(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯乾燥機は、水平、あるいは略水平に傾斜して配置された水槽内にドラムを回転自在に配置して、回転軸のまわりにドラムを回転駆動して洗濯物を洗濯、すすぎ、脱水、乾燥まで行うものである。ドラム式洗濯機は洗濯物の洗濯、すすぎ、脱水までを行う。
【0003】
回転式のドラムの前面側には開閉式の蓋体をもうけ、洗濯前、ないし洗濯、ないし乾燥までが完了したのち衣類を出し入れする際にはこの蓋体を開いて衣類を出し入れする。そのために洗濯または乾燥などの運転中に蓋体をロックする蓋ロック手段と、その蓋ロック手段を開放して蓋を開放するために蓋開放操作レバーなどを備えた蓋開放手段が設けられている。
【0004】
特許文献1に記載されたドラム式洗濯機は、洗濯機本体の前方に設けた開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記洗濯機本体に設けた蓋体の回転軸部と、一端が前記回転軸部に回動自在に取り付けられ他端が前記蓋体に取付部を介して連結された連結部材と、前記洗濯機本体の開口部の前方に設けられたカバーとを備え、前記連結部材は幅方向に分割された一対の連結部材とし、前記連結部材はカバーに設けられたスリットを通過する構成であり、前記一対の連結部材は前記回転軸部を中心とした円弧形状をなし、前記一対の連結部材の幅方向で互いに近接した端部の円弧形状の円弧半径は、互いに離れた端部の円弧形状の円
弧半径より小さくなるよう構成している。
【0005】
特許文献2に記載された洗濯機の扉は、内側フレーム(2)と外側フレーム(3)との間に透明ガラス製の窓(4)を挟んで固定し、フロントパネル(19)に固定されたヒンジ(18)のまわりに回動するとともに、ロック(6)の作用により洗濯機本体(20)とロックして閉止するとともにハンドル(10)を操作するとロック解除をして開放できる構成が開示されている。
【0006】
特許文献1においては、回転軸部と蓋体とは幅方向に分割された一対の連結部材を介して連結されており、さらに連結部材はカバーに設けられたスリットを通過するよう薄板によって構成された円弧形状をなした構成が開示されている。
【0007】
特許文献2においては、内側フレーム(2)と外側フレーム(3)にはヒンジ(18)との干渉を回避するために内側フレーム(2)の窓(4)側の面から外側フレーム(3)の円筒状の外側側面にいたる切り欠きが設けられている。また、ハンドル(10)は外側フレーム(3)の外周よりも突出した形態である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を開いた状態を示す。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の部分斜視図であり、蓋体の回転支点の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体の回転支点近傍の構成を示す
図1のA−A断面図であり、蓋体を閉じた状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体の回転支点近傍の構成を示す
図1のA−A断面図であり、蓋体の開閉途中状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体の回転支点近傍の構成を示す
図1のA−A断面図であり、蓋体の全開状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体の開閉途中状態を示す。
【
図8】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体の全開状態を示す。
【
図9】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示す、
図1のB−B断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示す、
図1のB−B断面図であり、蓋体開放手段を操作した状態を示す。
【
図11】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図2におけるC部の拡大部分斜視図である。
【
図12】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図2におけるC部の拡大部分斜視図であり、蓋体開放手段を操作した状態を示す。
【
図13】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図11におけるD−D断面図を示す。
【
図14】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図11におけるD−D断面図であって蓋体開放手段を操作した状態を示す。
【
図15】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図1のE−E断面図であって、蓋体を閉じた状態を示す断面図である。
【
図16】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体開放手段の構成を示し、
図1のE−E断面図であって、蓋体開放手段を操作した状態を示す。
【
図17】本発明の第1の実施例に係る洗濯乾燥機の蓋体の回転支点近傍の構成を示す部分斜視断面図である。
【
図18】本発明の第2の実施例に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
【0017】
図1と
図2は、本発明の第1の実施例に係るもので、洗濯乾燥機の斜視図を示す。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられて洗濯乾燥機本体4となしている。外枠2の正面には洗濯物30を出し入れするドアである蓋体3と前面カバー22及び背面には背面カバー23が設けられている。
図1は蓋体3を閉じた状態であり、
図2は蓋体3を開いて投入口5から洗濯物30を出し入れする際の状態である。本実施例においては蓋体3は正面からみて円形である。外枠2の上面の前面側の一部は例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル6であり、他の一部は開閉可能に設けられた洗剤投入口25である。その構成は従来からある洗濯機ないし洗濯乾燥機と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0018】
<蓋周囲分割面とヒンジカバー概略形状>
前面カバー22の一部であって蓋体3の外周よりも外側には、蓋体3を取り囲んだ例えば溝あるいは段差からなる区切り線7によって前面カバー22の正面とは分割された蓋周囲分割面8を設けた構成である。本実施例においては蓋周囲分割面8は円形である蓋体3の周囲に同心円のリング状に設けられているものとし、区切り線7は蓋体3と同心円の円形である。
【0019】
蓋体3は蓋周囲分割面8の一部を分割して設けられたヒンジカバー10の内側に設けられた所謂ヒンジである蓋支点手段9のまわりに回転自在に軸支されており、例えば90°程度開放できる構成である。ヒンジカバー10は蓋体3と互いに固定されており、蓋体3と一体として開閉する構成であり、蓋体3を閉止した際には、ヒンジカバー10の前面は蓋周囲分割面8の前面と同一面をなす。ヒンジカバー10はリング状の蓋周囲分割面8の一部を分割して設けられており、その一辺は蓋周囲分割面8の外周、他の一辺は蓋体3に近接した蓋周囲分割面8の内周、他の二辺は蓋体3の開閉方向に平行な直線であって、前記蓋支点手段9の上端と下端とを構成する。
【0020】
なお、区切り線7で縁取られた蓋周囲分割面8により形成された環状の投入口周縁部は、一部が凹部を有しており、この凹部に蓋支点手段が配置され、この蓋支点手段の前面側にヒンジカバーが設けられ、このヒンジカバーが投入口周縁部の前記凹部を覆う構成としたので、蓋体の開閉動作にかかわらず蓋支点手段はヒンジカバーで覆われて隠されるので、体裁の良い意匠性に優れた洗濯乾燥機を提供できる。
【0021】
<蓋体と蓋支点概略構成>
蓋体3の蓋支点手段9の対面側には、蓋体3を閉じ位置でロックおよびロック解除する
係止フック11と、さらに、
係止フック11のロックを外すよう作用する操作ハンドル12が設けられている。蓋体3の裏面側は、蓋体3を閉じた際に、投入口5の内周に沿って設けられたゴム製のシールパッキンであるベローズ13と全周にわたって接触して水封しつつ閉止する、内側に凸したドアガラス14が設けられている。さらに蓋周囲分割面8の一部であって操作ハンドル12の近傍は操作凹部34として手指を挿入しやすく、操作ハンドル12が操作しやすい構成としており、その詳細については後述する。
【0022】
図3は、蓋体3を外枠2から取り外して示した分解斜視図である。
図3(A)は蓋体3、
図3(B)は洗濯乾燥機本体4の投入口5近傍のみを示す部分斜視図である。蓋体3は前面を構成する円形のドアカバー15と、外周を前記ドアカバー15と略同一径とし蓋体3の背面をなすリング状の第一のフタフレーム16と、第一のフタフレーム16の内周部から背面に向けて突出したドアガラス14と、蓋体3の開き動作の際に操作する操作ハンドル12と、蓋体3を閉止した際にはロックされ、操作ハンドル12の操作と連動してロック解除される
係止フック11が設けられる。
【0023】
蓋支点手段9は洗濯乾燥機本体4に設けられたヒンジブラケット18に回転支点となる円筒状をなしたヒンジピン19が略上下方向に固定して同軸に設けた回転軸となる。
【0024】
蓋体3には前記ヒンジピン19と回転自在に嵌合するピン受け穴20が設けられ、ピン受け穴20をヒンジピン19と嵌合するよう組み付けることで、蓋体3は回転自在に軸支される。蓋体3においてピン受け穴20を含んだ蓋支点手段9の近傍において、第一のフタフレーム16は円形をなした蓋体3の外周よりも円弧半径が大きく、蓋体3から側方に凸した形状をなす。第一のフタフレーム16のうちピン受け穴20の近傍は切り欠いた凹部のブラケットニゲ溝21であり、詳しくは後述するが蓋体3とヒンジブラケット18との開閉に伴う干渉を防止する。
【0025】
先に説明したように、蓋体3には
係止フック11と操作ハンドル12が設けられている。洗濯乾燥機本体4には、前記
係止フック11と噛み合って蓋体3をロックするロック受け手段26が設けられる。
【0026】
蓋周囲分割面8と投入口5との間には概ねドアガラス14を除く蓋体3の厚さに相当する段差が設けられ、蓋体3を閉じた際には蓋体3の表面と蓋周囲分割面8との間の段差を少なく構成することで、蓋体3が前面カバー22から凸しないので洗濯乾燥機本体4の奥行き方向の小型化に適した構成である。
【0027】
<蓋支点詳細構成>
図4から
図6を用いて蓋体3と蓋体3の開閉支点である蓋支点手段9の構成と動作について説明する。
図4から
図6は
図1におけるA−A方向の断面図であり、図示下方が洗濯乾燥機本体4の正面、上方が奥行き方向を示している。図示右側が洗濯乾燥機本体4の中心側、図示左側が洗濯乾燥機本体4の左側面となる。
図4は蓋体3が閉止した状態を示している。
図4において、外枠2を支持する強度部材である鉄板製のフレーム27に、蓋体3の回転支点となるヒンジピン19を設けたヒンジブラケット18が固定される。
【0028】
蓋体3の前面、すなわち図示下側には略円盤状をなしたドアカバー15が設けられ、その外周が円形の蓋体3の外形の大部分を形成しており、第二のフタフレーム17はリング状をなしドアカバー15の内周に沿って設けられる。
【0029】
第一のフタフレーム16はドアカバー15と略同一寸法の概ねリング状をなしドアカバー15の外周裏面に沿って設けられており、
図3(A)に示すように蓋支点手段9の近傍のみ外周側に凸した形状である。第一のフタフレーム16内周と第二のフタフレーム17内周との間にドアガラス14を挟み込んで固定する。鉄板製のフタ補強板28と第二のフタフレーム17との間にピン受け穴20が形成され、蓋体3の自重を支持する強度を得つつヒンジピン19を回転自在に挟み込んで蓋体3を回転自在に支持する。
【0030】
蓋支点手段9の近傍であってドアカバー15よりも外側に凸した範囲においては、ドアカバー15に隣接して、蓋体3の閉鎖時に表面が蓋周囲分割面8の一部をなす形状のヒンジカバー10が設けられている。本実施例のように蓋周囲分割面8の形状を蓋体3と同心円状のリング形状とした場合には、ヒンジカバー10はリング形状の一部をなし、ヒンジカバー10の外周は前記区切り線7の外周に連続した円弧形状であり、ヒンジカバー10の内周は前記区切り線7の内周に連続した円弧形状であり、ヒンジカバー10の上辺39と下辺40とは蓋体3の開閉方向に平行な直線で蓋周囲分割面8と区切られており、開閉動作の際にヒンジカバー10と蓋周囲分割面8とは干渉しない構成となっている。
【0031】
先に
図3(A)にて説明したように、第一のフタフレーム16のドアカバー15とは反対側となる裏面側の一部はヒンジブラケット18との干渉を避けるためにブラケットニゲ溝21として切り欠いた凹部形状としている。ヒンジピン19とピン受け穴20とからなる回転中心軸は、リング状に形成されたドアカバー15の外周よりも外側で、かつ蓋周囲分割面8の外周をなす区切り線7よりも内側に配置されている。ヒンジピン19とピン受け穴20とからなる回転中心軸はさらに、蓋体3の前面であるドアカバー15ないしヒンジカバー10よりも奥側で、かつ蓋体3の背面をなす第二のフタフレーム17よりも前面側に設けられる。
【0032】
前面カバー22の奥側にはヒンジカバー10の外周から所定の隙間を設けてヒンジピン19と同心な略1/4円弧状の断面形状をもつ内側カバー32が設けられており、ヒンジカバー10がヒンジピン19まわりに回動して開き動作を行なった際に、ヒンジカバー10先端であるF点との隙間を所定の値以下に保って、異物の侵入や挟み込みを防止する構成である。
図4に示した、蓋体3が閉じた際にはF点は蓋周囲分割面8の外周をなす区切り線7と連続した例えば円弧形状の一部をなす構成である。
【0033】
<本体側概略構成>
フレーム27のドアガラス14と近接した側には柔軟なゴムなどで作られたリング状のベローズ13が設けられ、ベローズ13の内周はドアガラス14と接するよう構成することで水封を保って密閉する。ベローズ13の他端、すなわち図示上方側は洗濯乾燥機本体4の内側に設けられた水受け槽である円筒状の外槽33と接続され、水封を保つとともに洗濯工程、脱水工程、乾燥工程における外槽33の振動を吸収して洗濯乾燥機本体4に伝達しない構成である。外槽33の内部には洗濯物30を入れて洗濯、脱水、乾燥を行なう円筒状の回転する回転ドラム29が設けられ、回転ドラム29の前端側には内部に同心に
設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ31が設けられて、回転ドラム29と一体に回転することで洗濯物30のアンバランスによる回転ドラム29の振動を低減する構成であるが、その詳細な説明は省略する。回転ドラム29は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。
【0034】
<蓋開動作概要>
図5は操作ハンドル12を操作して
係止フック11とロック受け手段26との噛み合いを外した後、蓋体3をヒンジピン19のまわりに回転させて開きかけた状態を示している。蓋体3が開きつつあるためにドアガラス14はベローズ13から離れ、ヒンジカバー10は蓋体3とともに回動して、その最外周部であるF点はヒンジピン19よりも外側(洗濯乾燥機本体4の左側面寄り)にあるために、蓋体3が開くにしたがって前面カバー22よりも奥側すなわち洗濯乾燥機本体4の内部側に移動する。先に説明したように内側カバー32はヒンジピン19と同心に設けられているので、ヒンジカバー10のF点は内側カバー32との間に略一定の隙間を維持してF’点に移動する。
【0035】
図6は蓋体3を全開した状態を示している。ヒンジカバー10は蓋体3と一体として回動し、ヒンジカバー10のF点はヒンジブラケット18に近接したF”点に移動する。F”点は蓋体3の回転とともに蓋体3の回転支軸であるヒンジピン19ないしピン受け穴20よりも洗濯乾燥機本体4の奥側に潜るように移動する。
【0036】
内側カバー32の先端G点は蓋体3を全開したF”点よりもさらにヒンジブラケット18に近接した位置に配置されている。そのため、蓋体3を全開してもF”点と内側カバー32とは略一定の隙間を維持するので、全開位置から蓋体3を閉じる際にヒンジカバー10と内側カバー32との間に異物が挟まって閉じないなどの不具合が生じることがなく好都合である。
図6により明らかなように、ヒンジカバー10は蓋体3の全開時もヒンジブラケット18とは干渉しない構成である。
【0037】
図4から
図6により説明したように、第一のフタフレーム16には切り欠いた凹部であるブラケットニゲ溝21が設けられる。ここで、ブラケットニゲ溝21はヒンジカバー10よりも奥側の第一のフタフレーム16にのみ設けられる構成なので、蓋体3の開閉動作の範囲においてブラケットニゲ溝21は洗濯乾燥機本体4の正面からみてヒンジカバー10と内側カバー32とによって隠されるので、ブラケットニゲ溝21に異物が挟まったり溝内部に異物が入り込む恐れがなく、安定した開閉動作が可能なので好適である。
【0038】
<内側カバーの糸巻き形状>
内側カバー32の好適な形状について
図17により説明する。溝または段差からなる蓋周囲分割面8の外周の形状をヒンジピン19の中心軸のまわりに回転させた曲面形状とすれば、ヒンジカバー10の先端F点のみならず、F点を含むヒンジカバー10外周の稜線全体にわたってヒンジカバー10と内側カバー32との間の隙間を略一定に維持できるので、蓋体3の開閉の際にさらに大きな隙間が開いて異物を挟んだり、洗濯乾燥機本体4の内部に異物を落下する恐れがないので好適である。本実施例のように蓋周囲分割面8の外周を蓋体3と同心円の円弧状とした場合には、蓋体3の最大直径の位置R2を最大半径とし、ヒンジカバー10ないし内側カバー32の上端と下端の半径R1が小(R2>R1)となるよう、概ね中央が凸した糸巻き形状の表面のごとき形状とすれば好適である。
【0039】
<操作ハンドル開動作形状>
次に、蓋体3の開き動作の際に操作する操作ハンドル12と、蓋体3を閉止した際にはロックされ、操作ハンドル12の操作と連動してロック解除される
係止フック11の構成について、
図7から
図16を用いて説明する。
【0040】
図7と
図8は、本発明の第1の実施例に係るもので、洗濯乾燥機の斜視図を示し、正面左側からみた斜視図である。
図7は
図5の断面図と同様に操作ハンドル12を操作して
係止フック11のロックを解除して蓋体3を開きかけた状態を示し、先に説明したようにヒンジカバー10は蓋体3と一体として回転支点であるヒンジピン19のまわりに回動して、前面カバー22の蓋体3よりも外側の範囲にリング状に設けられた蓋周囲分割面8の奥側に潜りながら回動しつつある。
【0041】
図8は
図6の断面図と同様に蓋体3を全開した状態を示す。ヒンジカバー10は蓋体3と一体に全開位置まで移動して、ヒンジカバー10の全体が概ね蓋周囲分割面8よりも奥側に潜る。
【0042】
<操作ハンドル凹部形状>
図7および
図8において、蓋周囲分割面8の操作ハンドル12と隣接した部分は奥側に向けて凹んだ操作凹部34となっており、その操作凹部34は投入口5の近傍まで延伸されている。
【0043】
図9と
図10により操作ハンドル12と操作凹部34の構成の詳細について説明する。
図9と
図10とは、
図1におけるB−B断面図であり、蓋体3を閉じた際の操作ハンドル12部分の断面構成を図示している。
【0044】
図9は操作ハンドル12を操作して蓋体3を開放しようとして、操作ハンドル12の奥面側すなわち図示下方にまで操作凹部34に手指を挿入した状態を示す。ここで、操作ハンドル12の奥面(図示下面)から操作凹部34の底面までの間隔H寸法を例えば25mm以上とすれば、手指を容易に挿入できる。またさらに、操作ハンドル12の外周面から操作凹部34の最も内周側までのJ寸法を例えば25mm以上とすれば、指先が十分に操作ハンドル12にかけられるので、操作ハンドル12の操作性が良好である。前記操作凹部34の外周は蓋周囲分割面8の外周をなす溝または段差による区切り線7の内周側にのみ配置すれば、操作凹部34は蓋周囲分割面8の一部として構成される。
【0045】
<フタ操作ハンドル>
次に、
図10に示すように操作ハンドル12を矢印で示す手前側すなわちドアカバー15側に引くことにより、操作ハンドル12はドアカバー15側に移動して、操作ハンドル12と連動して後述するように
係止フック11のロックが解除され、蓋体3を開放できる。
【0046】
次に、
図11から
図16を用いて、
図9と
図10で説明した操作ハンドル12の動作と連動して
係止フック11を操作して蓋体3のロックを解除する構成と動作について説明する。
図11と
図12は蓋体3の構成の一部を示す部分斜視図で
図3(A)におけるK部の拡大図であって、第一のフタフレーム16を取り外した状態で操作ハンドル12と
係止フック11の構成の詳細を示す。
【0049】
操作ハンドル12は
図3(A)にも示すように、概ね蓋体3の外周と同心のリング形状の一部分をなし、その半径方向の断面形状は
図9ないし
図10に示される。
係止フック11は蓋支点手段9に対して蓋体3の対面側にあり、蓋支点手段9の回動軸であるヒンジピン19ないしピン受け穴20で構成される回転軸に直交した蓋体3の最大直径部を含んだ面内に設けられる。
【0050】
操作ハンドル12はドアカバー15の外周に沿って
係止フック11に近接する方向に延長され、その延長部分には操作ハンドル12を揺動自在に軸支する第一の支軸35が設けられる。操作ハンドル12は第一の支軸35よりもさらに操作ハンドル12の反対側にまで延長され、
係止フック操作部37をなす。
【0051】
係止フック11は第一のフタフレーム16に対して
係止フック11をロック時とロック解除時との間で揺動自在に軸支する第二の支軸36が設けられる。第二の支軸36にはネジリバネ38が同軸に設けられており、
係止フック11とロック受け手段26とを噛み合わせて蓋体3を閉止位置でロックする方向に付勢している。
【0052】
図11と
図13と
図15は
図9と同様に
係止フック11がロック受け手段26と嵌合して蓋体3が閉止した状態を示す。
図12と
図14と
図16は
図10と同様に操作ハンドル12が操作されて、操作ハンドル12の第一の支軸35の反対側に延長された
係止フック操作部37が
係止フック11側に近接するように動作して、
図14に示すように
係止フック11の一端である
係止フック突起41を押して
係止フック11を矢印方向に回動してロック解除する。さらに操作ハンドル12部を手前側に引けば
係止フック11とロック受け手段26との係合は解除されたままなので、蓋体3を手前に開くことができる。
【0053】
蓋体3を閉じる際には、蓋体3を閉じる方向に力を加え、
図2ないし
図8に示した全開の状態から
図7に示した開きかけの状態を経由して、
図1、
図4、
図11、
図13ないし
図15に示すように閉止した状態にまで移動してさらに押込めば、
図15に示すように
係止フック11はネジリバネ38の付勢力に抗って第二の支軸36のまわりに回動した後にロック受け手段26とかみあった位置となり蓋体3はロックされ閉止される。
【0054】
<てこの原理により操作ハンドルの操作力が小>
図11ないし
図12により明らかなように、操作ハンドル12はリング状をなした蓋体3のドアカバー15に沿った形状とし、操作ハンドル12の回動支点である第一の支軸35は操作ハンドル12と略直交して概ねドアカバー15の半径方向に設けられている。操作ハンドル12の第一の支軸35に対して反対側には
係止フック操作部37が設けられており、
係止フック11に作用してロック解除動作を行う。ここで、操作ハンドル12には
図9ないし
図10に示すように手指をかけて蓋体3の開き動作を行うが、その手指から加わる力は概ね操作ハンドル12の中央部のM部に加わるので、第一の支軸35からの距離はL1となる。一方、第一の支軸35から
係止フック操作部37までの距離L2をL1>L2となるよう配置すれば、
係止フック操作部37に加わる力は手指からM部に加わる力のL1/L2(>1)倍に拡大される。すなわち、手指に加わる力が低減されるために、蓋体3の開き力が低減し操作性が向上するので好都合である。
【0055】
<左右共用>
以上説明した実施例においては蓋体3は洗濯乾燥機本体4の左側に開閉する形態であるが、
図18に別の実施例として、蓋体3を洗濯乾燥機本体4の右側に開閉する形態を示す。
図1との相違は、蓋体3の形態が左右反転した形状であって、さらに蓋支点手段9が蓋体3の右側、ロック受け手段26が蓋体3の左側に設けられ、蓋体3は矢印で示す右側方向に開放される。
図1におけるA−A断面、B−B断面、E−E断面はそれぞれ対応する断面に’を付加して示し、
図4から
図6、
図9から
図10、
図15から
図16とは左右対称の構成となる。
【0056】
図1と
図18の構成において、ヒンジカバー10を含む蓋支点手段9と、操作凹部34とはいずれも本実施例では区切り線7によって区切られた、蓋体3より外周に同心に設けられた蓋周囲分割面8の内側に設けられている。したがって、蓋周囲分割面8の外周をなす区切り線7を左右対称の円形となすことで、蓋体3の開き方向が
図1に示したように左側開きの構成と、
図18に示した右側開きの構成とでは、蓋周囲分割面8よりも内側の部品は左右対称の異なる部品とするが、前面カバー22は共通に構成できるので、構造を簡素化できる、という効果がある。
【0057】
<効果>
本
実施例によればさらに、蓋支点手段9の回転軸であるヒンジピン19と蓋体3とを連結する連結部材が不要な構成なので、回転支点の構成を簡素化できると共に蓋体3を支持する剛性が高く、さらに蓋体3を閉鎖した際に連結部材を収納する内側のスペースが不要となり、小型化に適する、という効果がある。
【0058】
さらに、蓋体3を閉鎖した際にはヒンジカバー10は蓋周囲分割面8と同一面となり、蓋周囲分割面8とヒンジカバー10の外周はともに蓋体3と同心の区切り線7によって形成されるので、蓋体3と蓋周囲分割面8ないし前面カバー22との間には段差を要しないので蓋体3が前面カバー22より凸することがなく、洗濯乾燥機本体4の奥行き方向を蓋体3の段差の分拡大する必要が無く小型化に適する、という効果がある。
【0059】
またさらに、蓋周囲分割面8とヒンジカバー10とは、蓋体3を閉止した際には蓋体3の外周と区切り線7によって区切られた表面を同一面としたリング状をなし、さらに操作凹部34を蓋周囲分割面8の内側にのみ設けたので、前面カバー22との区切り線7は蓋体3と同心の連続した一様な円形となすことができるので、余計な部品分割線などがなく、簡素な構成と外観とを実現できる、という効果がある。
【0060】
本
実施例によればさらに、蓋体3を開放動作する操作ハンドル12に対応して蓋体3よりも外側および奥側に操作凹部を設けたので、蓋体3の開動作の際に操作ハンドル12が操作しやすく、蓋体3を開き易い、という効果がある。
【0061】
本
実施例によればさらに、ヒンジブラケット18と蓋体3とが干渉しないよう蓋体3に設けられた切り欠きであるブラケットニゲ溝21はヒンジカバー10によって正面から覆われるので、切り欠きから異物などが入り込んだり開閉の際に挟まったりする恐れが無い、という効果がある。