(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンピュータが、周波数パラメータを生成するために、前記特徴的な周波数及び音速を、異なる粘度及び音速の流体について測定された同様なデータと組み合わせ、前記データが、当該装置の較正工程の一部として測定されている、請求項2に記載の装置。
前記コンピュータが、任意値を底とする前記未知の粘度の流体に関する粘度及び経路長さの積の対数を、前記周波数パラメータから、及び、当該装置の較正の際に得られた前記データから、求め、前記周波数パラメータ及び前記データが、前記任意値を底とする粘度及び経路長さの積の前記対数と、周波数パラメータと、の関係についての傾き及びオフセットを確立するために、前記コンピュータによって用いられる、請求項3に記載の装置。
前記コンピュータが、前記粘度及び経路長さの積の対数から前記経路長さの対数を減じて結果を算出し、前記コンピュータが、前記結果の真数をとり、これにより、前記流体の前記動粘度を求める、請求項4に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、いくつかの図を通して参照数字が同様な又は一致する部品を表している図面、より具体的には
図7を参照すると、流体の動粘度を求めるための装置100が示されている。装置100は、発信器1及び発信器1からの入力パルスを超音波エネルギーへと変換可能な発信変換器2を備えている。装置100は、未知の粘度の流体を通過した超音波エネルギーの一部を電気信号へと変換する受信変換器4及び電子増幅器5を備えている。超音波エネルギーは、変換器により生成され、既知の長さの経路3に沿って未知の粘度の流体を通るようにされた音響経路3に沿って進む。装置100は、受信された電子電気信号の特徴的な周波数を求め、流体の音速を測定する、コンピュータ20を備える。コンピュータ20は、特徴的な周波数及び音速に基づいて継続的に流体の動粘度を求め、動粘度は、流体の体積粘度及びせん断粘度から形成される。
【0008】
体積粘度は、せん断粘度と一定の関係を有している。コンピュータ20は、周波数パラメータを生成するために、特徴的な周波数及び音速を、異なる粘度及び音速の流体について測定された同様なデータと組み合わせてもよい。データは、装置100の較正工程の一部として測定されていてもよい。
【0009】
コンピュータ20は、任意値を底とする未知の粘度の流体に関する粘度と経路3の長さとの積の対数を、周波数パラメータから、及び、装置100の較正の際に得られたデータから、求めてもよい。周波数パラメータ及びデータは、任意値を底とする粘度及び経路3の長さの積の対数と、周波数パラメータと、の関係についての傾き及びオフセットを確立するために、コンピュータ20によって用いられてもよい。コンピュータ20は、粘度と経路3の長さとの積の対数から経路3の長さの対数を減じて結果を算出してもよく、コンピュータ20は、結果の真数をとり、これにより、流体の動粘度を求める。コンピュータ20は、受信信号デジタイザ6、信号検出及び時間測定論理7、音速C及び受信周波数計算モジュール8、周波数パラメータ(FP)計算モジュール9、log(νL)計算モジュール10及び粘度計算モジュール11を含んでもよい。
【0010】
本発明は、流体の動粘度を求めるための方法に関連する。方法は、電気的な発信パルスを生成する発信器1を駆動するステップを備える。発信パルスの発信と同時に、デジタル時計30からのタイミングパルスの計数を開始するステップがある。発信信号を電気ケーブルを介して超音波の発信変換器2に印加するステップがある。発信パルスにより、発信変換器2に、限定された数の正弦波サイクルを有する超音波の圧力パルスを生成させるステップがある。超音波の発信変換器2は、生成する超音波エネルギーが既知の長さの経路3に沿って粘度が測定されることになる流体を通過するように、搭載される。経路3の終端において、エネルギーの一部を受信変換器4に伝えるステップがある。受信変換器4により、超音波エネルギーの一部を電気的な受信パルスへと変換するステップがある。受信パルス中に存在する全ての周波数のエネルギー成分が維持されるような周波数応答性を有する受信器5により、受信パルスを増幅させるステップがある。デジタイザ6において、受信パルスをデジタル化するステップがある。受信パルスをデジタル形式7で復元するステップがある。信号検出論理により、受信パルスの到着時間を検出するステップがある。コンピュータ20により、圧力パルスが粘性流体を通る通過時間と、発信器1及び発信変換器2の間のケーブルの電気的遅延、発信変換器2及び流体の間の境界面と関連付けられる機械的遅延、受信変換器4と関連付けられる機械的及びケーブル遅延、並びに、受信器5の電気的遅延を含む、エネルギー伝達経路3の非流体媒質を通る通過時間と、を測定するステップがある。超音波エネルギーが通過する経路3の長さLと、流体中の超音波エネルギーの通過時間との比率として、流体の音速を計算するステップがある。音速及び受信された超音波エネルギーパルスの周波数測定値から周波数パラメータ(FP)を計算するステップがある。コンピュータ20により、周波数パラメータ及び対数線形特徴から、粘度と経路3の長さとの積の対数Log(νL)を求めるステップがある。コンピュータ20により、Log(νL)から経路3の長さの対数を減じてリマインダを得て、次にリマインダの真数を得ることによって、動粘度νを計算するステップがある。
【0011】
本発明の操作では、容易に信頼性のある特性を継続的に測定することができない、流動又は静止流体の動粘度が測定される。
【0012】
そのような測定の使用例は、以下の目的の任意又は全てについてであり得る。
【0013】
・流量計の線形化
タービン流量計、らせん状タービン流量計及び超音波流量計等の流量計は、レイノルズ数に依存する較正曲線を有する場合がある。流体粘度の情報は、そのような計測器の線形化を可能にし、それらの範囲を有効に広げ、それらの精度を改善する。
【0014】
・混合の目的のための供給原料の特性の検出
油処理及び他の産業では、所望の粘度を達成するための添加物注入のリアルタイム制御は、入ってくる供給原料の粘度の情報だけでなく、添加物の注入後の混合物の粘度の情報も必要とする。
【0015】
・ポンプ動力追加税を安定させるための、パイプラインに進入する製品の粘度の検出
パイプラインにおける摩擦損失は、製品の粘度の一次関数となる。ポンプ動力は、主なパイプライン稼働費用であり(直径76.2cm(30インチ)の2413.5km(1500マイル)のパイプラインのポンプ動力は1100MWeに達する可能性がある)、製品の粘度に基づく一括追加税が、エネルギーコストを割り当てるための公平な方法であり得る。
【0016】
・パイプラインにおける漏れ検出のモデル化の目的のための製品粘度の測定
圧縮性の影響の計算及び漏れ位置の決定は、パイプライン及びその製品の圧力損失−流量特性の正確な特性化を必要とする。粘度は、この特性化において重要な変数となる。
【0017】
本発明に特有な条件及び特性は、以下を含み得る。
【0018】
・超音波エネルギーを提供するためのパルス信号の励振
超音波エネルギーは、広域で明確な周波数スペクトルを有する。
【0019】
・広域で明確な通過帯域を有する受信器5。
【0020】
・受信信号の特徴的な周波数を求める目的のための、受信超音波信号の検出及び中心周波数の測定。
この周波数の測定は、例えばフーリエ変換等の周波数領域又は信号周期等の時間領域のいずれかにおいて実施可能である。
【0021】
・未知の粘度を有する媒質の音速の測定。
【0022】
・典型的には1つの媒質が低粘度を有し他方が高粘度を有する、既知又は独立して測定された粘度の少なくとも2つの異なる媒質における受信周波数を測定することによる較正。
【0023】
・較正に使用される媒質の音速の測定。
【0024】
本発明の原理は、未知の流体を通過する音響信号の発信及び受信を用いる。粘度が、周波数領域における信号解析により計算される。受信信号の中心周波数が、流体媒質の粘度の関数として求められ、この周波数が、既知の粘度の製品について実験室で測定された受信信号の周波数と比較され得る。
【0025】
本システムの物理的な原理が先ず説明される。本システムは、以下から成る。
【0026】
(1)発信変換器2に励振を供給する発信器1。
【0028】
(3)流体媒質(装置を較正するときに、2つの基準流体が用いられる、典型的には1つが低動粘度(〜1mm
2/s(〜1cSt))を有し他方が高動粘度(2.5から3000mm
2/s(2.5から3000cSt)超)を有する。
【0030】
(5)受信超音波を増幅しデジタル化する受信器。受信器5には、(a)測定に関する対象周波数範囲よりも低い周波数におけるノイズを除去するための低周波数除去フィルタ、及び(b)高周波数除去フィルタ、が備えられてもよい。
【0033】
音響ビームの強度は、以下にしたがって、粘性媒質において減衰される(Kinsler及びFrey、「音響学の基礎」、第9章、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0035】
ここで、
Aν=粘性減衰因数
α =減衰係数
X =媒質中の音響経路長さ
【0036】
式は音響エネルギー(圧力の反対)の損失を表すため、数字2が式中に現れる。
【0037】
引用された参考文献の解析から、減衰係数αに関する以下の式が導かれる。
【0039】
ここで、
ω=超音波の角周波数
ω=2πf、fは超音波周波数
ν=動粘度
C=媒質中の音速
【0040】
引用された参考文献によれば、式(2)の動粘度は、以下の(a),(b)の組み合わせの影響のために、超音波を減衰させる。
【0041】
(a)せん断粘度。パイプ壁において、流動流体の軸方向速度は、異なる軸方向速度で移動する流動流体の隣接層間の摩擦により、代表的な自由流れ速度からゼロに低減される。せん断粘度は、滑らかなパイプにおける流動流体の摩擦損失を特徴付け、特にパイプ壁近くの速度断面の形状を求める。
【0042】
(b)体積動粘度。先に引用された参考文献はまた、粘性媒質を通して伝達された超音波における損失を発生させる、粘度の第2成分を説明している。この成分は、分子レベルにおける流体の超音波圧縮及び膨張を考慮しなければならない。
【0043】
本明細書に記載の技術は、全体的な動粘度、すなわちせん断及び体積効果の組み合わせ、を見出す。(多くの流体の種族においてそうであるように)体積粘度がせん断粘度に対して一定の関係を有する限り、本技術により求められる粘度は、せん断粘度について有効な指標となり得る。
【0044】
式(1)を以下のように書き換え式(2)を代入することにより、減衰項は、周波数の関数となる(ここで、ω=2πf)。
【0046】
図1に、粘性損失に起因して予想される減衰対周波数の例が30.48cm(12インチ)の経路長さに対して示されている。
【0048】
発信変換器2の励振が、インパルス信号により広域なスペクトラム帯域でもたらされる。実際には、インパルスの使用は必須ではなく、方形パルスの使用が典型的であるが、ここでは計算を簡単化する目的で、インパルスが用いられる(例えば、全ての周波数に対して周波数応答が1である)。
【0050】
発信及び受信変換器2,4は通常同一であり、したがって相補的である。変換器固有の伝達関数は、R,L,C回路に入力された電圧インパルスに対する電流応答として特徴付けられる、ここで、Rは、変換され隣接する媒質に発信されるエネルギーを表し、Lは、変換物質の慣性質量を表し、Cは、変換物質の剛性である、先に引用したKinsler及びFreyを参照。相補的な変換器の使用は必須ではないが、解析を簡単化するために示されている。
【0051】
この簡単化されたモデルは、変換器の共振周波数ω
0へと正規化される角周波数ωの関数として表される、古典的な過小減衰二次系の伝達関数へと導く。
【0053】
ここで、
G(jw)=変換器の伝達関数
ω
0 =変換器の固有振動数
ζ =変換器に関する減衰係数
j =−1の平方根
【0054】
発信変換器2及び受信変換器4の組み合わせに対する伝達関数は、式(4)の伝達関数の2乗である。
【0056】
そのような伝達関数の例が
図1に示されている。この図に関して、減衰係数は0.5として得られ、中央周波数は1MHzとして得られる。
【0058】
受信信号の形状はまた、一連の静電容量部、すなわち受信変換器4からの交流電流を受信器4の第1段階に接続する受信器4の入力部における抵抗回路、に影響される。簡単化のために、受信器4はまた、(例えば、全ての周波数に対して周波数応答が1である)平らな通過帯域を有すると仮定される。
【0059】
[解析結果−粘度の関数としての周波数シフト]
【0060】
発信器〜変換器〜減衰流体〜変換器〜受信器入力回路の伝達関数は、個々の要素の伝達関数の積である。
【0062】
図3は、粘性減衰無しの音響波形の計算された伝達関数と、さまざまな粘度及び経路長さ条件によりもたらされた減衰と、を示す(エネルギーの減衰は、減衰因数(順に、音速、周波数及び粘度を含む)と経路長さとの積の関数であるため、粘度と経路長さとの積が用いられている。グラフに関して、経路長さは30.48cm(12インチ)であり、音速は1270m/秒(50000インチ/秒)である)。
【0063】
減衰を含む最終的な波形応答は、粘性減衰無しの波形の伝達関数と、調査下の特定の条件に対する粘性減衰を特徴付ける伝達関数と、の積である。
図4は、最終的な帯域幅の例を提供する。
【0064】
図4の応答の各々についての中間周波数から計算された最終的な波形の中心周波数が、
図5にグラフで示されている。他の方法は、
図4の伝達関数の逆変換を得ることであろう。粘性減衰が大きい場合には、合成伝達関数はピークに関してほぼ対称であるため、本処理は適度に正確である。
【0066】
本明細書に開示された方法がさまざまな粘度に適合できることを確認するために、低及び高粘度油の双方に関するデータが解析された。
【0067】
以下の2つの出所よりデータが引用された。
【0068】
(a)データセット1
較正実験室における、1.6MHzの変換器を有する20.32cm(8インチ)の超音波流量計、1.0MHzの変換器を有する50.8cm(20インチ)の超音波流量計、及び、1.0MHzの変換器を有する60.96cm(24インチ)の超音波流量計での、周波数シフトの測定。16回の別々の周波数シフトの測定が、1mm
2/s(1cSt)(水)から約86mm
2/s(約86cSt)の範囲の粘度に対してなされた。
【0069】
(b)データセット2
発信及び受信変換器2,4の間の距離が変化可能な特別な試験装置において、測定がなされた。装置は、(基準のための)液体状の水、並びに、300,1120及び4000mm
2/s(300,1120及び4000cS)の粘度を有する油で満たされた。距離は、最も重い油を除いて、10.16cmから114.3cm(4インチから45インチ)で変化させられ、弱い受信信号は最大距離を63.5cm(25インチ)に制限した。
【0070】
本明細書に記載の技術は、先のセクションの解析に基づく、流体粘度と密接に相関した周波数パラメータFPを定義する。周波数パラメータと粘度との間の相関の形態及び1次定数値が本明細書で与えられる。相関の定数値は、工場受入試験及び較正の際に向上させることができる。
【0071】
粘度決定の精度を向上させるために、その決定の独立変数である周波数パラメータは、超音波流量計が現場においてリアルタイムで測定でき粘性減衰に影響する可能性がある変数だけでなく、工場受入試験において測定可能な変数(例えば、大きな粘性減衰の無い受信信号の周波数)も、組み入れるべきである。
【0072】
式(6)は、低粘度の媒質における減衰に対して、粘性媒質での発信超音波の減衰によりもたらされる周波数の変化を求める。式は、周波数パラメータFPに関する以下の定義を導く。
【0074】
周波数パラメータ中のゼロが下付きで付された変数は、水(基準流体)で測定されるこれらの変数である。下付き無しの変数は、リアルタイムで測定される。粘度が流量測定の付属として測定される場合、これらの変数は、未知の粘度を有する媒質の体積流量測定と同時に測定される。
【0075】
周波数パラメータが、上記のデータセットに対して合計41データ点について計算された。
図6には、これらのデータセットに対して測定された、10を底とする粘度と経路長さとの積の対数(繰り返しになるが、エネルギーの減衰は減衰因数(順に、音速、周波数及び粘度を含む)と経路長さとの積の関数であるため、周波数パラメータは積と相関がある)が、データに関する周波数パラメータに対して、プロットされている。粘性減衰を粘度と経路長さとの積の指数関数として示す式(1)の形式のために、縦座標に対数が選択されている。これらのデータフィットが、未知の製品の粘度を求めるために使用可能である。ゼロが下付きで付された変数に対して、その入力が工場受入試験において未知の粘度を有する流体の流量測定と同時に測定される、周波数パラメータが、10を底とする粘度と経路長さとの積の対数を求めるために、データフィットアルゴリズムに入力される。対数(10)の底は、フィットを用いて得られた対数の数値(すなわち指数)で累乗され、その結果が粘度を求めるために(既知の)経路長さにより割られる。
【0076】
図6のデータから、以下の結論が導き出された。
【0077】
1.図に示された2つの変数の線形フィットは、データと良く相関している。2.5から400mm
2/s(2.5から400cSt)の範囲の動粘度及び6つの異なる油を含むフィットの程度は、非常に優れている。
【0078】
2.フィットは、以下のように表される。
【0080】
ここで、
m=−2.576
b=5.0756
【0081】
3.
図6の線形対数フィットに関するデータの1つの標準偏差は、約±0.18(1は、10を底とする粘度と経路長さとの積の対数)である。
【0082】
4.フィットからの各データセットの逸脱は、以下に表にされている。
【0084】
4000mm
2/s(4000cS)のデータセットの大きな偏差は、この油による受信信号の弱さに起因しているかもしれない。コヒーレントノイズとの組み合わせによる弱い信号は、受信信号の周波数の測定に、したがって周波数パラメータに、偏りを導入する可能がある歪を生じる。4000mm
2/s(4000cS)のデータが除かれた場合、フィットの標準偏差は±0.15(10を底とする対数が1)に減少する。
【0086】
図7は、本明細書に記載された粘度測定を実行するための装置100の例を示す。図は、最も基本的な実施形態を示す。より複雑な実施形態が同様に説明される。
【0087】
測定は、電気パルスを生じる発信器1を駆動させることにより開始される。パルスの発信と同時に、デジタル時計30からのタイミングパルスの計数が始まる。タイミングパルスの計数は、以下で説明されるように、工程中の後の方で停止する。
【0088】
発信パルスは、電気ケーブルを介して超音波変換器2に接続される。
図7において、電気的な接続は実線として示されている。破線は、機械的な接続を示す。斜線は、関連するデジタル計算を示す。発信変換器2へのパルスの印加は、装置に限定された数の正弦波サイクル(3から5)を有する超音波の圧力パルスを生成させる。正弦波の周期は、パルスの広域スペクトラムと、発信変換器2の「固有周期」と、の相互作用により、設定される。発信変換器2の固有周期は、その寸法及び変換材料中の音速により設定される。
【0089】
超音波の発信変換器2は、生成する超音波エネルギーが、粘度が測定されることになる流体を通過するように、搭載される。超音波エネルギーは、既知の長さLの経路3に沿って、流体を通過する。
【0090】
経路3の終端において、エネルギーの一部は、発信変換器2と同様な特性を有する、受信変換器4に伝えられる。受信変換器4は、超音波エネルギーの一部を電気パルスへと変換する。
【0091】
粘性流体を通る経路3及び音響経路3における各境界面は、受信超音波パルスの電気的エネルギーを減少させる。したがって、受信信号は、受信信号中に存在する全ての周波数のエネルギー成分が維持されるような周波数応答性を有する受信器5によって、増幅される。この特性により、受信器5は「広域帯」と呼ばれる。
【0092】
受信信号は、発信変換器及び受信変換器の固有振動数よりも1桁以上高いサンプル周波数を用いるADコンバータである、デジタイザ6においてデジタル化される。
【0093】
次に、信号は、コンピュータ20によりデジタル形式で復元され、その到着時間が、コンピュータ20の信号検出論理7により検出される。検出論理自体の詳細は示されておらず、本発明に特有ではなく周知である。要するに、受信信号の最初の大きな半周期が、許可閾値よりも大きな絶対値の信号が受信されたときに、検出される。受信信号の次のゼロ交差が起きるときに、発信器1が発信変換器2にパルスを印加したときに開始されたタイミングパルスの計数を用いて、t
1が測定される。t
1に続くゼロ交差の時間であるt
2も同様に測定される。t
2の測定は同様に、発信及びこのゼロ交差の間に生じたタイミングパルスの計数を用いる。
【0094】
測定された時間は、粘性流体を通る通過時間だけでなく、発信器1及び発信変換器2の間のケーブルの電気的遅延、発信変換器2及び流体の間の境界面と関連付けられる機械的遅延、受信変換器4と関連付けられる機械的及びケーブル遅延、並びに、受信器5の電気的遅延等の、エネルギー伝達経路3の非流体媒質を通る通過時間も含む。これらの最後のものは、受信信号の前縁及びt
1が測定されるゼロ交差の間の遅延を含む。非流体媒質における遅延は、以下で説明される信号処理で考慮されるべきである。遅延は、本発明に特有ではない方法によって、較正工程の一部として計算又は測定可能である。
【0095】
デジタル信号処理8は、超音波が通過する経路3の長さLと、流体中の超音波エネルギーの通過時間との比率として、未知の粘性を有する流体の音速を計算する。流体中の超音波の通過時間は、測定された時間t
1と、非流体媒質における遅れの合計τと、の差により与えられる。信号処理8は同様に、その信号の周期の逆数として、受信信号の優位周波数を計算する。受信信号の周期は、信号検出に続く半周期のゼロ交差の時間t
2と、検出半周期の立ち下がり縁のゼロ交差の時間t
1と、の差の2倍として得られる。周期を求めるために用いられた時間測定値から非流体遅れを減じる必要はない、何故ならば、双方の測定に同じ遅れが存在するからである。
【0096】
いくつもの適用例において、粘度が測定される流体は、流動している。結果として、流速のいくつかの成分は、音響経路3に投影する。そのような場合、流体を通る音響パルスの対向伝搬が用いられる。対向伝搬は多重化装置を用いて、先ず(
図7に示されているような)一方向に音響パルスの伝搬を開始させ、次に逆方向に伝搬させ、以前に受信変換器4であったものを発信変換器2として用い、以前に発信変換器2であったものにおいて受信された信号を処理する。対向伝搬は、音響経路3の相補的な性質と、送信及び受信変換器2及び4の同様な性質と、を用いる。それはしばしば通過時間超音波流量計において用いられる、何故ならば、音響経路3に沿った上流及び下流方向における通過時間の差が、経路3に投影される流速に対する尺度を提供するからである。本発明の場合、対向伝搬パルスの通過時間t
1up及びt
1downの平均を用いることが、ゼロでない流速の存在に起因する音速におけるいかなる誤差も除去する。
【0097】
音速及び受信周波数測定の結果は、FP計算モジュール9により周波数パラメータFPを計算するために使用される。この計算に対して、測定された音速及び受信信号の周波数のいくつものサンプルが、時計30のパルスの幅、乱流、及び単一のサンプルに存在し得るランダムな電気的ノイズに起因する誤差を減らすために用いられてもよい。(超音波流量計ともみなせる)装置100の受入試験及び較正の際に得られる基本データは同様に、周波数パラメータの計算に用いられる。これらのデータは、周波数f
0及び音速C
0も測定される低粘度流体についての粘度ν
0を含む。
【0098】
周波数パラメータが、log(VL)計算モジュール10により粘度と経路長さとの積の対数Log(νL)を求めるために、対数線形特性と共に用いられる。対数線形特性の定数である傾きm及びオフセットbが、実験室におけるシステムの較正の工程の際に、既知の粘度の流体についての受信信号の半周期及び音速を測定することにより、定められる。
【0099】
次に、粘度νがLog(νL)から経路長さの対数を減じることにより計算され、次に、粘度計算モジュール11により真数が得られる。
【0100】
図8は、レイノルズ数の決定への適用としての本明細書に開示された技術の実施のフローチャートである。
【0101】
本発明が説明の目的のために上記の実施形態において詳細に説明されてきたが、そのような詳細はもっぱらその目的のためであり、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変形が当業者により可能であることが理解される。