方法と装置に関する。特に、水が存在するとプロトンを生成し、電位差を生じさせるように構成される酸化グラフェン電極と、プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含む電解質と、を備える装置に関する。開示する特定の態様/実施形態の例は、いわゆる携帯電子デバイスといったポータブル電子デバイスに関する。こうした携帯電子デバイスは手で持って使用されてもよい(またはクレードルに置いたままで使用されてもよい)。そのような携帯電子デバイスは、いわゆる携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、スマートウォッチ、およびタブレットパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)を含む。
【0002】
開示される態様/実施形態の例の1つまたは複数に係る携帯電子デバイス/装置は、オーディオ/テキスト/ビデオ通信機能(例えば、電気通信、ビデオ通信、および/またはテキスト通信、ショートメッセージサービス(Short Message Service:SMS)/マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Message Service:MMS)/電子メールの機能)、インタラクティブ/非インタラクティブ表示機能(例えば、ウェブ閲覧、ナビゲーション、テレビ/番組表示の機能)、音楽録音/再生機能(例えば、MP3や他のフォーマットおよび/または(FM/AM)ラジオ放送の録音/再生)、データのダウンロード/送信機能、画像録画機能(例えば、(内蔵の)デジタルカメラ)、ゲーム機能、のうちの1つまたは複数の機能を提供してもよい。
【0003】
近年、最新の電子機器に用いる
ために、既存の蓄電セルより大きな蓄電容量を有し、かつより小型の蓄電セルを開発するための研究がなされている。
【0004】
本開示の1つまたは複数の態様/実施形態は、こうした課題を解決してもよく、そうでなくてもよい。
【0005】
本明細書における公開済み文献または背景の列挙や議論は、こうした文献や背景が当該技術分野の最新状況の一部であること、または一般知識であることとして必ずしも理解されなくてもよい。
【0006】
第1の態様によると、第1の電極、第2の電極、および電解質を備える装置が提供され、
前記第1の電極は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成され、
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように構成され、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含む。
【0007】
前記第1の電極および前記第2の電極は、互いの間の界面において相互に接合部を形成するように構成されてもよい。前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極の前記接合部と接触していてもよい。
【0008】
前記装置は、前記第1の電極と前記電解質の一方または両方が前記周囲環境内の水に暴露されるように構成されてもよい。
【0009】
前記第2の電極は、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、水酸化カリウム、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸、塩基、および伝導性ポリマーの1つまたは複数を含んでもよい。
【0010】
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ対応する第1の酸化グラフェンインクおよび第2の酸化グラフェンインクを含んでもよい。前記第1の酸化グラフェンインクのpHは前記第2の酸化グラフェンインクのpHよりも低くてもよい。前記第1の酸化グラフェンインクのpHは1〜4であってもよく、前記第2の酸化グラフェンインクのpHは13〜14であってもよい。
【0011】
前記室温のイオン性流体は、室温のイオン性液体およびイオン性ゲルの1つまたは複数を含んでもよい。前記室温のイオン性流体は、−100℃〜+100℃、−50℃〜+50℃、+15℃〜+35℃、および+20℃〜+27℃の1つまたは複数の温度範囲内に少なくともある液体またはゲルであってもよい。
【0012】
前記室温のイオン性流体は、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1‐ブチル‐3‐メチル‐イミダゾリウム、およびトリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの1つまたは複数を含んでもよい。
【0013】
前記電解質は、前記第1の電極から前記第2の電極へのプロトンの流れを支援する、および/または前記室温のイオン性流体による前記周囲環境からの水の吸収を促進するように構成された1つまたは複数の塩類をさらに含んでもよい。前記1つまたは複数の塩類は、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、塩化リチウム、および塩化ナトリウムの少なくとも1つを含んでもよい。
【0014】
前記室温のイオン性流体は、親水性かつイオン電導性であってもよい。
【0015】
前記室温のイオン性流体は、陽イオンおよび陰イオンを含んでもよい。前記陽イオンは前記陰イオンよりも実質的にサイズが大きくてもよい。
【0016】
前記装置は、前記第1の電極および前記第2の電極とそれぞれ接触し、前記電極それぞれと前記外部回路との間に電気経路を提供するように構成される集電体をさらに備えてもよい。これらの前記集電体の一方または両方は、金属、合金、金、銀、銅、アルミニウム、鋼、インジウム錫酸化物の少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
前記装置は、前記第1の電極および前記第2の電極を支持するように構成される基板を備えてもよい。
【0018】
前記装置は、バッテリ、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリ/キャパシタハイブリッド、電子デバイス、携帯電子デバイス、携帯電気通信デバイス、携帯電話、PDA、ファブレット、タブレット、ラップトップコンピュータ、電子ウォッチ、無線センサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、無線認証(Radio Frequency Identification:RFID)タグ、エレクトロクロミック素子の1つまたは複数、および上記の1つまたは複数のもの用のモジュールであってもよい。
【0019】
さらなる態様によると、第1の電極、第2の電極、および電解質を備える装置を作成する方法が提供され、前記方法は、
酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成される前記第1の電極と、前記第2の電極とを形成することと、
前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように前記電解質を提供することとを含み、前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含む。
【0020】
前記第1の電極および前記第2の電極を形成することと、前記電解質を提供することの一方または両方には、前記電極/電解質を印刷することを含んでもよい。
【0021】
さらなる態様によると、装置を用いて電位差を生じさせる方法が提供され、前記装置は第1の電極、第2の電極、および電解質を備え、
前記第1の電極は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を生じさせるように構成され、
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極が外部回路によって接続されるときに、前記生成されたプロトンを前記第1の電極から前記第2の電極へと流すことができるように構成され、
前記電解質は、前記プロトンの生成を促進するために、周囲環境から水を吸収し、この水を前記第1の電極に供給するように構成される室温のイオン性流体を含み、前記方法は、
前記第1の電極による前記プロトンの生成と、前記第1の電極と前記第2の電極間における対応する電位差の発生とを促進するために、前記周囲環境内の水に前記電解質を暴露させることを含む。
【0022】
本明細書に開示されたいかなる方法のステップも、明示的にそのように記載されるか当業者にそのように理解されない限りは、開示された順番通りに実行される必要はない。
【0023】
本明細書に記載する1つまたは複数の方法を実装するための対応するコンピュータプログラム(担体に記録されていてもいなくてもよい)もまた本開示の範囲内であり、記載された1つまたは複数の実施形態例に含まれる。
【0024】
本開示は、1つまたは複数の態様や実施形態例、特徴を個別に、または様々な組み合わせで含んでいる。こうした事項は、その組み合わせや個別で具体的に(特許請求の範囲を含めて)記載されているかどうかを問わない。記載された機能の1つまたは複数を実行する対応する手段もまた、本開示の範囲内である。
【0025】
前述の摘要は、単なる例示かつ非限定的事項であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の添付図面を参照して、単なる一例として説明を行う。
【
図1a】
図1aは、既存のプロトン電池の平面図である。
【
図1c】
図1cは、
図1aに示すプロトン電池の様々な放電電流に対する放電曲線の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る装置の一例の概略図である。
【
図3】
図3は、様々な接合領域を有する、
図1に示す装置の放電曲線の概略図である。
【
図4】
図4は、積層された2つの接合部を備える装置の放電曲線の概略図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る装置の別の例の概略図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す装置を作成する方法の概要を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す装置を使用する方法の概要を示す図である。
【
図8】
図8は、
図6または
図7に示す方法ステップの1つまたは複数を実行、制御、または可能にするように構成されたコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体を示す図である。
【0027】
電気エネルギー蓄積装置は、携帯電子デバイスに関する重要な検討事項である。この目的のために、プロトン電池が現在開発されている。ある種類のプロトン電池のエネルギー生成の仕組みにおいては、酸化グラフェンが水と接触すると劣化する。水は電池内に含まれる場合や、周囲環境から(例えば湿気として)混入する場合がある。
【0028】
図1aは、既存の酸化グラフェンベースのプロトン電池101の平面図であり、
図1bはその断面図である。電池101は、酸化グラフェンから形成された第1の電極102と、還元酸化グラフェンから形成された第2の電極103とを備える。第1の電極102および第2の電極103は、それぞれ対応する銀製の集電体107の上に(少なくとも部分的に)積層され、互いの間の界面(例えば、電極材料が混ざる、および/または互いに重なる場所)において相互に接合部106を形成する。この例では、各集電体107は長さ(l)と幅(w)が5mmであり、厚さ(t)が1μmであり、2mmの間隔で離れている。したがって、面内の接合領域(すなわちl×w)は10mm
2である。充電/放電サイクルを複数回行って、既存の酸化グラフェンベースのプロトン電池101の電気特性をテストした。電池101は、湿度30%で最大100nAhの蓄電容量および0.6Vの最大開路電圧を示し、2nA〜80nAの電流で放電可能であった。
【0029】
図1cは、様々な放電電流について作成された放電曲線の図である。既存のプロトン電池101より大きい電気出力を提供できる可能性がある装置および関連方法について以下に説明する。
【0030】
図2は、本装置201の一例を示す図である。装置201は、一次電池または二次電池、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリ/キャパシタハイブリッドの1つまたは複数、および、装置201の特定の電気化学特性に応じた、上記の1つまたは複数のもの用のモジュールであってもよい。装置201は、第1の電極202、第2の電極203、および電解質204を備える。第1の電極202は酸化グラフェンを含み、水が存在するとプロトンを生成し、第1の電極202と第2の電極203との間に電位差を生じさせるように構成されている。電解質204は、第1の電極202と第2の電極203が外部回路(図示しない)によって接続されるとき、例えば該電位差の利用中に、生成されたプロトンを第1の電極202から第2の電極203へと流すことができるように構成される。
【0031】
重要なこととして、電解質204は、プロトンの生成を促進するために、周囲環境205から水を吸収し、この水を第1の電極202に供給するように構成される室温のイオン性流体を含む。この特徴は、装置201の蓄電容量と出力圧力の両方を高め、装置201がより大きい電流で放電できるようにすることが分かっている(より詳細に後述する)。また、装置201はいくつかの実施形態(例えば、二次電池、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリ/キャパシタハイブリッド)において、室温のイオン性流体の存在により、外部エネルギーを用いることなく、完全に放電した後数分以内に再充電できるようになる。これは、第1の電極202の酸化グラフェンと外部環境205からの水との化学反応によるものであり、これによってプロトンが生成され、電位差が生じる。このため、これらの実施形態において装置201は、(i)水が存在し、かつ(ii)前の充電サイクルにおいて酸化グラフェンが完全に消費されていない場合に、再充電されてもよい。別の実施形態(例えば、一次電池)においては、装置201は再充電されなくてもよい。
【0032】
図2に示す例において、第1の電極202および第2の電極203は、互いの間の界面(例えば、電極材料が混ざる、および/または互いに重なる場所)において相互に接合部206を形成するように構成され、電解質204は、第1の電極202と第2の電極203の接合部206と接触している。この構成は、比較的単純な印刷プロセスを用いて作成できる。また、電解質204と電極接合部206との接触によって、生成されたプロトンが第1の電極202と第2の電極203との間を確実に流れることができるようにされる。
【0033】
装置201は、第1の電極202と電解質204の一方または両方が周囲環境205内の水に暴露されるように構成してもよい。実際には、これは、(例えば)装置201を覆わない/密閉しない状態にする、保護ケースが必要な場合は装置201を透水性および/または通気性の材料内に包含する、または開閉可能に構成される1つまたは複数の部分を有するケースを装置201用に提供することによって達成できる。周囲環境205内の水に電解質204を暴露できるようにすることは、本装置201の向上した電気特性の利益を享受するために必要である。水はプロトンの生成を促進すると考えられるからである。いくつかの場合では、周囲環境205の湿度が比較的低い場合にもプロトン(すなわち電位差)を生成できるように、装置201に水源を備えてもよい。例えば装置201は、この目的のために、第1の電極202および/または電解質204と流体連通する吸水材料(スポンジ等)を備えてもよい。
【0034】
図2に示す例において、装置201は、第1の電極202および第2の電極203とそれぞれ接触し、電極202、203それぞれと外部回路(図示しない)との間に電気経路を提供するように構成される集電体207をさらに備えてもよい。これらの集電体207の一方または両方は、金属、合金、金、銀、銅、アルミニウム、鋼、インジウム錫酸化物の少なくとも1つを含んでもよい。
図2に、集電体207とそれぞれ関連付けられた電極202、203との間の重複部220を示している。このような領域220は、例えば、電極202、203、および/または集電体207材料が、印刷プロセスを用いて積層される場合に生成されてもよい。
【0035】
また、装置201は、電極202、203、電解質204、および集電体207を支持するように構成される基板208をさらに備える。支持基板208は、様々な構成要素を印刷プロセスを用いて形成する場合に特に有用である。これは、印刷可能な材料(インク、液体、ゲル等)は、少なくとも乾燥または硬化するまでは自力でその場に留まらないからである。
【0036】
前述のとおり、第1の電極202は、水と反応してプロトンを生成する酸化グラフェンを含む。図示する例において、第2の電極203は還元酸化グラフェンを含むが、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、水酸化カリウム、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、塩基、および伝導性ポリマーの1つまたは複数を含むこともできる。いくつかの例において、第1の電極202および第2の電極203は、それぞれ対応する第1の酸化グラフェンインクおよび第2の酸化グラフェンインクから形成されてもよい。この場合、一般的に、第1の酸化グラフェンインクのpH(例えばpH=1〜4)は第2の酸化グラフェンインクのpH(例えばpH=13〜14)よりも低くする。インク間のpHに差があると、電極202、203の接合部206における酸塩基反応を介して、第1の電極202から第2の電極203へのプロトンの搬送が促進されるため、有益である。
【0037】
電解質204の室温のイオン性流体は、室温(+20℃〜+27℃)の液体またはゲルであってもよい。前述のことを達成するために、該流体は陽イオンおよび陰イオンを含んでもよく、陽イオンは陰イオンよりも実質的にサイズが大きい(例えば、陽イオンの半径は陰イオンの半径より最大2、3、4、5、または10倍大きい)。陽イオンと陰イオンのサイズが異なることによって、流体が室温で結晶格子を形成しないようにすることができ、電解質204を流体に維持できる。いくつかの場合では、室温のイオン性流体は、前述の「室温」範囲外の温度において液体またはゲルであってもよい。例えば、−100℃〜+100℃、−50℃〜+50℃、および/または+15℃〜+35℃の温度において、液体またはゲルであってもよい。有益には、プロトンの伝導性を確保するために、室温のイオン性流体は装置のすべての運転温度において液体またはゲル状であればよい。
【0038】
電解質204は、親水性かつイオン電導性である室温の任意のイオン性流体を含んでもよい。前記室温のイオン性流体は、室温のイオン性液体およびイオン性ゲルの1つまたは複数を含んでもよい。適切な例として、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([SET3][TFSI])、1‐ブチル‐3‐メチル‐イミダゾリウム([BMIM][CI])、およびトリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([OMA][TFSI])が挙げられる。電解質204は、第1の電極202から第2の電極203へのプロトンの流れを支援する、および/または室温のイオン性流体による周囲環境205からの水の吸収を促進するように構成された1つまたは複数の塩類をさらに含んでもよい。1つまたは複数の塩類を追加すると、プロトンの生成および伝導がさらに促進され、装置201によってより多くの電気エネルギーを生成することが可能になる。適切な塩類としては、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([Li][TFSI])、塩化リチウム、および塩化ナトリウムが挙げられる。
【0039】
本装置201は、既存のプロトン電池よりも大きな蓄電容量と出力圧力を示し、より高い電流で放電できることが分かっている。これには、電解質204の室温のイオン性流体の存在が少なくとも部分的に寄与している。複数の実験を行い、装置201の電気特性をテストした。これらの実験は、
図2の構成において、酸化グラフェン(GO)を第1の電極202に、還元酸化グラフェン(rGO)を第2の電極203に、[SET3][TFSI]を室温のイオン性流体に、銀を電極202、203の各集電体207に用いて行った。また、GO/rGO接合部206の面内領域を(
図1aおよび
図1bに示す既存のプロトン電池に従って)約10mm
2に調整し、電解質204によって完全に覆った。これらの実験の全体において、周囲環境205の湿度(例えば周囲湿度)は約30%に調整した。
【0040】
装置201に室温のイオン性流体を適用すると、開路電圧が約0.6Vから約1Vへと上昇し、蓄電容量が約100nAh(放電電流2nAにおいて)から約340nAh(放電電流100nAにおいて)へと増加した。その後、GO/rGO接合部206の領域を約10mm
2、約30mm
2、約50mm
2と変化させて、活性領域を大きくすると装置201の電気特性にどのような影響があるかを特定した。
【0041】
図3は、様々な接合領域の放電曲線の図である。接合領域を約10mm
2から約30mm
2へと拡大すると、蓄電容量が340nAhから1110nAh(放電電流100nAにおいて)へと増加した。接合領域を約50mm
2へとさらに拡大すると、蓄電容量が7300nAh(放電電流100nAににおいて)へと増加した。接合領域を拡大することで、より高い放電電流を利用することも可能になった。実際、テストに用いた最大の接合部(約50mm
2)は、最大1μAの放電電流の利用に適切であることが分かった。
【0042】
装置の出力電圧を増加させるために、2つの素子を直列接続し、2つのGO/rGO接合部の積層および約10mm
2の接合領域を形成した。第2のセル/接合部を追加すると開路電圧は1Vから2.3Vへと上昇し、蓄電容量は340nAh(放電電流100nAにおける)から12μAh(放電電流1μAにおける)へと増加したことが分かった。
【0043】
図4は、1μAの放電電流における、前述の積層の放電曲線の図である。このグラフから分かるように、最初の出力電圧約1.8V(装置の内部抵抗のため、2.3Vの開路電圧より低い)が、11時間の使用後にゼロへと低下した。
図3および
図4に示す結果は、活性(接合)領域およびセル(接合部)数の比較的小規模な増加によって本装置の電気出力を増大することが可能であることを表している。
【0044】
図5は、本装置501の別の例を示す図である。この例において、装置は、本明細書に示した構成要素の一部またはすべて(
図5において蓄電装置509として示される)、プロセッサ510、記憶媒体511、電子ディスプレイ512、および送受信機513を備え、これらがデータバス514によって相互に電気的に接続されている。装置501は、電子デバイス、携帯電子デバイス、携帯電気通信デバイス、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、ファブレット、タブレット、ラップトップコンピュータ、電子ウォッチ、無線センサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、無線認証(Radio Frequency Identification:RFID)タグ、エレクトロクロミック素子の1つまたは複数、および上記1つまたは複数のもの用のモジュールであってもよい。
【0045】
蓄電装置509は、他の構成要素に電力を供給して、それらの機能を有効にするように構成されている。この点において、他の構成要素は前述の外部回路と見なしてもよい。電子ディスプレイ512は、装置501に格納された(例えば、記憶媒体511に記憶された)コンテンツを表示するように構成され、送受信機513は、有線接続または無線接続を介して1つまたは複数の他のデバイスに対してデータを送受信するように構成される。
【0046】
プロセッサ510は、他の構成要素に信号を提供したり他の構成要素から信号を受信したりして他の構成要素の動作を管理することにより、装置501を全体として動作させるように構成される。記憶媒体511は、装置501の動作を実行、制御、または可能にするように構成されたコンピュータコードを記憶するように構成される。記憶媒体511は、他の構成要素の設定を記憶するように構成されてもよい。プロセッサ510は、他の構成要素の動作を管理するために、記憶媒体511にアクセスして構成要素の設定を取得してもよい。
【0047】
プロセッサ510は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)を含む、マイクロプロセッサであってもよい。記憶媒体511は、揮発性ランダムアクセスメモリ等の一時記憶媒体であってもよい。一方、記憶媒体511は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ等の永久記憶媒体であってもよい。
【0048】
図6は、本明細書において説明する装置を作成する方法の主なステップ615〜616を示す図である。この方法は通常、第1および第2の電極を形成すること(615)と、該第1および第2の電極が外部回路によって接続されるとき(例えば電位差の利用中)に、生成されたプロトンを該第1の電極から該第2の電極へと流すことができるように電解質を提供すること(616)とを含む。これらのステップ615、616は、様々な作成プロセスを用いて行ってもよい。有益には、電極(集電体を含むまたは含まない)および電解質は、例えばインクジェット印刷によって印刷してもよい。この場合、電解質がいずれの集電体にも接触しないように印刷時に注意する必要がある。そうしないと、装置が短絡する可能性がある。
【0049】
図7は、本明細書において説明する装置を用いて電位差を生じさせる方法の主なステップ717〜718を示す図である。この方法は通常、該第1の電極によるプロトンの生成を促進するために周囲環境内の水に電解質を暴露させること(717)と、該第1および第2の電極間において対応する電位差を生じさせること(718)とを含む。電解質は、装置を湿気のある(例えば、少なくとも10%、20%、30%、50%、または75%の周囲湿度を有する)環境内に配置するか、または水を入れた容器内に配置することで、水に暴露させてもよい。水による装置の短絡または損傷を防ぐために、装置に防水塗装を施したり、防水ケースを備えたりしてもよく、これによって集電体間および/または様々な電子回路要素や経路間に望ましくない接続が形成されることを防止する。
【0050】
図8は、一実施形態に係るコンピュータプログラムを提供するコンピュータ/プロセッサ可読媒体819の概略図である。該コンピュータプログラムは、
図6の方法のステップ615〜616の1つ以上および/または
図7の方法のステップ717〜718の1つ以上を実行、制御、または可能にするように構成されたコンピュータコードを含んでいてもよい。この例においては、コンピュータ/プロセッサ可読媒体819は、デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc:DVD)またはコンパクトディスク(Compact Disc:CD)等のディスクである。他の実施形態においては、コンピュータ/プロセッサ可読媒体819は、発明の機能を実行するようにプログラムされた任意の媒体であってもよい。コンピュータ/プロセッサ可読媒体819は、メモリスティックまたはメモリカード(SD、ミニSD、マイクロSD、またはナノSD)等の着脱可能なメモリデバイスであってもよい。
【0051】
図示した他の実施形態には、前述の実施形態の類似する特徴に対応する参照番号を付した。例えば、特徴番号1は、番号101、201、301等にも対応しうる。これらの番号を付した特徴は、図面に表示されていても、これらの特定の実施形態の説明では直接的に言及されていない場合がある。それでもなお、特に前述の類似する実施形態の特徴との関連において、他の実施形態を理解することを助けるために、これらの番号を図面に付している。
【0052】
当業読者には、記載された装置/デバイスおよび/または特定の記載された装置/デバイスの他の特徴は、例えばスイッチがオン状態のとき等、これらが動作可能状態のときのみ望ましい動作を実行するように装置が構成されることにより提供されうると理解されるであろう。そのような場合は、非動作可能状態(例えばスイッチオフ状態)では適切なソフトウェアがアクティブメモリに必ずしもロードされなくてもよく、適切なソフトウェアは動作可能状態(例えばオン状態)でのみロードされてもよい。該装置は、ハードウェア回路および/またはファームウェアを含んでいてもよい。該装置はメモリにロードされたソフトウェアを含んでいてもよい。そのようなソフトウェア/コンピュータプログラムは、同じメモリ/プロセッサ/機能ユニットおよび/または1つまたは複数のメモリ/プロセッサ/機能ユニット上に記録されていてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態においては、記載された特定の装置/デバイスは、望ましい動作を実行するように適切なソフトウェアにより事前にプログラムされていてもよく、該適切なソフトウェアは、ユーザが「鍵」をダウンロードして例えば該ソフトウェアおよび関連機能のロックを解除する/それらを実行可能にすることにより使用可能にすることもできる。そのような実施形態による効果には、デバイスにさらなる機能が必要になった際にデータをダウンロードする必要性が少なくなることが含まれうる。これはまた、ユーザに実行可能にされていないかもしれない、そのような事前にプログラムされたソフトウェアを記憶するのに十分な容量をデバイスが有すると考えられる例においても有用でありうる。
【0054】
記載の装置/回路/素子/プロセッサは、記載された機能に加えて他の機能を有していてもよく、これらの機能は同じ装置/回路/素子/プロセッサにより実行されてもよいことは理解されるであろう。1つまたは複数の開示された態様は、関連するコンピュータプログラムの電子的配信、および適切な担体(例えばメモリや信号)に記録されたコンピュータプログラム(情報源/伝送路符号化されていてもよい)を含んでいてもよい。
【0055】
本明細書に記載する「コンピュータ」は、同じ回路基板上、回路基板の同じ領域/位置、または同じデバイス上に位置していてもいなくてもよい1つまたは複数の個々のプロセッサ/処理要素の集合を含んでいてもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の記載されたプロセッサは、複数のデバイス上に分散されていてもよい。同じまたは異なるプロセッサ/処理要素により、本明細書に記載された1つまたは複数の機能を実行してもよい。
【0056】
「信号」という用語は、一連の送信信号および/または受信信号として送信される1つまたは複数の信号を意味しうることは理解されるであろう。該一連の信号は、上記の信号をなす1つ、2つ、3つ、4つ、またはより多くの個々の信号成分または個別信号を含んでいてもよい。これらの個々の信号の一部または全部を、同時に、順番に、および/または時間的に相互に重なるように送信/受信してもよい。
【0057】
記載したコンピュータおよび/またはプロセッサおよびメモリ(例えばROM、CD−ROM等を含む)の議論について、これらは、発明の機能を実行するようにプログラムされた、コンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array:FPGA)、および/または他のハードウェア要素を含んでいてもよい。
【0058】
出願人はここに、本明細書に記載した個々の特徴およびそれらの特徴の2以上のあらゆる組み合わせを、それらの特徴や特徴の組み合わせが本明細書に開示したいずれかの問題を解決するかどうかにかかわらず、また請求項の範囲に限定されず、当業者の一般的な知識に照らせばそれらの特徴や組み合わせを本明細書全体に基づいて実施可能な程度に、別々に開示している。出願人は、開示された態様/実施形態が、そのような個々の特徴または特徴の組み合わせから構成されうることを示唆している。上記の記載に鑑みて、開示の範囲内で様々な変形がなされうることは当業者には明らかであろう。
【0059】
異なる実施形態に適用された基礎的な新規特徴を図示、記載、および指摘してきたが、記載されたデバイスおよび方法の形態および詳細については様々な省略、置換、変更が、発明の趣旨を逸脱することなく当業者によりなされうることは理解されるであろう。例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じやり方で実行して同じ結果を得るような要素および/または方法ステップのすべての組み合わせが発明の範囲内にあることは、明示的に表現されている。さらに、開示された形態または実施形態に関連して図示および/または記載された構造および/または要素および/または方法ステップは、設計上の選択の一般的な問題として、他の開示された、記載された、または示唆された形態または実施形態に組み込まれうると認識されるべきである。さらに、特許請求の範囲においては、ミーンズプラスファンクションの節は、本明細書に記載の構造が記載の機能を実行するものを含み、構造的等価物のみならず等価な構造物を含むものと意図されている。よって、木製部品同士を固定するのに釘は円筒状の表面を用いるがネジは螺旋状の表面を用いる点において、釘とネジは構造的等価物ではないかもしれないが、木製部品を固定する環境において、釘とネジは等価な構造物でありうる。