(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(通信システムの構成)
図1は、本実施形態に係る通信システムのネットワーク構成の一例を示す概略図である。
本実施形態に係る通信システム1は、CP(Contents Provider;コンテンツプロバイダ)サーバと端末との間で行われる通信を制御するシステムである。通信システム1は、例えば、無線技術の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)によって仕様が定義されたLTE(Long Term Evolution)方式の無線通信の無線アクセス網を含んで構成される。
【0017】
図1に示すように、通信システム1は、通信制御装置10(情報処理装置)と、EPC(Evolved Packet Core)20と、CPサーバ30−1と、CPサーバ30−2と、CPサーバ31と、閉域網40と、インターネット50と、無線アクセス網60と、端末70と、端末71と、HSS(Home Subscriber Server)80と、課金サーバ90と、を含んで構成される。
【0018】
通信制御装置10は、CPサーバと端末との間における通信の優先制御を行う。通信制御装置10の機能構成の詳細については後述する。
EPC20は、認証、移動制御、ベアラ管理、課金、QoS(Quality of Service)制御など行う。EPC20は、P−GW(Packet Data Network Gateway)200と、S−GW(Serving Gateway)201と、PCRF(Policy and Charging Rules Function)202と、MME(Mobility Management Entity)203と、を含んで構成される。
【0019】
P−GW200は、EPC20の外部のネットワークとの接続点であり、IP(Internet Protcol)アドレスの割当てや、S−GW201へのパケット転送などを行うゲートウェイである。S−GW201は、LTEの無線通信基地局であるeNodeB600を収容し、ユーザデータを伝送するゲートウェイである。
PCRF202(優先制御部)は、通信のQoS制御、優先制御、および課金のための制御を行う。また、PCRF202は、通信制御装置10から送信された情報に基づいて通信の優先制御を行うことがある。MME203は、eNodeB600を収容し、端末の移動管理、および端末の認証(セキュリティ制御)などを行う。
【0020】
CPサーバ30−1およびCPサーバ30−2は、優先通信の対象となる特定のウェブサイト等を公開するCPサーバであり、当該CPサーバと端末(例えば、端末70、または端末71)との間の通信は、通信制御装置10による優先制御によって優先的に行われることがある。なお、CPサーバ30−1のように、閉域網40を介してEPC20と通信接続するCPサーバもあれば、CPサーバ30−2のように、インターネット50を介してEPC20と通信接続するCPサーバもある。
CPサーバ31は、優先通信の対象ではない一般のウェブサイトを公開するCPサーバである。なお、後述するように、CPサーバ31と端末71との間の通信は、優先的に行われない。
【0021】
なお、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、およびCPサーバ31が公開するのはウェブサイトに限られるものではなく、その他のコンテンツ(例えば、映像データ、音声データ、およびテキストデータ)やアプリケーションであってもよい。
また、説明を簡略するため、
図1においては、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、およびCPサーバ31は、1つずつしか図示していないが、それぞれ複数あってもよい。
【0022】
閉域網40は、通信事業者が自社のサービスとして構築した「閉じた」ネットワークである。ここでいう「閉じた」とは、インターネット50から直接アクセスを受けないことを意味する。
無線アクセス網60は、EPC20と端末(端末70、および端末71)との間の通信を中継する無線ネットワークである。無線アクセス網60は、例えば、LTE方式での無線通信を実現するアクセス網であるE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)である。無線アクセス網60は、eNodeB(evolved Node B)600を含んで構成される。eNodeB600は、LTE方式での無線通信に対応した無線基地局である。
【0023】
端末70は、優先通信の対象となる特定の端末であり、当該端末とCPサーバ(例えば、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、またはCPサーバ31)との間の通信は、通信制御装置10による優先制御によって優先的に行われることがある。
端末71は、優先通信の対象ではない一般の端末である。優先通信の対象ではない端末71と優先通信の対象ではないCPサーバ31との間の通信は、優先的に行われない。
【0024】
なお、上記の説明においては、CPサーバ30−1およびCPサーバ30−2が行う通信は優先的に行われることがあり、CPサーバ31が行う通信は優先的に行われることがないというように、サーバ毎に通信が優先的に行われることがあるか否かが決まるものとしたが、これに限られない。例えば、それぞれのCPサーバに含まれるサイト毎に通信が優先的に行われることがあるか否かが決まるような構成であってもよい。すなわち、例えば、ある特定のサイトへのアクセスが行われる通信の場合には優先通信が行われ、特定のサイト以外のサイトへのアクセスが行われる通信の場合には優先通信が行われないような構成であっても構わない。
【0025】
HSS80は、通信システム1による通信サービスの提供を受ける加入者(ユーザ)の加入者情報データベースであり、認証情報の管理および端末(端末70および端末71)の在圏情報の管理を行う。
課金サーバ90は、CPサーバ(CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、およびCPサーバ31)または端末(端末70、および端末71)に対して課金を行うためのシステムであり、例えば、オンライン課金システム(OCS;Online Chaerging System)、またはオフライン課金システム(OFCS;Offline Chaerging System)を含んで構成される。
【0026】
(通信制御装置の構成)
次に、通信制御装置10の機能構成について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る通信制御装置の機能構成を示すブロック図である。
通信制御装置10は、取得部100と、優先度判定部101と、優先制御情報生成部102と、送信部103と、検出部104と、を含んで構成される。
【0027】
取得部100は、EPC20から(PCRF202を介して)通信データを取得する。ここでいう通信データとは、EPC20において行われるそれぞれの通信に関する付随情報(メタデータ)を示すデータである。通信データには、優先通信が行われる際の通信の優先度を判定するために用いられる情報、例えば、通信を行う装置を識別する装置識別情報(例えば、当該通信を行う端末を識別する端末識別情報、および当該通信を行うCPサーバを識別するCPサーバ識別情報)などが含まれる。通信データは、例えば、当該通信の要求元または要求先の装置(例えば、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、または端末70)が生成し、EPC20へ送信するデータである。また、通信データは、例えば、当該通信の要求元または要求先の装置(例えば、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、または端末70)におけるユーザからの操作入力に基づいて送信されるデータである。
【0028】
なお、装置識別情報には、端末識別情報およびCPサーバ識別情報だけでなく、通信装置を識別する識別情報が用いられてもよい。または、装置識別情報には、ユーザを特定することができる識別情報、例えば、シム(SIM;Subscriber Identity Module)カードの識別番号が用いられてもよい。
なお、通信データに含まれる情報のその他の例については後述する。
【0029】
優先度判定部101は、取得部100が取得した通信データを解析し、当該通信データが示す通信接続要求が所定の条件(第1条件)を満たす場合、当該通信データに基づいて通信の優先順位(例えば、通信帯域の割当ての優先順位、またはタイムスロットの割当ての優先順位)を特定するための優先度を判定する。優先度は、例えば、「クラス1」、「クラス2」、・・・、および「クラス9」のように、優先順位を示すクラスによって表される。例えば、「クラス1」と判定された通信は最も優先順位が高く、「クラス9」と判定された通信は最も優先順位が低い。
【0030】
なお、通信データの解析結果によっては、優先度判定部101は、当該通信データに対応する通信に対する優先度の判定を行わなくてもよい。その場合、優先度の判定が行われなかった通信の優先順位は、例えば、最も低い優先順位とされる。
なお例えば、通信データは、IPパケットのデータ部分(ペイロード)を含むデータであり、通信制御装置10は、優先度判定部101においてペイロードを解析するDPI(Deep Packet Inspection)機能を有する装置であってもよい。
【0031】
優先制御情報生成部102は、優先度判定部101による判定の結果に基づいて、優先制御情報を生成する。優先制御情報には、優先通信における優先内容、例えば、優先度判定部101によって判定された優先度に応じた通信帯域の割当量、または優先度に応じたタイムスロットの割当量などを示す情報が含まれる。
送信部103は、PCRF202に対して、優先制御情報と優先制御の対象となる通信を識別するための識別情報(例えば、端末識別情報、またはCPサーバ識別情報)を送信する。これにより、PCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10から受信した識別情報によって識別される特定の通信に対して、通信制御装置10から受信した優先制御情報に応じた優先通信を行うように(例えば、優先制御情報が示す通信帯域、またはタイムスロットを割り当てるように)P−GW200(優先実行部)を制御することができる。
【0032】
なお、PCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10(情報処理装置)から受信した優先制御情報だけでなく、例えばP−GW200から受信した通信装置の障害情報(例えば、EPC20、または無線アクセス網60において生じた障害の障害情報)と組み合わせて、優先制御を行うか否かの判定処理を行ってもよい。
例えば、通信装置の障害情報とは、端末を収容する通信装置に隣接する別の通信装置が故障している状態、或いは、端末が経由する基幹伝送路を構成する通信装置で故障が発生している状態を示す情報などであり、端末を収容する通信装置の以遠で障害が発生しているため、優先制御を行わないなどの判定処理を行うことができる。
【0033】
なお、本実施形態に係る通信システム1においては、通信制御装置10が優先度判定部101を備え、EPC20がPCRF202(優先制御部)およびP−GW200(優先実行部)を備えるものとしたが、これに限られない。例えば、通信システム1は、優先度判定部101、優先制御部、および優先実行部をそれぞれ異なる装置に備える構成であってもよい。または、例えば、通信システム1は、優先度判定部101、優先制御部、および優先実行部の一部または全部を、同一の装置に備える構成であってもよい。
【0034】
検出部104は、EPC20における通信の通信状態を検出した結果(通信状況)を示すデータ(以下、検出データとも言う)を、EPC20から(PCRF202を介して)取得する。ここでいう通信状態とは、通信トラフィック、例えば、通信帯域の使用率やスループットなどによって示される通信の状態(通信品質)を示すデータである。
優先度判定部101は、検出データを検出部104から取得する。優先度判定部101は、取得した検出データが示す通信状況に基づいて、優先制御するか否かを判定する。
【0035】
すなわち、優先度判定部101は、取得した検出データが示す通信状況によっては、新たな優先通信を行わないよう優先度の判定を行わないこともある。例えば、優先度判定部101は、EPC20において行われている通信全体において通信トラフィック量が所定の量よりも多い場合(すなわち、通信が混み合っている場合)、または、EPC20において行われている通信全体において優先通信が占める割合が所定の割合よりも高い場合などには、優先度の判定を行わない。これにより、優先度判定部101は、更に新たな優先通信を行うための通信帯域を確保することが困難な通信状態である場合には新たな優先通信を行わないようにEPC20を制御することができる。
【0036】
または例えば、優先度判定部101は、EPC20において行われている通信全体において通信トラフィック量が所定の量よりも少ない場合、または、EPC20において行われている通信全体において優先通信が占める割合が所定の割合よりも低い場合には、優先度の判定を行わない。これにより、優先度判定部101は、優先通信を行わなくても十分な通信速度を確保できる通信状態である場合には新たな優先通信を行わないようにEPC20を制御することができる。
【0037】
また、優先度判定部101が、取得した検出データが示す通信状況を解析した結果、当該通信状況が所定の条件(第2条件)を満たす場合に、特定の通信について、異なる優先度へ変更するか否か、または優先接続を解除するか否かを判定するようにしてもよい。優先度判定部が、異なる優先度へ変更する、または優先接続を解除すると判定した場合、優先制御情報生成部102は、優先度判定部101による判定結果に基づいて、異なる優先度への変更を示す優先度変更情報、または優先接続の解除を示す優先解除情報を生成する。そして、送信部103は、優先制御情報生成部102によって生成された優先度変更情報または優先解除情報をEPC20(通信装置)のPCRF202(優先制御部)へ送信する。
【0038】
なお、上記においては説明を簡単にするため、通信装置は1つであるものとしたが、通信装置は複数存在していてもよい。その場合、例えば、検出部104は、1または複数の通信装置における通信状況を検出し、送信部103は、1または複数の通信装置へ、優先制御情報、優先度変更情報、または優先解除情報を送信する。
【0039】
なお、検出部104が、通信状況を示す検出データのほかに通信の経路を示す経路情報をEPC20から取得するようにし、優先度判定部101が、当該経路情報に基づいて優先制御情報、優先度変更情報、または優先解除情報の送信先である通信装置を選択するようにしてもよい。
【0040】
なお、上述した所定の条件(第2条件)とは、例えば、特定の通信が行われる通信装置における通信帯域の使用割合が所定の閾値を上回ることである。
また、所定の閾値を上回ったか否かは、例えば、直近の任意の期間における通信帯域の使用割合の平均値が所定の閾値を上回ったか否かに基づいて決定されるようにしてもよい。または、所定の閾値を上回ったか否かは、例えば、直近の任意の期間において少なくとも一度は通信帯域の使用割合が閾値を上回ったか否かに基づいて決定されるようにしてもよい。
【0041】
または、上述した所定の条件(第2条件)とは、例えば、特定の通信が行われる通信装置における通信の同時接続数が所定の閾値を上回ることである。
また、所定の閾値を上回ったか否かは、例えば、直近の任意の期間における通信の同時接続数の平均値が所定の閾値を上回ったか否かに基づいて決定されるようにしてもよい。または、所定の閾値を上回ったか否かは、例えば、直近の任意の期間において少なくとも一度は通信の同時接続数が閾値を上回ったか否かに基づいて決定されるようにしてもよい。
【0042】
または、上述した所定の条件(第2条件)とは、例えば、特定の通信が所定の時間帯における通信である、または当該通信が行われる通信装置による通信エリアが所定の通信エリアであることである。
なお、通信装置の装置識別情報と当該通信装置による通信エリア(通信範囲)とが対応付けられたテーブルを示すデータが、通信制御装置10の優先度判定部101が備える記憶部(図示せず)に予め記憶されており、優先度判定部101が、通信データに含まれる通信装置の装置識別情報と当該テーブルを示すデータに基づいて、通信装置による通信エリア(通信範囲)が所定の通信エリア(通信範囲)であることを判定するようにしてもよい。
【0043】
または、通信データに、基地局(例えば、eNodeB600)を識別する基地局IDが含まれるようにし、基地局IDと通信エリアが対応付けられたテーブルを示すデータが、通信制御装置10の優先度判定部101が備える記憶部(図示せず)に予め記憶されているような構成であってもよい。これにより、優先度判定部101は、通信データに含まれる基地局IDと当該テーブルとに基づいて、通信装置による通信エリア(通信範囲)が所定の通信エリア(通信範囲)であることを判定することができる。
【0044】
また、通信制御装置10が、外部の装置に記憶されたテーブルから、特定の装置(例えば、端末、CPサーバ)が収容される通信エリアを構成する通信装置の装置識別情報を取得するようにし、当該通信装置へ優先制御情報、優先度変更情報、または優先解除情報が送信するような構成であってもよい。
【0045】
なお、通信データに、装置(例えば、端末、CPサーバ)の位置を示す位置情報が含まれるようにし、通信装置による通信エリア(通信範囲)が所定の通信エリア(通信範囲)であるか否かは、当該位置情報が示す位置が当該通信装置による通信エリア(通信範囲)に含まれるか否かによって判定がなされるようにしてもよい。
この場合、例えば、装置(例えば、端末、CPサーバ)の位置が、複数の通信装置による複数の通信エリアの境界近傍であり、当該装置が接続しうる通信装置が複数ある場合がある。そして、通信制御装置10が優先制御情報の送信先とする通信装置を決定したときには、当該装置が、(例えば、ハンドオーバーによって)別の通信装置に接続している場合がある。これにより、通信制御装置10から優先制御情報を受信した通信装置と、当該装置(端末、CPサーバなど)が接続する通信装置との相違が発生する場合がある。これを解消するため、通信制御装置10が、当該装置の位置から所定の範囲内に位置する複数の通信装置に対して、優先制御情報、優先度変更情報、または優先解除情報を送信するようにしてもよい。
【0046】
または、上述した所定の条件(第2条件)とは、例えば、特定の通信が行われる通信装置に接続する装置(例えば、端末、CPサーバ)における平均スループットが所定の閾値を下回ることである。
【0047】
そのほか、1回の優先接続の継続時間が予め決められており、PCRF202(優先制御部)が当該継続時間に基づいてP−GW200や基地局(例えば、eNodeB600)を制御することによって通信の優先制御を行うようにしてもよい。また、このように、通信制御装置10だけではなく、PCRF202、基地局(例えば、eNodeB600)、リピータ基地局(図示せず)等によっても通信の優先制御が管理されるようにしてもよい。複数の装置が通信の優先制御を管理することによって、通信制御装置10における一極集中管理による負荷を軽減することが可能になる。
【0048】
なお、具体的には、EPC20および無線アクセス網60において、次のように優先制御が実行される。以下の説明については、後述する優先制御例のいずれにおいても同様である。
例えば、PCRF202は、通信制御装置10から取得した通信を特定する情報と通信帯域の割当量を示すデータに基づくルールを示すPCC(Policy and Charging)ルールを、P−GW200へ出力する。PCCルールを受信したP−GW200は、S−GW201に優先ベアラ(デディケイテッドベアラ(Dedicated Bearer))の生成を要求し、当該PCCルールに応じたQoS(Quality of Service)制御の開始を指示する。なお、デディケイテッドベアラとは、デフォルトベアラに対してQoS単位で追加的に設定されるベアラである。
【0049】
S−GW201がPCCルールに応じたQoS制御を開始して、P−GW200とS−GW201との間のデディケイテッドベアラの設定が完了すると、S−GW201は、MME203に、デディケイテッドベアラの設定を要求する。
そして、MME203は、eNodeB600に、E−RAB(E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network) Radio Access Bearer)の設定を要求する。
eNodeB600は、当該要求に応じて、端末(例えば、端末70、または端末71)に、RRC(Radio Resource Control)再設定要求を送信する。端末(例えば、端末70、または端末71)は、RRC再設定要求を受信したことに応じて、eNodeB600との間で通信接続を確立する。
端末(例えば、端末70、または端末71)は、eNodeB600との間の通信接続を確立すると、完了通知をeNodeB600へ送信する。eNodeB600は、完了通知を受信したことに応じて、E−RAB設定応答(E−RAB Setup Responce)をMME203へ送信する。
【0050】
MME203は、E−RAB設定応答を受信したことに応じて、S−GW201へ、デディケイテッドベアラが設定されたことを示す応答を送信する。
S−GW201は、デディケイテッドベアラが設定されたことを示す応答を受信したことに応じて、P−GW200へ、当該応答を送信する。
以上により、デディケイテッドベアラが生成されることにより優先通信による通信接続が確立し、端末(例えば、端末70、または端末71)に対し、通信制御装置10から送信された通信を特定する情報を示すデータと、通信制御装置10から送信された通信帯域の割当量を示すデータとに基づく通信帯域の割当てに応じたサービスの提供が開始される。
【0051】
デディケイテッドベアラの生成手続きの更に詳細な内容については、例えば、次の文献に記載されているため説明を省略する。「3GPP TS 23.402 V13.4.0 (2015−12)、 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects;Architecture enhancements for non−3GPP accesses(Release 13)」、 PP.86−90、 「5.4 Dedicated Bearer Procedures for E−UTRAN Access with PMIP−based S5/S8」。
【0052】
(通信システムの動作)
次に、通信システム1の動作について図面を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係る通信システム1の動作を示すフローチャートである。
本フローチャートは、通信制御装置10の取得部100が、EPC20から(PCRF202を介して)送信された通信データを受信した際に開始する。なお、EPC20が、通信制御装置10へ通信データを送信するタイミングは、例えば、新規の通信接続の要求が発生したタイミング、優先通信でない一般通信から優先通信へ変更する要求が発生したタイミング、および優先通信において優先度の変更の要求が発生したタイミングなどである。
【0053】
(ステップS001)通信制御装置10の取得部100は、EPC20から(PCRF202を介して)通信データを取得する。取得部100は、EPC20から取得した通信データを優先度判定部101へ出力する。その後、ステップS002へ進む。
【0054】
(ステップS002)優先度判定部101は、取得部100から出力された通信データを取得する。優先度判定部101は、取得した通信データを解析し、当該通信データに含まれる、通信を識別するための識別情報(例えば、端末識別情報、またはCPサーバ識別情報など)と、当該識別情報に対応付けられた優先度情報を抽出する。優先度判定部101は、抽出した優先度情報に基づいて優先度を判定する。優先度判定部101は、優先度の判定結果および識別情報を示す情報を、優先制御情報生成部102へ出力する。その後、ステップS003へ進む。
【0055】
(ステップS003)優先制御情報生成部102は、優先度判定部101から出力された
優先度の判定結果および識別情報を示す情報を取得する。優先制御情報生成部102は、取得した情報が示す優先度の判定結果に応じて優先通信の内容を決定する(例えば、優先度の判定結果に応じて優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を決定する)。なお、優先度の判定結果と優先通信の内容(例えば、優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量とが対応付けられたテーブル)は、優先制御情報生成部102が備える記憶部(図示せず)に予め記憶されている。なお、当該テーブルは外部の装置に記憶されていてもよく、通信制御装置10が、外部の装置に記憶されたテーブルから優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を示すデータを取得するような構成であってもよい。
優先制御情報生成部102は、識別情報と優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を示すデータとを送信部103へ出力する。その後、ステップS004へ進む。
【0056】
(ステップS004)送信部103は、優先制御情報生成部102から出力された、識別情報と優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を示すデータとを取得する。送信部103は、識別情報と優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を示すデータとを、EPC20のPCRF202(優先制御部)へ送信する。その後、ステップS005へ進む。
【0057】
(ステップS005)EPC20のPCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10の送信部103から出力された、識別情報と優先通信に割り当てる通信帯域、またはタイムスロットの割当量を示すデータとを取得する。EPC20は、取得した識別情報に対応する通信(例えば、取得した端末識別情報に対応する端末が行う通信、または例えば、取得したCPサーバ識別情報に対応するCPサーバが行う通信)に対して、取得したデータに基づく通信帯域、またはタイムスロットの割当量を割り当てるように、P−GW200を制御する。
【0058】
P−GW200(優先実行部)は、PCRF202(優先制御部)からの指示に従って、指定された通信に対して、指定された通信帯域、またはタイムスロットを割り当てる。以上により、優先通信による通信接続が確立される。
なお、P−GW200(優先実行部)が、端末(例えば、端末70または端末71)からP−GW200またはeNodeB600との間だけでなく、端末とCPサーバ(CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、またはCPサーバ31)との間の通信経路にある全ての装置に対して、優先制御情報を送信して優先制御させるような構成であってもよい。
以上で、本フローチャートを終了する。
【0059】
本実施形態に係る通信制御装置10は、様々な種類の通信データに基づいて、通信の優先制御を行うことができる。以下に、いくつかの通信データ例を挙げて説明する。
(通信データ例1)
通信データには、例えば、上述したように、通信の優先順位または優先度を示す優先度情報が含まれる。例えば、上述したように、優先度情報には、「クラス1」、「クラス2」、および「クラス3」のように、優先度を示すクラスを示すデータが含まれる。なお、優先度情報は、そのほか例えば、最も優先度の高い通信の優先度を100として、1から100までの値で優先度を示すデータであっても構わない。その場合、優先度判定部101が、例えば、上記の値が80以上である場合は「クラス1」、上記の値が40以上80未満である場合は「クラス2」、および上記の値が40未満である場合は「クラス3」とクラス分けをすることによって、優先度の判定および優先順位の決定をするようにしてもよい。
【0060】
なお、上記においては、通信の優先順位または優先度を示す優先度情報は通信データに含まれているものとしたが、これに限られない。例えば、通信データには、端末識別情報またはCPサーバ識別情報などの識別情報が含まれ、優先度判定部101が、通信を識別するための識別情報(例えば、端末識別情報またはCPサーバ識別情報など)と優先度情報とが対応付けられたテーブルを予め記憶している記憶部(図示せず)を備え、通信データに含まれる識別情報に対応付けられた優先度情報を当該テーブルから取得するようにしてもよい。または、例えば、優先度判定部101が、通信データに含まれる識別情報に対応付けられた優先度情報を外部の装置(例えば、HSS80など)から取得するようにしてもよい。
【0061】
(通信データ例2)
通信データには、例えば、通信を行う端末におけるユーザによる操作入力を示す情報が含まれる。当該情報は、例えば、優先接続を要求することを示す情報、または優先順位を特定するための情報を含む。すなわち本例においては、例えば、ユーザが端末を操作して優先接続を希望する要求をし、その要求に基づいて優先通信が行われる。また、通信データには、例えば、ユーザと通信事業者(例えば、EPC20を使用して通信サービスを提供する事業者、および無線アクセス網60を使用して無線通信サービスを提供する事業者)との契約内容(ユーザが加入している契約プラン)、または例えば、ユーザとコンテンツプロバイダ(例えば、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、およびCPサーバ31を使用してコンテンツを提供する事業者など)との契約内容に応じた優先順位を示す情報が含まれる。
【0062】
また、ユーザによる操作入力を示す情報には、通信を行う端末をユーザが最後に操作した時刻が含まれるようにしてもよい。その場合、例えば、端末の物理キーやタッチスクリーン等の操作イベントが発生した時刻を取得することによって、ユーザが最後に端末を操作した時刻を取得することが可能である。
これにより、例えば、ユーザ操作を必要とせずに自動で通信ネットワークに脅威(例えば、ドス(DoS;Denial of Service)攻撃等)を与え続けるような悪性プログラムからの通信等に対して、優先制御しないようにすることも可能である。
ユーザが最後に端末を操作した時刻からの経過時間が所定の時間を超過する場合は、優先度判定部101が、異なる優先度への変更を示す優先度変更情報、または優先接続の解除を示す優先解除情報を通信装置へ送信してもよい。例えば、当該時間が、所定の時間を超過する場合には、優先度判定部101が、異なる優先度への変更を示す優先度変更情報、または優先接続の解除を示す優先解除情報を通信装置へ送信してもよい。
【0063】
(通信データ例3)
通信データには、例えば、アプリケーションを識別する識別情報、通信接続先を識別する識別情報、基地局(例えば、eNodeB600)を識別する基地局ID、当該通信接続先に対応付けられたURL(Uniform Resource Locator;統一資源位置指定子)、または、当該通信接続先に対応付けられたIPアドレスの構成を示す情報が含まれる。また、通信データには、例えば、通信データが所定の時間帯に送信または受信されたことを示す時間帯情報、所定の場所に位置する装置(例えば、端末、CPサーバ、および通信装置)から通信データが送信されたことを示す場所情報、または、通信データが所定の種別の通信データであることを示す通信種別情報が含まれていてもよい。
【0064】
さらに、通信データには、例えば、特定の通信モジュール(例えば、LTE通信モジュール)の型番等を示すID(Identifier;識別子)が含まれていてもよい。これにより、通信システム1は、一意に識別可能な「もの」がインターネットやクラウドに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みであるIoT(Internet of Things;モノのインターネット)において、一意に識別可能なあらゆる「もの」に対して、通信の優先制御を行うことができる。
【0065】
優先度判定部101は、これらの識別情報、URL、IPアドレス、またはIPアドレスの構成(例えば、IPアドレスの文字列の長さ、IPアドレスのバージョン(例えば、IPv4またはIPv6)など)を示す情報、時間帯情報、場所情報、通信種別情報等に応じて優先度を判定する。すなわち、例えば、端末側において、特定の識別情報に対応するアプリケーション(当該端末にインストールされた識別情報)が通信を行う場合に優先通信が行われる。また、例えば、特定の識別情報に対応する通信接続先(例えば、特定のCPサーバ、または特定のサイトなど)、または特定のIPアドレスに対応する通信接続先(例えば、CPサーバ)が通信を行う場合に優先通信が行われる。
【0066】
なお、優先度判定部101は、取得した検出データが示す通信状態に応じて、優先度の判定をやり直すことにより特定の優先通信の優先度を変更(更新)することもある。優先度の変更は、優先通信の優先度を、より高い優先度へ変更することもあれば、より低い優先度へ変更することもある。例えば、優先度判定部101は、ある優先度で優先通信している端末の数が所定の数を超える場合、または、EPC20(通信装置)において使用されている通信帯域の割合が所定の割合を超えた場合に、所定の条件に合致する装置であって通信装置に接続されている複数の当該装置(例えば、CPサーバ30−1、CPサーバ30−2、または端末70)のいずれかが行なう通信の優先度を、より高い優先度、またはより低い優先度へ変更(更新)する。
【0067】
なお、優先度判定部101は、優先通信の開始要求を示す通信データに基づいて優先度の判定を開始する。その場合、優先度判定部101は、すでに実行中である他の優先通信の優先度の変更(例えば、より低い優先度への変更)を行うことがある。また、優先度判定部101は、優先通信の終了要求を示す通信データに基づいて優先度の判定を終了する。その場合、優先度判定部101は、実行中である他の優先通信の優先度の変更(例えば、より高い優先度への変更)を行うことがある。
【0068】
なお、例えば、優先通信の要求元の装置または要求元の装置のアプリケーションが、定期的に、自らの要求元の装置または自らの要求元の装置のアプリケーションの状態を取得するようにしてもよい。
その場合、例えば、優先通信の要求元の装置または要求元の装置のアプリケーションにおいて発生したエラーを、自らの要求元の装置または自らの要求元の装置のアプリケーションが検知し、当該エラーが所定のエラーである場合、優先通信の要求元の装置が優先通信の終了要求を示す通信データを送出する。そして、優先度判定部101が、取得した当該通信データに基づいて、優先度の判定を終了するようにしてもよい。
なお、優先通信の要求元の装置または要求元の装置のアプリケーションが、優先通信の要求先の装置から受信する情報に基づいて当該要求先の装置のエラーを検知することができるようにようにして、検知したエラーが所定のエラーである場合には、優先通信の要求元の装置が当該優先通信の終了要求を示す通信データを送出するようにしてもよい。
【0069】
また、例えば、優先通信の要求元の装置の所定のアプリケーションが使用されることに応じて優先通信が行われる場合において、他のアプリケーションが使用されたこと(例えば、他のアプリケーションが起動したことを示す情報)に基づいて、優先通信が終了されるようにしてもよい。また、例えば、優先通信の要求元の所定のアプリケーションが使用されることに応じて優先通信が行われる場合において、当該アプリケーションが使用されていない時間が所定の時間を超えたことに基づいて、優先通信が終了されるようにしてもよい。また、例えば、優先通信の要求元の所定のアプリケーションが使用されることに応じて優先通信が行われる場合において、当該アプリケーションの状態が所定の状態(例えば、バックグラウンドで動作する状態など)に遷移したことに基づいて、優先通信が終了されるようにしてもよい。
【0070】
本実施形態における通信システム1は、様々な優先制御を行うことができる。次に、通信制御装置10およびPCRF202(優先制御部)が行う優先制御について、いくつか例を挙げて説明する。
【0071】
(優先制御例1)
PCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10から取得した通信データに含まれる、優先接続を要求する情報(例えば、優先接続を開始する要求、優先接続を終了する要求、または優先接続の優先度を変更する要求)に基づいて、P−GW200(優先実行部)を制御する。
また、PCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10から取得した通信データに含まれる、通信を識別する識別情報(例えば、端末識別情報、またはCPサーバ識別情報など)と、通信データに含まれる、通信帯域またはタイムスロットの割当ての優先順位または優先度を示す優先情報とに基づいて、当該通信に対し通信帯域、またはタイムスロットを割り当てるようにP−GW200(優先実行部)を制御する。
これにより、PCRF202(優先制御部)は、通信を行う端末を識別する端末識別情報、または通信を行うCPサーバを識別するCPサーバ識別情報に基づいて、当該通信ごとの通信帯域、またはタイムスロットの割当量に差異を持たせることによって優先制御を行うことができる。
【0072】
なお、当該優先情報は、当該通信における通信接続元または当該通信における通信接続先について優先順位または優先度を示す情報であってもよい。すなわち、当該優先情報は、当該通信を行う装置を識別する情報(例えば、端末識別情報、またはCPサーバ識別情報など)に予め対応付けられた優先順位または優先度を示す情報であってもよい。
【0073】
(優先制御例2)
通信制御装置10の検出部104は、EPC20から(PCRF202を介して)検出データを取得する。本例においては、検出データには、EPC20における通信において接続されている通信接続の数(すなわち、同時接続数)を示すデータが含まれる。検出部104は、取得した検出データを優先度判定部101へ出力する。優先度判定部101は、取得した検出データが示す同時接続数が所定の数を超えている場合には、通信の優先度の判定を行わない。すなわち、優先度判定部101は、EPC20から、新たな優先通信を要求することを示す通信データを取得した場合であっても、検出データが示す同時接続数(例えば、当該通信データが示す通信を行う端末が通信接続するeNodeB600における同時接続数)が所定の数を超えている場合には、当該要求に対する優先度の判定を行わない。これにより、通信制御装置10は、EPC20における通信の同時接続数が所定の数を超えている場合には新たな優先通信が開始されないような優先制御を行うことができる。
【0074】
なお、上記は、同時接続数が所定の数を超えている場合に、新たな優先通信が開始されないようにする優先制御であるが、例えば、次のように優先制御してもよい。同時接続数が所定の数を超えている場合に、優先度がより低い端末が行う通信、あるいは優先通信を継続している時間がより長い端末が行う通信から順番に、優先通信の終了や優先度の変更がなされるような優先制御であってもよい。
【0075】
なお、同時接続数が所定の数を下回った場合に、優先通信が終了されるような優先制御であってもよい。すなわち、同時接続数が少ないことによって、例えば、通信接続中の各通信へ割り当てられる通信帯域がより多く確保できることから、特定の通信のみを優先するような制御が行われないようにしてもよい。
【0076】
なお、上記の説明においては、優先度判定部101が、同時接続数が所定の数を超えているかどうかを判定したが、これに限られない。例えば、PCRF202(優先制御部)が同時接続数を監視し、同時接続数が所定の数に到達している場合には、PCRF202(優先制御部)は、通信制御装置10へ通信データを送信しないようにしてもよい。これにより、PCRF202(優先制御部)は、EPC20における通信の同時接続数を制限することにより優先制御を行うことができる。
【0077】
(優先制御例3)
通信制御装置10の検出部104は、EPC20から(PCRF202を介して)検出データを、定期的に(例えば、10秒毎に)取得する。本例においては、検出データには、EPC20において通信接続中である全ての優先通信についての、各優先通信を識別する識別情報、および各優先通信が開始された時刻を示す情報が含まれる。検出部104は取得した検出データを優先度判定部101へ出力する。なお、本例においては、優先度判定部101は、当該検出データを一時的に記憶する記憶部(図示せず)を備える。当該記憶部に記憶された検出データは、検出部104が新たな検出データを取得するごとに上書き更新される。
【0078】
優先度判定部101は、記憶部に記憶された検出データに含まれる情報(すなわち、優先通信を識別する識別情報、および各優先通信が開始された時刻を示す情報)に基づいて、接続中の優先通信の中でより早くから優先通信を開始していた通信ほど優先度を高くするように判定する。これにより、通信制御装置10は、EPC20において通信接続中である優先通信の中で、より早くから優先通信を開始していた通信ほどより多くの通信帯域、またはタイムスロットを割り当てるように優先制御することができる。
なお、本例においては、優先度判定部101は、接続中の優先通信の中でより早くから優先通信を開始していた通信ほど優先度を高くするように判定したが、逆に、より優先度を低くするように判定してもよい。
【0079】
なお、上記の説明においては、優先度判定部101が、各優先通信が開始された時刻を示す情報などに基づいて優先制御を行うものとしたが、これに限られない。例えば、PCRF202(優先制御部)が、各優先通信の開始時刻を管理し、接続中の優先通信の中で優先通信の開始時刻がより早い通信については、通信帯域、またはタイムスロットの割当量をより多くする(または、少なくする)ようにP−GW200を制御するようにしてもよい。これにより、PCRF202(優先制御部)は、先に接続された優先通信に対し、後に接続された優先通信よりも通信帯域、またはタイムスロットの割当量を多くする、または少なくするような優先制御を行うことができる。
【0080】
なお、優先度判定部101またはPCRF202(優先制御部)が、各優先通信の接続時間を各種の識別情報(例えば、端末識別情報、CPサーバ識別情報)毎に管理し、所定の開始時刻から所定の終了時刻までの間において、優先通信による連続した通信パケット量または累積した通信パケット量が所定の値より多い通信に対しては、通信帯域またはタイムスロットの割当を少なくするように制御するような構成であってもよい。(また、その場合、優先度判定部101またはPCRF202(優先制御部)は、例えば、既に通信を切断している端末に対しては、次回以降の接続時にタイムスロットの割当量を少なくするように優先制御部を制御するようにしてもよい。)また、例えば、前記所定の値を、所定の開始時刻から所定の終了時刻までの間において端末識別情報毎に管理された、各優先通信におけるパケット流量の平均値とすることにより、通信システム1は、各優先通信におけるパケット流量の全体平均を超えて優先通信を行っている端末等の優先制御を行うことができる。
【0081】
(優先制御例4)
上述した優先制御例3と同様に、通信制御装置10の検出部104は、EPC20から(PCRF202を介して)検出データを、定期的に(例えば、10秒毎に)取得する。本例においては、検出データには、EPC20において通信接続中である全ての優先通信についての、各優先通信を識別する識別情報、および各優先通信が開始されてからの経過時間(優先接続時間)を示す情報が含まれる。検出部104は取得した検出データを優先度判定部101へ出力する。なお、本例においては、優先度判定部101は、当該検出データを一時的に記憶する記憶部(図示せず)を備える。当該記憶部に記憶された検出データは、検出部104が新たな検出データを取得するごとに上書き更新される。
【0082】
優先度判定部101は、記憶部に記憶された検出データに含まれる情報(すなわち、優先通信を識別する識別情報、および各優先通信が開始されてからの経過時間を示す情報)に基づいて、接続中の優先通信の中で優先通信が開始されてからの時間が所定の時間を超えた通信については、優先度判定の対象外にする(すなわち、優先通信を終了させる)ように判定する。これにより、通信制御装置10は、EPC20において通信接続中である優先通信の中で、優先通信が開始されてからの時間が所定の時間を超えた通信については優先通信の対象外にするような優先制御を行うことができる。
【0083】
なお、通信制御装置10が、通信を行う端末(例えば、端末70、および端末71)へ、例えば、当該端末が行う通信が優先通信であることを示すデータ、および当該優先通信の終了までの残り時間等を示すデータを送信するようにしてもよい。そして、端末が自らの端末の表示画面(例えば、液晶ディスプレイ)等に当該データに基づく情報を表示するようにしてもよい。
【0084】
なお、上記の説明においては、優先度判定部101が、各優先通信が開始されてからの経過時間を示す情報などに基づいて優先制御を行うものとしたが、これに限られない。例えば、PCRF202(優先制御部)が、各優先通信が開始されてからの経過時間を監視し、接続中の優先通信の中で優先通信が開始されてからの経過時間が所定の時間を超えた通信については、優先通信を終了するようにP−GW200を制御するようにしてもよい。これにより、PCRF202(優先制御部)は、各優先通信が開始されてからの経過時間に基づいて優先制御を行うことができる。例えば、PCRF202(優先制御部)は、EPC20における各優先通信の経過時間を監視し、特定の優先通信の経過時間が、他の優先通信の経過時間よりも長い場合に、当該特定の優先通信を優先接続の対象外にする(優先通信を終了する)ことにより、当該他の優先通信に対する通信帯域、またはタイムスロットの割当量をより多くするような優先制御を行うことができる。
【0085】
(優先制御例5)
本例において、通信制御装置10の優先度判定部101は、例えば、上記の優先制御例4で説明した特定の通信のように優先度判定の対象外とした(すなわち、優先通信を終了させた)通信を識別するための対象外通信識別情報を一定期間(例えば、優先度判定の対象外としてから1時間)記憶する記憶部(図示せず)を備える。なお、当該情報は、通信そのものに対応付けられた識別情報であってもよいし、当該通信を行う端末を識別する端末識別情報、または当該通信を行うCPサーバを識別するCPサーバ識別情報であってもよい。
【0086】
優先度判定部101は、取得部100を介してEPC20から通信データを取得すると、当該通信データに含まれる通信を識別する識別情報と、記憶部に記憶された対象外通信識別情報とを照合する。優先度判定部101は、通信データに含まれる通信を識別する識別情報と一致する識別情報が対象外通信識別情報に存在している場合、当該通信データが示す通信を優先度判定の対象外とする(すなわち、優先通信を行わないようにさせる)。これにより、通信制御装置10は、優先通信から優先されない通信へ変更された通信が、所定の期間は、優先通信へ再度変更されることがないような優先制御を行うことができる。
【0087】
なお本例においては、優先通信から優先されない通信へ変更された通信が所定の期間は優先通信へ再度変更されることがないように、優先度判定部101が優先制御のための判定を行うものとしたが、これに限られない。例えば、PCRF202(優先制御部)が、優先通信から優先されない通信へ変更された(優先度判定の対象外とされた)通信を識別する対象外通信識別情報を一定期間(例えば、優先度判定の対象外としてから1時間)記憶する記憶部(図示せず)を備えるような構成であってもよい。これにより、PCRF202(優先制御部)は、優先接続をしない通信へ変更した通信を、所定の期間は優先接続をする通信へ再度変更しないような優先制御を行うことができる。
【0088】
以上、説明したように、本実施形態に係る通信システム1は、様々な状況において柔軟に優先通信を行うことができる。
【0089】
なお、本実施形態に係る通信システム1は、無線アクセス網60を介した無線通信を含む通信ネットワークを制御するシステムであるが、これに限られない。本実施形態に係る通信システム1は、例えば、有線アクセス網を介した通信ネットワークを制御するシステムであってもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0091】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0092】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。