(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、説明の便宜上、リベッタの加工軸に対し平行な方向をZ方向と称し、リベッタの加工軸とロボットの基軸とを結びZ方向に直交する方向をX方向と称し、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向と称する。
【0020】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る部品取付システム10の構成について、
図1〜
図3を参照して説明する。なお、以下、航空機のフレーム(骨部材)70に部品80を取り付けるシステムに本発明に係る部品取付システム10を適用した場合について説明する。ただし、骨部材70は航空機のフレームに限定されず、ストリンガなどのフレーム以外の航空機の骨部材、および、航空機以外の骨部材を骨部材70として採用することができる。また、部品80は航空機の部品に限定されず、航空機以外の部品を部品80に用いることもできる。
【0021】
部品取付システム10は、位置合わせ部20、ロボット30、リベッタ40、第1検出装置50および制御装置60を備えている。位置合わせ部20は、骨部材70上の取付位置を加工軸41に対して位置合わせする装置であり、たとえば、骨部材70を搬送する搬送装置が用いられる。位置合わせ部20は、骨部材70を移動させる第1ポジショナ21および第2ポジショナ22を有している。
【0022】
第1ポジショナ21は、リベッタ40の加工軸41に直交する方向において骨部材70の形状に対応した形状を有しており、たとえば、弧形状の骨部材70に対して弧形状である。第1ポジショナ21の上面は、骨部材70を載置する面であって、リベッタ40の加工軸41に直交し、たとえば水平になるように配置されている。第1ポジショナ21は弧の中心に対して周方向(θ方向)に移動可能である。
【0023】
第2ポジショナ22は第1ポジショナ21の下に配置されており、第1ポジショナ21を支持してX方向およびY方向に移動させることができる。このように、第1ポジショナ21および第2ポジショナ22によって骨部材70は加工軸41に直交する方向(たとえば、水平方向)に移動させられる。
【0024】
ロボット30は、骨部材70上の取付位置に部品80を搬送し、第1カメラ51により撮像された画像および第1センサにより検出された部品80の位置および傾きに基づいて部品80の加工位置および加工方向を加工軸41に対して位置合わせする装置である。ロボット30は、弧形状の第1ポジショナ21よりその中心側に配置されている。たとえば、ロボット30として、水平多関節型・垂直多関節型などのロボットが用いられる。ロボット30は、アーム部31、リスト部32およびハンド部33を有している。
【0025】
アーム部31はZ方向に延びる基軸34と回転関節により連結され、基軸34のまわりに旋回したり、リスト部32をX、Y、Zの各方向に移動させたりすることが可能である。この基軸34は、リベッタ40の加工軸41に対して、たとえば平行な方向に設けられる。リスト部32は、アーム部31の先端と回転関節により連結され、アーム部31に対しハンド部33をZ方向に移動可能である。ハンド部33は、リスト部32に連結され、部品80などを吸着または挟持などにより把持可能である。各関節には駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。
【0026】
リベッタ40は、骨部材70および部品80を加工軸41に沿って穿孔しリベット42により締結して、部品80を骨部材70に取り付ける装置である。この加工軸41は、締結の際にリベット42の軸部の中心線を合わせる基準線である。
【0027】
リベッタ40は、たとえば、C骨部材型が用いられる。リベッタ40は、側面視によりC字型の本体を有しており、本体には内部空間が設けられている。内部空間は、ロボット30側に開口している。
【0028】
内部空間より上側の空間には、ドリル43およびアッパーアンビル44が配置されている。ドリル43およびアッパーアンビル44は、互いに間隔を空けてX方向に並んで第1変位部45に取り付けられている。第1変位部45はX方向に延びて、ドリル43およびアッパーアンビル44の位置をX方向に移動可能であって、これらをリベッタ40の加工軸41へ配置する。上側の空間は内部空間に開口しているため、ドリル43およびアッパーアンビル44を下降させることにより、内部空間に移動させることができる。
【0029】
ドリル43は、たとえば、回転動作によって骨部材70および部品80を穿孔する工具であって、円柱形状を有している。ドリル43はその回転軸が加工軸41に対して平行になるように配置されている。アッパーアンビル44は、リベット42を把持して骨部材70および部品80の各孔に挿入し、リベット42をその上方から押さえてかしめるための工具である。アッパーアンビル44は、把持したリベット42の軸部の中心線、および、リベット42を押さえる方向が加工軸41に対して平行になるように配置されている。
【0030】
内部空間内の上部に、第1検出装置50およびプレッシャーフット46が配置されている。第1検出装置50およびプレッシャーフット46は、互いに間隔を空けてX方向に並んで第2変位部47に取り付けられている。第2変位部47は、X方向に延びて、第1検出装置50およびプレッシャーフット46の位置をX方向に移動可能であって、これらをリベッタ40の加工軸41へ配置する。
【0031】
第1検出装置50は、部品80の位置および傾きを検出するものであって、カメラ(第1カメラ)51、レーザ照射部(第1レーザ照射部)52および画像処理部53により構成されている。この実施の形態では、第1レーザ照射部52は第1カメラ51と一体的に設けられている。また、この実施の形態では、画像処理部53は制御装置60に設けられているが、画像処理部53は制御装置60とは別に設けられていてもよい。
【0032】
第1カメラ51は、加工軸41上に設けられ、かつ、その光軸がリベッタ40の加工軸41に一致するように配置されている。第1カメラ51は骨部材70の取付位置に搬送された部品80を撮像する。第1カメラ51は取得した部品80の画像を画像処理部53に出力する。この部品80の輪郭と制御装置60に記憶されたCADなどの設計情報との比較により部品80の位置(X座標およびY座標)および回転(Z軸周りの傾きRZ)が求められる。
【0033】
第1レーザ照射部52は、取付位置に搬送された部品80にレーザを照射する装置である。第1レーザ照射部52はリベッタ40の加工軸41上に配置されていてもよいし、加工軸41の近傍に配置されていてもよい。第1レーザ照射部52によるレーザが投影された部品80の画像は第1カメラ51により取得され、画像処理部53に出力される。この部品80に投影されたレーザの位置または形などにより部品80の高さ(Z座標)および傾き(X軸周りの傾きRXおよびY軸周りの傾きRY)が求められる。このため、第1カメラ51は第1レーザ照射部52の受光部としても機能し、第1カメラ51および第1レーザ照射部52は取付位置に搬送された部品80の傾きを検出するセンサ(第1センサ)として機能する。
【0034】
プレッシャーフット46は、穿孔、ならびに、リベット42の挿入およびかしめを行う際に部品80をその上方から押さえる工具である。プレッシャーフット46は、その内部空間にドリル43またはアッパーアンビル44が挿入されるように、中空部を有する円筒形状である。円筒形状の中心軸はリベッタ40の加工軸41に一致またはそれに平行であって、その下端は加工軸41に直交する面に配置される。
【0035】
内部空間内の下部に、ロワークランプ48およびロワーアンビル49が配置されている。ロワークランプ48は、穿孔、ならびに、リベット42の挿入およびかしめを行う際に部品80をその下方から押さえる工具である。ロワークランプ48は、その内部空間にドリル43またはロワーアンビル49が挿入されるように、円筒形状である。中空部を有する円筒形状の中心軸はリベッタ40の加工軸41に一致またはそれに平行であって、その上端は加工軸41に直交する面に配置される。
【0036】
ロワーアンビル49は、リベット42のかしめを行う際にリベット42をその下方から押さえて、リベット42の下部を押し潰す工具である。ロワーアンビル49は、円柱形状の軸部を有しており、軸部の中心線および押さえる方向が加工軸41に一致するように配置されている。
【0037】
内部空間の内部では、第1検出装置50およびプレッシャーフット46の下方であってロワークランプ48およびロワーアンビル49の上方に骨部材70が配置されるように、位置合わせ部20の第1ポジショナ21が配置されている。第1ポジショナ21は、X方向においてロボット30との間に骨部材70を挟むように配置されている。
【0038】
制御装置60は、演算部(図示せず)および記憶部(図示せず)を備えている。制御装置60は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置60は、集中制御する単独の制御装置60によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置60によって構成されていてもよい。
【0039】
記憶部には、ROM、RAM等が用いられ、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部は、CPU等が用いられ、記憶部に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、部品取付システム10の各構成部を制御する。
【0040】
次に、部品取付システム10の動作(部品取付方法)について、
図4〜
図14を参照して説明する。
図4の各ステップS1〜S15に示される部品取付システム10の動作は制御装置60により制御される。
【0041】
まず、位置合わせ部20に骨部材70を固定する(ステップS1)。たとえば、
図5Aに示すように、第1ポジショナ21を移動させて所定のセット位置に配置する。骨部材70には3か所に第1基準孔71が予め設けられている。
図5Bに示すように、第1基準孔71を第1ポジショナ21の第2基準孔24に一致させて、第1基準孔71および第2基準孔24に位置決めピン23を挿入して、骨部材70を第1ポジショナ21上に位置合わせして固定する。
【0042】
なお、第1基準孔71は骨部材70の輪郭に対して所定の位置に配置され、第2基準孔24は第1ポジショナ21の所定の位置に配置されている。よって、第1基準孔71と第2基準孔24とを一致させることにより、第1ポジショナ21に対する骨部材70上の位置を特定することができる。また、リベッタ40の加工軸41に対して直交する方向の第1ポジショナ21によって、骨部材70はその加工面がリベッタ40の加工軸41に対して直交する方向に配置される。
【0043】
続いて、リベッタ40の加工軸41に対して骨部材70の取付位置を位置決めする(ステップS2)。
図6に示すように、骨部材70の取付位置がリベッタ40の加工軸41上に位置するように、第1ポジショナ21を周方向、第2ポジショナ22をX方向およびY方向に移動させる。
【0044】
続いて、部品80を把持して移動する(ステップS3)。
図7Aに示すように、アーム部31を旋回させて、ハンド部33をパレットに移動させる。このパレットには所定の位置に各種の部品80が配置されている。このため、取付位置に応じた部品80のあるパレットの位置にハンド部33を移動させる。そして、
図7Bに示すように、リスト部32によりハンド部33をZ方向に移動させて、ハンド部33で部品80を把持する。
【0045】
図8に示すように、アーム部31を基軸34に対して旋回させて、部品80の加工位置をリベッタ40の加工軸41上の所定の位置に移動させる。この所定の位置は骨部材70より上方であって第1検出装置50より下方であり、部品80は骨部材70に接触せず、部品80と骨部材70との間には所定の間隔が設けられる。
【0046】
続いて、部品80の位置および傾きを計測する(ステップS4)。
図9に示すように、第1カメラ51の光軸が加工軸41に一致するように、第1検出装置50を第2変位部47によりX方向に移動させる。そして、第1レーザ照射部52により部品80より上方から部品80に対してレーザを照射する。このレーザが投影された部品80の上面の画像を部品80より上方から第1カメラ51により取得し画像処理部53に出力する。
【0047】
画像処理部53は、画像から部品80の輪郭を取得し、記憶部に予め記憶されている第1基準情報に対する部品80の輪郭のズレ量を取得する。このズレ量からX方向の位置ズレ量ΔX、Y方向の位置ズレ量ΔYおよびZ軸周りの回転のズレ量ΔRZを算出する。なお、第1基準情報は、部品80の設計情報に基づき、所定の位置における部品80の輪郭を示す情報であり、部品80の加工位置がリベッタ40の加工軸41に位置するように予め設定されている。
【0048】
また、画像処理部53は、画像から部品80に投影されたレーザの形状および長さを取得し、記憶部に予め記憶されている第2基準情報に対するレーザの形状および長さのズレ量を取得する。このズレ量からZ方向のズレ量ΔZ、X軸周りの傾きのズレ量ΔRX、および、Y軸周りの傾きのズレ量ΔRYを算出する。なお、第2基準情報は、所定の位置に投影されたレーザの形状および長さを示す情報である。
【0049】
続いて、部品80の位置および傾きの各ズレ量が所定の閾値以内か否かを判定する(ステップS5)。各ズレ量が閾値以内であれば(ステップS5:YES)、ステップS7の処理に進む。一方、各ズレ量が閾値より大きければ(ステップS5:NO)、ステップS6の処理に進む。
【0050】
ステップS6の処理では、部品80の位置などを補正する。たとえば、各ズレ量を無くすように、アーム部31、リスト部32およびハンド部33を動かす。これにより、部品80の加工位置が加工軸41上の所定の位置に配置され、加工位置における部品80の加工方向が加工軸41に一致するように、部品80の傾きおよび位置などが補正される。補正後、再び部品80の位置および傾きを計測し(ステップS4)、各ズレ量が所定の閾値以内か否かを判定する(ステップS5)。閾値以内となるまでこの作業を繰り返す。こうして、リベッタ40の加工軸41に対して部品80の位置決めが行われる。
【0051】
続いて、部品80をリベッタ40に固定する(ステップS7)。
図10Aに示すように、適正な姿勢に補正された部品80を、その姿勢のまま、加工軸41に沿って下降させて骨部材70に近づける。これにより、加工軸41に沿った部品80のZ方向のみの位置が変化し、これ以外のX方向およびY方向の位置および傾きは変化しない。そして、部品80の下面を骨部材70の上面に接触させる。この際、骨部材70の下面がロワークランプ48の上端上に配置されており、骨部材70はロワークランプ48に支持されている。
【0052】
そして、
図10Bに示すように、プレッシャーフット46の中心軸が加工軸41に一致するように、プレッシャーフット46を第2変位部47によりX方向に移動させる。
図10Cに示すように、プレッシャーフット46を下降させて、プレッシャーフット46の下端を部品80の上面に接触させる。これにより、部品80および骨部材70はプレッシャーフット46およびロワークランプ48により挟まれて固定される。
【0053】
続いて、部品80の把持を解除する(ステップS8)。
図11Aに示すように、ハンド部33による部品80の把持を解除する。この際、部品80はプレッシャーフット46およびロワークランプ48により固定されているため、部品80の位置および傾きは変化しない。そして、
図11Bに示すように、アーム部31を旋回させて、ロボット30をリベッタ40から離す。
【0054】
続いて、部品80および骨部材70を加工軸41に沿って穿孔する(ステップS9)。
図12Aに示すように、ドリル43を回転させながら加工軸41に沿って下降させる。これにより、
図12Bに示すように、ドリル43がプレッシャーフット46の中空部に進行し、部品80および骨部材70を加工軸41に沿って穿孔して、ロワークランプ48の中空部に進入する。この部品80の加工位置および骨部材70の取付位置は各軸上に位置しているため、取付位置に孔(第1孔)が設けられ、加工位置に孔(第2孔)が設けられる。
【0055】
続いて、部品80および骨部材70をリベット42により締結する(ステップS10)。
図13Aに示すように、リベット42の軸部の中心軸が加工軸41に一致するように、アッパーアンビル44を第1変位部45によりX方向に移動させる。そして、
図13Bに示すように、アッパーアンビル44によりリベット42を加工軸41に沿って下降させる。この際、
図13Cに示すように、ロワーアンビル49をロワークランプ48の中空部内に配置しておく。これにより、リベット42の軸部、プレッシャーフット46の中空部、第1孔、第2孔、ロワークランプ48の中空部およびロワーアンビル49の軸の各中心線が加工軸41上に並ぶ。よって、リベット42がプレッシャーフット46の中空部、第1孔および第2孔を進行し、リベット42の挿入が完了した後にロワーアンビル49を上昇させる。これにより、リベット42の下端部が押し潰されて、リベット42がかしめられ、部品80および骨部材70がリベット42により締結される。
【0056】
続いて、
図14Aに示すように、同じ部品80において他の加工位置がある場合(ステップS11:YES)、
図14Bに示すように、その骨部材70の取付位置にリベッタ40の加工軸41を位置決めする(ステップS12)。このステップS12の処理は、ステップS2の処理と同様であるため、その説明を省略する。この際、プレッシャーフット46を上昇させて、ロワークランプ48を下降させて、骨部材70を第1ポジショナ21により移動させる。部品80は骨部材70にリベット42により既に固定されているため、部品80は骨部材70と同時に加工軸41に対して位置決めされる。
【0057】
続いて、部品80をリベッタ40に固定する(ステップS13)。このステップS13の処理は、ステップS7の処理と同様であるため、その説明を省略する。そして、部品80および骨部材70を穿孔する(ステップS14)。このステップS14の処理は、ステップS9の処理と同様であるため、その説明を省略する。そして、部品80および骨部材70をリベット42により締結する(ステップS15)。このステップS15の処理は、ステップS10の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
上記構成によれば、第1カメラ51が加工軸41上に設けられているため、加工軸41上における部品80の位置および傾きを検出することができる。この位置および傾きに基づいて部品80の加工位置およびその加工方向を加工軸41に合わせることができる。これにより、位置合わせした場所から加工軸41上に部品80を移動させる必要がなく、移動による部品80の位置ずれを防ぎ、部品80を骨部材70に高精度で位置決めして取り付けることができる。
【0059】
また、位置合わせ部20によりリベッタ40の加工軸41に対して骨部材70の取付位置の位置合わせが行われる。また、ロボット30によりリベッタ40の加工軸41に対して部品80の加工位置の位置合わせが行われる。このため、部品80および骨部材70を加工軸41に沿って穿孔し、各孔にリベット42を挿入するだけで、骨部材70の取付位置と部品80の加工位置とをリベット42により固定することができる。
【0060】
さらに、部品80の位置決めにロボット30を用い、骨部材70の位置決めを行う位置合わせ部20に搬送装置を用いている。これにより、部品80および骨部材70の位置決め精度が向上すると共に、作業員による手作業に比べて時間およびコストの低減を図ることができる。さらに、高価な位置決め治具を用いる必要がなく、コストの削減が図られ、また、大きな位置決め治具の保管場所を確保する必要がなく、利便性に優れている。
【0061】
また、第1カメラ51および第1レーザ照射部52を一体的に設けていることにより、第1検出装置50の小型化が図られる。第1レーザ照射部52による部品80に投影されたレーザの画像を第1カメラ51により取得することにより、レーザの検出装置を設ける必要がなく、第1検出装置50の小型化およびコスト削減が図られる。
【0062】
なお、
図9の例では、第1カメラ51による部品80の画像に基づいて画像処理部53は部品80の位置および回転を求めた。ただし、部品80の加工位置を加工軸41上に配置させ、加工位置における部品80の加工方向を加工軸41に一致させる場合、第1カメラ51による画像に基づいて画像処理部53は部品の位置だけを求めてもよい。
【0063】
また、
図9の例では、第1レーザ照射部52によるレーザが投影された部品80の画像を第1カメラ51が撮像し、この画像に基づいて部品80の高さおよび傾きを画像処理部53は求めた。ただし、部品80の加工位置を加工軸41上に配置させ、加工位置における部品80の加工方向を加工軸41に一致させる場合、第1カメラ51による画像に基づいて画像処理部53は部品の傾きだけを求めてもよい。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る部品取付システム10は、実施の形態1に係る部品取付システム10の各構成に加えて、
図15A〜
図15Cに示す第2検出装置54をさらに備えている。第2検出装置54は、加工軸41上以外の位置、たとえば、リベッタ40の内部空間以外の位置に設けられている。
【0065】
第2検出装置54は、第1センサとは異なる方向から部品80の傾きを検出するセンサ(第2センサ)および画像処理部53を含む。第2センサは、画像取得部55およびレーザ照射部(第2レーザ照射部)56により構成されている。この実施の形態では、第1検出装置50の画像処理部53が第2検出装置54の画像処理部53を兼用するが、第2検出装置54の画像処理部53は第1検出装置50の画像処理部53とは別に設けられていてもよい。また、この実施の形態では、画像処理部53は制御装置60に設けられているが、画像処理部53は制御装置60とは別に設けられていてもよい。
【0066】
画像取得部55は、第2レーザ照射部56により照射されたレーザを受光する受光部であって、たとえば、部品80の画像を取得するカメラが用いられる。画像取得部55はカメラの光軸がリベッタ40の加工軸41に対して平行に配置されている。画像取得部55は取得した部品80の画像を画像処理部53に出力する。
【0067】
第2レーザ照射部56は、部品80にレーザを照射する装置である。第2レーザ照射部56によるレーザが投影された部品80の画像は画像取得部55により取得され、画像処理部53に出力される。この部品80に投影されたレーザの位置または形などにより部品80の高さ(Z座標)および傾き(X軸周りの傾きRXおよびY軸周りの傾きRY)が求められる。
【0068】
第1カメラ51および第1レーザ照射部52は、画像の取得およびレーザの照射の際に部品80より上方に位置するように配置されている。これにより、第1カメラ51により部品80の上側の画像が取得され、第1レーザ照射部52により部品80の上側にレーザが照射される。これに対して、画像取得部55および第2レーザ照射部56は、画像の取得およびレーザの照射の際に部品80より下方に位置するように配置されている。これにより、画像取得部55により部品80の下側の画像が取得され、第2レーザ照射部56により部品80の下側にレーザが照射される。なお、第1カメラ51および第1レーザ照射部52と画像取得部55および第2レーザ照射部56との部品80に対する位置関係は反対であってもよい。第1カメラ51および第1レーザ照射部52が部品80より上方に配置され、画像取得部55および第2レーザ照射部56が部品80より下方に配置される。
【0069】
たとえば、部品80が小さかったり、部品80の形状が複雑であったりして、第1検出装置50では部品80の高さ(Z座標)および傾き(X軸周りの傾きRXおよびY軸周りの傾きRY)を検出できない場合がある。この場合、第2検出装置54を用いる。
【0070】
この第2検出装置54を用いた部品取付システム10の動作(部品取付方法)について、
図4に示す処理によって実行される。なお、ステップS3〜S6以外の実施の形態2における処理は、実施の形態1における処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
ステップS3において、部品80を把持して移動する。
【0072】
まず、アーム部31を旋回させて、部品80を第2検出装置54の上方に移動させる。この部品80と第2検出装置54との間隔は予め定められている。
【0073】
そして、部品80の位置および傾きを計測する。第2検出装置54の第2レーザ照射部56により部品80より下方から部品80の下側にレーザを照射する。このレーザが投影された部品80の下側の画像を部品80より下方から画像取得部55により取得し画像処理部53に出力する。
【0074】
画像処理部53は、画像から部品80に投影されたレーザの形状および長さを取得し、記憶部に予め記憶されている第2基準情報に対するレーザの形状および長さのズレ量を取得する。このズレ量からZ方向のズレ量ΔZ、X軸周りの傾きのズレ量ΔRX、および、Y軸周りの傾きのズレ量ΔRYを算出する。
【0075】
次に、部品80の高さおよび傾きなどの各ズレ量を無くすように、部品80の位置などを補正する。ここで、アーム部31、リスト部32およびハンド部33を動かす。
【0076】
更に、
図8に示すように、アーム部31を旋回させて、部品80の加工位置をリベッタ40の加工軸41上の所定の位置に移動させる。
【0077】
その後、ステップS4において部品80の位置および回転を計測し、ズレ量を算出する。
【0078】
続いて、部品80の位置および回転の各ズレ量が閾値より大きければ(ステップS5:NO)、各ズレ量を無くすように、部品80の位置などを補正する(ステップS6)。ここで、アーム部31、リスト部32およびハンド部33を動かす。これにより、部品80の加工位置が加工軸41上の所定の位置に配置され、加工位置における部品80の加工方向が加工軸41に一致するように、部品80の傾きおよび位置などが補正される。これにより、リベッタ40の加工軸41に対して部品80の位置決めが行われる。
【0079】
上記構成によれば、第1レーザ照射部52と異なる方向から第2レーザ照射部56は部品80にレーザを照射し、このレーザが投影された部品80の画像を画像取得部55が部品80の画像を取得する。これにより、第1レーザ照射部52および第1カメラ51では部品80の位置および傾きを検出できないような場合であっても、第2レーザ照射部56および画像取得部55により部品80の位置および傾きを検出することができる。そして、この検出結果に基づいて部品80の位置および傾きなどを補正することにより、部品80を骨部材70に高精度に位置決めして取り付けることができる。
【0080】
なお、
図15Aの例では、第2レーザ照射部56および画像取得部55が加工軸41上以外の位置に設けられていた。しかしながら、画像取得部55、または、画像取得部55および第2レーザ照射部56が加工軸41上に設けられていてもよい。この場合、画像取得部55は第1カメラ51との間に部品80を挟むように配置されている。これにより、第2レーザ照射部56および画像取得部55により検出した位置から加工軸41上へ部品80を移動させる必要がなく、部品80と骨部材70との位置決め精度をより高めることができる。
【0081】
また、
図15Aの例では、第2レーザ照射部56によるレーザが投影された部品80の画像を画像取得部55が撮像し、この画像に基づいて部品80の高さおよび傾きを画像処理部53は求めた。ただし、部品80の加工位置を加工軸41上に配置させ、加工位置における部品80の加工方向を加工軸41に一致させる場合、画像取得部55による画像に基づいて画像処理部53は部品の傾きだけを求めてもよい。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る部品取付システム10は、実施の形態1に係る部品取付システム10の各構成に加えて、
図17に示す第3検出装置57をさらに備えている。第3検出装置57は、第2カメラ58および画像処理部53により構成され、部品80の位置および傾きを検出する。
【0083】
この実施の形態では、第1検出装置50の画像処理部53が第3検出装置57の画像処理部53を兼用するが、第3検出装置57の画像処理部53は第1検出装置50の画像処理部53とは別に設けられていてもよい。また、この実施の形態では、画像処理部53は制御装置60に設けられているが、画像処理部53は制御装置60とは別に設けられていてもよい。
【0084】
第2カメラ58は、加工軸41上以外の位置、たとえば、加工軸41とロボット30との間に設けられ、取付位置に搬送された部品80を撮像する。第2カメラ58はその光軸がリベッタ40の加工軸41に対して平行に配置されている。たとえば、第2カメラ58は、第1検出装置50およびプレッシャーフット46と共にX方向に並んで第2変位部47に取り付けられ、第1検出装置50よりロボット30側に配置されている。
【0085】
第2カメラ58は取得した部品80の画像を画像処理部53に出力する。この部品80の輪郭と制御装置60に記憶されたCADなどの設計情報との比較により部品80の位置(X座標およびY座標)および回転(Z軸周りの傾きRZ)が求められる。
【0086】
第1カメラ51は、画像の取得の際に加工軸41上に配置されているため、加工軸41近傍の部品80の位置および傾きが第1カメラ51により取得される。たとえば、部品80が長い場合、この部品80の位置および傾きが所望のものから僅かにずれていると、部品80の加工位置から離れた部分のずれは加工軸41近傍よりも大きくなる。このような場合に、第3検出装置57を用いる。この第3検出装置57を用いた部品取付システム10の動作(部品取付方法)について、
図4に示す処理によって実行される。なお、ステップS3〜S6以外の実施の形態3における処理は、実施の形態1における処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
ステップS3において、
図16および
図17に示すように、部品80の加工位置をリベッタ40の加工軸41上の所定の位置にロボット30により移動させる。そして、第1カメラ51の光軸が加工軸41に一致するように、第1カメラ51を第2変位部47によりX方向に移動させる。これにより、第2カメラ58は加工軸41とロボット30との間に配置される。
【0088】
そして、ステップS4において、部品80の位置および傾きを計測する。第1レーザ照射部52により加工軸41近傍の部品80にレーザを照射し、このレーザが投影された部品80の画像を第1カメラ51により取得し画像処理部53に出力する。画像処理部53は、この画像に基づいて、加工位置における各ズレ量を算出する。
【0089】
また、部品80において加工軸41から離れた部分の画像を第2カメラ58により取得し画像処理部53に出力する。画像処理部53は、基準位置からの部品80のX方向の位置ズレ量ΔX、Y方向の位置ズレ量ΔYおよびZ軸周りの回転のズレ量ΔRZを求める。
【0090】
部品80の位置および傾きなどの各ズレ量が閾値より大きければ(ステップS5:NO)、各ズレ量を無くすように、部品80の位置などを補正する(ステップS6)。これにより、部品80の傾きおよび位置などが補正され、部品80の全体が所望の位置に配置されて、リベッタ40の加工軸41に対して部品80の位置決めが行われる。
【0091】
上記構成によれば、第1カメラ51に加えて、加工軸41とロボット30との間に第2カメラ58を設けている。これにより、長い部品80など加工軸41から離れた部分で所望の位置からずれが生じやすいような場合であっても、この部分の位置および傾きを第2カメラ58により検出することができる。そして、この検出結果と第1検出装置50からの検出結果に基づいて部品80の位置および傾きなどを補正することにより、部品80を骨部材70に高精度に位置決めして取り付けることができる。
【0092】
なお、
図17の例では、第2カメラ58による部品80の画像に基づいて画像処理部53は部品80の位置および回転を求めた。ただし、部品80の加工位置を加工軸41上に配置させ、加工位置における部品80の加工方向を加工軸41に一致させる場合、第2カメラ58による画像に基づいて画像処理部53は部品の位置だけを求めてもよい。
【0093】
(その他の実施の形態)
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。たとえば、実施の形態3に係る部品取付システム10は、実施の形態2に係る第2検出装置54をさらに備えていてもよい。
【0094】
さらに、上記全実施の形態では、骨部材70を搬送する搬送装置を位置合わせ部20に用いた。これに対して、位置合わせ部20は、骨部材70の加工位置をリベッタ40の加工軸41に対して位置合わせするものであれば、これに限定されない。たとえば、リベッタ40の加工軸41を骨部材70の加工位置に対して移動させるものであってもよい。
【0095】
また、上記全実施の形態では、位置合わせ部20に搬送装置を用いたが、これに代えて、位置決め治具を位置合わせ部20に用いてもよい。位置決め治具は、骨部材70の輪郭に対して取付位置(部品80の取付位置)を示す治具である。
【0096】
この場合、作業員が位置決め治具を用いて骨部材70に取付位置を特定し、取付位置が加工軸41上に位置するように骨部材70をリベッタ40に対して位置合わせする。この場合も、第1検出装置50により検出された位置および傾きに基づいて部品80の加工位置をリベッタ40の加工軸41に対してロボット30により位置合わせする。このため、骨部材70および部品80にリベット42を加工軸41に沿ってリベッタ40が打ち付けることにより、部品80を骨部材70に対して高精度に位置決めして取り付けることができる。
【0097】
さらに、上記全実施の形態では、第1検出装置50の第1レーザ照射部52および第1カメラ51が一体的に設けられている。これに対して、
図18Aおよび
図18Bに示すように、第1レーザ照射部52と第1カメラ51とが別に設けられていてもよい。この場合、第1レーザ照射部52によるレーザを第1カメラ51ではなく、他の受光部により取得される。この受光部はカメラであってもよいし、部品80により反射されたレーザを検出する物であってもよい。受光部は第1レーザ照射部52と一体的に設けられている。
【0098】
この場合、第1カメラ51、第1レーザ照射部52およびプレッシャーフット46がX方向に並んで第2変位部47に取り付けられている。並ぶ順番はこの順に限定されない。なお、第2カメラ58が第2変位部47に取り付けられている場合には、第2カメラ58は第1カメラ51よりロボット30に近い側に配置される。
【0099】
図4のステップS3〜S6において、
図18Aに示すように、第1レーザ照射部52の加工軸41上に配置し、部品80の位置および傾きを検出する。また、
図18Bに示すように、第1カメラ51を加工軸41上に配置し、部品80の位置および傾きを検出する。そして、画像処理部53により加工位置における各ズレ量を求め、各ズレ量が無くなるようにロボット30により部品80の位置および傾きなどを補正する。これにより、部品80を骨部材70に高精度に位置決めして取り付けることができる。
【0100】
また、上記全実施の形態では、第1検出装置50に第1カメラ51および第1レーザ照射部52を用いた。ただし、部品80の位置および傾きを検出することができるものであれば、第1カメラ51および第1レーザ照射部52に第1検出装置50は限定されない。また、第2検出装置54に画像取得部55および第2レーザ照射部56を用いた。ただし、部品80の位置および傾きを検出することができるものであれば、画像取得部55および第2レーザ照射部56に第2検出装置54は限定されない。さらに、第3検出装置57に第2カメラ58を用いた。ただし、部品80の位置および傾きを検出することができるものであれば、第2カメラ58に第3検出装置57は限定されない。
【0101】
また、上記全実施の形態では、リベット42をファスナに用い、リベッタ40を加工機に用いたが、これに限定されない。たとえば、通称ハイロックと呼ばれるボルト・ナット型のファスナなど、リベット以外のファスナを用いることもできる。この場合、加工機は、リベット42をかしめて締結する代わりに、ボルトをナットに嵌めて締結する。
【0102】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。