【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
図1に示すものと同様の流動床反応器1を用意した。流動床反応器1は、内径0.6m、長さ17.5mの縦型円筒形を有し、内部空間3の下端から1mの位置に分散板5、その上に原料供給口4を対抗するように有し、内部空間3の上端から15.5mの位置にサイクロン7の開口部下端を有するものとした。
【0049】
流動床反応器内に、特許第5694379号公報の実施例1に記載の触媒(Mo
1V
0.207Sb
0.219Nb
0.102W
0.030Ce
0.005O
n/51.0wt%−SiO
2)550kgを充填し、反応温度445℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口4から供給し、空気を供給口9を介して分散板5から供給した。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0050】
[実施例2]
触媒量を700kgとし、表1に示すとおりガス流量を変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0051】
[実施例3]
触媒量を380kgとし、表1に示すとおりガス流量を変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0052】
[実施例4]
内部空間の容積を調整するための部材を配置して希薄層の空間容積を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0053】
[実施例5]
内部空間の容積を調整するための部材を取り除き希薄層の空間容積を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0054】
[実施例6]
触媒量を380kgとし、表1に示すとおりガス流量を変更し、内部空間の容積を調整するための部材を配置して希薄層の空間容積を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0055】
[実施例7]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.3に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0056】
[実施例8]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.4に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0057】
[実施例9]
希薄層の温度が460℃になるようにした以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0058】
[実施例10]
希薄層の温度が440℃になるようにした以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0059】
[実施例11]
図1に示すものと同様の流動床反応器1であって、内径10m、長さ30mの縦型円筒形を有し、内部空間3の下端から3mの位置に分散板5、その上に原料供給口4を対抗するように有し、内部空間3の上端から21.0mの位置にサイクロン7の開口部下端を有するものとした流動床反応器1を用い、触媒量を155000kgとし、表1に示すとおりガス流量を変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0060】
[実施例12]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例3に記載の触媒(Mo
1V
0.207Sb
0.219Nb
0.102W
0.030Ce
0.005O
n/68.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表1に示す。
【0061】
[実施例13]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例4に記載の触媒(Mo
1V
0.240Sb
0.250Nb
0.120W
0.030Ce
0.005O
n/51.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0062】
[実施例14]
内部空間に供給されるガス量を表2に示すとおり変更した以外は、実施例6と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0063】
[実施例15]
表2に示すように内部空間に供給される原料ガス量を変更し、原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、実施例6と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0064】
[実施例16]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.4に変更した以外は、実施例6と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0065】
[実施例17]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0066】
[実施例18]
表2に示すように内部空間に供給される原料ガス量を変更した以外は、実施例15と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0067】
[実施例19]
表2に示すように内部空間に供給される原料ガス量を変更した以外は、実施例8と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0068】
[実施例20]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.6に変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0069】
[実施例21]
流動床反応器内に、金属成分の組成がMo
12.00Bi
0.39Fe
1.60Ni
6.97Mg
0.77Ce
0.63Rb
0.17で表される60質量%の複合酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
【0070】
(調製例)原料混合液
まず、30質量%のSiO
2を含む水性シリカゾル1333gに、873.5gの水に溶解させた485.9gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH
4)
6Mo
7O
24・4H
2O]を撹拌下で加え、モリブデンとシリカとを含む第一の溶液を得た。次に、16.6質量%の硝酸396.7gに、43.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO
3)
3・5H
2O]、148.0gの硝酸鉄[Fe(NO
3)
3・9H
2O]、464.7gの硝酸ニッケル[Ni(NO
3)
2・6H
2O]、45.5gの硝酸マグネシウム[Mg(NO
3)
2・6H
2O]、62.6gの硝酸セリウム[Ce(NO
3)
3・6H
2O]、5.89gの硝酸ルビジウム[RbNO
3]を溶解させ、第二の溶液を得た。そして、第一の溶液に第二の溶液を混合してスラリー状の原料混合液を得た。
【0071】
(調製例)触媒
得られた40℃の原料混合液を第一の乾燥装置を用いて、熱風の温度を乾燥室の直前で230℃、排出した直後で110℃とした以外は実施例1と同様にして乾燥した。得られた乾燥粉体を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉体を580℃で2時間焼成して、触媒を得た。
【0072】
流動床反応器に、得られた触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.50K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口4から供給し、空気を供給口9を介して分散板5から供給した。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0073】
[実施例22]
内部空間の容積を調整するための部材を取り除き希薄層の空間容積を表2に示すとおり変更した以外は、実施例21と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0074】
[実施例23]
表2に示すように内部空間に供給される原料ガス量を変更し、原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.4に変更した以外は、実施例21と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0075】
[実施例24]
表2に示すように内部空間に供給される原料ガス量を変更した以外は、実施例22と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表2に示す。
【0076】
[比較例1]
内部空間の容積を調整するための部材を配置して希薄層の空間容積を表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0077】
[比較例2]
触媒量を380kgとし、表3に示すとおりガス流量を変更し、原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、実施例5と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0078】
[比較例3]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、比較例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0079】
[比較例4]
内部空間の容積を調整するための部材を配置して希薄層の空間容積を表3に示すとおり変更した以外は、実施例11と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0080】
[比較例5]
触媒量を130000kgとし、表3に示すとおりガス流量を変更した以外は、実施例11と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0081】
[比較例6]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例3に記載の触媒(Mo
1V
0.207Sb
0.219Nb
0.102W
0.030Ce
0.005O
n/68.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、比較例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0082】
[比較例7]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例3に記載の触媒(Mo
1V
0.207Sb
0.219Nb
0.102W
0.030Ce
0.005O
n/68.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、比較例2と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0083】
[比較例8]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例4に記載の触媒(Mo
1V
0.240Sb
0.250Nb
0.120W
0.030Ce
0.005O
n/51.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、比較例1と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0084】
[比較例9]
充填する触媒を特許第5694379号公報の実施例4に記載の触媒(Mo
1V
0.240Sb
0.250Nb
0.120W
0.030Ce
0.005O
n/51.0wt%−SiO
2)に変更した以外は、比較例2と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0085】
[比較例10]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.2に変更した以外は、比較例9と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0086】
[比較例11]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、比較例9と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0087】
[比較例12]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.4に変更した以外は、比較例9と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0088】
[比較例13]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.0に変更した以外は、比較例8と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0089】
[比較例14]
原料ガスのモル比をプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:3.4に変更した以外は、比較例8と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0090】
[比較例15]
希薄層の温度が440℃になるようにし、内部空間の容積を調整するための部材を配置して希薄層の空間容積を表3に示すとおり変更した以外は、実施例21と同様にして、気相接触アンモ酸化反応を行った。気相接触アンモ酸化反応を開始してから、3時間後(スタート直後)のアクリロニトリルの収率と、1週間後のアクリロニトリルの収率を、表3に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
※1:触媒が飛散して反応継続不可能