(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567892
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】回転軸センサ読み取り装置
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20190819BHJP
H02J 50/00 20160101ALI20190819BHJP
【FI】
G08C19/00 C
H02J50/00
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-126139(P2015-126139)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-10338(P2017-10338A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輔
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 孝芳
【審査官】
菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−212485(JP,A)
【文献】
特開平3−27500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 17/00−17/06
G08C 19/00−19/48
H02J 50/00−50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナパターンを備え、回転軸に対して固定された軸固定基板と、
前記軸固定基板に接続され、前記回転軸に設置されるセンサ測定部と、
前記軸固定基板に対向する位置に配置され、前記回転軸の外部に対して固定されたアンテナパターンを有する外部固定基板と、を備える回転軸センサ読み取り装置であって、
複数の電子部品とアンテナパターンが、前記軸固定基板の同一平面上に設けられ、
前記軸固定基板のアンテナパターンと外部固定基板のアンテナパターンはその重なる面積が回転時に一定となるように配置され、
前記アンテナパターンを介して、前記軸固定基板から前記外部固定基板に前記センサ測定部で測定したセンサデータを伝送することを特徴とする回転軸センサ読み取り装置。
【請求項2】
前記軸固定基板は、回転軸を囲むように固定され、
前記軸固定基板のアンテナパターンは、回転軸の中心に対し点対称に配置されることを特徴とする請求項1に記載の回転軸センサ読み取り装置。
【請求項3】
前記アンテナパターンを介して、前記外部固定基板から前記軸固定基板に電力を伝送することを特徴とする請求項1に記載の回転軸センサ読み取り装置。
【請求項4】
前記軸固定基板には、電子部品が複数個配置され、
当該電子部品は回転軸の中心に対し点対称に配置されることを特徴とする請求項2に記載の回転軸センサ読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸に設置されたセンサからのデータを読み取る回転軸センサ読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2008−249046号公報(特許文献1)がある。この公報には、回転側と固定側の間で電力供給を非接触で行うことができて、回転停止時にも電力供給でき、回転側へ供給した電力は、センサ類等の種々の電源として利用できる電力伝送装置付車輪用軸受が記載されている(要約参照)。また、特開平10−124787号公報がある。この公報にはスリップリング機構におけるノイズを小さくして、回転体の状態検出信号を正確、確実に得ることが記載されている。(要約参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249046号公報
【特許文献2】特開平10−124787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、センサ類等の種々の電源として利用できる電力伝送装置付車輪用軸受が記載されている。しかし、特許文献1の方法では、回転軸に直接センサを取り付けずに、遠隔測定する為、高い精度が求められないという課題がある。また、特許文献2では、低速域での状態検出を十分に行うことができる回転体の状態検出装置が記載されている。しかし、特許文献2ではロータによって重心が変化するため、高速回転による振動が発生し、安定しない。またスリップリンググ機構により、少なからず電磁ノイズにも影響されてしまい、安定した測定ができなくなる場合がある。
【0005】
そこで本発明は、電磁ノイズに強く、高速回転を行っても安定したセンサの読み取りを可能とし、また、安定した電力伝送を行うことができる回転軸センサ読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、アンテナパターンを備え、回転軸に対して固定された軸固定基板と、前記軸固定基板に接続され、前記回転軸に設置されるセンサ測定部と、前記軸固定基板に対向する位置に配置され、前記回転軸の外部に対して固定されたアンテナパターンを有する外部固定基板と、を備える回転軸センサ読み取り装置であって、前記アンテナパターンを介して、前記軸固定基板から前記外部固定基板に前記センサ測定部で測定したセンサデータを伝送する構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノイズに影響されず、安定したデータ転送又は電力伝送が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】回転軸センサ読み取り装置の構成概略図である。
【
図2】軸固定基板と外部固定基板のアンテナループにおける発生電流図である。
【
図3】軸固定基板と外部固定基板の間で重なるコイルの面積図である。
【
図4】固定側と回転側の電力伝送及びデータ伝送の説明図である。
【
図5】軸固定基板における回転によって生じる遠心力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。本実施例では、外部固定された基板と、電動機等により回転される軸に垂直な中央に穴が開いた円形の基板とを並行に取り付け、当該基板2枚に定められたアンテナパターンと定められた配置場所に各種部品を配置することで、安定した電力伝送とデータ転送を可能とする方法の例を説明する。
【0010】
図1は、本発明において回転軸センサ読み取り装置の構成概略図である。
回転軸センサ読み取り装置は回転軸101、軸固定基板103、外部固定基板104、回転軸101に取り付けられたセンサ測定部105で構成され、回転軸101には垂直な中央に穴が空いた円形の基板である軸固定基板103が取り付けられ、同様に、垂直な中央に穴が空いた円形の基板である前記外部固定基板104がそれぞれ取り付けられている。
【0011】
軸固定基板103は、回転軸101に対して固定されているため、センサ測定部105とともに回転軸と一体となって回転する。外部固定基板104は、回転軸101との間には隙間があり、回転軸101の外部に固定されているため回転はしない。外部に対する固定方法は軸固定基板103との位置関係を平行に保つことができる限り限定されない。
【0012】
取付られたセンサ測定部105の例としては、ひずみゲージ、温度計、断線検知ワイヤ等が考えられる。これにより、トルク、軸力、ひずみ、温度、破断有無等のデータの取得が可能となる。
【0013】
軸固定基板103には、軸に垂直なドーナツ状の基板に対し、図のようにアンテナパターン121を配置し、点対称に同様のアンテナパターン121を配置する、また図のように定められた場所に各種電子部品122を点対称となるよう配置する。
【0014】
外部固定基板104には、図のように前記アンテナパターン121を半円のドーナツ状に配置し、図のように定められた場所に各種電子部品122を配置することで、センサ測定部105で得られた測定データを、軸固定基板103に実装された電子部品にて受信し、そのデータを前記回転軸基板103のアンテナから軸固定基板のアンテナに無線で送信され、受信したデータを前記軸固定基板の電子部品に記録する。あるいは、電子部品を経由して外部へデータを伝送してもよい。
【0015】
図2は
図1の回転軸101が回転した時、各基板のアンテナパターンにて発生された電流の流れを表した図である。軸固定基板103と外部固定基板104に対し、
図1のようにアンテナパターンを配置することで、磁力線は電流ループの中に生成される。また磁力線はそれを取り囲むループに電流を生じさせる為、軸中の磁力線によりアンテナに電流を生じさせることはなく、軸中の磁力線の影響を受けずに安定したデータ転送が可能となる。
【0016】
図3は、回転時における軸固定基板103のアンテナ部分のコイルの面積と、外部固定基板104のアンテナ部分のコイル間の回転角度による面積の重なりを表した図である。図のように配置した場合は、軸固定基板のコイル面積301と、外部固定基板コイル面積302は、回転角度によらず、一定の面積でコイルが重なる為、貫く磁力線の数が変化せず、安定した測定データ及び電力伝送を行なうことが出来る。
【0017】
図4は、固定側と回転側の電力伝送及びデータ伝送を説明する図である。外部固定基板には電源から電力が供給されており、外部固定基板104は当該電力を電磁誘導により軸固定基板103へ伝送を行う。軸固定基板では伝送された電力によりセンサ測定部からセンサデータを取得し、外部固定基板104へセンサ値を返す。これにより、軸固定基板が高速回転を行っている場合においても、電力及びデータの伝送を行うことができる。
【0018】
図5は軸固定基板103にかかる回転時の遠心力の方向を表した図である。軸固定基板103における電子部品122の配置を、図のように重心のバランスが合うように点対称に定めることで、図のように軸の回転がされても基板の重心は軸の重心と一致する為、高速回転時でも安定する。
【0019】
本実施例は回転軸101に対し、垂直な中央に穴が開いた円形の基板2枚を並行に取り付ける方法を用いたが、円形ではなく、他の形状、Cの字型の基板でも同様の効果を得ることが出来る。またアンテンパターンにおいても1周ではなく、同心円状の複数回のループ形状やうずまき形状においても同様の効果を得ることが出来る。
【0020】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
101 回転軸
103 軸固定基板
104 外部固定基板
105 センサ測定部
121 アンテナパターン
122 電子部品
301 軸固定基板コイル面積
302 外部固定基板コイル面積