(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、上記特許文献1は、外部光源としての車両のヘッドライトの前に、光源を内蔵せずに携帯性に優れたLCDプロジェクタを配置することで、ヘッドライトを外部光源として用いる投射型表示装置を開示するものである。特許文献2は、その問題点を解決すべく、予めプロジェクタをヘッドライトの前でかつ車両の中に組み込んだ第1の状態と、プロジェクタもしくはヘッドライトを移動させてヘッドライトからの光束を直接、車両の外部に照射する第2の状態を実現し、更には、道路上に画像を表示する実施形態をも示している。
【0006】
更に、特許文献3には、車両の運転支援装置として、車線逸脱判定時に自車両の乗員に対して効果的に注意を喚起するため、車両前方の路上に、車両前方のヘッドライト部分に取り付けられた照射手段(レーザー)により、喚起を促すための情報を表示するものが知られている。
【0007】
また、特許文献4によれば、車両の先頭部分に投影手段としてのプロジェクタを取り付け、ナビゲーションシステムで探索された経路情報に基づいて、分岐方向へ誘導する経路案内画像を、投射角度の設定を伴って、車両前方の路面に投影するものも既に知られている。加えて、特許文献5によれば、ターゲットマークとトラッキングラインからなる描画パターンを、自車両の走行状態に基づいて車両前方の路面に投影することにより、自車両の走行先の認識を可能として、これに基づいて適切な運転を可能にする車両の運転支援装置も、既に、知られている。
【0008】
一方、特許文献6によれば、車両前方の路面画像を取得するための撮影手段としてカメラを車両内に設け、当該カメラからの画像によって路面の状態を推定する技術も既に知られている。
【0009】
しかしながら、上述したプロジェクタに関連する従来技術では、プロジェクタを、他から得られた自車両の走行状態等の情報を路面上に表示するために利用するものでしかなく、必ずしもプロジェクタの機能を有効に利用するものではなかった。また、上述した特許文献6を利用して車両前方の路面状態を検出する場合、特に、昼間の太陽光下では、強力な太陽光によって必要な路面画像を取得することができず、路面の状態をより正確に推定することは困難であった。
【0010】
そこで、本発明は上述した従来技術における問題点に鑑みて達成されたものであり、自車両(自動車等に代表される移動体)に取り付けたプロジェクタである映像投射装置をより有効に活用することが可能な映像投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の態様は、例えば特許請求の範囲に記載されるように構成すればよい。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、映像を投射する映像投射装置であって、車両に関する情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報に基づいて映像を投射する映像投射部と、車両の外部の映像を取得する撮像手段とを備え、更に、映像投射部は、1.4μmの波長を中心とする波長帯の光を投射し、かつ、撮像手段は、1.4μmの波長を中心とする波長帯の光に基づいて撮像された映像を撮像することにより車両に関する情報を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自車両に取り付けた映像投射部を、路面状態情報の取得や隠れた車両の検出をも含め、より有効に活用することが可能な映像投射装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながらその詳細内容について説明する。
【0015】
<映像投射装置の配置>
まず、
図1(A)および(B)には、本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載した自車両10の一例として乗用車が示されており、これらの図に示すように、当該自車両(乗用車)10の本体の前方には、左右一対のヘッドライト11が設けられている。そして
図1(A)の例では、ここではその詳細な図示はしないが、これら一対のヘッドライト11の内部には発光体であるランプが組み込まれている。また
図1(A)の例では、自車両(乗用車)10には以下に詳述する映像投射装置が左右一対となって搭載されている。そして、当該映像投射装置からの映像光は、例えば透明な窓部を介して自車両(乗用車)の前方に投射される。なお、この例では、路面等に投射される映像は自車両(乗用車)の近傍を歩行している歩行者等に対して現在あるいは、その後の進行方向を示しており、これにより安全性をより高く確保するものである。
【0016】
図1(B)には、映像投射装置を車体の先端部に1台だけ搭載した例を示しており、この場合には、映像投射装置からの映像光は例えば車体の先端部に設けられた透明な窓部12を介して自車両(乗用車)10の前方に投射されることとなる。
【0017】
続いて、
図2(A)および(B)には、本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載した上記乗用車10の後方が示されており、これらの図に示すように、車体の後方には、赤色のテールランプ13、13’が設けられている。そして、この
図2(A)の例では、やはりここではその詳細な図示はしないが、これらテールランプ13、13’の内部には発光体であるランプが組み込まれている。また、
図2(A)の例では映像投射装置が左右一対となって搭載されており、当該映像投射装置からの映像光は、例えば透明な窓部を介して自車両(乗用車)10の後方に投射される。
【0018】
また、
図2(B)は、映像投射装置を、例えば、車体の屋根付近等に搭載した例を示している。この
図2(B)の例では、上記
図1(B)と同様、車体の後端に設けられた透明な窓部を介して、映像光が自車両(乗用車)10の後方に投射されることとなる。
【0019】
なお、以上では1台または複数台(例えば一対)の映像投射装置を自車両10の前後左右に搭載する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、映像投射装置を自車両10のいずれの場所(例えば、サイドミラー部分や屋根の上や車体の側面、底面等)に搭載してもよい。また映像投射装置をヘッドライトやテールランプの内部に一体に組み込んでもよい。つまり、本発明では当該映像投射装置により所望の映像を路面等に投射することができればよい。なお、映像投射装置をヘッドライトやテールランプの内部に一体に組み込んだ場合は、ヘッドライトやテールランプの光源を投射用の光源としても用いることもできる。
【0020】
<配光制御ECUの構成>
続いて、
図3には、上述した乗用車10内に搭載された電子制御ユニット(配光制御ECU)の構成の一例が示されている。この図からも明らかなように、当該配光制御ECU40は、CPU(中央演算装置)41、記憶手段であるRAM42やROM43、更には、入出力装置(I/Oユニット)44を備えている。そして、当該配光制御ECUには、上記I/Oユニット44を介して、以下の各種情報取得部や通信部からの情報が入力され、上記のヘッドライト11の駆動や映像投射装置500の映像投射を制御している。
【0021】
なお、ここで、上記各種情報取得部からの情報としては、例えば、自車両の走行速度を示す速度信号、エンジンの状態(ON/OFF)を示す信号、ギアの位置を示すギア情報、周囲のドライバーに危険の存在を知らせるハザード信号、ハンドルの操舵角度を示すハンドル舵角信号、ターンシグナル(または、「ウィンカー」とも言う)の有無や左右どちらが点灯/点滅しているかを示すターンシグナル信号、更には、上記各種のランプの点灯/点滅状態を示すランプ点灯情報が含まれる。
【0022】
また、上記各種情報取得部からの情報としては、更に、例えば、車の外部の光を検出する外光センサーからの情報(照度信号、色度信号等)、車に取り付けられたカメラからの映像情報、自車両10の前方等、周辺を走行する車両やその他の対象物と間の距離等を検出する距離センサーからの信号、更には、夜間における車の外部の状況を検出する赤外線センサーからの信号等が含まれる。
【0023】
更に、上記通信部からの情報には、例えば、自車両10の位置を割り出すためのGPS(Global Positioning System、全地球測位網)信号、経路案内等を行うナビゲーション装置からの情報である、所謂、ナビ情報、更には他の車両との間で行われる車車間通信や道路と車の間で行われる路車間通信の情報等が含まれる。
【0024】
図4には、上述した配光制御ECU40とその周辺要素についての、更に詳細な構成が示されている。即ち、図において方向指示器センサー51、ハンドル操舵角センサー52、シフトポジションセンサー53、車速センサー54、アクセル操作センサー55、ブレーキ操作センサー56、照度センサー57、色度センサー58、エンジン始動センサー59、およびハザードランプセンサー60からの信号が、上記配光制御ECU40に入力されている。更に、カメラ61からの信号は、画像処理部62を介してECU40に入力され、GPS受信部63と地図情報出力部64からの信号は、演算部65を介してECU40に入力されている。なお、後にも詳述するが、当該カメラ61からの信号の一部の波長帯の信号は、例えば、上記の演算部65、またはECU40において所定の処理が施されることにより、自車両10が走行する路面の凹凸等を含めた路面状態情報として算出することができる。
【0025】
また、上記映像投射装置500を構成する投映器100には、上記配光制御ECU40からの制御信号と、投映信号出力部110からの信号(路面等に投射する映像信号)が制御部120を介して入力されており、これにより以下に説明する路面等への映像の投射が実行される。
【0026】
加えて、上記配光制御ECU40には、更に、ヘッドライトセンサー66、そして、ハイ/ローセンサー67からの信号が入力されている。
【0027】
<映像投射装置>
続いて、上記
図4に示した投映器100、投映信号出力部110および制御部120を含む映像投射装置500の更に詳細な構成の一例について、以下に、
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
投射光学系501は、映像を路面等へ投射する光学系で、レンズおよび/またはミラーを含む。表示素子502は、透過する光または反射する光を変調して映像を生成する素子で、例えば、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、DMD(Digital Micromirror Device:登録商標)パネル等を用いる。表示素子駆動部503は、表示素子502に対して駆動信号を送り、表示素子502に映像を発生させる。光源505は映像投射用の光を発生するもので、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED光源、レーザー光源等を用いる。電源506は、光源505に電力を供給する。更に電源506は、その他各部にそれぞれ必要な電力を供給する。照明光学系504は、光源505で発生した光を集光し、より均一化して表示素子502に照射する。冷却部515は、光源505、電源506または表示素子502など、高温状態になる各部位を空冷方式や液冷方式で必要に応じて冷却する。操作入力部507は、操作ボタンやリモコンの受光部であり、ユーザからの操作信号を入力する。
【0029】
映像信号入力部531は、外部の映像出力装置を接続して映像データを入力する。音声信号入力部533は、外部の音声出力装置を接続して音声データを入力する。音声出力部540は、音声信号入力部533に入力された音声データに基づいた音声出力を行うことが可能である。また、音声出力部540は内蔵の操作音やエラー警告音を出力してもよい。通信部532は、例えば、外部の情報処理装置と接続し、各種の制御信号を入出力する。
【0030】
不揮発性メモリ508は、プロジェクタ機能で用いる各種データを格納する。不揮発性メモリ508に格納されるデータには、路上に投射するための、予め用意した画像データや映像データなども含まれる。メモリ509は、投射する映像データや装置各部の制御パラメータ等を記憶する。制御部510は、接続される各部の動作を制御する。
【0031】
画像調整部560は、映像信号入力部531で入力した映像データや不揮発性メモリ508に格納される画像データや、映像データに対して画像処理を行うものである。当該画像処理としては、例えば、画像の拡大、縮小、変形等を行うスケーリング処理、輝度を変更するブライト調整処理、画像のコントラストカーブを変更するコントラスト調整処理、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更するレティネックス処理等がある。
【0032】
ストレージ部570は、映像、画像、音声、各種データなどを記録するものである。例えば、製品出荷時に予め映像、画像、音声、各種データなどを記録しておいてもよく、通信部532を介して外部機器や外部のサーバ等から取得した映像、画像、音声、各種データなどを記録してもよい。ストレージ部570に記録された映像、画像、各種データなどは、表示素子502と投射光学系501を介して投射映像として出力すればよい。ストレージ部570に記録された音声は音声出力部540から音声として出力すればよい。
【0033】
以上説明したように、映像投射装置500には様々な機能を載せることが可能である。しかしながら、映像投射装置500は必ずしも上述した構成の全てを有する必要はない。映像を投射する機能があればどのような構成でもよい。
【0034】
図6は像面も含めた投映器の光線図である。図において、図示しないLED等からなる光源から出射して映像表示素子を透過した映像光は、フィルター等を通過し、各種のレンズ系で屈折作用を受け、更には、構成に応じて反射作用を受けた後で、像面8(路面等)に投射される。
【0035】
このように、上述した映像投射装置500では、投射距離700mmに対して、投射像の範囲の長辺の長さが10061−542=9519≒9520mmなので、投射比は700/9520=0.07という、かつてない大幅な広角化を実現している。
【0036】
なお、上記では1台の映像投射装置500とその投射光学系について述べたが、上述したように、本発明では1台または複数台(例えば一対)の投映器を車両に搭載し(あるいはヘッドライトやテールランプに一体に組み込み)、所望の映像を路面等に投射するものであってもよい。その際、特に上記
図1(A)や
図2(A)に示すように、複数台(例えば一対)の映像投射装置500による場合には、各映像投射装置500から同一の映像を路面等に投射してもよく(その場合、
図5の表示素子502には同じ映像が表示される)、または左右の映像投射装置500から異なる映像を投射して路面等で合成してもよい(その場合、
図5の表示素子502には、所望の映像を左右に分割した映像が表示される)。
【0037】
また、上記では、路面等に映像を投射する映像投射装置500として、透過型の液晶映像表示素子を使用した構成について説明したが、本発明ではこれに限定されることなく、当該映像投射装置500としては、その他、例えばDLP(デジタルライトプロセッシング)装置などのマイクロミラーからなる反射型の映像投射装置500、光変調可能な面状の発光ダイオードからの映像光を投射光学系を介して投射することの可能な映像投射装置500など、各種の映像投射装置500を使用することも可能である。即ち、本発明では当該映像投射装置500により、所望の映像を路面等に投射することが可能となればよい。
【0038】
なお、ここで、本発明では、上記のその詳細を説明した映像投射装置500を、従来技術のように、各種のセンサーや装置から得られた自車両10の走行状態等の情報を路面上に表示するために利用するだけではなく、更には、自車両10の進行方向の路面表面の凹凸を含めた状態である路面状態情報をより正確に求め、更には、自車両10の近傍に存在するが死角に隠れた他の車両をも検出することを可能にするために利用する。
【0039】
<路面状態情報の取得>
以下には、上記映像投射装置500を、路面状態情報をより正確に入手するための構成及びその機能について説明するが、それに先立ち、まず、その原理について説明する。
【0040】
図7には、太陽光のスペクトル強度のグラフを示しており、破線により大気圏外でのスペクトル強度を、実線により大気圏内でのスペクトル強度(太陽高度42°)を示している。このグラフからも明らかなように、破線で示す大気圏外での太陽光は、その一部の波長成分がオゾン層や大気中のH2O成分などにより吸収されるため、実線で示す「AM1.5」と呼ばれる地上でのスペクトル強度は、その一部のスペクトル成分が低下、または除去されている。特に、近赤外領域の1.4μmの波長を中心とする波長帯での強度はほぼ零(0)となっている。即ち、自車両10が走行する地上では、太陽光には1.4μmの波長の成分は含まれていない。
【0041】
そこで、本発明者らの種々の検討の結果、当該1.4μmの波長を中心とする波長帯の光(以下、単に「1.4μm波長光」とも言う)を利用することによれば、太陽光による影響を受けないことが分かった。そこで、本発明では、上記の本発明者らによる知見に基づき、当該1.4μmの波長を中心とする波長帯の近赤外光を利用することにより、太陽光に影響されることなく、安定して路面状態情報を求めることが可能な技術を提案する。
【0042】
具体的には、
図8(A)にも示すように、自車両10の前方に取り付けられた映像投射装置500により、自車両の走行状態やその他の種々の情報を路面上に表示すると共に、上述した1.4μm波長光201を含む映像光200を路面上に投射する。なお、その場合には、例えば、1.4μm波長光を複数の矩形からなる格子(メッシュ)状に形成した光映像(以下、「センシング用投映像」とも言う)202を投射することが好ましい。
【0043】
一方、自車両10に取り付けられたカメラ61は、上記1.4μm波長光201の路面上での反射光をも含めて受光して、走行路面を含む映像信号を生成する。この時、演算部65、またはECU40において、上記1.4μm波長光に基づいた画像処理を行うことによれば、太陽光による影響を受けることなく、自車両10の進行方向の路面表面の凹凸を含めた状態である路面状態情報をより正確に求めることが可能となる。
【0044】
その際、上述した「センシング用投映像」202を含めた映像光200を投射することによれば、
図8(B)に示すように、凹凸を含む路面上の形状によって変形される格子(メッシュ)状の光映像をカメラ61で捉えることによって、容易に、路面上の凹凸形状を推定することが可能となる。なお、投映する格子状の光映像は自車両10から遠くなるほど、格子間隔が広くなるような映像にすることで、斜撮像による撮像デバイスの分解能低下を防ぐことが可能となる。
【0045】
なお、上述したようにして取得された路面状態情報は、映像投射装置500によって路面上に凹凸があることを警告する映像の表示を、行ってもよく、または、車内のスピーカを通じて音声により運転者に伝達されてもよい。または、上記
図4に示したECU40を介して、自車両10のブレーキやアクティブサスペンションの制御に利用することも可能である。更には、
図3に示す通信部の車車間通信機能によって、他の車両に伝達することも可能である。
【0046】
また、特に、映像投射装置500が映像によって各種の情報を路面上に投射する場合、上記の路面状態情報を利用することによれば、
図9にも示すように、映像の投影面となる路面の状態を補償した映像を表示することができることから、路面の状態に依存することのない良好な表示が可能となる。
【0047】
ここで、上述した1.4μm波長光を投射する場合には、上記した
図5に示した映像投射装置500内において、光源(
図5の符号505を参照)が1.4μmの近赤外線をも含めて出射可能な構成(例えば、赤外線レーザーを含む)であれば、当該光源からの光を液晶パネル等(表示素子502を参照)によって投映光に変調する際に、液晶パネル上に当該1.4μm波長光を透過することが可能となるフィルターを挿入すればよく、また、「センシング用投映像」を投射する場合には、当該1.4μm波長光にて格子(メッシュ)状の映像を液晶パネル上に合成して表示すればよい。なお、1.4μm波長光にて格子状の映像を液晶パネル上に表示して投射する場合には、同時、もしくはシーケンシャルに投射する他の映像(車両の運転情報等)などに及ぼす悪影響の可能性を考慮に入れ、例えば、人間の視覚では検知不可能な程度の短い期間で、間欠的に表示することが好ましい。
【0048】
または、上記に替え、
図10にも示すように、別途、半導体赤外線レーザー等の光源210によって、上述した1.4μm波長光201、または、センシング用投映像202を発生し、その光を、一例として、光合成プリズム等の合成手段220によって、映像投射装置500から投射される映像光200に合成すればよいことは当業者であれば明らかである。なお、その場合にも、特に、1.4μm波長光を発生する場合には、投射する他の映像(車両の運転情報等)などに及ぼす悪影響を考慮し、例えば、人間の視覚では検知不可能な程度の短い期間で、間欠的に表示することが好ましい。
【0049】
<死角に隠れた車両の検出>
続いて、上記映像投射装置500を、自車両10の近傍に存在するが死角に隠れた他の車両を検出することを可能にする例について、以下に説明する。
【0050】
図11には、一例として、交差点において自車両10と他車両10’が停止している場合を示しており、なお、この例では、当該交差点の中央には、例えば円盤状の金属からなる反射体300が、路面に埋め込まれて設置されている。そして、ここでは、交差点の周囲の建築物により他車両10’が隠され、即ち、自車両10の死角となる位置で停止している。
【0051】
ここで、上記映像投射装置500により、上述した1.4μm波長光200を含む映像光を自車両10の前方に投射することによれば、当該1.4μm波長光200は扇状に広がり、交差点中央の反射体300上に当たる。このことにより、当該1.4μm波長光200は、上記反射体300上で反射し、当該反射体300を中心として伝搬する。その後、死角で停止している他車両10’に達してそこで反射し、再び、上述した経路に沿って伝搬して自車両10に戻る。
【0052】
そこで、上述したカメラ61(上記
図4を参照)などの検出手段により1.4μm波長光200の反射光を検出することによれば、死角に隠れた他車両10’を検出することが可能となる。なお、本例では、1.4μm波長光200の反射体300を交差点の中央に設置した例について述べたが、その他、反射体300は円盤以外の形状でもよく、また、その場所については、交差点の角に設置してもよい。また、1.4μm波長光の投射は、上述したように、短い期間で、間欠的に表示することが好ましいであろう。
【0053】
以上には、1.4μm波長光を発生する映像投射装置500を、自車両10の走行方向である前方に設置した例について詳細に述べたが、しかしながら、本発明はこれに限定されることなく、かかる映像投射装置500を自車両10の後方に設けることも可能である。
【0054】
なお、以上には本発明の種々の実施例を説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、またある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0055】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。