特許第6568507号(P6568507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568507
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20190819BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20190819BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   G06Q10/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-178898(P2016-178898)
(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-43836(P2018-43836A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 誠司
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 尊之
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−230549(JP,A)
【文献】 特開2007−031082(JP,A)
【文献】 特開平05−193855(JP,A)
【文献】 特開2006−301936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00−5/28
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターと、前記エレベーターを当該エレベーター外において監視する監視センタサーバとを、通信回線を介して接続して構成されるエレベーターシステムにおいて、
前記エレベーターは、
前記エレベーターの保守点検結果の報告書と、当該報告書のステータスを記録する報告書情報とを対応づけて保存する報告書保存部と、
顧客からの求めに応じて、前記報告書を所定の表示装置に表示させるために出力するとともに、前記報告書情報内のステータスを変更する指示を前記顧客から受け付け、受け付けた指示に従って、前記報告書情報を更新する報告書管理部と、を備え
前記監視センタサーバは、
前記報告書および前記報告書情報を保存する遠隔保存部と、
前記報告書情報を管理する遠隔管理部と、を備え、
前記報告書管理部は、前記報告書情報が更新されると、前記遠隔管理部に通知し、
前記遠隔管理部は、前記更新された通知を受け取ると、前記遠隔保存部に保存される前記報告書情報に反映すること
を特徴とするエレベーターシステム。
【請求項2】
請求項1記載のエレベーターシステムにおいて、
前記顧客の正当性を認証する認証部をさらに備え、
前記報告書管理部は、前記認証部により正当と認証された顧客からの求めに応じて前記報告書を前記表示装置に表示させること
を特徴とするエレベーターシステム。
【請求項3】
請求項記載のエレベーターシステムにおいて、
前記報告書情報には、当該報告書に対する承認の有無が含まれ、
前記報告書管理部は、前記顧客から前記承認の指示を受け付けると、承認済みを意味する情報を前記報告書に合成した承認済報告書を生成すること
を特徴とするエレベーターシステム。
【請求項4】
請求項記載のエレベーターシステムにおいて、
前記遠隔管理部は、前記報告書情報に記録されている前記報告書のステータスを、前記エレベーターの担当営業所に通知すること
を特徴とするエレベーターシステム。
【請求項5】
請求項記載のエレベーターシステムにおいて、
前記遠隔管理部は、所定のタイミングで、前記報告書情報を参照し、未承認の報告書の有無を判別し、未承認の報告書がある場合、当該報告書の送信元の報告書保存部に当該報告書の有無を問合せ、当該報告書保存部に当該報告書が保存されていない場合、当該報告書を当該報告書保存部に送信すること
を特徴とするエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの保守点検作業結果の報告書の管理技術に関する。特に、報告書を電子化して管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの点検等の作業を実施した後には、現地で作業を行った保守作業員が、現地で報告書を作成し、顧客に承認を受ける。承認の手続きは、作成した報告書を紙に印刷し、紙面に顧客が直筆でサインを行ったり印鑑を押したりする方法が一般的である。近年、タブレットやスマートフォン等の画面に報告書を表示し、画面上で顧客から電子サインで承認を受けるといったペーパーレスの運用も提案されている。
【0003】
この分野の背景技術として、特開2004−240675号公報(特許文献1)がある。この特許文献1には、機材の修理業務の結果を報告する報告書の作成を支援するために、入力を要求する項目を表示して報告書作成作業を支援する報告書作成支援手段と、報告書中に顧客の手書き署名を入力する手段と、報告書作成支援手段により報告書が作成されたとき、機材の修理依頼元から依頼を受けて機材の修理業務を担当する修理担当部門に対して、その修理業務の取り次ぎを行った取り次ぎ先で、当該報告書を、任意の端末装置を用いてネットワークを介して閲覧可能な状態にする手段と、を備えたことを特徴とする修理完了報告書端末装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−240675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、顧客は、端末装置上で署名を行う。従って、顧客が不在の場合、保守作業員は、端末装置を持参して顧客を再訪する必要がある。あるいは、所属営業所に戻り、作成した報告書をプリントアウトして郵送する必要がある。いずれにしても、顧客が不在の場合に保守作業員の負担が大きい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、エレベーターの保守点検作業の報告書に承認を受ける手続きにおいて、顧客が不在の場合の保守作業員の負担を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明のエレベーターシステムは、エレベーターと、前記エレベーターを当該エレベーター外において監視する監視センタサーバとを、通信回線を介して接続して構成されるエレベーターシステムにおいて、前記エレベーターは、前記エレベーターの保守点検結果の報告書と、当該報告書のステータスを記録する報告書情報とを対応づけて保存する報告書保存部と、顧客からの求めに応じて、前記報告書を所定の表示装置に表示させるために出力するとともに、前記報告書情報内のステータスを変更する指示を前記顧客から受け付け、受け付けた指示に従って、前記報告書情報を更新する報告書管理部と、を備え、前記監視センタサーバは、前記報告書および前記報告書情報を保存する遠隔保存部と、前記報告書情報を管理する遠隔管理部と、を備え、前記報告書管理部は、前記報告書情報が更新されると、前記遠隔管理部に通知し、前記遠隔管理部は、前記更新された通知を受け取ると、前記遠隔保存部に保存される前記報告書情報に反映することを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベーターの保守点検作業の報告書に承認を受ける手続きにおいて、顧客が不在の場合の保守作業員の負担を低減できる。なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るエレベーターシステムの一実施形態の構成を示す全体図である。
図2】本発明の実施形態のエレベーターシステムの主な構成要素のハードウェア構成図である。
図3】本発明の実施形態の監視装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態の報告書情報の一例を説明するための説明図である。
図5】(a)は、本発明の実施形態の登録受付画面例の説明図である。(b)は、本発明の実施形態の消去指示受付画面例の説明図である。(c)は、顧客指示受付画面例の説明図である。
図6】本発明の実施形態の監視センタサーバの機能ブロック図である。
図7】本発明の実施形態の報告書登録処理のフローチャートである。
図8】本発明の実施形態の更新処理のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態の閲覧処理のフローチャートである。
図10】本発明の実施形態の報告書監視処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るエレベーターシステムを実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のエレベーターシステム100の一実施形態の構成を示す全体図である。
【0012】
本実施形態のエレベーターシステム100は、エレベーター200と、回線網300と、監視センタ400に配置されるサーバ(監視センタサーバ)410と、営業所500に配置される情報処理装置(営業所PC)510と、エレベーター200の保守作業員211が保持する保守用携帯端末210と、顧客221が保持する顧客用携帯端末220と、を備える。
【0013】
[エレベーター]
エレベーター200は、乗りかご201と、乗りかご内ディスプレイ202と、エレベーター操作盤203と、制御装置204と、監視装置205と、通信装置206と、乗り場ディスプレイ207と、送受信装置208と、を備える。
【0014】
乗りかご201は、建物内に設けられた昇降路内を昇降する。一端が乗りかご201に取り付けられ、他端が釣合錘に取り付けられた主ロープが巻きかけられた巻上機を回転させることにより、乗りかご201は、昇降する。
【0015】
乗りかご内ディスプレイ202は、乗りかご201内に配置され、監視装置205から送信されるデータが表示される。
【0016】
エレベーター操作盤203は、乗りかご201内に配置され、エレベーター200のユーザ、保守作業員211、あるいは、顧客221によるエレベーター200の操作を受け付ける。
【0017】
制御装置204は、乗りかご201の運転の制御を行う。具体的には、巻上機を回転させるモータと、回転を制動するブレーキ装置とを制御する。制御装置204は、例えば、建物内で乗りかご201が上下する昇降路の上等に配置される機械室内等に配置される。
【0018】
監視装置205は、制御装置204に接続され、乗りかご201の監視を行う。また、監視装置205は、通信装置206に接続され、通信装置206および回線網300経由で監視センタサーバ410に接続される。監視装置205は、例えば、上述の機械室内等に配置される。
【0019】
通信装置206は、回線網300を介して、エレベーター200と監視センタサーバ410とのデータの送受信を行うインタフェースである。通信装置206は、例えば、上述の機械室等に配置される。
【0020】
なお、本実施形態では、1つの乗りかご201に対し、1つの制御装置204、監視装置205および通信装置206を備える場合を例にあげて説明するが、これに限定されない。例えば、1つの制御装置204、監視装置205および通信装置206の組が、複数の乗りかご201に対し設けられ、制御、監視を行うよう構成されていてもよい。
【0021】
乗り場ディスプレイ207は、乗りかご201の乗り場に配置される。乗り場ディスプレイ207も乗りかご内ディスプレイ202同様、監視装置205から送信されるデータを表示する。
【0022】
送受信装置208は、保守用携帯端末210および顧客用携帯端末220と制御装置204との送受信インタフェースである。保守用携帯端末210とは、例えば、有線で接続されてもよい。また、顧客用携帯端末220とは、例えば、無線で接続されてもよい。無線の場合、近赤外通信、Bluethooth(登録商標)等であってもよい。送受信装置208は、例えば、乗りかご201の乗り場に配置される。
【0023】
[保守用携帯端末]
保守用携帯端末210は、保守作業員211が保守作業時等に携帯する、通信機能を有する情報処理装置である。送受信装置208を介して監視装置205とデータの送受信を行う。
【0024】
[顧客用携帯端末]
顧客用携帯端末220は、顧客221が携帯する情報処理装置であり、通信機能を有する。保守用携帯端末210と同様に、送受信装置208を介して監視装置205とデータの送受信を行う。
[監視センタサーバ]
【0025】
監視センタサーバ410は、エレベーター200から送信される報告書および報告書情報を管理する。報告書および報告書情報の詳細は、後述する。監視センタサーバ410は、エレベーター200の遠隔地に設けられる監視センタ400内に配置される。
【0026】
なお、図1では、1つのエレベーター200が回線網300を介して監視センタサーバ410に接続されている。しかしながら、監視センタサーバ410に接続されるエレベーター200は、1つに限定されない。複数のエレベーター200が接続されてもよい。
【0027】
[営業所PC]
営業所PC510は、営業所500に設けられる。通信機能を備え、外部とデータの送受信が可能な、例えば、汎用の情報処理装置である。なお、監視センタサーバ410との間は、専用線で接続されていてもよい。
【0028】
制御装置204、監視装置205、保守用携帯端末210、顧客用携帯端末220、監視センタサーバ410、営業所PC510は、それぞれ、図2に示すように、各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)601と、メモリ602と、記憶装置603と、表示装置604と、操作装置605と、通信インタフェース(I/F)606とを含むハードウェアで構成される。
【0029】
メモリ602は、CPU601がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)等である。記憶装置603は、CPU601による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等である。通信I/F606は、他の機器とデータを送受信する際のインタフェースである。表示装置604および操作装置605は、ユーザとの入出力のインタフェースである。例えば、表示装置604は、処理結果等を表示するディスプレイ等である。また、操作装置605は、ユーザから指示を受け付ける、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0030】
このようなハードウェア構成において、記憶装置603に格納されたプログラムがメモリ602に読みだされ、CPU601の制御に従って動作することにより、プログラム(ソフトウェア)とハードウェアとが共同して各装置の機能を実現する機能ブロックが構成される。各装置の機能構成の詳細については、後述する。なお、制御装置204および監視装置205は、表示装置604および操作装置605は、必ずしも備えなくてもよい。
【0031】
[機能構成]
本実施形態のエレベーターシステム100では、保守作業員211が作成した報告書を、エレベーター200側の制御装置204または監視装置205に保持し、顧客221が所望のタイミングでその報告書を承認できる。また、制御装置204または監視装置205が保持する報告書および報告書のステータス情報を監視センタサーバ410でも保持し、監視センタ400においても、報告書のステータスを把握できる。以下、これらを実現するための、本実施形態のエレベーター200側、監視センタサーバ410の機能について、それぞれ説明する。なお、以下では、エレベーター200側は、監視装置205に、作成した報告書を管理するための各機能を備える場合を例にあげて説明する。上述のように、本機能は、制御装置204が備えるよう構成してもよい。
【0032】
[監視装置]
本実施形態の監視装置205は、図3に示すように、報告書保存部231と、報告書管理部232と、認証部233と、受付部234と、を備える。
【0033】
[報告書保存部]
報告書保存部231は、保守作業員211が、保守用携帯端末210で作成した、保守点検結果の報告書のデータ(報告書データ)と、報告書データのステータスを記録する報告書情報とを対応づけて保存する。報告書データは、報告書データベース(DB)240に保存される。また、報告書情報は、報告書情報データベース(DB)250に保存される。
【0034】
報告書データは、例えば、PDF等のファイル形式で保存される。また、報告書データは、報告書データを特定する情報(報告書ID)とともに保存される。報告書IDは、報告書データが作成され、保存される際に、報告書データ毎に一意に付与される。
【0035】
報告書情報は、報告書ID毎に、1つのレコードが作成、管理される。報告書IDにより、報告書データと報告書情報とは対応づけられる。
【0036】
[報告書管理部]
報告書管理部232は、報告書データおよびそのステータスを管理する。管理は、保守作業員211および顧客221の操作に従って、報告書情報の登録、更新を行うことによりなされる。さらに、報告書管理部232は、報告書データの登録、報告書情報の登録および更新を行うごとに、その情報を、監視センタサーバ410に通知する。
【0037】
具体的には、報告書管理部232は、保守作業員211が、保守用携帯端末210上で報告書データを作成し、登録の意思とともに監視装置205に送信すると、その報告書データを報告書保存部231の報告書DB240に保存する。また、その報告書データに対応する報告書情報の新規レコード(以後、単に報告書情報251と呼ぶ。)を報告書情報DB250に生成する。さらに、報告書管理部232は、登録した報告書データおよび報告書情報251を、監視センタサーバ410に送信する。
【0038】
また、報告書管理部232は、顧客221が、顧客用携帯端末220、あるいは、エレベーター操作盤203を介して、報告書データの閲覧、承認、送信等の指示を行うと、当該指示に応じて報告書情報251を更新する。そして、報告書情報251を更新する毎に、更新内容を監視センタサーバ410に送信する。
【0039】
また、報告書管理部232は、保守作業員211が、保守用携帯端末210を介して既に保存されている報告書データの消去を指示すると、当該指示に応じて報告書データを消去し、報告書情報251を更新する。そして、消去したことを監視センタサーバ410に通知する。
【0040】
ここで、報告書管理部232が管理する報告書情報のレコード(以下、単に報告書情報251と呼ぶ。)について説明する。本実施形態の報告書情報251の例を図4に示す。本図に示すように、各報告書情報251は、それぞれ、例えば、報告書ID252と、エレベーターID253と、登録日時254と、登録者255と、初回閲覧日時256と、最新閲覧日時257と、閲覧回数258と、承認日時259と、送信日時260と、消去日時261と、消去者262と、を備える。
【0041】
このうち、報告書ID252、エレベーターID253、登録日時254および登録者255は、新たに報告書情報251が生成された際に登録される。その他の情報は、保守作業員211あるいは顧客221からの指示により登録、更新される。
【0042】
報告書ID252は、報告書データを特定する情報である。上述のように、報告書DB240に保存された報告書データに対応づけて、自動的に一意に付与される。本実施形態では、後述のように、例えば、受付部234により生成され、付与される。なお、報告書ID252は、報告書管理部232、報告書保存部231等により付与されてもよい。
【0043】
エレベーターID253は、監視装置205が監視する乗りかご201を特定する情報である。本実施形態では、例えば、保守作業員211が、報告書データを登録する際、指定する。なお、例えば、監視装置205が監視する乗りかご201が1つの場合、エレベーターID253は、予め、監視装置205に保持されていてもよい。
【0044】
登録日時254は、報告書データが報告書DB240に保存された日時である。本実施形態では、例えば、報告書管理部232が、新規に報告書情報251を登録する際、その日時を登録する。
【0045】
登録者255は、報告書データを作成した保守作業員211を特定する情報である。保守作業員211の名前、あるいは、保守作業員211がそれぞれ有するID(作業員ID)等が登録される。本実施形態では、例えば、保守作業員211が、報告書データを作成する際、指定する。なお、報告書情報251の登録者255として作業員IDを登録し、報告書情報251を表示する際は、登録した保守作業員211の名前を出力するよう構成してもよい。この場合、監視装置205は、保守作業員211の名前と、作業員IDとを対応づけたデータベースを保持しておく。
【0046】
なお、保守作業員211毎に保守用携帯端末210が予め定められている場合、登録者255は、保守用携帯端末210を特定する情報であってもよい。保守用携帯端末210から報告書データを受け取る際、送信元の端末を特定する情報が付随する。例えば、この情報を、登録者255として登録する。
【0047】
初回閲覧日時256は、顧客221が報告書データを最初に閲覧した日時である。また、最新閲覧日時257は、顧客221が報告書データを閲覧した最新の日時である。また、閲覧回数258は、顧客221が報告書データを閲覧した回数である。いずれも、顧客用携帯端末220を介して顧客221から報告書を閲覧する請求を受け、報告書データを表示させた際、登録、更新される。
【0048】
承認日時259は、顧客221が報告書を承認した日時である。顧客用携帯端末220を介して顧客221により報告書データが承認された際、その日時が登録される。
【0049】
送信日時260は、承認後の報告書データを監視センタサーバ410に送信した日時である。本実施形態では、顧客221が報告書データを承認後、送信の指示を行う。送信日時260として、顧客用携帯端末220を介して顧客221により送信の指示を受け取ると、その日時が登録される。
【0050】
なお、本実施形態では、報告書管理部232は、送信の指示を受信すると、報告書DB240に保存されている報告書データに、顧客221が報告書を承認したことを示すデータを合成し、承認済報告書データを生成する。そして生成した承認済報告書データを、通信装置206を介して監視センタサーバ410へ送信する。
【0051】
消去日時261は、報告書DB240から報告書データを消去した日時である。また、消去者262は、消去を指示した保守作業員211である。本実施形態では、報告書DB240に保存されている報告書データが消去されることがある。例えば、承認済報告書データが監視センタサーバ410に受領された場合、または、保守作業員211が、何等かの事情で、顧客221から直接報告書の承認をもらった場合などである。
【0052】
前者の場合、監視センタサーバ410から、承認済報告書データ受領の通知を受け取ると、報告書管理部232が、報告書保存部231の報告書DB240から該当する報告書データを消去し、通知を受け取った日時を消去日時261として登録する。この場合、消去者262は登録されない。
【0053】
後者の場合、受付部234を介して保守作業員211から消去の指示を受け取ると、報告書管理部232は、報告書保存部231の報告書DB240から指示された報告書データを消去する。そして、指示を受領した日時を消去日時261に登録するとともに、消去の指示を行った保守作業員211を特定する情報を消去者262として登録する。指示を行った保守作業員211を特定する情報は、登録者255と同様の手法で取得する。
【0054】
[認証部]
認証部233は、顧客221から、各種の指示を受け付けると、当該指示の実行に先立ち、指示元の顧客221の認証、すなわち人物の識別を行う。認証は、例えば、暗証呼び、顔認証、QRコード(登録商標)利用等、公知の認証手段を用いてよい。認証部233が正当性を認証した所定の人物の顧客221のみ、受付部234は、その後の指示を受け付ける。すなわち、受付部234は、認証部が正当と認証した顧客221が扱う顧客用携帯端末220からのアクセスのみ受け付ける。
【0055】
顧客221の認証は、上記手法に限定されない。例えば、予め、アクセスを許可する顧客221にのみアプリケーションソフトウェア(アプリ)を配布しておく。そして、顧客用携帯端末220から当該アプリを介してアクセスがあった場合は、認証されているものとして処理を進めるよう構成してもよい。この場合、認証部233は、なくてもよい。
【0056】
[受付部]
受付部234は、保守用携帯端末210および顧客用携帯端末220からの要求、指示を受け付けるインタフェースとして機能する。そして、受付部234は、受け付けた指示、要求を報告書管理部232に送信する。
【0057】
受付部234は、保守作業員211または顧客221からの指示を受け付けるため、例えば、保守用携帯端末210、顧客用携帯端末220、乗りかご内ディスプレイ202、乗り場ディスプレイ207等に受付画面を表示する。受付部234は、受付画面を介して、報告書管理部232が上記報告書情報251を登録、更新可能な情報を取得する。なお、受付画面データは、予め、監視装置205の記憶装置等に保持しておく。
【0058】
[登録受付画面]
保守作業員211から受け付ける指示は、例えば、報告書データの登録の指示、報告書データの消去の指示等である。ここで、保守作業員211から報告書データの登録の指示を受け付ける際、保守用携帯端末210に表示する登録受付画面270の一例を説明する。
【0059】
なお、登録受付画面270は、保守用携帯端末210を介して保守作業員211から表示要求を受け、表示される。なお、受付部234は、例えば、このとき、表示要求とともに保守作業員211を特定する情報(作業員ID)255を受け取るよう構成してもよい。
【0060】
登録受付画面270の一例を図5(a)に示す。登録受付画面270は、図5(a)に示すように、報告書表示欄271と、作業員ID入力欄273と、エレベーターID入力欄274と、登録ボタン275と、を備える。
【0061】
報告書表示欄271は、保守作業員211が作成した報告書データを表示する。保守作業員211は、報告書データを、例えば、文章作成ソフト等を用いて作成する。そして、作成した報告書データを、ドラッグアンドドロップ等の操作により、本欄に表示させる。なお、本欄内で保守作業員211が報告書データを作成するよう構成してもよい。
【0062】
作業員ID入力欄273は、操作している保守作業員211の作業員ID(登録者255)の入力を受け付ける。なお、作業員IDとして、保守用携帯端末210のIDを用いる場合は、作業員ID入力欄273はなくてもよい。
【0063】
エレベーターID入力欄274は、報告書データが対象とするエレベーター200の乗りかご201のエレベーターID253の入力を受け付ける。なお、監視装置205が1つの乗りかご201のみを監視している場合は、設けなくてもよい。
【0064】
登録ボタン275は、報告書表示欄271に表示されている報告書データを、報告書DB240に保存する指示を受け付ける。
【0065】
報告書データを登録する際、保守作業員211は、まず、作成した報告書データを、報告書表示欄271に表示させる。そして、作業員ID入力欄273に自身の作業員ID255を、エレベーターID入力欄274にエレベーターID253を、それぞれ入力し、登録指示として、登録ボタン275を押下する。これにより、登録指示を意味する信号と、報告書データと、作業員ID255と、エレベーターID253と、が、保守用携帯端末210から監視装置205に送信される。
【0066】
受付部234は、登録ボタン275の押下を受け付けると、報告書IDを発行する。そして、受信した報告書データ、エレベーターID253および作業員ID(登録者255)とともに、報告書管理部232に送信する。これを受け、報告書管理部232は、報告書データと報告書情報とを報告書保存部231に保存、登録する登録処理を行う。登録処理の詳細は、後述する。
【0067】
[消去指示受付画面]
次に、報告書データの消去の指示を受け付ける場合、保守作業員211からの要求に応じて、保守用携帯端末210、乗りかご内ディスプレイ202または乗り場ディスプレイ207のいずれか表示する消去受付画面290の一例を説明する。
【0068】
消去受付画面290は、図5(b)に示すように、例えば、報告書情報DB250に保持する報告書情報251のうち、消去日時261が入力されていないレコードの一覧291と、消去する報告書情報251の選択および指示を受け付ける領域(選択指示領域)292と、必要であれば、作業員IDを入力する作業員ID入力領域293と、消去の意思を受け付ける消去ボタン294と、を備える。
【0069】
報告書データを消去する際、保守作業員211は、作業員ID入力領域293に作業員IDを入力し、選択指示領域292において、消去する報告書データに対応する報告書情報251を選択指示する。そして、消去ボタン294を押下する。
【0070】
受付部234は、消去ボタン294の押下を受け付けると、選択指示された報告書情報251の報告書ID252と作業員ID255とを、報告書管理部232に通知する。
【0071】
報告書管理部232は、通知を受けた報告書ID252に対応づけて報告書DB240に保存される報告書データを消去する。また、通知を受けた報告書ID252を有する報告書情報251の消去日時261に通知を受けた日時を、消去者262に、作業員IDを、それぞれ登録する。そして、更新後の報告書情報251を、監視センタサーバ410に送信する。
【0072】
[顧客指示受付画面]
次に、顧客221から指示を受け付ける場合に表示する顧客指示受付画面280について説明する。顧客221から受け付ける指示は、例えば、報告書データの閲覧指示、承認指示、送信指示等である。なお、顧客指示受付画面280は、顧客用携帯端末220の表示装置604、乗りかご内ディスプレイ202および乗り場ディスプレイ207のいずれかに表示される。以後、これらを区別する必要がない場合は、表示先装置と総称する。表示先装置は、予め定めておいてもよい。また、顧客221が指示するよう構成してもよい。
【0073】
顧客指示受付画面280も、登録受付画面270同様、顧客用携帯端末220を介して顧客221から表示要求を受け、表示される。
【0074】
顧客指示受付画面280は、図5(b)に示すように、報告書表示欄281と、エレベーターID入力欄282と、閲覧ボタン283と、承認ボタン284と、送信ボタン285とを備える。
【0075】
報告書表示欄281は、報告書データを表示する欄である。
【0076】
エレベーターID入力欄282は、監視装置205が、複数の乗りかご201を監視している場合、いずれの乗りかご201の報告書データを指示対象とするかを特定するために入力する欄である。監視装置205が複数の乗りかご201を監視していない場合は、設けなくてもよい。
【0077】
閲覧ボタン283は、報告書データを閲覧する請求(閲覧請求)を受け付ける。閲覧ボタン283の押下を受け付けると、受付部234は、まず、認証部233に請求元の顧客221の正当性を認証させる。そして、正当性が認証された後、報告書管理部232に、エレベーターID253とともに閲覧請求があったことを通知する。閲覧請求を受け、報告書管理部232は、閲覧処理を行う。閲覧処理の詳細は、後述の処理フローにおいて、説明する。
【0078】
承認ボタン284は、報告書表示欄281に表示されている報告書データを承認する指示(承認指示)を受け付ける。押下を受け付けると、受付部234は、報告書管理部232に承認指示があったことを通知する。承認指示を受け、報告書管理部232は、後述する承認処理を行う。
【0079】
送信ボタン285は、報告書表示欄281に表示されている報告書データを承認後、送信する指示を受け付ける。押下を受け付けると、受付部234は、報告書管理部232に送信指示があったことを通知する。送信指示を受け、報告書管理部232は、後述の送信処理を行う。
【0080】
以上説明した顧客指示受付画面280を用い、顧客221は、例えば、報告書データを閲覧したい場合、エレベーターID入力欄282にエレベーターIDを入力し、その後、閲覧ボタン283を押下する。それにより、報告書表示欄281に表示される報告書データを承認する場合は、承認ボタン284を押下する。さらに、承認後、送信ボタン285を押下する。
【0081】
なお、承認後、自動的に承認された報告書データを監視センタサーバ410に送信するよう構成してもよい。この場合、送信ボタン285は、設けなくてもよい。
【0082】
また、顧客221による承認の指示は、承認ボタン284の押下に限定されない。例えば、報告書表示欄281の所定の領域への電子署名により受け付けてもよい。また、乗りかご201内に設置されているエレベーター操作盤203の特殊操作により受け付けてもよい。この場合、承認ボタン284は、備えなくてもよい。
【0083】
また、報告書データが未承認時に送信ボタン285が押下された場合は、エラーメッセージを表示先装置に出力し、顧客221に承認を促すよう構成してもよい。
【0084】
なお、保守作業員211および顧客221からの各種指示、操作の入力は、上述のように受付画面を介する手法に限定されない。例えば、指示毎に釦操作を予め定めておき、エレベーター操作盤203を介して行うよう構成してもよい。
【0085】
[監視センタサーバの機能]
次に、監視センタサーバ410の機能を説明する。監視センタサーバ410は、監視センタ400が監視する各エレベーター200(の乗りかご201)の、報告書データおよび報告書情報を管理する。
【0086】
これを実現するため、本実施形態の監視センタサーバ410は、図6に示すように、遠隔保存部411と、遠隔管理部412と、データ送受信部413と、を備える。また、遠隔保存部411は、センタ報告書データベース(DB)420とセンタ報告書情報データベース(DB)430とを保存する。さらに、本実施形態の監視センタサーバ410は、営業所データベース(DB)440とエレベーターデータベース(DB)450と、を備える。
【0087】
データ送受信部413は、データ送受信のインタフェースである。回線網300に接続され、エレベーター200とデータの送受信を行う。また、専用の回線網(不図示)を介して、営業所PC510に接続され、データの送受信を行う。営業所PC510とは、回線網300を介して接続されてもよい。
【0088】
遠隔保存部411は、エレベーター200からデータ送受信部413を介して受信した報告書データおよび報告書情報を保存する。報告書データは、センタ報告書DB420に、報告書情報は、センタ報告書情報DB430に、それぞれ保存する。
【0089】
なお、遠隔保存部411では、報告書データは、送信元のエレベーター200毎に、監視装置205同様、報告書IDに対応づけて保存される。また、センタ報告書情報DB430に登録される報告書情報は、少なくとも、監視装置205内の報告書情報DB250に登録される報告書情報251が有する項目を有する。
【0090】
遠隔管理部412は、センタ報告書DB420に保存される報告書データのステータスを管理する。具体的には、センタ報告書情報DB430に保存される報告書情報の登録、更新、監視等を行う。
【0091】
上述のように、監視装置205の報告書管理部232は、報告書情報DB250に保存される報告書情報251を更新、登録する毎に、監視センタサーバ410に通知する。遠隔管理部412は、この通知を、データ送受信部413を介して受信し、通知に応じてセンタ報告書情報DB430に保存される報告書情報を更新、登録する。これにより、監視装置205が管理する報告書データの報告書情報を、監視センタ400側でも把握できる。
【0092】
さらに、遠隔管理部412は、必要に応じて、データ送受信部413を介して営業所PC510に、遠隔保存部411に保存される報告書データのステータスを通知する。遠隔管理部412は、例えば、定期的にセンタ報告書情報DB430にアクセスし、未承認の報告書データのステータスを確認する。その結果、通知が必要なステータスの報告書データがある場合、当該ステータスと報告書データとを特定可能な態様で、ステータス通知として営業所PCに送信する。なお、通知が必要なステータスの報告書データとは、例えば、閲覧も承認も行われていない報告書データ、閲覧は行われているが未承認の報告書データ等である。
【0093】
また、遠隔管理部412は、遠隔保存部411に保存される未承認の報告書データが、作成元のエレベーター200の監視装置205の報告書保存部231にも保存されているか否かを確認する。そして、保存されていない場合、遠隔保存部411のセンタ報告書DB420に保存される報告書データを、作成元のエレベーター200の監視装置205に送信する。以下、本明細書では、遠隔管理部412のこの処理を同期処理と呼ぶ。
【0094】
営業所DB440は、エレベーター200毎に担当の営業所500が登録される。具体的には、エレベーターIDに対応づけて、担当の営業所500の営業所PC510を特定する情報(営業所情報)が登録される。営業所情報としては、例えば、営業所PC510のIPアドレス等が登録される。営業所情報は、例えば、営業所PC510のメールアドレスであってもよい。データ送受信部413は、上述のステータス通知を送信する際、エレベーターDB450を検索し、送信先を決定する。
【0095】
エレベーターDB450は、エレベーター200毎に、エレベーターIDに対応づけて通信装置206を特定する情報(通信装置情報)が登録される。登録される通信装置情報は、例えば、通信装置206のIPアドレス等とする。データ送受信部413は、同期処理時、エレベーターDB450を参照し、確認先および送信先を決定する。
【0096】
[営業所PC]
営業所PC510は、外部とのデータ送受信が可能な汎用の情報処理装置である。上述のように、監視センタ400の監視センタサーバ410からステータス通知を受け取ると、それに応じて、処理を行うよう、営業所員520に促す。なお、営業所員520は、保守作業員211と同じ人物であってもよい。
【0097】
例えば、報告書データが閲覧も承認も行われていない場合、営業所員520は、顧客221にこれらの行動を促すような通知を行う。例えば、電話をかけたり、メールを送信したりする。また、閲覧はされているものの、未承認である場合、営業所員520は、顧客221にその理由を尋ねたりする。
【0098】
[処理の流れ]
次に、上述の各機能を有する本実施形態のエレベーターシステム100における、報告書管理処理の流れを説明する。
【0099】
[報告書登録処理]
まず、報告書管理処理のうち、報告書作成登録処理の流れを説明する。報告書作成登録処理は、保守作業員211が、新たに報告書を作成し、登録する際の処理の流れである。図7は、本実施形態の報告書作成登録処理の処理フローである。
【0100】
まず、保守作業員211は、保守用携帯端末210において、報告書を作成する(ステップS1101)。そして、顧客221が立ち会っている場合(ステップS1102)、その場で承認をもらい、処理を終了する。すなわち、保守用携帯端末210は、顧客221からの承認を受け付け、承認済報告書データを生成し、保持する。
【0101】
一方、ステップS1102において、顧客221が不在の場合、保守作業員211は、作成した報告書を登録する。具体的には、保守用携帯端末210は、登録受付画面270の表示要求を、監視装置205に送信する(ステップS1103)。
【0102】
監視装置205では、登録受付画面270の表示要求を受け取ると、受付部234が、登録受付画面270を、保守用携帯端末210に送信し(ステップS1201)、表示させる。
【0103】
保守用携帯端末210では、登録受付画面270を介して、保守作業員211から報告書データ等の入力と、報告書登録指示としての登録ボタン275の押下を受け付ける(ステップS1104)。
【0104】
受付部234を介して報告書登録指示と新規に発行された報告書ID252とを受信すると、報告書管理部232は、登録処理を行う(ステップS1202)。
【0105】
登録処理では、報告書管理部232は、報告書データと報告書ID252とを対応づけて報告書DB240に保存する。また、当該報告書ID252を有する報告書情報251を新たに生成し、報告書情報DB250に登録する。このとき、合わせて、受信したエレベーターID253、および登録者255を登録する。さらに、受信した日時を登録日時254として登録する。
【0106】
また、報告書管理部232は、登録処理後、登録通知を生成し、通信装置206を介して、監視センタサーバ410に、登録通知を送信する(ステップS1203)。
【0107】
生成される登録通知には、報告書情報と報告書データとが含まれる。通信装置206は、登録通知に、送信先の監視センタサーバ410のアドレスと、送信元である通信装置206を特定する情報とを付与し、回線網300を介して監視センタサーバ410に送信する。
【0108】
監視センタサーバ410では、データ送受信部413を介して登録通知を受信すると、遠隔管理部412が、遠隔保存部411に報告書データおよび報告書情報を登録する(ステップS1301)。ここでは、報告書データは、センタ報告書DB420に、報告書情報は、センタ報告書情報DB430に登録する。以上で、登録処理を終了する。
【0109】
[更新処理]
次に、既に登録されている報告書のステータスを更新する更新処理の流れを説明する。図8は、更新処理の処理フローである。なお、閲覧請求、承認指示、送信指示に先立ち、顧客指示受付画面280の表示要求がなされ、表示先装置には顧客指示受付画面280が表示されているものとする。以下、表示先装置として、顧客用携帯端末220が用いられる場合を例にあげて説明する。
【0110】
また、以下では、顧客221による閲覧、承認、送信処理を一連の流れとして説明する。すなわち、顧客221が、監視装置205に保存された報告書を閲覧し、閲覧した報告書を承認し、承認後の報告書を送信する場合を例にあげて説明する。なお、閲覧は、何度繰り返されてもよい。また、閲覧のみ、承認のみ、送信のみが顧客221により指示されてもよい。
【0111】
顧客用携帯端末220を介して、顧客221から、閲覧請求(ステップS2101)を受け付けると、監視装置205は、まず、請求元の顧客221の認証を行う。閲覧請求は、顧客221が、顧客指示受付画面280の閲覧ボタン283を押下することにより、顧客用携帯端末220から監視装置205に送信される。
【0112】
認証部233は、顧客用携帯端末220に、認証情報の入力を促す画面データ(認証画面)を送信する(ステップS2201)。そして、顧客用携帯端末220から、顧客221による認証情報(ステップS2102)を受け取る。そして、その認証情報の正当性を判別する(ステップS2202)。
【0113】
正当でない場合、認証部233は、その旨、顧客用携帯端末220に通知し、再度認証情報の入力を促す、あるいは、処理を終了するなどする。一方、正当である場合、認証部233は、受付部234を介して請求元の顧客221が正当であることを、報告書管理部232に通知する。
【0114】
通知を受けた報告書管理部232は、閲覧処理を行い(ステップS2203)、報告書データを顧客用携帯端末220に表示させる(ステップS2103)。
【0115】
ここで、報告書管理部232による閲覧処理の詳細を説明する。図9は、報告書管理部232による本実施形態の閲覧処理の処理フローである。
【0116】
報告書管理部232は、請求された報告書データを顧客用携帯端末220に表示させる(ステップS5101)。ここでは、報告書管理部232は、まず、報告書情報DB250にアクセスし、閲覧請求とともに受信したエレベーターID253を有する報告書情報251であって、未承認の報告書情報251を抽出する。そして、抽出した報告書情報251に含まれる報告書ID252に対応づけて報告書DB240に保存されている報告書データを抽出し、顧客指示受付画面280の報告書表示欄281に表示させる。
【0117】
次に、報告書管理部232は、初回閲覧であるか否かを判別する(ステップS5102)。具体的には、ステップS5101で抽出した報告書情報251において、初回閲覧日時256が登録されているか否かを判別する。
【0118】
初回閲覧である場合、すなわち、初回閲覧日時256が登録されていない場合、初回閲覧日時256および最新閲覧日時257に、現在時刻を登録する(ステップS5103)。そして、閲覧回数258に「1」を登録する(ステップS5104)。
【0119】
一方、登録されていれば、最新閲覧日時257を、現在時刻で更新する(ステップS5105)。また、閲覧回数258を、1インクリメントする(ステップS5106)。そして、閲覧処理を終了する。
【0120】
図8に戻り、報告書管理部232は、閲覧処理終了後、閲覧通知を生成し、通信装置206を介して監視センタサーバ410へ閲覧通知を送信する(ステップS2204)。ここで生成される閲覧通知は、報告書ID252と、エレベーターID253と、上記閲覧処理において新たに登録した、あるいは、更新した報告書情報とを含む。また、通信装置206において、閲覧通知に、送信先の監視センタサーバ410のアドレスと、送信元である通信装置206を特定する情報とを付与し、回線網300を介して監視センタサーバ410に送信する。
【0121】
監視センタサーバ410では、データ送受信部413を介して閲覧通知を受信すると、遠隔管理部412が、報告書情報を更新する(ステップS2301)。ここでは、センタ報告書情報DB430の、報告書ID252が合致する報告書情報を、閲覧通知に含まれる報告書情報で更新する。
【0122】
以上が顧客221による閲覧時の処理の流れである。顧客221から閲覧請求があるごとに、エレベーターシステム100は、上記処理を繰り返す。
【0123】
閲覧を終え、報告書データの内容に問題がない場合、顧客221は、報告書表示欄281に表示される報告書データを承認する。
【0124】
この場合、顧客221は、顧客用携帯端末220上で、顧客指示受付画面280の承認ボタン284を押下する。顧客221から、承認ボタン284の押下による承認指示(ステップS2104)を受け付けると、監視装置205は、承認処理を行う(ステップS2205)。承認処理では、監視装置205の報告書管理部232は、承認対象の報告書データに対応する報告書情報251の承認日時259に、通知を受けた日時を登録する。
【0125】
そして、承認通知を生成し、通信装置206を介して監視センタサーバ410に送信する(ステップS2206)。生成される承認通知は、報告書ID252と、エレベーターID253と、登録した承認日時259とを含む。
【0126】
承認通知を受け取ると、監視センタサーバ410では、報告書情報更新処理を行う(ステップS2302)。ここでは、遠隔管理部412は、承認通知に含まれる報告書ID252およびエレベーターID253で特定される報告書情報に、承認通知内の承認日時259を登録する。
【0127】
以上が、顧客221による、報告書承認時の処理の流れである。そして、承認後、顧客221は、承認後の報告書データの送信指示を行う。
【0128】
すなわち、顧客221は、顧客用携帯端末220上で、顧客指示受付画面280の送信ボタン285を押下する。送信ボタン285の押下による送信指示(ステップS2105)を受信すると、監視装置205では、報告書管理部232が、送信処理を行う(ステップS2207)。具体的には、報告書管理部232は、送信処理として、承認済報告書データを生成し、報告書情報251の送信日時260に現在時刻を登録する。
【0129】
そして、報告書管理部232は、送信通知を生成し、通信装置206を介して監視センタサーバ410へ送信する(ステップS2208)。送信通知には、報告書ID252と、エレベーターID253と、送信日時260と、送信処理で生成した承認済報告書データと、を含む。また、送信時、通信装置206において、送信通知に、送信先の監視センタサーバ410のアドレスと、送信元である通信装置206を特定する情報とが付与される。
【0130】
送信通知を受信した監視センタサーバ410では、遠隔管理部412が、報告書および報告書情報更新処理を行う(ステップS2303)。ここでは、送信通知に含まれる報告書ID252に従って、センタ報告書DB420に保存される報告書データを、受信した承認済み報告書データに置き換える。また、センタ報告書情報DB430に保存される報告書情報の送信日時260を登録する。
【0131】
さらに、遠隔管理部412は、更新済通知を生成し、送信通知による更新が完了したことを、通信装置206を介して送信元の監視装置205に送信する(ステップS2304)。更新済通知には、報告書ID252が含まれる。
【0132】
更新済通知を受領すると、監視装置205の報告書管理部232は、報告書消去処理を行う(ステップS2209)。ここでは、報告書管理部232は、更新済通知に含まれる報告書ID252に対応づけて報告書DB240に登録される報告書データを消去する。そして、報告書情報DB250に登録される報告書情報251で、当該報告書ID252を有する報告書情報251の消去日時261に、更新済通知を受信した時刻を登録する。以上で、更新処理を終了する。
【0133】
[報告書監視処理]
次に、監視センタサーバ410における報告書情報の管理について説明する。本実施形態では、監視センタサーバ410の遠隔管理部412は、所定のタイミングで、報告書情報DBにアクセスし、未承認の報告書がないかを確認するとともに同期処理を行う、報告書監視処理を行う。所定のタイミングは、例えば、1日に1回、あるいは1週間に1回等のように定期的であってもよい。
【0134】
未承認の報告書の有無の確認と同期処理とは、異なるタイミングで行ってもよいが、ここでは、同時に行う場合を例に挙げて説明する。図10は、報告書監視処理の処理フローである。
【0135】
遠隔管理部412は、まず、確認すべきタイミング(確認周期)であるか否かを判別する(ステップS3201)。確認周期になるまで、判別を繰り返す。
【0136】
確認周期になると、遠隔管理部412は、センタ報告書情報DB430にアクセスし、未承認の報告書データの有無を判別する(ステップS3202)。未承認の報告書データがなければ、処理を終了する。一方、未承認の報告書データがあれば、該当する報告書情報251を抽出する。具体的には、承認日時259が未登録の報告書情報251を抽出する。
【0137】
未承認の報告書情報251がある場合、遠隔管理部412は、当該報告書情報251の送信元のエレベーター200に、対応する報告書データが登録されているか確認する問合せを行う(ステップS3203)。例えば、遠隔管理部412は、問合せを意味する情報と報告書IDとを送信する。
【0138】
通信装置206を介して問合せを受信した報告書管理部232は、報告書DB240にアクセスし、受信した報告書ID252に対応づけた報告書データが登録されているか否かを判別する(ステップS3101)。
【0139】
そして、通信装置206を介して、結果、すなわち、登録されているか否かのいずれかを示す情報を、回答として、送信元の監視センタサーバ410に送信する(ステップS3102)。
【0140】
回答を受け、監視センタサーバ410の遠隔管理部412は、登録されていない場合(ステップS3204)は、報告書ID252に対応づけた報告書データをセンタ報告書DB420から抽出し、回答元のエレベーター200に送信する(ステップS3205)。
【0141】
通信装置206を介して報告書データを受信すると、監視装置205の報告書管理部232は、報告書DB240に報告書データを登録し、報告書情報DB250に、報告書情報を登録する(ステップS3103)。
【0142】
次に、監視センタサーバ410の遠隔管理部412は、ステップS3202で抽出した報告書情報251それぞれについて、営業所PC510に、上述のステータス通知を送信する(ステップS3206)。
【0143】
ステータス通知を受信した営業所PC510は、例えば、自身の表示装置等に警告を表示する。営業所員520は、警告を見て、例えば、顧客221に未承認の報告書があることを連絡するなど、適切な対応を取る。
【0144】
なお、ここで、ステータス通知とともに、エレベーターID253も送信するよう構成してもよい。そして、営業所PC510が、エレベーターID253で特定される顧客221の連絡先に、自動的に未承認報告書がある旨を通知するよう構成してもよい。
【0145】
以上説明したように、本実施形態のエレベーターシステム100は、エレベーター200の保守点検結果の報告書と、その報告書のステータスを記録する報告書情報とを対応づけて保存する報告書保存部231を備える。また、顧客221からの求めに応じて、保存した報告書を表示させるとともに、例えば、報告書を承認するといった報告書のステータスを変更する指示を顧客221から受け付け、報告書情報251を更新する報告書管理部232を備える。
【0146】
このため、本実施形態によれば、顧客221が不在であっても、保守作業員211は、作成した報告書をエレベーター200に保存し、顧客221による操作で報告書を顧客221に提示できる。そして、顧客221は、所望のタイミングで承認を行うことができる。従って、保守作業員211は、報告書の承認をもらうために、顧客221を再訪する必要がない。また、顧客221側も、報告書承認のために、保守作業時に待機する必要がない。
【0147】
従って、本実施形態によれば、報告書の承認を頂く手続きにおいて、顧客221が不在の場合の保守作業員211の負担を低減できる。また、顧客221にとっても、時間的な束縛を減らすことができる。
【0148】
また、本実施形態では、認証部233を備え、認証された顧客221にのみ、現場で報告書を提示する。このため、安全性も高い。
【0149】
さらに、本実施形態のエレベーターシステム100では、エレベーター200において作成した報告書および報告書情報は、エレベーター200側の制御装置204または監視装置205と、監視センタ400側の監視センタサーバ410とで、同期をとって保存される。すなわち、遠隔地で保存する遠隔保存部411と、遠隔地で管理する遠隔管理部412と、を備える。そして、エレベーター200側の報告書管理部232は、報告書情報251が更新される毎に、遠隔管理部412に通知し、遠隔管理部412は、通知を受け取ると、監視センタサーバ410で保存する報告書情報に反映する。
【0150】
このように、本実施形態によれば、エレベーター200と監視センタサーバ410との両方に報告書および報告書情報が保存される。このため、顧客221が現地で報告書を閲覧、承認する際、回線網300を経由してデータの送受信を行う必要がない。また、保守管理会社は、エレベーター200に保存してきた報告書のステータスを、現場に行くことなく、監視センタ400で把握できる。このため、監視センタ400において、報告書のステータスに応じた適切な対応ができる。
【0151】
さらに、本実施形態のエレベーターシステム100によれば、監視センタ400の監視センタサーバ410から報告書情報を担当の営業所500の営業所PC510に通知する。このため、保守作業員211は、現場に行くことなく、報告書の最新状況をタイムリーに得ることができる。そして、上記同様、状況に応じた適切な対応ができる。
【0152】
例えば、監視センタ400から、未承認の報告書がある旨の連絡を受けた際、顧客221に応じて、電話連絡を行う、メールで連絡する、現場に出かけるといった、適切な対応ができる。
【0153】
さらに、本実施形態によれば、監視センタ400の監視センタサーバ410は、自身が保持している報告書および報告書情報と、現場のエレベーター200側で保持しているものとの同期を、適宜、確認する。そして、必要に応じて、自身が保持している報告書を、現場に送信する。
【0154】
これにより、例えば、エレベーター200側で、報告書データ、報告書情報を保存している制御装置204または監視装置205の入れ替えなどがあり、報告書データ、報告書情報が失われた場合であっても、適切に復旧できる。すなわち、常に、正常な状態で報告書情報を維持することができ、信頼性の高い、保守管理システムを提供できる。
【0155】
なお、上記実施形態では、保守作業員211が作成した報告書および報告書情報を、エレベーター200および監視センタサーバ410の両者で保存する場合を例にあげて説明している。しかしながら、これらは、例えば、監視センタサーバ410側のみで保存するよう構成してもよい。
【0156】
この場合、例えば、認証部233および受付部234に相当する機能を監視センタサーバ410に設け、顧客から閲覧請求、認証指示がある毎に、当該請求および指示を、通信装置206を介して、監視センタサーバ410に送信する。また、それに応じて監視センタサーバ410から情報を受け取り、顧客に提示する。これにより、エレベーター200側の構成を簡素化できる。
【符号の説明】
【0157】
100:エレベーターシステム、
200:エレベーター、201:乗りかご、202:乗りかご内ディスプレイ、203:エレベーター操作盤、204:制御装置、205:監視装置、206:通信装置、207:乗り場ディスプレイ、208:送受信装置、210:保守用携帯端末、211:保守作業員、220:顧客用携帯端末、221:顧客、
231:報告書保存部、232:報告書管理部、233:認証部、234:受付部、240:報告書データベース、250:報告書情報データベース、251:報告書情報、252:報告書ID、253:エレベーターID、254:登録日時、255:登録者(作業員ID)、256:初回閲覧日時、257:最新閲覧日時、258:閲覧回数、259:承認日時、260:送信日時、261:消去日時、262:消去者、
270:登録受付画面、271:報告書表示欄、273:作業員ID入力欄、274:エレベーターID入力欄、275:登録ボタン、280:顧客指示受付画面、281:報告書表示欄、282:エレベーターID入力欄、283:閲覧ボタン、284:承認ボタン、285:送信ボタン、
300:回線網、
400:監視センタ、410:監視センタサーバ、411:遠隔保存部、412:遠隔管理部、413:データ送受信部、420:センタ報告書データベース、430:センタ報告書情報データベース、440:営業所データベース、450:エレベーターデータベース、
500:営業所、510:営業所PC、520:営業所員、
601:CPU、602:メモリ、603:記憶装置、604:表示装置、605:操作装置、606:通信インタフェース
図1
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図10