特許第6568053号(P6568053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6568053ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568053
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/42 20060101AFI20190819BHJP
   C08G 18/09 20060101ALI20190819BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20190819BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   C08G18/42 088
   C08G18/09
   C08G18/18
   C08G18/22
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-515685(P2016-515685)
(86)(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公表番号】特表2016-520150(P2016-520150A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2014057102
(87)【国際公開番号】WO2014191131
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年12月17日
【審判番号】不服2018-2192(P2018-2192/J1)
【審判請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】13170081.7
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500030150
【氏名又は名称】ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーベケ,ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーベケ,ハンス・ゴッデリーヴェ・グイド
(72)【発明者】
【氏名】エスベリン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アスタブルアガ,グティエレス・アイナラ
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 大▲わき▼ 弘子
【審判官】 井上 猛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−324110(JP,A)
【文献】 特開平06−329751(JP,A)
【文献】 特開平06−298893(JP,A)
【文献】 特開平11−096539(JP,A)
【文献】 特開平03−277680(JP,A)
【文献】 特開平04−145118(JP,A)
【文献】 特開平08−109236(JP,A)
【文献】 特開平10−251369(JP,A)
【文献】 特開2004−178648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも80℃のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法であって、
(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、(c)必要に応じた触媒化合物、ならびに(d)必要に応じた発泡剤及び/又は他の助剤化合物、を少なくとも100のイソシアネートインデックスにて反応させることを少なくとも含み、
ここで、イソシアネート反応性化合物(b)が、ダイマー脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールを含んでなり、このポリオールが(a)〜(d)の合計重量を100重量部とした場合に1〜20重量部の量で使用され、ポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量が少なくとも40%である、上記方法。
【請求項2】
ダイマー脂肪酸脂肪酸がC10〜C30脂肪酸から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ダイマー脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸及び/又はエライジン酸の二量化生成物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオールが、(a)〜(d)の合計重量を100重量部とした場合に2.5重量部から7重量部までの量で用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
イソシアネート反応性化合物(b)が、ポリアミン及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物が、ポリウレタン結合及び/又はポリウレア結合を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
イソシアネート(a)が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、および、芳香族ポリイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートから選ばれる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
助剤化合物(d)を、非イソシアネート反応性溶媒、界面活性剤、スカベンジャー、抗微生物剤、難燃剤、煙抑制剤、紫外線安定剤、着色剤、可塑剤、内部離型剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、分散剤、およびフィラーから選ぶことができる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、流し込み成形法、圧縮成形法、減圧を使用する場合とそうでない場合の樹脂トランスファー成形法、樹脂注入法、プリプレグ法、または射出法、押出法、もしくは引抜成形法に従って行われるハンドレイアップ法から選ばれる成形法を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
150から15000までのイソシアネートインデックスで(a)〜(d)を反応させるプロセスを含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、前記触媒が少なくとも1種の三量化触媒を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、前記触媒が、金属有機塩から選ばれる三量化触媒である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、前記触媒が、ハロゲン化リチウムとエポキシ樹脂とを含有する組成物から選ばれる三量化触媒である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物であり、改良方法が、成分(a)〜(d)を反応させる工程の後に、硬化ポリイソシアヌレート含有生成物を形成させるために高温にて硬化させる工程をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ポリイソシアネート重付加反応生成物が、100〜110の範囲のイソシアネートインデックスで製造されるポリウレタン(PUR)もしくはポリウレア含有生成物であり、イソシアネート反応性化合物の量及び/又は種類は、ハードブロック含量が40重量%超となるように選定される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリウレタン(PUR)含有生成物であり、触媒化合物(c)が、全イソシアネート反応性成分を基準として0.1〜2重量%の量にて使用される(PUR)触媒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ハードブロック含量が50%超、ガラス転移温度が150℃超、靱性値G1Cが200J/m超である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法に従って製造されるポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物。
【請求項16】
ハードブロック含量が40%超、ガラス転移温度が80℃超、靱性値G1Cが200J/m超である、請求項1〜8、13、14のいずれかに記載の方法に従って製造されるポリウレタン(PUR)及び/又はポリウレア含有生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性を改良する方法に関する。
本発明はさらに、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールで製造される付加生成物を耐衝撃改良剤として使用することに関する。
【0002】
本発明はさらに、靱性が増大したポリイソシアネート重付加反応生成物に関する。
本発明はさらに、80℃超のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物に関する。
【0003】
本発明は特に、40%超のハードブロック含量を有するポリイソシアネート重付加反応生成物に関する。
本発明に従ったポリイソシアネート重付加反応生成物は、80℃超のガラス転移温度と200J/m2超の靱性値を有するポリイソシアヌレート含有材料(PIR)を製造するのに極めて適している。
【背景技術】
【0004】
ポリイソシアネート重付加反応生成物(たとえば、ポリウレタン含有生成物、ポリウレア含有生成物、またはポリイソシアヌレート含有生成物)の靱性を増大させるために、可塑剤を、これらの生成物に改良された可撓性と耐久性をもたらす添加剤として加えることができる。最も一般的に使用されている可塑剤はフタル酸エステルである。可塑剤は、ポリマー鎖の間に埋め込まれ、ポリマー鎖に間隔をあけ(「自由体積」が増大する)、従って生成物をよりソフトにしつつ生成物のガラス転移温度を大幅に低下させることによって機能する。
【0005】
ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の制御は、高い分子量を有するポリオールの量を(したがって、ポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量を)変えることによって果たすことができる。しかしながら、こうした操作は、より低いガラス転移温度を有する材料をもたらす。
【0006】
これとは別に、ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の制御は、コアシェル粒子を加えることによって果たすこともできるが、こうした操作は、液体樹脂に安定性の問題をもたらしうる固体粒子の添加を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、40%超のハードブロック含量と80℃超のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性を改良することである。
本発明のさらなる目的は、高い外力に耐えることができ、そしてたとえば自動車用構造物に使用することができる構造用部材を開発することである。開発しようとする構造用部材(複合材要素とも呼ぶ)は、スチール構造物に対する代替物として機能しうるはずであり、特に、その重量、製造プロセス、およびメンテナンスの厳しさという点で利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、少なくとも40%のハードブロック含量と少なくとも80℃のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性を、該生成物のガラス転移温度を大幅に低下させることなく改良することができる、ということを本発明者らは見出した。
【0009】
本発明によれば、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するプロセスにおける耐衝撃改良剤として使用することが開示される。
【0010】
ポリイソシアネート重付加反応生成物は、40%超のハードブロック含量を有するのが好ましい。
幾つかの実施態様によれば、耐衝撃改良剤は、ダイマー脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールから選ばれる。
【0011】
幾つかの実施態様によれば、本発明のダイマー脂肪酸は、脂肪酸がC10〜C30の(さらに好ましくはC12〜C25の、特にC14〜C22の)脂肪酸から選ばれるという場合のダイマー脂肪酸から選ばれる。
【0012】
幾つかの実施態様によれば、ダイマー脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及び/又はエライジン酸の二量化生成物を含む。
本発明によれば、少なくとも80℃のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法が開示される。前記方法は、少なくとも、(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、(c)必要に応じた触媒化合物、ならびに(d)必要に応じた発泡剤及び/又は他の助剤化合物を少なくとも100のイソシアネートインデックスにて反応させることを含み、イソシアネート反応性化合物(b)が、本発明の第1の態様に従ったダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、成分(a)〜(d)の合計重量を基準として1〜20重量部含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量が少なくとも40%であることを特徴とする。
【0013】
幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性化合物(b)は、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物の2.5〜最大7重量部〔成分(a)〜(d)の合計重量を基準とした算出にて〕を構成するのが好ましい。
【0014】
幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性化合物(b)が、好ましくは32〜6000の平均分子量と好ましくは1〜8の平均公称官能価を有するポリアミン及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリウレタン結合及び/又はポリウレア結合を有する。
【0015】
幾つかの実施態様によれば、イソシアネート(a)は、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、および好ましくは芳香族ポリイソシアネートから選ばれるポリイソシアネート(たとえば、2,4-異性体、2,6-異性体、およびこれらの混合物の形のトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとそれらの変性体、ならびにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と2より大きいイソシアネート官能価を有するそれらのオリゴマーとの混合物)から選ばれる。
【0016】
幾つかの実施態様によれば、助剤化合物(d)は、非イソシアネート反応性溶媒、界面活性剤、オルトギ酸アルキル(特にオルトギ酸トリイソプロピル)等のスカベンジャー、抗微生物剤、難燃剤、煙抑制剤、紫外線安定剤、着色剤、可塑剤、内部離型剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、分散剤、およびフィラーから選ぶことができる。
【0017】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法は、流し込み成形法、圧縮成形法、樹脂トランスファー成形法(減圧を使用する場合とそうでない場合)、樹脂注入法、プリプレグ法、または射出法、押出法、もしくは引抜成形法に従って行われるハンドレイアップ法から選ばれる成形法を含む。
【0018】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物が、ポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、改良方法が、化合物(a)〜(d)を、150〜最大15000の範囲の、好ましくは少なくとも300の、最も好ましくは少なくとも500のイソシアネートインデックスにて反応させるというプロセスを含み、触媒が少なくとも1種の三量化触媒を含む。
【0019】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、三量化触媒が、金属有機塩から、好ましくはアルカリ金属有機塩またはアルカリ土類金属有機塩から、さらに好ましくは金属カルボキシレート、金属アルコキシド、またはこれらの混合物から選ばれ、カルボキシレート/アルコキシド基は1〜12個の炭素原子を有するのが好ましく、たとえば酢酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、オクタン酸カリウム、乳酸カリウム、ナトリウムエトキシド、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0020】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、三量化触媒が、ハロゲン化リチウム(好ましくはLiCl)とエポキシ樹脂とを含有する組成物から選ばれる。
【0021】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物であり、改良方法が、成分(a)〜(d)を反応させる工程の後に、硬化ポリイソシアヌレート含有生成物を形成させるべく高温にて硬化工程を施す工程をさらに含み、このとき硬化は50℃〜350℃の温度で行うのが好ましく、125℃〜250℃の温度で行うのが最も好ましい。
【0022】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物が、約100のイソシアネートインデックスで(好ましくは90〜110の範囲のイソシアネートインデックスで)製造されるポリウレタン(PUR)含有生成物もしくはポリウレア含有生成物であり、ここでイソシアネート反応性化合物の量及び/又は種類は、ハードブロック含量が40重量%超(好ましくは50重量%超)となるように選定される。
【0023】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリウレタン(PUR)含有生成物であり、触媒化合物(c)が、0.1〜2重量%(全イソシアネート反応性成分を基準として)の量にて使用される(PUR)触媒であって、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、N,N,N'-トリメチル-N'-ヒドロキシエチルビスアミノエチル-エーテル、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン、N,N'-ジエチルピペラジン、および1-(ビス(3-ジメチル-アミノプロピル)アミノ-2-プロパノール等のアミン触媒、及び/又は、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、およびこれら触媒の混合物等の有機金属化合物から選ばれるのが好ましい。
【0024】
幾つかの実施態様によれば、本発明の方法に従って製造されるポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物が開示され、該生成物は、50%超(好ましくは60%超)のハードブロック含量、150℃超のガラス転移温度、および200J/m2超(好ましくは300J/m2)の靱性値G1Cを有する。
【0025】
さらに、本発明の方法に従って製造されるポリウレタン(PUR)及び/又はポリウレア含有生成物が開示され、該生成物は、40%超のハードブロック含量、80℃超のガラス転移温度、および200J/m2超(好ましくは300J/m2、最も好ましくは400J/m2超)の靱性値G1Cを有する。
【0026】
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の特徴と好ましい特徴を説明している。従属クレームからの特徴は、必要に応じて、独立クレームまたは他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0027】
本発明の上記の特性、特徴、および利点、ならびに他の特性、特徴、および利点は、本発明の原理を例として説明している実験例と併せて考察すれば、下記の詳細な説明から明らかとなろう。
【0028】
用語の意味
本発明の文脈において、以下の用語は下記のような意味を有する。
1)少なくとも、ポリイソシアネート組成物と、イソシアネートに対して反応性である硬化剤化合物(たとえばポリオール)もしくは他の任意の適切な硬化剤とを含んでなる組成物を、本明細書では「硬化性組成物」と呼ぶ。この組成物は、硬化の前の液体組成物を表わす。
【0029】
2)イソシアネートインデックスまたはNCOインデックス(またはインデックス)は、配合物中に存在するNCO基とイソシアネート反応性水素原子との比であり、[NCO]×100/[活性水素]というパーセント値で表される。
【0030】
言い換えると、NCOインデックスは、配合物中に使用されているイソシアネート反応性水素の量と反応させるために理論的に必要とされるイソシアネートの量に関して、配合物中の実際に使用されるイソシアネートのパーセント値を表わす。
【0031】
留意しておかねばならないことは、ここで使用されているイソシアネートインデックスは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分を含む材料を製造する実際の重合プロセスという観点から考えられている、という点である。変性ポリイソシアネート(当業界でプレポリマーと呼ばれるイソシアネート誘導体を含む)を製造するための予備段階において消費されるイソシアネート基、または予備段階(たとえば、変性ポリオールや変性ポリアミンを製造するためにイソシアネートと反応させる)において消費される活性水素は、イソシアネートインデックスの算出において考慮される。
【0032】
3)イソシアネートインデックスを算出するためにここで使用されている「イソシアネート反応性水素原子」とは、反応性組成物中に存在するヒドロキシル基とアミン基中の活性水素原子の合計を表わす。このことは、実際の重合プロセスでのイソシアネートインデックスを算出する上で、1個のヒドロキシル基が1個の反応性水素を含むと見なされ、1個の第一アミン基が1個の反応性水素を含むと見なされ、1個の水分子が2個の活性水素を含むと見なされる、ということを意味している。
【0033】
4)「平均公称ヒドロキシル官能価」(要するに「官能価」)という用語は、ここではポリオールまたはポリオール組成物の数平均官能価(1分子当たりのヒドロキシル基の数)を示すのに使用されている〔但しこの数平均官能価を、ポリオールやポリオール組成物の製造において使用される開始剤の数平均官能価(1分子当たりの活性水素原子の数)であると仮定して〕。しかしながら実際には、幾らかの末端不飽和のために、若干低いことが多い。
【0034】
5)「平均」とは、特に明記しない限り数平均を表わす。
6)「液状」とは、ASTM D445-11aに従った20℃で測定にて10Pa.s未満の粘度を有することを意味する。
【0035】
7)「三量化触媒」とは、ポリイソシアネートからのイソシアヌレート基の形成に触媒作用を及ぼす(形成を促進する)ことができる触媒を表わす。
8)「ポリイソシアネート重付加反応生成物」とは、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性である化合物との、(c)触媒ならびに必要に応じた(d)助剤及び/又は他の添加剤の存在下での反応生成物を含む生成物を表わす。イソシアネートに対して反応性である化合物は、ウレア結合及び/又はウレタン結合をもたらす(ポリ)アミン及び/又はポリオール等のイソシアネート反応性水素原子を有する化合物であってよい。これとは別に、イソシアネートとイソシアネートが反応してポリイソシアヌレートを生成することがある。
【0036】
9)「ポリイソシアヌレート含有材料」とは、材料の総重量を基準として10重量%超(好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは75重量%)のポリイソシアヌレートを含んでなるポリイソシアネート組成物を表わす。
【0037】
10)「ハードブロック含量」とは、[ポリイソシアネート+500以下の分子量を有するイソシアネート反応性物質(ポリイソシアネート中に配合される500超の分子量を有するポリオールは考慮されない)の量]対[全てのポリイソシアネート+生成物を製造する際に使用される全てのイソシアネート反応性物質の量]の比の100倍を表わす。
【0038】
11)「密度」は、ISO845に従って測定される総合密度を表わす。
12)「ガラス転移温度(Tg)」とは、硬質ガラス状態からゴム弾性状態への可逆転移が起こる温度を表わす。ガラス転移温度(Tg)は、デュアルカンチレバー(a dual cantilever)にて一定の強制振幅と固定周波数を使用してASTM D4065-1に従って測定した。タンジェントデルタ(tanδ)プロフィールのピーク最大値がTgと見なされる。
【0039】
13)「靱性」または「破壊靱性」は、サンプルが破壊する前にサンプルが吸収することができるエネルギーの尺度である。本発明の文脈では、靱性はISO13586に従って測定され、G1C値(単位J/m2)として表示される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本発明によれば、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールで製造される化合物から選ばれる添加剤を、ポリイソシアネート重付加反応生成物(特に、40%超のハードブロックを有するポリイソシアネート重付加反応生成物)を製造するためのプロセスにおける耐衝撃改良剤として使用する。
【0041】
幾つかの実施態様によれば、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物は、ダイマー脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールから選ばれる。好ましいダイマー脂肪酸は、C10〜C30(さらに好ましくはC12〜C25、特にC14〜C22)脂肪酸のダイマーである。好適なダイマー脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及びエライジン酸の二量化生成物がある。天然油脂や天然油(たとえばひまわり油、大豆油、オリーブ油、菜種油、綿実油、およびタル油)の加水分解において得られる不飽和脂肪酸混合物の二量化生成物も使用することができる。二量化は通常、ダイマー脂肪酸の他に、種々の量のオリゴマー脂肪酸(いわゆる「トリマー」)やモノマー脂肪酸の残留物(いわゆる「モノマー」)、あるいはそれらのエステルを生じる。好適なダイマー脂肪酸は、60%超(好ましくは75%超、さらに好ましくは90〜99.5%の範囲、特に95〜99%、とりわけ97〜99%)のダイマー酸含量を有する。本発明を実施する上で使用することができる市販ポリオールとしては、Dynacoll(登録商標)7360、7380、7330、7231、7250(Evonik社);Rucoflex(登録商標)S-105-10(Bayer社);Stepanpol(登録商標)PN110(Stepan社);Priplast(登録商標)1838、3196(Croda社);等の結晶質材料と非晶質材料がある。分子量は通常、約500〜約7000の範囲である。
【0042】
本発明によれば、少なくとも80℃のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法が開示され、該方法では、本発明の第1の態様に従ったダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールで製造される化合物から選ばれる添加剤が使用される。
【0043】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法は、少なくとも(a)イソシアネートと(b)イソシアネート反応性化合物とを、必要に応じて(c)触媒化合物、ならびに必要に応じて(d)発泡剤及び/又は他の助剤の存在下にて、少なくとも100のイソシアネートインデックスで反応させることを含み、このとき該イソシアネート反応性化合物が、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、成分(a)〜(d)の総重量を基準として1〜20重量部含むこと、およびポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量が少なくとも40%であることを特徴とする。
【0044】
幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性化合物は、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、成分(a)〜(d)の総重量を基準として1〜20重量部(好ましくは2.5〜最大7重量部)含む。ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物の特に適した量は、成分(a)〜(d)の総重量を基準として約5重量部である。
【0045】
幾つかの実施態様によれば、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物は、ダイマー脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールから選ばれる。好ましいダイマー脂肪酸は、C10〜C30(さらに好ましくはC12〜C25、特にC14〜C22)の脂肪酸である。好適なダイマー脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及びエライジン酸の二量化生成物がある。使用することができる市販ポリエステルとしては、Dynacoll(登録商標)7360、7380、7330、7231、7250(Evonik社);Rucoflex(登録商標)S-105-10(Bayer社);Stepanpol(登録商標)PN110(Stepan社);Priplast(登録商標)1838、3196(Croda社);等の結晶質材料と非晶質材料がある。分子量は通常、約500〜約7000の範囲である。
【0046】
幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性化合物が、好ましくは32〜6000の平均分子量と好ましくは1〜8の平均公称官能価を有するポリアミン及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを含んでよく、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリウレタン結合及び/又はポリウレア結合を有してよい。
【0047】
好適なポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、スクロース、グリセロール、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、これらの化合物より多くの炭素原子を有していて、最大で8000の分子量を有する芳香族ポリオール及び/又は脂肪族ポリオール、200〜8000の平均分子量を有するポリエステルポリオール、200〜8000の平均分子量を有するポリエーテルポリエステルポリオール、ならびに200〜8000の平均分子量を有するポリエーテルポリオールである。最も好ましいのは、32〜6000の平均分子量と1〜8の平均公称官能価を有するポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールである。モノオール及び/又はポリオールの混合物も使用することができる。
【0048】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、および好ましくは芳香族ポリイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートから選ぶことができ、たとえば2,4-異性体、2,6-異性体、およびこれらの混合物の形のトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとそれらの変性体、ならびにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と2より大きいイソシアネート官能価を有するそれらのオリゴマーとの混合物〔当業界では「クルード」MDIまたはポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)として知られている〕などがある。トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及び/又はポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物も使用することができる。
【0049】
ポリイソシアネートと他の成分を合わせてミキシングすることは、望ましくない早すぎる反応をできるだけ防ぐために、周囲圧力にて、好ましくは5℃〜45℃(さらに好ましくは5℃〜30℃)の温度で行うべきである。
【0050】
幾つかの実施態様によれば、他の助剤化合物は、非イソシアネート反応性溶媒、界面活性剤、オルトギ酸アルキル(特にオルトギ酸トリイソプロピル)等のスカベンジャー、抗微生物剤、難燃剤、煙抑制剤、紫外線安定剤、着色剤、可塑剤、内部離型剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、分散剤、およびフィラーから選ぶことができる。
【0051】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、フィラー材料を助剤化合物(d)としてさらに含んでよい。フィラー材料は、木材チップ、木粉、木材フレーク、木材プレート;紙や段ボール(どちらも細断状であろうと層状であろうと);砂、バーミキュライト、クレー、セメント、および他のケイ酸塩;粉砕ゴム、粉砕熱可塑性樹脂、粉砕熱硬化性材料;段ボール、アルミニウム、木材、およびプラスチック等の任意材料のハニカム;金属粒子や金属プレート;粒状形態または層状形態のコルク;亜麻、麻、およびサイザル繊維等の天然繊維;ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアラミド繊維、ポリエステル繊維、および炭素繊維等の合成繊維;ガラス繊維やロックウール繊維等の鉱物繊維;BaSO4やCaCO3等の鉱物フィラー;クレー、無機酸化物、および炭素等のナノ粒子;ガラスビーズ、粉砕ガラス、中空ガラスビーズ;発泡ビーズや発泡性ビーズ;ミルド廃棄物、チョップト廃棄物、破砕廃棄物、または粉砕廃棄物(特にフライアッシュ)等の未処理廃棄物や処理廃棄物;織布や不織布;およびこれら材料の2種以上の組み合わせ;から選ぶことができる。特定の用途は、玄武岩繊維、炭素繊維、亜麻繊維、及び/又はガラス繊維を含む構造用複合材料や準構造用複合材料の製造である。
【0052】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するのに成形法を使用することができ、その場合、成形法は、流し込み成形法、圧縮成形法、樹脂トランスファー成形法(特に減圧を使用する場合)、樹脂注入法、プリプレグ法、またはハンドレイアップ法に従って行うことができる。成形法はさらに、射出成形法、押出成形法、または引抜成形法に従って行うこともできる。マイクロ波硬化プロセスや誘導加熱硬化プロセスも適用することができる。成形法は、バッチ方式、半連続方式、または連続方式のいずれでも行うことができる。
【0053】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて複数のウレタン基を生成させることによって、及び/又は、ポリイソシアネートとポリアミンとを反応させて複数のウレア基を生成させることによって、及び/又は、三量化触媒を使用してポリイソシアネートを三量化させて複数のイソシアヌレート基を生成させることによって製造される。
【0054】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は発泡生成物であり、発泡剤は、不活性発泡剤と反応性発泡剤から選ぶことができる。不活性発泡剤の例は、アルカン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、発泡性マイクロビーズ、ならびに空気、N2、CO2、CO、O2、およびHe等の不活性ガスであり、反応性発泡剤の例は、アゾジカルボンアミドと水である。最も好ましい発泡剤は水である。必要とされる実際の発泡剤量は、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するのに使用される成分、製造プセス、発泡剤の種類、および所望する密度に依存する。ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するための成分、製造プロセス、および所望する密度が選定されたときの発泡剤の量の決定は、当業者にとっては型にはまった作業である。
【0055】
ポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量を確実に40%超とするために、前述のように、ポリイソシアネート、500以下の分子量を有するイソシアネート反応性成分、および500超の分子量イソシアネート反応性成分の量を、材料のハードブロック含量が40%超となるような仕方で選定する。
【0056】
500超の分子量を有するイソシアネート反応性物質は、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造する際に使用する場合は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリエーテルポリアミン、およびポリエーテルポリアミンから選ぶことができる。これらのイソシアネート反応性物質は、500超〜10,000の平均分子量と2〜6の平均公称官能価を有するのが好ましい。このような物質は、当業界に広く知られており、市販されている。
【0057】
高くても500の分子量を有するイソシアネート反応性物質は、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造する際に使用する場合は、エチレングリコール、高くても500の平均分子量を有するポリエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレンジアミン、トルエンジアミン、プロピレングリコール、高くても500の平均分子量を有するポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、スクロース、ソルビトール、およびこれらの混合物等の、このタイプのエラストマーを製造する際に通常使用される鎖延長剤と架橋剤から選ぶことができる。
【0058】
上記成分のほかに、複数のウレタン基、ウレア基、及び/又はイソシアヌレート基を含む材料を製造する上で当業界で使用されている他の成分、たとえば他の触媒(たとえば、ウレタンの形成を高めるための)、界面活性剤、難燃剤、着色剤、顔料、抗微生物剤、フィラー、内部離型剤、気泡安定剤、および気泡連通化剤等も使用することができる。
【0059】
ポリイソシアネートとポリオールとの反応は発熱反応であり、周囲条件下で行うことができる。必要であれば、ウレタンの形成を促進する触媒を使用することによって、及び/又は温度を高める(たとえば30〜80℃)ことによって、反応を増進することができる。さらなる特別な対策をとる必要はない。なぜなら、発熱反応という特性から、反応が自然と完了に向かうからである。
【0060】
ポリイソシアネートとポリアミン及び/又は水との反応は強い発熱反応であり、加熱や触媒を必要としないけれども、ポリイソシアネートは、流動性を確保するためにやや高めた温度(たとえば最高50℃まで)で供給することができる。
【0061】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、ポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ぶことができ、本発明の方法は、化合物(a)〜(d)を150〜最大15000の範囲のイソシアネートインデックスで反応させるというプロセスを含み、触媒が少なくとも1種の三量化触媒を含む。反応は、少なくとも300のインデックスで行うのが好ましく、少なくとも500のインデックスで行うのがさらに好ましい。
【0062】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、ポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ぶことができ、ハードブロック含量が少なくとも60重量%である。
【0063】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、ポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ぶことができ、三量化触媒は、金属有機塩から、好ましくはアルカリ金属有機塩またはアルカリ土類金属有機塩から、さらに好ましくは金属カルボキシレート、金属アルコキシド、またはこれらの混合物から選ばれ、カルボキシレート/アルコキシド基は1〜12個の炭素原子(これに限定されない)を有するのが好ましい。さらに、環構造を有するカルボキシレート(たとえば、安息香酸ナトリウムや安息香酸カリウム)も好適な三量化触媒である。最も好ましい例は、酢酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、オクタン酸カリウム、乳酸カリウム、ナトリウムエトキシド、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、およびこれらの混合物である。このタイプの触媒は市販されており、たとえばHuntsman社から市販のCatalyst LB(酢酸カリウムを含む)、およびAir Products社から市販のDabco K2097とDabco K15(オクタン酸カリウムを含む)などがある。
【0064】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、ポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ぶことができ、三量化触媒は、ハロゲン化リチウム(好ましくはLiCl)とエポキシ樹脂を含有する組成物から選ぶことができる。
【0065】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物であり、前記ポリイソシアヌレート含有生成物を形成させるための方法が、化合物(a)〜(d)を150〜最大15000の範囲のイソシアネートインデックスで反応させる工程の後に、硬化ポリイソシアヌレート含有生成物を形成させるために、得られた組成物を高温で硬化させる工程をさらに含む。硬化は、50℃〜350℃の範囲の温度で、最も好ましくは125℃〜250℃の範囲の温度で行われる。この反応は5秒〜10時間かかることがあり、15秒〜2時間で済むのが好ましい。本発明の方法は、周囲圧力にて、あるいは減圧または増大圧力にて行うことができる。(硬化性)組成物を50℃超の温度に(最も好ましくは80℃超の温度に)するために、熱を加えるのが好ましい。次いで硬化性組成物は、温度がさらに上昇しつつ(反応は発熱反応である)速やかに硬化(いわゆるスナップキュア)してよい。ポリイソシアヌレート含有生成物を硬化させる前に、この(硬化性)組成物を、特定の形状を付与するために金型中に供給することもできるし、目的物にポリイソシアヌレートの内側面をもたらすために目的物のキャビティ中に供給することもできるし、または表面にポリイソシアヌレートの被覆をもたらすために表面上に供給することもできるし、あるいはポリイソシアヌレート含有生成物を使用して目的物を補修することもできる。
【0066】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、約100のイソシアネートインデックスで(好ましくは90〜110のイソアネートインデックスで)製造されるポリウレタン(PUR)もしくはポリウレア含有生成物であり、このときイソシアネート反応性化合物の量及び/又は種類は、ハードブロック含量が40重量%超え(好ましくは50重量%超)となるように選定される。
【0067】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、約100のイソシアネートインデックスで(好ましくは90〜110のイソアネートインデックスで)製造される発泡ポリウレタン(PUR)もしくは発泡ポリウレア含有生成物であり、このときイソシアネート反応性化合物の量及び/又は種類は、ハードブロック含量が40重量%超え(好ましくは50重量%超)となるように選定され、水及び/又は他の発泡剤が、たとえば5重量部の量にて加えられる。必要とされる実際の発泡剤量は、ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するのに使用される成分、製造プロセス、選定される発泡剤、および所望する密度に依存する。ポリイソシアネート重付加反応生成物を製造するための成分、製造プロセス、および所望する密度が選定されたときの発泡剤の量の決定は、当業者にとっては型にはまった作業である。
【0068】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、約100のイソシアネートインデックスで製造される発泡ポリウレタン(PUR)含有生成物であり、このときウレタン基の形成を増大する触媒が使用される。(PUR)触媒は、0.1〜2重量%(全イソシアネート反応性成分を基準として)の量にて使用される。このような触媒は当業界に一般的に知られている。このような触媒の例は、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、N,N,N'-トリメチル-N'-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N'-ジイソプロパノールアミン、N,N'-ジエチルピペラジン、および1-(ビス(3-ジメチル-アミノプロピル)アミノ-2-プロパノール等のアミン触媒、ならびにオクタン酸第一錫やジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物である。触媒の混合物も使用することができる。
【0069】
幾つかの実施態様によれば、靱性を高めたポリイソシアネート重付加反応生成物が開示される。該ポリイソシアネート重付加反応生成物は特に、40%超のハードブロック含量、80℃超のガラス転移温度、および200J/m2超の靱性値G1cを有する。
【0070】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、40%超のハードブロック含量、80℃超のガラス転移温度、および200J/m2超(好ましくは300J/m2超)の靱性値G1Cを有するポリイソシアヌレート含有材料(PIR)である。PIR材料は50%超のハードブロック含量を有するのが好ましく、60%超がより好ましい。
【0071】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、40%超(好ましくは50%超、さらに好ましくは60%超)のハードブロック含量、200J/m2超(好ましくは300J/m2超)の靱性値G1C、および150℃超のガラス転移温度を有するポリイソシアヌレート含有材料(PIR)である。
【0072】
幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート重付加反応生成物は、40%超のハードブロック含量、80℃超のガラス転移温度、および200J/m2超(好ましくは300J/m2超、最も好ましくは400J/m2超)の靱性値G1Cを有するポリイソシアヌレート含有材料(PIR)である。
【0073】
本発明によるポリイソシアヌレート含有複合材料は、スポーツ用品、自動車部品の大量生産、電車用部品、航空宇宙・海洋用途品、風力発電装置、ウインドウリネアル(window lineals)、構造用部品、接着剤、包装材料、封止剤、および絶縁材、および(噴霧)塗料に使用することができる。
【0074】
(1) 少なくとも80℃のガラス転移温度を有するポリイソシアネート重付加反応生成物の靱性の改良方法であって、
(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、(c)必要に応じた触媒化合物、ならびに(d)必要に応じた発泡剤及び/又は他の助剤化合物を少なくとも100のイソシアネートインデックスにて反応させることを少なくとも含み、
ここでイソシアネート反応性化合物(b)が、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、成分(a)〜(d)の合計重量を基準として1〜20重量部含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物のハードブロック含量が少なくとも40%である、上記方法。
(2) ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールが、ダイマー脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールから選ばれる、(1)に記載の方法。
(3) ダイマー脂肪酸が、脂肪酸がC10〜C30脂肪酸から、さらに好ましくはC12〜C25脂肪酸から、特にC14〜C22脂肪酸から選ばれる場合のダイマー脂肪酸から選ばれる、(1)〜(2)のいずれかに記載の方法。
(4) ダイマー脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及び/又はエライジン酸の二量化生成物を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) イソシアネート反応性化合物(b)が、ダイマー脂肪酸及び/又はダイマー脂肪アルコールから誘導されるポリオールから選ばれる化合物を、成分(a)〜(d)の合計重量を基準として好ましくは2.5〜最大7重量部含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) イソシアネート反応性化合物(b)が、好ましくは32〜6000の平均分子量と好ましくは1〜8の平均公称官能価を有するポリアミン及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを含み、ポリイソシアネート重付加反応生成物が、ポリウレタン結合及び/又はポリウレア結合を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) イソシアネート(a)が、2,4-異性体、2,6-異性体、およびこれらの混合物の形のトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとそれらの変性体、ならびにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と2より大きいイソシアネート官能価を有するそれらのオリゴマーとの混合物等の、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、および好ましくは芳香族ポリイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートから選ばれる、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 助剤化合物(d)を、非イソシアネート反応性溶媒、界面活性剤、オルトギ酸アルキルおよび特にオルトギ酸トリイソプロピル等のスカベンジャー、抗微生物剤、難燃剤、煙抑制剤、紫外線安定剤、着色剤、可塑剤、内部離型剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、分散剤、およびフィラーから選ぶことができる、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 前記方法が、流し込み成形法、圧縮成形法、減圧を使用する場合とそうでない場合の樹脂トランスファー成形法、樹脂注入法、プリプレグ法、または射出法、押出法、もしくは引抜成形法に従って行われるハンドレイアップ法から選ばれる成形法を含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10) ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、改良方法が、化合物(a)〜(d)を150〜最大15000の範囲のイソシアネートインデックスで、好ましくは少なくとも300のイソシアネートインデックスで、そして最も好ましくは少なくとも500のイソシアネートインデックスで反応させるというプロセスを含み、触媒が少なくとも1種の三量化触媒を含む、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11) ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、三量化触媒が、金属有機塩から、好ましくはアルカリ金属有機塩またはアルカリ土類金属有機塩から、さらに好ましくは金属カルボキシレート、金属アルコキシド、またはこれらの混合物から選ばれ、カルボキシレート/アルコキシド基は、酢酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、オクタン酸カリウム、乳酸カリウム、ナトリウムエトキシド、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、およびこれらの混合物等のように、1〜12個の炭素原子を有するのが好ましい、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12) ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物から選ばれ、触媒が、ハロゲン化リチウム、好ましくはLiClとエポキシ樹脂とを含有する組成物から選ばれる三量化触媒である、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(13) ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物であり、改良方法が、成分(a)〜(d)を反応させる工程の後に、硬化ポリイソシアヌレート含有生成物を形成させるために高温にて硬化させる工程をさらに含み、好ましくは硬化を50℃〜350℃の温度で行い、最も好ましくは125℃〜250℃の温度で行う、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14) ポリイソシアネート重付加反応生成物が、約100のイソシアネートインデックスで製造される、好ましくは90〜110の範囲のイソシアネートインデックスで製造されるポリウレタン(PUR)もしくはポリウレア含有生成物であり、イソシアネート反応性化合物の量及び/又は種類は、ハードブロック含量が40重量%超となるように、好ましくは50重量%超となるように選定される、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(15) ポリイソシアネート重付加反応生成物がポリウレタン(PUR)含有生成物であり、触媒化合物(c)が、全イソシアネート反応性成分を基準として0.1〜2重量%の量にて使用される(PUR)触媒であって、好ましくは、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、N,N,N'-トリメチル-N'-ヒドロキシエチルビスアミノエチル-エーテル、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン、N,N'-ジエチルピペラジン、および1-(ビス(3-ジメチル-アミノプロピル)アミノ-2-プロパノール等のアミン触媒、及び/又は、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、およびこれら触媒の混合物等の有機金属化合物から選ばれる、(14)に記載の方法。
(16) 50%超の、好ましくは60%超のハードブロック含量、150℃超のガラス転移温度、および200J/m2超の、好ましくは300J/m2超の靱性値G1Cを有する、(1)〜(13)のいずれかに記載の方法に従って製造されるポリイソシアヌレート(PIR)含有生成物。
(17) 40%超のハードブロック含量、80℃超のガラス転移温度、および200J/m2超の、好ましくは300J/m2超の、最も好ましくは400J/m2超の靱性値G1Cを有する、(1)〜(9)および(14)〜(15)のいずれかに記載の方法に従って製造されるポリウレタン(PUR)及び/又はポリウレア含有生成物。
以下に実験例を挙げて本発明を説明する。
【実施例】
【0075】
使用する化学物質
Croda社から市販のPriplast(登録商標)1838: Croda社のPripol C36ダイマー脂肪酸をベースとする分子量2000のポリエステルジオール。
【0076】
ポリオール1: 650の分子量と2.1の官能価を有するOH末端ポリオール。
ポリオール2: 550の分子量と3の官能価を有するOH末端ポリオール。
ポリオール3: 400の分子量と2の官能価を有するOH末端ポリオール。
【0077】
無水フタル酸。
Air Products社から市販のDabco(登録商標)K2097: ジエチレングリコール中30重量%酢酸カリウム触媒。
【0078】
EID9932: NCO値が33%のベースイソシアネート。
EID10012: Priplast(登録商標)1838を5.9重量%含有するEID9932をベースとするプレポリマー。このプレポリマーは、当業者に公知の標準法によって製造した。
【0079】
実験例1: ポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物の作製
91.6重量部のポリオール3に、5.4重量部のDabco(登録商標)K2097と3重量部の無水フタル酸を加えた。本混合物を、撹拌しながら周囲圧力で1時間加熱した。本混合物を周囲温度で自然冷却し、窒素雰囲気にて保持した。
【0080】
実験例2: 本発明による反応性ポリイソシアネート組成物と該組成物の硬化プロセス
85重量部のEID10012、実験例1からのポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物を5重量部、および10重量部のポリオール1を、減圧ミキサー中10ミリバールにて1500rpmで5分ミキシングすることによって、反応性ポリイソシアネート組成物を作製した。成分をミキシングした後、透明な液体樹脂が得られた。
【0081】
引き続き反応性ポリイソシアネート組成物を、4mmの幅を有する垂直固定アルミニウム金型中に注入し、90℃で5分キュアーした。樹脂の硬化時に、系が不透明になった。5分キュアーした後に、不透明な固体注型品を脱型し、さらに180℃で20分ポストキュアーした。
【0082】
実験例3: 反応性ポリイソシアネート組成物と該組成物の硬化プロセスの比較例
80重量部のEID9932、5重量部の実験例1からのポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物、および15重量部のポリオール1を、減圧ミキサー中10ミリバールにて1500rpmで5分ミキシングすることによって反応性ポリイソシアネート組成物を作製した。成分のミキシング後、透明な液状樹脂が得られた。
【0083】
引き続き反応性ポリイソシアネート組成物を、4mmの幅を有する垂直固定アルミニウム金型中に注入し、90℃で5分キュアーした。キュアー中、樹脂は透明のままであった。
5分キュアーした後に、透明な固体注型品を脱型し、さらに180℃で20分ポストキュアーした。
【0084】
硬化した注型品材料に対して以下の測定を行った。
・ENISO 178による曲げ試験(fexural bending test)
・ISO 13586による破壊靱性(G1CとK1C)
下記の表1は、本発明による実験例2と比較例3の、硬化注型品の重量部表示での組成、イソシアネートインデックス、曲げ試験結果、および靱性破壊試験結果を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
プレポリマーEID10012中に5重量部のPriplast(登録商標)1838を含有する実験例2の不透明注型品のG1C破壊靱性特性の値は、Priplast(登録商標)1838が存在しない実験例3(比較例)の透明注型品のG1C破壊靱性特性の値の2倍超である。
【0087】
さらに、実験例2の曲げ歪は、実験例3(比較例)の曲げ歪より約50%高い。
実験例4: 実験例1によるポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物
ここでは、81.33重量部のポリオール3、12重量部のDabco(登録商標)K2097、および6.67重量部の無水フタル酸を使用して混合物を作製した。
【0088】
実験例5: 本発明による反応性ポリイソシアネート組成物と該組成物の硬化プロセス
41重量部のEID9932、3重量部の実験例4からのポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物、51重量部のポリオール2、および5重量部のPriplast(登録商標)1838を、減圧ミキサー中10ミリバールにて1500rpmで5分ミキシングすることによって反応性ポリイソシアネート組成物を作製した。成分のミキシング後、透明な液状樹脂が得られた。
【0089】
引き続き反応性ポリイソシアネート組成物を、4mmの幅を有する垂直固定アルミニウム金型中に注入し、90℃で5分キュアーした。樹脂のキュアー中、系が不透明になった。
5分キュアーした後に、不透明な固体注型品を脱型し、さらに180℃で20分ポストキュアーした。
【0090】
実験例6: 反応性ポリイソシアネート組成物と該組成物の硬化プロセスの比較例
42.6重量部のEID9932、3重量部の実験例4からのポリオール3/無水フタル酸/Dabco(登録商標)K2097混合物、および54.4重量部のポリオール2を、減圧ミキサー中10ミリバールにて1500rpmで5分ミキシングすることによって反応性ポリイソシアネート組成物を作製した。成分のミキシング後、透明な液状樹脂が得られた。
【0091】
引き続き反応性ポリイソシアネート組成物を、4mmの幅を有する垂直固定アルミニウム金型中に注入し、90℃で5分キュアーした。キュアー中、樹脂は透明のままであった。
5分キュアーした後に、透明な固体注型品を脱型し、さらに180℃で20分ポストキュアーした。
【0092】
下記の表2は、実験例5の不透明注型品と実験例6(比較例)の透明注型品の、重量部表示での組成とイソシアネートインデックスを示す。
【0093】
【表2】