特許第6567958号(P6567958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 象印マホービン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6567958-オートクローズ機構を備えた調理器 図000002
  • 特許6567958-オートクローズ機構を備えた調理器 図000003
  • 特許6567958-オートクローズ機構を備えた調理器 図000004
  • 特許6567958-オートクローズ機構を備えた調理器 図000005
  • 特許6567958-オートクローズ機構を備えた調理器 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567958
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】オートクローズ機構を備えた調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   A47J27/00 103P
   A47J27/00 109A
   A47J27/00 109L
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-223720(P2015-223720)
(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-86734(P2017-86734A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100138874
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】野間 雄太
【審査官】 黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−263935(JP,A)
【文献】 特開2003−102647(JP,A)
【文献】 特開2003−304986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
A47J 37/10−37/12
A47K 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する調理器本体と、当該開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部と、を備えた調理器であって、
蓋部を開方向に向かって付勢する付勢部材と、
当該付勢部材の付勢力に抗して、蓋部を閉方向へ電力駆動する駆動部と、
当該駆動部を制御する制御部と、を備えており、
上記駆動部は、蓋部に固定した第1ギアと、第1ギアと係合する第2ギアを回転駆動するモータとで構成されていて、第2ギアは、第1ギアに係合する係合位置と、当該係合が外れる非係合位置との間で移動可能であり、
(ア)第2ギアを係合位置と非係合位置との間で移動させるギア移動部と、
(イ)蓋部が開位置にあること、および閉位置にあることを検知する開閉センサと、を備え、
上記制御部は、開閉センサから、蓋部が開位置にあることを示す信号を受けて、ギア移動部を駆動して第2ギアを係合位置に位置させるとともに、開閉センサから、蓋部が閉位置にあることを示す信号を受けて、ギア移動部を駆動して第2ギアを非係合位置に位置させる、調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器の蓋の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋が自動で開閉できる炊飯器が特許文献1に開示されている。この炊飯器は、蓋を開けるときも、閉じるときも、蓋を電力で駆動するが故に、停電状態では、いずれの操作を行うこともできない。
すなわち、炊きあがったご飯を収容した状態で停電になると、ご飯を取り出すことができない。停電が長時間に渡ると、ご飯を長時間釜内に放置することになって、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−183016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題を解消するために創案されたものであって、その目的は、蓋を閉じる場合には電力を利用するオートクローズを行い、蓋を開ける場合には、電力に頼らず手動で開けることのできる調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
本発明の調理器は、開口部を有する調理器本体と、当該開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部とを備えたものである。そして、上記目的を達成するため、調理器は、「蓋部を開方向に向かって付勢する付勢部材」と「当該付勢部材の付勢力に抗して、蓋部を閉方向へ電力駆動する駆動部」と「当該駆動部を制御する制御部」とを備える。
上記構成を備えた本発明の調理器によれば、蓋部を閉じる操作は駆動部を利用して(電力により)ワンタッチの操作で行うことができる。その一方で、蓋部を開ける際には、電力に頼らない付勢部材を利用している。したがって、停電が長時間続いた場合でも、内部のご飯を取り出せなくなるという不都合は生じない。
【0006】
本発明においては、上記駆動部は、蓋部に固定した第1ギアと、第1ギアと係合する第2ギアを回転駆動するモータとで構成されていて、第2ギアは、第1ギアに係合する係合位置と、当該係合が外れる非係合位置との間で移動可能な構成としてもよい。
この場合、調理器は、「(ア)第2ギアを係合位置と非係合位置との間で移動させるギア移動部」と「(イ)蓋部が開位置にあること、および閉位置にあることを検知する開閉センサ」とを備える。
上記制御部は、開閉センサから、蓋部が開位置にあることを示す信号を受けて、ギア移動部を駆動して第2ギアを係合位置に位置させるとともに、開閉センサから、蓋部が閉位置にあることを示す信号を受けて、ギア移動部を駆動して第2ギアを非係合位置に位置させる。
上記構成を採用した場合には、蓋部が閉位置にある場合には、第2ギアが非係合位置に位置することとなるので、次に開蓋操作を行う際に、付勢部材の付勢力による蓋部の開方向への移動を妨げることがなく、開蓋をスムーズに行うことができる。
【0007】
本発明においては、上記駆動部は、蓋部に固定した第1ギアと、第1ギアと係合する第2ギアを回転駆動するモータとで構成されていて、第2ギアは、ギア周囲に沿って、ギア歯が存在するギア領域と、ギア歯の存在しない無ギア領域とを備える構成としてもよい。この場合、蓋部が閉位置に来た時に、ギア領域で回転方向最後尾のギア歯が第1ギアから外れることとなるように、第2ギアの歯数を予め設定する。
上記構成を採用した場合には、蓋部が閉位置に来た時に、必然的に第1ギアと第2ギアの係合が外れることとなる。すなわち、第2ギアの位置を移動させる制御を行わなくても、次に開蓋操作が行われる時には、第2ギアによる干渉無く、蓋部を付勢部材の付勢力によってスムーズに開けることが可能となる。
【0008】
本発明において駆動部をギアおよびモータで構成する場合、蓋部を閉止させる際のモータ制御の具体的態様は、特定のものには限られない。例えば、つぎのような制御を行ってもよい。
(1)上記制御部は、蓋部を閉方向へ電力駆動する際にモータに流れる電流値をモニタリングし、当該電流値が予め定めた所定値に達した時、モータの回転を停止または反転させる。
(2)上記制御部は、蓋部を閉方向へ電力駆動する際にモータに電流が流れ始めてからの時間を計測し、予め定めた時間が経過した時、モータの回転を停止させる。
(3)調理器のいずれかの箇所に、蓋部の傾斜角度を検知する角度センサを備える。そして、上記制御部は、角度センサから受信した信号が、蓋部が閉位置にあることを示している時、モータの回転を停止させる。
以上のような制御を行うことによって、蓋部が閉じられた後、速やかにモータ駆動を停止して、節電効果を高めることができる。さらに上記(1)の制御では、例えば、閉止する蓋部に指が挟まれた場合においても、モータ負荷の増大に起因する電流値の増大を検知してモータを反転させることで、速やかに事態を解消できる。
【0009】
本発明では、上記駆動部をソレノイドで構成してもよい。ソレノイドを利用すると、制御が簡単になるというメリットがある。すなわち、コイルに通電するだけで可動鉄心が突出して蓋部が閉じられる。通電を止めると復帰バネで可動鉄心が自動的に退避し、次に蓋部を開ける場合に、付勢部材の付勢力による蓋部の開方向への移動を妨げることもない。
【0010】
本発明においては、上記制御部に電気的に接続されていて、蓋部を閉止する命令を制御部に与えるクローズ操作部(押圧ボタン、スライドスイッチ、回転レバー、その他)を調理器に備えることが好ましい。ユーザは、クローズ操作部を操作するだけで、電力によって、付勢部材の付勢力に抗して蓋部を閉じることができる。
【0011】
本発明においては、上記角度センサを設ける場合に、上記制御部が、角度センサから受信した信号が、蓋部が開位置から閉位置よりに予め定めた所定角度の位置にあることを示している時、蓋部を閉じるようモータを回転させる、こととしてもよい。
このような構成を採用した場合には、クローズ操作部を個別に設けることなく、ユーザが蓋部を若干傾けるだけでオートクローズを起動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態(基本構成)を説明する図。
図2】本発明の第2実施形態を説明する図。
図3】本発明の第2実施形態を説明する図。
図4】本発明の第3実施形態を説明する図。
図5】本発明の第4実施形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。
<第1実施形態:図1
図1は、本発明の第1実施形態(基本構成)を模式的に説明する図である。調理器10(例えば、炊飯器、パン焼き機、その他)は、調理器本体20と、その上部開口を開閉可能に塞ぐ蓋部30と、を備える。
【0014】
蓋部30は、図1(a)に示したように、何らかの付勢部材(図示せず)によって、開方向に向かって付勢されている。したがって、蓋部30を閉状態に維持するラッチ機構等を解除すれば、当該付勢部材の付勢力によって(電力に頼らずに)、自動的に蓋を開けることができる。
付勢部材は、例えば、調理器本体20と蓋部30のヒンジ回動部に設けたスプリングであるが、これに限らず、電力を使用せずに開方向への付勢力を与えることができるものであればよい。
【0015】
一方、蓋部30を閉じる際には、電力を利用してワンタッチで閉じることができる。すなわち、図1(b)に示したように、ギア機構をモータで駆動して、蓋部30を閉じる。蓋部30には、第1ギア31が不動に固定されている。第1ギア31と係合する第2ギア32をモータ駆動し、これによって、蓋部30を閉じる。
モータの駆動は、制御部によって制御される。なお、具体的な制御態様は、本発明において特定のものに限定されるものではない。
【0016】
図1に示した例では、蓋部を閉じる駆動部としてギアおよびモータを利用しているが、電力を利用してワンタッチの操作で閉じることができるものであれば、適宜の構成を採用することができる(例えば、ソレノイド等)。
【0017】
以上のように、本発明によれば、蓋部30を閉じる操作は駆動部を利用してワンタッチの操作で行うことができるが、蓋部30を開ける際には、電力に頼らない付勢部材を利用する。したがって、停電が長時間続いた場合でも、内部のご飯を取り出せなくなるという不都合は生じない。
【0018】
なお、第2ギア32が、調理器本体20側にその位置が不動に配置されている場合、第1ギアおよび第2ギア32は常に係合していることとなる。つまり、付勢部材によって蓋部30が開方向に動く時も第1、第2ギアは噛み合っている。このとき、第2ギア32を駆動させるモータには通電されていないので、付勢部材による付勢力で第2ギアが逆回転するように構成しておけば、付勢力による開蓋を妨げることはない。
【0019】
<ダンパ部材の利用>
また、本発明においては、調理器本体20と蓋部30とのヒンジ回動部に、スプリングその他のダンパ部材を配置することが好ましい。これによって、付勢部材の付勢力で開く蓋部30の勢いを受け止めて緩やかに停止させることができ、したがって、安全性および操作性を高めることができる。
【0020】
<第2実施形態:図2図3
第2実施形態では、付勢部材による開蓋操作の時に、第2ギア32を第1ギア31から離すようにしている。ギア係合を外しておくことで、開蓋操作をスムーズに行うことができる。これを実現するためのセンサ等の構成を図2に示した。
【0021】
第2ギア32(およびモータ33)がスライド移動できるように、レール21を調理器本体20側に設ける。「ギア移動部」は、第2ギア32(およびモータ33)をレール21に沿ってスライドさせる駆動手段であって、リニアモータ、その他の適宜の手段で構成することができる。
蓋部30の開閉を検知する「開閉センサ」を設け、「開閉センサ」からの信号に基づいて「制御部」が「ギア移動部」を駆動して、その結果、第2ギア32(およびモータ33)がレール21上をスライド移動する。
【0022】
「開閉センサ」は、例えばリミットスイッチ等、蓋の開閉を検知するために一般的に知られているものを、適宜使用することができる。「制御部」は、調理器内の適宜の位置に設けた制御基板(図示せず)に実装されたマイコン等で構成される。
【0023】
「クローズ操作部」は、蓋部30を閉止駆動する際、ユーザが操作するものであって、「制御部」に命令信号を送り、これを受けた「制御部」がモータ33を駆動して第2ギア32を回転させ、これによって蓋部30が閉じられる。
「クローズ操作部」は、例えば、押圧ボタン、スライドスイッチ、回転レバー、その他適宜の態様で提供される。
「クローズ操作部」は、それ専用に設けた独立の操作部であっても、他の操作に関連する別の操作部と兼用されていてもよい。
【0024】
さらに蓋部30には、開蓋操作を行う「開ボタン」を配置している。ユーザが「開ボタン」を操作すると、蓋部30を閉状態に維持するラッチ機構(不図示)が解除され、上記付勢部材の付勢力によって、蓋部30が開く。
「開ボタン」としては、ユーザが直接これを押圧するタイプや、ユーザが蓋部30を押さえることでスイッチがオンされるタイプのスイッチを採用することができる。
【0025】
図3は、図2に示した制御構成を有する調理器における蓋部30の開閉操作を模式的に説明している。図3では、簡単のため、開閉センサ等の図示は省略している。
【0026】
図3(a)では、第2ギア32は非係合位置にあって、第1ギア31から外れている。この状態では、付勢部材(不図示)の付勢力によって蓋部30が開方向に付勢されているが、ラッチ等の適当な手段によって閉蓋状態が維持されている。
「開ボタン」を押してラッチの係合を解くと、図3(b)のように、蓋部30は付勢部材の付勢力によって開く。このとき、第1、第2ギアが係合していないので、蓋部30の開動作がスムーズになる。
【0027】
「開閉センサ」によって蓋部30が開いたことが検知されると、その信号を受けた「制御部」が「ギア移動部」を駆動して、第2ギア32(およびモータ33)をスライド移動させ、第1ギア31と第2ギア32が係合する(図3c)。
この状態で、「クローズ操作部」を操作して第2ギア32を駆動させ、図3(d)に示したように、当該駆動力によって蓋部30を閉じる。
【0028】
蓋部30が閉じると、蓋部30が閉位置にあることを示す信号が「開閉センサ」から「制御部」に送られる。これを受けた「制御部」は、「ギア移動部」を駆動して、第2ギア32(およびモータ33)を図3(a)の非係合位置に位置させる。
【0029】
<第3実施形態:図4
第2実施形態では第2ギア32をスライド移動させていたが、図4の第3実施形態では第2ギアの位置は移動しない。図4(a)中に部分拡大して示したように、第2ギア132において、ギア周囲に沿って、ギア歯が存在する「ギア領域132a」と、ギア歯の存在しない「無ギア領域132b」とを設けている。
図4中に、第2ギア132を駆動させて蓋部30を閉める場合の「開始位置:図4a」、「途中位置:図4b」、「終了位置:図4c」をそれぞれ図示している。
【0030】
図4(a)の開始位置では、第2ギア132の回転方向先頭のギア歯Xが、第1ギア31のギア歯回転軌道に最大限近づいている。この状態では、第1ギア31は、第2ギア132のギア歯に干渉されることなく回転可能である。
ここから第2ギア132がA方向にさらに回転すると、図4(b)に示したように、ギア歯同士が噛み合って、蓋部30を矢印B方向に閉じることができる。
図4(c)の終了位置では、回転方向最後尾のギア歯Yが第1ギア31から外れ、第2ギア132がA方向にさらに回転させても、第1ギア31に力は伝達されない。
【0031】
第2ギア132のギア領域132aが、第1ギア31と係合していない状態であれば、
図2、3で説明した第2実施形態の場合と同様にして、蓋部30は、付勢部材の付勢力だ
けで(第2ギア132の干渉を受けることなく)、開けることが可能である。
これを実現するために、蓋部30が閉位置に来た時にギア歯Yが第1ギア31から外れることとなるように、第2ギア132の歯数を予め設定しておく。これは、蓋部30の開閉時におけるストローク、ギア径、歯の大きさ等に基づいて、適正枚数を決定できる。
【0032】
第1〜第3実施形態のように、ギア機構およびモータ33を利用して蓋部30を閉止させる場合について、モータ制御の具体的態様を幾つか例示的に説明する。これらはあくまで例示であって、他の制御態様を採用してもよい。
【0033】
<1:モータに流れる電流値に基づいて、蓋部30の閉止動作を制御する例>
図2に示しているように、制御部は、モータ33に電力を供給する電源基板を介してモータ33を制御し、電源基板には電流計が設けられている。そして、制御部は、蓋部30を閉方向へ電力駆動する際にモータ33に流れる電流値をモニタリングする。
第2実施形態(図2)の構成例では、蓋部30が閉位置に到達すると、モータ33の負荷が大きくなって電流値が増大する。つまり、電流値が増大して(予め決めた)所定値となったときに蓋部30が閉じたものと判断できる。そして、電流値が当該所定値に達した時、制御部は、モータ33の回転を停止させる。
一方、第3実施形態(図4)の構成例では、蓋部30が閉位置に到達すると、第1ギアと第2ギアの係合が外れるのでモータ33の負荷が小さくなって電流値が小さくなる。つまり、電流値が小さくなって(予め決めた)所定値となったときに蓋部30が閉じたものと判断できる。そして、電流値が当該所定値に達した時、制御部は、モータ33の回転を停止させる。
【0034】
例えば、閉止する蓋30部に指が挟まれた場合においても、モータ負荷の増大に起因して電流値が増大する。したがって、以上のような電流値をモニタリングする制御態様においては、電流値が(予め決めた)所定値となったときにモータを反転させる(例えば、挟まった指を抜ける程度に若干の角度だけ反転させ、その後停止させる)ことで、そのような事態を速やかに解消できる。
【0035】
<2:モータの回転開始からの経過時間に基づいて、蓋部30の閉止動作を制御する例>
この場合、制御部内のタイマーによって、蓋部30を閉方向へ電力駆動する際にモータ33に電流が流れ始めてからの時間を計測する。そして、制御部は、予め定めた所定時間が経過した時、モータ33の回転を停止させる。
この制御では、時間の経過だけを見て、所定時間を経過した時に、無条件にモータを停止させる。所定時間は、蓋部30が開位置から閉位置へと移動するのに必要な所要時間に基づいて、予め決めることができる。
【0036】
<3:蓋部30の傾斜角度に基づいて、蓋部30の閉止動作を制御する例>
この制御を行うためには、一般的に知られている角度センサを蓋部30内に設ける。そして、制御部は、角度センサから受信した信号が、蓋部30が閉位置にあることを示している時に、モータの回転を停止させる。蓋部30が閉位置にある場合の角度は、一般的には水平であるが、所定の角度で傾斜している場合も考えられる。いずれの場合も、具体的な角度値を予め知ることができる(この値を「閉止角度」とする)。
例えば、角度センサからの信号を制御部が常時モニタリングして、受信した信号値が「閉止角度」に一致したときにモータを停止させてもよいし、蓋部30の傾斜が「閉止角度」に達した時にだけ、そのことを示す信号を制御部に送るように構成してもよい。
【0037】
角度センサを蓋部30に設ける場合には、当該角度センサを利用して、上記「クローズ操作部」(図2参照)と実質的に同等の機能を果たすことができる。
すなわち、開状態にある蓋部30にユーザが少しだけ閉方向へ力を加えたとき、蓋部30の角度変化が生じる。制御部は、蓋部30が開位置から閉位置よりに予め定めた所定角度の位置にあることを示している時、蓋部を閉じるようモータを回転させる。例えば、角度センサからの信号を制御部が常時モニタリングして、受信した信号値が当該「所定角度」に一致したときにモータを回転させてもよいし、蓋部30の傾斜が当該「所定角度」に達した時にだけ、そのことを示す信号を制御部に送るように構成してもよい。
【0038】
<第4実施形態:図5
図5に示す第4実施形態では、蓋部30を閉じる駆動部としてソレノイド40を用いている。
【0039】
図5(a)では、ソレノイド40の可動鉄心41は退避していて、第1実施形態等と同様に付勢部材による付勢力によって蓋部30は開いた状態にある。ソレノイド40を作動させ、可動鉄心41を突出させると、付勢力に抗して蓋部30が閉じられる。図5(b)はこの状態を示しており、蓋部30は不図示のラッチ機構によって閉状態に維持されている。この後、図5(c)に示したように(不図示の復帰バネによって)可動鉄心41が退避する。
したがって、図5(c)の状態から(開ボタンを押す等して)ラッチ機構を外して蓋部30を開ける際に、蓋部30の回動を可動鉄心41が妨げることがない。したがって、蓋部30をスムーズに開くことができる。
【0040】
駆動部をソレノイドで構成する場合には、制御が簡単になるというメリットがある。すなわち、コイル(不図示)に通電するだけで可動鉄心41が突出して蓋部が閉じられる。通電を止めると復帰バネ(不図示)で可動鉄心41が自動的に退避し、次に蓋部30を開ける場合に、鉄心41が付勢部材の付勢力による蓋部30の開方向への移動を妨げることもない。
【0041】
なお、第1〜第3実施形態のように、駆動部をギアおよびモータで構成する場合には、モータの回転速度の調整(すなわち、閉操作における蓋部の移動速度の調整)が、ソレノイドの場合に比べて容易になる。
【符号の説明】
【0042】
10 調理器
20 調理器本体
21 レール
30 蓋部
31 第1ギア
32 第2ギア
33 モータ
40 ソレノイド
41 可動鉄心
132 第2ギア
132a ギア領域
132b 無ギア領域
図1
図2
図3
図4
図5