(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
再生デバイスは、1つ又は複数の近傍センサを備えており、当該近傍センサは、(i)マイク、(ii)容量センサ、(iii)赤外線(IR)センサ、(iv)カメラのうちの1つ又は複数を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、いくつかの例示的な実施形態を説明することを目的としているが、本発明が、図面に示した配置および手段に限定されるものではないことは理解される。
【0008】
I.概要
本明細書に記載された実施形態は、再生デバイスに近接する障害物を検知することに基づいて、再生デバイス自体によって再生デバイスを動的に設定することを含む。実際には、再生デバイスは、家庭やビジネスなどの様々な場所の様々な位置に配置されている。多くの場合、他の物体が意図的に又は意図せずに再生デバイスの上又は周囲に配置される。例えば、額縁や植木鉢などの様々な家庭用品が再生デバイスの近くに配置される。状況によっては、特定の物体を再生デバイスの近くに配置することが単に便利である場合や、他の状況では、再生デバイスを隠すために特定の物体が使用される場合がある。その他の場合には、再生デバイスは壁の近くに置かれるか、あるいはキャビネットのような物体の内側に置かれる。いずれの場合でも、再生デバイスの周囲が再生デバイスの音声出力に対する障害物として作用する場合がある。
【0009】
いくつかの状況において、物体又は壁などの障害物が再生デバイスに近接しているとき、当該障害物は、再生デバイスの音声出力に影響を及ぼす可能性がある。例えば、再生デバイスのスピーカの前に置かれた物体はスピーカの音声出力を歪める可能性がある。このような歪みによってユーザ体験が損なわれる等、ある種の不都合な結果につながる可能性がある。
【0010】
したがって、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、再生デバイスは、再生デバイスのすぐ近くに障害物があることを検知すると、障害物の存在を補償するように動的に設定される。再生デバイスに近接して配置された障害物に動的に応答するために、再生デバイスは本明細書に記載のステップを適宜繰り返すことができる。例えば、再生デバイスのスピーカの近傍に障害物が配置されている場合、デバイスはその障害物に基づいて再生設定を調整する。障害物が除去された場合、再生デバイスは元の再生設定に動的に調整する。あるいは、第2の障害物が別のスピーカに近接して配置されている場合、再生デバイスは、両方の障害物に基づいて再生設定を動的に調整する。障害物が再生デバイスに近づいたり遠ざかったりすると、再生デバイスはそれに応じて再生設定を変更する。
【0011】
いくつかの実施形態では、再生デバイスによる動的な設定は、再生デバイスのスピーカを非アクティブ化することを含む。例えば、再生デバイスの特定のスピーカは、当該スピーカに近接して障害物が検出されたときに非アクティブ化される。他の実施形態では、再生デバイスの設定には、特定のスピーカの音声出力を変更することにより、当該スピーカに近接するものとして検知された障害物の存在の補償を補助することが含まれる。一例として、再生デバイスは、知覚される再生デバイスの周波数応答に関して障害物によって引き起こされる高周波数範囲の歪みを補償するために、オーディオ出力の高域周波数成分を調整する。他の実施形態では、再生デバイスの設定には、第1スピーカを停止させて第2スピーカの音声出力を変更することが含まれる。一例では、第1スピーカおよび第2スピーカは、同じ再生デバイスの一部である。別の例では、第1スピーカは第1再生デバイスの一部であり、第2スピーカは第2再生デバイスの一部である。
【0012】
障害物の存在を補償する他の例および態様については、以下でより詳細に説明する。
【0013】
上述したように、本願は、再生デバイスに近接する障害物を検知することに基づいて再生デバイスを動的に設定することを含む。一態様では、方法が提供される。当該方法は、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップを含む。当該方法は、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップを含む。当該方法は、当該検知に基づいて、再生デバイスの再生設定をセッティングするステップを含む。当該方法は、セッティングされた再生設定に従って再生デバイスによりオーディオコンテンツを再生するステップを含む。
【0014】
別の態様では、再生デバイスが提供される。当該再生デバイスは、第1スピーカ、第2スピーカ、プロセッサ、データストレージ、およびプログラムロジックを備える。プログラムロジックはデータストレージに記憶されたものであり、プロセッサによって実行可能である。プログラムロジックがプロセッサによって実行されると、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップ、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップが実行される。ここで、第1スピーカは、オーディオコンテンツのあるコンポーネントを再生するように構成されている。プログラムロジックは、当該検知に基づいて、(i)第1スピーカを非アクティブ化し、(ii)第2スピーカによりオーディオコンテンツのコンポーネントの少なくとも一部を再生するステップを実行するように実行可能である。
【0015】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読み取り可能メモリが提供される。当該非一時的コンピュータ読み取り可能メモリは、再生デバイスによって実行可能な命令を記憶しており、当該命令が実行されると再生デバイスに複数の機能を実行させる。複数の機能には、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップ、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップ、当該検知に基づいて、再生デバイスの再生設定をセッティングするステップ、セッティングされた再生設定に従って再生デバイスによりオーディオコンテンツを再生するステップ、が含まれる。
【0016】
当業者にとって、本開示には他の複数の実施形態が含まれることは理解されるであろう。
【0017】
II.動作環境の例
図1は、本明細書で開示されている1つ又は複数の実施形態で実施可能又は実装可能なメディア再生システム100の例示的な構成を示す。図示されるように、メディア再生システム100は、複数の部屋および空間、例えば、主寝室、オフィス、ダイニングルーム、およびリビングルームを有する例示的なホーム環境と関連付けられている。
図1の例に示されるように、メディア再生システム100は、再生デバイス102−124、制御デバイス126および128、有線又は無線のネットワークルータ130を含む。
【0018】
更に、例示的なメディア再生システム100の異なる構成要素、および異なる構成要素がどのように作用してユーザにメディア体験を提供するかに関しての説明は、以下のセクションで述べられている。本明細書における説明は、概してメディア再生システム100を参照しているが、本明細書で述べられている技術は、
図1に示されるホーム環境の用途に限定されるものではない。例えば、本明細書で述べられている技術は、マルチゾーンオーディオが望まれる環境、例えば、レストラン、モール、又は空港のような商業的環境、スポーツ用多目的車(SUV)、バス又は車のような車両、船、若しくはボード、飛行機などの環境において有益である。
【0019】
a.例示的なゾーンプレーヤー
図2は、
図1のメディア再生システム100の再生デバイス102−124の1つ又は複数を構成する例示的な再生デバイス200の機能ブロック図を示す。再生デバイス200は、プロセッサ202、ソフトウェアコンポーネント204、メモリ206、オーディオ処理コンポーネント208、オーディオアンプ210、スピーカー212、ネットワークインタフェース214および近傍センサ220を含んでもよい。ネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216および有線インタフェース218を含む。ある場合では、再生デバイス200は、スピーカー212を含まないが、再生デバイス200を外部スピーカーに接続するためのスピーカーインタフェースを含んでいてもよい。別の場合では、再生デバイス200は、スピーカー212もオーディオアンプ210も含まないが、再生デバイス200を外部オーディオアンプ又はオーディオビジュアルレシーバーに接続するためのオーディオインタフェースを含んでもよい。
【0020】
ある例では、プロセッサ202は、メモリ206に記憶された命令に基づいて、入力データを処理するように構成されたクロック駆動コンピュータコンポーネントであってもよい。メモリ206は、プロセッサ202によって実行可能な命令を記憶するように構成された非一時的なコンピュータ読み取り可能記録媒体であってもよい。例えば、メモリ206は、ある機能を実行するためにプロセッサ202によって実行可能なソフトウェアコンポーネント204の1つ又は複数をロードすることができるデータストレージであってもよい。ある例では、機能は、再生デバイス200がオーディオソース又は別の再生デバイスからオーディオデータを読み出すステップを含んでもよい。別の例では、機能は、再生デバイス200がネットワーク上の別のデバイス又は再生デバイスにオーディオデータを送信するステップを含んでもよい。更に別の例では、機能は、マルチチャンネルオーディオ環境を作るために、再生デバイス200と1つ又は複数の再生デバイスとをペアリングするステップを含んでもよい。
【0021】
ある機能は、再生デバイス200が、1つ又は複数の他の再生デバイスと、オーディオコンテンツの再生を同期するステップを含む。再生を同期している間、再生デバイス200によるオーディオコンテンツの再生と1つ又は複数の他の再生デバイスによる再生との間の遅延を、リスナーが気づかないことが好ましい。「複数の独立クロックデジタルデータ処理デバイス間の動作を同期するシステムおよび方法」と題する米国特許第8,234,395号が本明細書に参照として援用されており、それは再生デバイス間のオーディオ再生を同期することが述べられたより詳細な例を提供している。
【0022】
更に、メモリ206は、データを記憶するように構成されていてもよい。データは、例えば、1つ又は複数のゾーンおよび/又はゾーングループに一部として含まれる再生デバイス200などの再生デバイス200、再生デバイス200によりアクセス可能なオーディオソース、又は再生デバイス200(又は他の再生デバイス)と関連付け可能な再生キュー、に関連付けられている。データは、定期的に更新され、再生デバイス200の状態を示す1つ又は複数の状態変数として記憶されてもよい。また、メモリ206は、メディアシステムの他のデバイスの状態と関連付けられたデータを含んでもよく、デバイス間で随時共有することによって、1つ又は複数のデバイスが、システムと関連するほぼ直近のデータを有することができる。他の実施形態も可能である。
【0023】
オーディオ処理コンポーネント208は、1つ又は複数のデジタル−アナログ変換器(DAC)、オーディオ処理コンポーネント、オーディオ強化コンポーネント、又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を含んでいてもよい。ある実施形態では、1つ又は複数のオーディオ処理コンポーネント208は、プロセッサ202のサブコンポーネントであってもよい。ある実施形態では、オーディオコンテンツが、オーディオ処理コンポーネント208によって処理および/又は意図的に変更されることによって、オーディオ信号を生成してもよい。生成されたオーディオ信号は、オーディオアンプ210に送信され、増幅され、スピーカー212を通じて再生される。特に、オーディオアンプ210は、1つ又は複数のスピーカー212を駆動できるレベルまでオーディオ信号を増幅するように構成されたデバイスを含んでもよい。スピーカー212は、独立した変換器(例えば、「ドライバ」)又は1つ又は複数のドライバを内包する筐体を含む完全なスピーカーシステムを備えてもよい。スピーカー212に備えられたあるドライバは、例えば、サブウーファー(例えば、低周波用)、ミドルレンジドライバ(例えば、中間周波用)、および/又はツイーター(高周波用)を含んでもよい。ある場合では、1つ又は複数のスピーカー212のそれぞれの変換器は、オーディオアンプ210の対応する個々のオーディオアンプによって駆動されてもよい。再生デバイス200で再生するアナログ信号を生成することに加えて、オーディオ処理コンポーネント208は、オーディオコンテンツを処理し、そのオーディオコンテンツを1つ又は複数の他の再生デバイスに再生させるために送信する。
【0024】
再生デバイス200によって処理および/又は再生されるオーディオコンテンツは、外部ソース、例えば、オーディオライン−イン入力接続(例えば、オートディテクティング3.5mmオーディオラインイン接続)又はネットワークインタフェース214を介して、受信されてもよい。
【0025】
ネットワークインタフェース214は、データネットワーク上で再生デバイス200と1つ又は複数の他のデバイスとの間のデータフローを可能にするように構成されてもよい。このように、再生デバイス200は、再生デバイスと通信する1つ又は複数の他の再生デバイス、ローカルエリアネットワーク内のネットワークデバイス、又は例えば、インターネット等のワイドエリアネットワーク上のオーディオコンテンツソースから、データネットワークを介してオーディオコンテンツを受信するように構成されていてもよい。ある例では、再生デバイス200によって送信および受信されたオーディオコンテンツおよび他の信号は、インターネットプロトコル(IP)に基づくソースアドレスおよびIPに基づく宛先アドレスを含むデジタルパケットの形で送信されてもよい。そのような場合、ネットワークインタフェース214は、デジタルパケットデータを解析することによって、再生デバイス200宛てのデータを、再生デバイス200によって適切に受信して処理することができる。
【0026】
図示されるように、ネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216と有線インタフェース218とを含んでもよい。無線インタフェース216は、再生デバイス200用のネットワークインタフェース機能を提供し、通信プロトコル(例えば、無線規格IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、802.15、4Gモバイル通信基準などを含む無線基準(規格)のいずれか)に基づいて、他のデバイス(例えば、再生デバイス200に関連付けられたデータネットワーク内の他の再生デバイス、スピーカー、レシーバー、ネットワークデバイス、制御デバイス)と無線通信してもよい。有線インタフェース218は、再生デバイス200用のネットワークインタフェース機能を提供し、通信プロトコル(例えば、IEEE802.3)に基づいて他のデバイスとの有線接続を介して通信してもよい。
図2に示されるネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216と有線インタフェース218との両方を含んでいるが、ネットワークインタフェース214は、ある実施形態において、無線インタフェースのみか、又は有線インタフェースのみを含んでいてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、再生デバイス200は、1つ又は複数の近接センサ220を含む。一般的なこととして、近接センサ220は、所定範囲内における物体の存在を示す信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、物体の存在を示す信号は、デジタルの近傍データに処理されてもよい。例えば、物体の存在を示す信号がアナログ信号である場合、アナログ/デジタル変換器を使用してデジタルの近傍データに変換されてもよい。近接センサ220は、近接センサからの物体の絶対距離、相対距離、および/又は近似距離を示すデータを生成するようにさらに構成されてもよい。近接センサ220は、(i)マイク、(ii)容量性センサ、(iii)赤外線(IR)センサ、(iv)カメラのうちのいずれかを含んでもよい。近接センサは、本明細書において明示的に論じられた機能に加えて更なる機能を実行するように構成されてもよい。
【0028】
ある例では、再生デバイス200と他の再生デバイスとは、ペアにされて、オーディオコンテンツの2つの別々のオーディオコンポーネントを再生してもよい。例えば、再生デバイス200は、左チャンネルオーディオコンポーネントを再生するように構成される一方、他の再生デバイスは、右チャンネルオーディオコンポーネントを再生するように構成されてもよい。これにより、オーディオコンテンツのステレオ効果を生成するか、又は強化することができる。ペアにされた再生デバイス(「結合再生デバイス」とも言う)は、更に、他の再生デバイスと同期してオーディオコンテンツを再生してもよい。
【0029】
別の例では、再生デバイス200は、1つ又は複数の他の再生デバイスと音響的に統合され、単一の統合された再生デバイス(統合再生デバイス)を形成してもよい。統合再生デバイスは、統合されていない再生デバイス又はペアにされた再生デバイスと比べて、サウンドの処理や再現を異なるように構成することができる。なぜならば、統合再生デバイスは、オーディオコンテンツを再生するスピーカー追加することができるからである。例えば、再生デバイス200が、低周波レンジのオーディオコンテンツを再生するように設計されている場合(例えば、サブウーファー)、再生デバイス200は、全周波数レンジのオーディオコンテンツを再生するように設計された再生デバイスと統合されてもよい。この場合、全周波数レンジの再生デバイスは、低周波の再生デバイス200と統合されたとき、オーディオコンテンツの中高周波コンポーネントのみを再生するように構成されてもよい。一方で低周波レンジの再生デバイス200は、オーディオコンテンツの低周波コンポーネントを再生する。更に、統合再生デバイスは、単一の再生デバイス、又は更に他の統合再生デバイスとペアにされてもよい。
【0030】
例として、現在、ソノズ・インコーポレイテッドは、「PLAY:1」、「PLAY:3」、「PLAY:5」、「PLAYBAR」、「CONNECT:AMP」、「CONNECT」、および「SUB」を含む再生デバイスを販売提供している。他の過去、現在、および/又は将来のいずれの再生デバイスにおいても、追加的に又は代替的に本明細書で開示された実施例の再生デバイスに実装して使用することができる。更に、再生デバイスは、
図2に示された特定の例又は提供されるソノズ製品に限定されないことは理解される。例えば、再生デバイスは、有線又は無線のヘッドホンを含んでもよい。別の例では、再生デバイスは、パーソナルモバイルメディア再生デバイス用のドッキングステーションを含むか、又は、それらと対話してもよい。更に別の例では、再生デバイスは、別のデバイス又はコンポーネント、例えば、テレビ、照明器具、又は屋内又は屋外で使用するためのいくつかの他のデバイスと一体化されてもよい。
【0031】
b.例示的な再生ゾーン構成
図1のメディア再生システムに戻って、環境は、1つ又は複数の再生ゾーンを有しており、それぞれの再生ゾーンは1つ又は複数の再生デバイスを含んでいる。メディア再生システム100は、1つ又は複数の再生ゾーンで形成されており、後で1つ又は複数のゾーンが追加又は削除して、
図1に示す例示的な構成としてもよい。それぞれのゾーンは、異なる部屋又は空間、例えば、オフィス、浴室、主寝室、寝室、キッチン、ダイニングルーム、リビングルーム、および/又はバルコニーに基づく名前が与えられてもよい。ある場合では、単一の再生ゾーンは複数の部屋又は空間を含んでいてもよい。別の場合では、単一の部屋又は空間は、複数の再生ゾーンを含んでいてもよい。
【0032】
図1に示されるように、バルコニー、ダイニングルーム、キッチン、浴室、オフィス、および寝室のゾーンのそれぞれは、1つの再生デバイスを有する一方、リビングルームおよび主寝室のゾーンのそれぞれは、複数の再生デバイスを有する。リビングルームゾーンは、再生デバイス104、106、108、および110が、別々の再生デバイスとしてか、1つ又は複数の結合再生デバイスとしてか、1つ又は複数の統合再生デバイスとしてか、又はこれらのいずれかの組み合わせで、オーディオコンテンツを同期して再生するように構成されてもよい。同様に、主寝室の場合では、再生デバイス122および124が、別々の再生デバイスとしてか、結合再生デバイスとしてか、又は統合再生デバイスとして、オーディオコンテンツを同期して再生するように構成されてもよい。
【0033】
ある例では、
図1の環境における1つ又は複数の再生ゾーンは、それぞれ異なるオーディオコンテンツを再生している。例えば、ユーザは、バルコニーゾーンでグリルしながら、再生デバイス102によって再生されるヒップホップ音楽を聞くことができる。一方、別のユーザは、キッチンゾーンで食事を準備しながら、再生デバイス114によって再生されるクラシック音楽を聞くことができる。別の例では、再生ゾーンは、同じオーディオコンテンツを別の再生ゾーンと同期して再生してもよい。例えば、ユーザがオフィスゾーンにいる場合、オフィスゾーンの再生デバイス118が、バルコニーの再生デバイス102で再生されている音楽と同じ音楽を再生してもよい。そのような場合、再生デバイス102および118は、ロック音楽を同期して再生しているため、ユーザは、異なる再生ゾーン間を移動してもアウト−ラウドで再生されるオーディオコンテンツをシームレス(又は少なくともほぼシームレス)に楽しむことができる。再生ゾーン間の同期は、前述の米国特許第8,234,395号で述べられているような再生デバイス間の同期と同様の方法で行ってもよい。
【0034】
上述したように、メディア再生システム100のゾーン構成は、動的に変更してもよく、ある実施形態では、メディア再生システム100は、複数の構成をサポートする。例えば、ユーザが1つ又は複数の再生デバイスを、物理的にゾーンに移動させるか、又はゾーンから移動させる場合、メディア再生システム100は変更に対応するように再構成されてもよい。例えば、ユーザが再生デバイス102をバルコニーゾーンからオフィスゾーンに物理的に移動させる場合、オフィスゾーンは、再生デバイス118と再生デバイス102との両方を含んでもよい。必要に応じて、制御デバイス、例えば制御デバイス126と128とを介して、再生デバイス102が、ペアにされるか、又はオフィスゾーンにグループ化されるか、および/又はリネームされてもよい。一方、1つ又は複数の再生デバイスが、再生ゾーンを未だ設定していないホーム環境において、ある領域に移動させられた場合、新しい再生ゾーンがその領域に形成されてもよい。
【0035】
更に、メディア再生システム100の異なる再生ゾーンは、動的にゾーングループに組み合わされてもよいし、又は別々の再生ゾーンに分割されてもよい。例えば、ダイニングルームゾーンとキッチンゾーン114とがディナーパーティ用のゾーングループに組み合わされることによって、再生デバイス112と114とがオーディオコンテンツを同期して再生することができる。一方、あるユーザがテレビを見たい一方、他のユーザがリビングルーム空間の音楽を聞きたい場合、リビングルームゾーンが、再生デバイス104を含むテレビゾーンと、再生デバイス106、108および110を含むリスニングゾーンと、に分けられてもよい。
【0036】
c.例示的な制御デバイス
図3は、メディア再生システム100の制御デバイス126と128とうちの一方又は両方を構成する例示的な制御デバイス300の機能ブロック図を示す。図示されるように、制御デバイス300は、プロセッサ302、メモリ304、ネットワークインタフェース306、およびユーザインタフェース308を含んでもよい。ある例では、制御デバイス300は、メディア再生システム100専用の制御デバイスであってもよい。別の例では、制御デバイス300は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアをインストールされたネットワークデバイス、例えば、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、又は任意の他のスマートフォン、タブレットあるいはネットワークデバイス(例えば、PC又はMac(登録商標)などのネットワークコンピュータ)であってもよい。
【0037】
プロセッサ302は、メディア再生システム100のユーザアクセス、コントロール、および構成を可能にすることに関する機能を実行するように構成されてもよい。メモリ304は、プロセッサ302によって実行可能な命令を記憶し、それらの機能を実行するように構成されていてもよい。また、メモリ304は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアと、メディア再生システム100とユーザとに関連付けられた他のデータを記憶するように構成されていてもよい。
【0038】
ある例では、ネットワークインタフェース306は、工業規格(例えば、赤外線、無線、IEEE802.3などの有線規格、IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、802.15などの無線規格、4G通信規格など)に基づいてもよい。ネットワークインタフェース306においては、制御デバイス300がメディア再生システム100内の他のデバイスと通信するための手段を提供してもよい。ある例では、データおよび情報(例えば、状態変数)は、ネットワークインタフェース306を介して制御デバイス300と他のデバイスとの間で通信されてもよい。例えば、メディア再生システム100における再生ゾーンおよびゾーングループの構成は、制御デバイス300によって、再生デバイス又は別のネットワークデバイスから受信されてもよいし、あるいは制御デバイス300によって、ネットワークインタフェース306を介して別の再生デバイス又はネットワークデバイスに送信されてもよい。ある場合では、他のネットワークデバイスは、別の制御デバイスであってもよい。
【0039】
ボリュームコントロールおよびオーディオ再生コントロールなどの再生デバイス制御コマンドは、ネットワークインタフェース306を介して制御デバイス300から再生デバイスに通信されてもよい。上述したように、メディア再生システム100の構成の変更は、ユーザにより制御デバイス300を用いて行うことができる。構成の変更は、1つ又は複数の再生デバイスをゾーンに追加すること、1つ又は複数の再生デバイスをゾーンから取り除くこと、1つ又は複数のゾーンをゾーングループに追加すること、1つ又は複数のゾーンをゾーングループから取り除くこと、結合プレーヤー又は統合プレーヤーを形成すること、結合プレーヤー又は統合プレーヤーから1つ又は複数の再生デバイスに分けることなどを含んでもよい。このように、制御デバイス300は、コントローラと呼ばれてもよく、制御デバイス300は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアをインストールした専用のコントローラか、又はネットワークデバイスであってもよい。
【0040】
制御デバイス300のユーザインタフェース308は、
図4に示されるコントローラインタフェース400などのようなコントローラインタフェースを提供することによって、メディア再生システム100のユーザアクセスおよび制御を可能にするように構成されていてもよい。コントローラインタフェース400は、再生制御領域410、再生ゾーン領域420、再生ステータス領域430、再生キュー領域440、およびオーディオコンテンツソース領域450を含む。図示されるユーザインタフェース400は、
図3の制御デバイス300などのようなネットワークデバイス(および/又は
図1の制御デバイス126および128)を設けられたユーザインタフェースの単なる一例であって、ユーザによってメディア再生システム100などのようなメディア再生システムを制御するためにアクセスされるものである。あるいは、様々なフォーマット、スタイル、および対話型シーケンスを他のユーザのインタフェースを1つ又は複数のネットワークデバイスに実装し、メディア再生システムへ類似の制御アクセスを提供してもよい。
【0041】
再生制御領域410は、(例えば、タッチ又はカーソルを用いることで)選択可能なアイコンを含んでもよい。このアイコンによって、選択された再生ゾーン又はゾーングループ内の再生デバイスが、再生又は停止、早送り、巻き戻し、次にスキップ、前にスキップ、シャッフルモードのオン/オフ、リピートモードのオン/オフ、クロスフェードモードのオン/オフを行う。再生制御領域410は、別の選択可能なアイコンを含んでもよい。別の選択可能なアイコンは、イコライゼーション設定、再生ボリュームなど他の設定などを変更してもよい。
【0042】
再生ゾーン領域420は、メディア再生システム100内の再生ゾーンの表示を含んでもよい。ある実施形態では、再生ゾーンのグラフィック表示が選択可能であってもよい。追加の選択可能なアイコンを移動させることによって、メディア再生システム内の再生ゾーンを管理又は構成することができる。例えば、結合ゾーンの作成、ゾーングループの作成、ゾーングループの分割、およびゾーングループのリネームなど他の管理又は構成を行うことができる。
【0043】
例えば、図示されるように、「グループ」アイコンは、再生ゾーンのグラフィック表示のそれぞれに設けられてもよい。あるゾーンのグラフィック表示内の「グループ」アイコンは、メディア再生システム内の1つ又は複数のゾーンを選択して、あるゾーンとグループ化するオプションを出せるように選択可能であってもよい。一度グループ化すると、あるゾーンとグループ化されたゾーン内の再生デバイスは、あるゾーン内の再生デバイスと同期してオーディオコンテンツを再生するように構成される。同様に、「グループ」アイコンは、ゾーングループのグラフィック表示内に設けられてもよい。この場合、「グループ」アイコンは、ゾーングループ内の1つ又は複数のゾーンをゾーングループから取り除くために、ゾーングループ内の1つ又は複数のゾーンを選択から外すというオプションを出すように選択可能であってもよい。ユーザインタフェース400等のユーザインタフェースを介してゾーンをグループ化およびグループ解除するための他の対話をすることも可能であるし、実施することも可能である。再生ゾーン領域420内の再生ゾーンの表示は、再生ゾーン又はゾーングループ構成が変更されると、動的に更新されてもよい。
【0044】
再生ステータス領域430は、現在再生されているオーディオコンテンツ、前に再生されたオーディオコンテンツ、又は選択された再生ゾーン又はゾーングループ内で次に再生するように予定されているオーディオコンテンツ、のグラフィック表示を含んでもよい。選択可能な再生ゾーン又は再生グループは、ユーザインタフェース上で、例えば、再生ゾーン領域420および/又は再生ステータス領域430内で視覚的に区別されてもよい。グラフィック表示は、トラックタイトル、アーティスト名、アルバム名、アルバム年、トラックの長さ、およびメディア再生システムを、ユーザインタフェース400を介して制御するときに、ユーザにとって有益な他の関連情報を含んでいてもよい。
【0045】
再生キュー領域440は、選択された再生ゾーン又はゾーングループと関連付けられた再生キュー内のオーディオコンテンツのグラフィック表示を含んでもよい。ある実施形態では、それぞれの再生ゾーン又はゾーングループは、再生ゾーン又は再生グループによって再生される0以上のオーディオアイテムに対応する情報を含む再生キューと関連付けられていてもよい。例えば、再生キュー内のそれぞれのオーディオアイテムは、ユー・アール・アイ(URI)、ユー・アール・エル(URL)、又は再生ゾーン又はゾーングループ内の再生デバイスによって使用可能な他の識別子を含んでいてもよい。これらによって、ローカルオーディオコンテンツソース又はネットワークオーディオコンテンツソース、からオーディオアイテムを見つけ、および/又は取り出し、再生デバイスによって再生することができる。
【0046】
ある例では、プレイリストが再生キューに追加されてもよい。この場合、プレイリスト内のそれぞれのオーディオアイテムに対応する情報が再生キューに追加されてもよい。別の例では、再生キュー内のオーディオアイテムは、プレイリストとして保存されてもよい。更に別の例では、再生デバイスがストリーミングオーディオコンテンツ、例えば、再生時間を有することで連続して再生されないオーディオアイテムよりも、停止しない限り連続して再生されるインターネットラジオを再生し続けているとき、再生キューは、空であってもよいし、又は「未使用」であるが埋められていてもよい。別の実施形態では、再生キューは、インターネットラジオおよび/又は他のストリーミングオーディオコンテンツアイテムを含むことができ、且つ再生ゾーン又はゾーングループがそれらのアイテムを再生しているとき「未使用」とすることができる。他の例も可能である。
【0047】
再生ゾーン又はゾーングループが「グループ化される」か、又は「グループ解除」されるとき、影響を受ける再生ゾーン又はゾーングループに関連付けられた再生キューは、クリアされてもよいし、又は再び関連付けられてもよい。例えば、第1再生キューを含む第1再生ゾーンが、第2再生キューを含む第2再生ゾーンとグループ化された場合、形成されたゾーングループは、関連付けられた再生キューを有していてもよい。関連付けられた再生キューは、最初は空であるか、(例えば、第2再生ゾーンが第1再生ゾーンに追加された場合、)第1再生キューのオーディオアイテムを含むか、(例えば、第1再生ゾーンが第2再生ゾーンに追加された場合、)第2再生キューのオーディオアイテムを含むか、又は第1再生キューと第2再生キューとの両方のオーディオアイテムを組み合わせられる。その後、形成されたゾーングループがグループ解除された場合、グループ解除された第1再生ゾーンは、前の第1再生キューと再び関連付けられてもよいし、空の新しい再生キューと関連付けられてもよいし、あるいはゾーングループがグループ解除される前にゾーングループと関連付けられていた再生キューのオーディオアイテムを含む新しい再生キューと関連付けられてもよい。同様に、グループ解除された第2再生ゾーンは、前の第2再生キューと再び関連付けられてもよいし、空の新しい再生キューと関連付けられてもよいし、あるいはゾーングループがグループ解除される前にゾーングループと関連付けられていた再生キューのオーディオアイテムを含む新しい再生キューと関連付けられてもよい。
【0048】
図4のユーザインタフェース400に戻って、再生キュー領域440内のオーディオコンテンツのグラフィック表示は、トラックタイトル、アーティスト名、トラックの長さ、および再生キュー内のオーディオコンテンツと関連付けられた他の関連情報を含んでいてもよい。ある例では、オーディオコンテンツのグラフィック表示は、追加の選択可能なアイコンを選択して移動させることができる。これにより、再生キューおよび/又は再生キューに表示されたオーディオコンテンツを管理および/又は操作することができる。例えば、表示されたオーディオコンテンツは、再生キューから取り除いてもよいし、再生キュー内の異なる位置に移動させてもよいし、すぐに再生させるか若しくは現在再生しているオーディオコンテンツの後に再生するように選択されてもよいし、あるいは他の動作を実行してもよい。再生ゾーン又はゾーングループに関連付けられた再生キューは、再生ゾーン又はゾーングループ内の1つ又は複数の再生デバイスのメモリ、再生ゾーン又はゾーングループに入っていない再生デバイスのメモリ、および/又は他の指定のデバイスのメモリに記憶されていてもよい。
【0049】
オーディオコンテンツソース領域450は、選択可能なオーディオコンテンツソースのグラフィック表示を含んでいてもよい。このオーディオコンテンツソースにおいては、オーディオコンテンツが選択された再生ゾーン又はゾーングループによって取り出され、再生されてもよい。オーディオコンテンツソースに関する説明は、以降のセクションを参照することができる。
【0050】
d.例示的なオーディオコンテンツソース
前回図示したように、ゾーン又はゾーングループ内の1つ又は複数の再生デバイスは、再生するオーディオコンテンツを、(例えば、オーディオコンテンツの対応するURI又はURLに基づいて、)複数の入手可能なオーディオコンテンツソースから取り出すように構成されていてもよい。ある例では、オーディオコンテンツは、再生デバイスによって、対応するオーディオコンテンツソース(例えば、ライン−イン接続)から直接取り出されてもよい。別の例では、オーディオコンテンツは、1つ又は複数の他の再生デバイス若しくはネットワークデバイスを介してネットワーク上の再生デバイスに提供されてもよい。
【0051】
例示的なオーディオコンテンツソースは、メディア再生システム内の1つ又は複数の再生デバイスのメモリを含んでもよい。メディア再生システムとしては、例えば、
図1のメディア再生システム100、1つ又は複数のネットワークデバイス上のローカルミュージックライブラリ(例えば、制御デバイス、ネットワーク対応のパーソナルコンピュータ、又はネットワーク接続ストレージ(NAS)など)、インターネット(例えば、クラウド)を介してオーディオコンテンツを提供するストリーミングオーディオサービス、あるいは再生デバイス又はネットワークデバイスのライン−イン入力接続を介してメディア再生システムに接続されるオーディオソース、他の可能なシステムであってもよい。
【0052】
ある実施形態では、オーディオコンテンツソースは、
図1のメディア再生システム100などのようなメディア再生システムに定期的に追加されてもよいし、定期的に取り除かれてもよい。ある例では、1つ又は複数のオーディオコンテンツソースが追加される、取り除かれる、又は更新される度に、オーディオアイテムのインデックス付けが行われてもよい。オーディオアイテムのインデックス付けは、ネットワーク上で共有される全てのフォルダ/ディレクトリ内の識別可能なオーディオアイテムをスキャンすることを含んでもよい。ここで、ネットワークは、メディア再生システム内の再生デバイスによってアクセス可能である。また、オーディオアイテムのインデックス付けは、メタデータ(例えば、タイトル、アーティスト、アルバム、トラックの長さなど)と他の関連情報とを含むオーディオコンテンツデータベースを作成すること、又は更新すること、を含んでもよい。他の関連情報とは、例えば、それぞれの識別可能なオーディオアイテムを見つけるためのURI又はURLを含んでもよい。オーディオコンテンツソースを管理し、且つ維持するための他の例も可能である。
【0053】
再生デバイス、制御デバイス、再生ゾーン構成、およびメディアコンテンツソースに関しての上述した説明は、以降で述べられている機能および方法を実施可能ないくつかの例示的な動作環境のみを提供している。本発明は、本明細書で明示的に述べられていないメディア再生システム、再生デバイス、およびネットワークデバイスの他の動作環境および構成であっても適用可能であり、その機能および方法を実施するのに適している。
【0054】
III.例示的な方法
上述したように、本明細書に述べられている実施形態は、再生デバイスに近接する障害物(barrier)を検知することに基づいて再生デバイスを動的に設定することを含む。
【0055】
図5に示す方法500は例えば、
図1のメディア再生システム100、
図2の再生デバイス200の1つ又は複数、
図3の制御デバイス300の1つ又は複数を含む動作環境で実施可能な方法の一実施形態を示す。方法500は、ブロック502−510の1つ又は複数によって構成されるように、1つ又は複数の操作、機能、又は動作を含んでもよい。ブロックは順番に示されているが、これらのブロックは並行して行われてもよいし、および/又は、本明細書で述べられている順番と異なる順番で行われてもよい。また、所望の実施内容に応じて、ブロックを少なくしてもよいし、増やして分割してもよいし、および/又は取り除いてもよい。
【0056】
さらに、フローチャートは、方法500並びに本明細書で開示されている他の処理および方法に関して、本実施形態の実施可能な機能および動作の例を示している。これに関して、各ブロックは、プロセッサによって実行されるとプロセスにおける特定のロジカル機能又はステップを実行させる1つ又は複数の命令を記憶した、モジュール、セグメント、あるいはプログラムコードの一部を示していてもよい。プログラムコードは例えば、ディスク又はハードドライブを含む記憶デバイスなど、任意のタイプのコンピュータ読み取り可能記録媒体に記憶されてもよい。コンピュータ読み取り可能記録媒体は、非一時的なコンピュータ読み取り可能記録媒体、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダム・アクセス・メモリ(RAM)などのように短時間データを記憶するコンピュータ読み取り可能媒体を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、非一時的なメディア、例えば、リード・オンリ・メモリ(ROM)、光ディスク、磁気ディスク、コンパクトディスク・リード・オンリ・メモリ(CD−ROM)等の長期間の記憶が可能な二次記憶装置又は永続記憶装置を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、その他の任意の揮発性記憶システム又は不揮発性記憶システムであってもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は例えば、コンピュータ読み取り可能記録媒体、即ち、有形の記憶デバイスとみなされてもよい。また、方法500並びに本明細書に開示されたその他の処理および方法において、
図5の各ブロックは回路を示していてもよく、その回路は処理において、ある論理機能を実行するために有線接続されている。
【0057】
a.再生デバイスの近傍にある障害物の表示を含む近傍データの受信
ブロック502において、再生デバイスは、再生デバイスに近接している障害物の表示を含む近傍データ(proximity data)を受信する。いくつかの実施形態では、近傍データは、再生デバイスの内部のセンサから受信される。他の実施形態では、近傍データは、再生デバイスに接続された1つ又は複数の外部センサから受信される。他の構成も可能である。
【0058】
再生デバイスに物理的に近接している対象物は、いずれも障害物として作用することがある。例えば、額縁や鉢植えなどの様々な家庭用品は、障害物として作用する可能性がある。あるいは、再生デバイスが壁に隣接して配置される場合、壁が障害物として作用することがある。同様に、再生デバイスがキャビネット内に置かれたとき、キャビネットにおける1つ又は複数の側面が障害物として作用することがある。
【0059】
図6は、キャビネット620内の再生デバイス600の例示的な配置を示す平面図である。上方から見ると、キャビネット620は、上側、左側および右側が閉じられており、下側が開放されている。キャビネット620の下側は、横から見たときにキャビネットの前面と見なすことができる。さらに、図示されるように再生デバイス620の前面はキャビネットの前面を向いている。
【0060】
再生デバイス600は、スピーカ602、604、606、608を含む。スピーカ604、606は、キャビネット620の前面に向かって音を出力するように構成される。スピーカ602、608は、再生デバイスの左右に向かって音を出力するように構成される。このような多指向性のスピーカ構成によれば、従来の構成に比べて再生デバイスの音場(sound field)を広げる、および/又は再生デバイスの音声出力のステレオ効果を増加させるという潜在的な利点を有する。
【0061】
さらに、図示されるように、キャビネットの側面は再生デバイス600に物理的に近接している。具体的には、キャビネット620の左壁622は、スピーカ602が配置される再生デバイス600の左側に物理的に近接している。同様に、キャビネット620の右壁624は、スピーカ608が配置される再生デバイス600の右側に物理的に近接している。
【0062】
上記構成において、再生デバイス600が動作しているとき、左壁622および右壁624はそれぞれ、再生デバイス600からの音声出力に対する障害物として作用する。その結果、少なくとも左壁622および右壁624を含むキャビネット620の壁は、スピーカ602、608からの音声出力に影響を及ぼす可能性がある。
【0063】
図7は、棚710の上にある再生デバイス700の別の配置例を示す平面図である。上方から見ると、棚710は、上側(背面側)が閉じられているが、左側、右側および下側は開放されている。棚710の下側は、横から見たときに、マークされているようにキャビネットの前面と見なすことができる。再生デバイス720の前面は、図示されるようにキャビネットの前面を向いている。再生デバイスは、スピーカ702、704を含む。スピーカ702、704は、棚710の前面に向かって音を出力するように構成される。
【0064】
図7の例示的な構成では、図示のように、障害物720が再生デバイス700の前方に配置されている。障害物720は、再生デバイス700に近接している(近傍にある)と見なすことができる。この構成では、障害物720は、再生デバイス700からのオーディオ出力に影響を及ぼし得る。特に、スピーカ704からのオーディオ出力は障害物720の影響を受ける。
【0065】
当業者であれば分かるように、障害物は必ずしも、再生デバイスからの音声出力を物理的および/又は完全に、ブロックおよび/又は防止する必要はない。状況によっては、障害物は再生デバイスの音声出力の一部を吸収することがあり、あるいは、音声出力を反射する場合がある。いずれの場合でも、障害物は、オーディオ出力の消音(muffling)、歪み(distorting)、又はその他の影響を与えるなど、再生デバイスの音声出力に何らかの影響を与える可能性がある。
【0066】
近傍データにおける障害物の表示(indication of barrier)は、再生デバイスに近接して障害物が存在することを示す任意の適切なデータであってもよい。例えば、障害物の表示は、近傍センサ(proximity sensor)の種類に応じて障害物の存在を示す特定のデータ又はデータの特定の変化であってもよい。いくつかの実施形態では、近傍データは、障害物の存在を直接的に示す。例えば、近傍センサは障害物が存在することを識別し、障害物を示すメッセージ形式のデータを再生デバイスに送信する。他の実施形態では、近傍データから障害物の存在が推測される。容量センサからのデータは例えば、障害物の存在を推測可能なキャパシタンスの増加を示す。あるいは、マイクからのデータがマイクによって収音された反射音声の増加を示してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、近傍データは、物体の存在についてその環境を定期的にモニタする近傍センサによって形成されたデータストリームの一部である。そのような実施形態では、近傍センサは、近傍データを連続的に、定期的に、又は間欠的に生成する。他の実施形態では、近傍センサは、メディア再生システムに新しい再生デバイスを追加するなどのイベントに応答して近傍データを生成する。このようなデータ収集によれば、再生デバイスが障害物の存在に動的に応答することを支援することができる。
【0068】
例えば、1つ又は複数の近傍センサには、(i)マイク、(ii)容量性センサ、(iii)赤外線(IR)センサ、(iv)カメラ、のうちの1つ又は複数が含まれる。その他の種類の近傍センサも可能である。
【0069】
一例として、赤外線センサは、LEDおよび光検知器を含む。赤外線センサの動作時において、LEDは赤外線ビームを放射する。赤外線ビームが物体に到達すると、ビームの一部が反射して光検知器に戻る。赤外線センサは、反射ビームから、赤外線ビームを反射した物体からの距離を示すデータを生成することができる。他の赤外線源によって引き起こされるノイズを低減するために、LEDは、赤外線ビームを特定の周波数で放出するように構成されてもよい。その場合、光検知器は、特定の周波数の赤外光を検知するように構成される。特定の赤外線センサは、特定の範囲に定格されてもよい。定格範囲を超えると、反射した赤外線ビームは、光検知器が許容可能な精度で捕捉するには弱すぎるものとなる。
【0070】
図6に戻ると、再生デバイス600は、赤外線近傍センサ610、612を含む。近傍センサ610、612は、それぞれのセンサの範囲内における物体の物理的距離を示すデータを生成するように構成されている。
図6の構成では、再生デバイス600は、近傍センサ610、612の各々から近傍データを受信する。例えば、再生デバイス600は、左壁622の表示を含む近傍データを近傍センサ610から受信し、右壁624の表示を含む近傍データを近傍センサ612から受信する。
【0071】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の近傍センサは、2種類以上の近傍センサを含む。2種類以上のセンサを設けることで、物体の検知精度を向上させることができる、および/又は、異なる材料の物体の検知を促進することができる。例えば、赤外線センサは、プラスチックや木材などの特定の材料に対して検知精度が高く、一方で、誘導センサは、金属などのその他の材料に対して検知精度が高い。
【0072】
一実施形態では、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信することには、再生デバイスの1つ又は複数のスピーカからオーディオ信号(パルスなど)を出力することが含まれる。このとき、再生デバイスは、出力したオーディオ信号に対応する反射されたオーディオ信号を示すデータを1つ又は複数のマイクから受信する。次いで、再生デバイスは受信された反射オーディオ信号を使用して、障害物が再生デバイスに近接しているかどうかを決定する。
【0073】
例えば、再生デバイスはオーディオパルスを出力する。再生デバイスが室内にある場合、オーディオパルスは部屋の壁および室内の物体から反射する。障害物が再生デバイスに近接している場合、オーディオパルスの反射によって障害物の存在が示される。反射されたオーディオパルス(反射オーディオパルス)の少なくとも一部が1つ又は複数のマイクに入ることで、反射オーディオパルスを示すデータとして取り込まれる。1つ又は複数のマイクからの反射オーディオパルスを示すデータは、近傍データであってもよい。あるいは、1つ又は複数のマイクからの反射オーディオパルスを示すデータは、近傍データになるために追加の処理を受ける。例えば、周波数応答を決定するために、1つ又は複数のマイクからの反射オーディオパルスを示すデータに対してラプラス変換が実行されてもよい。オーディオ再生デバイスの周波数応答を用いて、障害物の存在を推測することができる。例えば、高い周波数範囲で歪んだ周波数応答によって障害物の存在が示される。
【0074】
図7に戻ると、再生デバイス700は、マイク706を含む。スピーカ704は、オーディオ信号を出力する。オーディオ信号の一部は、障害物720から反射される。マイク706は、反射されたオーディオ信号の少なくとも一部を取り込み、近傍データに変換する。次いで、再生デバイス700は、反射されたオーディオ信号を示す近傍データをマイク706から受信する。
【0075】
b.再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内に障害物があることを検知
ブロック504において、再生デバイスは、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内(threshold proximity)にあることを検知する。
【0076】
閾値近傍範囲は、障害物が第1スピーカの音声出力に影響を及ぼす程に第1スピーカに十分に近いことを示す条件であってもよい。閾値近傍範囲は、スピーカの種類および/又は再生ボリュームなど、再生デバイスに関する1つ又は複数の様々な特性に基づいて確立されてもよい。閾値近傍範囲は予め決定されていてもよいし、あるいは、設定可能であってもよい。一実施形態では、閾値近傍範囲は、再生デバイスからの物理的距離を示す。
【0077】
図6に戻ると、再生デバイス600は、左壁622がスピーカ602の閾値近傍範囲内にあるかどうかを検知する。当該検知は、左壁622が近接している近傍センサ610からの近傍データの表示に基づくものであってもよい。一例では、閾値近傍範囲は、10cmに予め定められていてもよい。この場合、再生デバイスは、左壁622がスピーカ608から10cm以内にあるかどうかを検知する。再生デバイス600は同様に、右壁624がスピーカ608に近接しているかどうかを検知する。近傍センサは通常の場合、当該近傍センサから物体までの距離を測定する。したがって、別の構成例では、近傍センサからスピーカまでの距離がスピーカから障害物までの距離に近似するように、近傍センサはスピーカの近くに配置される。
図6では、このタイプの構成によるスピーカ608および近傍センサ612が示されている。
【0078】
再生デバイスは、
図2のメモリ206などのデータ記憶デバイスを含み、そこに記憶されている再生デバイスの周波数応答を示すデータを内蔵することができる。再生デバイスは、データ記憶デバイスから必要に応じて周波数応答を取り出すように構成される。
【0079】
周波数応答は、再生デバイスの理想的な周波数応答の近似値であってもよい。周波数応答は例えば、オープンスペースにおける再生デバイスの周波数応答である。あるいは、周波数応答は、製造業者によって製造される特定のタイプの再生デバイスに関する典型的な周波数応答である。
【0080】
別の実施形態では、再生デバイスは、再生デバイスの周波数応答を決定するように構成される。例えば、上述したように、再生デバイスはオーディオ信号を出力し、当該オーディオ信号を示す戻りデータを受信する。再生デバイスは、オーディオ信号を示す受信データに基づいて再生デバイスの周波数応答を決定する。決定された周波数応答は、データ記憶デバイスに記憶される。
【0081】
周波数応答の決定は、セットアップ手順の一態様であってもよい。例えば、セットアップ手順の間、再生デバイスのユーザに対して、再生デバイスが周波数応答を決定できるように再生デバイスを特定の位置に配置することが指示される。特定の位置には、再生デバイスをオーディオ出力に著しい影響を及ぼす可能性のある物体が近傍に存在しない表面に配置する場合が含まれる。このような配置によれば、オープンスペースにおける再生デバイスの周波数応答に近似させることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、再生デバイスの各スピーカは、それぞれの周波数応答を有する。一実施形態では、各スピーカの周波数応答は、データ記憶デバイスに記憶される。別の実施形態では、各スピーカの周波数応答は再生デバイスによって決定される。その他の例も可能である。
【0083】
図8は、
図7の再生デバイス700の例示的な周波数応答のプロットを示す。周波数応答802は、スピーカ704の例示的な周波数応答であり、これは、障害物が近傍にないオープンスペースに再生デバイス700が配置されたときに決定されたものである。周波数応答804は、
図7に配置されたスピーカ702の例示的な周波数応答である。
図8に示すように、周波数応答804は周波数応答802に隣接している。
【0084】
図8にさらに示されるように、周波数応答806は、
図7に配置されたスピーカ704の例示的な周波数応答である。プロットに示すように、周波数応答806は、より高い周波数で歪んでいる。この歪みは、障害物720によって引き起こされるものである。典型的には、再生デバイスのオーディオ出力に障害物が影響を及ぼす場合、高い周波数範囲は低い周波数範囲よりも障害物の影響を受けやすい。低い周波数の音は一般的に高い周波数の音よりも材料を通過して伝播しやすく、障害物の影響を受けにくいためである。
【0085】
障害物が閾値近傍範囲にあることを検知することには、周波数応答が含まれてもよい。再生デバイスは、当該再生デバイスおよび障害物(並びに場合によっては再生デバイスの近傍の他の物体)を含むシステムの周波数応答を決定する。システムの周波数応答を決定した後、再生デバイスは、当該再生デバイスの周波数応答と、システムの周波数応答との差が第1歪み閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0086】
再生デバイスの周波数応答とシステムの周波数応答との差は、異なる形態をとることができる。例えば、周波数応答の差は、システムの周波数応答とのパーセンテージ表示による差であってもよい。そのような実施形態では、第1歪み閾値は、5%などの特定のパーセンテージであってもよい。あるいは、再生デバイスの周波数応答とシステムの周波数応答との差は、絶対差であってもよい。例えば、周波数応答の差は、任意の周波数(又は周波数範囲)における再生デバイスの周波数応答とシステムの周波数応答との絶対差であってもよい。あるいは、周波数応答の差は、周波数スペクトルにわたって平均化されたトータルの歪みであってもよい。その他の例も可能である。
【0087】
いくつかの例では、例示および説明のために、再生デバイスの周波数応答に影響を与えるものとして障害物が記載されているが、再生デバイスの周波数応答が障害物によって変化しない場合があることを当業者は理解する。代わりに、障害物が導入されるとリスナの視点で知覚される周波数応答に影響を及ぼす。換言すれば、再生デバイス自体がシステムを定義するとき、障害物はそのシステムの周波数応答を変化させない。しかしながら、障害物がシステムの一部と考えられる場合、再生デバイスおよび障害物を含むシステムの周波数応答は、再生デバイスのみを含むシステムの周波数応答とは異なる。
【0088】
いくつかの実施形態では、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知することには、障害物がゲーティング条件(gating condition)を満たすことを決定することが含まれる。例えば、再生デバイスは、障害物が30秒などの時間間隔の間、再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあり、それによってゲート状態を満足することを決定する。あるいは、ゲーティング条件はユーザ入力に基づいてもよい。ゲーティング条件を用いることで、一時的な障害物によって再生デバイスの再生設定が過度に又は望まれずに調整されることを防ぐことができる。例えば、人がスピーカの前を移動し、それによって障害物として機能するとき、ゲーティング条件によれば、再生デバイスの再生設定がセッティングされる前に遅延時間を設けることができる。遅延時間の間に人がスピーカの前から離れて移動すると、もはや障害物として働かなくなる。
【0089】
c.再生デバイスの再生設定のセッティング
ブロック506において、再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあるという検知に基づいて、再生デバイスは、当該再生デバイスの再生設定をセッティングする。再生設定のセッティングには、再生デバイスのスピーカを非アクティブ化することや、再生デバイスによって再生されるオーディオコンテンツのコンポーネントを調整することなどの様々なアクションが含まれる。
【0090】
再生デバイスの再生設定をセッティングすることには、再生デバイスの第1スピーカを非アクティブ化することが含まれてもよい。このとき、再生デバイスは、第1スピーカを停止させる。あるいは、再生デバイスは、第1スピーカを非アクティブ化するコマンドを送信する。例えば、
図7を参照すると、スピーカ704は第1スピーカと見なすことができる。障害物720がスピーカ704の閾値近傍範囲内にあることの検知に基づいて、再生デバイス700はスピーカ704を停止させる。
【0091】
再生デバイスの第1スピーカは、オーディオコンテンツのコンポーネントを再生するように構成される。一実施形態では、オーディオコンテンツのコンポーネントは、特定の周波数範囲であってもよい。例えば、第1スピーカはサブウーファであってもよく、コンポーネントはオーディオコンテンツの低周波数範囲であってもよい。あるいは、第1スピーカはツイータであってもよく、コンポーネントはオーディオコンテンツの高周波数範囲であってもよい。別の実施形態では、オーディオコンテンツは、ステレオ録音などのマルチチャネルオーディオである。例えば、ステレオ録音の場合、オーディオコンテンツのコンポーネントは、ステレオ録音の右チャネルのコンポーネント又は左チャネルのコンポーネントであってもよい。
【0092】
第1スピーカを非アクティブ化した後、再生デバイスは、当該再生デバイスの第2スピーカにオーディオコンテンツのコンポーネントを再生させる。例えば、
図7を参照すると、オーディオコンテンツの特定のコンポーネントを再生するように構成されたスピーカ704を再生デバイスが非アクティブ化する場合、再生デバイスは、当該特定のコンポーネントをスピーカ702に再生させることができる。第1スピーカを非アクティブ化する条件の後に再生デバイスの第2スピーカにコンポーネントを再生させる場合、第1スピーカが実際に非アクティブ化される前に、第2スピーカがコンポーネントを演奏するという短いオーバーラップ期間を伴う場合がある。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1スピーカは第1出力方向を有し、第2スピーカは第1出力方向とは異なる第2出力方向を有する。例えば、
図6において、スピーカ602の出力方向は再生デバイス600の左側であり、スピーカ604の出力方向は再生デバイス600の前方である。このような実施形態では、オーディオコンテンツのコンポーネントを第2スピーカに再生させることには、少なくとも第2出力方向に基づいてオーディオコンテンツのコンポーネントを変更することが含まれる。例えば、再生デバイスがスピーカ604にオーディオコンテンツのコンポーネントを再生させる場合、再生デバイスは、当該コンポーネントのボリュームを増加させる。あるいは、再生デバイスは、コンポーネントの1つ又は複数の周波数成分を変更する。別の代替案では、再生デバイスは、オーディオコンテンツの異なるコンポーネントを再生する。コンポーネントを変更することにより、スピーカ602が非アクティブ化されたときに、再生デバイス600上のオーディオコンテンツの全体的な再生特性の変化を相殺するのに役立つ。
【0094】
再生デバイスの再生設定をセッティングすることには、受信された近傍データに基づいてオーディオコンテンツのコンポーネントを調節することが含まれる。例えば、再生デバイスがオーディオコンテンツをある音量レベルで再生しているとき、再生デバイスは、オーディオコンテンツのコンポーネントを特定の音量に調整する。再生デバイスは、受信された近傍データに基づいて音量の調整量を変更することができる。例えば、特定の障害物が再生デバイス(又はそのスピーカ)の比較的近くにあることを近傍データが示す場合、再生デバイスは、当該障害物が再生デバイスの比較的遠くにあることを近傍データが示す場合よりも大きい調整量で音量の変更を行う。あるいは、再生デバイスは、コンポーネントにおける1つ又は複数の周波数成分を変更する。例えば、特定の障害物が再生デバイス(又はそのスピーカ)の比較的近くにあることを近傍データが示す場合、再生デバイスは、高域と中域の両方を調整する。対照的に、障害物が再生デバイスの比較的遠くにあることを近傍データが示す場合、再生デバイスは高域を調整する。その他の選択肢も可能である。
【0095】
受信された近傍データに基づいてオーディオコンテンツのコンポーネントを調整することには、オーディオコンテンツのコンポーネントにおける1つ又は複数の周波数成分を調整することが含まれてもよい。例えば、
図8を参照すると、スピーカ704の周波数応答806は、障害物720によってより高い周波数で歪んでいる。スピーカ704によって再生されるオーディオ成分は、より高い周波数での歪みに基づいて調整されてもよい。1つ又は複数の周波数成分を調整することには、1つ又は複数の周波数成分をフィルタリングすることが含まれてもよい。例えば、スピーカ704によって再生されるオーディオの成分に低域フィルタを適用して、障害物720によって引き起こされる歪みを減少させることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、再生デバイスは、第1歪み閾値よりも高い歪みに対応する第2歪み閾値に従って動作する。そのような実施形態では、再生デバイスは、当該再生デバイスの周波数応答が障害物によって第1歪み閾値を超えて歪んでいる場合に、受信された近傍データに基づいて、第1スピーカによって再生されるオーディオコンテンツのコンポーネントを調整する。上述したように、オーディオコンテンツのコンポーネントを調整することには、音量を調整すること又は周波数成分を調整することが含まれてもよく、その他の例も可能である。
【0097】
さらに、再生デバイスの周波数応答が障害物によって第2歪み閾値を超えて歪んでいる場合、当該再生デバイスは第1スピーカを非アクティブ化することができる。このような構成では、障害物が引き起こす歪みの存在によって再生デバイスが行うアクションが、段階的になる。第1歪み閾値以上の場合、再生デバイスはオーディオコンテンツを調整する。歪みが第2歪み閾値以上まで増加した場合、再生デバイスは第1スピーカを停止させる。その他の段階的な応答の例も可能である。
【0098】
いくつかの実施形態では、再生デバイス(および第1スピーカ)は、(第2スピーカを含む)第2再生デバイスを備える再生システムの一部である。障害物が再生デバイスの第1スピーカに近接しているという検知に基づいて、再生デバイスは、少なくとも1つの追加的な再生デバイスの再生設定をセッティングする。例えば、第1スピーカを非アクティブ化した後、再生デバイスは、第1スピーカによって再生されるべきオーディオコンテンツのコンポーネントの少なくとも一部を再生させるためのメッセージを第2再生デバイスに送信する。
【0099】
再生デバイスは、
図1のメディア再生システム100などのメディア再生システムの構成要素であってもよい。メディア再生システムは、再生デバイスおよびコントローラを含むことができる。再生デバイスは、再生デバイスに近接している障害物の表示をメディア再生システムのコントローラに送信することができる。例えば、コントローラは、
図3の制御デバイス300であってもよい。いくつかの実施形態では、再生デバイスは、再生デバイスの再生設定をセッティングすることに応答して、表示(indication)を送信することができる。再生デバイスは、
図2のネットワークインタフェース214などのネットワークインタフェースを介して障害物の表示を送信することができる。
【0100】
コントローラは、コントローラのインタフェース上に障害物の表示を表示することができる。
図9は、例示的なコントローラインタフェース900を示す。
図4の例示的なコントローラインタフェース400と同様に、コントローラインタフェース900は、再生制御領域910、再生ゾーン領域920、再生状態領域930、再生キュー領域940、およびオーディオコンテンツソース領域950を含む。コントローラインタフェース900はまた、障害物表示の表現960を含む。一実施形態では、表現960が選択可能である。選択されると、コントローラインタフェース900は、障害物に関する情報を表示する。一実施形態では、障害物に関する情報には少なくとも、障害物によって影響を受ける特定のスピーカの表示が含まれる。
【0101】
コントローラは、再生設定を示す表現を表示することができる。例えば、再生設定を示す表現は、特定のスピーカが非アクティブであることを示す。コントローラはまた、ユーザが再生設定を受け入れるか又は拒否することを決定するための制御インタフェースを表示してもよい。さらに、コントローラは、ユーザが再生設定を動的に調整するように再生デバイスをセッティングすることを可能にする表示を表示することもできる。
【0102】
再生デバイスは、障害物が閾値近傍範囲にあることの検知に基づいて警告音を出力することができる。警告音は、再生デバイスのユーザが警告音を聞くことで障害物が再生デバイスの音声出力に影響している可能性があることを認識できるように構成されてもよい。例えば、警告音は1つのビープ音でも、一連のビープ音であってもよい。あるいは、警報音は、警報を知らせるように事前に録音された音声であってもよい。その他の例も可能である。障害物が再生デバイスの特定のスピーカに影響を与える場合、当該再生デバイスは、障害物によって影響を受ける特定のスピーカから警告音を出力することができる。
【0103】
d.再生設定に従って再生デバイスによりオーディオコンテンツを再生させる方法
ブロック508において、再生デバイスは、再生設定に従ってオーディオコンテンツを再生する。例えば、再生デバイスの再生設定のセッティングにおいて再生デバイスの第1スピーカを非アクティブにすることが行われた場合、再生デバイスは、第1スピーカが停止している間にオーディオコンテンツを再生する。あるいは、別の例として、再生デバイスの再生設定のセッティングにおいてオーディオコンテンツのコンポーネントの調整が行われた場合、再生デバイスは、オーディオコンテンツのコンポーネントが調整された状態でオーディオコンテンツを再生する。
【0104】
オーディオコンテンツは、他の選択肢の中でも、例示的な再生デバイスおよび/又は例示的なオーディオコンテンツソースに関連して上述した例示的なオーディオコンテンツなどの任意のオーディオコンテンツであってもよい。上述のように、オーディオコンテンツはステレオ録音などのマルチチャネルオーディオ録音であってもよい。
【0105】
IV.結論
本明細書は、様々な例示のシステム、方法、装置、および製品などを開示しており、それらは、他のコンポーネントの中で、ハードウェア上で実行されるファームウェアおよび/又はソフトウェアを含む。そのような例は、単なる例示であり、限定されるものとみなすべきではないと理解される。例えば、これらのファームウェア、ハードウェア、および/又はソフトウェアの態様又はコンポーネントのいくつか又はすべてが、専らハードウェアに、専らソフトウェアに、専らファームウェアに、又はハードウェア、ソフトウェア、および/又はファームウェアの任意の組み合わせを実施することができることが意図されている。したがって、提供されているそれらの例は、それらのシステム、方法、装置、および/又は生産物を実施する唯一の方法ではない。
【0106】
上述したように、本願は、再生デバイスに近接する障害物の検知に基づいて再生デバイスを動的に設定することを含む。一態様では、方法が提供される。当該方法は、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップを含む。当該方法は、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップを含む。当該方法は、当該検知に基づいて、再生デバイスの再生設定をセッティングするステップを含む。当該方法は、セッティングされた再生設定に従って再生デバイスによりオーディオコンテンツを再生するステップを含む。
【0107】
別の態様では、再生デバイスが提供される。再生デバイスは、第1スピーカ、第2スピーカ、プロセッサ、データストレージ、およびプログラムロジックを備える。プログラムロジックはデータストレージに記憶されたものであり、プロセッサによって実行可能である。プログラムロジックがプロセッサによって実行されると、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップ、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップが実行される。ここで、第1スピーカは、オーディオコンテンツのあるコンポーネントを再生するように構成されている。プログラムロジックは、当該検知に基づいて、(i)第1スピーカを非アクティブ化し、(ii)第2スピーカによりオーディオコンテンツの当該コンポーネントを再生するステップを実行するように実行可能である。
【0108】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読み取り可能メモリが提供される。当該非一時的コンピュータ読み取り可能メモリは、再生デバイスによって実行可能な命令を記憶しており、当該命令が実行されると再生デバイスに複数の機能を実行させる。複数の機能には、再生デバイスに近接する障害物の表示を含む近傍データを受信するステップ、再生デバイスに近接する障害物の表示に基づいて、障害物が再生デバイスの第1スピーカの閾値近傍範囲内にあることを検知するステップ、当該検知に基づいて、再生デバイスの再生設定をセッティングするステップ、セッティングされた再生設定に従って再生デバイスによりオーディオコンテンツを再生するステップ、が含まれる。
【0109】
更に、本明細書において「実施形態」は、実施形態に関連して述べられた特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを示している。本明細書の様々な場所でこの語句が用いられているが、すべてが同じ実施形態を言及するものではなく、又、他の実施形態を除いた別個の実施形態又は代替の実施形態でもない。このように、本明細書で述べられた実施形態は、明示的におよび暗黙的に、当業者によって、他の実施形態砥組み合わせることができることが理解される。
【0110】
本明細書は、例示的な環境、システム、手順、ステップ、論理ブロック、処理、および他のシンボル表現に関して広く示されており、それらは直接又は間接的にネットワークに接続されるデータ処理デバイスの動作に類似するものである。これらの処理説明および表現は、一般的に当業者によって使用され、それらの仕事の内容を他の当業者に最も効率良く伝えることができる。多くの具体的な内容が、本開示を理解するために提供されている。しかしながら、当業者にとって、本開示の特定の実施形態が特定の、具体的な詳細なしに実施され得ることは理解される。他の例では、周知の方法、手順、コンポーネント、および回路が、実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるため、詳細に説明していない。したがって、本開示の範囲は、上記した実施形態よりむしろ添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0111】
添付の特許請求の範囲のいずれかが単にソフトウェアおよび/又はファームウェアへの実装をカバーするように読み取ると、少なくとも1つの例における要素の1つ又は複数は、本明細書では、ソフトウェアおよび/又はファームウェアを記憶する有形の非一時的な記憶媒体、例えば、メモリ、DVD、CD、Blu−ray(登録商標)等を含むことが明確に定められている。