(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の基板収納構造を備える電子機器101の分解斜視図である。
図2は、本発明の基板収納構造を備える電子機器101の外観斜視図である。
図3は、筐体カバー1を取り外した状態の電子機器101の外観斜視図である。
図4は、電子機器101に係る筐体2の外観斜視図である。
図5は、電子機器101に係る筐体2の分解斜視図である。
図6は、別の視点から視た電子機器101に係る筐体2の分解斜視図である。
図1では、構造を分かりやすくするために、筐体カバー1の図示を省略している。
図5では、構造を分かりやすくするために、仕切り板24の図示を省略している。また、
図6では、構造を分かりやすくするために、仕切り板26の図示を省略している。
【0014】
電子機器101は、第1面VS1および第2面VS2を有する直方体状である。電子機器101は、筐体2、第1基板11、第2基板12、放熱板13、放熱板14および筐体カバー1を備える。本実施形態の電子機器は、例えば超音波の送受波器および信号処理回路を備えた魚群探知機等のような探知装置に用いられる。放熱板13は、本発明の「第1構造体」の一例であり、「第1放熱機能部」に相当する。また、放熱板14は、本発明の「第2構造体」の一例であり、「第2放熱機能部」に相当する。
【0015】
本実施形態の基板収納構造は、筐体2、第1基板11、第2基板12、放熱板13および放熱板14で構成される。
【0016】
筐体2は、第1面VS1および第2面VS2を有する直方体状である。筐体2は、第1面VS1に第1開口部OP1を有し、第2面VS2に第2開口部OP2を有する。筐体2は、底面板21、側面板22、側面板23、仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26を有する。
【0017】
底面板21、側面板22および側面板23は、平面形状が矩形の金属製の平板である。筐体2の底面には、底面板21が配置される。筐体2の縦方向(第1方向)の両側面には、側面板22および側面板23が夫々配置される。底面板21の主面は、縦方向(第1方向)および横方向(第3方向)のいずれに対しても平行である。側面板22および側面板23は、底面板21の主面に対して直交するように、底面板21の縦方向(第1方向)の両端に夫々接続される。そのため、底面板21、側面板22および側面板23は、横方向(第3方向)から視て、コの字状(U字状)に接続される。
【0018】
側面板22は、厚み方向(第2方向)に配列された2つの位置決めピン31Aを有する。位置決めピン31Aは、円柱状のピンであり、第1開口部OP1近傍に配置される。また、位置決めピン31Aは、側面板22の第一面(
図4における側面板22の手前側の面)に設けられている。すなわち、位置決めピン31Aは、筐体2の第1面VS1に露出する。
【0019】
側面板23は、
図5に示すように、厚み方向(第2方向)に配列された2つの位置決めピン31Bを有する。位置決めピン31Bは、円柱状のピンであり、側面板23の第一面(
図5における側面板23の手前側の面)に設けられている。すなわち、位置決めピン31Bは、筐体2の内部に設けられる。
【0020】
仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26は、平面形状が矩形の金属製の平板である。仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26は、3つの辺が夫々底面板21の主面、側面板22の主面および側面板23の主面に接続される。仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26の主面は、縦方向(第1方向)および厚み方向(第2方向)のいずれに対しても平行であり、横方向(第3方向)に配列されている。すなわち、仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26の主面は、側面板22の主面および側面板23の主面に対して直交するように配置されている。後に詳述するように、仕切り板24と仕切り板25との間には、第1基板11が収納され、仕切り板25と仕切り板26との間には、第2基板12が収納される。そのため、仕切り板24および仕切り板25は、横方向(第3方向)に対して、第1基板11を挿通できる間隔をあけて配列される。また、仕切り板25および仕切り板26は、横方向(第3方向)に対して、第2基板12を挿通することができる間隔をあけて配列される。
【0021】
仕切り板25は、
図6に示すように、2つの位置決めピン32Aおよび2つの引掛け部32Bを有する。位置決めピン32Aは、円柱状のピンであり、第2開口部OP2近傍に配置されている。引掛け部32Bは、平面形状がL字形の金属製の平板であり、底面板21近傍に配置されている。引掛け部32Bおよび仕切り板25は、所定の間隔をあけて接続される。そのため、引掛け部32Bの主面および仕切り板25の主面は、互いに平行である。
【0022】
図7は、第1基板11の構造を示す平面図である。
図8は、第1基板11の構造を示す右面図である。
図9は、第1基板11の構造を示す背面図である。
【0023】
第1基板11は、平面形状が矩形の金属製の平板である。第1基板11の第一辺(
図7における第1基板11の下辺)に、放熱板13が略垂直に接続される。放熱板13は、基板13Aおよび複数の放熱フィン13Bを有する。基板13Aは、平面形状が矩形の金属製の平板である。平板13Aの正面(
図8における基板13Aの左側の面)には、上記正面に対して垂直に複数の平板状の放熱フィン13Bが接続(または一体化)されている。すなわち、第1基板11の第一辺は、基板13Aの背面(
図8における基板13Aの右側の面)に接続される。第1基板11は、例えば電源供給用基板である。
【0024】
第1基板11の背面には、第1基板11を筐体2に収納した状態で、位置決めピン31Bの位置に対応する位置に、2つのピン挿入口41Bが設けられている。ピン挿入口41Bは、位置決めピン31Bの外径よりも大きな外径を有する円形状の開口である。位置決めピン31Bは、第1基板11を筐体2に収納した状態で、ピン挿入口41Bに挿通される。また、放熱板13の背面(基板13Aの背面)には、第1基板11を筐体2に収納した状態で、位置決めピン31Aの位置に対応する位置に、2つのピン挿入口41Aが設けられている。ピン挿入口41Aは、位置決めピン31Aの外径よりも大きな外径を有する円形状の開口である。位置決めピン31Aは、第1基板11を筐体2に収納した状態で、ピン挿入口41Aに挿通される。
【0025】
このようにして、第1基板11を筐体2に収納した状態で、第1基板11の位置が固定される。本実施形態では、これら位置決めピン31A、位置決めピン31B、ピン挿入口41Aおよびピン挿入口41Bが、第1基板11を固定する「位置決め機構」に相当する。
【0026】
図10は、第2基板12の構造を示す平面図である。
図11は、第2基板12の構造を示す右面図である。
図12は、第2基板12の構造を示す底面図である。
図13は、第2基板12の構造を示す背面図である。
【0027】
第2基板12は、平面形状が矩形の金属製の平板である。第2基板12の第二辺(
図10における第2基板12の上辺)に、放熱板14が略垂直に接続される。放熱板14は、平面形状が矩形の平板である。放熱板14は、第2基板12と共に筐体2に収納され、筐体2の内部(底面板21)に当接する。第2基板12は、例えば探知装置のエコー信号を処理する信号処理用基板である。
【0028】
第2基板12の正面には、第2基板12を筐体2に収納した状態で、位置決めピン32Aの位置に対応する位置に、2つのピン挿入口42Aが設けられている。ピン挿入口42Aは、位置決めピン32Aの外径よりも大きな外径を有する円形状の開口である。位置決めピン32Aは、第2基板12を筐体2に収納した状態で、ピン挿入口42Aに挿通される。また、第2基板12の底面には、第2基板12を筐体2に収納した状態で、引掛け部32Bの位置に対応する位置に、2つの引掛け部42Bが設けられている。引掛け部32Bは、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2基板12と引掛け部42Bとの間に挿通される。なお、引掛け部32Bは、第2基板12と引掛け部42Bとの間に挿通されるだけでなく、第2基板12と引掛け部42Bとで狭持される構造であってもよい。
【0029】
このようにして、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2基板12の位置が固定される。本実施形態では、これら位置決めピン32A、ピン挿入口42A、引掛け部32Bおよび引掛け部42Bが、第2基板12を固定する「位置決め機構」に相当する。
【0030】
また、第2基板12は、ケーブル等を接続するための2つのコネクタ51を有する。コネクタ51は、第2基板12の第一辺(
図10における第2基板12の下辺)の近傍に配置されている。そのため、コネクタ51は、
図3に示すように、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2開口部OP2の近傍に配置される。コネクタ51は、例えば他の基板との接続を行う端末(通信用コネクタ)である。
【0031】
なお、第2開口部OP2の「近傍」とは、第2開口部OP2の極近傍のみを言うものではない。第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2開口部OP2から手作業が可能な範囲をいうものである。例えば、第2開口部OP2から厚み方向(第2方向)に向かって、第2基板12の厚み方向(第2方向)の全長1/3までの範囲を、第2開口部OP2の「近傍」という。
【0032】
筐体カバー1は、底面(
図2における下面)以外の面に平板が形成された直方体状の筐体である。筐体カバー1は、第1基板11および第2基板12を収納した状態の筐体2に対して、第2面VS2側から厚み方向(第2方向)に向かって装着される。筐体カバー1は、例えば金属製のボックスである。
【0033】
次に、第1基板11および第2基板12を筐体2に収納する方法について図を参照して説明する。
【0034】
第1基板11は、筐体2の第1面VS1に形成された第1開口部OP1から、縦方向(第1方向)に沿って抜き差しされる(
図1中の矢印参照)。放熱板13は、
図1および
図3に示すように、第1基板11を筐体2に収納した状態で、第1面VS1に露出する。
【0035】
第1基板11は、仕切り板24と仕切り板25との間に挿通される。仕切り板24の主面および仕切り板25の主面は、縦方向(第1方向)および厚み方向(第2方向)のいずれに対しても平行である。そのため、第1基板11は、第1基板11の主面が仕切り板24の主面および仕切り板25の主面のいずれに対しても平行になるように、筐体2に収納される。そして、筐体2に収納された第1基板11は、位置決めピン31A、位置決めピン31B、ピン挿入口41Aおよびピン挿入口41Bによって、位置が固定される。このように、仕切り板24および仕切り板25は、第1基板11の挿通方向をガイドする治具部材として機能する。
【0036】
第2基板12は、筐体2の第2面VS2に形成された第2開口部OP2から、厚み方向(第2方向)に沿って抜き差しされる(
図1中の矢印参照)。放熱板14は、
図1および
図3に示すように、第2基板12と共に筐体2に収納され、筐体2の内部に当接する。
【0037】
第2基板12は、仕切り板25と仕切り板26との間に挿通される。仕切り板25の主面および仕切り板26の主面は、縦方向(第1方向)および厚み方向(第2方向)のいずれに対しても平行である。そのため、第2基板12は、第2基板12の主面が仕切り板25の主面および仕切り板26の主面のいずれに対しても平行になるように、筐体2に収納される。そして、筐体2に収納された第2基板12は、位置決めピン32A、ピン挿入口42A、引掛け部32Bおよび引掛け部42Bによって、位置が固定される。このように仕切り板25および仕切り板26は、第2基板12の挿通方向をガイドする治具部材として機能する。
【0038】
したがって、第1基板11の主面および第2基板12の主面は、
図3に示すように、第1基板11および第2基板12を筐体2に収納した状態で、互いに平行であり、かつ、縦方向(第1方向)および厚み方向(第2方向)のいずれに対しても平行である。また、第1基板11を抜き差しする縦方向(第1方向)と、第2基板12を抜き差しする厚み方向(第2方向)とは、横方向(第3方向)から視て、直交している。
【0039】
本実施形態の基板収納構造によれば次のような効果を奏する。
【0040】
(a)本実施形態の基板収納構造では、第1基板11および第2基板12が、互いに異なる方向(第1方向と第2方向)に抜き差しされ、かつ、互いに筐体2の異なる面(第1面VS1と第2面VS2)から抜き差しされる。また、第1基板11および第2基板12を筐体2に収納した状態で、第1面VS1と放熱板13、および、第2面VS2と放熱板14とがそれぞれ略平行であり、かつ、第1基板11と第2基板12とが互いに略平行になっている。そのため、第1基板11と第2基板12とは互いに抜き差しの妨げにならない。したがって、筐体2内に複数の基板を収納し、かつ、筐体を大型化することなく夫々の基板を容易に抜き差しできる基板収納構造を実現できる。
【0041】
(b)本実施形態の基板収納構造の筐体2は、第1基板11用の位置決め機構(位置決めピン31A、位置決めピン31B、ピン挿入口41Aおよびピン挿入口41B)を有し、第2基板12用の位置決め機構(位置決めピン32A、ピン挿入口42A、引掛け部32Bおよび引掛け部42B)を有する。そのため、筐体2に収納する第1基板11および第2基板12の位置が固定され、実装精度を高めることができる。
【0042】
(c)また、第1基板11用の位置決め機構(位置決めピン31A)は、筐体2の第1面VS1に露出している。第1基板11用の位置決め機構を筐体2の外部に設けることにより、第1基板11用の位置決め機構を筐体2の内部のみに設けた場合と比べて、筐体2に収納する第1基板11の実装精度をさらに高めることができる。
【0043】
(d)本実施形態の基板収納構造を備える電子機器101は、第2基板を筐体2に収納した状態で、放熱板14が筐体2に当接する構造である。このように、第2放熱機能部を筐体に当接することにより、筐体2を放熱機能部の一部として利用できるため、放熱機能部を筐体2から露出させるスペースを別途設ける必要はない。したがって、複数の放熱機能部を備える構造であっても、電子機器の小型化が実現できる。
【0044】
(e)本実施形態の基板実装構造を備える電子機器101では、第2基板12に設けられたコネクタ51が、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2開口部OP2の近傍に配置されている。したがって、第2開口部OP2からのケーブル等の接続作業が容易となり、結果的に筐体2に収納される第2基板12の抜き差しが容易となる。
【0045】
なお、上述の実施形態では、一つの第1基板11および一つの第2基板12を備える基板収納構造について示したが、この構成に限定されるものではない。基板収納構造は、複数の第1基板11を備える構成であってもよいし、複数の第2基板12を備える構成であってもよい。
【0046】
上述の実施形態では、第1基板11を抜き差しする第1方向と、第2基板12を抜き差しする第2方向とが、第3方向から視て、直交している基板収納構造について示したが、この構成に限定されるものではない。第1方向および第2方向は、筐体2内に複数の基板を収納し、かつ、筐体を大型化することなく夫々の基板を容易に抜き差しできるという作用効果を奏する範囲において、適宜変更可能である。その場合において、第1基板11の主面および第2基板12の主面が、第1基板11および第2基板12を筐体2に収納した状態で、互いに平行であり、かつ、第1方向および第2方向のいずれに対しても平行であることが好ましい。
【0047】
上述の実施形態では、仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26が、第1基板11および第2基板12の挿通方向をガイドする治具部材として機能する基板収納構造について示したが、この構成に限定されるものではない。第1基板11および第2基板12の挿通方向をガイドする治具部材は必須の構成ではない。すなわち、仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26は必須の構成ではない。また、仕切り板24、仕切り板25および仕切り板26を用いずに、ピンやボルト、サポート用の鋼材等で治具部材を構成してもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態では、第2放熱機能部に相当する放熱板14を第2基板12に接続する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば放熱板14を第1基板11に接続する構成であってもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、第2基板12に設けられたコネクタ51が、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第2開口部OP2の近傍に配置されている例を示したが、この構成に限定されるものではない。コネクタ51は第1基板11に設けられていてもよい。コネクタ51は、第1基板11および第2基板12の両方に設けられていてもよい。また、第1基板11に設けられたコネクタ51が、第1基板11を筐体2に収納した状態で、第2開口部OP2の近傍に配置されていてもよい。第2基板12に設けられたコネクタが、第2基板12を筐体2に収納した状態で、第1開口部OP1の近傍に配置されていてもよい。
【0050】
上述の実施形態では、位置決め機構(位置決めピン31A)が第1面VS1に露出する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。第2基板12用の位置決め機構が、第2面VS2に露出する構成であってもよい。
【0051】
上述の実施形態では、位置決め機構を位置決めピンや引掛け部等で構成した電子機器101について示したが、この構成に限定されるものではない。上述の実施形態に係る位置決め機構はあくまで例示である。第1基板11および第2基板12を筐体2に収納した状態で、第1基板11および第2基板12の位置が固定できるという作用効果を奏する範囲において、適宜変更可能である。
【0052】
上述の実施形態では、電子機器101が探知装置である例を示したが、これに限定されるものではない。基板収納構造は、複数の基板を筐体内に収納する電子機器全般に広く利用することができる。
【0053】
なお、上述の実施形態では、直方体状の筐体2を備える基板収納構造について示したが、この構成に限定されるものではない。筐体2の形状は、筐体内に複数の基板を収納し、かつ、筐体を大型化することなく夫々の基板を容易に抜き差しできるという作用効果を奏する範囲において、適宜変更可能である。