(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568367
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】熱硬化性シート組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 53/02 20060101AFI20190819BHJP
C08L 63/02 20060101ALI20190819BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20190819BHJP
C08G 59/24 20060101ALI20190819BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
C08L53/02
C08L63/02
C08L45/00
C08G59/24
C08K5/5415
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-35464(P2015-35464)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-155955(P2016-155955A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 健太
(72)【発明者】
【氏名】田代 智史
【審査官】
佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/062167(WO,A1)
【文献】
特開2013−186976(JP,A)
【文献】
特開2013−056990(JP,A)
【文献】
特開2014−189791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 53/00−53/02
C08L 63/00−63/10
C08L 45/00−45/02
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂と、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーと、脂環族飽和炭化水素樹脂と、熱カチオン重合開始剤と、反応性官能基含有加水分解性シラン化合物とを、含み、当該エポキシ樹脂が水素化ビスフェノールAエポキシ樹脂であり、組成物中の不揮発分全体100重量部に対する配合量が20〜60重量部であることを特徴とする熱硬化性シート組成物。
【請求項2】
熱カチオン重合開始剤はスルホニウム塩系重合開始剤であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性シート組成物。
【請求項3】
反応性官能基含有加水分解性シラン化合物の反応性官能基はグリシジル基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱硬化性シート組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の封止に使用する熱硬化性シート組成物に関し、特には透明度が高く、かつ透湿性が低い熱硬化性シート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」、という)に悪影響を及ぼすことなく封止を行うことにより、ダークスポットの発生・成長を確実に抑制して、さらに高い光透過率を保持させることにより長期間にわたって安定な発光特性を維持することができる有機EL素子封止用の光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−126699号公報
【0004】
特許文献1に示される光硬化性樹脂組成物は、(A)1分子中に少なくとも2個以上のグリシジル基を有し、分子量が200〜7000のエポキシ樹脂と、(B)1分子中に少なくとも1個以上のグリシジル基を有し、分子量が20000〜100000のエポキシ樹脂と、(C)エネルギー線照射により活性化し、酸を発生する潜在性の光酸触媒と、(D)分子中にグリシジル基を含有するシランカップリング剤を含む組成物であって、前記(A)成分100重量部に対して前記(B)成分が30〜150重量部であり、なおかつ前記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して前記(C)成分が0.1〜10重量部、前記(D)成分が0.1〜10重量部であり、なおかつ前記組成物は25℃では非流動性を示し、かつ、50〜100℃の範囲で流動性を発現することを特徴とする有機EL素子封止用光硬化性樹脂組成物である。
【0005】
しかしながら、該有機EL素子封止用光硬化性樹脂組成物は、透湿性がやや高い傾向にあるため、有機EL素子内に空気中の水分が浸入して、電極の酸化や有機物の変性等が生じる場合があり、有機EL素子の発光特性が低下する場合があるという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、透湿性が低いため有機EL素子内に空気中の水分等が浸入することが少なく、有機EL素子に係る電極の酸化や有機物の変性等が生じにくく、また透明性が高く接着性が良好な熱硬化性シート組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂と、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーと、脂環族飽和炭化水素樹脂と、熱カチオン重合開始剤と、反応性官能基含有加水分解性シラン化合物とを、含むことを特徴とする熱硬化性シート組成物を提供する。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、熱カチオン重合開始剤はスルホニウム塩系重合開始剤であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性シート組成物を提供する。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、反応性官能基含有加水分解性シラン化合物の反応性官能基はグリシジル基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱硬化性シート組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る熱硬化性シート組成物は、透湿性が低いため、有機EL素子内に空気中の水分等が浸入することが少なく、有機EL素子に係る電極の酸化や有機物の変性等が生じにくいという効果がある。また透明性が高いため、長期間にわたって安定な発光特性を維持することが出来る効果がある。さらにはガラス板やPETフィルムに高い接着性を有する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の熱硬化性シート組成物は、1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂と、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーと、脂環族飽和炭化水素樹脂と、熱カチオン重合開始剤と、反応性官能基含有加水分解性シラン化合物とを、含む熱硬化性シート組成物であり、本組成物の性能を損なわない範囲で、必要により、吸湿剤、消泡剤、レベリング剤、チクソ付与剤、希釈剤、接着付与剤、難燃剤、充填材等を配合することが出来る。
【0013】
1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂
本発明に使用される1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂は、熱カチオン重合開始剤によって硬化する熱硬化性樹脂であり、組成物に接着性、低透湿性を付与するために配合される。エポキシ当量は100〜300が好ましく、より好ましくは150〜300であり、エポキシ当量が100未満では接着力低下が起こり、エポキシ当量が300超では低透湿性が損なわれる。組成物中の不揮発分全体100重量部中の配合量は、20〜60重量部であり、20重量部未満では接着不良となり、60重量部超ではハンドリング性不良となる。具体的に
は水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが出来るが、該エポキシ樹脂のほか、溶剤に溶解して流延塗工法や溶融押し出し成形法等により容易にシートを成形することができるフェノキシ樹脂をさらに加えることが出来る。フェノキシ樹脂は、熱カチオン重合開始剤によって架橋するため熱硬化樹脂としても機能し、フェノキシ樹脂を配合する場合、組成物中の不揮発分全体100重量部中のフェノキシ樹脂の配合量は、0〜20重量部が好ましく、20重量部超では接着不良となる。またフェノキシ樹脂の重量平均分子量は20000〜100000が好ましく、20000未満では成膜不良となり、100000超ではシート形成前の各材料との混合が困難と成る。
【0014】
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマー
本発明に使用されるスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーは、上記1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂と、同時に配合されることにより組成物に接着性を付与すると共に、硬化後の組成物に低い透湿性能を与える。スチレン成分の含有量は15〜35重量%が好ましく。15重量%未満では低透湿性と皮膜性が損なわれ、35重量%超ではシート形成前の各材料との混合が困難となる。また重量平均分子量は10000〜400000が好ましく、10000未満では成膜化困難となり、400000超ではシート形成前の各材料との混合が困難となる。スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーの
組成物中の不揮発分全体100重量部に対する配合量は20〜80重量部であり、20重量部未満では成膜不良となり、80重量部超では接着不良となる。
【0015】
脂環族飽和炭化水素樹脂
本発明に使用される脂環族飽和炭化水素樹脂は、例えば下記化学式(1)の繰り返しで表される樹脂であり、上記1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂とスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーと、同時に配合されることにより組成物の接着性を向上させると共に高温多湿環境下における接着信頼性を向上させ、さらには組成物の低透湿性能を向上させる。脂環族飽和炭化水素樹脂の
組成物中の不揮発分全体100重量部に対する配合量は10〜50重量部であり、10重量部未満では接着性が低下し、低透湿性能が低下する。50重量部超では成膜不良となり、また組成物に相溶せずにブリードアウトする場合がある。脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点は高温多湿下で接着性、低透湿性を維持するという点から、80〜160℃が好ましく、80℃未満では耐熱性が得られず、160℃超では接着性を損なうことがある。市販の軟化点が85〜95℃の脂環族飽和炭化水素樹脂としては、アルコンP−90(商品名、荒川化学社製)がある。
【0017】
熱カチオン重合開始剤
本発明に使用される熱カチオン重合開始剤は、熱によってカチオンイオンを発生し、例えば、カチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム等であり、アニオン部分が、BF
4-、PF
6-、SbF
6−、B(C
6F
5)
4−、等で構成されるオニウム塩を単独又は2種以上使用することが出来る。
【0018】
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4´−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4´−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4´−ビス[(ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−[(ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4´−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィドハキサフルオロホスフェート、などを使用することが出来る。
【0019】
熱カチオン重合開始剤は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。0.5重量部未満では硬化不十分となり、10重量部超では組成物としての保存安定性が不良となる。1重量部未満では硬化不十分となる傾向があり、5重量部超では組成物としての保存安定性と不良になる傾向がある。市販の芳香族スルホニウム塩の熱カチオン重合開始剤としては、サンエイドSI−80(商品名、三新化学工業株式会社製、化学名:2−メチルベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート)がある。
【0020】
反応性官能基含有加水分解性シラン化合物
本発明に使用される反応性官能基含有加水分解性シラン化合物は、良好な接着性を得るために配合され、反応性官能基とは、加水分解性を有するアルコキシシリル基以外の反応性官能基を言い、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、トリス(トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレート等を単独または併用して使用することが出来る。特に、トリス(トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートを配合することにより熱硬化性シート組成物の接着性を著しく向上させることが出来る効果があり、上記例示した他の反応性官能基含有加水分解性シラン化合物と比較してトリス(トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートは接着性向上に顕著な効果を有する。該反応性官能基含有加水分解性シラン化合物の熱硬化性シート
組成物中の不揮発分全体100重量部に対する配合量は、0.1〜10重量部が好ましく、0.1重量部未満では接着不良となり、10重量部超では硬化不良となる。
【0021】
以下,実施例及び比較例にて本出願に係る熱硬化性シート組成物について具体的に説明する。
【実施例】
【0022】
実施例及び参考例
1分子中に2以上のグリシジル基を有するエポキシ当量が100〜300のエポキシ樹脂として、エピクロン HP−7200(商品名、ジシクロペンンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:254−264、DIC社製)、jER YX−8000(商品名、水素化ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量:205、三菱化学社製)及びjER YX8034(商品名、水素化ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量:270、三菱化学社製)を使用し、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーとして、SIBSTAR 072T(商品名、スチレン含有量:23%、Mn:70000)を使用し、脂環族飽和炭化水素樹脂として、エスコレッツ5380(商品名、軟化点:80〜90℃、日本ケミカル商事社製)又はアルコンP−90(商品名、軟化点:85〜95℃、荒川化学社製)を使用し、反応性官能基含有加水分解性シラン化合物として、DYNASILAN GLYMO(商品名、化学名:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、EVONIC社製)を使用し、熱カチオン重合開始剤として、低中温(110℃〜180℃)加熱用のサンエイドSI−80(商品名、化学名:2−メチルベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、三新化学工業社製)を使用し、その他にフェノキシ樹脂として、フェノトートYP−70(商品名、ペレット状固体、重量平均分子量:50000〜60000、新日鐵住金化学社製)を使用し、表1に示す配合に加え、それぞれトルエン146重量部、酢酸ブチル37重量部を加えて均一に攪拌混合し、シート形成前混合液を得る。該混合液を離型用PETフィルムNP38SA(商品名、パナック社製)上にフィルムアプリケーター(Sheen社製、SA−204)で、40〜50μmに均一に塗布し、その後70℃オーブンで5分間乾燥し、トルエン及び酢酸エチルを全て塗布塗膜中より揮発させる。フィルム厚み測定器DIGIMICRO(NIKON社製)にて、PETフィルム上に形成された熱硬化性シート組成物の厚みが20〜25μmとなっていることを確認し実施例
及び参考例の熱硬化性シート組成物を得た
【0023】
比較例1乃至比較例9
実施例1乃至実施例5で使用した材料のほか、フェノキシ樹脂としてフェノトートYP−50(商品名、ペレット状固体、重量平均分子量60000〜80000、新日鐵住金化学社製)を使用し、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体ポリマーに代えて、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体であるセプトン2002(商品名、スチレン含有量:30重量%、Mw:不明(情報未開示)、クラレ社製)、アクリル系熱可塑性エラストマーであるクラリティLA2140e(商品名、メチルメタアクリル酸とアクリル酸ブチルとのブロック共重合体、Mw:不明(情報未開示))、非晶性共重合ポリエステル樹脂であるバイロン200(商品名、ペレット状、数平均分子量:17000、比重:1.26、Tg:67℃、東洋紡社製)、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂であるエリーテルUE3210(商品名、重量平均分子量:20000、比重:1.25、ユニチカ社製)を使用し、その他エポキシ樹脂としてEHPE3150(商品名、化学名:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシ当量:170〜190、軟化点:70〜90℃、ダイセル化学社製)、VG−3101L(商品名、化学名:2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、エポキシ当量:210、軟化点:61℃、プリンテック社製)を使用し、表1に示す配合に加え、それぞれトルエン146重量部、酢酸ブチル37重量部を加えて均一に攪拌混合し、シート形成前混合液を得る。該混合液をPETフィルムNP38SA(商品名、パナック社製)上にフィルムアプリケーター(Sheen社製、SA−204)で、40〜50μmに均一に塗布し、その後70℃オーブンで5分間乾燥し、トルエン及び酢酸エチルを全て塗布塗膜中より揮発させる。フィルム厚み測定器DIGIMICRO(NIKON社製)にて、PETフィルム上に形成された熱硬化性シート組成物の厚みが20〜25μmとなっていることを確認し比較例1乃至実施例9の熱硬化性シート組成物を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
評価項目及び評価方法
【0026】
接着性
実施例1乃至実施例5又は比較例1乃至比較例7の熱硬化性シート組成物を離型用PETフィルムが付着した状態で20×50mmに調整し、組成物側を20×50×2mm厚みの青板ガラス板の全面に重なるように貼り付け、真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス社製)にて40℃にて2分間脱泡しながら貼り付ける。その後離型用PETフィルムを剥離し、あらためて20×120mm(厚さ25μmm)にカットした剥離試験用PETフィルム ルミラー(商品名、東レ社製)を貼り付けて同様に真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス社製)にて40℃にて2分間脱泡しながら貼り付ける。この状態で100℃に昇温して1時間該温度を保ち、熱硬化性シート組成物を硬化させることにより、実施例1乃至実施例5又は比較例1乃至比較例7の熱硬化性シート組成物のそれぞれの剥離試験用試験片を作製した。その後23℃に徐冷し、引張試験機TGI−1kN(ミネベア社製)にて試験片の剥離試験用PETフィルムを青板ガラス板に対して90度方向に300mm/minで引張り、20mm幅の剥離強度(N)を測定し、これを初期剥離強度(N)とした。また剥離部分の破壊状態を目視にて観察した。また同様にして作成したそれぞれの剥離試験用試験片をさらに85℃85%RH雰囲気下に168時間放置したのち23℃に徐冷し、同様に20mm幅の剥離強度(N)を測定し、これを加熱後剥離強度(N)とすると共に剥離部分の破壊状態を目視にて観察した。
【0027】
透湿度
実施例1乃至実施例5又は比較例1乃至比較例7の熱硬化性シート組成物を100℃のオーブンに1時間放置し、熱硬化性シート組成物を硬化させる。その後、JIS Z 0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))に準拠し、条件B(40±0.5℃、相対湿度90±2%)の温湿度条件で、透湿度(g/m
2・24h)を求めた。
【0028】
全光線透過率
実施例1乃至実施例5又は比較例1乃至比較例7の熱硬化性シート組成物を100℃のオーブンに1時間放置し、熱硬化性シート組成物を硬化させる。その後、JIS K 7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法―第1部;シングルビーム法)に準拠し、厚さ20μm部分の全光線透過率(%)を測定した。
【0029】
評価結果
評価結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
まとめ
実施例1乃至実施例5は青板ガラス及びPETフィルム対する接着性は良好であり、透湿度は19g/m
2・24h以下であり、全光線透過率は90%以上であった。