(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処置される身体部位を処置するためのシステムは、処置される身体部位上の毛を切るためのシステムであり、前記処置装置はカット装置であり、前記処置ユニットはカッタユニットである、請求項1又は2に記載のシステム。
前記コントローラは、処置される身体部位に対する前記処置装置の位置を示す情報と共に、前記コントローラによって決定されるユーザ入力に基づいて前記参照プロファイルを形成する、請求項5に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を著しく軽減又は克服する、処置される身体部位を処置するためのシステム及び/又は方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、処置ユニットを有する手持式の処置装置と、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される位置特定部と、位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の動作特性を調節するように構成されるコントローラとを含む、処置される身体部位を処置するためのシステムが提供される。
【0006】
従って本システムは、位置特定部によって生成される情報に基づいて処置装置の位置を決定するように動作可能である。このことは必要なコンポーネント数を最小限にする。かかる構成では、処置装置が処置される身体部位上で例えば毛を切ることによって使用されるとき、処置装置の動作特性を変えて処置装置の性能を支援することができる。このことは、位置特定部によって生成される情報に基づいて処置装置の動作状態を変えることを可能にする。
【0007】
処置される身体部位を処置するためのシステムは、処置される身体部位上の毛を切るためのシステムであり、処置装置はカット装置であり、及び処置ユニットはカッタユニットである。
【0008】
かかる構成では、位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の動作特性を変えることによって様々な髪型が作り出されることを可能にする、毛を切るためのシステムを提供することが可能である。従って、処置される身体部位、例えば利用者の頭部に対する処置装置の位置が変わるとき、特性を自動で及び動的に調節することが可能である。
【0009】
処置装置の動作特性はユーザ入力に応答して調節可能とすることができ、コントローラは、ユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節を決定するように構成されても良く、コントローラは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、コントローラによって決定されるユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節に基づいて、処置される身体部位のプロファイルを形成するように構成され得る。
【0010】
上記の構成では、位置特定部によって決定される、処置される身体部位に対する処置装置の1つ若しくは複数の位置に関する1つ又は複数の動作特性状態のプロファイルをコントローラが形成することが可能である。従って、このことは、動作特性状態の組が再現されること、及び、記憶されるかかるプロファイルが、利用者による手動の調節なしに所与の位置の所望の状態に合わせて動作特性を調節するためにコントローラによって使用されることを可能にする。コントローラは、コントローラによって形成されるプロファイルに基づいて動作特性を動的に調節することができる。
【0011】
コントローラは、処置される身体部位の参照プロファイルを参照して、処置される身体部位に対する処置装置の位置に応じた動作特性の調節を決定するように構成されても良く、コントローラは、コントローラによって決定されるユーザ入力に応答して処置される身体部位の参照プロファイルを修正して新たな参照プロファイルを形成するように構成され得る。
【0012】
かかる構成では、1つ又は複数の所望の動作特性状態に基づいて利用者が既存のプロファイルを変更し、新たなプロファイルを形成することが可能である。新たなプロファイルは既存のプロファイルを置換することができ、又は既存のプロファイルと一緒に記憶され得る。
【0013】
かかる構成では、コントローラによって決定される動作特性の調節を行って参照プロファイルを修正するようにユーザ入力が構成され得る。或る代替的構成では、ユーザ入力がコントローラによって決定され、且つユーザ入力が動作特性を直接調節することなしに、参照プロファイルを修正するために使用される。
【0014】
コントローラは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、コントローラによって決定されるユーザ入力に基づいて参照プロファイルを形成するように構成され得る。
【0015】
この構成の利点は、参照プロファイルを形成するのが比較的簡単なことであり、かかる参照プロファイルはその後、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報に応じて動作特性を調節するためにコントローラによって参照され得る。
【0016】
コントローラは、処置される身体部位の参照プロファイルに応じて処置装置の動作特性を調節するように構成されても良く、処置装置の動作特性はユーザ入力に応答して調節可能とすることができ、コントローラは、ユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節を決定するように構成されても良く、コントローラは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、コントローラによって決定されるユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節に基づき、処置される身体部位の参照プロファイルを修正するように構成され得る。
【0017】
この構成では、処置装置の使用中に動作特性を容易に調節し、システムの将来の使用中にこの調節を使用することが可能である。かかる構成は、動作特性の手動調節が記録されることを可能にする。つまり、システムの使用が個人化されても良く、且つシステムによって提供される処置が改善され得る。
【0018】
コントローラは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、ユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節に基づき参照プロファイルを形成するように構成され得る。
【0019】
処置される身体部位のプロファイルは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、1つ又は複数の動作特性状態のマップを含み得る。
【0020】
従って、処置される身体部位に対する処置装置の所与の位置の所望の動作状態を記憶することが比較的簡単である。
【0021】
位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の動作特性を変えるように構成されるコントローラは、位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の2つ以上の動作特性を変えるように構成される。
【0022】
かかる実施形態では、システムによって提供される処置の効果及び/又は効率を最大限にすることができる。例えば処置装置がカット装置であれば、一実施形態では、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報に応じて切断高さ、従って毛の切断長を動的に変えること、更には利用者の快適さを改善するためのカット装置の操作特性等の別の動作状態を変えることができる。従って、所望の髪型を作る間の利用者の体験を改善することができる。
【0023】
コントローラが調節するように構成される処置装置の動作特性又は動作特性の1つは、処置ユニットの動作特性である。
【0024】
かかる構成では、処置される皮膚部分に施される処置を変えるために処置ユニットの動作特性を変えることができる。
【0025】
このシステムは、処置ユニットを駆動するように構成される駆動部を更に含むことができ、コントローラは、処置される身体部位に対して処置装置が動かされる速度を位置特定部によって生成される情報に応じて決定するように構成され、コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性又は動作特性の1つは、処置される身体部位に対して処置装置が動かされる決定された速度に応じた駆動部の動作である。
【0026】
つまり、処置される身体部位に対する処置ユニットの位置に応じて処置ユニットの動作速度及び/又は動作モードを変えることができる。
【0027】
処置ユニットは、固定処置要素及び可動処置要素を更に含むことができ、可動処置要素は固定処置要素に対して調節可能とすることができ、コントローラが調節するように構成される処置装置の動作特性又は動作特性の1つは、固定処置要素に対する可動処置要素の位置であり得る。
【0028】
かかる構成では、処置される皮膚部分に施される処置を変えるために処置ユニットの動作特性を変えることができる。
【0029】
固定処置要素は固定刃先を有する固定刃とすることができ、可動処置要素は、固定刃先と平行に配置される可動刃先を有する可動刃とすることができ、毛を刈るための噛合いにおいて固定刃に接して往復式に動作可能であり、固定刃と可動刃とは、固定刃先と可動刃先との間の距離を変えるために可動刃の往復運動に対して垂直方向に互いに対して動作可能でも良く、コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性又は動作特性の1つは、固定刃先と可動刃先との間の距離であり得る。
【0030】
つまり、処置ユニットの切断能力を調節することができる。従って、ガイドの如何なる動きとも無関係に切断長を調節することが可能であり得る。この構成は、刺激を減らすことにより、皮膚により優しい装置を提供するのを促進し得る。
【0031】
処置装置は、システムの使用中に処置される身体部位から処置ユニットを一定の間隔に置くように構成されるガイド面を有するガイドを更に含むことができる。
【0032】
コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性の1つは、処置ユニットとガイド面との間の距離であり得る。
【0033】
ガイドは、処置される身体部位の輪郭をたどるように処置ユニットのまわりで動き得るように構成されても良く、コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性の1つは、処置ユニットのまわりのガイドの許容運動度であり得る。
【0034】
従って、処置される身体部位に対する処置装置の示された位置に基づいてガイドの許容運動度を操作することが可能である。つまり、処置される身体部位の異なる領域に対してガイドの許容運動度を変えることにより、利用者の快適さの改善を促進することができる。例えば処置される身体部位のデリケートな領域上では、その領域上の優しい動きを可能にするようにガイドが可動式に構成され得る一方、より丈夫な領域上では、より速い移動速度を可能にするためにガイドが固定式に構成され得る。
【0035】
コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性の1つはガイドの角位置である。
【0036】
従って、処置される身体部位に対する処置装置の示された位置に基づいてガイドの角位置を操作することが可能である。つまり、処置される身体部位の異なる領域に対してガイドの角位置を変えることにより、利用者の快適さの改善を促進することができる。
【0037】
ガイドは、ガイドの前縁を画定する櫛歯を含むことができ、櫛歯は処置ユニットの一方の端から伸縮可能であり得る。コントローラが調節するように構成される処置ユニットの動作特性の1つは、処置ユニットの一方の端から櫛歯が伸びる程度であり得る。
【0038】
この構成の利点は、処置が施される精度が変えられることを可能にすることである。例えば櫛歯が引っ込んでいるとき、ガイドの前縁とカッタユニットとの間の距離が短くされることにより、ガイドの所与の切断高さについてより正確な処置を可能にするように精度が高まる。その一方で、櫛歯を伸ばすことにより、ガイドの所与の切断高さについてより高い起毛効果がもたらされ、カット装置の性能を最大限にするのを促進する。
【0039】
コントローラが調節するように構成される処置装置の動作特性の1つは、処置装置の形状であり得る。処置装置は本体を更に含むことができ、コントローラが調節するように構成される処置装置の動作特性の1つは本体の形状である。
【0040】
かかる構成では、処置装置の操作性が最大限にされ得る。更に、処置される身体部位の視認性を最大限にするために、処置装置の形状が操作されることが可能であり得る。
【0041】
処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される位置特定部は、身体部位及び処置装置の画像に基づき、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される撮像モジュールを含み得る。
【0042】
従ってこのシステムは、身体部位及び処置装置の画像に基づいて処置装置の位置を特定するように動作可能である。このことは必要なコンポーネント数を最小限にする。
【0043】
身体部位及び処置装置の画像は、処置される身体部位及び処置装置の画像であり得る。
【0044】
従って、画像が処置される部位の画像であることにより、システムの精度が最大限にされ得る。更に、処置される身体部位に関する直接的情報を撮像モジュールが提供できるため、システムの構成が単純化される。
【0045】
身体部位及び処置装置の画像は、利用者の頭部及び処置装置の画像とすることができ、撮像モジュールは、利用者の頭部及び処置装置の画像に基づいて利用者の頭部の注視方向を検出するように構成され得る。
【0046】
撮像モジュールは、利用者の頭部及び処置装置の画像内の1つ又は複数の対象を検出すること、並びに任意選択的に利用者の頭部及び処置装置の画像内の利用者の鼻及び/又は耳を検出することに基づき、利用者の頭部の注視方向を検出するように構成され得る。
【0047】
この構成では、撮像モジュールは、頭部の特徴等の1つ又は複数の容易に識別できる対象を検出することにより、利用者の頭部に対する処置装置の位置を示す情報を正確に提供することができる。更に、利用者の鼻及び/又は耳は利用者の頭部の他の部位に対して決まった位置にあるため、利用者の頭部の画像内の利用者の鼻及び/又は耳を検出することにより、注視方向を容易に明らかにすること、及び/又は利用者の頭部の他の部位の位置を特定することができる。頭部の残りの部分から突き出る対象により、利用者の鼻及び/又は耳が撮像モジュールによって容易に特定可能であることも理解されよう。利用者の鼻及び/又は耳は撮像モジュールによって容易に特定され得るが、他の特徴、例えば利用者の目及び/又は口の位置も、利用者の顔の残りの部分との対照によって特定され得ることも理解されよう。
【0048】
処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される位置特定部は、検出される電磁場に基づいて処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するために電磁場内の変化を検出するように構成される電磁場検出器を含み得る。
【0049】
この構成では、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成する簡単な手段を提供することができる。
【0050】
本発明の別の態様によれば、上記のシステム内で使用されるように構成される処置装置が提供される。
【0051】
本発明の別の態様によれば、処置装置を使用して処置される身体部位を処置する方法であって、位置特定部を使用し、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するステップと、位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の動作特性を調節するステップと、ユーザ入力に応答して処置装置の動作特性を調節するステップと、ユーザ入力に応答した動作特性の1つ又は複数の調節を決定するステップと、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、ユーザ入力に応答した動作特性の決定された1つ又は複数の調節に基づき、処置される身体部位のプロファイルを形成するステップとを含む、方法が提供される。
【0052】
本発明の別の態様によれば、処置装置を使用して処置される身体部位を処置する方法であって、位置特定部を使用し、身体部位及び処置装置の画像に基づいて処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するステップと、位置特定部によって生成される情報に応じて処置装置の2つ以上の動作特性を調節するステップとを含む、方法が提供される。
【0053】
かかる方法では、処置装置が、処置ユニットと、システムの使用中に処置される身体部位から処置ユニットを一定の間隔に置くように構成されるガイド面とを含むことができ、位置特定部によって生成される情報に応じて調節可能な処置ユニットの2つ以上の動作特性の1つが処置ユニットとガイド面との間の距離であり得る。
【0054】
本発明のこれらの及び他の態様が以下に記載の実施形態から明らかになり、かかる実施形態に関して説明される。
【0055】
次に、本発明の実施形態が添付図面に関して専ら例として説明される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書に記載の実施形態は、毛を切るためのシステムについて説明する。
図1を参照し、毛を切るためのシステム10が示されている。毛を切るためのシステム10は、処置される身体部位を処置するためのシステムとして機能する。システム10は、カット装置20及びカメラ30を含む。カメラ30は撮像モジュールとして機能する。撮像モジュールとして機能するカメラ30は、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される位置特定部である。つまり位置特定部は、1つ又は複数の要素の位置を示す情報を生成することができる。システム10はコントローラ40を更に含む。コントローラ40は、カット装置20を動作させるように構成される。
【0058】
ここで説明される実施形態では位置特定部が撮像モジュールであるが、1つ又は複数の要素、とりわけ処置される身体部位及びカット装置の位置を示す情報を生成する代替的手段又は補完的手段が使用され得ることが理解されよう。かかる位置特定部の例は、電磁場検出、マイクロ波検出、慣性測定、及び/又は超音波測定を含む。処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するために電磁場検出を使用するシステムの一例が国際公開第2013/096572号から知られている。
【0059】
本明細書に記載の実施形態では、処置されている人であるシステム10の利用者に関してシステム10が説明される。つまり利用者は自らを処置するためにシステムを使用する。但し代替的実施形態では、利用者は、別の人に対してシステム10を使用して処置を施すためにシステム10を使用する人であることが理解されよう。
【0060】
カメラ30及びコントローラ40はベースユニット50の一部を形成する。或いは、カメラ30及びコントローラ40は別々に配置される。一実施形態では、コントローラ40がカット装置20内にある。カメラ30、コントローラ40、及びカット装置20は互いに通信する。この実施形態では、カメラ30とコントローラ40とが有線接続によって通信する。コントローラ40とカット装置20とが無線接続によって通信する。代替的構成も考えられる。例えば、コントローラ40とカット装置20とが有線接続によって接続されても良く、且つ/又はコントローラ40とカメラ30とが無線接続によって接続されても良い。無線モジュール、例えば無線又は赤外線の送信機及び受信機が、様々なコンポーネントを無線接続する役割を果たす。
【0061】
この実施形態のベースユニット50は、システム10の専用部分である。但し、ベースユニット50は、幾つかあるコンポーネントの中で特に撮像モジュール及びコントローラを有する装置であり得ることが理解されよう。例えばベースユニット50は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、別のモバイル装置、又は内蔵カメラ若しくは備付けのカメラを有するコンピュータモニタ等の非携帯型装置とすることができ、又はそれらを含み得る。
【0062】
図1及び
図2を参照し、カット装置20は手持式の電動ヘアトリミング装置である。但し、カット装置20が代替的構成を有しても良いことは明らかである。例えば、カット装置20は手持式の電動シェービング装置とすることができる。カット装置20は処置装置として機能する。カット装置20は、利用者の身体部位、例えば利用者の頭部81の皮膚80上を、その身体部位上の毛の手入れを行うために動かされる。カット装置20は、本体21と、本体21の一方の端にあるカッタ22とを含む。本体21は、取っ手部23の範囲を画定する。本体21及びカッタ22は、取っ手部23が利用者によって持たれ得るように構成される。
【0063】
カッタ22はカッタユニット24を有する。カッタユニット24は、毛の手入れを行うように構成される。カッタユニット24は処置ユニットとして機能する。
図4を参照し、カッタユニット24は、固定処置要素61と、固定処置要素に対して移動する可動処置要素62とを有する。毛が固定処置要素61から突き出て、可動処置要素62によって切られる。とりわけ一実施形態では、固定処置要素61が固定刃63を含み、可動処置要素62が可動刃64を含む。固定刃63は、第1の刃の配列(
図4又は
図5には不図示)を含む固定端65を有する。可動刃64は、第2の刃の配列(
図4又は
図5には不図示)を含む可動端66を有する。固定端65と可動端66とは互いに平行に位置合せされる。可動刃64は、毛を刈るための噛合いにおいて固定刃63に接して往復式に動作可能である。従って、第2の刃の配列は、第1の刃の配列に対して往復運動で動くように構成される。この実施形態では、固定処置要素61と可動処置要素62とが共働機械的刃部を形成する。
【0064】
上記では1つのカッタユニットが記載されたが、カッタ22が2つ以上のカッタユニットを含んでも良いことが理解されよう。この構成ではカッタユニットが固定処置要素61と可動処置要素62とを含むが、代わりのカット構成も考えられることが理解されよう。例えばカッタユニット24は、毛が突き出るホイル(不図示)及びホイル上で動く移動刃(不図示)を含むことができる。
【0065】
カッタユニット24は駆動部29によって駆動される。駆動部29は、駆動動作においてカッタユニット24を駆動する役割を果たす。この実施形態では、駆動部29は電気モータである。駆動部29は、可動要素を固定要素に対して往復運動で駆動する。駆動部29はコントローラ40によって制御される。
【0066】
カッタ22はガイド25を有する。ガイド25はガイド面26を有する。ガイド面26は先端面を形成する。ガイド面26は、処置される身体部位に当てて配置されるように構成される。ガイド面26はカッタユニット24から一定の間隔を置かれる。しかし、一実施形態では、ガイド面26とカッタユニット24とが互いに平面に位置するようにカッタ22を調節可能とすることができる。ガイド面26は、手入れされる身体部位、例えば利用者の頭部81の皮膚80からカッタ22を一定の間隔に置くように構成される。別の実施形態ではガイド25が省略され得る。
【0067】
この実施形態では、ガイド25が櫛である。ガイド25は、複数の平行であるが間隔を空けられた櫛歯27を有する。間隔を空けられた櫛歯27は、カッタユニット24によって切られるように毛がその間を通ってカッタユニット24にさらされることを可能にする。本体21からの各刃の遠心面がガイド面26を形成する。ガイド25は本体21に装着される。ガイド25は本体21に着脱可能に装着される。このことは、カッタユニット24が掃除されること、及びガイド25が別のガイドと交換可能であり且つ/又は置換されることを可能にする。
【0068】
ガイド25は前縁70を有する。前縁70は、可動刃64の可動端66と位置合せされるが、可動端66と間隔を空けられる。前縁70はガイド面26の端部を形成する。前縁70は、櫛歯27の端部によって範囲を画画される。前縁70は、ガイド25のガイド面26とガイド25の前面71との間の交わりを画定する。
【0069】
ガイド面26とカッタユニット24との間の距離は調節可能である。つまり、ガイド面26及びカッタユニット24は、互いの方に及び互いから離れて動くことができる。この実施形態では、ガイド25が本体21に固定して装着される。つまりガイド25は、本体21の方に又は本体21から離れて動くことができない。但し、ガイド25は本体21を中心として旋回し得る。カッタユニット24は本体21に可動式に装着される。つまりカッタユニット24は、ガイド面26の方に及びガイド面26から離れて動くことができる。カッタユニット24も本体21に対して旋回可能であり得る。距離アクチュエータ28がカッタユニット24に作用する。距離アクチュエータ28はカッタ22内で伸びる。距離アクチュエータ28は、ガイド面26に対してカッタユニット24を動かすように動作可能である。
【0070】
この実施形態のカッタユニット24は距離アクチュエータ28上に装着され、距離アクチュエータ28は使用中、ガイド面26に接触する皮膚、従って利用者の皮膚80の方に及び皮膚80から離れてカッタユニット24を直線方向に動かすように構成される。距離アクチュエータ28はリニアアクチュエータであり、例えば機械的アクチュエータ又は電磁アクチュエータであり得る。距離アクチュエータ28は、コントローラ40からのコマンドに応答してカッタユニット24を動かす。
【0071】
使用されるアクチュエータの種類にもよるが、カッタユニット24が距離アクチュエータ28の影響下で動き、ガイド面26と平行なままであるように、カッタユニット24は直線的な摺動ガイド又はレール上に装着され得る。動きは、ガイド面26に対して垂直な方向とすることができ、又は斜めでも良い。
【0072】
上記の構成では、カッタユニット24がガイド面26に対して動く。従って、ガイド面26が本体21に対して固定位置に保たれる。つまりカット装置20の使用中、ガイド面26と取っ手23との間の距離は変わらない。その結果、利用者の手中でカット装置20の知覚される動きはない。
【0073】
カッタユニット24とガイド面26との間の距離は、カッタユニット24とガイド面26との間の距離が最小値にある最小状態にあるように、及びカッタユニット24とガイド面26との間の距離が最大値にある最大状態にあるように、又はかかる最小状態と最大状態との間にあるように変えられる。
【0074】
この実施形態のカット装置20は、約100mmの最大状態を有するように構成される。しかし、代わりの長さもあり得ることが理解されよう。例えば、顔の毛の手入れをするためのシェーバは、10mmの最大状態を設定するように構成され得る。そのように長さを短くすることはカット装置20の精度を高め得る。
【0075】
上記の実施形態ではカッタユニット24がガイド面26に対して動くことができるが、代替的実施形態では、ガイド25、従ってガイド面26がカッタユニット24に対して動くことができる。カッタユニット24は本体21に固定して装着されても良く、ガイド25は本体21に対して動くことができても良い。かかる実施形態では、距離アクチュエータがガイド25に作用する。ガイド面26は、カッタユニット24の方に及びカッタユニット24から離れて動くことができる。ガイド25は、カッタユニット24に対して摺動するように1本又は複数本のレール上で摺動可能であり得る。かかる実施形態では、カッタユニット24の構成が単純化される。
【0076】
上記の構成では、ガイド面26とカッタユニット24との間の距離が、距離アクチュエータの動作によって調節可能である。但し一実施形態では、ガイド面26とカッタユニット24との間の距離は利用者によって手動でも調節可能である。
【0077】
ガイド面26とカッタユニット24との間の距離を調節するための様々な構成を上記で示したが、代替的実施形態では、ガイド面26とカッタユニット24との間の距離が調節可能でないことが理解されよう。ガイド面26とカッタユニット24とが互いに固定して装着されても良い。一実施形態では、ガイドを取り外すことができても良く、システム10が例えばガイド面26とカッタユニット24との間の様々な距離をもたらすために、異なる構成を有する2つ以上の交換用ガイドを含み得る。かかる構成では、ガイド25がカット装置20の残りの部分から取り外された状態でシステム10が使用可能であり得る。
【0078】
撮像モジュールとして機能するカメラ30は、奥行又は距離カメラである。つまりカメラ30は、カメラ30の視野内、即ちカメラ30の光学感知域31内の要素の位置を特定するために距離のイメージングを使用する。
【0079】
カメラ30は、カメラセンサ自体等の特定の位置からの光学感知域31内の要素の距離に関する値を用いて2次元画像を作り出す。この実施形態では、カメラ30の光学感知域31内の要素の距離を含む位置を特定するために、カメラ30が立体照明技法を使用するように構成される。かかる技法は、特別に設計された照明パターンを用いて視野を照らす。この実施形態の利点は、反射光の単一画像のみを使用し、奥行が何時でも特定され得ることである。或いは、カメラ30の視野内の要素の距離を含む位置を特定するために、カメラ30が飛行時間技法を使用するように構成される。この実施形態の利点は可動部の数が最小限にされることである。他の技法は、超音波検査技術、空中三角測量、シート光三角測量、干渉分光法、及び符号化開口法を含む。
【0080】
カメラ30は、カメラのセンサによって受け取られるシーンを表す画像データを生成することができるデジタルカメラである。画像データは、一連のフレームを映像データとして捕捉するために使用され得る。光学感知域31は、対象から反射し又は対象によって放たれる光波がカメラのセンサによってその内部で検出される視野である。カメラ30は、スペクトルの可視部内の光を検出するが、赤外線カメラとすることもできる。
【0081】
撮像モジュールとして機能するカメラ30は、光学感知域31内の要素の位置を示す情報を生成するように構成される。カメラ30は、カメラのセンサによって生成される画像データに基づいてその情報を生成する。
【0082】
この実施形態では、撮像モジュールとして機能するカメラ30が、奥行、例えばRGB−Dマップを伴う視覚映像を生成する。カメラ30は、カメラ30の光学感知域31内の要素の奥行マップを伴う視覚映像を生成する。光学感知域31内の要素の位置を示す情報を生成する代替的手段が予期される。例えばカメラ30は、光学感知域31内の要素の奥行画像(Dマップ)を生成することができる。
【0083】
カメラ30は、30フレーム/分で奥行マップを伴う視覚映像を生成するように構成される。更に、カメラ30は640×480の分解能を有する。奥行の範囲は0.4m〜1.5mである。視野角は40度〜50度である。この状態は、光学感知域31内に利用者を配置するのに適した領域をもたらす。奥行の分解能は、光学感知域31内で約1.5mmであるように構成される。
【0084】
上記のパラメータは毛を切るための位置を正確に特定することに関して十分であることが分かっているが、代わりのパラメータが使用されても良いことが理解されよう。例えば、使用可能な分解能の精度を高めるためにフィルタ(不図示)が使用され得る。
【0085】
図3は、システム10の選択されたコンポーネントの概略図を示す。システム10は、カット装置20、カメラ30、及びコントローラ40を有する。システム10は、ユーザ入力90、メモリ100、RAM110、例えばスピーカ120及び/又はディスプレイ130を含む1つ又は複数のフィードバックモジュール、及び電源140も有する。更にシステム10は、慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)150を有する。
【0086】
メモリ100は、読取専用メモリ(ROM:read only memory)、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:solid state drive)等の不揮発性メモリであり得る。メモリ100は、とりわけオペレーティングシステムを記憶する。メモリ100は遠隔的に配置され得る。コントローラ40は、メモリ100によって記憶される1つ又は複数のプロファイル等の1つ又は複数の対象を参照し、1つ又は複数の記憶済みの対象をRAM110にアップロードできても良い。
【0087】
RAM110は、データを一時的に記憶するためにコントローラ40によって使用される。オペレーティングシステムは、RAM110と共にコントローラ40によって実行されるとき、システム10のハードウェアコンポーネントそれぞれの動作を制御するコードを含み得る。コントローラ40は、1つ又は複数のプロファイル等の1つ又は複数の対象をメモリ100によって及び/又はRAM110に遠隔的に若しくはローカルに記憶させることができても良い。
【0088】
電源140はバッテリとすることができる。電源の別個の電源ユニット140a、140bがベースユニット50及びカット装置20に別々に給電し得る。或いは、1つの電源ユニットがベースユニット50及びカット装置20の両方に給電しても良い。この実施形態では、電源ユニット又は各電源ユニットが内蔵充電式バッテリであるが、代わりの電源手段、例えば装置を外部電源に接続する電源コードもあり得ることが理解されよう。
【0089】
コントローラ40は、任意の適切な形態を取り得る。例えばコントローラ40は、マイクロコントローラ、複数のコントローラ、プロセッサ、又は複数のプロセッサとすることができる。コントローラ40は、1つ又は複数のモジュールから形成され得る。
【0090】
システム10は、何らかの形態のユーザインタフェースも含む。任意選択的に、システム10は、出力又は切断高さ等の装置の一部の動作特性を調節するための、及び/若しくは装置の現在の状態を利用者に知らせるための追加の制御部並びに/又はディスプレイを含む。
【0091】
ベースユニット50内にスピーカ120が配置される。或いは、スピーカはカット装置20上にあっても、カット装置20から離して配置されても良い。後者の構成では、スピーカ120によって生成される可聴信号が利用者によって容易に聞かれ得るように、スピーカが利用者の頭部の近くに配置される。スピーカ120は、利用者に可聴信号を与えるためにコントローラ40からの信号に応答して動作可能である。一部の実施形態では、スピーカ120が省略され得ることが理解されよう。
【0092】
ディスプレイ130がベースユニット50内に配置される。或いは、ディスプレイ130はカット装置20上に配置されても、別々に配置されても良い。ディスプレイ130は、利用者向けの視覚的な指示又は信号を作り出すためのコントローラ40からの信号に応答して動作可能である。一部の実施形態では、ディスプレイ130が省略され得ることが理解されよう。
【0093】
フィードバックモジュール、又はフィードバックモジュールの1つは、例えば利用者に触覚フィードバックを与えるための振動モータも含むことができる。
【0094】
この実施形態のユーザ入力90は、ボタン又はスイッチ等の1つ又は複数のハードウェアキー(不図示)を含む。ユーザ入力90はベースユニット50上に配置されるが、ユーザ入力90がカット装置20上にあっても、その組合せ上にあっても良いことが理解されよう。ユーザ入力90は、例えばシステム10を活性化し且つ/又は非活性化するための動作モードを利用者が選択できるようにするように動作可能である。ユーザ入力90は、システム10の1つ又は複数の動作特性の手動調節を可能にするための機械的手段も含むことができる。
【0095】
慣性測定ユニット150はカット装置20内にある。この構成では、IMU150がカット装置20の本体21の中に収容される。IMUは知られており、そのため本明細書では詳しい説明は省略する。IMU150は、相対運動の6軸(平行移動と回転)の読取値を提供するように構成される。IMU150は、カット装置20の位置を示す情報を生成するように構成される。IMU150によって生成される情報はコントローラ40に与えられる。
【0096】
この実施形態及び他に記載の実施形態では、位置特定部が撮像モジュールであるが、1つ又は複数の対象、とりわけ処置される身体部位及びカット装置の位置を示す情報を生成する代替的手段又は補完的手段が使用され得ることが理解されよう。かかる位置特定部の例は、電磁場検出、マイクロ波検出、慣性測定、及び/又は超音波検出を含む。代替的構成についての詳細な説明は省略する。例えば、撮像モジュールとして機能するカメラ30が省略されても良く、カット装置20の位置を示す情報を生成するためにIMU150が使用されても良い。かかる構成では、IMU150によって生成されるカット装置20の位置を示す情報がコントローラ40に与えられ、且つ/又はコントローラ40によって参照され、コントローラ40が、IMU150によって生成される情報に応じて処置装置の動作特性を調節するように構成される。
【0097】
代替的実施形態では、位置特定部が、1つ又は複数の対象、とりわけ処置される身体部位及びカット装置の位置を示す情報を生成するための代替的手段を有するか、又は含む。かかる代替的手段は、撮像モジュール又はIMUの一方若しくは両方の代わりに又はそれらと組合せて使用され得る。例えば、位置特定部は、1つ又は複数の対象の位置を示す情報を音響検出、超音波検出、赤外線信号、信号伝搬時間及び/若しくは角度の検出に基づいて生成するように構成されても良く、且つ/又は信号を解析するための別の技法が使用されても良い。
【0098】
カット装置20は、1つ若しくは複数の加速度計、ジャイロスコープ、又はカット装置20の位置及び/若しくは向きを特定するための他の位置及び/若しくは向き監視センサを含み得る。
【0099】
一実施形態では、位置特定部が、電磁場検出に基づいて処置装置20の位置を示す情報を生成するように構成される。かかる実施形態では、位置特定部が1つ又は複数の電磁場検出器(不図示)を含む。1つ又は複数の電磁場検出器は、電磁場内の変化を検出して、検出された電磁場に基づいて処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される。
【0100】
一実施形態では、位置特定部によって検出可能な1つ又は複数の位置指示器(不図示)が、処置される身体部位等、体の一部に取り付けられても良い。かかる位置指示器は、非活性状態とすることができ、又は例えば位置特定部によって検出される信号を伝送することによって活性状態であり得る。かかる信号は、音響信号、超音波信号、赤外線信号、視覚信号、及び/又は光信号を含み得る。
【0101】
位置特定部は、処置される身体部位に取り付けられ、システムの別の部分、例えばカット装置20から受け取られる信号に基づき、処置される身体部位及び/又はカット装置の位置を示す情報を生成することができる。位置特定部はカット装置上にあり得る。1つ又は複数の対象の位置を示す情報を生成するための上記の手段の如何なる組合せも使用され得る。システム10は、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するために1つ又は複数の異なる技法を使用することができる。
図1のシステム10は、毛を切るのに適した位置にベースユニット50を配置することによって動作される。つまり、ベースユニット50は、利用者が処置される身体部位、例えば頭部を光学感知域31内に位置付けることができるように配置される。例えばカメラ30は、システム10の動作中に利用者の頭部が位置付けられるのとほぼ同じ高さに配置される。カメラ30がベースユニット50から切り離されている、又はベースユニットが省かれている一実施形態では、カメラ30が必要に応じて位置決めされる。手持式のカット装置20は利用者によって保持される。
【0102】
システム10は利用者によって作動される。コントローラ40は、駆動部29を制御してカッタユニット24をカットモードで動作させる。カッタユニット24は複数の処置モードを有し得ることが理解されよう。コントローラ40は、距離アクチュエータ28を制御してガイド面26に対するカッタユニット24の位置を決定する。
【0103】
システムが作動されると、カット装置20は、カッタユニット24とガイド面26との間の距離が最小値にある最小状態、及びカッタユニット24とガイド面26との間の距離が最大値にある最大状態にあり、又はかかる最小状態と最大状態との間にある。望まれるよりも短く間違って毛が切られないように、コントローラ40はまず最大状態に移る。
【0104】
利用者は、手持式のカット装置20を手に持ち、毛を切ろうとする身体部位の領域上でカット装置20を動かすことによってシステム10を使用する。カッタ22のガイド面26が皮膚に対して水平に配置され、ガイド25を通って受け取られ、カッタユニット24とふれ合う毛が切られる。例えば、利用者の頭部81の頭皮領域内の毛の手入れをするために、利用者はガイド面26を頭皮に当てて配置し、手入れしようとする毛が突き出ている皮膚80上でカット装置20を動かす。利用者は、頭皮面を行き渡るようにカット装置20を動かすことができる。カット装置20が皮膚80上で動かされるときに切られる毛は、皮膚80の近くに配置されるガイド25のガイド面26の大きさ及び形状、更にはカッタ22のカッタユニット24の大きさ、形状、及び構成によって決まる。
【0105】
従来のトリマでは、トリマの切断動作の程度を予測し制御するのが困難であり、利用者は、装置を適切な態様で動かすために自らの技能と安定した手つきとを頼りにする。更に、切られる毛の長さは、トリミングされる毛の長さが切られるように利用者が装置のガイド面と利用者の皮膚80との間の距離を制御することによって、又はガイドを所望の位置に動かして切断長を設定することによって決まる。皮膚又は手の如何なる不適当な動きも失敗の原因となり得るため、これは装置を手に持っているときに困難であり得る。更に、装置の使用中に装置及び/又は利用者の手若しくは腕が利用者の視界を妨げる場合があり、そのような状況は、装置が不所望の方法で動かされる原因となり、不正確さ又は失敗を引き起こす場合がある。従って、毛を正確に切ることを達成するためにかかる装置を使用するのは困難である。
【0106】
特許請求の範囲で定義する本発明は、毛を切ることを含め、処置される身体部位を処置するためのシステムを提供し、このシステムは、処置される身体部位に対する処置装置の位置に応じて処置される身体部位に施される理髪等の多様な処置を可能にする。本システムは、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を提供し、提供される情報に応じて処置装置の動作特性を変えるように動作可能である。
【0107】
システム10の使用方法は、自ら又は別の利用者の身体部位上の毛を切っている可能性がある利用者が、毛を切ろうとする身体部位、例えば利用者の頭部に対してカット装置20を配置する最初のステップを含む。撮像モジュールとして機能するカメラ30は、カット装置20並びに処置される身体部位の位置を示す情報を生成するように動作可能である。この実施形態では、カメラ30が、光学感知域31内でカメラのセンサによって受け取られるシーンを表す画像データを生成する。かかる実施形態では、カメラ30が光学感知域31内の対象の奥行マップを伴う、例えば奥行のある視覚映像(RGB−Dマップ)を作成する。
【0108】
カメラ30は、光学感知域31内の対象について作成される画像に基づき、処置される身体部位を示す情報を生成するように動作可能である。例えば、カメラ30は、利用者の頭部を含む光学感知域31内で作成される画像に基づいて利用者の頭部を示す情報を生成するように動作可能である。カメラ30は、利用者の頭部の位置及び/又は向きを示す情報を生成するように構成される。光学感知域31内の対象の使用可能なマップから利用者の頭部の位置を効果的に特定するために、利用者の頭部の特徴が識別される。
【0109】
かかる実施形態では、カメラ30が利用者の頭部の注視方向を検出するように構成される。注視方向とはつまり、カメラ30に対して頭部が向けられる方向である。利用者の頭部の注視方向を検出することは、利用者の頭部及び処置装置の画像内の1つ又は複数の対象を検出すること、並びに任意選択的に利用者の頭部及び処置装置の画像内の利用者の鼻及び/又は耳を検出することに基づく。利用者の鼻及び/又は耳は、光学感知域31内の対象について作成される画像内で容易に位置特定できることが分かっている。利用者の鼻及び耳は、利用者の頭部の残りの部分から突き出るため、カメラ30により、それらの対象の1つ又は複数が利用者の頭部を含む画像内で容易に位置特定できることが分かっている。
【0110】
利用者の頭部の特徴、例えば利用者の鼻及び/又は耳はカメラ30によって識別される。鼻及び耳は、知られている検出方法、例えば3Dパターンマッチングを使用し、撮像モジュールとして機能するカメラ30によって作成される奥行マップ内で迅速且つ継続的に検出され得ることが分かっている。この構成ではカメラ30が利用者の鼻及び/又は耳を識別するように構成されるが、カメラ30は、光学感知域31内の身体部位の1つ又は複数の代わりの特徴を検出するように構成され得ることが理解されよう。例えばカメラ30は、利用者の頭部、目、唇、しみ、傷あと、あざ、及び/又は他の顔の特徴の形状を検出するように構成され得る。かかる特徴は、カメラ30によって識別され、システム10の使用中に参照するために、又はシステム10の将来の使用中に参照するためにメモリ100内にコントローラ40によって記憶され得る。
【0111】
利用者の頭部の画像内の利用者の耳及び鼻の向きに基づいて利用者の頭部の注視方向を検出するようにカメラ30が構成される利点は、利用者の頭部の注視方向に関係なく、概してそれらの3つの特徴の2つ以上が身体部位の画像内で識別できるようになることである。従って、それらの3つの特徴の全体的な位置及び向きから、カメラ30に対する一連の異なる頭部位置にわたり頭部位置を示す情報を生成することができる。従って、システムの使用中に頭部の動きが対応され得る。
【0112】
カメラ30は、処置装置として機能するカット装置20を示す情報を生成するように動作可能である。カット装置20の形状は知られており、例えばカメラ30の動作中に参照されるようにメモリ100によって記憶され得る。カット装置20の位置は、処置される身体部位の位置と同様の方法で特定される。光学感知域31内の対象の使用可能なマップからカット装置20の位置を効果的に特定するために、カット装置20の特徴が識別される。カット装置20は、カメラ30によって容易に認識され得るマーカ(不図示)を備え得る。
【0113】
カメラ30は、光学感知域31内の対象について作成される画像内で隠されているカット装置20の部分に対応するように構成される。つまりカメラ30は、光学感知域31内の対象について作成される画像内でカット装置20の特徴の1つ又は複数が別の対象、例えば利用者の手によって遮られても、光学感知域31内の対象の使用可能なマップからカット装置20の位置を特定することができるように、カット装置20の2つ以上の特徴を識別するように構成される。
【0114】
上記の実施形態では、画像が作成される身体部位の画像が処置される身体部位の画像に対応するが、本発明はかかる実施形態に限定されないことが理解されよう。例えば、カメラ30は利用者の頭部の下部を表すデータを含む画像データを生成することができ、システム10は、そのデータを推定に用いて利用者の頭部の上部を示す情報を生成することができる。
【0115】
光学感知域31内の対象について作成される画像内でカット装置20の特徴の少なくとも1つが識別可能である場合、カメラ30は光学感知域31内の対象の使用可能なマップからカット装置20の位置を特定することができるが、例えばカット装置20が利用者の後頭部を処置するために配置され、利用者の注視方向がカメラ30に向く場合、カット装置20が画像内で完全に遮られることがあることが分かっている。
【0116】
カメラ30がカット装置20の位置を示す情報を提供できない場合、又は光学感知域31内でカメラのセンサによって受け取られるシーンを表す画像データ内で処置装置20が見つからないことを示す場合、コントローラ40は、IMU150によって提供されるカット装置20の位置を示す情報を参照するように構成される。IMU150は、カット装置20内に配置され、システム10が使用される間にわたり、又はコントローラ40によって操作される場合のみ、例えばカメラ30の光学感知域31の外側にあるカット装置20をカメラ30が検出できない場合にのみ動作可能であり得る。
【0117】
IMU150は、カット装置20内のIMU自体の位置に基づいてカット装置20の位置を示す情報を生成するように構成される。IMU150は、相対運動の6軸、つまり平行移動と回転の読取値を提供する。
【0118】
コントローラ40は、カット装置20が光学感知域31内にある場合はカメラ30によって生成される情報に基づいてIMU150を較正するように構成され得る。このように較正することは、或る期間にわたるIMU150の読取値に起因する位置決め誤差の除去を促進する。
【0119】
この実施形態では、処置装置が撮像モジュールの光学感知域の外側にある場合、コントローラ40がIMU150によって生成される情報を参照するように構成されるが、コントローラ40は、システム10を使用する間にわたり、撮像モジュール及び慣性ナビゲーションシステムモジュールによって生成される情報を参照するように構成されても良いことが理解されよう。代替的実施形態ではIMU150が省略されても良い。かかる実施形態では、処置される身体部位に対するカット装置の位置を示す情報が、光学感知域31内でカメラのセンサによって受け取られるシーンを表す画像データを推定することによって求められ得る。或いは、カット装置20が光学感知域31内にあるように、且つ光学感知域31内でカメラのセンサによって受け取られるシーンを表す画像データをカメラが生成できるように、コントローラ40は、例えば音声信号によって利用者にフィードバックを与えてカメラ30に対する自身の注視方向を変えるように利用者を導くように構成され得る。
【0120】
この事例では利用者の頭部である処置される身体部位、及びカット装置20の位置を示す情報が知られている場合、その身体部位及びカット装置20の画像に基づき、処置される身体部位に対するカット装置20の位置を特定することが可能である。相対位置はベクトル減算に基づいて計算され得る。従って、相対位置は容易に特定され得る。
【0121】
上記の実施形態では、カット装置20及び処置される利用者の頭部の一部の相対位置がカメラ30によって特定されるが、カット装置20及び処置される利用者の頭部の一部の位置を示すカメラ30によって生成される情報は、コントローラ40、又は与えられた情報に基づいてカット装置20及び利用者の頭部の一部の相対位置を特定するように構成されるシステム10の別のコンポーネントに与えられ得ることが理解されよう。
【0122】
利用者がカット装置20を利用者の頭部に当てて配置し、装置を利用者の頭部上で動かすとき、システム10は、身体部位及びカット装置についてカメラ30によって生成される画像データに基づき、処置される身体部位に対するカット装置20の相対位置を特定することができる。カメラ30からコントローラ40がデータを受け取り、コントローラ40はその受信データに応答して動作特性を調節するように構成される。この実施形態では、動作特性はカッタユニット24とガイド面26との間の距離である。
【0123】
この実施形態では、コントローラ40によって変更される動作特性がカッタユニット24とガイド面26との間の距離であるが、カット装置20の他の動作特性が変更されても良いことが理解されよう。変更される装置の特性は、特許請求の範囲で定義される装置及び本発明の目的と機能によって決まり、毛及び/又は皮膚を処置するための或る特定の種類の装置に限定されないことが理解されよう。従って、コントローラは、撮像モジュールによって生成される情報に応じて装置の任意の特性を変えるように構成され得る。変えられ得る他の動作特性は、この実施形態ではカット装置である処置装置の動作速度又は他の何らかの特性を調節すること、又は以下で詳しく説明されるようにガイド面26とカッタユニット24との間の距離と組み合わせて、若しくはその代わりにガイド25の1つ又は複数の特性を調節することを含む。
【0124】
コントローラ40は2つ以上の動作特性を変えるように構成され得る。かかる動作特性は、同時に又は互いに独立に変えられ得る。
【0125】
コントローラ40が2つ以上の動作特性を調節するように構成される一部の実施形態では、カット装置の動作特性の1つがカッタユニット24とガイド面26との間の距離である。カッタユニット24とガイド面26との間の距離を調節することは、処置される身体部位に対するカット装置20の位置に応じて毛が異なる長さに切られることを可能にする。処置される身体部位に対するカット装置20の位置、及び、カッタユニット24とガイド面26との間の距離に応じて別の動作特性を変えることにより、所望の処置、この事例では理髪を利用者に提供するために装置の能力を更に改善することが可能である。但し、代替的実施形態ではカッタユニット24とガイド面26との間の距離が変更されないことが理解されよう。
【0126】
コントローラ40は、処置される身体部位の参照プロファイルを参照するように構成される。参照プロファイルはルックアップテーブル内に記憶され得る。参照プロファイルはメモリ100によって記憶されても良い。かかる構成では、コントローラ40が、参照プロファイルにアクセスするためにメモリ100を参照するように構成される。コントローラ40は、参照プロファイルにアクセスするためにRAM110を参照するように構成され得ることが理解されよう。かかる構成では、RAM110が参照プロファイルを記憶するように構成される。コントローラは、メモリ100から参照プロファイルを取得し、それをRAM110にアップロードするように構成され得る。かかる構成では、コントローラ40が2つ以上の参照プロファイルから選択するように構成され得る。参照プロファイルは、処置される身体部位に対するカット装置20の位置毎に、この事例ではカッタユニット24とガイド面26との間の距離である、コントローラ40によって変えられる動作特性又は各動作特性の所望の設定の情報を提供する。この情報は伝達され、座標系に関連して記憶される。そのような一構成では極座標系が使用され、極座標系では、処置される身体部位上の各位置が固定点からの距離及び固定方向からの角度によって特定される。別の構成では直交座標系を使用する。動作特性の値等の状態が点毎に与えられる。或いは参照プロファイルは、処置される利用者の身体部位のマップを画定することができ、そのマップは既定の領域に分割され、動作特性状態が領域毎に与えられる。
【0127】
或る構成では、動作特性又は各動作特性の状態があり得る全ての位置に割り当てられ得るが、代替的実施形態では限られた数の位置に状態が割り当てられ、コントローラ40が、1つ又は複数の所与の限られた数の位置に基づいて他の位置の状態を推定し補間するように構成される。かかる構成では、特定される位置の状態の変化は階段状変化であり得る。或いは、コントローラ40が変化を連続的且つ漸次的であるように構成することができる。かかる手法の利点は、均等な理髪が実現され得ることである。
【0128】
コントローラ40は、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す提供された情報を、参照プロファイルによって提供される参照情報と比較し、参照データに対応するように動作特性、例えばカッタユニット24とガイド面26との間の距離を調節することにより、動作特性又は各動作特性、例えばカッタユニット24とガイド面26との間の距離設定を調節するように構成される。
【0129】
コントローラ40は、距離アクチュエータ28を操作し、カッタユニット24とガイド面26との間の距離を調節する。処置される身体部位上をカッタユニット24が動かされるとき、コントローラは、処置される身体部位に対するカット装置20の特定された位置に応じて、この実施形態ではカッタユニット24とガイド面26との間の距離である動作特性を変更するように構成される。カッタユニット24及びガイド面26はどちらも、処置が行われる動作域を有することが理解されよう。つまりカッタユニット24は、処置される身体部位の或る区分上に配置されるとき、前記区分上の処置、例えば理髪に影響を及ぼす処置域を有する。従って、処置域は、動作特性について異なる所望の状態を有する2つ以上の位置をオーバレイすることができる。毛を短く切り過ぎること等、不所望の処置を阻止するのを促進するために、かかる状況ではコントローラ40がデフォルト状態に最も近い状態を選択するように構成される。例えばこの実施形態では、コントローラ40が、2つ以上の所望の状態によって提供されるカッタユニット24とガイド面26との間の最も長い距離を選択するように構成される。他の状態は、処置される身体部位上のカット装置20の僅かに異なるが繰返しの通過によってその後満たされる。
【0130】
位置特定部によって生成される情報に応じてコントローラ40が調節するように構成され得る代わりの又は更なる動作特性は、処置ユニット24自体の動作特性である。
【0131】
図4及び
図5を参照した一実施形態では、コントローラ40が調節するように構成される動作特性は、可動刃64の可動端66と固定刃63の固定端65との間の距離である。この調節可能距離は、先端間距離として示される。カッタユニット24のこの先端間距離は、とりわけガイド25が省略される場合、結果として生じる理髪の長さ及び/又は処置される身体部位に対する皮膚親和性に影響し得る。
【0132】
カッタユニット24は、駆動ブリッジ67を含む。駆動ブリッジ67は、駆動部29を可動刃64に結合する結合部として使用される。この実施形態では、駆動ブリッジ67がモータの動きを固定刃63の固定端65にとって横方向の並進運動/往復運動へと変換する。固定刃63は、可動刃64よりも厚くなるように通常デザインされる。
【0133】
可動刃64は、所謂刃の圧を受けるために、固定刃63に対して能動的に当接される。可動刃64を固定刃63に対して弾性的に偏らせることによって前記刃の圧を与えるために、バネ(不図示)が通常使用される。このことは優れた切断性能を保証する。
【0134】
上記のように、ガイド25は、カッタユニット24とガイド面26との間の距離に基づいて理髪の長さを概して画定することが理解されよう。ガイド25は、言い換えれば理髪の長さを長くするために、毛が伸びる身体部位からカッタユニット24を一定の間隔に置く。本願では、「理髪の長さ」という用語は、処置後に処置される身体部位上に残る毛の長さを示す。但し、上記のようにガイド25は、ガイド25を除去することにより又はガイドなしのカット装置20では省略され得る。かかる実施形態では、カッタユニット24が剥き出しにされる。かかる構成は毛の正確な手入れを可能にし、とりわけ毛の生え際又は髭の外郭に使用され得るより短い理髪の長さをもたらす。
【0135】
この実施形態では、カッタユニット24の先端間距離が調節可能である。カッタユニット24は、アジャスタ68を含む。アジャスタ68は、コントローラ40によって動作され得る。アジャスタ68はリニアアクチュエータであるが、代替的構成も考えられる。アジャスタ68は、先端間距離を調節するために可動刃64を動かすように動作可能である。アジャスタ68は、可動端66を固定端65の方へ、及び可動端66を固定端65から離して動かすために可動刃64に作用するように構成される。
【0136】
アジャスタ68は、引っ込んだ状態(
図4参照)と伸ばされた状態(
図5参照)との間の調節方向に、固定刃63に対する可動刃64の位置を調節するように適合される。調節方向は、往復運動に対してほぼ垂直である。この実施形態では、先端間距離が好ましくは刻み幅0.1mmで0.3mm〜2mmで調節可能であるが、刻み幅は可変とすることができる。当然ながら、他の刻み幅並びに連続的な無段階調節も技術的に可能である。
【0137】
カメラ30によって生成される情報に応じてコントローラ40が調節するように構成される動作特性又は動作特性の1つである実施形態では、コントローラ40が駆動部29を制御してカッタユニット24をカットモードで動作させる。コントローラ40は、アジャスタ68を制御して先端間距離を決定する。
【0138】
システムが作動されると、カット装置20は、先端間距離が最小値にある最小状態、及び先端間距離が最大値にある最大状態にあり、又はかかる最小状態と最大状態との間にある。望まれるよりも短く間違って毛が切られないように、コントローラ40はまず先端間距離を最大状態へと動かす。
【0139】
利用者は、手持式のカット装置20を手に持ち、毛を切ろうとする身体部位の領域上でカット装置20を動かすことによってシステム10を使用する。カッタ22のカッタユニット24が皮膚に対して水平に配置され、カッタユニット24とふれ合う毛が切られる。例えば、利用者の顔の毛の手入れをするために、利用者はカッタユニットを顔に当てて配置し、手入れしようとする毛が突き出ている皮膚80上でカット装置20を動かす。利用者は、顔の表面を行き渡るようにカット装置20を動かすことができる。カット装置20が皮膚80上で動かされるときに切られる毛は先端間距離、更にはカッタ22のカッタユニット24の大きさ、形状、及び構成によって決まる。
【0140】
一実施形態では、カメラ30によって生成される情報に応じてコントローラ40が調節するように構成されるカッタユニット24の動作特性又は動作特性の1つは、カメラ30によって生成される処置される身体部位に対する処置装置20の位置を示す情報に応じた駆動部29の動作である。そのような一実施形態では、コントローラ40が、カメラ30によって生成される情報に応じて処置される身体部位に対するカット装置20の位置を特定し、カッタユニット24を駆動するように構成される駆動部29の動作を調節するように構成される。コントローラ40は、カット装置20の特定された位置に応じてカッタユニット24の動作速度を調節するように構成される。一実施形態では、駆動部29が電気モータであり、そのためコントローラ40はモータの動作速度を調節するように動作可能である。カッタユニット24の動作速度は、可動式の切刃が往復運動で動く速度に関係する。
【0141】
かかる実施形態では、例えば処置される身体部位に対するカット装置20の位置に応じて毛の密度の参照プロファイルを参照することにより、コントローラ40によって特定されるように高密度の毛があると判定される場合、カッタユニット24の動作速度を上げることが可能である。或いは、又はそれに加えて、コントローラ40は、処置される身体部位の参照プロファイルに応じて駆動部29を制御することにより、カッタユニット24を動作させ又はカッタユニット24の動作を停止するように構成され得る。
【0142】
一実施形態では、コントローラ40が変更するように構成される動作特性が、カッタユニット24自体である。かかる一実施形態では、カッタ22が2つ以上のカッタユニット(不図示)を含み、コントローラ40が、カメラ30によって生成される情報に応じて2つ以上のカッタユニットから交換可能なように選択を行うように構成される。
【0143】
上記の実施形態では、コントローラが調節するように構成される動作特性がカット装置20の切断動作に関係するが、1つ又は複数の代替的実施形態では、処置ユニットがカッタユニット24でなくても良く、保湿剤又は日焼けクリーム等の物質を供給するように構成される塗布具であり得ることが理解されよう。かかる実施形態では、位置特定部によって生成される情報に応じて物質の供給速度を制御するために、コントローラ40が塗布具を調節するように構成される。
【0144】
上記の実施形態のそれぞれにおいて、コントローラ40は処置ユニットの1つの動作特性を変えるものとして記載されたが、コントローラは、処置ユニットの2つ以上の動作特性を調節するように構成されても良いことが理解されよう。更に、処置ユニットは複数の動作機能を有する場合がある。
【0145】
コントローラ40が位置特定部によって生成される情報に応じて調節するように構成され得る代わりの又は追加の動作特性は、ガイド25自体の動作特性である。
【0146】
図6及び
図7を参照した一実施形態では、コントローラ40がカメラ30によって生成される情報に応じて調節するように構成されるカッタユニット24の動作特性又は動作特性の1つが、可動端66に対するガイド25の前縁70の位置である。つまり、本明細書に記載の幾つかの実施形態では、調節可能な動作特性がガイド面26とカッタユニット24との間の距離であるが、この実施形態では、調節される動作特性又は動作特性の1つがガイド25の前縁70とカッタユニット24の可動端66との間の距離である。とりわけ一実施形態では、ガイド25の前縁70とカッタユニット24の可動端66との間の距離が、ガイド面26とカッタユニット24との間の距離と無関係である。前縁70と可動端66との間の距離は櫛の長さを示す。この距離は、カッタユニット24の一方の端から櫛歯27が伸びる距離に関係する。
【0147】
櫛のアクチュエータ(不図示)がガイド25に作用し、カッタユニット24の可動端66に対してガイド25の前縁70を動かす。従って、櫛のアクチュエータは、コントローラ40に応じて櫛の長さを調節するように作動可能である。ガイド25又はガイド25の一部は、櫛の長さを変えるためにカッタユニット24に対して動かすことができる。従って、カッタユニット24の一方の端から櫛歯27が伸びる程度を調節するために、櫛歯27はカッタユニット24の方へ引っ込めることができ、カッタユニット24から離して伸ばすことができる。
【0148】
この構成の利点は、処置が施される精度が変えられることを可能にすることである。例えば、
図7に示すように櫛歯27が引っ込んでおり、それにより櫛の長さが短いとき、ガイド25の前縁70とカッタユニット24との間の距離が短くされることにより、ガイドの所与の切断高さについてより正確な処置を可能にするようにカット装置20の精度が高められる。その一方で、
図6に示すように櫛歯27を伸ばすことにより、ガイド25の所与の切断高さについてより高い起毛効果がもたらされ、カット装置20の性能を最大限にするのを促進する。
【0149】
一実施形態では、コントローラ40がカメラ30によって生成される情報に応じて調節するように構成されるカッタユニット24の動作特性又は動作特性の1つが、カッタユニット24のまわりのガイド25の許容運動度である。つまり、ガイド25がカッタユニット24を中心として旋回することができる程度である。とりわけ一実施形態では、ガイド25が、カッタ22及び/又は本体21にガイド25を接続するための1つ又は複数の接続ユニット(不図示)を含む。接続ユニットは、カッタユニット24に対するガイド25の角位置、従ってガイド面26の角位置が変わることを可能にする。カッタユニット24とガイド面26との間の距離は、ガイド25の角運動の間にわたり保たれることが理解されよう。
【0150】
接続ユニット又は接続ユニットの少なくとも1つは、ガイド25の動きを制御するように構成される。つまり接続ユニット又は接続ユニットの1つは、ガイド25の許容角運動度を制御するように構成される。この実施形態ではコントローラ40が、位置特定部、例えばカメラ30によって生成される情報に応じて、ガイド25の角位置が変わり得るロック状態と、カッタユニットに対するガイド25の角位置が変化可能な解除状態との間でガイド25を調節するように構成される。
【0151】
或いは、コントローラ40は、位置特定部、例えばカメラ30によって生成される情報に応じてガイド25の動きに対する抵抗を調節するように構成される。従って、ガイド25の許容角運動が抑制され得る。
【0152】
ガイド25の角運動を可能にし、許容運動度を制御することにより、ガイド25は処置される身体部位の輪郭をたどることができる。従って、処置される身体部位に対するカット装置20の指示される位置に基づき、ガイド25の許容運動度を操作することが可能である。つまり、処置される身体部位の異なる領域に対してガイド25の許容運動度を変えることにより、利用者の快適さの改善を促進することができる。例えば処置される身体部位のデリケートな領域上では、その領域上の優しい動きを可能にするようにガイド25が可動式に構成され得る一方、より丈夫な領域上では、より速い移動速度を可能にするためにガイドが固定式に構成され得る。
【0153】
位置特定部によって生成される情報に応じてコントローラが調節するように構成され得る代わりの又は追加の動作特性は、カット装置20自体の本体21の動作特性である。例えば、コントローラ40は、カット装置20の特定された相対位置に応じてカット装置20の形状を調節するように構成され得る。
【0154】
一実施形態では、本体21の自由度が変えられ得る。例えば一実施形態では、本体21に蝶番が取り付けられ、コントローラ40が蝶番による接合部の自由度及び/又は弾力性を制御するように構成され得る。かかる構成は、カット装置20のエルゴノミックスを変えること、従って処置を支援することを可能にする。
【0155】
上記の実施形態では、処置される身体部位に対するカット装置20の位置を示す位置特定部、例えばカメラ30によって生成される情報に基づくカット装置20の位置に応じて、処置装置として機能するカット装置20の動作特性を調節するようにコントローラ40が構成されるが、コントローラ40は、処置される身体部位に対するカット装置20の位置を示す情報に基づく代わりの要因に基づいてカット装置20の動作特性を調節するように構成されても良いことが理解されよう。
【0156】
一実施形態では、コントローラ40が、処置される身体部位に対するカット装置20の位置を示すカメラ30によって生成される情報に応じたカット装置20の位置変化率に基づき、カット装置20の動作特性を調節するように構成され得る。かかる一実施形態では、コントローラ40が、処置される身体部位に対してカット装置20が動かされる速度をカメラ30によって生成される情報に応じて決定するように構成される。カメラ30は、カット装置20を示す情報を連続的に又は既定の間隔で生成することができる。従ってカメラ30は、処置される身体部位に対するカット装置20の経路を示す情報を提供することができる。コントローラ40は、所定の期間にわたるカット装置20の相対位置を比較することに基づいて動きを決定するように構成される。従ってコントローラ40は、カメラ30によって生成される情報に基づき、処置される身体部位に対するカット装置20の動きを決定することができる。
【0157】
コントローラ40は、カッタユニット24を駆動するように構成される駆動部29の動作を調節するように構成される。コントローラ40は、処置される身体部位に対して処置装置が動かされる決定された速度に応じてカッタユニット24の動作速度を調節するように構成される。一実施形態では、駆動部29が電気モータであり、そのためコントローラ40は、カッタユニット24を駆動するように構成される駆動部29の動作を調節するように動作可能である。カッタユニット24の動作速度は、可動式の切刃が往復運動で動く速度に関係する。
【0158】
かかる実施形態では、例えば処置される身体部位に対するカット装置20の移動速度が既定値を上回ると判定される場合、カッタユニット24の動作速度を上げることが可能である。カット装置の移動速度に応じた動作速度のかかる変化は、例えば階段状変化又は漸次的変化を含み得る。一実施形態では、コントローラ40は、カット装置20の相対運動が確認されない場合に駆動部29の動作を停止するように構成される。かかる実施形態は、消費電力を最小限にするのを促進し得る。
【0159】
処置される身体部位の完全な横断が完了すると、利用者は処置される身体部位からカット装置20を遠ざけることができる。カット装置20は、処置される身体部位から処置中に遠ざけられても良く、システム10はカット装置20が処置される身体部位の方に戻されるときに引き続き動作できることが理解されよう。
【0160】
上記の実施形態では1つの参照プロファイルが使用されたが、コントローラ40は、ユーザ入力に応答し、又は身体部位の画像に基づいてカメラによって生成される情報に応答し、2つ以上の参照プロファイルから選択するように構成され得ることが理解されよう。例えばコントローラ40は、カメラ30によって特定される利用者の頭部の大きさに基づいて参照プロファイルを選択するように構成され得る。
【0161】
上記の実施形態では、動作特性又は各動作特性が参照プロファイルを参照するコントローラ40によって調節される。コントローラ40は、処置される身体部位の参照プロファイルを参照するように構成される。参照プロファイルはルックアップテーブル内に記憶され得る。参照プロファイルはメモリ100によって記憶されても良い。かかる構成では、コントローラ40が、参照プロファイルにアクセスするためにメモリ100を参照するように構成される。一実施形態では、参照プロファイルがRAM110によって記憶される。
【0162】
一実施形態では、コントローラ40が、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報と共に、コントローラ40によって決定されるユーザ入力に応答して行われる動作特性の1つ又は複数の調節に基づいて、処置される身体部位のプロファイルを形成するように構成される。
【0163】
かかる構成では、動作特性がユーザ入力に応答して調節可能である。例えば利用者は、位置特定部によって生成される情報に応じて動作特性を調節するコントローラ40に優先する手動モードを選択できても良い。手動モードは、利用者がユーザインタフェース、例えば専用ボタンを操作することによって選択され得る。その場合、利用者は動作特性を手動で調節することができる。動作特性が処置ユニット、例えばカッタユニット24とガイド面26との間の距離である構成では、利用者がカッタユニット24又はガイド25に手動で作用してそれを所望の位置に動かすことによって、又はユーザインタフェースを使用して距離アクチュエータ28を手動で操作し、カッタユニット24を所望の位置に動かすことによって距離が調節可能であり得る。
【0164】
コントローラ40は、動作特性に加えられる調節を決定し、利用者によって加えられる調節又は各調節を追跡するように構成される。つまりコントローラ40は、加えられた調節を記録し、加えられた調節を示す情報をRAM110によって記憶させるように構成される。或いはコントローラ40は、情報をメモリ100によって記憶させるように構成される。
【0165】
コントローラ40は、動作特性に加えられる調節又は各調節を示す情報に基づいて参照プロファイルを修正するように構成される。かかる実施形態ではコントローラ40は、カメラ30によって生成される情報に基づき、身体部位に対するカッタユニットの1つ又は複数の位置についてユーザ入力に応答して行われる調節又は各調節を決定するように構成される。コントローラ40は、このデータを用いて参照プロファイルを修正し、新たな参照プロファイルを形成するように構成される。コントローラ40によって将来参照されるように、修正済みの参照プロファイルがコントローラ40によってメモリ100又はRAM110内に記憶させられる。
【0166】
一実施形態では、コントローラ40が参照プロファイルを形成するように構成される。かかる実施形態では、コントローラ40が、カメラ30によって生成される情報に基づき、処置される身体部位に対するカッタユニット24の位置に応じて動作特性状態、例えばカッタユニット24とガイド面26との間の距離を決定するように構成される。つまりコントローラ40は、ユーザ入力に応答して行われる動作特性の変更を追跡し、そのデータを記録して参照プロファイルを形成するように構成される。参照プロファイルは、ルックアップテーブル又は他の記録構成形式とすることができる。コントローラ40によって将来参照されるように、参照プロファイルがコントローラ40によってメモリ100又はRAM110内に記憶させられる。
【0167】
上記の実施形態では、追跡される動作特性の変更が、ユーザ入力に応答して行われる動作特性の変更、例えばカッタユニット24とガイド面26との間の距離の変更をコントローラ40が決定することに依存するが、代替的実施形態では、コントローラ40がユーザ入力に応じた、例えば利用者が動作特性の所望の変更を入力することに応じた所望の変更を、変更がもたらされることなしに追跡するように構成されることが理解されよう。コントローラ40は、追跡される所望の変更に基づいて修正済みの又は新たな参照プロファイルを形成するように構成される。参照プロファイルは、ルックアップテーブル又は他の記録構成形式とすることができる。コントローラ40によって将来参照されるように、新たな参照プロファイル又は参照プロファイルがコントローラ40によってメモリ100又はRAM110内に記憶させられる。
【0168】
不図示の代替的実施形態では、コントローラは、撮像モジュールによって生成される情報に応じて1つ又は複数の動作特性を自動で調節するのではなく、1つ又は複数のフィードバックモジュール、例えばスピーカ120及び/又はディスプレイ130によってカット装置の利用者に情報提供する。例えば、利用者が適切な行動を取ることができるように、カット装置の使用中、撮像モジュールによって生成される情報に応じて利用者に情報提供するためにフィードバックユニットの動作特性をコントローラが変える。フィードバックモジュールは、ビープ音等の可聴音形式の音響信号を提供することができる。或いはフィードバックモジュールは、装置の取っ手を介して利用者によって感じられる振動形式の触覚フィードバックを提供することができる。或いはフィードバックモジュールは、点滅光又は他の光インジケータ等の光信号を提供することができる。フィードバックモジュールは、撮像モジュールによって生成される情報に応じて上記の信号の複数を提供しても良いことが理解されよう。
【0169】
上記の実施形態ではカメラが奥行カメラであるが、代わりの撮像モジュールが使用されても良いことが理解されよう。例えば、撮像モジュールとして機能する代わりのビジョンシステムが使用され得る。かかる代替的ビジョンシステムは、例えば物体再構築技法又は立体視、距離データを再構築して頭部の位置及びカット装置の位置を検出するための映像の時間的解析、温度カメラの画像の解析、超音波センサからのデータの解析、及び/又は容量センサからのデータの解析を使用する非距離カメラを含み得る。
【0170】
上記の実施形態では、本システム及び方法が、身体部位上の毛を切るためのシステム及び身体部位上の毛を切る方法として説明されたが、本発明はそれに限定されないことが理解されよう。例えば本システム及び方法は、処置される身体部位の代替的処置策として使用されても良い。撮像モジュールによって生成される情報に応じて変えられる動作特性は、装置の目的及び機能によって決まる。
【0171】
特許請求の範囲に定める本システム及び/又は方法は、毛又は皮膚を処置する任意の態様に使用され得ることが理解されよう。例えば本装置は、電動脱毛器、シェーバ、トリマ、エクスフォリエータ、マイクロダーマブレーション装置、レーザヘアカット装置、保湿機、超短パルス光に基づく装置、又は利用者の毛及び/若しくは皮膚と相互作用する他の任意の電動装置とすることができる。この装置は、着色料、シャンプー、薬剤、又は他の任意の物質等の物質を利用者の毛又は皮膚に塗布することができる。あり得る代替的用途は、歯ブラシ、シェーバ、切断以外の代わりの種類の除毛、皮膚洗浄、皮膚の日焼け、皮膚の若返り等、1つ又は複数の非侵襲的処置若しくは侵襲的処置を取り入れるシステムを含む。かかる実施形態では、身体部位の処置が、光を当てること、ローション若しくは他の流体を塗布すること、及び/又は穿刺することを含み得る。
【0172】
本装置は、2つ以上の処置ユニットを有することができる。かかる構成では、コントローラが様々な処置ユニットの動作特性を様々な方法で調節するように構成され得る。例えばカッタユニットが2つある構成では、カッタユニットの一方の切断高さが、カッタユニットの他方と独立に変えられ得る。従って、複数の処置ユニットを有する装置の動作特性をコントローラが調節できる方法は数多くあることが理解されよう。
【0173】
「含む」という語は他のユニット又はステップを排除せず、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞は複数形を排除しないことが理解される。或る手段が互いに異なる従属請求項の中で列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用されてはならないことを示すものではない。特許請求の範囲の中の如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきでない。
【0174】
本願では特許請求の範囲が特定の特徴の組合せとして形式化されているが、本発明の開示の範囲は本明細書で明示的に又は黙示的に開示された如何なる新規の特徴若しくは如何なる新規の特徴の組合せ、又はその如何なる一般化も、それが任意の請求項の中でここに権利を主張するのと同じ発明に関係しようがしまいが、親発明のように同じ技術的問題の幾らか又は全てを軽減するかどうかを問わず含むことを理解すべきである。本出願人は、本願又は本願から導き出される更なる任意の出願を請求する間に、かかる特徴及び/又は特徴の組合せについて新たな請求項が形式化され得ることをここに通知する。