特許第6568329号(P6568329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6568329
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   B41J2/01 305
   B41J2/01 121
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-11108(P2019-11108)
(22)【出願日】2019年1月25日
【審査請求日】2019年2月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】酒井 千陽
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−052577(JP,A)
【文献】 特許第6426801(JP,B1)
【文献】 特開2018−122433(JP,A)
【文献】 特開2018−034412(JP,A)
【文献】 特開2013−052578(JP,A)
【文献】 特開2017−189963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置されるプラテンと、
前記プラテンに載置された前記記録媒体にインクを吐出するノズルを有し、主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、上面が前記副走査方向の下流側から上流側に向けて斜め下方に傾き、前記記録媒体を案内するガイド部材と、
前記プラテンに設けられ、前記プラテンに載置された前記記録媒体を前記副走査方向に移動させるグリットローラと、を備え、
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前記上面から凹むように形成されかつ前記グリットローラの前記主走査方向の一端側の第1位置を示す第1凹部と、前記ガイド部材の前記上面から凹むように形成されかつ前記グリットローラの前記主走査方向の他端側の第2位置を示す第2凹部とを備え
前記第1凹部は、前記主走査方向に関して前記グリットローラの前記主走査方向の前記一端と前記グリットローラの前記主走査方向の中心との間に位置し、
前記第2凹部は、前記主走査方向に関して前記グリットローラの前記主走査方向の前記他端と前記グリットローラの前記主走査方向の前記中心との間に位置する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記第1凹部および前記第2凹部は、前記副走査方向の上流側から見て三角形状に形成され、
前記第1凹部の一の頂点は、前記第2凹部の一の頂点と対向する、請求項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記グリットローラの上方に配置され、前記グリットローラとの間に前記記録媒体を挟むピンチローラと、
前記ピンチローラを保持する保持シャフトと、
前記ピンチローラを前記グリットローラに対して接近および離反させるように前記保持シャフトを回転させるレバーと、を備え、
前記第1凹部および前記第2凹部は、前記副走査方向の上流側から見たときに、前記レバーより上方に位置する、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタと、
前記主走査方向に移動可能であり、前記プラテンに載置された前記記録媒体を切断するカッターを有するカッティングヘッドと、を備えている、カッティングヘッド付きインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体を載置するプラテンと、プラテンに載置された記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、記録媒体を搬送するグリットローラと、を備えたインクジェットプリンタ(以下単にプリンタと称する場合がある)が知られている。比較的大きいサイズの記録媒体を用いるプリンタでは、印刷を行う前に、作業者は予め記録媒体をプラテンに載置する必要がある。記録媒体が適切な位置に載置されていない場合には、グリットローラによって記録媒体を適切に移動させることができない虞がある。このため、作業者は、記録媒体をプラテンに慎重に載置する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、記録媒体の前端および側端の位置合わせのためのマークが設けられたプリンタが開示されている。かかるプリンタによれば、記録媒体の先端および右側端をマークに合わせることによって、記録媒体の斜行を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−254737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、比較的大型のプリンタでは、記録媒体をプリンタの後方からプラテンに載置する場合がある。ここで、プラテンに記録媒体を載置するとき、グリットローラ上に記録媒体を載置させる必要がある。しかしながら、プリンタによっては、インクヘッドが搭載されるキャリッジの安定性および安全性を確保する観点から、プラテンとキャリッジを保持する部材との間隙(クリアランス)を狭くする必要があり、プリンタの後方からグリットローラの位置を確認することが困難な場合がある。このため、作業者は経験と勘によってグリットローラの位置を推測してプラテンに記録媒体を載置していた。なお、記録媒体の大きさが一定の場合には、特許文献1に示すように、記録媒体の側端をマークに合わせればよい。しかしながら、記録媒体のサイズは複数あるため、単に記録媒体の側端をマークに合わせるだけでは、記録媒体が適切にグリットローラ上に載置されない場合がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラテンに記録媒体を載置するときに容易にグリットローラの位置を把握することができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、記録媒体が載置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、前記プラテンに載置された前記記録媒体にインクを吐出するノズルを有し、主走査方向に移動可能なインクヘッドと、前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、上面が前記副走査方向の下流側から上流側に向けて斜め下方に傾き、前記記録媒体を案内するガイド部材と、前記プラテンに設けられ、前記プラテンに載置された前記記録媒体を前記副走査方向に移動させるグリットローラと、を備え、前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前記上面から凹むように形成され、前記グリットローラの前記主走査方向の位置を示す凹部を備えている。
【0008】
本発明のプリンタによると、副走査方向においてプラテンより上流側に配置されたガイド部材の上面には、凹部が形成されている。ここで、凹部は、グリットローラの主走査方向の位置を示すため、グリットローラの位置を直接視認できない場合であっても、作業者は凹部の位置を確認することによって容易にグリットローラの位置を認識することができる。これにより、作業者は、グリットローラ上に記録媒体を確実に載置することができる。また、凹部はガイド部材の上面から凹むように形成されているため、記録媒体がガイド部材の上面を副走査方向の上流側から下流側に移動する場合や副走査方向の下流側から上流側に移動する場合において、記録媒体の前端や後端が凹部に引っかかることがなく、記録媒体のスムーズな移動を妨げることがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラテンに記録媒体を載置するときに容易にグリットローラの位置を把握することができるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るプリンタの正面図である。
図2】一実施形態に係るプリンタの一部を示す正面図である。
図3】一実施形態に係るプリンタの側面図である。
図4】一実施形態に係るプリンタの背面図である。
図5】一実施形態に係るプリンタの一部を示す断面図である。
図6】一実施形態に係るプリンタの一部を拡大した背面図である。
図7】一実施形態に係る上流側ガイドの一部を拡大した背面図である。
図8図7中のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るプリンタについて説明する。本実施形態に係るプリンタは、記録媒体5に対して印刷および切断(カッティング)が可能なカッティングヘッド付きインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10とする。)である。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Yは主走査方向を表す。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を表す。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向(例えば、平面視で垂直に交差する方向)である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。また、プリンタ10の後側を上流側と称し、プリンタ10の前側を下流側と称する。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0013】
記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等が含まれる。本明細書において「切断」、「カッティング」とは、記録媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、記録媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、ベース部材40と、記録媒体5が載置されるプラテン15と、本体ケース50と、右脚部16Rと、左脚部16Lと、インクヘッドユニット20(図2も参照)と、カッティングヘッドユニット25(図2も参照)と、を備えている。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40の下部に取り付けられている。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40を支持する。ベース部材40は、主走査方向Yに延びる。
【0015】
図1に示すように、本体ケース50は、ベース部材40に取り付けられている。本体ケース50は、上壁51(図3参照)と、前壁52と、左前壁53Lと、右前壁53Rと、左前カバー54Lと、右前カバー54Rと、左側壁55Lと、右側壁55R(図3も参照)と、後壁56(図3参照)とを備えている。
【0016】
上壁51は、主走査方向Yに延びる。図3に示すように、上壁51は、ベース部材40の上方に位置する。上壁51は、インクヘッドユニット20より上方に配置されている。上壁51は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて上方に行くように傾斜している。即ち、上壁51は、後方から前方に行くほど上方に行くように傾斜している。前壁52は、上壁51の前端から前斜め下方に延びる。前壁52は、主走査方向Yに延びる。
【0017】
図1に示すように、左前壁53Lは、前壁52の左端領域の前端から前斜め下方に延びる。右前壁53Rは、前壁52の右端領域の前端から前斜め下方に延びる。右前壁53Rは、右前壁53Rの後端を中心に開閉可能に構成されている。右前壁53Rを開くことによって、操作パネル(図示せず)が外部に露出する。
【0018】
図1に示すように、左前カバー54Lは、左前壁53Lの前端から下方に延びる。左前カバー54Lは、左前壁53Lの前端を中心に開閉可能に構成されている。左前カバー54Lは、プラテン15より左方に配置されている。右前カバー54Rは、右前壁53Rの前端から下方に延びる。右前カバー54Rは、右前壁53Rの前端を中心に開閉可能に構成されている。右前カバー54Rは、プラテン15より右方に配置されている。
【0019】
図1に示すように、左側壁55Lは、上壁51の左端、前壁52の左端、左前壁53Lの左端、左前カバー54Lの左端および後壁56の左端を接続する。右側壁55Rは、上壁51の右端、前壁52の右端、右前壁53Rの右端、右前カバー54Rの右端および後壁56の右端を接続する。
【0020】
図4に示すように、後壁56は、上後壁56Aと、左下後壁56Bと、右下後壁56Cと、上後中央壁56Dと、下後中央壁56Eとを備えている。上後壁56Aは、上壁51の後端の下方に配置されている。左下後壁56Bは、上後壁56Aの左部分の下方に配置されている。左下後壁56Bは、左前カバー54L(図1参照)と対向する位置に配置されている。右下後壁56Cは、上後壁56Aの右部分の下方に配置されている。右下後壁56Cは、右前カバー54R(図1参照)と対向する位置に配置されている。上後中央壁56Dは、上後壁56Aの中央部分の下端から下方に延びる。下後中央壁56Eは、上後中央壁56Dの下方に配置されている。上後中央壁56Dおよび下後中央壁56Eは、左下後壁56Bと右下後壁56Cとの間に配置されている。上後中央壁56Dおよび下後中央壁56Eは、プラテン15の上方に配置されている。下後中央壁56Eとプラテン15との間には、記録媒体5が通過可能な間隙58(図2も参照)が形成されている。
【0021】
図1に示すように、プリンタ10は、フロントカバー60を備えている。フロントカバー60は、前壁52の前端を中心に回動可能に設けられている。フロントカバー60は、フレーム部材62と、カバー部材64とを備えている。フレーム部材62は、フロントカバー60を本体ケース50に対して回動可能に支持する部材である。フレーム部材62は、本体ケース50の開口幅に対応して主走査方向Yに延びる。フレーム部材62は、金属材料から形成されている。カバー部材64は、本体ケース50とプラテン15との間に形成された開口58(図2参照)を開閉するための部材である。カバー部材64は、フレーム部材62から下方に延びる。カバー部材64は、光を透過することが可能な材料であれば、特に限定されない。本実施形態では、カバー部材64は、透明なアクリル樹脂で形成されている。カバー部材64を通して、作業者は印刷状態や切断状態等を確認することができる。カバー部材64には、取っ手64Hが設けられている。作業者が取っ手64Hを前方に引き上げることによって、フロントカバー60が開く。
【0022】
図2に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yおよび上下方向に延びる中央壁17を備えている。中央壁17は、ベース部材40に支持されている。中央壁17は、プラテン15の上方に配置されている。中央壁17とプラテン15との間には、記録媒体5が通過可能な間隙58が形成されている。中央壁17は、本体ケース50に収容されている。
【0023】
図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール18は、中央壁17に設けられている。ガイドレール18は、プラテン15の上方に配置されている。
【0024】
図2に示すように、インクヘッドユニット20は、ベース部材40に設けられている。インクヘッドユニット20は、本体ケース50の内方に配置されている。インクヘッドユニット20は、プラテン15より上方に配置されている。図5に示すように、インクヘッドユニット20は、キャリッジ22と、インクヘッド24とを備えている。キャリッジ22は、ガイドレール18に係合している。キャリッジ22は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド24は、プラテン15に載置された記録媒体5にインクを吐出するノズル(図示せず)を有する。インクヘッド24は、記録媒体5に所定の画像を印刷する。インクヘッド24は、キャリッジ22に搭載されている。インクヘッド24は、キャリッジ22の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0025】
図2に示すように、カッティングヘッドユニット25は、ベース部材40に設けられている。カッティングヘッドユニット25は、本体ケース50の内方に配置されている。カッティングヘッドユニット25は、プラテン15より上方に配置されている。カッティングヘッドユニット25は、インクヘッドユニット20の左方に配置されている。図2に示すように、カッティングヘッドユニット25は、キャリッジ27と、カッター(図示せず)を有するカッティングヘッド29とを備えている。キャリッジ27は、ガイドレール18に係合している。キャリッジ27は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。カッターは、プラテン15に載置された記録媒体5を切断する。カッティングヘッド29は、キャリッジ27に搭載されている。カッティングヘッド29は、キャリッジ27の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。本実施形態では、インクヘッドユニット20のキャリッジ22とカッティングヘッドユニット25のキャリッジ27とは一体となって移動可能に構成されている。また、キャリッジ27は、キャリッジ22から独立して単独で移動可能に構成されている。
【0026】
図2に示すように、プリンタ10は、キャリッジ移動機構30を備えている。キャリッジ移動機構30は、プラテン15に載置された記録媒体5に対してインクヘッドユニット20のキャリッジ22およびカッティングヘッドユニット25のキャリッジ27を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構30は、キャリッジ22およびキャリッジ27を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構30の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構30は、第1プーリ31と、第2プーリ32と、無端状のベルト33と、キャリッジモータ34とを備えている。第1プーリ31は、ガイドレール18の左端側に設けられている。第2プーリ32は、ガイドレール18の右端側に設けられている。ベルト33は、第1プーリ31と第2プーリ32とに巻き掛けられている。ベルト33は、キャリッジ27の背面上部に固定されている。第2プーリ32には、キャリッジモータ34が接続されている。ただし、キャリッジモータ34は、第1プーリ31に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ34が駆動して、第2プーリ32が回転することで、第1プーリ31と第2プーリ32との間においてベルト33が走行する。これにより、キャリッジ22およびキャリッジ27は主走査方向Yに移動する。
【0027】
図2に示すように、プリンタ10は、媒体移動機構35を備えている。媒体移動機構35は、プラテン15に載置された記録媒体5をインクヘッドユニット20およびカッティングヘッドユニット25に対して副走査方向Xに相対的に移動させるものである。媒体移動機構35は、プラテン15に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。媒体移動機構35は、複数のグリットローラ36と、複数のピンチローラ37と、保持シャフト38と、を備えている。
【0028】
図2に示すように、グリットローラ36は、プラテン15に設けられている。グリットローラ36は、グリットローラ36の上部が外部に露出するようにプラテン15に埋設されている。グリットローラ36は、主走査方向Yに並列している。グリットローラ36は、ピンチローラ37の下方に配置されている。グリットローラ36は、ピンチローラ37との間に記録媒体5を挟み込む。グリットローラ36とピンチローラ37との間に記録媒体5が挟まれた状態で、グリットローラ36に接続されたフィードモータ(図示せず)が駆動してグリットローラ36が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0029】
図2に示すように、ピンチローラ37は、プラテン15より上方に配置されている。ピンチローラ37は、ガイドレール18より下方に配置されている。ピンチローラ37は、グリットローラ36と対向する位置に配置されている。ピンチローラ37は、プラテン15に載置された記録媒体5を上から押さえる。
【0030】
図2に示すように、保持シャフト38は、主走査方向Yに延びる。保持シャフト38は、ピンチローラ37を保持する。保持シャフト38が軸周りに回転することによって、ピンチローラ37をグリットローラ36に接近させたり、グリットローラ36から離反させたりすることができる。保持シャフト38は、プラテン15より上方に配置されている。保持シャフト38は、ベース部材40に回転可能に支持されている。
【0031】
図1に示すように、プリンタ10は、ローディングレバー45を備えている。ローディングレバー45は、作業者によって手動で操作される。ローディングレバー45は、ピンチローラ37(図2参照)をグリットローラ36(図2参照)に対して接近および離反させるように保持シャフト38(図2参照)を回転させる。ローディングレバー45は、ベース部材40に設けられている。ローディングレバー45は、第1ローディングレバー46と、第2ローディングレバー47(図3参照)とを備えている。第1ローディングレバー46および第2ローディングレバー47は、保持シャフト38と接続されたリンク機構(図示せず)によって連結されている。第2ローディングレバー47は、レバーの一例である。
【0032】
図2に示すように、第1ローディングレバー46は、プラテン15より前方に設けられている。第1ローディングレバー46は、プラテン15の右方かつ右前カバー54Rの左方に設けられている。例えば、第1ローディングレバー46を第1基準位置から第1固定位置まで押し下げることによって保持シャフト38が回転して、ピンチローラ37がグリットローラ36に接近する。また、第1ローディングレバー46を第1固定位置から第1基準位置まで押し上げることによって保持シャフト38が回転して、ピンチローラ37がグリットローラ36から離反する。
【0033】
図4に示すように、第2ローディングレバー47は、プラテン15より後方に設けられている。第2ローディングレバー47は、プラテン15の右方かつ右下後壁56Cの左方に設けられている。例えば、第2ローディングレバー47を第2基準位置から第2固定位置まで押し下げることによって保持シャフト38が回転して、ピンチローラ37がグリットローラ36に接近する。また、第2ローディングレバー47を第2固定位置から第2基準位置まで押し上げることによって保持シャフト38が回転して、ピンチローラ37がグリットローラ36から離反する。
【0034】
図4に示すように、プリンタ10は、ロール状に巻かれた記録媒体5を回転可能に保持する第1ホルダー95および第2ホルダー96を備えている。第1ホルダー95は、第2ホルダー96の左方に配置されている。第1ホルダー95および第2ホルダー96は、プラテン15より後方に配置されている。第1ホルダー95および第2ホルダー96は、本体ケース50より下方に配置されている。第1ホルダー95および第2ホルダー96は、主走査方向Yに延びるスライドバー97にスライド自在に設けられている。第1ホルダー95および第2ホルダー96は、スライドバー97に沿って主走査方向Yの位置を変更することができる。スライドバー97は、左脚部16Lおよび右脚部16Rに支持されている。なお、図2では、第1ホルダー95および第2ホルダー96の図示を省略している。
【0035】
図2に示すように、プラテン15は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持するものである。プラテン15には、記録媒体5が載置される。プラテン15は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びる。プラテン15の主走査方向Yの長さは、副走査方向Xの長さより長い。プラテン15は、ベース部材40に設けられている。プラテン15は、ベース部材40の中央部に設けられている。図5に示すように、プラテン15は、上面15Hが平坦状に形成されている。上面15Hは、記録媒体5が載置される載置面である。上面15Hは、記録媒体5の移動経路の一部である。
【0036】
図5に示すように、プラテン15は、上面15Hを上下方向に貫通する複数の吸着孔15Aを有している。吸着孔15Aは、グリットローラ36より副走査方向Xの下流側に配置されている。吸着孔15Aからは、後述するファン15Bの駆動によって空気が吸い込まれる。ファン15Bが駆動することによって、プラテン15の内部空間15Cに負圧が発生する。記録媒体5は、内部空間15Cに発生した負圧によって吸着孔15Aに吸着される。吸着孔15Aは、記録媒体5を吸着するための孔である。
【0037】
図5に示すように、ファン15Bは、プラテン15の下方に配置されている。ファン15Bは、吸着孔15Aを介して空気を吸引する吸引孔15BAと、吸引孔15BAから吸引された空気を排出する排出孔15BBとを有している。吸引孔15BAは、上方に向けて開口している。排出孔15BBは、副走査方向Xの下流側(ここでは後方)に向けて開口している。排出孔15BBは、上流側ガイド部材70に向けて開口している。ファン15Bが駆動することによって、図5の矢印F1に示すように、吸着孔15Aおよび吸引孔15BAを介してファン15Bに空気が吸引される。そして、図5の矢印F2に示すように、ファン15Bの排出孔15BBから排出された空気は、上流側ガイド部材70に向けて流れる。その後、図5の矢印F3に示すように、上流側ガイド部材70に形成された後述する排気口78を介して空気がプリンタ10の外部へと排出される。なお、排出された空気の先には記録媒体5が位置しないため、記録媒体5が浮き上がる等の問題は生じない。
【0038】
図5に示すように、プリンタ10は、上流側ガイド部材70を備えている。上流側ガイド部材70は、ガイド部材の一例である。上流側ガイド部材70は、副走査方向Xにおいてプラテン15より上流側(ここでは後方)に配置されている。上流側ガイド部材70は、ベース部材40に支持されている。上流側ガイド部材70は、記録媒体5が上流側から下流側に移動するときには、記録媒体5をプラテン15に案内する。上流側ガイド部材70は、記録媒体5が下流側から上流側に移動するときには、プラテン15から案内された記録媒体5を案内する。
【0039】
図5に示すように、上流側ガイド部材70の上面70Aは、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて斜め下方に傾いている。上面70Aは、主走査方向Yから見て略円弧状に形成されている。上流側ガイド部材70は、プラテン15の後端15Rに接続された第1部分71と、第1部分71の下端から前斜め下方に延びる第2部分72と、第2部分72の下端から下方に延びる第3部分73と、第3部分73の下端から前方に延びる第4部分74と、を備えている。第1部分71は、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて斜め下方に延びる。第2部分72は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて斜め下方に延びる。第4部分74は、副走査方向Xに延びる。第1部分71は、記録媒体5を案内する。第1部分71は、記録媒体5の移動経路の一部である。第4部分74の前端は、ベース部材40に接続している。上流側ガイド部材70は、第4部分74を上下方向に貫通する排気口78を有している。
【0040】
図6に示すように、上流側ガイド部材70は、複数の凹部80を備えている。凹部80は、グリットローラ36毎に設けられている。例えば、グリットローラ36が、8個の場合には、各グリットローラ36に対して凹部80が設けられている。図8に示すように、凹部80は、上流側ガイド部材70の上面70Aから凹むように形成されている。凹部80は、上面70Aから前斜め下方に向けて凹んでいる。凹部80は、上流側ガイド部材70の第1部分71に形成されている。凹部80は、例えば、上流側ガイド部材70にプレス加工を施すことによって形成される。
【0041】
図6に示すように、凹部80は、グリットローラ36の主走査方向Yの位置を示す。即ち、凹部80の副走査方向Xの下流側にはグリットローラ36が位置する。凹部80は、第1凹部81と第2凹部82とを含む。第1凹部81は、例えば、グリットローラ36の一端(ここでは右端36R)より他端側(ここでは左端36L側)に位置する。第1凹部81は、例えば、グリットローラ36の主走査方向Yの中心36Cより右方に位置する。第1凹部81は、グリットローラ36の主走査方向Yの一端側(ここでは右端36R側)の第1位置を示す。即ち、第1凹部81の副走査方向Xの下流側にはグリットローラ36が位置する。第1位置は、例えば、グリットローラ36の右端36Rから左方に所定の距離(例えば5mm〜20mm程度)だけ離れた位置である。なお、第1位置は、グリットローラ36の右端36Rであってもよい。第2凹部82は、例えば、グリットローラ36の他端(ここでは左端36L)より一端側(ここでは右端36R側)に位置する。第2凹部82は、例えば、グリットローラ36の主走査方向Yの中心36Cより左方に位置する。第2凹部82は、グリットローラ36の主走査方向Yの他端側(ここでは左端36L側)の第2位置を示す。即ち、第2凹部82の副走査方向Xの下流側にはグリットローラ36が位置する。第2位置は、例えば、グリットローラ36の左端36Lから右方に所定の距離(例えば5mm〜20mm程度)だけ離れた位置である。なお、第2位置は、グリットローラ36の左端36Lであってもよい。
【0042】
図7に示すように、第1凹部81および第2凹部82は、三角形状に形成されている。第1凹部81の頂点81Aを通る三角形状の第1凹部81の垂線は、主走査方向Yと平行である。第2凹部82の頂点82Aを通る三角形状の第2凹部82の垂線は、主走査方向Yと平行である。第1凹部81の頂点81Aは、第2凹部82の頂点82Aと対向する。即ち、第1凹部81の垂線と第2凹部82の垂線とは重なる。例えば、第1凹部81の頂点81Aは、グリットローラ36に対して記録媒体5を載置可能な始点を示し得る。また、第2凹部82の頂点82Aは、グリットローラ36に対して記録媒体5を載置可能な終点を示し得る。第1凹部81および第2凹部82は、副走査方向Xの上流側から見たとき(即ちプリンタ10を後方から見たとき)に、第2ローディングレバー47より上方に位置する。第1凹部81および第2凹部82は、副走査方向Xの上流側から見たときに、グリットローラ36より下方に位置する。
【0043】
図5に示すように、プリンタ10は、下流側ガイド部材90を備えている。下流側ガイド部材90は、副走査方向Xにおいてプラテン15より下流側(ここでは前方)に配置されている。下流側ガイド部材90は、ベース部材40に支持されている。下流側ガイド部材90は、記録媒体5が下流側から上流側に移動するときには、記録媒体5をプラテン15に案内する。下流側ガイド部材90は、記録媒体5が上流側から下流側に移動するときには、プラテン15から案内された記録媒体5を案内する。
【0044】
図5に示すように、下流側ガイド部材90の上面90Aは、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて斜め下方に傾いている。上面90Aは、主走査方向Yから見て略円弧状に形成されている。下流側ガイド部材90は、プラテン15の前端15Fに接続された第1部分91と、第1部分91の下端から後斜め下方に延びる第2部分92とを備えている。第1部分91は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて斜め下方に延びる。第2部分92は、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて斜め下方に延びる。第1部分91は、記録媒体5を案内する。第1部分91は、記録媒体5の移動経路の一部である。第2部分92の下端は、ベース部材40に接続している。
【0045】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、副走査方向Xにおいてプラテン15より上流側に配置された上流側ガイド部材70の上面70Aには、凹部80が形成されている。ここで、凹部80は、グリットローラ36の主走査方向Yの位置を示すため、プリンタ10の後方からグリットローラ36の位置を直接視認できない場合であっても、作業者は凹部80の位置を確認することによって容易にグリットローラ36の位置を認識することができる。これにより、作業者は、グリットローラ36上に記録媒体5を確実に載置することができる。また、凹部80は上流側ガイド部材70の上面70Aから凹むように形成されているため、記録媒体5が上流側ガイド部材70の上面70Aを副走査方向Xの上流側から下流側に移動する場合や副走査方向Xの下流側から上流側に移動する場合において、記録媒体5の前端や後端が凹部80に引っかかることがなく、記録媒体5のスムーズな移動を妨げることがない。
【0046】
本実施形態のプリンタ10によると、凹部80は、グリットローラ36の主走査方向Yの右端36R側の第1位置を示す第1凹部81と、グリットローラ36の主走査方向Yの左端36L側の第2位置を示す第2凹部82とを含む。これにより、グリットローラ36の位置がより明確となるため、第1凹部81および第2凹部82の位置に基づいて、作業者はグリットローラ36上に記録媒体5を確実に載置することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10によると、第1凹部81は、グリットローラ36の主走査方向Yの右端36Rより左端36L側に位置し、第2凹部82は、グリットローラ36の主走査方向Yの左端36Lより右端36R側に位置する。例えば、グリットローラ36において、記録媒体5の主走査方向Yの端部を載置するのにより好適な部分(例えば記録媒体5に対するグリップ力がより高い等)がある場合には、該部分の両端付近に第1凹部81および第2凹部82を形成することによって、作業者はグリットローラ36上の好適な位置に記録媒体5の端部を載置することができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10によると、第1凹部81および第2凹部82は、三角形状に形成され、第1凹部81の一の頂点81Aは、第2凹部82の一の頂点82Aと対向する。これにより、作業者は、第1凹部81の一の頂点81Aと第2凹部82の一の頂点82Aとの間にグリットローラ36が位置することをより容易に確認することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10によると、第1凹部81および第2凹部82は、副走査方向Xの上流側から見たときに、第2ローディングレバー47より上方に位置する。これにより、第1凹部81および第2凹部82はグリットローラ36により近づけて配置されるため、作業者はより容易にグリットローラ36の位置を確認することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10によると、主走査方向Yに移動可能であり、プラテン15に載置された記録媒体5を切断するカッターを有するカッティングヘッド29を備えている。カッターによって記録媒体5を切断する場合には、インクヘッド24によって記録媒体5に印刷する場合と比較して、記録媒体5がグリットローラ36によって副走査方向Xの上流側から下流側および副走査方向Xの下流側から上流側に移動される回数が多い。このため、記録媒体5が副走査方向Xの下流側から上流側に移動されるときには、記録媒体5の後端が凹部80に引っかかる虞がある。しかしながら、本実施形態では凹部80は上流側ガイド部材70の上面70Aから凹むように形成されているため、記録媒体5のスムーズな移動が実現される。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0052】
上述した実施形態では、第1凹部81および第2凹部82は三角形状に形成されていたが、これに限定されない。第1凹部81および第2凹部82は、例えば、矢印や記号(例えば「+」や「<」や「>」等)に形成されていてもよい。また、第1凹部81および第2凹部82は、円形状、長円形状、矩形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
5 記録媒体
10 プリンタ
15 プラテン
24 インクヘッド
27 キャリッジ
29 カッティングヘッド
36 グリットローラ
70 上流側ガイド部材
70A 上面
80 凹部
【要約】
【課題】プラテンに記録媒体を載置するときに容易にグリットローラの位置を把握する。
【解決手段】プリンタ10は、記録媒体5が載置されるプラテン15と、プラテン15に載置された記録媒体5にインクを吐出するノズルを有し、主走査方向Yに移動可能なインクヘッド24と、副走査方向Xにおいてプラテン15より上流側に配置され、上面70Aが副走査方向Xの下流側から上流側に向けて斜め下方に傾き、記録媒体5を案内する上流側ガイド部材70と、プラテン15に設けられ、プラテン15に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させるグリットローラ36と、を備え、上流側ガイド部材70は、上流側ガイド部材70の上面70Aから凹むように形成され、グリットローラ36の主走査方向Yの位置を示す凹部80を備えている。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8