(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567963
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】空気流の中にイオンを噴射するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01T 23/00 20060101AFI20190819BHJP
H01T 19/00 20060101ALI20190819BHJP
F24F 7/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/00
F24F7/00 B
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-234378(P2015-234378)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-131143(P2016-131143A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】10201500012R
(32)【優先日】2015年1月2日
(33)【優先権主張国】SG
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515261251
【氏名又は名称】ナチュリオン ピーティーイー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ガン セム ヤム
(72)【発明者】
【氏名】テオ チューン メン
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−274475(JP,A)
【文献】
特開2001−085188(JP,A)
【文献】
特開2005−050689(JP,A)
【文献】
特開2004−146660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 〜 23/00
B03C 3/38
F24F 6/00
F24F 7/00
A61L 9/22
C01B 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流の中にイオンを噴射するためのデバイスであって、
ハウジングと、
圧電トランスを有する、前記ハウジングの内側の電気回路と、
前記電気回路に結合されてイオンを放出する電気的に伝導性の要素であって、該伝導性の要素の少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、前記空気流の少なくとも一部に露出可能である、電気的に伝導性の要素と、
前記電気回路における前記圧電トランスの近傍において前記ハウジングの内側に配置され、前記圧電トランスの温度を制御するために前記圧電トランスに熱的に結合された加熱要素と、
を備える、空気流の中にイオンを噴射するためのデバイス。
【請求項2】
前記ハウジングの内側に配置され、前記圧電トランスにおける温度、または前記圧電トランスの近傍の温度を感知するように構成された温度センサをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記温度センサにより感知された温度に応じて、前記加熱要素を制御するためのフィードバック回路を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは空気流に対するチャネルを画定するように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ハウジングはリング状のものであり、前記チャネルは前記リング状のハウジングの中空中心部により提供される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記圧電トランスは、空気流の中にイオンを噴射するために、前記チャネルに隣接した前記ハウジングのチャンバの内側に配置される、請求項4または5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記チャンバは、前記圧電トランスの一部を前記空気流の前記一部に露出するための開口部を備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記加熱要素は前記圧電トランスと積み重ねて配置される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
空気流を生成するための空気流デバイスに前記デバイスを結合するための結合要素をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記結合要素は、前記デバイスを前記空気流デバイスに調整可能に結合するように構成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記圧電トランスは、前記電気回路に結合されて陰イオンを放出する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングは、材料、コーティング、および/またはライニング層のうちの1つまたは複数のものを選択することにより、熱的に絶縁されるように構成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
空気流の中にイオンを噴射する方法であって、
ハウジングを提供するステップと、
前記ハウジングの内側に圧電トランスを有する電気回路を提供するステップと、
前記電気回路に結合されてイオンを放出する電気的に伝導性の要素を提供するステップであって、該伝導性の要素の少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、前記空気流の少なくとも一部に露出可能である、伝導性の要素を提供するステップと、
前記電気回路における前記圧電トランスの近傍において前記ハウジングの内側に加熱要素を配置し、該加熱要素は前記圧電トランスの温度を制御するために前記圧電トランスに熱的に結合されるステップと、
を含む、空気流の中にイオンを噴射する方法。
【請求項14】
前記ハウジングの内側に温度センサを配置するステップをさらに含み、前記温度センサは、前記圧電トランスにおける温度、または前記圧電トランスの近傍の温度を感知するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記温度センサにより感知された温度に応じて前記加熱要素を制御するためのフィードバック回路を提供するステップを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ハウジングは空気流に対するチャネルを画定するように構成される、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ハウジングはリング状のものであり、前記チャネルは前記リング状のハウジングの中空中心部により提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
空気流の中にイオンを噴射するために、前記チャネルに隣接した前記ハウジングのチャンバの内側に前記圧電トランスの一部を配置するステップを備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記チャンバは、前記圧電トランスの前記一部を前記空気流の前記一部に露出するための開口部を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱要素を前記圧電トランスと積み重ねて配置するステップを備える、請求項13乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
空気流を生成するための空気流デバイスに前記ハウジングを結合するステップをさらに含む、請求項13乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ハウジングは前記空気流デバイスに調整可能に結合される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記圧電トランスを前記電気回路に結合して陰イオンを放出するステップを備える、請求項13乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ハウジングは、材料、コーティング、および/またはライニング層のうちの1つまたは複数のものを選択することにより、熱的に絶縁されるように構成される、請求項13乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは空気流の中にイオンを、詳細には陰イオン(negative ion)を噴射するためのデバイスおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、シンガポール特許出願第10201500012R号(出願日2015年1月2日)の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
例えば、空気イオン化装置などのイオン化装置は、空気に陰イオンを放出するために使用することができ、それは、陰イオンを有する空気に曝された人間に対して好ましい効果を与えることができる。特許文献1には、イオン化を高めるために、イオン化装置のチャンバを通過中に気体の流れを加熱する加熱要素を有するイオン発生器が記載されている。特許文献2には、露出された表面上の水分など、吸収された物質を取り除くために、イオン生成用の誘電性材料の露出された表面の加熱に使用される抵抗加熱要素を備えたイオン発生器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3943407号
【特許文献2】米国特許第4783716号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、イオンの安定した生成を行うための少なくとも代替的な解決策を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、空気流の中にイオンを噴射するデバイスが提供される。該デバイスは、ハウジングと、該ハウジングの内側の電気回路と、該電気回路に結合されてイオンを放出する電気的に伝導性の要素を備える。該伝導性要素の少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、空気流の少なくとも一部に露出可能である。該デバイスは、さらに、該電気回路の1つまたは複数の回路要素を加熱するために該ハウジングの内側に配置された加熱要素を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、空気流の中にイオンを噴射する方法が提供される。該方法は、ハウジングを提供するステップと、該ハウジングの内側に電気回路を提供するステップと、該電気回路に結合されてイオンを放出する電気的に伝導性の要素を提供するステップを備える。該伝導性要素の少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、空気流の少なくとも一部に露出可能である。該方法は、さらに、該電気回路の1つまたは複数の回路要素を加熱するために、該ハウジングの内側に加熱要素を配置するステップを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】例示的な実施形態による空気流の中にイオンを噴射するためのデバイスの概略図である。
【
図1b】
図1aのデバイスの概略的な横断面図である。
【
図2】
図1のデバイスのハウジングの内側に配置された電気回路の概略的な回路図である。
【
図3】
図2の電気回路の例示的な一実施形態を示す回路図である。
【
図4】例示的な実施形態によるデバイスの応用例を示す概略図である。
【
図5】例示的な実施形態によるデバイスの他の応用例を示す概略図である。
【
図6】一実施形態による空気流の中にイオンを噴射する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、当業者であれば、例示的なものにすぎないが、図面と併せて以下の記述からよく理解され、かつ容易に明らかになろう。本発明の実施形態は、イオンの安定した生成を行うために、空気流の中にイオンを噴射するためのデバイスおよび方法に関する。
【0010】
図1aは、例示的な実施形態による空気流110の中にイオンを噴射するためのデバイス100を示す。デバイスは、実質的にリング状のハウジング102を備える。電気的な回路板104および加熱要素105は、ハウジング102の内側に配置される。
【0011】
図1bは、加熱要素105の領域におけるリング状のハウジング102の概略的な横断面図を示す。加熱要素105は、回路板104に形成された開口部またはスロット107内に配置される。圧電トランス103の温度を制御する熱的結合のために、発泡タイプの両面テープ101を使用して、加熱要素105の上の領域に圧電トランス103を取り付ける。
【0012】
図1aに戻ると、一端に先端部分108を有する(または形成する)1本または一束のケーブル106の形の電気的に伝導性の要素が、イオンを放出するために電気回路104に結合される。先端部分108は、空気流110の中にイオンを噴射するためのグリル状の開口部111を備えたハウジング102のチャンバ109内に配置される。グリル状の開口部111は、空気流110の少なくとも一部に先端部分108を露出するために、ハウジング102の材料に形成されたスロット(例えば113)を含む。空気流110の中へのイオンの噴射を可能にするために、様々な設計タイプの開口部が提供され得ることが理解されよう。例示的な実施形態では、グリル状の開口部111は、使用時に、空気流110に対して上流に向いているデバイス100の一方の側に形成される。空気流110は空気流110の一部がチャンバ109の中に入ることに加えて、グリル状の開口部111を通って再度チャンバ109から空気がさらに引き出されるのを容易にする乱流パターンを生ずることができ、したがって、空気流110の中へのイオン112の効率的な噴射を容易にすることが本発明者らにより見出された。
【0013】
この例示的な実施形態では、加熱要素105及び圧電トランス103は、空気流110との熱交換を好適に最小化する(または阻止する)ために、チャンバ109から離れて配置される。先端部分108は、空気流110に露出される1つまたは複数のフィンまたは1つまたは複数のケーブル端を有することができ、したがって、イオンは、1つもしくは複数のフィン、または1つもしくは複数のケーブル端を介して空気流110の中に放出され得る。フィンまたはケーブル端は、伝導性の材料から作ることができる。例えば、20個のフィンまたはケーブル端など、複数のフィンまたはケーブル端を提供することができる。複数のフィンまたはケーブル端を有する先端部分108は、ブラシの形状を有することができる。複数のフィンまたはケーブル端は、扇形に広がった構成で配置され得る。先端部分108は、空気流110の中に噴射するために陰イオン(negative ion)112を放出することができる。
【0014】
図1で示すように、ハウジング102は、空気流に対するチャネルを画定するように構成され、この実施形態におけるチャネルは、実質的にリング状のハウジング102の中空中心部114により提供される。
【0015】
先端部分108からイオンを放出するための対電極として、電極118が設けられる。この実施形態の電極118は、先端部分108に対して実質的に直径に沿って反対側に、かつ中空中心部114の方向を向いて配置される。電極118は、点線107で示されるように、圧電トランス103のアースピンに電気的に接続される。当業者であれば理解されるように、動作において、対電極118と先端部分108の間の電界は、空気流110の中へのイオン112の噴射を容易にする。
【0016】
デバイス100は、空気流を生成する外部の空気流デバイス(図示せず)にデバイス100を結合するためのクリップ120の形の結合要素をさらに備える。この実施形態のクリップ120は、ハウジング102の中空中心部114により画定される平面に対して実質的に直角な方向に、かつ空気流110に対して上流に向いているハウジングの壁122上に配置される。クリップ120は、ハウジング102に取り付けられる、またはハウジング102と少なくとも部分的に一体に形成され得る。この実施形態のクリップ120は、ベース部分124と把持部分126とを備える。把持部分126は、外部の空気流デバイスにデバイス100を調整可能に結合するために、ベース部分124に対して回転可能である。
【0017】
図2は、ハウジング102(
図1)の内側に配置された回路板104上に形成された電気回路201の概略的な回路図を示す。電気回路201は、この実施形態では、約5Vの入力電力を提供するための直流(DC)電源200を備える。電源200は、電池および/または再充電可能電池(例えば、カーバッテリー)および/または発電機および/または光電池および/または燃料電池および/または水素燃料電池および/または電源プラグ(例えば、公共の送電網に、または例えば、車もしくは自動車の低電圧電源出力などの局所化された送電網に、直接もしくは中間的なデバイスを介して結合されるように構成されたものなど)とすることができる、またはそれらを含むことができる。
【0018】
電気回路201はまた、圧電高電圧発生器またはトランス103を駆動するために、一定した信号を提供するための圧電駆動回路202を備える。圧電トランス103は、高電圧を生成するように機能する高い誘電率を有するセラミック材料から作ることができる。フィードバック回路206は高電圧出力を所望するレベルに維持するために設けられる。
【0019】
当業者であれば理解されるように、例示的な実施形態で使用される圧電トランスはAC電圧逓倍器のタイプである。入力と出力の間で磁気結合を使用する従来のトランスとは異なり、圧電トランスは音響結合を使用する。入力電圧は、例えば、圧電セラミック材料などのバーの短い長さにわたり入力電圧が加えられ、逆の圧電効果によりバーに交番応力を生成し、かつバー全体を振動させる。振動周波数は、そのブロックの共振周波数となるように選択される。次いで、圧電効果によりバーの他の部分にわたって、より高い出力電圧が生成される。圧電効果は、機械的な状態と電気的な状態の間の線形な電気機械的相互作用として理解される。
【0020】
電気回路201はまた、圧電トランス103からの高いAC電力を負のDC高電圧(HV)へと変換するためのAC/DC逓倍器208を備える。負のHV出力210は、先端部分108(
図1)で空気流110(
図1)の中にイオンを噴射するための1本または一束のケーブル106の形の電気的に伝導性の要素に結合されるように提供される。
【0021】
加熱器回路212は、この実施形態の圧電トランス103において(あるいはその近傍で)、すなわち、装置100(
図1)が露されている環境温度の変動に関係なく、望ましい温度を維持するための加熱要素105を備える。一実施形態では、加熱要素105は抵抗性の加熱器として実施され、抵抗性の加熱器における温度を制御するための加熱器駆動回路214に結合される。駆動回路214は、ハウジング102(
図1)内の回路板104上の電気回路201の1つまたは複数のコンポーネントの望ましい動作温度を維持するために、温度センサ216からのフィードバックに基づいて、抵抗性の加熱器における動作電流を切り換えてオン/オフするように構成することができる。温度センサ216は、例えば、センサとして動作する、すなわち、それが受ける温度に依存する抵抗を有するサーミスタとして実施することができる。温度センサ216は、上記で述べたように加熱器駆動回路214へのフィードバックを提供する。
【0022】
加熱器回路212は、電源200に結合しても良いし、異なる実施形態では、別個の電源を備えても良い。あるいは、両者を併用しても良い。
【0023】
一実施形態では、加熱要素105は回路板104の開口部107の内側に位置する(
図1b参照)。加熱器駆動器214およびセンサ216などの加熱器回路212の他の構成要素は、回路板104上に形成され、センサ216は圧電トランス103の近くに配置される。
【0024】
図3は、それぞれが、
図2を参照して上述したように機能する電源200、圧電駆動回路202、圧電トランス103、フィードバック回路206、AC/DC逓倍器208、負のHV出力210、加熱要素105、加熱器駆動回路214、および温度センサ216に対する各回路部分を備えた、電気回路201の1つの非限定的な例示的実施形態を示す回路図を示している。
【0025】
図4は、例示的な実施形態によるデバイス100の一応用例を示す概略図を示す。この応用例のデバイス100は、車402の空調ユニット(図示せず)の出口400に結合されている。デバイス100はクリップ(隠れている)により出口400に調整可能に結合され、これにより、実質的にリング状のハウジング102の横方向および回転方向の動きを可能にする。このようにして、中空中心部114が、出口400に対して、あるいは車402の内部に対して、あるいはその両者に対して、最適に、または望ましい位置に配置される。
【0026】
出口400からの調節された空気流は、調節された流れの中に陰イオンを噴射するように、少なくとも部分的に中空中心部114を通って導かれる。イオン噴射の効率は、デバイス100の1つまたは複数の回路構成要素の望ましい動作温度からの変動により悪影響を受けるおそれのあることが見出されてきた。
【0027】
デバイス100の1つまたは複数の回路構成要素の温度を制御するために、ハウジング102の内側に、かつ1つまたは複数の回路構成要素に近接/熱的結合させて加熱器を設けることにより、1つまたは複数の回路構成要素の温度を、デバイス100付近の周囲温度に直接影響を与えることなく制御できるので有利であり、イオンと共に噴射するようにデバイス100の中空中心部114を通過する調節された空気流に対して、熱的影響を低減させる、または実質的に熱的影響のない結果が得られることが好ましい。これは、例えば、空調ユニットの望ましい冷却効果に対する悪影響を回避する、または低減することができるので有利である。ハウジング102は、材料(複数可)、コーティング、および/またはライニング層(複数可)などの1つまたは複数のものから選択することなどにより、熱的に絶縁するように特に構成することができる。例示的な実施形態では、加熱器、および関連する1つまたは複数の回路構成要素は、好ましくは、空気流との熱交換をさらに最小化する、または阻止するように、チャンバ109(
図1)から離れて配置される。
【0028】
上記で述べたように、デバイス100は、クリップ(隠れている)により、出口400に調整可能に結合され、中空中心部114を、出口400に対して、かつ/または車402の内部に対して最適に、または望ましい位置に配置されるように、実質的にリング状のハウジング102の横方向および回転方向の動きを可能にする。これは、例えば、車402の内側の1人または複数の人物の方向になど、イオンを含んで噴射された空気流の望ましい方向、および/または強さに対する容易な調整を可能にするので有利であり得る。
【0029】
図5は、例示的な実施形態によるデバイス100の他の応用例を示す概略図を示す。この応用例のデバイス100は、部屋502の内部の空調ユニット501の出口500に結合されている。デバイス100は、クリップ(隠れている)により出口500に調整可能に結合され、中空中心部114が、出口500に対して、かつ/または部屋502の内部に対して最適に、または望ましい位置に配置されるように、実質的にリング状のハウジング102の横方向および回転方向の動きを可能にする。
【0030】
出口500からの調節された空気流は、調節された流れの中に陰イオンを噴射するように、少なくとも部分的に中空中心部114を通って導かれる。前述のように、イオンの噴射の効率は、デバイス100の1つまたは複数の回路構成要素の望ましい動作温度からの変動により、悪影響を受けるおそれがあることが見出されてきた。
【0031】
デバイス100の1つまたは複数の回路構成要素の温度を制御するために、ハウジング102の内側に、かつ1つまたは複数の回路構成要素に近接/熱的結合させて加熱器を設けることにより、1つまたは複数の回路構成要素の温度は、デバイス100付近の周囲温度に直接影響を与えることなく制御できるので有利であり、イオンと共に噴射するようにデバイス100の中空中心部114を通過する調節された空気流に対して、熱的影響を低減させる、または実質的に熱的影響のない結果が得られることが好ましい。これは、例えば、空調ユニットの望ましい冷却効果などに対する悪影響を回避する、または低減することができるので有利である。ハウジング102は、材料(複数可)、コーティング、および/またはライニング層(複数可)などの1つまたは複数のものを選択することなどにより、熱的に絶縁するように特に構成することができる。例示的な実施形態では、加熱器、および関連する1つまたは複数の回路構成要素は、好ましくは、空気流との熱交換をさらに最小化する、または阻止するように、チャンバ109(
図1)から離れて配置される。
【0032】
上述のように、デバイス100は、クリップ(隠れている)により、出口500に調整可能に結合され、中空中心部114を、出口500に対して、かつ/または部屋502の内部に対して最適に、または望ましい位置に配置されるように、実質的にリング状のハウジング102の横方向および回転方向の動きを可能にする。これは、例えば、部屋502の内部の1人または複数の人物の方向になど、イオンを含んで噴射された空気流の望ましい方向、および/または強さに対する容易な調整を可能にするので有利であり得る。
【0033】
一実施形態では、空気流の中にイオンを噴射するためのデバイスは、ハウジングと、ハウジングの内側の電気回路と、イオンを放出するための電気回路に結合された電気的に伝導性の要素であり、その少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、空気流の少なくとも一部に露出可能である、伝導性の要素と、電気回路の1つまたは複数の回路要素を加熱するために、ハウジングの内側に配置された加熱要素とを備える。
【0034】
デバイスは、ハウジングの内側に配置され、かつ1つまたは複数の回路要素における、またはその近傍の温度を感知するように構成された温度センサをさらに備えることができる。デバイスは、温度センサにより感知された温度に応じて、加熱要素を制御するためのフィードバック回路を備えることができる。
【0035】
ハウジングは、空気流に対するチャネルを画定するように構成することができる。ハウジングは、実質的にリング状のものとすることができ、チャネルは、実質的にリング状のハウジングの中空中心部により提供される。伝導性の要素の一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、チャネルに隣接するハウジングのチャンバの内側に配置することができる。チャンバは、空気流の一部に伝導性の要素の一部を露出するための開口部を備えることができる。
【0036】
1つまたは複数の回路要素は、圧電トランスを含むことができる。加熱要素は、圧電トランスと積み重ねて配置することができる。
【0037】
デバイスには、空気流を生成するための空気流デバイスにデバイスを結合する結合要素をさらに備えることができる。結合要素は、デバイスを空気流デバイスに調整可能に結合するように構成され得る。
【0038】
電気的に伝導性の要素は、陰イオンを放出するために、電気回路に結合することができる。
【0039】
ハウジングは、材料、コーティング、ライニング層のうちの1つまたは複数のものから選択することなどにより、熱的に絶縁されるように構成することができる。
【0040】
図6は、一実施形態による空気流の中にイオンを噴射する方法を示す流れ
図600を示している。ステップ602でハウジングが提供される。ステップ604で電気回路がハウジングの内側に提供される。ステップ606で電気回路に結合されてイオンを放出するための電気的に伝導性の要素が提供される。伝導性要素の少なくとも一部は、空気流の中にイオンを噴射するために、空気流の少なくとも一部に露出可能である。ステップ608で加熱要素が、電気回路の1つまたは複数の回路要素を加熱するために、ハウジングの内側に配置される。
【0041】
噴射方法は、ハウジングの内側に温度センサを配置するステップをさらに含むことができ、温度センサは、1つまたは複数の回路要素における、またはその近傍の温度を感知するように構成される。噴射方法は、温度センサにより感知された温度に応じて加熱要素を制御するためのフィードバック回路を提供するステップを含むことができる。
【0042】
ハウジングは、空気流に対するチャネルを画定するように構成することができる。ハウジングは、実質的にリング状のものとすることができ、チャネルは、実質的にリング状のハウジングの中空中心部により提供される。噴射方法は、空気流の中にイオンを噴射するために、チャネルに隣接したハウジングのチャンバの内側に伝導性の要素の一部を配置するステップを含むことができる。チャンバは、空気流の一部に対して、伝導性要素の一部を露出するための開口部を備えることができる。
【0043】
1つまたは複数の回路要素は、圧電トランスを備えることができる。噴射方法は、加熱要素を圧電トランスと積み重ねて配置するステップを含むことができる。
【0044】
噴射方法は、空気流を生成する空気流デバイスにハウジングを結合するステップをさらに含むことができる。ハウジングは空気流デバイスに調整可能に結合することができる。
【0045】
噴射方法は、陰イオンを放出するために、電気的に伝導性の要素を電気回路に結合するステップを含むことができる。
【0046】
ハウジングは、材料、コーティング、ライニング層のうちの1つまたは複数のものを選択することなどにより、熱的に絶縁されるように構成することができる。
【0047】
広く述べられた本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示された本発明に対して、数多くの変形および/または変更を加え得ることが当業者には理解されよう。本実施形態は、したがって、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきである。さらに本発明は、特徴の任意の組合せを、特に特許請求の範囲における特徴の任意の組合せを、その特徴もしくは特徴の組合せが、特許請求の範囲もしくは本実施形態で明示的に指定されていない場合であっても含むことができる。
【0048】
デバイス、特にハウジングは、述べられた例示的な実施形態において特定の形状および相対的な寸法で示されているが、異なる実施形態では、デバイスは、他の形状および/または寸法を有し得ることが理解されよう。
【0049】
さらに、例示的な用途は、デバイスが空気流デバイスの外部で空気流デバイスに結合される使用例を示しているが、デバイスを空気流デバイスの内側に配置することもできる。
【0050】
さらに例示的な用途において空調ユニットが述べられているが、デバイスは、別の空気流デバイスを用いて使用される。
【0051】
さらに圧電トランスの動作温度を制御することが、例示的な実施形態で述べられているが、別の実施形態では、代替的に、またはさらに1つまたは複数の他の構成要素の動作温度を制御することができる。