特許第6568102号(P6568102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーフォームド,インコーポレイティドの特許一覧

特許6568102ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用
<>
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000008
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000009
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000010
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000011
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000012
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000013
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000014
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000015
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000016
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000017
  • 特許6568102-ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568102
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ブプレノルフィン二量体及び消化管疾患の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20190819BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20190819BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20190819BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   C07D519/00CSP
   A61K31/485
   A61P25/04
   A61P1/00
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-565239(P2016-565239)
(86)(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公表番号】特表2017-513918(P2017-513918A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】US2015027820
(87)【国際公開番号】WO2015168031
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/985,207
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/101,768
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/176,883
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516322935
【氏名又は名称】オーフォームド,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ニキルシュ シング
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−175706(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0154002(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/123824(WO,A1)
【文献】 特許第6466970(JP,B2)
【文献】 国際公開第2004/103317(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0075361(US,A1)
【文献】 特表2014−508148(JP,A)
【文献】 特表2005−506351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0068786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 519/00
A61K 31/485
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
で表されるブプレノルフィン二量体、又は医薬的に許容されるその塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
前記化合物が、医薬的に許容される塩の形態である、請求項1に記載のブプレノルフィン二量体。
【請求項3】
医薬的に許容される担体又は賦形剤と、請求項1に記載のブプレノルフィン二量体化合物とを含む医薬組成物。
【請求項4】
治療上有効量の請求項1に記載のブプレノルフィン二量体を含む、消化管痛覚過敏を治療する又は処置するための医薬組成物。
【請求項5】
治療上有効量の請求項1に記載のブプレノルフィン二量体を含む、下痢型過敏性腸症候群(IBS−Dを治療するための医薬組成物
【請求項6】
与される用量が.1mg/患者の体重kg〜.2mg/患者の体重kgであることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物
【請求項7】
与される用量が一日あたり0mg〜0mgであることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月28日に出願された米国仮出願第61/985,207号;2015年1月9日に出願された同第62/101,768号;及び2015年1月9日に出願された同第62/176,883号に対して合衆国法典第35巻第119条(e)の下で優先権の利益を主張するものであり、それぞれの開示を参照によって本明細書中に援用する。
米国政府の研究開発支援によってなされた発明の権利に関する記載
【0002】
該当なし
コンパクトディスクによって提出される「配列表」、表、又はコンピュータプログラム一覧付録に関する言及
【0003】
該当なし
【背景技術】
【0004】
ブプレノルフィン
ブプレノルフィンは、より高い投薬量においてオピオイド依存症を処置するのに使用され、より低い投薬量において非オピオイド抵抗性のヒトの中程度の急性疼痛を制御するのに使用され、及びさらに低い用量において中程度の慢性疼痛を制御するのに使用される混成μアゴニスト−κアンタゴニストオピオイド受容体モジュレーターである。その構造は以下の通りである:
【化1】
【0005】
ブプレノルフィンは、現在、静脈内、舌下及び経皮剤形として、疼痛の治療に必要とされている。ブプレノルフィンはまた、アヘン中毒の治療のために必要とされている。ブプレノルフィンは、長い半減期を有し、1日1回投与することができるが、ブプレノルフィンの経口バイオアベイラビリティーは、広範な前全身な採取(presystemic extraction)が原因で非常に低い。結果として、ブプレノルフィンの舌下投与は、臨床的に有効な全身の血漿濃度を達成するために必要とされる。舌下投与でさえ、ブプレノルフィンは、たったの約30%が全身循環に利用可能である。
下痢型(Diarrhea−predominant)過敏性腸症候群(IBS−D)
【0006】
下痢型過敏性腸症候群(IBS−D)は、下痢に加えて、内臓及び身体の両方の痛覚過敏(結腸直腸及び身体刺激からの増強された疼痛)、不快症状、腹部膨満及び腸内ガスをしばしば伴う、非常に有病率の高い胃腸の機能障害である。
【0007】
国際機能性消化管障害財団によると、IBS−Dは2500万人から4500万人のアメリカ人が罹患していると推定される。それは、胃腸病専門医によって行われた最も一般的な診断であり、プライマリーケア医が最も頻繁に治療する疾患の一つである。
【0008】
過敏性腸症候群は、生活の質に非常に重い影響を与え、高い社会的コストを有する。該疾患は変動する傾向があるが、慢性又は亜慢性になる傾向がある。IBSの存在が患者の平均余命の低下を伴うという証拠はないが、それが健康に関連する生活の質や仕事の生産性を大幅に低下させる。より重症例では、患者は、関係性の重度な障害を起こしたり、職場で引き起こす毎日の重度の腹痛エピソードや下痢を経験するかもしれない。
IBS−D処置
【0009】
胆汁酸結合剤、アミトリプチリン、プロバイオティクス、肥満細胞安定化剤及び5−ASAは、慢性効果の有力な証拠がないにもかかわらず、IBS−Dの処置において保険適用外で使用されてきた。抗下痢ロペラミド、合成オピオイドは、同様に使用されてきたが、その阻害されない完全なμオピオイドアゴニスト活性は、多くの場合、重度の便秘を引き起こす。
【0010】
IBS−Dのために開発中の薬の中で、現在Lexicon Pharmaceuticals社が開発中であるのが胃腸管におけるセロトニン合成阻害剤である、LX1033である。その作用メカニズムは、しかしながら、痛みの軽減をサポートしていない。ニューロキニンアンタゴニストである、DNK−333(ノバルティス社)は、有効性の欠如のために、フェーズII試験後にIBS−Dに対する試験を中止した。第II相臨床試験における他のニューロキニンアンタゴニストである、イボヅタント(Ibodutant)(メナリーニ社)は、総個体群におけるプラセボに対して何ら効果を示さず、女性のみでのさらなる試験が進められている。リファキシミン(Rifaximin)(Salix Pharmaceuticals社)はIBS−Dに対して試験されおり、研究中程度の活性を示すが、抗生物質耐性の発生及び継続的な有効性に重要な懸念がある。
【0011】
ラトロネクス(Latronex)(アロセトロン、Prometheus Laboratories,Inc.)は米国でIBS−Dに承認された唯一の薬剤であるが、女性専用である。それは鎮痛特性を示さなかった。重要なのは、それは、特に虚血性大腸炎などを含む重篤な副作用を警告するブラックボックスを有していることである。
【0012】
現在まで、IBS−Dの慢性的に、無制限で治療用として米国で認可されている薬剤は存在しない。
【0013】
エルキサドリン(Forest Laboratories,Inc.)は、第III相試験において、便の粘度の改善及び腹痛の軽減の主要エンドポイントを達成したμオピオイド受容体アゴニスト及びδオピオイド受容体アゴニストである。疼痛軽減に関するその効果は、せいぜい中程度であり、痛覚過敏をもたらす結腸の過感受性の軽減に対する明らかな効果は伴わない。そのうえ、第II相治験において、潜在的な致死的疾患である膵炎に関するいくつかの症例が報告された。胆汁疾患の既知の既往歴がある患者を臨床試験登録から除外した後でさえ、膵炎の症例が報告された。通常、μアゴニストは、胆管から十二指腸内への胆汁及び膵液の流量を調整する筋肉弁であるオッディ括約筋に対して収縮効果を有する。ブプレノルフィンは、その部分的μアゴニスト効果とκアンタゴニスト効果により、オッディ括約筋の緊張又は収縮の増加を導かない。発明者らは、ブプレノルフィンと同様の受容体薬理を有する、ブプレノルフィン二量体もまた、オッディ括約筋には収縮の影響を及ぼさないことを期待している。
【0014】
従って、腸管運動を減少させ、それによって、下痢の発生を減少させ、鎮痛剤であって、膵炎を伴うことなく、そして、単に症状を処置するのではなく、IBS−Dに関連している潜在的な過敏症、及び痛覚過敏に至る原因に潜在的に対処するIBS−Dの長期治療法が長い間希求されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様において、本明細書で提供されるのは、式(I):
【化2】
の構造を得るために、それらのフェノール基を介してO−アルキル化により互いに共役された、2つのブプレノルフィン薬剤分子を含む新規な二量体、又は医薬的に許容されるその塩若しくは溶媒和物である。
【0016】
式(I)において、該化合物は:2,2’−((4aR,4a’R,6S,6’S,7S,7’S,12bR,12b’R)−9,9’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(3−(シクロプロピルメチル)−7−メトキシ−1,2,3,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−4a,7−エタノ−4,12−メタノベンゾフロ[3,2−e]イソキノリン−9,6−ジイル))ビス(3,3−ジメチルブタン−2−オール)(化合物1、又はブプレノルフィン二量体)である。その分子量は、961.28である。
【0017】
当初、発明者らは、乱用を妨げるプロドラッグを得ることを意図した当該ブプレノルフィン二量体を合成した。そのフェノール性水素の位置において親化合物を二量化することにより、発明者らは、オピオイド活性が肝臓において初回通過代謝する間、親化合物を放出することを軽減すると考えていた。発明者らは、それらが二量体のフェノール性酸素分子に結合されるメチレン炭素と相互作用した場合、薬物代謝がチトクロームP−450酵素(CYP3A4及びCYP2D6)によって促進されると考えていた。得られるO−脱アルキル化が、ブプレノルフィンを最終的に全身循環へと放出する。
【0018】
発明者らの予想は、発明者らの特定のリンカーを有していなくても、一般的にはフェノール類の水素への結合に関する文献によってサポートされていた。従来の知識は、親水性の低い置換基を水素で置換することによるモルフィノン(morphinones)のフェノール基の誘導体化が、実質的に得られるオピオイドのオピオイド効力を減少させることであった。Feinberg Andrew F,et al.Proc Natl Acad Sci.USA Volume 73 no.11 p4215-4219(1976)を参照のこと。R.RichardsのOpioid Analgesics(www.faculty.smu.edu)によれば、「遊離フェノール基は鎮痛活性に重要である」。Anesth Analg 1984;63;143‐51 at 145 et seqにおいて、D.H.Thorpeは「受容体と相互作用すると考えられるモルフォリン分子の他の部分は該フェノール成分である。メチル基で遊離ヒドロキシル基を封じることで、10倍以上効力を減少させる。」と述べている。筆者は、より大きいアルキル基はさらに多くの有害作用を有し、「かさ高さ(bulkiness)...は減少した結合効果の原因である」と結論づけた他の研究を引用し続けている。米国特許第8,183,376及び8,461,171も参照のこと。
【0019】
これらの予想にもかかわらず、得られる二量体は、プロドラッグとしてはその有用性に適していないが、発明者らが最初に想定したものより非常に異なる適応症に適合しているという完全に予期しなかった特性を有していることが判明した。発明者らが予想した立体障害を示すことから離れた、ブプレノルフィンの部分は、その特徴的なオピエート(opiate)受容体薬理を維持していた。二量体は、胃腸環境の酵素代謝に耐性があることが判明した。それは自由塩基化などによる、変換(tampering)に対して高い耐性を備えている。経口投与の場合には、それは本質的に非吸収であり、全身循環に入らない。これらの思いがけない観察は、発明者らに、これらの特性、すなわち、GI管における末梢の鎮痛に有利であるという新たな適応症を想像させた。
【0020】
本発明の新規化合物は、疼痛と下痢の両方に対処するIBS−Dの効果的治療に対する長年の必要性に対処するものであり、内臓(結腸)過敏症を減少させ、この目的に利用される他の薬剤の欠点を有しておらず、慢性ベースで安全に処方可能である。従って、本発明は、とりわけ、内臓過敏症及び痛覚過敏が存在する場合の、IBS−D治療のための化合物の使用を含んでいる。化合物はまた、安全に腸通過時間を減少させるために、例えば、短腸症候群のような他の腸状態を治療するためのテデュグルチド(teduglutide)のような他の薬剤のアジュバントとしての用途を見出し得る。本発明の医薬組成物は、経口錠剤若しくはカプセル剤、持続放出経口錠剤若しくはカプセル剤、筋肉内若しくは皮下持続性(depot)注射、又は経皮パッチとして製剤化された式(I)のブプレノルフィン二量体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、補因子の存在下及び非存在下でCYP酵素に晒されたときのブプレノルフィン二量体の安定性を例証する棒グラフを提供する。
図2図2は、それぞれ室温及び指示期間にわたる140°Fにて水性条件、並びに酸性及び塩基性条件に対するブプレノルフィン二量体の安定性を示す棒グラフを提供する。
図3図3は、ブプレノルフィン二量体受容体結合実験−μ受容体の結果を提供する。
図4図4は、ブプレノルフィン二量体受容体結合実験−κ受容体の結果を提供する。
図5図5は、ブプレノルフィン二量体に関するμアゴニスト機能アッセイの結果を提供する。
図6図6は、ブプレノルフィン二量体に関するμアンタゴニスト機能アッセイの結果を提供する。
図7図7は、ブプレノルフィン及びブプレノルフィン二量体の経口及びIV生物学的利用能の結果を提供する。
図8図8及び図9は、実施例7の評価による雄CD−1マウスのストレス誘発性糞便排出量に関するグラフを提供する。
図9図8及び図9、実施例7の評価による雄CD−1マウスのストレス誘発性糞便排出量に関するグラフを提供する。
図10図10は、ブプレノルフィン二量体が用量依存様式で糞便排出量を減少させることを証明する。
図11図11は、実施例7による炎症後モデルにおける消化管運動に対するブプレノルフィン二量体の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の詳細な説明
本発明のブプレノルフィン二量体は、親のブプレノルフィンで特徴とするμ受容体部分的アゴニスト及びフルκ受容体アンタゴニスト活性特性を示す。複数の機能を有するように思われるので、κ受容体アンタゴニスト活性は、非常に重要である。本明細書に記載のμ受容体アゴニスト二量体はまた、κ受容体アンタゴニスト作用を有するので、腸運動のμ受容体アゴニスト減少は中程度であり、著しい便秘の可能性を低減させる。また、κ受容体アンタゴニスト作用は、オッディ括約筋の平滑筋組織に対する収縮性のμ受容体アゴニスト効果を妨げると考えられ、膵炎の可能性を回避する。動物及びヒトの研究では、ブプレノルフィンはまた、結腸及び皮膚過敏症並びに痛覚過敏を減少することが示されている。内臓過敏症はIBS−Dの病因の重要な構成要素であり、発明者らはブプレノルフィン二量体のκ受容体拮抗作用が症状の軽減に重要な役割を果たしていると考えている。発明者らは今、さらに動物モデルで、記載されたブプレノルフィン二量体が、ブプレノルフィン受容体薬理と非全身的吸収(すなわち、腸管からの吸収がない)をいずれも維持することによって、IBS−Dの慢性治療に適する一方で、実質的に乱用の可能性を排除することを証明した。この驚くべき発見は、本明細書に記載の二量体が、IBS−Dの治療に利用される利用可能な薬剤よりも優れているであろうことを示唆している。なぜなら、それは、(1)IBS−Dで特徴とする潜在的な内臓(腸)過敏症及びその結果の痛覚過敏に対処し、(2)エルクサドリン(eluxadoline)と関連する膵炎の可能性を回避し、(3)便秘のリスクなしで下痢を軽減させ;そして(4)ブプレノルフィン自体に起因するやっかいな全身及び中枢神経系の副作用伴うことなく、上記を実現するからである。
【0023】
上述したように、本発明は、2つのブプレノルフィン分子が、各ブプレノルフィン分子のフェノール(3−ヒドロキシ)官能基とエチレンリンカーとの間の共有結合を介して連結されているブプレノルフィンの二量体形態を提供する。エチレンリンカーは、二つのブプレノルフィン分子間のスペーサとして機能し、二つの嵩高いブプレノルフィン分子が、分子上の他の官能基間の共有結合、イオン結合又はファンデルワールス相互作用のいずれかを介して囲まれた環状立体構造を取ることを防止すると考えられる。
【0024】
驚くべきことに、2つの薬剤分子がエチレンスペーサを介して互いに結合され、スペーサがエーテル結合を介して各薬物分子のフェニル環に結合している場合、得られた二量体は化学的及び代謝的に安定であることが見出され、代謝酵素に曝露された場合には脱共役されない。さらに、驚くべきことであって、予想外のことは、二量体は親化合物の薬理学的活性を保持するが、経口投与時にごくわずかな全身曝露を有していることである。
【0025】
ブプレノルフィンとは対照的に、本明細書に記載のように調製されたブプレノルフィン二量体は、経口投与後に吸収されないことが見出され、さらに形式(form)だけでなく、指向性(direction)もオピオイドμ及びκ活性を保持し、すなわち、受容体親和性も活性も損なわれていない。さらに、本明細書に記載のブプレノルフィン二量体は、インビボ及びインビトロ実験での代謝に対して比較的安定である。ブプレノルフィン二量体は、静脈内注射後に、生きたマウスの肝臓への暴露した後でさえも代謝的に安定を示す。したがって、驚くべきことであって、予想外なことは、消化管吸収及び代謝不活性化の欠如によって顕在化した吸収特性を損失しているにもかかわらず、二量体のオピオイド機能は失われておらず、その胃腸オピオイドの効果は、経口投与後の運動性の低下及び抗下痢応答として顕在化された。下痢(排泄ペレット増加)を物理的及び心理的ストレスの組み合わせによって生じたマウスモデルにおいても、胃腸の効果は投与量に比例していた。結腸が炎症性発作(insult)によって増感された別のマウスモデル実験では、良好な応答が、急性期を超えて急性発作後3週間持続し、マウス結腸膜の過敏症及び痛覚過敏を減少させる上で二量体の効果の可能性を示している。
【0026】
さらに、ブプレノルフィン二量体は、選択的に、ブプレノルフィンのμ及びκ機能のみを保持しているが、δ機能は有意に除かれたことも見出された。換言すれば、ブプレノルフィン二量体は、ブプレノルフィンとは異なり、有意なδ活性を有さない、選択的なμ及びκ活性分子である。ブプレノルフィンダイマーの合成
【0027】
本明細書で提供されるブプレノルフィン二量体の合成は、有機溶媒中で(例えば、アセトニトリル、DMF、DMSO、NMP、DCM、THF、1,4−ジオキサンなど)、無機塩基の存在下(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム及び重炭酸ナトリウムなど)又は有機塩基の存在下(トリエチルアミン、ヒューニッヒ塩基、DMAP、ピリジンなど)、室温又は昇温状態にて、一般的なO−アルキル化反応によって進行させることができる。使用可能な適切なアルキル化剤は、ジヨード、ジブロモ、ジクロロ、ジトシレート、ジメシレート及びジトリフレート試薬(例えば、1,2−エチレンジトシレート、1,2−エチレンジメシラート)が含まれる。ブプレノルフィンの遊離塩基又は塩は、合成における出発物質として使用することができる。
二量体の医薬組成物−一般
【0028】
特定の実施形態において、本明細書中に提供されるのは、式(I)のブプレノルフィン二量体を含む医薬組成物である。医薬組成物は医薬的に許容し得る担体をさらに含み得る。実例となる医薬的に許容し得る担体及び配合物を以下に記載する。このような医薬組成物は、下痢型(diarrhea−predominant)IBSを治療するために使用され得る。
【0029】
理解されるように、二量体の医薬的に許容され得る塩は、本明細書中で考察されたいずれか又はすべての組成物及び処置方法において二量体の代わりに又は二量体に加えて使用されてもよい。従って、特定の実施形態において、二量体の医薬的に許容され得る塩(すなわち、任意の二量体のあらゆる医薬的に許容され得る塩)は本発明の方法で使用される。これらの塩は、例えば、化合物の最終的な単離及び精製中に現場で、又は精製された化合物をその塩基不含形態で、好適な有機又は無機酸と別々に反応させ、そして、こうして形成された塩を単離することによって調製され得る。いくつかの実施形態において、ブプレノルフィン二量体の医薬的に許容され得る塩は、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、又はp−トルエンスルホン酸を使用して調製される。本明細書中に記載した方法で使用される医薬的に許容され得る塩の更なる説明に関しては、例えばS.M.Berge et al,“Pharmaceutical Salts,”1977,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと(その全体を参照により本明細書中に援用する)。
【0030】
本発明のブプレノルフィン二量体は、非溶媒和形態、並びに水、エタノール及び同類のものなどの医薬的に許容される溶媒を用いた溶媒和形態で存在し得る。一般的に、溶媒和形態は本発明の目的のための非溶媒和形態と同等であると見なされる。具体的な実施形態において、二量体の溶媒和形態は水和物である。
【0031】
一般的に、塩形成は結果として生じる治療薬の貯蔵期限を改善し得る。適当な塩の合成は、結晶性であり、酸化しにくい及び扱いやすい生成物を提供し得る。安定した結晶性の化合物を提供する様々な塩が調製され得る。いくつかの例は、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、及びアスコルビン酸塩である。
【0032】
特定の具体的な実施形態において、斯かる医薬組成物は、経口錠剤又はカプセル剤、持続放出経口錠剤又はカプセル剤(硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤)、舌下錠又はフィルム、或いは持続放出舌下錠又はフィルムとして処方される。実例となる医薬的に許容し得る担体及び配合物を以下により詳細に記載する。治療の方法−一般
【0033】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、治療上有効な量の二量体の経口投与を含む、患者における下痢、疼痛及び腸過敏症及び痛覚過敏を低減することにより下痢型過敏性腸症候群の治療のための方法である。治療有効量は、統計学的に有意な数の患者においてかなりの有益な効果をもたらす量である。特定の実施形態において、患者は哺乳動物である。より具体的な実施形態において、患者はヒトである。ある特定の実施形態において、患者は、イヌ、ネコ、又はウマなどの家畜哺乳動物である。
医薬組成物、投薬、及び投与経路
【0034】
本明細書中に提供されたIBS−Dは、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、トローチ、丸薬、坐剤、経口懸濁剤、シロップ、経口ゲル、スプレー、溶液及び乳濁液などの従来の調製形態で経口的に対象に投与され得る。好適な配合物は、賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース又はデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又はクエン酸カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク又はラウリル硫酸ナトリウム)、着香料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン又はオレンジパウダー)、保存料(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン又はプロピルパラベン)、安定化剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム又は酢酸)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及びベースワックス(例えば、ココアバター、白色ワセリン又はポリエチレングリコール)などの従来の有機又は無機添加剤を使用した一般的に利用される方法によって調製され得る。
【0035】
患者に投与される本明細書に提供されるブプレノルフィン二量体の投与量は、かなり広範に変更可能であり、医療関係者の判断対象となり得る。投薬量は、対象の年齢、体重及び医学的状態、並びに投与タイプによって適切に変更され得る。一実施形態において、1日ごとに1つの用量が投与される。どんな場合でも、投与される本明細書中に提供した二量体の量は、活性成分の溶解性、使用される処方及び投与経路といった要因に依存する。医薬組成物中の本明細書に提供されるブプレノルフィン二量体の有効量は、好ましくは、所望の効果を発揮するレベルであり、好ましくは、例えば、経口投与用の単位用量において、約0.15mg/患者の体重kg〜7.2mg/患者の体重kg、より好ましくは、約0.7mg/患者の体重kg〜約3.0mg/患者の体重kg、さらに好ましくは、約1.5mg/患者の体重kgである。あるいは、約10mg〜500mg、好ましくは約50〜200mg、より好ましくは約100mgが、IBS−D患者に投与される。
【0036】
本明細書で提供されるブプレノルフィン二量体は、例えば、毎日1回、2回又は3回、好ましくは、1日1回、投与され得る。本明細書で提供される二量体は、便宜の理由で経口投与され得る。一実施形態では、経口投与された場合、本明細書で提供される二量体は、食事及び水と共に投与される。別の実施形態では、本明細書で提供される二量体は、水又はジュース中(例えば、リンゴジュース又はオレンジジュース)に分散され、懸濁液として経口投与される。
【0037】
代替的に、本明細書で提供されるブプレノルフィン二量体はまた、直腸又は他の経粘膜経路によって投与することができる。投与の様式は、医療関係者の裁量に任されている。
【0038】
一実施形態において、本明細書中で提供されるのは、追加の担体、賦形剤又は溶媒(vehicle)を有しない二量体を含有するカプセルである。
【0039】
別の実施形態において、本明細書で提供されるのは、有効量の該二量体と医薬的に許容される担体又は溶媒とを含む組成物であって、ここで、医薬的に許容される担体又は溶媒は、賦形剤、希釈剤、又はそれらの混合物を含み得る。
【0040】
経口組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤、液剤、トローチ剤及び懸濁液などの形態であり得る。組成物は、投与単位で毎日の用量、又は毎日の投与量に便利な割合を含有するように製剤化することができ、それは単一の錠剤又はカプセル又は液体の便利な量であってよい。一実施形態では、溶液は、塩酸塩などの水溶性塩から調製される。一般に、全ての組成物は、製薬化学において公知の方法に従って調製される。カプセルは、適当な担体又は希釈剤と、本明細書で提供される二量体とを混合し、カプセルに適当な量の混合物を充填することにより調製することができる。通常の担体及び希釈剤としては、限定されないが、不活性粉末物質、例えば、多くの異なる種類のデンプン、粉末セルロース、特に結晶性及び微結晶性セルロース、糖、例えば、フルクトース、マンニトール及びスクロース、穀物粉及び類似の食用粉末などを含む。
【0041】
錠剤は、直接圧縮によって、湿式造粒によって、又は乾式造粒によって、調製することができる。その製剤は、通常、希釈剤、結合剤、潤滑剤及び崩壊剤、並びに化合物を組み込む。典型的な希釈剤としては、例えば、様々なタイプのデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム又は硫酸塩、塩化ナトリウムのような無機塩及び粉砂糖を含む。粉末セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤結合剤は、例えば、デンプン、ゼラチン、及びラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖などの物質である。天然及び合成ゴムは、さらに便利であり、アラビアゴム、アルギン酸塩、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を含んでいる。ポリエチレングリコール、エチルセルロース及びワックスも結合剤として貢献し得る。
【0042】
潤滑剤は、錠剤及びパンチが染料にくっつくことを防ぐために、錠剤製剤に必要である場合がある。潤滑剤は、タルク、マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸及び硬化植物油のような滑りやすい固体から選択することができる。錠剤崩壊剤は、錠剤を破壊し、化合物を放出するために、濡れた場合に膨潤する物質である。それらは、デンプン、粘土、セルロース、アルギン及びガムを含む。より具体的には、例えば、トウモロコシ及びジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ及びカルボキシメチルセルロースが、ラウリル硫酸ナトリウムと同様に使用することができる。錠剤は、風味及びシーラント、又は錠剤の溶解特性を変更するためのフィルム形成保護剤として、砂糖で被覆することができる。組成物はまた、製剤中にマンニトールなどの物質を使用することによって、例えば、チュアブル錠として製剤化することができる。
【0043】
座薬として本明細書に提供される薬剤を投与することが所望される場合、典型的な塩基を使用され得る。カカオバターは、ワックスを添加することによって、わずかにその融点を上昇させるために修飾することができる伝統的な坐剤基剤である。特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性坐剤基剤は、広く使用されている。
【0044】
本明細書で提供される薬物の効果は、適切な製剤によって遅延又は延長することができる。例えば、二量体のゆっくりとした可溶性ペレットが調製され、錠剤若しくはカプセル剤中に、又は徐放性移植可能なデバイスとして組み込まれ得る。技術はまた、いくつかの異なる溶解速度のペレットを製造し、ペレットの混合物をカプセルに充填することも含む。錠剤又はカプセル剤は、予測可能な期間にわたって溶解に抵抗するフィルムで被覆され得る。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は、例示するために提供されるが、請求の範囲に記載されている発明を制限するものではない。
実施例1:合成
【0046】
ブプレノルフィン二量体は、以下に示されるように合成された。
【化3】
【0047】
ブプレノルフィンHCl塩(5.0g、10.68mmol、1当量)及び炭酸カリウム(42.73mmol、4当量)を三つ首丸底フラスコに入れ、続いて無水DMSO(50ml、10倍量)を入れた。混合物を60℃まで加熱し、そして、1,2−ジブロモエタン(9.2mL、106.8mmol、10当量)をゆっくり加えた。反応混合物を、60℃にて16時間撹拌し、次に、室温に冷まし、水で希釈し、そしてジクロロメタンで抽出した。複合化有機成分を鹹水で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4)、濾過し、そして減圧下で濃縮して粘性液体を得た。未精製の生成物を0〜5%のMeOH/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して黄色がかった白色の泡沫状固形物として4.2g(69%)の中間体1を得た。
【0048】
ブプレノルフィンHCl塩(1.74g、3.72mmol)及び炭酸カリウム(2.0g、14.87mmol、4当量)を三つ首丸底フラスコに入れ、続いて無水DMSO(10mL)を入れた。混合物を60℃まで加熱し、そして7mLの無水DMSO中に溶解した中間体1(3g、5.22mmol、1.4当量)を2時間にわたって滴下して加えた。反応混合物を、60℃にて16時間撹拌し、次に、室温に冷まし、水で希釈し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4)、濾過し、そして減圧下で濃縮して粘性液体を得た。未精製の生成物を0〜5%のMeOH/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して泡沫状固形物としてブプレノルフィン二量体−FB(フリー塩基)を得た(2.8g、77%)。
【0049】
5.5g(5.7mmol)のビ−コンジュゲート(ブプレノルフィン二量体−FB)を窒素下、室温にて50mLの酢酸エチル中で溶解した。エーテル中の2N HCl、3.43mL(6.9mmol、1.2当量)を室温にて滴下して加えた。反応混合物を室温にて更に1時間撹拌し、濾過して固形物を得た。固形物を、100mLの酢酸エチルによって更に洗浄し、減圧下で乾燥させて白色の固形物としてブプレノルフィン二量体(ビスHCl塩)(5.8g、98%)を供給した。1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ9.75(br,2H)、6.88(d,J=9.2Hz,2H)、6.67(d,J=9.2Hz,2H)、4.66(s,2H)、4.23−4.42(m,4H)、3.84−3.92(m,2H)、3.40(s,6H)、3.21−3.35(m,5H)、2.98−3.20(m,7H)、2.64−2.85(m,4H)、2.12−2.26(m,4H)、1.72−1.94(m,4H)、1.38−1.52(m,4H)、1.26(s,6H)、0.99(s,20H)、0.48−0.76(m,10H)、0.32−0.42(m,4H);MS:m/z962(M+1)+
実施例2 実例となる医薬組成物
【0050】
以下の組成物はブプレノルフィン二量体の経口錠剤に使用され得る。
【表1】
実施例3−アッセイ
インビトロアッセイ:ブプレノルフィン二量体の代謝安定性
【0051】
ヒト肝ミクロソーム(例えば、1mgタンパク質/mL)と二量体(例えば、1μΜ)のインキュベーションを、96ウェルプレート形式で示された終濃度にて、補因子であるNADPH産生系を伴って又はそれなしに、リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.4)、MgCl2(3mM)及びEDTA(1mM、pH7.4)を含む0.2mLのインキュベーション混合物(終量)中、37±1℃にて、Tecan Liquid Handling System(Tecan)又は同等物を使用して実施した。NADPH産生系は、NADP(1mM、pH7.4)、グルコース−6−ホスファート(5mM、pH7.4)及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(1ユニット/mL)から成った。二量体をメタノール水溶液(メタノール 0.5%のv/v、又はそれ以下)中に溶解した。反応を補因子の添加によって典型的に開始し、4つの指定した時点(例えば、最長120分)において等容積の停止剤(例えば、アセトニトリル、内部標準を含めて0.2mL)の添加によって停止した。ゼロ時間インキュベーションは、基質の損失パーセントを決定するための100%値としての役目を果たした。ゼロ時間サンプル(4連にてインキュベートした)を例外として、インキュベーションを三連で実施した。無補因子(NADPHなし)インキュベーションをゼロ時間及び最長の時点において実施した。サンプルを遠心分離(例えば、10℃にて920×g、10分間)にかけ、上清画分をLC−MS/MSによって分析した。試験系が代謝的に適格であるか否かを判断するために、ポジティブコントロールとして、マーカー基質(例えば、基質損失を観察するためのデキストロメトルファン)で置き換えたミクロソームと共に、追加のインキュベーションを実施した。
【0052】
上記サンプルをLC−MS/MSによって分析した。それぞれのインキュベーション溶液でのサンプルに関して分析を実施した。結果を実験のタイムコースにわたるピーク率の比較によって決定した(「親維持率(%)」として主に報告する)。
【0053】
データを、LIMS(Galileo、Thermo Fisher Scientific Inc.及び報告ツール、Crystal Reports,SAPを含む)、スプレッドシートコンピュータプログラムMicrosoft Excel(Microsoft Corp.)又は同等物で計算した。変化しない親化合物の量は、LIMS、Analyst Instrument Control and Data Processing Software(AB SCIEX)又は同等物を使用して(各インキュベーションにおける大体の基質残存パーセントを決定するために)検体/内部標準(IS)ピーク面積比に基づいて推定される。
【0054】
結果:図1に示される結果は、ブプレノルフィンの二量体がアッセイの継続期間中、ミクロソーム酵素の存在下で比較的安定していたことを示している。ミクロソーム酵素はブプレノルフィンなどの薬剤の代謝に主に関与する。該二量体は、補因子の有無に関わらずミクロソームの存在下で安定していた。通常、酵素は37℃のインキュベーション温度にて2時間を超えて安定ではないので、アッセイを2時間で終了した。
安定性アッセイ
【0055】
研究室ベースの研究の目的は、患者が該二量体からブプレノルフィンを取得し、その乱用抑止特性損ない得る容易さを評価することであった。
【0056】
これらの研究は、潜在的中毒者がふくらし粉、酸又は水中での簡単な加熱などの家庭用化学製品を使用して二量体を容易に切断できることを理解する助けとなった。ブプレノルフィン二量体の安定性を、未処理の水道水中、及び酸(1N HCl)又は塩基(5%の重炭酸ナトリウム水溶液)の存在下で室温にて評価した。該二量体はそれらの条件下で比較的安定しており、これらの条件ではブプレノルフィンを認識できるほどには分解しなかった。図2を参照のこと。
【0057】
結果:図2に示したように、ブプレノルフィン二量体は安定した状態を維持し、30分間もの間、極端なpH条件下にて室温であっても高い温度であっても分解してブプレノルフィンを放出することはなかった。
【0058】
これらの試験はまた、IBS−D患者及び健常者の両者で、その全長に沿ってpH勾配を呈する消化管内での二量体の安定性を理解する助けになる。pHは、胃の壁細胞からの塩酸の分泌による1から結腸の8までの範囲である。消化管の近位部が最も酸性であり、遠位端が最も酸性が弱い。
実施例4−受容体結合活性
【0059】
この実施例では、以下の受容体:μ−オピオイド受容体;κ−オピオイド受容体;及びδ−オピオイド受容体、に対する本明細書中に提供したブプレノルフィン二量体の結合を例証する。
ヒトμオピオイド受容体結合アッセイ
【0060】
ヒトμオピオイド受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(Perkin Elmer #RBHOMM 400UA)からの膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl2を含む50mMのTris、pH7.5)中で均質化した。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で300μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO(Pierce)、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより3.6nMに希釈した。プレミックスプレートとして知られている第二の96ウェル丸底ポリプロピレンプレートにおいて、60μLの6×化合物を60μLの3.6nM 3H−ナロキソンと組み合わせた。プレミックスプレートから、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて2時間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMicroscint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害を受けていないウェルと比較した。非特異的結合を、50μΜの非標識ナロキソンの存在下で測定した。該二量体の生物学的活性を図3に示す。
【0061】
結果:図3のグラフは、該二量体がオピオイドμ受容体に対して有意な親和性を有することを示す。10-8M(〜10ng)におけるブプレノルフィン二量体のオピオイドμ受容体親和性及びそのプロファイルは、ブプレノルフィンのものと同様であった。
ヒトκオピオイド受容体結合アッセイ
【0062】
ヒトκオピオイド受容体を発現するクローン化HEK−293細胞(Amersham Biosciences UK Ltd.6110558 200U)の膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl2を含む50mMのTris、pH7.5)中でホモジナイズした。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で300μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO(Pierce)、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより3.6nMに希釈した。プレミックスプレートとして知られている第二の96ウェル丸底ポリプロピレンプレートにおいて、60μLの6×化合物を60μLの3.6nM 3H−ジプレノルフィン(DPN)と組み合わせた。プレミックスプレートから、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて18時間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMicroscint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害を受けていないウェルと比較した。非特異的結合を、50μΜの非標識ナロキソンの存在下で測定した。ブプレノルフィン二量体の生物学的活性を図4に示す。
【0063】
結果:図4には、ブプレノルフィン単量体及び二量体のオピオイドκ受容体アゴニスト特性を記載する。ブプレノルフィンの単量体も二量体もκ受容体に対する親和性を失っていない。質的には、ブプレノルフィンと同様に、オピオイドκ受容体へのブプレノルフィン二量体の結合は、濃度に従って増強される。約1μgでは、該二量体のオピオイドκ受容体親和性のプロファイルはブプレノルフィンのものと同様であったと評価される。
ヒトδオピオイド受容体結合アッセイ
【0064】
ヒトδサブタイプ2オピオイド受容体への三重水素化ナルトリンドールの結合を妨げる化合物の能力を試験するために該アッセイを設計した。ヒトδサブタイプ2オピオイド受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(Perkin Elmer#RBHODM 400UA)からの膜を、ガラス製の組織グラインダー、テフロン(登録商標)乳棒、及びSteadfast Stirrer(Fisher Scientific)を使用して、アッセイバッファー(5mMのMgCl2を含む50mMのTris、pH7.5)中で均質化した。膜の濃度を、アッセイプレートである96ウェル丸底ポリプロピレンプレート内で100μg/mLに調整した。試験すべき化合物を、DMSO、10mM中で可溶化し、次に、アッセイバッファーにより6×所望の終濃度に希釈した。リガンドである3H−ナルトリンドール(natrindole)(Perkin Elmer#NET−1065)もまた、アッセイバッファーで6nMに希釈した。3H−ナルトリンドール(natrindole)のアリコート(50μL)を、二連で、50μLを膜の入ったアッセイプレートに移した。アッセイプレートを室温にて30分間インキュベートした。GF/C 96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)を0.3%のポリエチレンイミンによって30分間前処理した。アッセイプレートの内容物を、Packard Filtermate Harvesterを使用してフィルタープレートを通して濾過し、4℃にて0.9%の生理的食塩水で3回洗浄した。フィルタープレートを乾燥させ、下側を閉じ、そしてそれぞれのウェルに30μLのMictoS=scint20(Packard #6013621)を加えた。Topcount−NXT Microplate Scintillation Counter(Packard)を使用して、2.9〜35KeVの範囲で放出されたエネルギーを計測した。結果を、最大結合量である阻害剤を含んでいないウェルと比較した。非特異的結合を、1μΜの非標識ナルトリンドール(Natrindole)の存在下で測定した。ブプレノルフィン二量体の生物学的活性を以下の表2に示す。
【表2】
【0065】
μ及びκオピオイド受容体と比較して、二量体はδ受容体に対して低親和性であった。
実施例5−受容体刺激活性
【0066】
この実施例は、μオピオイド受容体が介在のシグナル伝達を刺激する本明細書に提供されるブプレノルフィン二量体化合物の能力を示している。
μオピオイド受容体アゴニスト及びアンタゴニスト機能アッセイ:ヒトμ受容体発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO−hMOR)細胞膜における[35S]GTPγS結合アッセイ
【0067】
簡単に述べると、Receptor Biology Inc.(Baltimore Md)からCHO−hMOR細胞膜を購入した。約10mg/mlの膜タンパク質を10mMのTRIS−HCl pH7.2、2mMのEDTA、10%のスクロース中に懸濁し、そして懸濁液を氷上に保持した。1mLの膜を、50mMのHEPES、pH7.6、5mMのMgCl2、100mMのNaCl、1mMのDTT及び1mMのEDTAを含んでいる15mLの冷たい結合アッセイバッファーに加えた。膜懸濁液をポリトロンで均質化し、そして3000rpmにて10分間遠心分離した。次に、上清を18,000rpmにて20分間遠心分離した。ペレットを、ポリトロンを用いて10mLのアッセイバッファー中に再懸濁した。
【0068】
膜を、アッセイバッファー中でコムギ胚芽凝集素を用いてコートしたSPAビーズ(Amersham)と共に25℃にて45分間プレインキュベートした。次に、膜(10μg/ml)と結合させたSPAビーズ(5mg/ml)をアッセイバッファー中で0.5nMの[35S]GTPγSと共にインキュベートした。基礎結合は添加した試験化合物の不存在下で起こる結合であり;この非調節結合を100%とみなし、アゴニストで刺激すれば、結合はこの値を有意に超えるレベルまで上昇する。さまざまな濃度の受容体アゴニストSNC80を使用して[35S]GTPγS結合を刺激した。基礎結合及び非特異的結合の両方をアゴニストの不存在下で試験した;非特異的結合の決定では10μΜの非標識GTPγSを伴った。
【0069】
標準としてD−Phe−Cys−Tyr−D−Trp−Orn−Thr−Pen−Thr−NH2(CTOP)を使用したアゴニスト刺激GTPγS結合を阻害する能力を評価することによってアンタゴニストとしての機能に関してブプレノルフィン二量体を試験した。放射能をPackard Top Countで定量化した。以下のパラメーターを計算した: %刺激=[(試験化合物のcpm−非特異的cpm)/(基礎cpm−非特異的cpm)]*100 %阻害=(1μΜのSNC80による%刺激−試験化合物の存在下での1μΜのSNC80による%刺激)*100/(1μΜのSNC80による%刺激−100)
【0070】
GraphPad Prismを使用してEC50を計算した。試験した化合物に関するグラフを図5及び6に示す。
【0071】
結果:図5に示したデータは、二量体が強力なμアゴニストであることを示す。該結果はまた、10-6M(〜1μg)における二量体のオピオイドμ受容体活性がブプレノルフィンのものと同様であることを示す。図6のデータは、二量体がμ−アンタゴニストとして機能しないことを示す。
実施例6 インビボ薬物動態試験
【0072】
該動物薬物動態試験はジョンホプキンス医学研究所にて実施した。使用した動物は、CD−1マウス(約35グラム、1時点あたりn=3)であった。試験した薬剤は、ブプレノルフィン及びブプレノルフィン二量体であった。10mg/kgをIV及び経口強制飼養により投与した。血液を、0、30分、並びに1、2、6及び24時間の時点にて採取した。血漿を収集した後に、薬剤に関して血液サンプルを以下のようにLC/MS/MSによって分析した:
【0073】
検量線を、いずれかの被験薬(10〜25000nM)で添加したマウス血漿で作成した。血漿サンプル(50μL)を、内部標準としてロサルタン又はブプレノルフィン−d4を含んでいる300μLのアセトニトリルで抽出した。抽出物を16000×gで4℃にて5分間遠心分離した。上清(250μL)を新しいチューブに移し、N2下、45℃にて1時間乾燥させた。サンプルを、100μLの30%のアセトニトリルで再構成し、ボルテックス処理し、そして遠心分離した。上清(90μL)をLCバイアルに移し、そして10μLをLC/MSに注入した。図7を参照のこと。
【0074】
結果:図7は、10mgの経口及びIV投与後の該ブプレノルフィン二量体の血漿濃度プロファイルを示す。グラフは、経口及びIV投与後の血中濃度曲線下面積の比として計測される絶対生物学的利用能が該二量体に関して1%以下であったのに対して、単量体のものが約30%であったことを示す。
実施例7 インビボアッセイ:ストレス誘発性糞便排出量
【0075】
試験に使用した動物は雄CD−1マウス、平均体重約30〜35gであり、1投与群当たり平均5匹のマウスである。一般的に、マウスは、飼料及び水を自由に摂取できるポリカーボネートケージに1ケージあたり3匹を収容するコロニーハウスに収容した。実験日に、試験化合物の胃内投与後に、ワイヤーメッシュ製の底を備えた幅20cm×奥行20cm×高さ15cmのケージ内に個別にマウスを収容する処置室に、それらを移した。試験中、動物には水を自由摂取させた。ワイヤーメッシュ製の底を備えた背の高いケージが、マウスにストレスを誘発する新しい環境を作り出す。排出されたペレット数を1時間単位で測定した。結果を図8〜10に示す。
【0076】
結果:図8及び9は、該ブプレノルフィン二量体の経口投与がプラセボ(溶媒)に対してマウスの糞便排出量を有意に低減したことを示す。調査した用量は、1kgあたり25〜50mgであった。結果は、異常な感受性が示唆される糞便排出量ゼロの動物を除外した場合でさえ変化しなかった。図10は、用量に従ってマウスの糞便排出量が減少することを示し、それは本当の薬理効果を示している。
インビボアッセイ:炎症後に変化したGI通過時間に対する効果
【0077】
この試験を、炎症後に起こる胃腸の過敏症に対する試験物質の効果を評価するために設計した。炎症後に変化したGI通過を、新たに開封したマスタードのオイル(0.5%のエタノール中、95%の純粋なイソチオシアン酸アリル)を注射することによって雄CD−1マウスで誘発した。GIの運動性に対するストレスの効果は、もはや炎症はないが、GI管が過敏な状態で残っている時である、3〜4週間後に評価される。試験物質の効果を、経口投与(胃内強制飼養)し、ワイヤーメッシュ製の底を備えたケージ(幅20cm×奥行20cm×高さ15cm)内にそれらを収容することによって環境的ストレスに動物を晒した後に評価した。試験中、動物には水を自由摂取させた。ワイヤーメッシュ製の底を備えた背の高いケージが、マウスにストレスを誘発する新しい環境を作り出す。排出されたペレットの数を1時間〜2時間単位で測定した。図11を参照のこと。
【0078】
結果:図11に示したように、1kgあたり25mgのブプレノルフィン二量体は、炎症後モデルにおける糞便排出量によって評価される、消化管運動を有意に減少させる。グラフはまた、マスタードオイルで処理しなかったマウスの糞便排出量の増加は一過性であり、1時間を超えて持続しかったことを示している。マスタードオイル処理動物における糞便排出量の増加は、2時間の時点でさえ持続した。該二量体は、2時間の時点でさえ消化管運動を制御し続け、結果は統計的に有意であった。
【0079】
本明細書中に記載した実施例及び実施形態が説明の目的のみのものであり、その範囲内での様々な修飾又は変更が当業者に対して示唆され、そしてそれは本出願の要旨及び範囲内、並びに添付の請求項の範囲内に含まれるべきであることは、理解される。先の出願と本願との間に争いがある限り、あらゆる矛盾事項が本願に有利に解決されるべきである。本明細書中に引用したすべての刊行物及び特許は、あらゆる目的のためにその全体を参照によって本明細書中に援用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11