【実施例】
【0045】
以下の実施例は、例示するために提供されるが、請求の範囲に記載されている発明を制限するものではない。
実施例1:合成
【0046】
ブプレノルフィン二量体は、以下に示されるように合成された。
【化3】
【0047】
ブプレノルフィンHCl塩(5.0g、10.68mmol、1当量)及び炭酸カリウム(42.73mmol、4当量)を三つ首丸底フラスコに入れ、続いて無水DMSO(50ml、10倍量)を入れた。混合物を60℃まで加熱し、そして、1,2−ジブロモエタン(9.2mL、106.8mmol、10当量)をゆっくり加えた。反応混合物を、60℃にて16時間撹拌し、次に、室温に冷まし、水で希釈し、そしてジクロロメタンで抽出した。複合化有機成分を鹹水で洗浄し、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮して粘性液体を得た。未精製の生成物を0〜5%のMeOH/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して黄色がかった白色の泡沫状固形物として4.2g(69%)の中間体1を得た。
【0048】
ブプレノルフィンHCl塩(1.74g、3.72mmol)及び炭酸カリウム(2.0g、14.87mmol、4当量)を三つ首丸底フラスコに入れ、続いて無水DMSO(10mL)を入れた。混合物を60℃まで加熱し、そして7mLの無水DMSO中に溶解した中間体1(3g、5.22mmol、1.4当量)を2時間にわたって滴下して加えた。反応混合物を、60℃にて16時間撹拌し、次に、室温に冷まし、水で希釈し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮して粘性液体を得た。未精製の生成物を0〜5%のMeOH/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して泡沫状固形物としてブプレノルフィン二量体−FB(フリー塩基)を得た(2.8g、77%)。
【0049】
5.5g(5.7mmol)のビ−コンジュゲート(ブプレノルフィン二量体−FB)を窒素下、室温にて50mLの酢酸エチル中で溶解した。エーテル中の2N HCl、3.43mL(6.9mmol、1.2当量)を室温にて滴下して加えた。反応混合物を室温にて更に1時間撹拌し、濾過して固形物を得た。固形物を、100mLの酢酸エチルによって更に洗浄し、減圧下で乾燥させて白色の固形物としてブプレノルフィン二量体(ビスHCl塩)(5.8g、98%)を供給した。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.75(br,2H)、6.88(d,J=9.2Hz,2H)、6.67(d,J=9.2Hz,2H)、4.66(s,2H)、4.23−4.42(m,4H)、3.84−3.92(m,2H)、3.40(s,6H)、3.21−3.35(m,5H)、2.98−3.20(m,7H)、2.64−2.85(m,4H)、2.12−2.26(m,4H)、1.72−1.94(m,4H)、1.38−1.52(m,4H)、1.26(s,6H)、0.99(s,20H)、0.48−0.76(m,10H)、0.32−0.42(m,4H);MS:m/z962(M+1)
+。
実施例2 実例となる医薬組成物
【0050】
以下の組成物はブプレノルフィン二量体の経口錠剤に使用され得る。
【表1】
実施例3−アッセイ
インビトロアッセイ:ブプレノルフィン二量体の代謝安定性
【0051】
ヒト肝ミクロソーム(例えば、1mgタンパク質/mL)と二量体(例えば、1μΜ)のインキュベーションを、96ウェルプレート形式で示された終濃度にて、補因子であるNADPH産生系を伴って又はそれなしに、リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.4)、MgCl
2(3mM)及びEDTA(1mM、pH7.4)を含む0.2mLのインキュベーション混合物(終量)中、37±1℃にて、Tecan Liquid Handling System(Tecan)又は同等物を使用して実施した。NADPH産生系は、NADP(1mM、pH7.4)、グルコース−6−ホスファート(5mM、pH7.4)及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(1ユニット/mL)から成った。二量体をメタノール水溶液(メタノール 0.5%のv/v、又はそれ以下)中に溶解した。反応を補因子の添加によって典型的に開始し、4つの指定した時点(例えば、最長120分)において等容積の停止剤(例えば、アセトニトリル、内部標準を含めて0.2mL)の添加によって停止した。ゼロ時間インキュベーションは、基質の損失パーセントを決定するための100%値としての役目を果たした。ゼロ時間サンプル(4連にてインキュベートした)を例外として、インキュベーションを三連で実施した。無補因子(NADPHなし)インキュベーションをゼロ時間及び最長の時点において実施した。サンプルを遠心分離(例えば、10℃にて920×g、10分間)にかけ、上清画分をLC−MS/MSによって分析した。試験系が代謝的に適格であるか否かを判断するために、ポジティブコントロールとして、マーカー基質(例えば、基質損失を観察するためのデキストロメトルファン)で置き換えたミクロソームと共に、追加のインキュベーションを実施した。
【0052】
上記サンプルをLC−MS/MSによって分析した。それぞれのインキュベーション溶液でのサンプルに関して分析を実施した。結果を実験のタイムコースにわたるピーク率の比較によって決定した(「親維持率(%)」として主に報告する)。
【0053】
データを、LIMS(Galileo、Thermo Fisher Scientific Inc.及び報告ツール、Crystal Reports,SAPを含む)、スプレッドシートコンピュータプログラムMicrosoft Excel(Microsoft Corp.)又は同等物で計算した。変化しない親化合物の量は、LIMS、Analyst Instrument Control and Data Processing Software(AB SCIEX)又は同等物を使用して(各インキュベーションにおける大体の基質残存パーセントを決定するために)検体/内部標準(IS)ピーク面積比に基づいて推定される。
【0054】
結果:
図1に示される結果は、ブプレノルフィンの二量体がアッセイの継続期間中、ミクロソーム酵素の存在下で比較的安定していたことを示している。ミクロソーム酵素はブプレノルフィンなどの薬剤の代謝に主に関与する。該二量体は、補因子の有無に関わらずミクロソームの存在下で安定していた。通常、酵素は37℃のインキュベーション温度にて2時間を超えて安定ではないので、アッセイを2時間で終了した。
安定性アッセイ
【0055】
研究室ベースの研究の目的は、患者が該二量体からブプレノルフィンを取得し、その乱用抑止特性損ない得る容易さを評価することであった。
【0056】
これらの研究は、潜在的中毒者がふくらし粉、酸又は水中での簡単な加熱などの家庭用化学製品を使用して二量体を容易に切断できることを理解する助けとなった。ブプレノルフィン二量体の安定性を、未処理の水道水中、及び酸(1N HCl)又は塩基(5%の重炭酸ナトリウム水溶液)の存在下で室温にて評価した。該二量体はそれらの条件下で比較的安定しており、これらの条件ではブプレノルフィンを認識できるほどには分解しなかった。
図2を参照のこと。
【0057】
結果:
図2に示したように、ブプレノルフィン二量体は安定した状態を維持し、30分間もの間、極端なpH条件下にて室温であっても高い温度であっても分解してブプレノルフィンを放出することはなかった。
【0058】
これらの試験はまた、IBS−D患者及び健常者の両者で、その全長に沿ってpH勾配を呈する消化管内での二量体の安定性を理解する助けになる。pHは、胃の壁細胞からの塩酸の分泌による1から結腸の8までの範囲である。消化管の近位部が最も酸性であり、遠位端が最も酸性が弱い。
実施例4−受容体結合活性
【0059】
この実施例では、以下の受容体:μ−オピオイド受容体;κ−オピオイド受容体;及びδ−オピオイド受容体、に対する本明細書中に提供したブプレノルフィン二量体の結合を例証する。
ヒトμオピオイド受容体結合アッセイ
【0060】
ヒトμオピオイド受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(Perkin Elmer #RBHOMM 400UA)からの膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl
2を含む50mMのTris、pH7.5)中で均質化した。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で300μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO(Pierce)、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより3.6nMに希釈した。プレミックスプレートとして知られている第二の96ウェル丸底ポリプロピレンプレートにおいて、60μLの6×化合物を60μLの3.6nM
3H−ナロキソンと組み合わせた。プレミックスプレートから、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて2時間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMicroscint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害を受けていないウェルと比較した。非特異的結合を、50μΜの非標識ナロキソンの存在下で測定した。該二量体の生物学的活性を
図3に示す。
【0061】
結果:
図3のグラフは、該二量体がオピオイドμ受容体に対して有意な親和性を有することを示す。10
-8M(〜10ng)におけるブプレノルフィン二量体のオピオイドμ受容体親和性及びそのプロファイルは、ブプレノルフィンのものと同様であった。
ヒトκオピオイド受容体結合アッセイ
【0062】
ヒトκオピオイド受容体を発現するクローン化HEK−293細胞(Amersham Biosciences UK Ltd.6110558 200U)の膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl
2を含む50mMのTris、pH7.5)中でホモジナイズした。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で300μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO(Pierce)、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより3.6nMに希釈した。プレミックスプレートとして知られている第二の96ウェル丸底ポリプロピレンプレートにおいて、60μLの6×化合物を60μLの3.6nM
3H−ジプレノルフィン(DPN)と組み合わせた。プレミックスプレートから、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて18時間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMicroscint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害を受けていないウェルと比較した。非特異的結合を、50μΜの非標識ナロキソンの存在下で測定した。ブプレノルフィン二量体の生物学的活性を
図4に示す。
【0063】
結果:
図4には、ブプレノルフィン単量体及び二量体のオピオイドκ受容体アゴニスト特性を記載する。ブプレノルフィンの単量体も二量体もκ受容体に対する親和性を失っていない。質的には、ブプレノルフィンと同様に、オピオイドκ受容体へのブプレノルフィン二量体の結合は、濃度に従って増強される。約1μgでは、該二量体のオピオイドκ受容体親和性のプロファイルはブプレノルフィンのものと同様であったと評価される。
ヒトδオピオイド受容体結合アッセイ
【0064】
ヒトδサブタイプ2オピオイド受容体への三重水素化ナルトリンドールの結合を妨げる化合物の能力を試験するために該アッセイを設計した。ヒトδサブタイプ2オピオイド受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(Perkin Elmer#RBHODM 400UA)からの膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl
2を含む50mMのTris、pH7.5)中で均質化した。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で100μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより6×所望の終濃度に希釈した。リガンドである
3H−ナルトリンドール(natrindole)(Perkin Elmer#NET−1065)もまた、アッセイバッファーで6nMに希釈した。
3H−ナルトリンドール(natrindole)のアリコート(50μL)を、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて30分間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMictoS=scint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害剤を含んでいないウェルと比較した。非特異的結合を、1μΜの非標識ナルトリンドール(Natrindole)の存在下で測定した。ブプレノルフィン二量体の生物学的活性を以下の表2に示す。
【表2】
【0065】
μ及びκオピオイド受容体と比較して、二量体はδ受容体に対して低親和性であった。
実施例5−受容体刺激活性
【0066】
この実施例は、μオピオイド受容体が介在のシグナル伝達を刺激する本明細書に提供されるブプレノルフィン二量体化合物の能力を示している。
μオピオイド受容体アゴニスト及びアンタゴニスト機能アッセイ:ヒトμ受容体発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO−hMOR)細胞膜における[
35S]GTPγS結合アッセイ
【0067】
簡単に述べると、Receptor Biology Inc.(Baltimore Md)からCHO−hMOR細胞膜を購入した。約10mg/mlの膜タンパク質を10mMのTRIS−HCl pH7.2、2mMのEDTA、10%のスクロース中に懸濁し、そして懸濁液を氷上に保持した。1mLの膜を、50mMのHEPES、pH7.6、5mMのMgCl
2、100mMのNaCl、1mMのDTT及び1mMのEDTAを含んでいる15mLの冷たい結合アッセイバッファーに加えた。膜懸濁液をポリトロンで均質化し、そして3000rpmにて10分間遠心分離した。次に、上清を18,000rpmにて20分間遠心分離した。ペレットを、ポリトロンを用いて10mLのアッセイバッファー中に再懸濁した。
【0068】
膜を、アッセイバッファー中でコムギ胚芽凝集素を用いてコートしたSPAビーズ(Amersham)と共に25℃にて45分間プレインキュベートした。次に、膜(10μg/ml)と結合させたSPAビーズ(5mg/ml)をアッセイバッファー中で0.5nMの[
35S]GTPγSと共にインキュベートした。基礎結合は添加した試験化合物の不存在下で起こる結合であり;この非調節結合を100%とみなし、アゴニストで刺激すれば、結合はこの値を有意に超えるレベルまで上昇する。さまざまな濃度の受容体アゴニストSNC80を使用して[
35S]GTPγS結合を刺激した。基礎結合及び非特異的結合の両方をアゴニストの不存在下で試験した;非特異的結合の決定では10μΜの非標識GTPγSを伴った。
【0069】
標準としてD−Phe−Cys−Tyr−D−Trp−Orn−Thr−Pen−Thr−NH
2(CTOP)を使用したアゴニスト刺激GTPγS結合を阻害する能力を評価することによってアンタゴニストとしての機能に関してブプレノルフィン二量体を試験した。放射能をPackard Top Countで定量化した。以下のパラメーターを計算した: %刺激=[(試験化合物のcpm−非特異的cpm)/(基礎cpm−非特異的cpm)]
*100 %阻害=(1μΜのSNC80による%刺激−試験化合物の存在下での1μΜのSNC80による%刺激)
*100/(1μΜのSNC80による%刺激−100)
【0070】
GraphPad Prismを使用してEC
50を計算した。試験した化合物に関するグラフを
図5及び6に示す。
【0071】
結果:
図5に示したデータは、二量体が強力なμアゴニストであることを示す。該結果はまた、10
-6M(〜1μg)における二量体のオピオイドμ受容体活性がブプレノルフィンのものと同様であることを示す。
図6のデータは、二量体がμ−アンタゴニストとして機能しないことを示す。
実施例6 インビボ薬物動態試験
【0072】
該動物薬物動態試験はジョンホプキンス医学研究所にて実施した。使用した動物は、CD−1マウス(約35グラム、1時点あたりn=3)であった。試験した薬剤は、ブプレノルフィン及びブプレノルフィン二量体であった。10mg/kgをIV及び経口強制飼養により投与した。血液を、0、30分、並びに1、2、6及び24時間の時点にて採取した。血漿を収集した後に、薬剤に関して血液サンプルを以下のようにLC/MS/MSによって分析した:
【0073】
検量線を、いずれかの被験薬(10〜25000nM)で添加したマウス血漿で作成した。血漿サンプル(50μL)を、内部標準としてロサルタン又はブプレノルフィン−d
4を含んでいる300μLのアセトニトリルで抽出した。抽出物を16000×gで4℃にて5分間遠心分離した。上清(250μL)を新しいチューブに移し、N
2下、45℃にて1時間乾燥させた。サンプルを、100μLの30%のアセトニトリルで再構成し、ボルテックス処理し、そして遠心分離した。上清(90μL)をLCバイアルに移し、そして10μLをLC/MSに注入した。
図7を参照のこと。
【0074】
結果:
図7は、10mgの経口及びIV投与後の該ブプレノルフィン二量体の血漿濃度プロファイルを示す。グラフは、経口及びIV投与後の血中濃度曲線下面積の比として計測される絶対生物学的利用能が該二量体に関して1%以下であったのに対して、単量体のものが約30%であったことを示す。
実施例7 インビボアッセイ:ストレス誘発性糞便排出量
【0075】
試験に使用した動物は雄CD−1マウス、平均体重約30〜35gであり、1投与群当たり平均5匹のマウスである。一般的に、マウスは、飼料及び水を自由に摂取できるポリカーボネートケージに1ケージあたり3匹を収容するコロニーハウスに収容した。実験日に、試験化合物の胃内投与後に、ワイヤーメッシュ製の底を備えた幅20cm×奥行20cm×高さ15cmのケージ内に個別にマウスを収容する処置室に、それらを移した。試験中、動物には水を自由摂取させた。ワイヤーメッシュ製の底を備えた背の高いケージが、マウスにストレスを誘発する新しい環境を作り出す。排出されたペレット数を1時間単位で測定した。結果を
図8〜10に示す。
【0076】
結果:
図8及び9は、該ブプレノルフィン二量体の経口投与がプラセボ(溶媒)に対してマウスの糞便排出量を有意に低減したことを示す。調査した用量は、1kgあたり25〜50mgであった。結果は、異常な感受性が示唆される糞便排出量ゼロの動物を除外した場合でさえ変化しなかった。
図10は、用量に従ってマウスの糞便排出量が減少することを示し、それは本当の薬理効果を示している。
インビボアッセイ:炎症後に変化したGI通過時間に対する効果
【0077】
この試験を、炎症後に起こる胃腸の過敏症に対する試験物質の効果を評価するために設計した。炎症後に変化したGI通過を、新たに開封したマスタードのオイル(0.5%のエタノール中、95%の純粋なイソチオシアン酸アリル)を注射することによって雄CD−1マウスで誘発した。GIの運動性に対するストレスの効果は、もはや炎症はないが、GI管が過敏な状態で残っている時である、3〜4週間後に評価される。試験物質の効果を、経口投与(胃内強制飼養)し、ワイヤーメッシュ製の底を備えたケージ(幅20cm×奥行20cm×高さ15cm)内にそれらを収容することによって環境的ストレスに動物を晒した後に評価した。試験中、動物には水を自由摂取させた。ワイヤーメッシュ製の底を備えた背の高いケージが、マウスにストレスを誘発する新しい環境を作り出す。排出されたペレットの数を1時間〜2時間単位で測定した。
図11を参照のこと。
【0078】
結果:
図11に示したように、1kgあたり25mgのブプレノルフィン二量体は、炎症後モデルにおける糞便排出量によって評価される、消化管運動を有意に減少させる。グラフはまた、マスタードオイルで処理しなかったマウスの糞便排出量の増加は一過性であり、1時間を超えて持続しかったことを示している。マスタードオイル処理動物における糞便排出量の増加は、2時間の時点でさえ持続した。該二量体は、2時間の時点でさえ消化管運動を制御し続け、結果は統計的に有意であった。
【0079】
本明細書中に記載した実施例及び実施形態が説明の目的のみのものであり、その範囲内での様々な修飾又は変更が当業者に対して示唆され、そしてそれは本出願の要旨及び範囲内、並びに添付の請求項の範囲内に含まれるべきであることは、理解される。先の出願と本願との間に争いがある限り、あらゆる矛盾事項が本願に有利に解決されるべきである。本明細書中に引用したすべての刊行物及び特許は、あらゆる目的のためにその全体を参照によって本明細書中に援用する。