(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誘導面には、前記貯溜室の奥側から前記絞り流路の入口に向かう第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の整流溝部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の吐水装置から吐き出される吐水流は、その形状が乱れ易いことが知られる。本発明者は、その形状の乱れを抑えるうえで、従来の吐水装置の構造について、さらなる改善の余地があると認識するに至った。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、吐水流の形状の乱れを抑えられる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の吐水装置は、吐出通路が内部に形成される吐水部材を備え、吐出通路は、水を吐き出すための吐出口と、上流側から流入する水を溜めるための貯溜室と、貯溜室内の水を吐出口に送り出すための絞り流路とにより形成され、貯溜室の
下流側には該貯溜室の一部を画定する誘導面が設けられ、誘導面は、貯溜室の奥側から絞り流路の入口に向かうにつれて、吐出通路の対向する壁面同士の間隔を連続的に狭めるように設けられる。
この態様によると、貯溜室内から絞り流路の入口に向かう水流は、誘導面に沿ってスムーズに流れることができ、その乱れの発生を抑えられ、吐水流の形状の乱れを抑えられる。
【0007】
誘導面には、貯溜室の奥側から絞り流路の入口に向かう第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の整流溝部が形成されてもよい。
この態様によると、誘導面の下流側において、流量が大きい領域と流量が小さい領域とが第2方向に交互に設けられ、流量分布の偏りを定常的に生じさせることができる。これら領域を流れる水流は、さらに下流側に向かう途中に流量が均され、その流量の均一化により第2方向での流速分布が均一化するように整流される。この結果、吐出口から吐き出される吐水流の形状の乱れをより抑え易くなる。
【0008】
吐出通路の対向する壁面の一方には、貯溜室内に上流側から水を送り込む流入口が形成され、その対向する壁面の他方には誘導面及び整流溝部が設けられてもよい。
この態様によると、流入口の近傍から絞り流路の入口に向けて、貯溜室の一方の壁面ではなく他方の壁面に沿うような水流が支配的に流れる。この貯溜室内を支配的に流れる水流を、貯溜室の他方の壁面の整流溝部により効果的に整流できるため、吐出口から吐き出される吐水流の形状の乱れをより一層抑え易くなる。
【0009】
誘導面は、吐出通路の対向する壁面の両方に設けられてもよい。
この態様によると、貯溜室の容積を大きくし易くなる。よって、貯溜室内の水の水圧を低くして、その流速も低くし易くでき、貯溜室内での流速が均一となるように効果的に整流できる。
【0010】
吐出口は横長なスリット状に形成され、吐出通路は吐出口の延びる方向に横長に形成されてもよい。
【0011】
また、本発明の別の態様は浴槽装置に関する。浴槽装置は、前述の態様の吐水装置と、吐水装置が設置される浴槽を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吐水流の形状の乱れを抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本実施形態に係る吐水装置10の使用状態を示す斜視図である。
吐水装置10は浴槽装置200に用いられる。浴槽装置200は、吐水装置10の他に、浴槽210を備える。浴槽210のリム部215には設置面217が設けられる。吐水装置10は、設置面217に設置される装置本体11を備える。装置本体11は横長扁平に形成され、膜状の横長な吐水流Wが吐出口13から前方に吐き出される。
【0015】
図2は吐水装置10に用いられる給水系220を示す構成図である。
給水系220は、吐水装置10の上流側に設けられる給水ポンプ221を備える。吐水装置10は、装置本体11の他に、導水部15を備える。給水ポンプ221は、導水部15に吐出側導管223を介して接続され、給水源となる浴槽210に吸引側導管225を介して接続される。給水ポンプ221は、その駆動により、吸引側導管225を通して浴槽210内の浴槽水211を吸引し、吐出側導管223を通して導水部15に水を圧送する。吐水装置10は導水部15に水が圧送されると装置本体11から吐水流Wを吐き出す。
【0016】
図3は吐水装置10の正面図である。
装置本体11の前部には、横長なスリット状の吐出口13が設けられる。導水部15は、吐出口13の横幅方向に間隔を空けて装置本体11から下方に突き出るように複数設けられる。なお、以下の説明では、吐出口13の横幅方向を方向X、これに直交する水平方向を前後方向Y、鉛直方向を上下方向Zという。方向Xは後述する吐出通路33の横幅方向とも一致する。
【0017】
図4は吐水装置10の側面断面図である。本図は
図3のA−A線断面図でもある。
導水部15は、設置面217に形成される貫通孔229に挿通される。導水部15には下流側に給水するための導水路17が内部に形成され、その先端部には吐出側導管223が接続される。導水部15の設置面217と反対側に突き出た部位にはナット等の固定部材231がねじ込み等により取り付けられる。装置本体11は、固定部材231との間で浴槽210を挟み込むことにより浴槽210に固定される。なお、固定部材231と浴槽210の間にはOリング等のシールリング233が介装される。
【0018】
装置本体11は、吐水部材19と、外装カバー21を備え、これらを組み付けて構成される。吐水部材19は、吐出口13が前部に形成される通路部23と、通路部23上に設けられる天面部25と、通路部23の前部上面に設けられる照明取付部27と、を有する。天面部25の上面は、外装カバー21の上面と面一になるように設けられ、これらにより装置本体11の上面が構成される。天面部25と通路部23の間には中空空間29が設けられる。照明取付部27には照明装置31が取り付けられる。照明装置31は所定の波長の有色光や白色光を前方に投光する。これは吐水流Wや入浴者等に投光され、良好な視覚効果が得られる。
【0019】
外装カバー21は吐水部材19の前部に脱着可能に取り付けられる。外装カバー21は、照明装置31を上方から覆うとともに、吐水部材19の横幅方向X両端部19a(
図3参照)を前方から覆うように設けられる。
【0020】
通路部23は、その内部に吐出口13を含む吐出通路33が形成される。吐出通路33は、上流側の導水路17と下流側の外部空間235を連通する。吐出通路33は、吐出口13の延びる方向に横長な形状を有し、吐出口13と、後述する貯溜室37と、絞り流路39とにより形成される。
【0021】
吐出通路33の下壁面71には、貯溜室37内に水を送り込む流入口35が複数形成される。貯溜室37には上流側となる導水路17から流入口35を通して水が流入し、その水が貯溜水として一時的に溜められる。貯溜室37は、吐出通路33の上下に対向する一対の下壁面71と上壁面73が、絞り流路39の入口39aより、互いに離れる方向に広がるように形成される。なお、これら下壁面71と上壁面73は、吐出通路33の横幅方向Xと直交する方向に対向する。
【0022】
絞り流路39は貯溜室37の下流側に設けられ、貯溜室37と吐出口13を連通する。絞り流路39は、一対の下壁面71と上壁面73との間隔である通路高さが貯溜室37より小さくなるように形成される。絞り流路39は、その入口39aから吐出口13までの範囲にかけて、略一定の通路高さに形成される。貯溜室37内の貯溜水は絞り流路39を通して吐出口13に送り出される。貯溜水は絞り流路39を通るときに絞られることで流速が高まり、吐出口13から勢いよく吐水流Wが吐き出される。
【0023】
図5は吐出通路33を示す平面図である。本図は後述の下側分割部材51の平面図でもある。
吐出通路33の横幅方向X、前後方向Yの寸法を通路幅、奥行寸法とすると、吐出通路33は、平面視において、通路幅より奥行寸法が小さくなるように形成される。また、吐出通路33は、その横断面(図示しない)が通路高さより通路幅が大きくなるように横長に形成される。吐出通路33の横幅方向X両側の側壁面33aは、貯溜室37の奥側から吐出口13側に近づくにつれて、吐出通路33の通路幅が広がるように形成される。
【0024】
通路部23は、
図4、
図5に示すように、下壁部41と、上壁部43と、一対の横壁部45と、奥壁部47とを有し、これらの内壁面により吐出通路33が画定される。下壁部41及び上壁部43は吐出通路33の上下方向Z両側に設けられる。一対の横壁部45は、吐出通路33の横幅方向X両側に設けられる。奥壁部47は、吐出通路33の吐出口13とは反対側の奥側に設けられる。一対の横壁部45及び奥壁部47は、吐出通路33の横幅方向X両側と奥側との三方から吐出通路33を囲む周壁部49として設けられる。
【0025】
図6は吐水装置10の分解斜視図である。
吐水部材19は、第1分割部材としての下側分割部材51と、第2分割部材としての上側分割部材53をねじ等の固定具(図示せず)により組み付けて構成される。各分割部材51、53は樹脂成形品であり、吐水部材19の周壁部49を境界として上下に分割した形状を有する。
【0026】
図7は吐出通路33を拡大して示す側面断面図である。
貯溜室37の
下流側には貯溜室37の一部を画定する誘導面81が設けられる。誘導面81は、吐出通路33の対向する下壁面71と上壁面73の両方に設けられる。誘導面81は、貯溜室37の奥側から絞り流路39の入口39aに向かうにつれて、貯溜室37の対向する壁面71、73同士の間隔(以下、壁面間隔という)を連続的に狭めるように設けられる。下壁面71の誘導面81は、流入口35より
下流側である前方にずれた位置83から、絞り流路39の入口39aにかけて設けられる。上壁面73の誘導面81も、流入口35より前方にずれた位置85から、絞り流路39の入口39aにかけて設けられる。各誘導面81は、その表面に沿って水流が剥離することなくスムーズに流れるように、段差のない直線状に形成されるが、円弧状に形成されてもよい。
【0027】
絞り流路39は、その内部を流れる水流の流れ方向P1に沿った縦断面視において、下壁面71と上壁面73の中心を通る中心線L1が、上流側から下流側に向かうにつれて、僅かに上向きに傾斜するように形成される。これにより、吐出口13から前方上側に向けて吐水流Wを吐き出し可能となる。
【0028】
なお、吐出通路33の下壁面71は、吐出口13から流入口35にかけての範囲において、流入口35側に向けて下り勾配となるように形成される。これにより、下壁面71上の水が流入口35まで流下し易くなり、下壁面71上に水が残るのを抑えられる。
【0029】
図8は上側分割部材53の底面図を示す。
上壁面73の誘導面81には複数の整流溝部87が形成される。各整流溝部87は、貯溜室37の奥側(
図8中上側)から絞り流路39の入口39aに向かう第1方向としての前後方向Yに延びるように形成される。また、各整流溝部87は、その前後方向Yと直交する第2方向としての横幅方向Xに並ぶように略等間隔を空けて形成される。
【0030】
図9は
図8のB−B線断面を含む吐水部材19の側面断面図を示す。
整流溝部87は、誘導面81の奥端部81aから絞り流路39の入口39aにかけての範囲の途中位置に形成される。整流溝部87は、その溝底面87aが円弧状に形成される。より詳細には、整流溝部87の上流側部分89は、絞り流路39の入口39a側に向かうにつれて、連続的に溝深さが深くなるように形成される。また、整流溝部87の下流側部分91は、絞り流路39の入口39a側に向かうにつれて、連続的に溝深さが浅くなるように形成される。また、整流溝部87の溝側面87bは、前後方向Yに沿うように平面状に形成される。
【0031】
以上の実施形態に係る吐水装置10の動作を説明する。
吐水部材19では、
図4に示すように、予め定められた流量の水が給水ポンプ221(
図2参照)から圧送され、その水が導水路17を通して流入口35から貯溜室37内に流入し、貯溜室37内に一時的に貯溜水として溜められる。貯溜室37内に貯溜水が溜められた状態で流入口35から水が送り込まれることにより、貯溜室37内の貯溜水が加圧され、その水圧により絞り流路39を通して貯溜水が吐出口13に送り出され、吐出口13から吐水流Wが吐き出される。
【0032】
ここで、上流側である流入口35から流入する水は、流入口35から絞り流路39の入口39aに向けて広がるように流れる。この水流は、貯溜室37を通るときに、吐出通路33の通路高さを一定にする場合より流速が大きく低下し、流入口35から絞り流路39の入口39aに到達するまでの間に、吐出通路33の横幅方向Xで流速が均一となるように効果的に整流される。
【0033】
以上の吐水装置10の作用効果を説明する。
吐出通路33内に供給される水流は、流入口35から流入したときの急激な流路断面の変化により乱れが生じ易い。また、横長な吐水流Wを勢いよく吐き出すうえで、吐出通路33は、その通路幅が広く、かつ、その通路高さが低い断面形状となる。よって、その内部を流れる水流も横長で薄い形状となり、吐出通路33内での乱流や異物の引っかかり等の影響を受け易くなる。また、流入口35から吐出口13までの距離は吐出口13の横幅方向位置により変化し、吐出口13の横幅寸法、つまり、吐水流Wの横幅寸法が大きくなるほど、その最小距離と最大距離との差が大きくなり易い。以上の要因から、吐出口13から吐き出される吐水流Wは、かりに、吐出通路33に貯溜室37がない場合、吐出口13の横幅方向Xで流速がばらつき易くなり、その形状が乱れ易くなる。
【0034】
この点、本実施形態に係る吐水部材19は、吐出通路33に貯溜室37が形成されるため、吐出通路33内の水流の流速が貯溜室37を通るときに低下し、貯溜室37内で横幅方向Xでの流速が均一となるように効果的に整流できる。よって、吐出口13から吐き出される吐水流Wは、その横幅方向Xで流速を均一にし易くなり、その形状の乱れを抑えることにより、美観に優れた吐水流Wにすることが可能となる。また、美観に優れた吐水流Wを入浴者の肩にかける等することにより、更なるリラックス効果を得られる。
【0035】
図10は関連技術に係る吐水部材319を示す側面断面図である。
この吐水部材319は、誘導面81以外は本実施形態と構造が共通する。本図では、本実施形態に係る吐水部材19と対応する構成要素には符号に300を加算して示し、その説明を省略する。
【0036】
吐出通路333の上壁面373と下壁面371の両方には、貯溜室337の
下流側に誘導面81ではなく段部382が形成される。これら壁面373、371は、貯溜室337の奥側から絞り流路339の入口339aに向かうにつれて、それらの壁面間隔を段階的に狭めるように形成されることになる。
【0037】
関連技術に係る吐水部材319では、流入口335から貯溜室337内に流入する水が絞り流路339の入口339aに向けて流れるとき、貯溜室337の段部382により流れが妨げられる。この結果、その段部382付近の領域S1にて水流の滞留が発生し易くなり、その滞留により水流の乱れや圧力損失が発生する恐れがある。
【0038】
一方、本実施形態に係る吐水部材19では、貯溜室37の奥側から絞り流路39の入口39aに向かうにつれて壁面間隔を連続的に狭めるような誘導面81が形成される。よって、貯溜室37内から絞り流路39の入口39aに向かう水流は、その近傍で流れが妨げられず、誘導面81に沿ってスムーズに流れることができ、乱れや圧力損失の発生を抑えられる。この結果、吐出通路33内での水流の乱れを抑えられるため、吐水流Wの形状の乱れを抑えられる。また、吐出通路33内での水流の圧力損失を抑えられるため、給水ポンプ221の動力が少なくとも吐水流Wを勢いよく吐き出し可能となり、吐水流Wの飛距離を大きくできる。また、吐出通路33内での滞留の発生を抑えられるため、水流に混入する異物が滞留により吐出通路33の壁面に付着し難くなり、異物の付着を抑えられる。
【0039】
また、誘導面81には、複数の整流溝部87が形成されるため、以下の利点がある。
図11は、吐出通路33内を流れる水流を模式的に示す図である。本図では水流の流れる方向を矢印で示す。誘導面81に沿って流れる水流は、その一部が整流溝部87内を前後方向Yに流れ、残りが整流溝部87の間を流れる。
【0040】
整流溝部87内を流れる水流は、
図9に示すように、絞り流路39の入口39aに近づくにつれて整流溝部87から方向Q1に押し出され、整流溝部87の下流側部分91から外側に流出する。そして、整流溝部87の下流側部分91の近傍にある領域R1(以下、第1領域R1という)において、整流溝部87外を流れる水流と合流する。
【0041】
ここで、
図11に示すように、横幅方向Yに隣り合う第1領域R1の間の第2領域R2には整流溝部87の間を通る水流が流れる。第1領域R1では、整流溝部87の内外を流れる水流が合流しているため、第2領域R2より流量が大きくなる。よって、誘導面81の下流側では、流量が大きい第1領域R1と、流量が小さい第2領域R2とが横幅方向Yに交互に設けられる。つまり、複数の整流溝部87を設けることにより、誘導面81の下流側に流量分布の偏りを定常的に生じさせることができる。この第1領域R1と第2領域R2を流れる水流は、さらに下流側に向かう途中に流量が均され、その流量の均一化により横幅方向Xでの流速分布が均一化するように整流される。この結果、吐出口13から吐き出される吐水流Wの形状の乱れをより抑え易くなる。
【0042】
特に、本実施形態では、吐出通路33の対向する一対の下壁面71、上壁面73のうち、下壁面71に流入口35が形成され、上壁面73に誘導面81及び整流溝部87が設けられるため、以下の利点がある。流入口35から流入した水流は吐出通路33の上壁面73に突き当たり、そこから拡散して貯溜室37内に広がるように流れる。よって、流入口35の近傍から絞り流路39の入口39aに向けて、吐出通路33の下壁面71ではなく上壁面73に沿うような水流が支配的に流れる。この吐出通路33内を支配的に流れる水流を、吐出通路33の上壁面73の整流溝部87により効果的に整流できるため、吐出口13から吐き出される吐水流Wの形状の乱れをより一層抑え易くなる。
【0043】
また、吐水部材19の成形過程において、冷却時の素材収縮により誘導面81にヒケが発生してしまうと、誘導面81に沿って流れる水流の形状が乱れかねない。この点、本実施形態では、誘導面81に複数の整流溝部87が形成されることにより、誘導面81を含む部位にいわゆる肉盗みが設けられることになる。よって、その誘導面81でのヒケの発生を抑え易くなり、誘導面81に沿った水流の乱れを抑え、吐出口13から吐き出される吐水流Wの形状の乱れをより抑え易くなる。
【0044】
また、誘導面81は、上壁面73と下壁面71の両方に形成されるため、絞り流路39の入口39aよりも、これらが離れる方向の両側に広がるように貯溜室37が形成されることになる。よって、貯溜室37が、一対の壁面71、73の一方のみが離れる方向に広がるように形成される場合よりも、その容積を大きくし易くなる。この結果、貯溜室37内の貯溜水の水圧を低くして、その流速も低くし易くなり、貯溜室37内で横幅方向Xでの流速が均一となるようにより効果的に整流できる。
【0045】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0046】
吐水装置10は、その設置対象となる基体が浴槽210である例を説明したが、基体の具体的構成はこれに限られない。吐水装置10は、この他にも洗面所の洗面台や、キッチンの流し台等を基体として設置されてもよい。いずれの場合でも、基体に設置面217を設け、その設置面217に吐水装置10を設置してもよい。
【0047】
吐出口13は横長なスリット状に形成され、吐出通路33は吐出口13の延びる方向に横長に形成された。これらの形状はこれに限られず、たとえば、円形状等に形成されてもよい。
【0048】
上側分割部材53と下側分割部材51は樹脂成形品である例を説明したが、他の金属鋳造品等でもよい。上側分割部材53と下側分割部材51は、吐水部材19を上下に分割した形状を有する第1分割部材、第2分割部材として説明した。これらは、この他にも、横幅方向Xに分割した形状を有していてもよい。また、吐水部材19は、複数の分割部材により構成されずに、一体成形品により構成されてもよい。
【0049】
下側分割部材51と上側分割部材53は固定具により脱着可能に組み付けられたが、これに限られず、スナップフィット等により組み付けられてもよい。流入口35は吐出通路33の下壁面71に形成されたが、吐出通路33の壁面に形成されていればよく、上壁面73、奥壁面または側壁面に形成されてもよい。
【0050】
誘導面81は、吐出通路33の対向する上壁面73と下壁面71の両方に形成される例を説明したが、対向する壁面の少なくとも一方に形成されていればよい。また、整流溝部87は、上壁面73に形成される例を説明したが、下壁面71に形成されてもよい。ただし、上述のように吐出通路33内を支配的に流れる水流を整流する観点からは、対向する壁面71、73の一方に流入口35が形成され、他方に誘導面81及び整流溝部87が設けられるとよい。