特許第6568520号(P6568520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6568520親水性ウィッキング材料を備えるヘッドギア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568520
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】親水性ウィッキング材料を備えるヘッドギア
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   A61M16/06 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-535147(P2016-535147)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公表番号】特表2016-538084(P2016-538084A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】IB2014066476
(87)【国際公開番号】WO2015083060
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2017年11月30日
(31)【優先権主張番号】61/910,534
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ショドコフスキ,ローレン パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ハイバッハ,リヒャルト トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,サンディー ジェーン
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181135(US,A1)
【文献】 特開2006−264309(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/001438(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/080887(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェース装置のためのヘッドギア構成部品であって、
患者の皮膚又は毛髪と接するように配置される第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面とを有する、部材であって、織物材料及びフォーム材料のうちの少なくとも1つを含み、そこを通じて延びる複数の通気孔を有する、部材と、
前記第1の表面に設けられる、複数の水分ウィッキング部材と、を含み、
前記複数の水分ウィッキング部材の各水分ウィッキング部材は、前記複数の通気孔の対応する各通気孔を覆い、親水性ポリマで作製され、
前記水分ウィッキング部材は、患者の皮膚から水分を引き出して通気孔に向けるのを可能にすると同時に、患者が治療中に動くときに前記水分ウィッキング部材の患者の皮膚又は毛髪に接する面が患者の皮膚又は毛髪を掴むのを可能にするように、前記第1の表面に向かって凸状に構成される
ヘッドギア構成部品。
【請求項2】
前記親水性ポリマは、親水性シリコーンである、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項3】
前記部材は、フォーム及び織物ラミネート材料を含む、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項4】
前記フォーム及び織物ラミネート材料は、フォーム材料で作製される中央層と、第1の織物材料で作製され且つ前記第1の表面に対応する前記中央層の第1の側に設けられる内側層と、第2の織物材料で作製され且つ前記第1の側の反対側にある前記第2の表面に対応する前記中央層の第2の側に設けられる外側層とを含む、請求項3に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項5】
前記水分ウィッキング部材は、複数の別個の異なるキャップ部材を含み、該キャップ部材の各々は、前記通気孔のそれぞれ1つの通気孔の上に設けられ且つ前記通気孔のそれぞれ1つの通気孔を覆う、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項6】
前記キャップ部材の各々は、ドーム形状のキャップ部材である、請求項5に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項7】
前記水分ウィッキング部材は、複数の線形の細長い部材を含み、前記通気孔の各々は、線形であり且つ細長く、前記線形の細長い部材の各々は、前記通気孔のそれぞれ1つの通気孔の上に設けられ、且つ前記通気孔のそれぞれ1つの通気孔を覆う、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項8】
前記水分ウィッキング部材は、複数の線形の細長い部材を含み、前記線形の細長い部材の各々は、複数の通気孔のそれぞれ1つの通気孔の上に設けられ、且つ通気孔のそれぞれ1つの通気孔を覆う、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項9】
前記部材は、患者の後頭をサポートする背部材である、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項10】
前記部材は、ストラップ部材である、請求項1に記載のヘッドギア構成部品。
【請求項11】
患者インターフェース装置のためのヘッドギア構成部品を作製する方法であって、
患者の皮膚又は毛髪と接するように配置される第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面とを有し、織物材料及びフォーム材料のうちの少なくとも1つを含む、部材を提供すること、
該部材を通じて延びる複数の通気孔を前記部材に形成すること、並びに
前記第1の表面に複数の水分ウィッキング部材を形成することを含み、
前記複数の水分ウィッキング部材の各水分ウィッキング部材は、前記複数の通気孔の対応する各通気孔を覆い、親水性ポリマで作製され、
前記水分ウィッキング部材は、患者の皮膚から水分を引き出して通気孔に向けるのを可能にすると同時に、患者が治療中に動くときに前記水分ウィッキング部材の患者の皮膚又は毛髪に接する面が患者の皮膚又は毛髪を掴むのを可能にするように、前記第1の表面に向かって凸状に構成される、
方法。
【請求項12】
前記複数の水分ウィッキング部材を形成することは、ベース部材から上向きに延びる複数のピンを有する取付具の上に前記部材を位置付けることを含み、前記ピンは、前記ピンが前記通気孔と位置合わせされ且つ前記通気孔内に受け入れられるよう、前記通気孔のパターンと調和するパターンにおいて前記ベース部材の上に位置付けられ、
前記複数の水分ウィッキング部材を形成することは、前記部材が前記取付具の上に位置付けられるときに、前記複数の水分ウィッキング部材を前記第1の表面に形成することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の水分ウィッキング部材を前記第1の表面の上に形成することは、前記第1の表面に前記水分ウィッキング部材をスクリーン印刷することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の通気孔を前記部材に形成することは、前記部材に前記通気孔を打ち抜くことを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2013年12月12日に出願された米国仮出願第61/910,534号の35U.S.C.§119(e)の下の優先権の利益を主張し、その内容をここに参照として援用する。
【0002】
本発明は、呼吸ガスの流れを患者に給送するように構成される患者インターフェース装置に関し、具体的には、親水性水分ウィッキングシステムを有するヘッドギア構成部品を利用する患者インターフェース装置に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸ガスの流れを、非侵襲的に、即ち、患者に挿管せずに或いは気管チューブを患者の食道に外科的に挿入せずに、患者の気道に給送するのが必要な又は望ましい数多くの状況がある。例えば、非侵襲的通気法として知られる技法を用いて患者に空気を供給することが知られている。特定の医療障害を処置するために陽性気道圧(PAP)療法を施すことも知られており、そのうちの最も注目に値するものはOSAである。既知のPAP療法は、患者の気道を開いた状態に支えるために、一定の陽圧が患者の気道にもたらされる、持続陽性気道圧(CPAP)と、患者の気道にもたらされる圧力が患者の呼吸サイクルによって異なる、可変気道圧とを含む。そのような治療は、患者が眠っている間に、夜に患者に提供されるのが典型的である。
【0004】
記述したばかりの非侵襲的通気法及び圧力サポート療法は、柔らかい可撓な封止クッションを有するマスク構成部品を含む患者インターフェース装置を患者の顔の上に配置することを含む。マスク構成部品は、非限定的に、患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻及び口を覆う鼻/口マスク、(患者の鼻孔内に受け入れられる鼻プロングを有する「ピロー」型の鼻クッション又は患者の鼻孔の下に位置して患者の鼻孔を覆う「クレードル」型の鼻クッションのような)患者の鼻の下に位置する鼻クッション、又は患者の顔を覆うフルフェースマスクを含んでよい。そのような患者インターフェース装置は、前頭サポート、頬パッド、及び顎パッドのような、他の患者に接触する構成部品を利用してもよい。呼吸ガスの流れを圧力/流れ生成装置から患者の気道に給送し得るように、患者インターフェース装置は、ガス給送チューブ又は導管に接続され、ベンチレータ又は圧力サポート装置を患者の気道とインターフェース接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような装置を、患者の頭の上に/周りに適合するよう構成される1つ又はそれよりも多くのストラップを有するヘッドギアによって、装着者の顔の上に維持することが知られている。ヘッドギアは、必要な力を顔に対して法線方向に適用して適切なシールを達成するために、典型的には、患者の頭の回りを包み込み(患者の毛髪及び顔と接触する)。非侵襲的通気法及び圧力サポート療法において用いられる殆どのヘッドギアは、フォームラミネート材料で作製され、フォームラミネート材料は、典型的には、(i)例えば、弾性的に伸縮可能なオープンセルポリウレタンフォームで作製される、中間フォーム層、(ii)例えば、ナイロン及びスパンデックス(登録商標)の混合物のような、弾性的に伸縮可能なループ織物で作製される、外側織物層、並びに(iii)例えば、ポリエステル及びスパンデックス(登録商標)の混合物のような、弾性的に伸縮可能なウィッキング織物で作製される、内側織物層を含む。フォームラミネート材料は熱を良く保持し、夜通しの使用には不快なほどに高温であり得る。実際、多くの患者は、彼らが療養中に用いるヘッドギアによる発汗について不平を言う。加えて、現在のヘッドギアの他の一般的な苦情は、患者が動き回ると、それが頭の周りで滑り、時には、頭から滑り落ちて処置を妨げさえすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、第1の表面と、第1の表面の反対側にある第2の表面とを有する、部材であって、織物材料及びフォーム材料のうちの少なくとも1つを含み、そこを通じて延びる複数の通気孔を有する、部材と、第1の表面に設けられる複数の水分ウィッキング部材とを含み、水分ウィッキング部材は、通気孔を覆い、親水性材料で作製される、患者インターフェース装置のためのヘッドギア構成部品、が提供される。
【0007】
他の実施態様では、第1の表面と、第1の表面の反対側にある第2の表面とを有し、織物材料及びフォーム材料のうちの少なくとも1つを含む、部材を提供すること、部材を通じて延びる複数の通気孔を部材に形成すること、並びに、第1の表面に複数の水分ウィッキング部材を形成することを含み、水分ウィッキング部材は、通気孔を覆い、親水性材料で作製される、患者インターフェース装置のためのヘッドギア構成部品を作製する方法、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】1つの例示的な実施態様に従った呼吸療法の養生を患者にもたらすよう構成されるシステムを示す概略図である。
【0009】
図2図1のシステムの部分を形成するヘッドギア構成部品を示す正面図である。
図3図1のシステムの部分を形成するヘッドギア構成部品を示す背面図である。
【0010】
図4図2の線A−Aに沿って取られた断面図である。
【0011】
図5図3の線B−Bに沿って取られた断面図である。
【0012】
図6A図1乃至5のヘッドギア構成部品を製造する1つの例示的な方法を示す概略図である。
図6B図1乃至5のヘッドギア構成部品を製造する1つの例示的な方法を示す概略図である。
図6C図1乃至5のヘッドギア構成部品を製造する1つの例示的な方法を示す概略図である。
図6D図1乃至5のヘッドギア構成部品を製造する1つの例示的な方法を示す概略図である。
【0013】
図7】代替的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品を示す正面図である。
【0014】
図8】他の代替的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品を示す正面図である。
【0015】
図9】更に他の代替的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここにおいて用いるとき、文脈がその他のことを示さない限り、単数形の形態は、複数への言及を含む。ここにおいて用いるとき、2つ又はそれよりも多くの部分(parts)又は構成部品(components)が「連結」される(“coupled”)とは、部分が接合される、或いは直接的に又は間接的に、即ち、リンクが生じる限り、1つ又はそれよりも多くの中間部分又は構成部品を通じて、協働することを意味する。ここにおいて用いるとき、「直接的に連結」される(“directly coupled”)とは、2つの要素が互いに直接的に接触することを意味する。ここにおいて用いるとき、「固定的に連結」される(“fixedly coupled”)或いは「固定」される(“fixed”)とは、2つの部品が、互いに対する一定の向きを維持しながら、1つのものとして動くよう連結されることを意味する。
【0017】
ここにおいて用いるとき、「一体的」(“unitary”)という用語は、構成部品が一体成形品又はユニットとして創り出されることを意味する。即ち、別個に創り出され、次に、ユニットとして一体に連結される部品(ピース)を含む、構成部品は、「一体的」な構成部品又は本体ではない。ここにおいて利用するとき、2つ又はそれよりも多くの部分又は構成部品が互いに「係合」する(“engage”)という言い方は、それらの部分が、直接的に又は1つ又はそれよりも多くの中間部分又は構成部品を通じて、互いに力を及ぼし合うことを意味する。ここにおいて利用するとき、「数」(“number”)という用語は、1又は1よりも大きい整数(複数)を意味する。
【0018】
ここにおいて用いるとき、「親水性」(“hydrophilic”)という用語は、8時間に亘る(総重量に基づく)少なくとも10%の水吸込みを意味する。ここにおいて用いるとき、「織物」(“textile”)という用語は、織り交ぜられた或いはその他の方法において絡ませられた自然の又は人工の繊維の網状組織から成る材料を意味し、それは、例えば、非限定的に、繊維を織り(weaving)、編み(knitting)、広げ(spreading)、鉤編みし(crocheting)、或いは(例えば、化学的、機械的、熱、又は溶剤処理によって)接着(bonding)して、網状組織を形成することによって作られ、例えば、非限定的に、織られた或いは織られない材料を含んでよい。
【0019】
ここにおいて用いるとき、「フォーム」(“foam”)という用語は、固形材料中にガス(気体)のポケットを捕捉することによって形成される物質を意味し、それは、ガスが別個のポケットを形成し、各ポケットが固形材料によって完全に取り囲まれる、クローズドセルフォーム(closed-cell foams)と、ガスポケットが互いに繋がり合う、オープンセルフォーム(open-cell foams)とを含む。
【0020】
例えば、非限定的に、頂、底、左、右、上方、下方、正面、背面、及びそれらの派生語のような、ここで用いる指向性の表現は、図面に示す要素の向きに関係し、請求項中に明示的に引用されない限り、請求項を限定しない。
【0021】
1つの例示的な実施態様に従った呼吸療法の養生(regimen)を患者にもたらすよう構成されるシステム2が、図1に概ね示されている。システム2は、圧力生成装置4と、給送導管6と、流体連結導管10を有する患者インターフェース装置8とを含む。圧力生成装置4は、呼吸ガスの流れを生成するように構成され、非限定的に、換気装置(ventilators)、(持続陽性気道圧又はCPAP装置のような)定圧サポート装置、可変圧力装置(例えば、Murrysville, PensylvaniaのPhilips Respironicsが製造販売する、BiPAP(登録商標)、Bi−Flex(登録商標)、又はC−Flex(TM)装置)、及び自動滴定圧力サポート装置を含む。給送導管6は、呼吸ガスの流れを流体連結導管10を通じて圧力生成装置4から患者インターフェース装置8に連絡するように構成され、流体連結導管10は、例示の実施態様では、肘コネクタである。給送導管6及び患者インターフェース装置8を、しばしば集合的に患者回路と呼ぶ。
【0022】
例示の実施態様において、患者インターフェース8は、患者封止アセンブリ12を含み、患者封止アセンブリ12は、例示の実施態様では、鼻マスクである。しかしながら、非限定的に、患者の気道への呼吸ガスの流れの給送を容易化する、鼻/口マスク、鼻クッション、又はフルフェースマスクのような、他の種類の患者封止アセンブリが、本発明の範囲内に留まりながら患者封止アセンブリ12に取って代わってよい。患者封止アセンブリ12は、フレーム部材16に連結されるクッション14を含む。例示の実施態様において、クッション14は、非限定的に、シリコーン、適切に柔らかい熱可塑性エラストマ、クローズドセルフォーム、又はそのような材料の任意の組み合わせのような、柔らかく可撓でクッションのようなエラストマ材料の一体的な部品から定められる。また、例示の実施態様において、フレーム部材16は、非限定的に、射出成形熱可塑性プラスチック又はシリコーンのような、剛性又は半剛性の材料で作製され、クッション14が流体的に取り付けられるフェースプレート部分18を含む。流体連結導管10が連結させられるフェースプレート部分18の開口は、圧力生成装置4からの呼吸ガスの流れがクッション14によって定められる内部空間に連絡され、次に、患者の気道に連絡されるのを可能にする。
【0023】
フレーム部材16は、接続部材22によってフェースプレート部分18に連結される前頭サポート部材20も含む。前頭クッション24が、前頭サポート部材20の後方に連結される。例示的な実施態様において、前頭クッション24は、クッション14と類似する材料で作製される。
【0024】
患者インターフェース8は、患者インターフェース装置8を患者の頭に固定するヘッドギア構成部品26も含む。図2は、例示的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品26の正面図であり、図3は背面図である。ヘッドギア構成部品26は、背部材28と、上方ストラップ部材30A,30Bと、下方ストラップ部材32A,32Bとを含む。上方ストラップ部材30A,30Bは、背部材28の上方部分から延び、図1に見られるように、患者の両耳より上でフレーム部材16に向かって延び且つ前頭サポート部材20に連結されるように構成される。より具体的には、例示的な実施態様において、各上方ストラップ部材30A,30Bは、その端に設けられるベルクロ(登録商標)のようなフック及びループ締結システムを含む。よって、各上方ストラップ部材30A,30Bは、前頭サポート部材20の両側に設けられるそれぞれのループ付き部分33を通され、次に、フックファスナ部分をループファスナ部分に接着させることにより、上方ストラップ部材30A,30Bを前頭サポート部材20に調節可能に繋げるために、折り返されてよい。下方ストラップ部材32A,32Bは、背部材28の下方部分から延び、患者の両耳より下でフレーム部材16に向かって延びるように構成される。
【0025】
図1に見られるように、例示的な非限定的な実施態様において、各下方ストラップ部材32A,32Bは、各上方ストラップ部材30A,30Bと同様に、その端に設けられるベルクロ(登録商標)のようなフック及びループ締結システムを含む。よって、各下方ストラップ部材32A,32Bは、フェースプレート部分18の両側に設けられるそれぞれのループ付き部分35を通され、次に、フックファスナ部分をループファスナ部分に接着させることにより、下方ストラップ部材32A,32Bをフェースプレート部分18に調節可能に繋げるために、折り返されてよい。記述したフック及びループ締結構成は例示的であるに過ぎないことが意図されること、並びに他の選択的に調節可能な締結構成も本発明の範囲内で可能であることが、理解されるであろう。
【0026】
加えて、例示的な実施態様において、ヘッドギア構成部品26は、フォームラミネート材料(foam laminate material)で形成される。具体的には、図2の線A−Aに沿って取られたヘッドギア構成部品26の断面図である図4に示すように、ヘッドギア構成部品26は、(i)非限定的に、弾性的に伸縮可能なオープンセルポリウレタンフォームのような、フォーム材料で作製される、中央層34、(ii)非限定的に、弾性的に伸縮可能なループ織物(loop fabric)(例えば、ナイロン及びスパンデックス(登録商標)の混合物)のような、第1の織物材料(textile material)で作製される、外側層36、並びに(iii)非限定的に、弾性的に伸縮可能なウィッキング織物(wicking fabric)(例えば、ポリエステル及びスパンデックス(登録商標)の混合物)のような、第2の織物材料(textile material)で作製される、内側層38を含む、フォームラミネート材料で形成される。
【0027】
更に、図2図3、及び図3の線B−Bに沿って取られたヘッドギア構成部品26の断面図である図5に示すように、ヘッドギア構成部品26は、背部材28中に水分ウィッキングシステム40を備える。水分ウィッキングシステム40は、(i)蒸発のために水分を雰囲気に排出し得るよう、患者の皮膚から水分を逃し(それはヘッドギア構成部品26の周りの領域を冷却して汗の蓄積を防止するのに役立つ)、且つ(ii)患者が治療中(例えば、睡眠中)に動き回るときに、ヘッドギア構成部品26が噛み合って(grip)、所定の場所に留まるのを助けることによって、ヘッドギア構成部品26を安定化させる、ように構成される。
【0028】
例示的な実施態様において、水分ウィッキングシステム40は、背部材28のフォームラミネート部分を通じて延びる(配列パターンに形成される)複数の通気孔42を含む(図3及び5)。例えば、1つの実施態様において、通気孔42は、フォームラミネート中に打ち抜かれる、約1mmの直径の円筒形の孔である。例示的な実施態様において、水分ウィッキングシステム40は、内側層38の外表面に設けられる(配列パターンに形成される)別個の異なる水分ウィッキングキャップ44も含む(図2及び4)。水分ウィッキングキャップ44は、非限定的に、親水性シリコーンのような、親水性ポリマ材料で作製される。例示的な実施態様において、水分ウィッキングキャップ44は、5ショアA〜60ショアAのデュロメータを有する親水性シリコーンで作製される。加えて、水分ウィッキングキャップ44の各々は、通気孔42のそれぞれの通気孔の上に設けられ、通気孔42のそれぞれの通気孔を覆う。例示的な実施態様において、水分ウィッキングキャップ44は、約2mmのベース付き直径を有する(他の形状も可能であるが)ドーム形状の構造であり、内側層38の外表面にスクリーン印刷される。
【0029】
動作中、水分ウィッキングキャップ44は、患者の皮膚から水分を引き出し、水分を通気孔42に向ける。通気孔42は水分が雰囲気と接触して素早く蒸発するのを可能にする。水分ウィッキングキャップ44は、患者が夜に動き回るときに、ヘッドギア構成部品26を適切な位置に維持するよう、毛髪及び皮膚を軽く掴む(grip)。
【0030】
図6A乃至6Dは、水分ウィッキングシステム40を有するヘッドギア構成部品26を製造する1つの例示的な方法を概略的に例示している。例示の容易さのために、ヘッドギア構成部品26の一部のみが、具体的には、背部材28が、図6A乃至6Dに概略的に示されている。先ず、通気孔42が、例えば、打抜きによって、フォームラミネートに設けられる。次に、図6A乃至6Cに示すように、背部材28は、ベース部材50から上向きに延びる複数のピン48を有する金属製取付具46(その一部が図面に示されている)の上に嵌められる。ピン48は、それらが通気孔42と位置合わせされ且つ通気孔42内に受け入れられ得るよう、通気孔42のパターンと調和するパターンにおいてベース部材50の内に位置付けられる(図6B及び6C)。次に、図6Dに示すように、水分ウィッキングキャップ44が通気孔42の上にスクリーン印刷される。そのプロセス中、ピン48は、通気孔42が水分ウィッキングキャップ44を形成する親水性材料で完全に充填されないようにする。また、ピン48は、水分ウィッキングキャップ44が通気孔42と正確に並んでそれらを完全に覆うよう、背部材28を配置するように作用する。図6Dにも示すように、ウィッキングキャップ44がそのように設けられた後に、水分ウィッキングシステム40を有するヘッドギア構成部品26は、金属製取付具46から取り外される。
【0031】
その上、水分ウィッキングシステム40が背部材28の上にのみ設けられる図1乃至5に示す実施態様は、例示的である過ぎないことが意図され、水分ウィッキングシステム40は、ヘッドギアの他の部分に設けられてよいことが理解されるであろう。例えば、図7は、代替的な例示的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品26’の正面図である。ヘッドギア構成部品26は、水分ウィッキングシステム40が上方ストラップ部材30A,30B及び下方ストラップ部材32A,32Bの上にも設けられる点を除き、ヘッドギア構成部品26と類似する。更に他の構成も本発明の範囲内で可能である。
【0032】
加えて、図1乃至5及び7に示す実施態様において、水分ウィッキングシステム40は、それぞれの通気孔42の上に設けられ且つそれぞれの通気孔42を覆う複数の別個の異なる水分ウィッキングキャップ44を含む。図8は、代替的なウィッキングシステム40”を含む、代替的な例示的な実施態様に従ったヘッドギア構成部品26”の正面図であり、そこでは、別個の異なる水分ウィッキングキャップ44が、列状に配置される複数の水分ウィッキング部材52と交換されている。図8に見られるように、各水分ウィッキング部材52は、複数の通気孔42を覆うより広い細長い線形パッド部材である。更に他の代替において、通気孔42は、各水分ウィッキング部材52が(42’で印す)代替的な通気孔のそれぞれ1つのみを覆うようにヘッドギア構成部品26”と関連して図9に示すように、細長く線形であってよい(列状に形成されてよい)。ウィッキング部材の更に他の幾何学的構成及びパターンも、本発明の範囲内で可能である。
【0033】
請求項において、括弧内に配される如何なる参照符号も請求項を限定するものと解釈されてならない。「含む」(“comprising”)又は「含む」(“including”)という用語は、請求項に列挙される要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除しない。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、1つの同じ品目のハードウェアによって具現されてよい。ある要素に先行する不定冠詞は、そのような要素が複数存在することを排除しない。幾つかの手段を列挙する如何なる装置の請求項においても、これらの手段のうちの幾つかは、1つの同じ品目のハードウェアによって具現されてよい。特定の要素が相互に異なる従属項において引用されているという単なる事実は、これらの要素を組み合わせにおいて用い得ないことを示さない。
【0034】
本発明を現時点で最も実際的で且つ好適な実施態様と考えられるものに基づき例示の目的のために詳細に記載したが、そのような詳細は専らその目的のためであり、本発明は開示の実施態様に限定されず、逆に付属の請求項の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、本発明は、可能な程度まで、任意の実施態様の1つ又はそれよりも多くの構成を任意の他の実施態様の1つ又はそれよりも多くの構成と組み合わせ得ることを想起することが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9