(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理実行部は、前記検索した経路に前記回避エリアが存在するとき、前記回避エリアの通過を回避する経路よりも、前記回避エリア内を通って前記回避対象のアクションを回避する経路を優先して検索することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
前記処理実行部は、検索した経路に前記回避エリアが存在するときに、その回避エリアにおける前記回避対象のアクションが選択済みか否かを判定し、選択済みでない場合、前記回避対象のアクションの選択を促す処理を実行することを特徴とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
前記処理実行部は、検索した経路に前記回避エリアが存在するときに、その回避エリアにおける前記回避対象のアクションが選択済みか否かを判定し、選択済みでない場合、回避の要否、及び回避エリアの削除を受け付け可能な画面の表示処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
前記処理実行部は、前記回避の要を受け付けた場合、前記回避エリア内に存在する通行上不利な要素を抽出し、抽出した要素を避けるように回避対象のアクションを選択する処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図である。
このナビゲーション装置10は、移動体の一種である車両に搭載され、車両の現在地を含む地図を表示する機能(地図表示機能)、目的地までの推奨経路を検索する機能(経路検索機能)、及び推奨経路に従って経路案内を行う機能(経路案内機能)などを備える車載装置である。なお、ナビゲーション装置1は、車両に固定されるビルトイン型の装置に限らず、車両から持ち運び自在な可搬型の装置、例えば、PND(Personal Navigation Device)、又は携帯電話装置であってもよい。
【0009】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、主制御部11と、表示制御部12と、表示部13と、入力部14と、現在地特定部15と、音声処理部16と、情報取得部17と、記憶部18とを備えている。
主制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどを有するコンピューターを備え、ユーザー(例えば運転者)の指示に基づきナビゲーション装置1の各部の制御、及び各種処理を実行する。また、主制御部11は、後述するように、ユーザーに対し回避エリア30を設定可能にするとともに、回避エリア30内の回避対象のアクションを選択可能にする設定部として機能し、さらに、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避させる回避処理を行う処理実行部としても機能する。
【0010】
表示制御部12は、主制御部11の制御の下、表示部13に地図及び経路案内画面などの各種画面を表示させる。表示部13は、液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの公知の表示装置が適用され、ユーザーに対して各種の情報を表示する。
【0011】
入力部14は、ユーザーの指示を入力する装置であり、ナビゲーション装置1に設けられたハードスイッチ、及び表示部13に設けられたタッチパネルなどを介してユーザーの指示を入力する。ユーザーの指示を入力した際には、入力部14は、指示に対応する情報(例えば、コマンド又はタッチパネルの検出位置)を主制御部11に出力する。
なお、タッチパネルは、表示部13の表示画面に重ねて配置された透過性のタッチパネルが適用され、表示画面上のユーザーの操作位置や操作量などを検出する。現在地特定部15は、当該ナビゲーション装置10が具備するジャイロセンサ、GPS受信装置、及び車両が具備する車速センサなどのいずれかの情報を利用して公知の手法で車両の現在地を特定する。
【0012】
音声処理部16は、主制御部11の制御の下、ユーザーを経路案内するための案内音声などをスピーカーから放音させる。情報取得部17は、ラジオ放送受信装置、ビーコン受信装置、及び無線通信装置の少なくともいずれかを備え、ラジオ局又はビーコンから送られる交通情報(例えば、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報)、及び、インターネットに接続されたサーバーが配信する交通情報の少なくともいずれかを取得する。これら交通情報は、渋滞箇所の情報を含むので、主制御部11は交通情報に基づき渋滞箇所を特定できる。
【0013】
記憶部18は、主制御部11が各部の制御や処理を実行するための制御プログラム21の他、地図データ22、及び回避エリアデータ23などを記憶している。地図データ22は、地図表示とルート検索とルート案内(誘導)とに用いるデータであり、少なくとも地図に関する情報と、地図中の施設に関する情報と、地図中の道路を示すリンクの情報と、リンクの接続部を示すノードと、道路の規制(例えば、一方通行、右折禁止、左折禁止、直進禁止、踏切の有無)やレーンに関する情報である道路ネットワーク情報とを含んでいる。なお、地図データ22には、公知のナビゲーション装置に使用される地図データを広く適用可能である。
【0014】
回避エリアデータ23は、ユーザーが回避を希望する領域である回避エリア30と、この回避エリア30の回避条件31とを記述したデータである。
図2は、回避エリアデータ23の一例を示した図である。
回避エリア30のデータは、回避エリア30の名称を示す「名称」、回避エリア30の基準位置(本構成では中心座標)を示す「位置」、及び、回避エリア30のサイズ(基準位置を基準とした矩形範囲)を特定するための「エリアサイズ」の情報を含むデータで構成されている。
図2の例では、回避エリア30として、回避エリア(I)〜(V)が設定され、回避条件31として回避条件(a)〜(e)が設定されている場合を示している。
【0015】
回避条件31は、回避エリア30内の回避態様を規定するアクションなどを特定するデータである。本実施形態では、回避エリア30で選択し得るアクション(抑止動作)として、例えば、「右折」、「左折」、「合流」、「踏切通過」、「直進」、及び「全てのアクション」といった複数種類のアクションに対応するデータ項目が予め規定され、ユーザーが回避を希望するアクションのデータ項目が回避条件31中に記述される。
【0016】
ここで、「右折」は、回避エリア30内での右折を回避する際に選択される項目であり、「左折」は回避エリア30内での左折を回避する際に選択される項目である。また、「合流」は回避エリア30内での合流を回避する際に選択される項目であり、「踏切通過」は回避エリア30内での踏切の通過を回避する際に選択される項目である。なお、「合流」は、気を抜いて走行していると有料道路に入ってしまうケースなどで事前に車線変更や右左折で回避したい状況の場合に選択することを想定している。
また、「全てのアクション」は回避エリア30内での右折、左折、合流、踏切通過及び直進などを全て回避する際に選択される項目であり、この「全てのアクション」を回避すれば、通常、回避エリア30への進入が規制される。なお、本実施形態では、回避条件31には、回避対象のアクションを示すデータに加えて、後述する「有料道回避」、及び「回避シーン」といった付加データも含まれている。
【0017】
次に、回避エリア30及び回避条件31の設定について説明する。
図3は回避エリア30及び回避条件31の設定に使用する画面例を示した図である。
主制御部11は、表示部13に、
図3に示す回避エリア設定画面G1を表示させることによって、ユーザーからの回避エリア30の設定、及び回避条件31の設定を受け付ける。例えば、主制御部11は、ユーザーからメニュー画面の表示が指示された場合に、表示部13にメニュー画面を表示し、このメニュー画面中の所定メニュー(例えば、回避エリア30の設定や編集を行う項目)が入力部14を介して選択された場合に、回避エリア設定画面G1を表示部13に表示させる。
【0018】
回避エリア設定画面G1には、地図データ22に基づき地図(地図画面GA)が表示される。表示される地図は、例えば、現在地特定部15により特定された現在地を含む地図、或いは、入力部14を介してユーザーが指定した地点を示す地図である。
図3中、符号R1は有料道(首都高速道路)を示し、符号R2、R3は幹線道路を示し、その周りの直線は他の道路を示している。また、
図3中、符号P1は車両の現在地を示す画像である。
【0019】
主制御部11は、入力部14を介して回避エリア30の指定を受け付ける。例えば、表示した地図において、ユーザーが回避したいエリアの中心をタッチパネルをタッチして指定した場合に、主制御部11は、この指定した座標を中心とした矩形の領域を回避エリア30に設定し、回避エリア30のデータを記憶部18に記憶する。なお、この中心座標が回避エリア30の「位置」の情報として記憶される。
図3に示すように、回避エリア30は、矩形のエリアとされ、各辺の長さ(
図2中の「エリアサイズ」に対応)は予め定めた基準値、或いは、ユーザーがタッチパネルを介して拡大操作、或いは縮小操作したときの値に設定される。
【0020】
主制御部11は、回避エリア30の名称(
図2中の回避エリア30の「名称」に対応)を自動で設定することができる。
図3では、回避エリア30の中心座標に対応する地名に基づき、名称を「港区新橋」に設定している。
図3に示すように、回避エリア設定画面G1には、地図画面GAに加えて、回避エリア30及び回避条件31に関する操作画面GBが表示される。この操作画面GBには、複数の操作ボタンGB1〜GB6が表示され、具体的には、回避エリア30の名称変更を受け付ける「名称変更」ボタンGB1、回避エリア30の位置修正を受け付ける「位置を修正」ボタンGB2、回避エリア30のサイズ変更を受け付ける「エリアサイズ変更」ボタンGB3、有料道の回避の有無を受け付ける「有料道回避」ボタンGB4、回避シーンを受け付ける「回避シーン」ボタンGB5、及び、回避アクション(抑止動作)を受け付ける「抑止動作」ボタンGB6が表示される。
【0021】
主制御部11は、
図3に示す「名称変更」ボタンGB1、及び「位置を修正」ボタンGB2及び「エリアサイズ変更」ボタンGB3のいずれかがユーザーに操作されると、その選択ボタンに対応する画面を表示し、ユーザーによる回避エリア30の名称変更、位置修正、及びサイズ変更のそれぞれを受け付ける。これらによって、回避エリア30の名称、位置、及びサイズをユーザーが容易に設定することができる。
【0022】
また、
図3に示す「抑止動作」ボタンGB6は、回避エリア30で選択し得る複数種類のアクション(上述した「右折」、「左折」、「合流」、「踏切通過」、「直進」、及び「全てのアクション」など)の選択を受け付ける操作子である。例えば、主制御部11は、入力部14を介して「抑止動作」ボタンGB6が操作されると、複数種類のアクションを選択可能に表示する。これによって、ユーザーが所望する回避アクションを容易に選択できる。
図3の例では、「右折」が選択された場合、つまり、回避エリア30での右折の回避をユーザーが選択した場合を示している。
【0023】
図3に示す「有料道回避」ボタンGB4、及び「回避シーン」ボタンGB5は、回避条件31に付加する条件(付加条件)を設定する操作子である。
つまり、「有料道回避」ボタンGB4は、回避エリア30内での有料道回避の有無を受け付ける操作子であり、主制御部11は、入力部14を介して有料道回避の有無(ON、OFF)を受け付ける。
図3の例では、有料道回避を示すONが選択された場合を示している。
【0024】
「回避シーン」ボタンGB5は、回避エリア30での回避シーンを受け付ける操作子であり、入力部14を介して、回避シーンとして、「渋滞時」、及び「スクールゾーン」のいずれかの選択を受け付ける。「渋滞時」が選択された場合は、回避エリア30内で渋滞道路についてのみ、上記「抑止動作」ボタンGB4で選択されたアクションを回避する。
また、「スクールゾーン」が選択された場合は、回避エリア30内でスクールゾーンの領域でのみ上記「抑止動作」ボタンGB4で選択されたアクションを回避する。
図3の例では「渋滞時」が選択された場合を示している。つまり、
図3では、ユーザーが、回避条件31として、”有料道R1の走行”と”渋滞時の右折”とを設定した場合を示している。
【0025】
本実施形態では、目的地までの推奨経路を検索する際、及び、経路案内機能を利用せずに車両が移動している際に、制御部20が、回避エリアデータ23に基づき、回避条件31に従って回避対象のアクションなどを回避する回避処理を行う。
図4は推奨経路を検索する場合の回避処理を示すフローチャートである。
主制御部11は、目的地までの推奨経路の検索を開始すると(ステップS1A)、回避エリアデータ23を参照し、検索した経路に回避エリア30が存在するか否かを判定する(ステップS2A)。主制御部11は、回避エリア30が存在した場合(ステップS2A;YES)、ステップS3Aの迂回経路検索処理へ移行し、回避エリア30が存在しない場合(ステップS2A;NO)、ステップS4Aの処理へと移行する。
【0026】
主制御部11は、ステップS3Aの迂回経路検索処理として、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避する迂回経路を検索する処理を行う。具体的には、主制御部11は、回避エリア30を回避する経路(以下、「エリア回避の迂回経路」と言う)よりも、回避エリア30を通過しながら回避対象のアクションを回避する経路(以下、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」と言う)を優先して検索する。
【0027】
図5は「エリア回避の迂回経路」の一例を示し、
図6は「アクション回避の迂回経路」の一例を示している。これらの図には、道路網と、ステップS1Aの処理で検索された当初の推奨経路K0と、車両の現在地P1と、回避エリア30と、迂回経路KA、KBとを示している。
図5及び
図6において、当初の推奨経路K0は、回避エリア30内で右折する経路となっている。
「エリア回避の迂回経路」の検索の場合、回避エリア30の通過を回避する経路が検索されるので、
図5に示すように、回避エリア30の外を大きく迂回して上記推奨経路K0に繋がる迂回経路KAが検索されることになる。
【0028】
これに対し、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」の検索の場合、回避エリア30内に進入して回避対象のアクション(右折)を回避する経路が検索されるので、
図6に示すように、回避エリア30内を直進した後に右折して上記推奨経路K0に繋がる迂回経路KBが検索される。
従って、
図6に示す迂回経路KBの方が、
図5に示す迂回経路KAに比して短く、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」を検索する方が遠回りを避けた経路を検索していることが明らかである。つまり、回避対象のアクションを回避しながら遠回りを避けた経路を検索でき、時間の短縮化を図り易くなる。本例では、右折を回避するので、いわゆる右折待ちを回避しながら時間の短縮化に有利な経路を検索できる。
【0029】
但し、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」を検索した場合でも、推奨経路として適切でない経路が検索された場合には、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」を採用せず、「エリア回避の迂回経路」を検索して採用することが好ましい。
例えば、主制御部11は、「回避エリア通過、且つ、アクション回避の迂回経路」を検索した後、それが予め定めた適切条件を満たすか否か判定することにより、過度に遠回りになる、道幅が極端に狭い、右左折が極端に多い経路になっていないか否かを判定する。そして、上記適切条件を満たさない場合に、「エリア回避の迂回経路」を検索して推奨経路に採用すれば良い。このようにして、より適切な迂回経路を検索し易くなる。
【0030】
また、回避条件31には、回避対象のアクションに加え、有料道の回避、及び、回避シーン(例えば渋滞時)も含まれるので、主制御部11は、その条件も含めて回避条件31を満たした推奨経路を検索する。これによって、ユーザーの希望に応じて有料道を回避した推奨経路や、渋滞道路を回避した推奨経路を検索する。
このようにして回避条件31を満たした推奨経路を検索すると、主制御部11は、次のステップS4Aの処理に移行する。このステップS4Aでは、主制御部11は、検索した推奨経路を、表示部13に表示し、経路案内を開始する。以上の各処理は、公知の各処理を広く適用可能である。
【0031】
続いて、経路案内機能を利用せずに車両が移動している際の動作を説明する。
図7は車両移動時の回避処理を示すフローチャートである。なお、経路案内機能を利用していない場合、ユーザーがどのような経路を通ろうとしているか判らない。そのため、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避しない経路を通る可能性が生じる。このような事態を回避するために回避処理が実行される。
【0032】
主制御部11は、車両が移動しているか否かを、ジャイロセンサ、GPS受信装置、又は車速センサなどの少なくともいずれかを利用することによって検出することができる。
車両が移動している場合、主制御部11は、車両が、回避エリアデータ23に記憶された回避エリア30に接近中か否かを判定する(ステップS1B)。
回避エリア30に接近中でなければ、主制御部11は、所定の時間間隔を空けて回避エリア30に接近中か否かの判定を行う。
【0033】
回避エリア30に接近中の場合(ステップS1B;YES)、主制御部11は、接近中の回避エリア30の回避条件31を読み出し(ステップS2B)、回避対象のアクションを特定する。そして、主制御部11は、接近中の回避エリア30内の回避対象のアクションを回避させる報知処理を行う(ステップS3B)。なお、回避条件31には、有料道の回避、及び、回避シーン(例えば渋滞時)も含まれるので、主制御部11は、その条件にも該当している場合にステップS3Bの報知処理を行う。
この報知処理としては、回避対象のアクションの内容を、音声処理部16により音声で報知する処理と、表示部13に表示する処理とが行われるが、いずれか一方でも良い。
【0034】
図8は報知処理の一例を示す図である。この報知処理では、車両の現在地P1が回避エリア30に接近すると、「右折回避対象です」といった音声出力を行っている。これにより、走行先の回避エリア30が右折回避対象であることをユーザーに通知することができ、ユーザーに対し、右折を回避した運転を促すことができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態では、主制御部11が、回避エリア30として、車両(移動体)が複数種類のアクションを取り得るエリアを設定可能にするとともに、複数種類のアクションのうち回避対象のアクションを選択可能にする設定部として機能し、且つ、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避させる回避処理を実行する処理実行部として機能する。これにより、所定エリア内で取り得る複数種類のアクションのうちのいずれかを任意に回避させることができ、ユーザーなどの都合を細かく考慮した回避が可能になり、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0036】
この場合、回避対象のアクションとして、回避エリア30内の右折、左折、及び直進を独立して設定可能にしたので、回避エリア30内の右折だけの回避、左折だけの回避、直進だけの回避といったようにユーザーの様々な希望に添った回避が可能になる。例えば、右折だけを回避することにより、いわゆる右折待ちを回避できる。
【0037】
また、右折だけを回避する場合でも、回避エリア30を一つの分岐箇所(例えば交差点)を含む狭いエリアに設定しておけば、その分岐箇所での右折をピンポイントで回避できる。一方、回避エリア30を複数の分岐箇所を含む広いエリアに設定しておけば、エリア内の複数の分岐箇所での右折をまとめて回避できる。複数の分岐箇所での右折をまとめて回避できれば、例えば、車の出入りが多い施設(例えばターミナル駅)が存在する場合に、その施設側への移動を効率良く回避することが可能になる。このように、回避エリア31の大小に応じて一箇所でのアクションを回避したり、複数箇所でのアクションをまとめて回避したりすることが容易である。
【0038】
また、上記回避処理として、推奨経路を検索する場合に、検索した経路に回避エリア30が存在するときに、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避するように推奨経路を検索するので、事前の設定や選択に従った推奨経路を検索することができる。事前の設定や選択をユーザーが行うことにより、ユーザーの希望に添った推奨経路を検索することができる。なお、事前の設定や選択を行うユーザーは、車両を運転する運転者と同一人物であっても良いし、別の人物であっても良い。
【0039】
また、検索した経路に回避エリア30が存在するときに、回避エリア30の通過を回避する経路よりも、前記回避エリア30内を通って回避対象のアクションを回避する経路を優先して検索するので、回避対象のアクションを回避しながら遠回りを避けた経路を検索し易くなる。
【0040】
また、上記回避処理として、車両が回避エリア30に接近中か否かを判定し、接近中と判定したときに、回避エリア30内の回避対象のアクションを報知する報知処理を行うので、事前の設定や選択に従った経路を通るようにユーザーに注意を促すことができる。
【0041】
ところで、発明者等の検討によれば、上述した回避エリア機能の利用シーンとしては、自宅やよく利用する経路上に設定され、比較的多頻度で利用されることが想定される。しかし、ユーザーによっては多数のアクションから回避対象のアクションを選択することが面倒だと感じる可能性がある。そこで、第2実施形態では、回避エリア30の設定時に、回避条件31の設定を必須としない構成としている。以下、第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を詳述し、重複説明は適宜に省略する。
【0042】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の回避エリアデータ23の一例を示す図である。
この回避エリアデータ23では、回避エリア(V)に回避条件31が設定されていない場合を示している。回避エリア30のデータには、回避条件31が選択済みか否かを示す「回避条件フラグ」が含まれている。
従って、回避条件フラグについては、回避エリア(V)だけが回避条件31が未選択であることを示すフラグ情報とされ、他の回避エリア(I)〜(IV)については、回避条件31が選択済みであることを示すフラグ情報が設定されている。この回避条件フラグについては、回避エリア30の設定時などに主制御部11が設定すればよい。
【0043】
図10は推奨経路を検索する場合の回避処理を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一の処理については同一の符号を付して示し、重複説明は適宜に省略する。
主制御部11は、目的地までの推奨経路の検索を開始すると(ステップS1A)、検索した経路に回避エリア30が存在するか否かを判定し(ステップS2A)、回避エリア30が存在しない場合(ステップS2A;NO)、ステップS4Aの処理に移行する。
【0044】
一方、検索した経路に回避エリア30が存在する場合(ステップS2A;YES)、主制御部11は、その回避エリア30に対応する回避条件フラグに基づき、回避条件31が設定されているか否かを判定する(ステップS1C)。
主制御部11は、回避条件31が設定されている場合には(ステップS1C;YES)、ステップS3Aの迂回経路検索処理に移行し、回避条件31が設定されていない場合には(ステップS1C;NO)、ステップS2Cの処理へ移行する。
【0045】
ステップS2Cの処理では、ユーザーに対し回避条件31の選択を促す処理を実行する。
図11は、ステップS2Cの処理時の表示画面例を示している。
図11に示すように、主制御部11は、ルート検索画面GCを表示しており、回避条件31が設定されていないと判定すると、回避条件31が設定されていない回避エリア30が検索経路に存在する旨を報知するメッセージGC1(
図11では「未編集の回避エリアが経路上に設定されています。」)を表示する。
続いて、主制御部11は、回避条件31の設定を受け付ける回避条件設定画面GC2を表示する。この回避条件設定画面GC2は、回避エリア30を表示する地図画面GAと、ユーザーの操作を受け付ける操作画面GDとを含んでいる。
【0046】
地図画面GAは、回避条件31が設定されていない回避エリア30を周辺地図と共に拡大表示した画面であり、ユーザーの所定操作に応じて拡大表示、縮小表示又は移動表示が可能である。また、操作画面Gには、複数の操作ボタンGD1〜GD3が表示され、具体的には、「回避する」ボタンGD1、「回避しない」ボタンGD2、「編集」ボタンGD3、及び「削除」ボタンGD4が表示される。主制御部11は、操作ボタンGD1〜GD4のいずれかが入力部14を介してユーザーに操作されると、対応する処理を実行する。
【0047】
ここで、「回避する」ボタンGD1、及び「回避しない」ボタンGD2は、回避エリア30の回避の要否を選択する操作子であり、「回避する」ボタンGD1が操作されると、主制御部11は、回避条件31の自動設定処理を開始する。
この自動設定処理は、回避エリア30内の道路状況に基づいて回避条件31を自動設定する処理であり、具体的には、主制御部11が、回避エリア30内に存在する通行上不利な要素を抽出し、抽出した要素を避けるように回避条件31を設定する。
【0048】
例えば、検索した経路が回避エリア30内の渋滞道路を通行する場合、主制御部11は、渋滞を避けるべく、回避条件31中の回避シーンとして「渋滞時」を選択する。また、検索した経路が回避エリア30内で右折、又は左折行動を伴っていた場合、主制御部11は、回避条件31中の回避対象のアクションとして「右折」、又は「左折」を選択する。また、検索した経路が回避エリア30内で踏切を通過する場合、主制御部11は、回避条件31中の回避対象のアクションとして「踏切通過」を選択する。
【0049】
「編集」ボタンGD3は、回避条件31の編集を受け付ける操作子であり、この「編集」ボタンGD3が操作されると、主制御部11は、
図3に示した「有料道回避」ボタンGB4、「回避シーン」ボタンGB5、及び、「抑止動作」ボタンGB6などを表示して、有料道の回避の有無、回避シーン、及び回避アクションの編集を受け付ける。これにより、自動設定された回避条件31をユーザーが容易に修正することができる。
【0050】
また、「削除」ボタンGC4は、回避エリア30の削除を受け付ける操作子であり、この「削除」ボタンGC4が操作されると、主制御部11は、検索経路に存在する回避エリア30の削除を受け付ける。これにより、ユーザーは、回避条件31が設定されていない回避エリア30を容易に削除することができる。
【0051】
回避条件31が設定された後、ユーザーが再検索の指示をすることにより、主制御部11は、ステップS3Aの処理に移行し、回避エリア30内の回避対象のアクションを回避する迂回経路を検索し、ステップS4Aの処理に移行し、検索した推奨経路を、表示部13に表示し、経路案内を開始する。なお、回避エリア30が削除された場合は、主制御部11は、その回避エリア30に対応するエリアでは迂回経路を検索しない。
なお、検索した経路に回避エリア30が複数存在する場合は、回避エリア30毎に、回避条件31の自動設定処理や、回避エリア30の削除などが可能である。
【0052】
従って、ユーザーは事前に回避エリア30だけを設定しておき、その回避エリア30を通過する可能性が生じたときに回避条件31を容易に設定することができる。なお、一度、回避条件31が設定されると、次回はその回避条件31が利用される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態の主制御部11は、検索した経路に回避エリア30が存在するか否かを判定し、存在すると判定したときに、その回避エリア30における回避条件31が設定済みか否か(例えば、回避対象のアクションが選択済みか否か)を判定し、設定済みでない場合、回避の要否、及び回避エリア30の削除を受け付け可能な画面の表示処理を行うので、回避エリア30を通過する可能性が生じたときに、ユーザーが回避の要否や回避エリア30の削除を検討すればよい。従って、ユーザーが事前に回避対象のアクションの選択といった回避条件31の設定をしておく必要がなく、また、回避エリア30の削除も容易である。この結果、ユーザーの利便性が向上する。
【0054】
しかも、主制御部11は、回避が必要な場合、回避エリア30内に存在する通行上不利な要素を抽出し、抽出した要素を避けるように回避対象のアクションを選択する等の回避条件31の設定処理を行うので、ユーザーにとって回避条件31の設定が簡易である。また、回避条件31をユーザーが編集可能にしているので、主制御部11が設定した回避条件31、例えば、回避対象のアクションを容易に変更することが可能である。
【0055】
上述した各実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。例えば、
図1は、本願発明を理解容易にするために、ナビゲーション装置10の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、各装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし。複数のプログラムで実現されてもよい。
【0056】
また、フローチャートの処理単位は、ナビゲーション装置10の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置10の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、処理の順番も、図示した例に限られるものではない。
【0057】
また、上述の各実施形態では、ナビゲーション装置10を制御するための制御プログラムを予め装置10内に記憶しておく場合について述べたが、この制御プログラムを、磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体などのコンピューターが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピューターが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、この制御プログラムを通信ネットワーク(電気通信回線)を介して配信サーバーなどからダウンロードできるようにしてもよい。
【0058】
また、上述の各実施形態では、ナビゲーション装置10の主制御部11が、回避エリア30及び回避条件31に関する各種処理を行う場合を説明したが、ナビゲーション装置10が通信可能な通信ネットワークに接続されたサーバーが、回避エリア30及び回避条件31に関する各種処理の全て、又は一部を実行するようにしても良い。
例えば、サーバーが、ナビゲーション装置10を介してユーザー指示を入力し、回避エリア30及び回避条件31の設定を受け付け、上記回避処理を実行するようにしても良い。また、本発明は、ナビゲーション装置10やサーバーに限らず、この種の装置を含む情報処理装置、つまり、ナビゲーション機能を具備可能な情報処理装置に広く適用可能である。