特許第6568164号(P6568164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568164
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】産業機器に取り付けられる電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20190819BHJP
   F16J 15/10 20060101ALN20190819BHJP
【FI】
   H05K5/06 D
   !F16J15/10 S
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-155709(P2017-155709)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-36590(P2019-36590A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年10月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 博之
(72)【発明者】
【氏名】岡村 秀樹
【審査官】 鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−070378(JP,U)
【文献】 特開平10−032390(JP,A)
【文献】 特開2008−082994(JP,A)
【文献】 特開2013−65245(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0113167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
F16J 15/10
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を有し、産業機器に取り付けられる電子機器であって、
開口部を有するケーシングと、
前記ケーシングの開口部を閉塞して、前記ケーシングとの間に前記電子部品を収容する収容部を形成するリアカバーと、
前記リアカバーと前記産業機器との間をシールする外側シール部と、前記リアカバーと前記ケーシングとの間をシールする内側シール部とが一体に形成されたパッキンと、
を有し、
前記外側シール部は、前記内側シール部との連結部から延びる本体部と、前記本体部よりも剛性が低い低剛性部と、を有し、
前記低剛性部は、前記パッキンの前記本体部の前記産業機器側の面、または、前記パッキンの前記本体部の前記産業機器側と反対側の面に設けられている産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記パッキンは、前記リアカバーの縁部の外面と内面とを覆うように、断面がΠ字状に形成される、産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記パッキンは、前記リアカバーの縁に沿って全周にわたって設けられる、産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記外側シール部は、前記本体部から前記産業機器に向かって突出して形成される突出部を有し、
前記低剛性部は、前記突出部である、産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記外側シール部は、前記本体部から前記リアカバーに向かって突出して形成される突出部を有し、
前記低剛性部は、前記突出部である、産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項6】
請求項またはに記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記突出部は、前記リアカバーの縁に沿って全周にわたって連続して形成される、産業機器に取り付けられる電子機器。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の産業機器に取り付けられる電子機器であって、
前記リアカバーと部材とを締結する締結部材を有し、
前記外側シール部は、前記リアカバーから外部に露出している前記締結部材の頭部を覆うように設けられる、産業機器に取り付けられる電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を有し、産業機器に取り付けられる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、保護パネルと上ケースとの間、および、保護パネルと下ケースとの間に、パッキンが設けられている表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−191193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、表示装置と、表示装置が取り付けられる部材との間にシールが設けられていないため、表示装置の部材に取り付けられる側の面に別途パッキンを設ける必要があり、作業が煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、産業機器に取り付けられる際に、作業を簡略化することができる産業機器に取り付けられる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、電子部品を有し、産業機器に取り付けられる電子機器であって、開口部を有するケーシングと、前記ケーシングの開口部を閉塞して、前記ケーシングとの間に前記電子部品を収容する収容部を形成するリアカバーと、前記リアカバーと前記産業機器との間をシールする外側シール部と、前記リアカバーと前記ケーシングとの間をシールする内側シール部とが一体に形成されたパッキンと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器が産業機器に取り付けられる際の作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器の模式背面図である。
図2】電子機器を部材に取り付けた状態の図である。
図3】電子機器の部分断面模式図である。
図4】電子機器の背面の部分拡大斜視図である。
図5】電子機器の部分断面模式図である。
図6】電子機器の部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
[電子機器の構成]
図1は、電子機器10の模式背面図である。図2は、電子機器10を産業機器12に取り付けた状態の図である。図3は、電子機器10の部分断面模式図である。図4は、電子機器10の背面の部分拡大斜視図である。
【0010】
本実施の形態の電子機器10は、図2に示すように、産業機器12のハウジング13の開口部14に、電子機器10の一部が挿入された状態で、その四隅がハウジング13とねじ16により締結されることにより固定される。
【0011】
電子機器10は、ケーシング18、電子部品20、および、リアカバー22を有している。ケーシング18は、開口部24を有している。開口部24は、リアカバー22により閉塞されている。ケーシング18とリアカバー22との間に収容部26が形成され、収容部26に電子部品20が収容されている。
【0012】
リアカバー22は、その外周にフランジ28を有している。フランジ28は、縁部29を構成している。フランジ28には、皿ねじ30が設けられている。皿ねじ30の頭部は、フランジ28(リアカバー22)から外部に露出している。皿ねじ30は、リアカバー22とケーシング18とを締結する。皿ねじ30は、締結部材32を構成する。なお、皿ねじ30は、リアカバー22とケーシング18とを締結するものでなくともよい。例えば、皿ねじ30は、リアカバー22と、図示しないコネクタ等の部材とを締結するものであってもよい。また、リアカバー22とケーシング18とは、フランジ28に設けられた皿ねじ30により締結されなくともよい。例えば、リアカバー22とケーシング18とは、リアカバー22の中央部分に設けられた皿ねじ等の締結部材によって締結されていてもよい。
【0013】
フランジ28には、フランジ28の全周にわたってパッキン34が設けられている。パッキン34は、ゴム等の弾性部材により形成されている。パッキン34は、電子機器10が産業機器12のハウジング13に取り付けられた状態で、リアカバー22のフランジ28とハウジング13との間をシールする外側シール部36と、フランジ28とケーシング18との間をシールする内側シール部38とを有する。外側シール部36の外周側と、内側シール部38の外周側とは、連結シール部40により連結されていて、外側シール部36、内側シール部38および連結シール部40は、一体に形成されている。これにより、パッキン34は、その厚さ方向の断面がΠ字状(またはC字状、またはU字状、またはコ字状)に形成されている。
【0014】
外側シール部36は、フランジ28の産業機器12のハウジング13と対向する側の外面28aの少なくとも一部を覆うように設けられ、内側シール部38は、フランジ28のケーシング18と対向する側の内面28bの少なくとも一部を覆うように設けられている。また、外側シール部36は、フランジ28から外部に露出している皿ねじ30の頭部を覆うように設けられている。外側シール部36は、ねじ16が貫通する貫通孔42を有している。ねじ16は、ケーシング18に形成された図示しないねじ穴に螺合している。
【0015】
パッキン34の外形はフレーム状であって、内周側は外側シール部36と内側シール部38との間が開口しており、外周側は外側シール部36と内側シール部38との間が連結シール部40により閉じられている。リアカバー22のフランジ28に取り付けられていない状態のパッキン34は、その外周の形状が、フランジ28の外周の形状と略同形状、または、若干小さく形成されている。パッキン34をフランジ28に取り付けるときには、パッキン34を伸ばしながら、外側シール部36と内側シール部38との間にフランジ28を挿入して、フランジ28の全周にわたってパッキン34に嵌めこむ。
【0016】
外側シール部36は、連結シール部40から内周側に向かって延びて形成される本体部44と、本体部44から産業機器12のハウジング13側に向かって突出して形成される突出部46とを有している。突出部46は、リアカバー22のフランジ28の外周形状に沿って延びるように形成されている。突出部46は、外周側から順に、第1突出部46a、第2突出部46bおよび第3突出部46cを有している。第1突出部46a、第2突出部46bおよび第3突出部46cは、それぞれ、パッキン34を厚さ方向に切断した状態(図3に示す状態)で、その断面が略三角形状に形成されている。なお、突出部46は、第1突出部46a、第2突出部46bおよび第3突出部46cの3本に限らず、本数は特に限定しない。また、第1突出部46a、第2突出部46bおよび第3突出部46cの断面は、略三角形状に限らず、四角形状であってもよい。
【0017】
電子機器10が産業機器12に取り付けられていない状態で、突出部46は、少なくともその先端が、ケーシング18の背面側の面18aよりも突出するように形成されている。第1突出部46aおよび第3突出部46cは、リアカバー22のフランジ28の外周形状に沿って、全周にわたって連続して形成されている。第2突出部46bは、貫通孔42の部分で一部連続していないものの、フランジ28の外周形状に沿って、略全周にわたって形成されている。パッキン34を厚さ方向に切断した状態(図3に示す状態)で、第1突出部46a、第2突出部46bおよび第3突出部46cの幅は、本体部44の幅に比べて狭い。そのため、突出部46と産業機器12のハウジング13との接触面積が小さいため、ハウジング13からフランジ28に向かう方向の力に対して、突出部46の剛性は、本体部44の剛性よりも低くなる。突出部46を設けたことにより、ハウジング13からフランジ28に向かう方向の力に対する外側シール部36の剛性を全体として低減することができ、内側シール部38の剛性よりも外側シール部36の剛性を低くすることができる。なお、突出部46は、低剛性部48を構成している。
【0018】
ケーシング18には、背面側に突出して形成されるシール当接部50が形成されている。内側シール部38は、リアカバー22がケーシング18に固定されるときに、シール当接部50に押圧される。リアカバー22がケーシング18に固定されると、内側シール部38が、リアカバー22のフランジ28とシール当接部50との間で押し潰されて、フランジ28とシール当接部50の両者に密着することにより、リアカバー22とケーシング18との間のシール性を確保することができる。
【0019】
本実施の形態の電子機器10は、その四隅が産業機器12のハウジング13にねじ16により固定される。そのため、電子機器10のねじ16とねじ16との間が湾曲し、リアカバー22のフランジ28の一部が、ハウジング13から浮いた状態となる場合がある。外側シール部36の突出部46は、本体部44よりも剛性が低いため、ねじ16で、電子機器10をハウジング13に固定するときに、ねじ16付近の突出部46が押しつぶされて大きく変形し、ねじ16を押し込むことが可能となる。一方、ねじ16とねじ16との間の突出部46は、ねじ16付近の突出部46に比べて変形量が少ない。これにより、リアカバー22のフランジ28の一部がハウジング13から浮いた状態であっても、外側シール部36はフランジ28に密着することが可能となる。すなわち、外側シール部36は、電子機器10と産業機器12との間の隙間に沿った形状に変形することができ、リアカバー22のフランジ28とハウジング13の両者に密着し、リアカバー22と産業機器12との間のシール性を確保することができる。
【0020】
なお、上記では、突出部46は、本体部44からハウジング13側に向かって突出して形成されるようにしていたが、突出部46は、本体部44からフランジ28側に向かって突出して形成されるようにしてもよい。
【0021】
[作用効果]
本実施の形態の電子機器10のように、産業機器12に取り付けられる場合、電子機器10の内部に液体等が浸入することを防ぐための内側シール部と、電子機器10と産業機器12のハウジング13との間から産業機器12の内部に液体等が浸入することを防ぐための外側シール部が必要となる。従来では、内側シール部と外側シール部とを別体に構成しているため、電子機器10の組立作業が煩雑となっていた。
【0022】
そこで、本実施の形態では、リアカバー22のフランジ28とハウジング13との間をシールする外側シール部36と、フランジ28とケーシング18との間をシールする内側シール部38とを一体に形成してパッキン34とした。これにより、1部材のパッキン34によって、電子機器10の内部に液体等が浸入することを防ぐとともに、電子機器10とハウジング13との間から産業機器12の内部に液体等が浸入することを防ぐことができる。よって、電子機器10の組立作業の簡略化を図ることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、リアカバー22のフランジ28の外面28aと内面28bとを覆うように、パッキン34を、厚さ方向の断面がΠ字状になるように形成する。これにより、パッキン34をフランジ28の外周側から嵌めこんで、リアカバー22に装着することができる。
【0024】
さらに、本実施の形態では、パッキン34をリアカバー22のフランジ28に外周形状に沿って全周にわたって設ける。これにより、フランジ28とケーシング18との間を、全周にわたってシールすることができるとともに、フランジ28と産業機器12のハウジング13との間を、全周にわたってシールすることができる。
【0025】
前述のように、電子機器10のねじ16とねじ16との間が湾曲し、リアカバー22のフランジ28の一部が、産業機器12のハウジング13から浮いた状態となる場合がある。そのため、外側シール部36を厚く形成することにより、フランジ28のハウジング13から浮いた部分を、外側シール部36で密閉する必要がある。しかし、外側シール部36を厚く形成すると、ねじ16を押し込むことができるように、外側シール部36は比較的剛性を低くする必要がある。一方で、パッキン34は、外側シール部36と内側シール部38との間にリアカバー22のフランジ28が挿入されて、フランジ28の全周にわたって嵌め込まれるため、パッキン34自体の形状を保てるように、全体の剛性はある程度確保されている必要がある。
【0026】
そこで、本実施の形態では、外側シール部36の産業機器12のハウジング13と接触する側を、ハウジング13からリアカバー22に向かう方向の力に対して、パッキン34の他の部分よりも剛性が低くなるように形成する。これにより、外側シール部36を厚く形成しても、外側シール部36は、フランジ28とハウジング13との間の隙間に沿った形状に変形することができ、リアカバー22とハウジング13との間のシール性を確保することができる。また、パッキン34は全体としては、剛性を確保することができるため、パッキン34の形状を保つことができる。
【0027】
さらに、本実施の形態では、外側シール部36は、連結シール部40から内周側に延びる本体部44と、本体部44から産業機器12のハウジング13に向かって突出し、リアカバー22のフランジ28の外周形状に沿って延びるように形成される突出部46とを有する。これにより、外側シール部36と内側シール部38の材料を変えることなく、ハウジング13からリアカバー22に向かう方向の力に対して、外側シール部36の剛性を低くできる。
【0028】
また、本実施の形態では、突出部46を、リアカバー22のフランジ28の外周形状に沿って、全周にわたって形成した。これにより、リアカバー22と産業機器12のハウジング13との間からの液体等の浸入を抑制することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、外側シール部36を、リアカバー22に設けられた皿ねじ30の頭部を覆うように設けた。これにより、皿ねじ30のねじ穴から、電子機器10の内部に液体等が浸入することを抑制することができる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
[パッキンの構成]
図5は、電子機器10の部分断面模式図である。パッキン34は、第1の実施の形態と同様に、電子機器10が産業機器12に取り付けられた状態で、リアカバー22のフランジ28と産業機器12のハウジング13との間をシールする外側シール部36と、フランジ28とケーシング18との間をシールする内側シール部38とを有する。外側シール部36の外周側と、内側シール部38の外周側とは、連結シール部40により連結されて、外側シール部36、内側シール部38および連結シール部40は、一体に形成されている。
【0031】
外側シール部36は、連結シール部40から内周側に向かって延びて形成される本体部44と、本体部44からリアカバー22のフランジ28側に向かって突出して形成される突出部52とを有している。電子機器10が産業機器12に取り付けられていない状態で、突出部52により本体部44はフランジ28から離間し、本体部44は、少なくともその一部がケーシング18の背面側の面18aよりも突出するように形成されている。なお、本体部44がフランジ28から離間していればよく、突出部52の形状は特に限定しない。突出部52は、リアカバー22のフランジ28の外周形状に沿って、全周にわたって連続して形成されている。
【0032】
パッキン34を厚さ方向に切断した状態(図5に示す状態)で、突出部52の幅は、本体部44の幅に比べて狭い。そのため、突出部52とフランジ28との接触面積が小さく、産業機器12のハウジング13からフランジ28に向かう方向の力に対して、突出部52の剛性は、本体部44の剛性よりも低くなる。突出部52を設けたことにより、ハウジング13からリアカバー22に向かう方向の力に対する外側シール部36の剛性を全体として低減することができ、内側シール部38の剛性よりも外側シール部36の剛性を低くすることができる。なお、突出部52は、低剛性部48を構成している。
【0033】
外側シール部36の突出部52は、本体部44よりも剛性が低いため、ねじ16で、電子機器10を産業機器12のハウジング13に固定するときに、ねじ16付近の突出部52が押しつぶされて大きく変形し、ねじ16を押し込むことが可能となる。一方、ねじ16とねじ16との間の突出部52は、ねじ16付近の突出部52に比べて変形量が少ない。これにより、リアカバー22のフランジ28の一部がハウジング13から浮いた状態であっても、外側シール部36はフランジ28に密着することが可能となる。すなわち、外側シール部36は、電子機器10と産業機器12との間の隙間に沿った形状に変形することができ、リアカバー22のフランジ28とハウジング13の両者に密着し、リアカバー22と産業機器12との間のシール性を確保することができる。
【0034】
[作用効果]
本実施の形態では、外側シール部36は、連結シール部40から内周側に延びる本体部44と、本体部44からリアカバー22のフランジ28に向かって突出する突出部52と、を有する。これにより、外側シール部36と内側シール部38の材料を変えることなく、産業機器12からリアカバー22に向かう方向の力に対して、外側シール部36の剛性を低くできる。
【0035】
〔第3の実施の形態〕
[パッキンの構成]
図6は、電子機器10の部分断面模式図である。パッキン34は、第1の実施の形態と同様に、電子機器10が産業機器12に取り付けられた状態で、リアカバー22のフランジ28と産業機器12のハウジング13との間をシールする外側シール部36と、フランジ28とケーシング18との間をシールする内側シール部38とを有する。外側シール部36の外周側と、内側シール部38の外周側とは、連結シール部40により連結されて、外側シール部36、内側シール部38および連結シール部40は、一体に形成されている。
【0036】
外側シール部36は、そのリアカバー22のフランジ28側の面の少なくとも一部が、フランジ28から離間するように形成され、外側シール部36とフランジ28との間に空隙を有する。外側シール部36は、少なくともその一部がケーシング18の背面側の面18aよりも突出するように形成されている。
【0037】
外側シール部36とフランジ28との間に空隙があるため、外側シール部36が全体的にフランジ28と当接している場合に比べて、外側シール部36は変形しやすくなる。ねじ16で、電子機器10を産業機器12のハウジング13に固定するときに、ねじ16付近の外側シール部36が押しつぶされて大きく変形し、ねじ16を押し込むことが可能となる。一方、ねじ16とねじ16との間の外側シール部36は、ねじ16付近の外側シール部36に比べて変形量が少ない。これにより、リアカバー22のフランジ28の一部がハウジング13から浮いた状態であっても、外側シール部36はフランジ28に密着することが可能となる。すなわち、外側シール部36は、電子機器10と産業機器12との間の隙間に沿った形状に変形することができ、リアカバー22のフランジ28とハウジング13の両者に密着し、リアカバー22と産業機器12との間のシール性を確保することができる。
【0038】
[作用効果]
本実施の形態では、外側シール部36を、リアカバー22のフランジ28との間に空隙を有するように形成した。外側シール部36が全体的にフランジ28と当接している場合に比べて、外側シール部36は変形しやすくなる。これにより、外側シール部36と内側シール部38の材料を変えることなく、産業機器12からリアカバー22に向かう方向の力に対して、外側シール部36の剛性を低くできる。
【0039】
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0040】
電子部品(20)を有し、産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、開口部(24)を有するケーシング(18)と、ケーシング(18)の開口部(24)を閉塞して、ケーシング(18)との間に電子部品(20)を収容する収容部(26)を形成するリアカバー(22)と、リアカバー(22)と産業機器(12)との間をシールする外側シール部(36)と、リアカバー(22)とケーシング(18)との間をシールする内側シール部(38)とが一体に形成されたパッキン(34)と、を有する。これにより、電子機器(10)の組立作業の簡略化を図ることができる。
【0041】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、パッキン(34)は、リアカバー(22)の縁部(29)の外面と内面とを覆うように、断面がΠ字状に形成されてもよい。これにより、パッキン(34)をリアカバー(22)の縁部(29)の外周側から嵌めこんで、リアカバー(22)に装着することができる。
【0042】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、パッキン(34)は、リアカバー(22)の縁に沿って全周にわたって設けられてもよい。これにより、リアカバー(22)とケーシング(18)との間を、全周にわたってシールすることができるとともに、リアカバー(22)と産業機器(12)との間を、全周にわたってシールすることができる。
【0043】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、外側シール部(36)は、内側シール部(38)との連結部から延びる本体部(44)と、本体部(44)よりも剛性が低い低剛性部(48)と、を有してもよい。これにより、外側シール部(36)を厚く形成しても、外側シール部(36)は、リアカバー(22)と産業機器(12)との間の隙間に沿った形状に変形することができ、リアカバー(22)と産業機器(12)との間のシール性を確保することができる。また、パッキン(34)は全体としては、剛性を確保することができるため、パッキン(34)の形状を保つことができる。
【0044】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、外側シール部(36)は、本体部(44)から産業機器(12)に向かって突出して形成される突出部(46)を有し、低剛性部(48)は、突出部(46)であってもよい。これにより、外側シール部(36)と内側シール部(38)の材料を変えることなく、産業機器(12)からリアカバー(22)に向かう方向の力に対して、外側シール部(36)の剛性を低くできる。
【0045】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、外側シール部(36)は、本体部(44)からリアカバー(22)に向かって突出して形成される突出部(52)を有し、低剛性部(48)は、突出部(52)であってもよい。これにより、外側シール部(36)と内側シール部(38)の材料を変えることなく、産業機器(12)からリアカバー(22)に向かう方向の力に対して、外側シール部(36)の剛性を低くできる。
【0046】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、突出部(46、52)は、リアカバー(22)の縁に沿って全周にわたって連続して形成されてもよい。これにより、リアカバー(22)と産業機器(12)との間からの液体等の浸入を抑制することができる。
【0047】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、外側シール部(36)は、リアカバー(22)との間に空隙を有してもよい。これにより、外側シール部(36)と内側シール部(38)の材料を変えることなく、産業機器(12)からリアカバー(22)に向かう方向の力に対して、外側シール部(36)の剛性を低くできる。
【0048】
上記の産業機器(12)に取り付けられる電子機器(10)であって、リアカバー(22)と部材とを締結する締結部材(32)を有し、外側シール部(36)は、リアカバー(22)から外部に露出している締結部材(32)の頭部を覆うように設けられてもよい。これにより、締結部材(32)の挿入孔から、産業機器(12)の内部に液体等が浸入することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…電子機器 18…ケーシング
20…電子部品 22…リアカバー
24…開口部 26…収容部
28a…外面 28b…内面
29…縁部 32…締結部材
34…パッキン 36…外側シール部
38…内側シール部 44…本体部
46、52…突出部 48…低剛性部
図1
図2
図3
図4
図5
図6