(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567708
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ディスクブレーキトーンリング
(51)【国際特許分類】
F16D 65/12 20060101AFI20190819BHJP
B60T 8/171 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
F16D65/12 R
B60T8/171 A
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-15247(P2018-15247)
(22)【出願日】2018年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-123964(P2018-123964A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2018年3月26日
(31)【優先権主張番号】15/422,045
(32)【優先日】2017年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508137752
【氏名又は名称】コンソリデイテッド・メトコ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、ジョゼフ、エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、ジェームズ、ストラットン
(72)【発明者】
【氏名】スベン、アーサー、トルストファイト
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0052562(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第10237504(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0002878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
8/32−8/96
F16D 49/00−71/04
G01P 1/00−3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキディスク組立体であって、
ブレーキロータであって、環状窪み部を形成する内壁を有するブレーキロータと、
前記ブレーキロータ環状窪み部に収容されるアンチロックブレーキ検出リングとを備え、
前記ブレーキロータは複数の位置決めタブを有し、各位置決めタブは、前記ブレーキロータの前記内壁から前記ブレーキロータ環状窪み部内へ半径方向内方に延び、
各位置決めタブは、保持溝の一部として傾斜面を有し、
前記アンチロックブレーキ検出リングは、複数の保持タブを有し、各保持タブは、前記ブレーキロータの2つの隣接する位置決めタブの間に位置付けられ、
ブレーキディスク組立体は、前記ブレーキロータの前記保持溝の少なくとも2つの前記傾斜面に対して位置付けられた保持リングを更に備え、
前記保持リングは、前記アンチロックブレーキ検出リングの少なくとも2つの前記保持タブに対して位置付けられている、ディスクブレーキ組立体。
【請求項2】
前記ブレーキロータは、前記ブレーキロータの上面から延びる隆起部を含み、
前記ブレーキロータの前記隆起部は、前記アンチロックブレーキ検出リングに半径方向に隣接する内側対向面を含む、請求項1に記載のディスクブレーキ組立体。
【請求項3】
前記ブレーキロータは、前記ブレーキロータの上面から延びる隆起部を含み、
前記アンチロックブレーキ検出リングは、前記ブレーキロータの前記隆起部に半径方向において接触する軸方向内部対向リップを含む、請求項1に記載のディスクブレーキ組立体。
【請求項4】
各アンチロックブレーキ検出保持タブは、前記ブレーキロータ環状窪み部内における前記アンチロックブレーキ検出リングの回転が制限されるような態様で、前記ブレーキロータの2つの隣接する位置決めタブの間に位置付けられている、請求項1に記載のディスクブレーキ組立体。
【請求項5】
ブレーキディスク組立体であって、
ブレーキロータであって、環状窪み部を形成する内壁を有する前記ブレーキロータと、 アンチロックブレーキ検出リングとを備え、
前記ブレーキロータは複数の位置決めタブを有し、各位置決めタブは、前記ブレーキロータの前記内壁から前記ブレーキロータ環状窪み部内へ半径方向内方に延び、
各位置決めタブは、保持溝の一部として傾斜面を有し、
前記アンチロックブレーキ検出リングは、複数の保持タブを有し、各保持タブは、前記ブレーキロータの2つの隣接する位置決めタブの間に位置付けられ、
ブレーキディスク組立体は、前記ブレーキロータの前記保持溝の少なくとも2つの前記傾斜面に対して位置付けられた保持リングを更に備え、
前記保持リングは、前記アンチロックブレーキ検出リングの少なくとも2つの前記保持タブに対して位置付けられている、ディスクブレーキ組立体。
【請求項6】
前記ブレーキロータは、前記ブレーキロータの上面から延びる隆起部を含み、
前記ブレーキロータの前記隆起部は、前記アンチロックブレーキ検出リングに半径方向に隣接する内側対向面を含む、請求項5に記載のディスクブレーキ組立体。
【請求項7】
各アンチロックブレーキ検出保持タブは、前記ブレーキロータ環状窪み部内における前記アンチロックブレーキ検出リングの回転が制限されるような態様で、前記ブレーキロータの2つの隣接する位置決めタブの間に位置付けられている、請求項5に記載のディスクブレーキ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、速度および位置検出の目的のための方法、並びに回転部分に取り付けられた誘導トーンリングを含む組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
アンチロックブレーキへの適用として、位置検出用の誘導トーンリングの使用が知られている。しかしながら、アンチロックブレーキシステム検知リングの設置、特にディスクブレーキロータへの設置は懸念事項の原因となっている。このような懸念事項は、困難な設置や交換、緩みや故障となり得るボルトやネジの使用、および異なる熱膨張や反りの原因となる、ブレーキロータからトーンリングへの熱移動を含んでいる。トーンリングの腐食やブレーキロータに形成されるトーンリングの特徴も、現場における問題の大きな原因である。トーンリングは、ロータの摩耗が限界となる前に、使用可能な状態を超えて腐食し得る。
【0003】
従って、ディスクブレーキロータ組立体を含む誘導トーンリングを設置するための改良された配置および方法が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導トーンリングを回転部分に取り付けるための改良された配置および方法が要求されている。回転部分は、現在明らかであるものはブレーキロータであるが、回転位置または速度測定が必要なホイールハブ、機械軸または他の回転部分にも適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ディスクブレーキ組立体に適用される方法は、環状窪み部を形成する内壁を有するブレーキロータを備えている。アンチロックブレーキトーンリングは、ブレーキロータの上面に隣接する窪み部に隣接した環状窪み部に収容される。ブレーキロータの内壁は複数の突出部材を含み、各突出部材は、環状窪み部を形成する、ブレーキロータの内壁に形成された上部傾斜面を含む保持溝を有している。
【0006】
トーンリングは、複数の保持タブを有している。各トーンリング保持タブは、2つのブレーキロータ内壁突出部材の間に位置付けられている。各々のブレーキロータ突出部材保持溝内には、保持リングが取り付けられている。保持リングは、トーンリングの各々の保持タブを押圧する。
【0007】
本発明の改良されたトーンリング取付方法の利点は、ブレーキロータとトーンリングとの間の接触領域を減少させ、ブレーキロータからトーンリングへの熱移動を減少させることを含んでいる。リングは、しっかりと拘束されておらず、リングがねじまたはボルトによってロータにしっかりと取り付けられている場合に起こり得る高温での反りを回避するように、ロータ取付部内で「浮動」することができる。腐食の影響は、温度が低く、かつトーンリングとロータとの間の接触が最小限である結果として、低減される。トーンリングのブレーキロータへの取り付けにおいて、ねじ、ボルトまたは圧入を除外することは、設置および交換が容易になる。また、トーンリングを収容するロータを準備するための、ロータへのねじ穴またはボルト穴の穿設またはねじ切りが必要とされない。本発明のトーンリングは、各々が保持溝を有する複数の突出部材と係合し、ブレーキロータ内壁の環状窪み部の位置に単純に設置される。保持リングは、ブレーキロータ突出部材保持溝の各々に取り付けられる。保持リングは、トーンリングの各々の保持タブを押圧する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による、組み立てられたブレーキロータ、トーンリングおよび保持リングを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態によるブレーキロータ、トーンリングおよび保持リングを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態によるブレーキロータ、トーンリングおよび保持リングの部分詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至
図3を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるディスクブレーキ組立体が、全体的に10で示されている。環形状のブレーキロータが12で示されており、ブレーキロータ12用の材料は、通常、鋳鉄である。ブレーキロータ12は、環状窪み部16を形成する内壁14を含んでいる。スナップ保持リング30は、環状窪み部16に収容されている。スナップ保持部30は環形状のリングである。
【0010】
トーンリング20は、ブレーキロータ12の上面21から延びる隆起部15に隣接して配置されている。トーンリング12は、ブレーキロータ12の隆起部15の半径方向内側対向面43に、半径方向において接触する軸方向内部対向リップ41を更に含んでいる。トーンリング20は、鋼鉄、または、このような誘導トーンリングに使用することが知られている他の強磁性の材料を含んでいる。
【0011】
ブレーキロータ12は、複数の位置決めタブ17を更に含んでいる。各位置決めタブ17は、環状窪み部16の周囲に形成されるとともに、環状窪み部16に半径方向に対向する傾斜面19を含んでいる。各位置決めタブの傾斜面19は、トーンリング20の保持タブ31に対抗して、保持リング19に力を作用するように、保持リング30に接触する。トーンリング20の各保持タブ31は、ブレーキロータ12の2つの位置決めタブ17の間に取り付けられ、ブレーキロータ12内におけるトーンリング20の回転を制限する。
【0012】
トーンリング20は、内部リップ41および上面34を含んでいることが理解される。トーンリング20の内部リップ41は、ブレーキロータ12の隆起部15の半径方向内側対向面43に隣接して取り付けられ、回転軸の周りに、トーンリング20を中心に置く。複数の保持タブ31は、トーンリング20から半径方向内側に延びている。
【0013】
ディスクブレーキ組立体10の組み立て時に、トーンリング20は、ブレーキロータ12の表面21から延びる隆起部15に隣接してブレーキロータ12の一方の側に設置される。トーンリング12の軸方向内部対向リップ41は、半径方向において、ブレーキロータ12の隆起部15の半径方向内側対向面43に接触している。ブレーキロータ12は、複数の位置決めタブ17を更に含んでいる。各位置決めタブ17は、環状窪み部16の周囲に形成されるとともに、環状窪み部16に半径方向に対向する傾斜面19を含んでいる。各位置決めタブの傾斜面19は、トーンリング20の保持タブ31に対抗して、保持リング19に力を作用するように、保持リング30に接触する。トーンリング20の各保持タブ31は、ブレーキロータ12の2つの位置決めタブ17の間に取り付けられ、ブレーキロータ12内におけるトーンリング20の回転を制限する。