(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る車載装置10は、
図1に示すように、車両1の内部に搭載された電子装置であって、本体部20と、座席Cの近傍に設けられた車載用スピーカ50と、座席Dの近傍に設けられた車載用スピーカ51と、から構成される。また、本体部20には、マイクロフォン200(以下、「マイク200」という)が内蔵されており、主に運転席である座席Aの搭乗者(以下、「運転者」という)の音声を集音することが可能な構成となっている(さらに座席Bの搭乗者の音声についても集音することが可能な構成としてもよい)。
【0015】
なお、
図1では、理解のために、スタンドマイクを模した形状でマイク200を示しているが、実際には、マイク200は本体部20に内蔵されているため、図示の形状に限られたものではない。
【0016】
また、車両1は、座席A〜座席Dまでの4つの座席が設けられた、いわゆる4人乗りの車両を示している。以下では、必要に応じて、座席Aおよび座席Bを総称して「前部座席」と呼び、この前部座席の搭乗者のことを前席搭乗者と呼ぶ。そして、上述したように、座席Aは運転席であるため、座席Aの搭乗者を運転者と呼ぶ。また、座席Cおよび座席Dを総称して「後部座席」と呼び、この後部座席の搭乗者のことを後席搭乗者と呼ぶ。
【0017】
本体部20は、車載用スピーカ50(以下、「リアスピーカ50」という)および車載用スピーカ51(以下、「リアスピーカ51」という)と通信可能に接続されており、本体部20における各種操作に基づいて、リアスピーカ50,51による音声の出力の調整(音量調節など)を行うことが可能となっている。
【0018】
また、本体部20とリアスピーカ50,51との接続は本実施例では、Bluetooth(登録商標)等の無線通信によって接続可能な構成としているが、配線による有線接続により通信可能な構成であってもよい。
【0019】
図2は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。なお、車載装置10の構成例は以下に示す構成に限られるものではない。
【0020】
上述した通り、車載装置10は、本体部20と、本体部20に通信可能に接続されたリアスピーカ50,51と、から構成される。
【0021】
本体部20は、マイクロコントローラやマイクロプロセッサ等を含みプログラムを実行することで各部を制御する制御部100、外部のネットワーク等とデータ通信を行うことを可能にする通信部110、CD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク装置などに格納されたオーディオデータやビデオデータを再生したり、デジタルテレビ放送、AM/FMラジオ放送などを受信したりするマルチメディア再生部120、自車位置周辺の道路地図や目的地までの誘導経路を探索するナビゲーション部130、各種プログラムやデータ(地図データなどを含む)等を記憶する記憶部140、ユーザー操作や音声等を入力したり、音声や画像等を出力したりする入出力部150、車両1の走行時間を計測する計測部160、運転者(または、前席搭乗者)の音声を集音(入力)するマイク200、マルチメディア再生部120による再生画像や受信放送画像、ナビゲーション部130による案内画像、その他動画像を表示する表示部300、マイク20により集音された音声やマルチメディア再生部120による再生音声や受信放送音声、ナビゲーション部130による案内音声、その他音声を出力する内蔵スピーカ400を含んで構成される。
【0022】
マイク200は、運転者の発する音声を集音しやすいように、運転者(座席A)方向に向けて設けられている(内蔵されている)。
【0023】
表示部300は、タッチパネルとしても機能する液晶ディスプレイであり、メニューや周辺地図などの各種画面(各種画像)を表示するとともに、タッチ操作によるユーザー入力を受け付け、各種設定を行うことができる。なお、この各種設定には、内蔵スピーカ400やリアスピーカ50,51から出力させる音声や音響についての音量およびマイク200の音量を設定するボリューム設定も含まれている。
【0024】
内蔵スピーカ400は、主には、前席搭乗者に向けて各種音声や音響を出力することができる。
【0025】
制御部100は、例えば、各種処理を実行するCPUを含む制御基板で構成されており、マイク200により集音された音声を処理する音声処理部をさらに有している。この音声処理部は、車両のエンジン音、道路とタイヤの摩擦音、走行による風切り音などのロードノイズをカットするフィルタ機能を有し、取得した音声データからロードノイズを除去することができる。また、音声処理部は、音声認識機能を有し、取得した音声データから、搭乗者の発話に係る音声データのみを抽出することができる。そして、音声処理部により音声処理された音声データは、入出力部150を介して内蔵スピーカ400やリアスピーカ50,51から出力させることができる。
【0026】
また、制御部100は、内蔵スピーカ400およびリアスピーカ50,51から出力させる音声(音響)の出力レベルを調整する出力レベル調整部を有している。この出力レベル調整部は、複数の音声に係る音量の大きさを調節する機能を有している。例えば、TV番組を視聴中やDVD(またはCD)を再生中には、これらに係る音声(楽曲など)が出力されていることとなるが、このときに、案内箇所に係る音声(特定音声を含む)が出力されるような場合、出力レベル調整部は、既に出力されている音声と、案内箇所に係る音声と、の何れを優先して聞こえるようにするように調整する。すなわち、一方の音声の出力レベルを低くし(音量を小さくする、優先度を下げる)、他方の音声の出力レベルを高くする(音量を大きくする、優先度を上げる)といった処理を実行する。なお、この優先度については、搭乗者(運転者)が適宜決めておくことができるようになっている。また、内蔵スピーカ400と、リアスピーカ50,51とでは上記優先度をそれぞれ別々に調整できるようになっている。
【0027】
さらに、制御部100は、計測部160により計測されている車両1の走行時間が所定時間経過すると(あるいは所定時間経過するごとに)、搭乗者(特に運転者)に向けて休憩を促す画像を表示させたり、休憩を促す音声を出力したり、することが可能となっている。なお、上記所定時間については、例えば、「2時間」が設定されているが、予め運転者が設定しておくことも可能となっている。また、上記休憩を促す画像や音声については、目的地に到着するまでの経路上にあるSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)を案内する画像や音声を兼ねていてもよい。
【0028】
リアスピーカ50,51は、入出力部150を介して送信されるTV番組に係る音声や音響、DVD(またはCD)の再生に係る音声や楽曲などの各種音響出力をすることが可能な車載用スピーカである。また、リアスピーカ50,51からは、マイク200により集音された運転者(または前席搭乗者)の音声を出力することも可能に構成されている。
【0029】
なお、リアスピーカ50,51の設置個所や設置個数については、本実施例に示す配置箇所や配置個数に限られるものではない。例えば、リアスピーカ50,51の配置箇所は、前席搭乗者に比べて、後席搭乗者に向けて音声や音響が届く割合が高くなる程度の範囲内であればよい。さらに、リアスピーカ50,51の配置個数についても、少なくとも1個以上であれば、本発明の実施の形態として成立するものである。
【0030】
以上のように構成された本実施例の車載装置10では、様々な条件が成立したときに、マイク200が自動的にONにされる(マイク200による集音が可能な状態に制御される)。このようにマイク200が自動的にONされる様々な条件のことを、「自動ON条件」という。そして、自動ON条件が成立すると、マイク200により集音された音声がリアスピーカ50,51から出力される。これにより、運転者の発した音声が後席搭乗者に向けて届きやすい状況が作り出されることとなる。
【0031】
以下では、マイク200により集音された音声がリアスピーカ50,51から出力可能となる、自動ON条件の成立に関して、制御部100の実行する処理について、
図3を用いて説明する。
【0032】
(ステップS1)
車載装置10(本体部20およびリアスピーカ50,51)に電源が投入されると、制御部100は、ナビゲーション部130を起動させる(以下、「ナビ機能の起動」という)。これにより、表示部300に目的地や中継地点、現在地等を入力するナビ画面が表示される(
図4(a1)参照)。
なお、車載装置10の電源投入時以外、例えば、停電などによる突発的な電源断からの復旧時においても、制御部100は、ナビゲーション部130を起動させ、ナビ画面が表示部300に表示されるようになっている。
【0033】
そして、ナビ機能が起動すると、車載装置10の電源がOFFにされるまで、制御部100は、ステップS2以降の処理を繰り返し実行する。
また、本実施例では、ナビ機能の起動後において、TV番組放送の受信や、DVD(またはCD)の再生が可能な状態となる。これらの選択については、選択キーとしてナビ画面に表示される。
さらに、本実施例では、ナビ機能の起動後において、車両1の移動(走行)が開始されると、計測部160による走行時間の計測が開始される。例えば、この計測部160による計測と、車両1の走行距離と、に基づいて、目的地までの到着予定時間を算出することができる。
【0034】
(ステップS2)
制御部100は、自動ONフラグがON(=1)されているか否かを判定する。この自動ONフラグとは、マイク200により集音された音声(運転者の音声あるいは前席搭乗者の音声)を、リアスピーカ50,51から出力させるための自動ON条件の成立を示すフラグである。なお、自動ONフラグは、制御部100に設けられたRAMなどの所定の記憶領域においてON/OFFされるようになっている。
このとき、自動ONフラグがONされている場合には、ステップS8に処理を移し、自動ONフラグがONされていない場合には、ステップS3に処理を移す。
【0035】
(ステップS3)
次に、制御部100は、表示部300において、操作キーの押下操作が受け付けられたか否かを判定する。なお、本ステップS3における判定では、表示部300とは別に本体部20に操作ボタン等が設けられている場合には、この操作ボタンに対する操作が受け付けられた場合を含めるようにしてもよい。
【0036】
例えば、上記ステップS1⇒上記ステップS2(判定=No)⇒本ステップS3と処理が進んでくるような場合とは、運転者(あるいは前席搭乗者)がナビ機能に係る各種操作(目的地や中継地点を設定する操作、現在値や目的地、中継地点を確認する操作など)を行った場合が該当する。
このとき、操作が受け付けられた(操作有り)と判定された場合には、ステップS6に処理を移し、操作が受け付けられていない(操作無し)と判定された場合には、ステップS4に処理を移す。
【0037】
(ステップS4)
次に、制御部100は、表示部300において、特定画像が表示されたか否かを判定する。
このとき、特定画像が表示されたと判定された場合には、ステップS6に処理を移し、特定画像が表示されていないと判定された場合には、ステップS5に処理を移す。
【0038】
この「特定画像」とは、目的地設定、線路案内など、案内箇所に係る画像や目的地に係る画像のことをいう。以下では、これらを総称して「ナビゲーション画像」という。また、計測部160により計測されている走行時間が所定時間経過したときに表示される休憩を促す画像もナビゲーション画像に含まれる。
また、「特定画像」には、CM放送、受信中の番組の終了時などに表示される放送番組表、DVD(またはCD)の操作に係るメニュー表示などの画像(以下、これらを総称して「AV機器画像」という)も含まれている。
【0039】
(ステップS5)
次に、制御部100は、内蔵スピーカ400(リアスピーカ50,51を含めてもよい)において、特定音声が出力されたか否かを判定する。
このとき、特定音声が出力されたと判定された場合には、ステップS6に処理を移し、特定音声が出力されていないと判定された場合には、上記ステップS2に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0040】
この「特定音声」とは、目的地設定、線路案内など、案内箇所に係る音声(例えば、案内箇所が近いまたは到着を案内する音声)や目的地に係る音声(例えば、目的地の到着を知らせる音声)のことをいう。以下、これらを総称して「ナビゲーション音声」という。また、計測部160により計測されている走行時間が所定時間経過したときに出力される休憩を促す音声もナビゲーション音声に含まれる。
また、「特定音声」には、CM放送に係る音声、番組の終了時などに表示される放送番組表に係る音声、DVD(またはCD)の操作に係るメニュー表示に係る音声などの音声(以下、これらを総称して「AV機器音声」という)も含まれている。
【0041】
なお、特定音声は、上記特定画像と共に(上記特定画像と関連づけられて)出力されるものに限られない。例えば、音声のみ出力される要素を特定音声とすることもできる。
【0042】
なお、上記ステップS4では、特定画像となるナビゲーション画像と、特定画像となるAV機器画像と、を同じ処理にて判定するものとしたが、これらを別々に判定するようにしてもよい。同様に、上記ステップS5における特定音声についても、特定音声となるナビゲーション音声と、特定音声となるAV機器音声と、を別々に判定するようにしてもよい。
【0043】
(ステップS6)
次に、制御部100は、自動ONフラグをONにする。このとき、制御部100は、マイク200の機能をONにする。すなわち、マイク200を集音可能な状態に制御する。
【0044】
(ステップS7)
次に、制御部100は、リアスピーカ50,51に対して、マイク200で集音された運転者(または前席搭乗者)の音声(以下、「マイク音声」という)を出力するに際して、このマイク音声の出力レベルを最高(優先度を最高)に設定する。
例えば、既に、リアスピーカ50,51から楽曲などが出力されているような場合には、この楽曲の出力レベルを最低(音量を最小にする、または音量を消す/ミュートする)に変更するとともに、マイク音声の出力レベルを最高(音量を最大にする)に変更する。これにより、リアスピーカ50,51からマイク音声が高音量で出力される状態が作り出される。すなわち、マイク200より集音された音声が、リアスピーカ50,51から後席搭乗者に向けて届きやすい状態が作り出されることとなる。
【0045】
(ステップS8)
次に、制御部100は、マイク機能がONされてから所定期間(15秒間)が経過したか否かを判定する。この所定期間の計測は、制御部100に設けられたタイマカウンタ(計測手段)により計測される。具体的には、制御部100は、マイク機能がONにされたとき(自動ONフラグがONされたとき)に、15秒間をカウントダウンさせるようにタイマカウンタをスタートさせる。
このとき、マイク機能がONされてから15秒間が経過していないと判定された場合には、上記ステップS2に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、マイク機能がONされてから15秒間が経過していると判定された場合には、ステップS9に処理を移す。
【0046】
(ステップS9)
次に、制御部は、自動ONフラグをOFF(=0)にする。このとき、制御部100は、マイク200の機能をOFFにする。すなわち、マイク200を集音不可能な状態に制御する。
【0047】
(ステップS10)
次に、制御部100は、リアスピーカ50,51に対して、マイク音声を出力するに際して、このマイク音声の出力レベルを最低(優先度を最低)に設定する。
例えば、既に、リアスピーカ50,51から楽曲などが出力されているような場合には、この楽曲の出力レベルを最高(音量を大きくする、マイク音声よりも大きな音量にするものであればよい)に変更するとともに、マイク音声の出力レベルを最低(音量を最小にする、または音量を消す/ミュートする)に変更する。なお、上記楽曲の出力レベルを変更するについては、マイク音声の出力レベルが最高に変更される前の出力レベルに戻すようにしてもよい。これにより、リアスピーカ50,51からは既に出力されていた楽曲などが、マイク音声が出力される以前の音量に戻って出力されることとなる。
【0048】
なお、上記ステップS9においてマイク200の機能がOFFにされているため、本ステップS10においてマイク音声の出力レベルを最低に変更しなくても、実質的にリアスピーカ50,51からはマイク音声が出力されることはない。このため、本ステップS10においては、マイク音声の出力レベルは変更せずに、既に出力されている楽曲など出力レベルを最高にするだけでもよい。
【0049】
このように、本実施例の車載装置10に電源が投入されると、上記ステップS1以降の処理が実行され、この車載装置10の電源がOFFにされるまでの間は、上記ステップS2〜ステップS10における処理が実行されうるようになっている。
【0050】
図4は、
図3で説明した制御部100により、自動ON条件が成立する場合の一例について説明する図である。
【0051】
例えば、運転者が車両1の運転を開始するにあたり、車載装置10に電源投入したときには、
図4(a1)に示すように、表示部300に目的地を設定するための画面(この例では、目的地を設定するための各種操作キーを含む画像)が表示される。
この画面において、運転者が何らかの操作キーを押下すると、自動ON条件が成立し、マイク機能がONされる。そして、運転者が、
図4(a2)に示すように、「お昼何食べたい」という音声を発すると(問いかけをすると)、この音声がマイク200により集音される。そして、集音されたマイク音声(つまり、運転者の音声)がリアスピーカ50,51から出力されることとなる。
【0052】
また、例えば、車両1の走行中など、既に目的地などが設定された状態で車両1が移動を開始している場合において、特定箇所(サービスエリアやインターチェンジなどの休憩場所、所定の中継地点など)が近づいてくると、
図4(b1)に示すように、表示部300には、この特定箇所に係る案内画像(ナビゲーション画像)が表示される。
この案内画像が表示されると、自動ON条件が成立し、マイク機能がONされる。そして、運転者が、
図4(b2)に示すように、「トイレ行きたい人〜?」という音声を発すると(問いかけをすると)、この音声が、マイク200により集音される。そして、集音されたマイク音声(運転者の音声)がリアスピーカ50,51から出力されることとなる。
【0053】
さらに、
図4(b1)に示す案内画像の表示に合わせて、あるいは前後して案内音声(ナビゲーション音声)が出力されることもある。例えば、案内画像の表示よりも少し前に案内音声が出力されるような場合には、案内音声が出力されたことを条件として自動ON条件が成立し、マイク機能がONされる。なお、案内画像の表示と案内音声の出力とが同時(同じタイミング)となる場合には、何れか一方を自動ON条件の成立の契機とすればよい。
【0054】
また、例えば、視聴していたTV番組の放送や、DVD(またはCD)に録画された番組等(DVDやCDに録画された映画などを含む)の再生が終了すると、
図4(c1)に示すように、次に選局する番組を選ぶ番組表(番組を選局する操作画面等も含む)やDVD(またはCD)の操作に係るメニュー表示、CM放送などの画像(AV機器画像)が表示される。なお、
図4(c1)に示す例では、これから放送されるTV番組を案内する番組表の画像が表示されている。
【0055】
このようなAV機器画像が表示されると、自動ON条件が成立し、マイク機能がONされる。そして、運転者が、
図4(c2)に示すように、「次は何見る?」という音声を発すると(問いかけをすると)、この音声がマイク200により集音される。そして、集音されたマイク音声(運転者の音声)がリアスピーカ50,51から出力されることとなる。
【0056】
さらに、
図4(c1)に示すAV機器画像の表示に合わせて、あるいは前後して関連する音声(AV機器音声)が出力されることもある。例えば、AV機器画像よりも少し前にAV機器音声が出力されるような場合には、AV機器音声が出力されたことを条件として自動ON条件が成立し、マイク機能がONされる。なお、AV機器画像の表示とAV機器音声の出力とが同時(同じタイミング)となる場合には、何れか一方を自動ON条件の成立の契機とすればよい。
【0057】
以上のように、本実施例によれば、車載装置10におけるナビ機能が起動してから、上述したような種々の自動ON条件が成立すると、マイク200が集音可能な状態に制御されるとともに、リアスピーカ50,51から、マイク音声が出力可能な状態に制御される。
【0058】
そして、ナビゲーション画像(案内箇所に係る画像や目的地に係る画像)またはAV機器画像(CM放送、受信中の番組の終了時などに表示される放送番組表、DVD(またはCD)の操作に係るメニュー表示などの画像)が表示されたときが種々の自動ON条件の一つとなっている。これにより、表示部300において所定の地図情報(目的地、中継地点などの情報を含む)が表示されたときや、表示部300において放映されているTV番組、表示部300において再生されているDVDに録画された番組等、CM放送等の各種番組(各種プログラム)に変化があった場合にマイク機能がONされることとなる。ここでいう、「各種番組に変化がある」とは、例えば、DVDの再生が終了したとき、CM放送へ切り替わったとき等のことをいう。
【0059】
さらに、ナビゲーション音声(案内箇所に係る音声や目的地に係る音声)またはAV機器音声(CM放送に係る音声、番組の終了時などに表示される放送番組表に係る音声、DVD(またはCD)の操作に係るメニュー表示に係る音声などの音声)が出力されたときも種々の自動ON条件の一つとなっている。これにより、内蔵スピーカ400やリアスピーカ50,51から上記ナビゲーション音声またはAV機器音声が出力されたときにマイク機能がONされることとなる。
【0060】
このように、本実施例では、車載装置10に電源が投入されてから、車両1の運転中(移動中)等に起こり得る種々の契機を自動ON条件としている。これにより、運転者が車両1を運転しながらマイク機能をONにする操作キーを押下するような事態(安全運転を妨げてしまうような事態)の発生を防止することができる。また、後席搭乗者を含めた車両1内の搭乗者全てに伝達する必要のあるタイミングで、自動的にマイク機能をONにすることができる。さらには、従来技術では、口の形を見るカメラが必要であったが、本実施例ではこのようなカメラが不要になるため、車載装置10を構成する部品点数の軽減や構成の簡素化を図ることができる。したがって、本実施例によれば、搭乗者(運転者)が気軽に導入しやすい車載装置10を提供することができる。
【0061】
(その他の実施形態についての言及)
上記実施形態は、本発明を限定するものではなく、要旨を変更しない範囲で様々な形態に変更することができる。
【0062】
なお、上記実施例では、
図1に示すように、車両1として、4人乗りの乗用車を例にとって説明したが、これに限られない。本発明の実施の形態としては、少なくとも、前部座席(運転席を含む車両1の前方側に配置された座席)と後部座席(少なくとも前部座席よりも車両1の後方側に配置された座席)とが設けられた車両であればよい。
【0063】
なお、上記実施例では、本体部20にマイク200や内蔵スピーカ400が設けられる(内蔵される)ものを例にとって説明したが、これに限られない。例えば、本体部20には内蔵スピーカ400を設けずに、前部座席用スピーカ(フロントスピーカ)を別に設けるものとしてもよい。また、マイク200も本体部20に通信可能に接続される外付けマイクを用いるものであってもよい。
【0064】
なお、上記実施例では、
図3のステップS3において、操作有りと判定された場合にも自動ONフラグがONされるようにしたため、この後、15秒間経過するとマイク機能がOFFにされることとなるが、操作有りの場合には、運転者(または前席搭乗者)が目的を持って当該操作をしている可能性が極めて高いといえるので、上記ステップS8による判定を行わないようにしてもよい。例えば、操作有りに基づいてマイク機能がONにされた場合には、マイク機能をOFFにする操作キーの押下操作を終了条件とするなど、マイク機能をOFFにする終了条件を別途設けるようにしてもよい。
【0065】
なお、上記実施例における特定画像および特定音声の内容や種類は上述したものに限られない。例えば、「特定画像」や「特定音声」の内容や種類を多くしておけば、自動ON条件が成立しやすい状況を作り出すことができるし、反対に、「特定画像」や「特定音声」の内容や種類を少なくしておけば、自動ON条件が成立しにくい状況を作り出すことができる。
【0066】
なお、上記実施例では、計測部160は、車両1の走行時間を計測するものとして説明したが、計測部160が車両1の走行距離を計測することが可能な構成としてもよいし、計測部160とは別に車両1の走行距離を計測する構成を設けてもよい。このようにすると、車両1の走行距離が所定距離に到達したときに(あるいは、車両1が所定距離だけ走行するごとに)、上述したような休憩を促す画像を表示させたり、休憩を促す音声を出力させたり、することも可能となる。
【0067】
なお、上記実施例では、
図3において、マイク機能がONされてから所定期間(15秒間)が経過すると、自動的にマイク機能がOFFされる形態を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、運転者(あるいは前席搭乗者)が、マイク機能がONされてから、間髪入れずに発話し続けるとも限らないため、15秒間の経過でマイク機能がOFFされてしまうと、後席搭乗者との会話が途中で途切れてしまう可能性もある。このような点を考慮した場合の一例を
図5に示す。なお、
図5は、
図3で説明した処理に新たな処理(ステップS11)を加えているため、以下では、この新たな処理についてのみ説明する。
【0068】
(ステップS11)
制御部100は、マイク200から集音された音声が無い状態が特定期間(5秒間)継続しているか否かを判定する。このような状態を検出するためには、マイク200が運転者(あるいは前席搭乗者)の音声を集音し終えた時点から、この特定期間の計測を行うタイマカウンタ(制御部100に設けられた第2のタイマカウンタ)に、5秒間をカウントダウンさせるように第2のタイマカウンタをスタートさせる。
このとき、マイク200から集音された音声が無い状態が5秒間継続していると判定された場合には、上記ステップS9に処理を移し、マイク200から集音された音声が無い状態が5秒間継続してないと判定された場合には、上記ステップS2に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0069】
なお、上記特定時間は「5秒間」に限られるものではなく、例えば、搭乗者が適宜設定することが可能な構成としてもよい。