(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記環境情報に含まれるパラメータについての閾値を設定し、前記収集部が収集した環境情報に含まれるパラメータの値が前記設定した閾値を超えているか否かに基づいて、前記複数の領域それぞれについての環境の状態を判定する請求項1に記載の管理装置。
前記表示制御部は、前記閾値を段階的に複数設定することにより、前記複数の領域それぞれについての環境の状態を段階的に判定し、判定された状態が何れの段階であるかに応じて異なる態様で前記環境の状態の表示をする請求項2に記載の管理装置。
前記判定された状態が何れの段階であるかに応じて異なる態様で表示するとは、前記判定された状態が何れの段階であるかに応じて異なる色を用いて表示することである請求項3に記載の管理装置。
前記表示制御部は、1つの前記領域について複数の管理対象装置についての複数の環境情報を収集した場合に、収集した複数の環境情報に含まれるパラメータの値のなかで最も高い値に基づいて前記判定を行う請求項2から請求項4までの何れか1項に記載の管理装置。
前記表示制御部が判定した複数の領域それぞれについての環境の状態に基づいて、前記管理対象装置がおかれている環境の状態を変化させる環境装置の稼動状態を制御する第1稼動状態制御部を更に備える請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の管理装置。
前記表示制御部が判定した複数の領域それぞれについての環境の状態に基づいて、前記管理対象装置の稼動状態を制御する第2稼動状態制御部を更に備える請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の管理装置。
前記表示制御部は、前記管理対象場所における前記管理対象装置の配置を示す画像を参照したユーザの操作に基づいて、前記管理対象場所を複数の領域に分割する請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態全体の構成>
まず、本実施形態に係る管理システム1の構成について説明する。管理システム1は、
図1に示すように、管理装置100、管理対象装置201、管理対象装置202、管理対象装置20n(nは任意の自然数)、環境装置300を備える。管理システム1は、例えば工場に設置されて利用される。
【0019】
管理システム1に含まれるこれら各装置は、通信可能に接続されている。この通信は、各装置間で直接行われるものであってもよいし、中継装置を含んだネットワークを介したものであってもよい。ネットワークは、例えば、工場内に構築されたLAN(Local Area Network)や、インターネット上に構築されたVPN(Virtual Private Network)により実現される。
【0020】
なお、図中では、各管理対象装置それぞれを区別するために「201」、「202」及び「20n」のように符号を異ならせているが、以下の説明において、何れかの管理対象装置を特定することなく、各管理対象装置について共通する内容について説明を行う場合には、管理対象装置に符号「200」を付して説明を行う。
【0021】
管理装置100は、各管理対象装置200の状態を監視するための装置である。管理装置100は、パーソナルコンピュータやサーバ装置等により実現される。また、管理装置100は、工場を管理するユーザにより利用される。
【0022】
管理対象装置200は、工作機械と、この工作機械を制御する数値制御装置の組である。管理対象装置200は、所定の加工を実現するための、加工プログラムに基づいて駆動することにより、所定の加工を行う。
【0023】
環境装置300は、管理対象装置200がおかれている環境の状態を変化させるための装置である。環境装置300は、例えばエアコン等の空調設備やミストコレクタにより実現される。なお、
図1では、各管理対象装置200からの環境情報の収集について説明するために管理対象装置200を複数記載している一方で、環境装置300については1台のみ記載している。これは、管理システム1に含まれる環境装置300の数を限定する趣旨ではなく、環境装置300が管理システム1に複数台含まれていてもよい。
これら各装置が備える機能ブロックについては、
図2を参照して後述する。
【0024】
次に、管理システム1が行う動作の概略について説明をする。
管理システム1において、管理装置100は、各管理対象装置200が配置される工場全体を複数のエリアに分けて管理する。また、管理装置100は、図示しているように、各管理対象装置200がおかれている環境の状態を示す情報である「環境情報」を、各管理対象装置200から収集する。環境情報は、例えば管理対象装置200のおかれている環境の、温度、切削液に起因するオイルミストの濃度、及び振動量等を示す情報が含まれる。
【0025】
管理装置100は、収集した環境情報に基づいて各エリアの環境の状態を判定する。そして、管理装置100は、判定した各エリアそれぞれについての環境の状態を、工場における各管理対象装置200の配置(レイアウト)を示す画像と対応付けて表示部に表示する。
ユーザは、この各エリアそれぞれについての環境の状態と、管理対象装置200の配置を示す画像とが対応付けられた表示を参照することにより、管理対象装置の配置を考慮した状態監視を行うことが可能となる。
【0026】
更に、管理装置100は、各エリアそれぞれについての環境の状態に基づいて、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御する。これにより、管理システム1は、ユーザの操作を要することなく、環境の状態に基づいて管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御することが可能となる。
以上が管理システム1全体の動作の概略である。
【0027】
<管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300が備える機能ブロック>
次に、
図2を参照して、管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300が備える機能ブロックについて説明を行う。
管理装置100は、環境情報収集部11、表示制御部12、稼動状態制御部13、稼動状態制御部13及び表示部14を備える。
【0028】
環境情報収集部11は、各管理対象装置200から環境情報を収集する部分である。上述したように環境情報には、温度、切削液に起因するオイルミストの濃度、及び振動量等を示す情報が含まれる。具体的には、これらの情報に対応するセンサ等で測定された測定値が含まれる。環境情報収集部11による環境情報の収集は所定の周期で行われる。例えば、数[mm/sec]の周期で行われる。
【0029】
ただし、収集する環境情報の特性に応じて、環境情報の種類毎に周期を異ならせるようにしてもよい。例えば、振動量は急激に変化するので、振動量については上記のように数[mm/sec]の周期で収集を行うようにし、温度はそれほど急激に変化しないので、温度については数秒に一回程度の周期で収集を行うようにしてもよい。
環境情報収集部11が収集した環境情報は、表示制御部12に対して出力される。
【0030】
表示制御部12は、上述した各エリアそれぞれについての環境の状態と、管理対象装置200の配置を示す画像とを対応付けた表示を行うための制御を行う部分である。
表示制御部12は、操作受付部15が受け付けたユーザからの操作に基づいて、エリア分けについての設定や、閾値についての設定を行う。そして、表示制御部12はこの設定に基づいて、各管理対象装置200が配置される工場全体を複数のエリアに分けて管理する。これらエリア分けや閾値の設定の設定等の詳細については、
図4〜
図6を参照して後述する。
【0031】
また、表示制御部12は、環境情報収集部11から入力された環境情報に基づいて各エリアの環境の状態を判定する。そして、表示制御部12は、判定した各エリアそれぞれについての環境の状態と、管理対象装置200の配置を示す画像とを対応付けた表示を行うための画像情報を表示部14に対して出力する。表示部14は、この画像情報に基づいて表示を行う。
【0032】
また、表示制御部12は、判定した各エリアそれぞれについての環境の状態を稼動状態制御部13に対して出力する。稼動状態制御部13は、この各エリアそれぞれについての環境の状態に基づいて、管理対象装置200や環境装置300に対しての稼動制御を行う。
【0033】
稼動状態制御部13は、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御する部分である。稼動状態制御部13による稼動状態の制御については、
図9及び
図10を参照して後述する。
【0034】
表示部14は、表示制御部12から入力された画像情報を表示する部分である。表示部14は、液晶ディスプレイ等により実現される。
【0035】
操作受付部15は、ユーザからの操作を受け付ける部分である。操作受付部15は、例えばエリア分けや閾値についての設定を行うための操作や、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御するための操作をユーザから受け付ける。操作受付部15は、受け付けた操作内容を表示制御部12に対して出力する。操作受付部15は、キーボードやマウス等の入力用デバイスにより実現される。
なお、表示部14と操作受付部15を、例えばタッチパネルにて一体に実現するようにしてもよい。
【0036】
管理対象装置200は、数値制御装置21と工作機械22を備える。
数値制御装置21は、所定の加工を行うための加工プログラムに基づいて工作機械22のモータ等の駆動を制御することにより、所定の加工を実現する装置である。
【0037】
また、数値制御装置21は、この制御と並行して、環境情報を取得する。例えば、環境情報として温度を取得する場合には、数値制御装置21は、管理対象装置200の近傍に設置された温度センサが測定した値を取得する。また、環境情報として切削液に起因するオイルミストの濃度を取得する場合には、数値制御装置21は、管理対象装置200の近傍に設置されたオイルミストセンサが測定した値を取得する。また、環境情報として振動量を取得する場合には、数値制御装置21は、工作機械22の駆動部に設置された加速度センサ等のセンサが測定した値を取得する。
【0038】
なお、これらの情報は、あくまで一例であり、環境情報にはこれら以外の情報が含まれていてもよい。例えば、管理対象装置200の近傍に設置された湿度計が測定した湿度の値や、管理対象装置200の近傍に設置された音センサが測定した音量の値等を含ませるようにしてもよい。また、上述した各センサは、管理対象装置200の近傍のみならず、管理対象装置200に直接設置されていてもよい。
また、これらセンサにより測定される情報以外にも、例えば工作機械22の軸や工具に関する情報等の数値制御装置21で監視されている情報や、数値制御装置21及び工作機械22に関連する周辺機器に関する情報を収集するようにしてもよい。
【0039】
数値制御装置21は、これら取得した値に、管理装置100が、対応する管理対象装置200を識別するためのID等の識別情報を付与して、環境情報を生成する。そして、数値制御装置21は、生成した環境情報を、環境情報収集部11に対して送信する。この送信の周期は、環境情報収集部11の説明として上述したように、例えば、数[mm/sec]の周期で行われる。
【0040】
工作機械22は、数値制御装置21の制御に従って稼動することにより、切削加工等の所定の加工を実行する装置である。
なお、数値制御装置21及び工作機械22の具体的な構成や機能については、当業者によく知られているので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
環境装置300は、稼動部31を備える。環境装置300は、管理対象装置200がおかれている環境の状態を変化させるための空調設備やミストコレクタである。空調設備とは、例えば、冷房装置や換気装置である。
【0042】
稼動部31は、これら空調設備やミストコレクタとしての機能を稼動させる部分である。稼動部31は、表示部14の制御に基づいて稼動状態を変更する。ここで、稼動状態の変更とは、例えば起動状態(オン状態)と、停止状態(オフ状態)とを切り換えることである。ただし、より詳細に、起動時の強度を変更するようにしてもよい。例えば、環境装置300が冷房装置である場合に、急速に冷却を行うか(いわゆる強運転を行うか)、緩やかに冷却を行うか(いわゆる弱運転を行うか)等を変更するようにしてもよい。
【0043】
以上、各装置の機能ブロックについて説明した。なお、上述した各機能ブロックは、特に本実施形態に関連する部分であり、管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300は上述した機能ブロック以外にも、例えば通信を行うための機能ブロック等の一般的な機能ブロックを含んでいる。
【0044】
上述した管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300は、一般的な装置に本実施形態特有のプログラム(例えばアプリケーションプログラム)を組み込むことにより実現できる。
より詳細に説明すると、上述した管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300のそれぞれは、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備える。また、上述した管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300のそれぞれは、各種のプログラムを格納したHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置を備える。
【0045】
そして、上述した管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300のそれぞれにおいて、演算処理装置が補助記憶装置から各種のプログラムを読み込み、読み込んだ各種のプログラムを主記憶装置に展開させながら、これら各種のプログラムに基づいた演算処理を行う。
【0046】
この演算結果に基づいて、管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300のそれぞれが備えるハードウェアを制御することにより、上述した各機能ブロックの機能が実現する。つまり、管理装置100、管理対象装置200及び環境装置300は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0047】
<本実施形態の動作>
次に、
図3のフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明をする。
ステップS11において、表示制御部12は、設定を変更するか否かを判定する。ここで、判定は、操作受付部15がユーザから設定を変更する旨の操作を受け付けたか否かに基づいて行われる。
操作受付部15がユーザから設定を変更する旨の操作を受け付けた場合は、ステップS11においてYesと判定され、処理はステップS12に進む。一方で、操作受付部15がユーザから設定を変更する旨の操作を受け付けていない場合は、ステップS11においてNoと判定され、処理はステップS13に進む。
【0048】
ステップS12において、表示制御部12は、設定の変更を行うための画像を表示部14に表示させる。具体的には、
図4に示すように工場における各管理対象装置200の配置を示す画像を表示する。本例では、
図4に示すように、管理対象装置211〜管理対象装置252が工場に配置されている。
【0049】
ユーザは、この画像を参照しながら、エリア分けを行うための操作を操作受付部15に対して行う。操作は、例えば、各エリアを分割するための線を引く操作により実現される。表示制御部12は、操作受付部15がこのような操作を受け付けると、
図5に示すようにエリア分けを行い、各エリアを識別するための識別番号を割り当てる。そして、表示制御部12は、
図6の上段に示すように、各エリアの識別番号と、各エリアに含まれる管理対象装置200の識別番号とを対応付けて記憶する。
【0050】
本例では、ユーザの操作に基づいて5つのエリアにエリア分けを行い、各エリアに第1エリア〜第5エリアの識別番号を割り当てている。今回、第1エリアに含まれている管理対象装置211〜管理対象装置数値制御装置219は、それぞれ同一の加工を行っていると想定する。
【0051】
また、第2エリアに含まれている管理対象装置221〜管理対象装置224は、1つの加工ラインであると想定する。つまり、1つのワークに対して管理対象装置221から管理対象装置224までが順に異なる加工を行うことにより1つの完成品を作成するラインであると想定する。更に、第3エリアに含まれている管理対象装置231〜管理対象装置234も、第2エリアに含まれている管理対象装置221〜管理対象装置224と同様に1つの加工ラインであると想定する。
【0052】
第4エリアに含まれている管理対象装置241及び管理対象装置242と、第5エリアに含まれている管理対象装置251及び管理対象装置252は、それぞれ異なる加工を行うものと想定する。特に、管理対象装置251は、他の管理対象装置200よりも大型であり、重加工を行うものと想定する。
ユーザは、このような各管理対象装置200の用途や、配置等を考慮してエリア分けを行う。
【0053】
また、表示制御部12は、操作受付部15を介してユーザから閾値の設定操作を受け付ける。閾値は、パラメータの種類毎に設定される。ここで、パラメータの種類とは、環境情報に含まれる情報の種類である。例えば、環境情報に、温度、振動量、及び切削液に起因するオイルミストの濃度が含まれる場合には、これらの情報1つ1つがパラメータである。閾値は、パラメータ毎に設定される。ここで、各パラメータそれぞれについて設定される閾値は1つのみでもよいが、本実施形態では、各パラメータそれぞれについて段階的に複数の閾値が設定されるものとする。そして、表示制御部12は、
図6の下段に示すように、各パラメータの識別番号と、各パラメータについての段階的に複数設定された閾値とを対応付けて記憶する。この段階的に複数設定された閾値の内、もっとも値の大きな閾値を、以下では「上限閾値」と呼ぶ。
【0054】
なお、今回ステップS12の説明として、エリア分けの設定と、閾値の設定の双方の変更について説明をしたが、ステップS12において何れかの設定のみが変更されてもよい。また、ステップS12における「設定の変更」とは、初期設定時に新たに設定を行うことも含むものとする。
【0055】
ステップS13において、環境情報収集部11は環境情報を収集する。なお、上述のように環境情報の収集は、所定の周期で行われるので、以下に説明する各ステップの処理と並行して環境情報の収集は継続して行われる。
【0056】
ステップS14において、表示制御部12は、複数のエリアそれぞれについての環境情報に基づいて、複数のエリアそれぞれについての環境の状態を判定する。
また、ステップS15において、ステップS14の判定結果を表示する。
【0057】
表示制御部12の判定方法及び表示方法について
図7及び
図8を参照して説明をする。
図7は、表示制御部12が判定を行うために用いるテーブルである。このテーブルは、ユーザが段階的に複数設定した閾値に基づいて作成される。判定は、情報に含まれる何れかのパラメータの値と、このパラメータに対応する、段階的な複数の閾値との比較に基づいて行われる。
【0058】
なお、環境情報には1つのエリアについて複数の管理対象装置200についての値が含まれているので、この中で最も高い値を比較の対象とする。例えば、第1エリアであれば判定対象装置211〜判定対象装置数値制御装置219それぞれの値が含まれているので、この中で最も高い値を比較の対象とする。ただし、これは一例に過ぎず、例えば複数の管理対象装置200についての値の平均値を比較の対象とするようにしてもよい。
【0059】
ここで、テーブルにおいてA、B、C・・・Zのそれぞれは、段階的な複数の閾値の値に相当する。なお、AからZになるに従って閾値の値は段階的に大きな値に設定されている。また、テーブルにおいてdは環境情報に含まれる値に相当する。そして、表示制御部12は、例えば、dの値がAの値未満である場合には、「d≧A」の関係であるので、対応する色である青による網掛け表示を行うと判定する。同様に、dの値が、Aの値を超えているがBの値以下である場合には、「A<d≦A」の関係であるので、対応する色である緑による網掛け表示を行うと判定する。
【0060】
表示制御部12は、各エリアについてそれぞれの環境の状態を判定し、この環境の状態に対応する色を、
図5に示した各管理対象装置200の配置を示す図の上に網掛け表示するための画像情報を生成する。そして、表示部14は、この画像情報に基づいた表示を行う。この場合の表示例を
図8に示す。
【0061】
図8に示す例では、例えば、第1エリアでは、赤色の網掛け表示がなされており、第2エリアや第3エリアでは黄色の表示がなされている。なお、図中では、特許図面の記載方法の制約により、色をハッチングで表現している。なお、上述したように本実施形態では、環境情報に複数の種類のパラメータが含まれることを想定している。そして、パラメータによって判定結果が異なる場合もある。
【0062】
例えば或るエリアについて、温度というパラメータについては問題が生じておらず判定結果は青色であるが、振動量というパラメータについては何らかの問題により振動量が増大しており判定結果が赤色になるような場合が考えられる。
【0063】
この場合に、表示制御部12は、複数のパラメータの何れかの判定結果に対応する色により網掛け表示をするようにするとよい。例えば、上記の例であれば、青色ではなく赤色により網掛け表示をするようにするとよい。つまり、各パラメータで超えた閾値のなかで、もっとも高い閾値に対応する色により網掛け表示をするようにするとよい。
また、そうするのではなく、複数のパラメータの何れについて表示するのかを切り換えできるようにし、切り換えたパラメータに対応する表示をするようにしてもよい。
【0064】
ユーザは、このような表示を参照することにより、何れのエリアがどのような環境にあるのについて総合的に把握することができる。そのため、各管理対象装置200それぞれを個別に管理するのではなく、複数の管理対象装置200をエリア単位で総合的に管理することが可能となる。
【0065】
ステップS16において、表示制御部12は、今回の処理におけるステップS14の判定にて、何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が、新たに上限閾値を超えたか否かを判定する。つまり、今まで上限閾値を超えていなかったエリアが新たに上限閾値を超えてしまったか否かを判定する。
【0066】
何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が新たに上限閾値を超えた場合には、稼動状態制御部13による稼動状態の切り換えを行うためである。ここで、上限閾値は、上述したように段階的に複数設定された閾値の内、もっとも値の大きな閾値であり、例えば
図7の例ではZが上限閾値に相当する。
【0067】
何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が新たに上限閾値を超えている場合には、ステップS16においてYesと判定され、処理はステップS17に進む。一方で、何れのエリアにおいても環境情報に含まれる値が上限閾値を超えていない場合には、ステップS16においてNoと判定され、処理はステップS18に進む。
【0068】
ステップS17において、表示制御部12は、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御するように、稼動状態制御部13に対して指示を出す。指示を受けた稼動状態制御部13は、指示に基づいて稼動状態制御部13の稼動状態を制御する。
稼動状態の制御内容は、ステップS16において、上限閾値を超えたと判定されたパラメータの種類によって異なる。例えば第1エリアにて温度のパラメータについて上限閾値を超えたと判定された場合には、
図9に示すように、熱対策として、上限閾値を超えた第1エリアに設置されている環境装置300の内の冷房装置の稼動状態をオン状態とする。これにより、冷房装置である環境装置300が冷却を開始し、対応する第1エリアの温度を下げることができる。そのため、管理対象装置200の熱による故障等を防止することができる。
【0069】
また、例えば第1エリアにて空気中の切削液濃度のパラメータについて上限閾値を超えたと判定された場合には、
図9に示すように、切削液対策として、上限閾値を超えた第1エリアに設置されている環境装置300の内のミストコレクタの稼動状態をオン状態とする。これにより、第1エリアにてミストコレクタである環境装置300により切削液濃度を下げることができる。そのため、第1エリアにて切削液濃度が高くなることによる、人体への影響等を低下させることができる。
【0070】
また、例えば第5エリアにて振動量温度のパラメータについて上限閾値を超えたと判定された場合には、
図10に示すように、振動対策として、上限閾値を超えた第5エリアに設置されている管理対象装置200の何れかの稼動状態をオフ状態とする。例えば、制御対象装置251が大型であり、制御対象装置251が稼動していると振動量が上限閾値を超えてしまい、制御対象装置252による加工に影響が出るような場合には、制御対象装置252の稼動状態を一時的にオフ状態とする。これにより、制御対象装置252による加工への影響を低減することができる。
【0071】
ステップS18において、表示制御部12は、今回の処理におけるステップS14の判定にて、何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が、新たに上限閾値位置以下となったか否かを判定する。つまり、今まで上限閾値を超えていたエリアが新たに上限閾値以下となったかを判定する。
何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が新たに上限閾値以下となった場合にも、稼動状態制御部13による稼動状態の切り換えを行うためである。
【0072】
何れかのエリアにおいて環境情報に含まれる値が新たに上限閾値以下となった場合には、ステップS18においてYesと判定され、処理はステップS19に進む。一方で、何れのエリアにおいても環境情報に含まれる値が新たに上限閾値以下となっていない場合には、ステップS18においてNoと判定され、本処理は一度終了する。そして、再度ステップS11から上述の処理が繰り返される。
【0073】
ステップS19において、表示制御部12は、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御するように、稼動状態制御部13に対して指示を出す。指示を受けた稼動状態制御部13は、指示に基づいて稼動状態制御部13の稼動状態を制御する。
【0074】
稼動状態の制御内容は、ステップS18において、上限閾値以下となったと判定されたパラメータの種類によって異なる。例えば第1エリアにて温度のパラメータについて上限閾値以下となったと判定された場合には、第1エリアに設置されている環境装置300の内の冷房装置の稼動状態をオフ状態とする。これにより、冷房装置である環境装置300が稼動を停止するので、この環境装置300が稼動するための消費電力を低減することができる。
【0075】
また、例えば第1エリアにて空気中の切削液濃度のパラメータについて上限閾値以下となったと判定された場合には、第1エリアに設置されている環境装置300の内のミストコレクタの稼動状態をオフ状態とする。これにより、ミストコレクタである環境装置300が稼動を停止するので、この環境装置300が稼動するための消費電力を低減することができる。
【0076】
また、例えば第5エリアにて振動量温度のパラメータについて上限閾値以下となったと判定された場合には、第5エリアに設置されている管理対象装置200の何れかの稼動状態をオン状態とする。例えば、制御対象装置251が大型であり、制御対象装置251が稼動していると振動量が上限閾値を超えてしまい、制御対象装置252による加工に影響が出るような場合には、制御対象装置252の稼動状態を一時的にオフ状態としているので、この制御対象装置252稼動状態をオン状態とする。これにより、制御対象装置252から発生する振動の影響を受けることないので、高い精度で制御対象装置252による加工を実現することができる。
【0077】
ステップS19が終了すると、本処理は一度終了する。そして、再度ステップS11から上述の処理が繰り返される。
【0078】
以上説明した動作によれば、ユーザは、ステップS15における、各エリアそれぞれについての環境の状態と、管理対象装置200の配置を示す画像とが対応付けられた表示を参照することにより、管理対象装置の配置を考慮した状態監視を行うことが可能となる。
【0079】
また、ステップS17及びステップS19により稼動状態を制御することから、ユーザの操作を要することなく、環境の状態に基づいて管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御することが可能となる。
【0080】
<本実施形態が奏する効果>
次に、上述した本実施形態が奏する効果について、一般的な技術との比較も含めて説明をする。
背景技術の欄でも述べたように、一般的な技術であってもサーバにて収集したデータに基づいて、個々の管理対象装置(例えば工作機械)の状態監視を行うことが可能である。
【0081】
しかし、一般的な技術では個々の管理対象装置の状態監視は可能であっても、管理対象装置の配置を考慮して総合的に状態監視を行うことは監視できていない。
例えば工場内の管理対象装置が密集する場所は、空気中の、切削液に起因するオイルミストの濃度、温度、振動量が上昇し、機器の故障、加工物の精度に影響を及ぼす可能性がある。そこで、環境装置(例えば空調管理機器やミストコレクタなど)などの設置場所を的確に決め、状況によって稼動させることでの省エネ化や、レイアウトに依存した悪影響を除去することが望まれる。
【0082】
これに対して、本実施形態によれば、上述したように収集した環境情報と管理対象装置200の配置を示す画像(レイアウト図)とを対応付けて可視化することで、ユーザが容易にレイアウトに依存する影響を認識できる、という効果を奏する。
【0083】
そのため、本実施形態によれば、収集した環境情報から、工場内における管理対象装置200のレイアウトを改善することができる、という効果を奏する。
【0084】
更に、本実施形態によれば、温度分布や、切削液に起因するオイルミストの濃度の分布を可視化し、環境改善を自動化することで管理対象装置200の故障を予防することができる、という効果を奏する。
【0085】
更に、本実施形態によれば、管理装置100による各管理対象装置200の相互監視が可能となり、例えば第5エリアを例にして説明したように、隣接する管理対象装置200の振動を考慮した重加工のスケジューリングが可能となる、という効果を奏する。また、他にも例えば第2エリアと第3エリアがそれぞれ同じ加工を行うための加工ラインであるような場合に、一方の加工ラインに問題が生じてこの一方の加工ラインを停止した場合に、他方の加工ラインで必要な数だけ加工を行うようなスケジューリングが可能となる。
【0086】
更に、本実施形態によれば、環境の状態に基づいて管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を制御することから、必要以上に環境装置300稼動しないことで省エネ化に貢献できる、という効果を奏する。
【0087】
<ハードウェア及びソフトウェアの協働>
なお、上記の管理システムに含まれる各装置のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の管理システムに含まれる各装置のそれぞれにより行なわれる管理方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0088】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0089】
<変形例>
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0090】
<第1変形例>
上述の実施形態では、管理装置100が1つの工場に配置された管理対象装置200を管理する場合を想定していた。これを変形して、管理装置100が複数の工場に配置された管理対象装置200を管理するようにしてもよい。また、この場合に、例えば各工場内に情報を収集する収集装置を設けて、この収集装置が自工場内の各管理対象装置200から環境情報を収集し、この収集した環境情報をこの収集装置が管理装置100に対して送信するようにしてもよい。
【0091】
<第2変形例>
上述の実施形態では、工場で利用される工作機械等を管理対象装置として処理を行うことを例にして説明したが、本実施形態は、他の対象に対して処理を行うようにしてもよい。例えば、工作機械に代えて、産業用のロボットを管理対象装置として処理を行うようにしてもよい。
【0092】
<第3変形例>
上述の実施形態では、ユーザの設定によりエリア分けを行っていた。これを変形して、例えば管理装置100が自動的にエリア分けを行うようにしてもよい。例えば、各管理対象装置200に適用される加工プログラムの内容に基づいて、同じ加工を行う管理対象装置200同士を特定し、これらの管理対象装置200が配置されている領域を1つのエリアとしてエリア分けしてもよい。また、例えば、各管理対象装置200に適用される加工プログラムの内容に基づいて、加工ラインを構成する管理対象装置200を特定し、これらの管理対象装置200が配置されている領域を1つのエリアとしてエリア分けしてもよい。
【0093】
<第4変形例>
上述の実施形態では、環境情報に含まれる値が上限閾値を超えたか否かに基づいて、管理対象装置200や環境装置300のオン状態とオフ状態を切り換えるという制御をしていた。これを変形して、複数の閾値に基づいて段階的に切り換えを行うようにしてもよい。例えば、環境装置300が冷房装置である場合に、上限閾値を超えた場合には急速に冷却を行う(いわゆる強運転を行う)ようにし、上限閾値よりも一段階低い値の閾値を超えた場合には緩やかに冷却を行う(いわゆる弱運転を行う)ようにし、更に上限閾値よりも一段階低い値の閾値以下の場合にはオフ状態とするようにしてもよい。
【0094】
<第5変形例>
上述の実施形態では、管理装置100が自動的に管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を切り換えていた。これを変形し、更にユーザの操作に応じて稼動状態を切り換えるようにしてもよい。つまり、ステップS15における表示を参照したユーザが、管理対象装置200や環境装置300の稼動状態を切り換えようと思った場合に、切り換えるための操作を操作受付部15で受け付け、この操作に応じて稼動状態制御部13が切り換えを行うようにしてもよい。