特許第6568376号(P6568376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568376
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】柱継手構造の設計方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20190819BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   E04B1/24 PESW
   E04B1/58 503F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-71857(P2015-71857)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191257(P2016-191257A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】吉田 文久
(72)【発明者】
【氏名】平松 剛
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−021193(JP,A)
【文献】 特開2005−180061(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103669584(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
E04C 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
十字形に設けた第1板部材の4箇所の各端に第2板部材を設けたクロスH形の鋼材からなる端部鋼材部と、この端部鋼材部に固定された方形のエンドプレートとを備える継手部が、上下に配置される柱部の互いに向かい合う各端部に接合されており、上記継手部同士が上記エンドプレートの四隅で相互にボルト・ナットによって接合される柱継手構造の設計方法であって、
上記エンドプレートに生じる降伏線として、
隣り合う第2板部材の端部側をそれぞれ通り上記エンドプレートの辺と平行で互いに直角に交差する線であって、この交差する点Bから上記エンドプレートの辺に至る互いに等しい長さの線ABおよび線BCと、
上記線ABと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Bと上記エンドプレートの角とを結ぶ線と交差する点Eから上記エンドプレートの辺に至る長さの線DEと、
上記線BCと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Eから上記エンドプレートの辺に至る、上記線DEと等しい長さの線EFと、上記点Bと上記点Eとを結ぶ線BEと、を設定し、
降伏線理論を用いて上記エンドプレートの耐力を算出し、上記エンドプレートが上記柱部に対して必要とされる耐力を備えるように設計することを特徴とする柱継手構造の設計方法。
【請求項2】
請求項1に記載の柱継手構造の設計方法において、上記線DEは、上記ボルト・ナットの六角部の一つの面が上記線ABに平行となるときの当該一つの面に接する位置から、上記ボルト・ナットの円形座金の外周に接する位置の範囲内に存在し、上記線EFは、上記ボルト・ナットの六角部の一つの面が上記線BCに平行となるときの当該一つの面に接する位置から、上記ボルト・ナットの円形座金の外周に接する位置の範囲内に存在することを特徴とする柱継手構造の設計方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の柱継手構造の設計方法において、上記の線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの各長さである、LAB、LBC、LDE、LEFおよびLBEを数2の式で与え、
【数2】

上記エンドプレートの板厚をetとし、また、F値(基準強度)をeFとして、上記エンドプレートの局部耐力Ppを数7の式で与え、
【数7】

上記局部耐力Ppに基づく上記エンドプレートの面外曲げ耐力が、各柱部の降伏耐力の所定値を越えるように設計することを特徴とする柱継手構造の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下側の柱部と上側の柱部を相互に連結する柱継手構造およびその設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下側の柱部と上側の柱部を相互に連結する柱継手構造の設計においては、当該柱継手構造を構成しているエンドプレートの面外曲げ耐力を求め、この面外曲げ耐力が柱部の降伏耐力の例えば1/2以上を満たすようにする設計方法がある。また、特許文献1には、降伏線理論を用い、ダイアフラム形式でかつ直筒状の接合部パネルを用いた上下柱異径の鉄骨柱梁接合部につき、上部通しダイアフラムの接合部の耐力を精度良く予測する耐力予測方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−28997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の柱継手構造の設計方法では、上記エンドプレートの面外曲げ耐力を求めるのに複雑な計算が必要であった。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、降伏線理論を用い、比較的簡単な計算により適切な耐力を有する柱継手構造を設計することを可能にする設計方法および柱継手構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の柱継手構造の設計方法は、上記の課題を解決するために、十字形に設けた第1板部材の4箇所の各端に第2板部材を設けたクロスH形の鋼材からなる端部鋼材部と、この端部鋼材部に固定された方形のエンドプレートとを備える継手部が、上下に配置される柱部の互いに向かい合う各端部に接合されており、上記継手部同士が上記エンドプレートの四隅で相互にボルト・ナットによって接合される柱継手構造の設計方法であって、
上記エンドプレートに生じる降伏線として、
隣り合う第2板部材の端部側をそれぞれ通り上記エンドプレートの辺と平行で互いに直角に交差する線であって、この交差する点Bから上記エンドプレートの辺に至る互いに等しい長さの線ABおよび線BCと、
上記線ABと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Bと上記エンドプレートの角とを結ぶ線と交差する点Eから上記エンドプレートの辺に至る長さの線DEと、
上記線BCと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Eから上記エンドプレートの辺に至る、上記線DEと等しい長さの線EFと、
上記点Bと上記点Eとを結ぶ線BEと、を設定し、
降伏線理論を用いて上記エンドプレートの耐力を算出し、上記エンドプレートが上記柱部に対して必要とされる耐力を備えるように設計することを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、降伏線理論を用い、降伏線として線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの5本の線を設定するので、比較的簡単な計算により適切な耐力を有する柱継手構造を設計することが可能になる。
【0008】
上記線DEは、上記ボルト・ナットの六角部の一つの面が上記線ABに平行となるときの当該一つの面に接する位置から、上記ボルト・ナットの円形座金の外周に接する位置の範囲内に存在し、上記線EFは、上記ボルト・ナットの六角部の一つの面が上記線BCに平行となるときの当該一つの面に接する位置から、上記ボルト・ナットの円形座金の外周に接する位置の範囲内に存在するようにしてもよい。
【0009】
上記の線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの各長さである、LAB、LBC、LDE、LEFおよびLBEを下記の数2の式で与え、
【数2】
上記エンドプレートの板厚をtとし、また、F値(基準強度)をFとして、上記エンドプレートの局部耐力Pを数7の式で与え、
【数7】
上記局部耐力Pに基づく上記エンドプレートの面外曲げ耐力が、各柱部の降伏耐力の所定値を越えるように設計するようにしてもよい。
【0010】
また、この発明の柱継手構造は、十字形に設けた第1板部材の4箇所の各端に第2板部材を設けたクロスH形の鋼材からなる端部鋼材部と、この端部鋼材部に固定された方形のエンドプレートとを備える継手部が、上下に配置される柱部の互いに向かい合う各端部に接合されており、上記継手部同士が上記エンドプレートの四隅で相互にボルト・ナットによって接合される柱継手構造であって、
上記エンドプレートに生じる降伏線として、
隣り合う第2板部材の端部側をそれぞれ通り上記エンドプレートの辺と平行で互いに直角に交差する線であって、この交差する点Bから上記エンドプレートの辺に至る互いに等しい長さの線ABおよび線BCと、
上記線ABと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Bと上記エンドプレートの角とを結ぶ線と交差する点Eから上記エンドプレートの辺に至る長さの線DEと、
上記線BCと平行となる上記ボルト・ナットに近接する線であって、上記点Eから上記エンドプレートの辺に至る、上記線DEと等しい長さの線EFと、
上記点Bと上記点Eとを結ぶ線BEと、を設定し、
上記の線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの各長さである、LAB、LBC、LDE、LEFおよびLBEを数2の式で与え、
【数2】
上記エンドプレートの板厚をtとし、また、F値(基準強度)をFとして、上記エンドプレートの局部耐力Pを数7の式で与え、
【数7】
上記局部耐力Pに基づく上記エンドプレートの面外曲げ耐力が、各柱部の降伏耐力の所定値を越えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明であれば、降伏線理論を用い、上記降伏線として線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの5本の線を設定するので、適切な耐力を有する柱継手構造を比較的簡単な計算により設計することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施形態に係る柱継手構造を示した概略の側面図である。
図2図1のA−A矢視断面図である。
図3図1のB−B矢視断面図である。
図4図1の柱継手構造に関して設定される降伏線を説明する説明図である。
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示しているように、この実施形態にかかる設計の対象となる柱継手構造1は、下側の角鋼管柱部2と上側の角鋼管柱部3とを相互に接合するための継手構造であって、上記角鋼管柱部2の上端面に接合された第1継手部20と、上記角鋼管柱部3の下端面に接合された第2継手部30とを備えている。そして、上記第1継手部20および第2継手部30は、正方形状のエンドプレート21、31をそれぞれ有しており、これらエンドプレート21、31が互いに接し合った状態で、ボルト・ナット5によって相互に無溶接で接合される。上記ボルト・ナット5としては、丸頭の高力ボルトと丸座金付き六角ナットを用いることができる。なお、上記ボルトの頭形状は丸頭に限らず、六角頭でもよい。また、上記第1継手部20と第2継手部30の長短関係は上下逆にしても構わない。ただし、ナットを長い方の継手の側に位置させるようにするのがよい。
【0014】
上記第1継手部20は、上記エンドプレート21と、上記角鋼管柱部2の上端面に接合された方形のプレート22と、これらのプレート21、22間に位置し、各プレート21、22に接合された端部鋼材部23とからなる。そして、上記エンドプレート21の4隅には、上記ボルト・ナット5が装着される貫通孔が形成されている。
【0015】
上記端部鋼材部23は、図2に示すように、横断面が十字形となるように設けられたウェブ部(第1板部材)23bの4箇所の各端に横断面が長方形板状のフランジ部(第2板部材)23aを設けたクロスH形の鋼材からなる。また、上記ウェブ部23bは、その端側に位置する上記エンドプレート21の辺に直角に交差するように配置されており、上記フランジ部23aは、その広幅の面が上記エンドプレート21の辺と平行になるように配置される。そして、上記ウェブ部23bとプレート21、22との接合、上記十字形に設けられたウェブ部23bの交差箇所の接合および各ウェブ部23bの端と上記フランジ部23aとの接合は、溶接によって行われている。
【0016】
また、各フランジ部23aの上下端面と上記プレート21、22との接合にも溶接が用いられる。さらに、この溶接が適切に行われるように、各フランジ部23aの裏面側には、裏当て板23cが設けられる。この裏当て板23cは、柱継手構造1の耐力には特に関係しない。また、この実施形態では、上記フランジ部23aは、上記正方形状のエンドプレート21の各辺と面一となるようには設けられておらず、各辺から内側に入り込ませた状態で固定されており、例えば当該フランジ部23aに何らかの部材が装着されるような場合でも、この部材が上記エンドプレート21の辺から突出しないか或いは突出量が少なくなるようにしている。もちろん、上記フランジ部23aは、上記正方形状のエンドプレート21の各辺と面一となるように設けられてもよい。
【0017】
上記第2継手部30は、上記エンドプレート31と、上記角鋼管柱部3の上端面に接合された方形のプレート32と、これらのプレート31、32間に位置し、各プレート31、32に接合された端部鋼材部33とからなる。そして、上記エンドプレート31の4隅には、上記ボルト・ナット5が装着される貫通孔が形成されている。
【0018】
上記端部鋼材部33は、図3に示すように、横断面が十字形となるように設けられたウェブ部33bの4箇所の各端に横断面が長方形板状のフランジ部33aを設けたクロスH形の鋼材からなる。また、上記ウェブ部33bは、その端側に位置する上記エンドプレート31の辺に直角に交差するように配置されており、上記フランジ部33aは、その広幅の面が上記エンドプレート31の辺と平行になるように配置される。そして、上記ウェブ部33bとプレート31、32との接合、上記十字形に設けられたウェブ部33bの交差箇所の接合および各ウェブ部33bの端と上記フランジ部33aとの接合は、溶接によって行われている。
【0019】
また、各フランジ部33aの上下端面と上記プレート31、32との接合にも溶接が用いられる。さらに、この溶接が適切に行われるように、各フランジ部33aの裏面側には、裏当て板33cが設けられる。この裏当て板33cは、柱継手構造1の耐力には特に関係しない。また、この実施形態では、上記フランジ部33aは、上記正方形状のエンドプレート31の各辺と面一となるようには設けられておらず、各辺から内側に入り込ませた状態で固定されており、例えば当該フランジ部33aに何らかの部材が装着されるような場合でも、この部材が上記エンドプレート31の辺から突出しないか或いは突出量が少なくなるようにしている。もちろん、上記フランジ部33aは、上記正方形状のエンドプレート31の各辺と面一となるように設けられてもよい。
【0020】
また、上記端部鋼材部33の高さは、上記ボルト・ナット5の装着ができる高さとされるが、上記端部鋼材部23の高さは、上記ボルト・ナット5の締結工具の高さを考慮して設定されており、また、上記端部鋼材部23のフランジ部23aの板厚は、上記端部鋼材部33のフランジ部33aよりも厚くされているが、これに限らず、上記端部鋼材部23のフランジ部23aの板厚と上記端部鋼材部33のフランジ部33aの板厚は同じでもよい。
【0021】
次に、上記柱継手構造1の上記端部鋼材部23における上記エンドプレート21の面外曲げ耐力を降伏線理論によって求めることについて説明していく。図4に示すように、上記エンドプレート21に生じる降伏線として、
隣り合うフランジ部23aの端面(端部側)をそれぞれ通り上記エンドプレート21の辺と平行で互いに直角に交差する線であって、この交差する点Bから上記エンドプレート21の辺に至る互いに等しい長さの線ABおよび線BCと、
上記線ABと平行となる上記ボルト・ナット5に近接する線であって、上記点Bと上記エンドプレート21の角とを結ぶ線と交差する点Eから上記エンドプレート21の辺に至る長さの線DEと、
上記線BCと平行となる上記ボルト・ナット5に近接する線であって、上記点Eから上記エンドプレート21の辺に至る、上記線DEと等しい長さの線EFと、
上記点Bと上記点Eとを結ぶ線BEと、を設定する。
【0022】
ここで、上記線DEは、上記ボルト・ナット5におけるナットの円形の座金5aの外周に接する位置に設定しているが、これに限るものではなく、上記ボルト・ナット5における六角ナットの一つの面が上記線ABに平行となるときの当該一つの面に接する位置に設定してもよい。また、上記線DEは、上記座金5aの外周に接する位置から、上記ボルト・ナット5における六角ナットの一つの面が上記線ABに平行となるときの当該一つの面に接する位置の範囲内のいずれかの位置に設定してもよい。上記線EFについても、上記と同様に設定することができる。
【0023】
上記柱継手構造1にかかる曲げの力に対し、上記ボルト・ナット5に伸びが生じないとして、上記の線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの回転角θを、以下の数1の式で与える。
【0024】
【数1】
【0025】
上記の線AB、線BC、線DE、線EFおよび線BEの長さを以下の数2の式で与える。
【数2】
【0026】
上記エンドプレート21の板厚をtとし、また、F値(基準強度)をFとして、各降伏線の単位長さあたりの全塑性モーメントを以下の数3の式で与える。
【数3】
【0027】
各降伏線における内部仕事を以下の数4の式で与える。
【数4】
【0028】
降伏線における内部仕事の総和Eは、以下の数5の式で与えられる。
【数5】
【0029】
上記エンドプレート21の面外曲げによる局部耐力をPとし、外力による仕事Wを以下の数6の式で与える。
【数6】
【0030】
内部仕事の総和Eと外力による仕事Wを等しいとすると、局部耐力Pは、以下の数7の式が与えられる。
【数7】
【0031】
上記エンドプレート21の局部降伏耐力Pを以下の数8の式で与える。
【数8】
【0032】
上記エンドプレート21の面外曲げ耐力は、応力中心間距離をlとして、以下の数9の式による。
【数9】
【0033】
上記エンドプレート21の面外曲げ耐力が、上記角鋼管柱部2、3の降伏耐力の1/2(所定値)以上となるように、例えば、上記エンドプレート21の板厚tを決定することができる。
【0034】
同様に、上記端部鋼材部33における上記エンドプレート31の面外曲げ耐力を降伏線理論によって求め、上記エンドプレート31の面外曲げ耐力が、上記角鋼管柱部2、3の降伏耐力の1/2(所定値)以上となるように、例えば、上記エンドプレート31の板厚を決定することができる。なお、上記エンドプレート21と上記エンドプレート31とにおいて、一方が上記ボルト・ナット5におけるボルトの丸頭の径を基準に線DE、線EFを設定し、他方がナットの座金の径を基準に線DE、線EFを設定する等の相違が生じてもよい。
【0035】
上記の設計方法によれば、降伏線理論を用い、降伏線として上記5本の線を設定するので、比較的簡単な計算により適切な耐力を有する柱継手構造を設計することが可能になる。また、このような設計で必要とされる耐力を得た柱継手構造は、板厚を過剰に厚くすることなく、軽量化および低コスト化が図れることになる。なお、上記の設計方法は、上記フランジ部23a、33aが上記正方形状のエンドプレート21、31の各辺と面一となる場合と内側に入り込ませる場合のどちらにも用いることができる。
【0036】
なお、上記の例では、上記フランジ部(第2板部材)23aの形状を、上記ウェブ部(第1板部材)23bと交差する方向に長い横断面長方形状としたが、これに限らず、上記エンドプレート21の辺に近い側の辺が長く、上記ウェブ部23b側の辺が短い横断面台形状とすることもできる。また、このような横断面台形状のフランジ部23aとする場合は、「隣り合うフランジ部23aの端部側をそれぞれ通り上記エンドプレート21の辺と平行で互いに直角に交差する線」における端部側は、例えば、上記長い方の辺と短い方の辺の差分の中間位置とする等、端部近傍とすればよい。上記フランジ部(第2板部材)33aにおいても同様である。
【0037】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 柱継手構造
2 下側の角鋼管柱部
20 第1継手部
21 エンドプレート
22 プレート
23 端部鋼材部
23a フランジ部(第2板部材)
23b ウェブ部(第1板部材)
3 上側の角鋼管柱部
30 第2継手部
31 エンドプレート
32 プレート
33 端部鋼材部
33a フランジ部(第2板部材)
33b ウェブ部(第1板部材)
5 ボルト・ナット
図1
図2
図3
図4