(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固体酸化物形燃料電池システムが、前記固体酸化物形燃料電池システムの電力出力が炭素質堆積物を伴わない初期動作の50%未満に低下したときに電流が供給されるように、前記増幅器電気回路に供給される前記電流をパルス化する制御回路をさらに備える、請求項4に記載の方法。
前記アノードが、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、クロム(Cr)、テルビウム(Tb)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、請求項9に記載の方法。
前記セリア系電解質が、ガドリニアドープセリア(GDC)、イットリアドープセリア(YDC)、サマリアドープセリア(SmDC)、スカンジアドープセリア(GDC)、ジルコニウムドープセリア(ZDC)、ガドリニア安定化セリア(CGO)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、本開示の液体炭化水素燃料固体酸化物形燃料電池における炭素質堆積物を除去する方法及び関連システムの実施形態を詳細に参照する。
図2及び
図3の概略図及びシステムが、例示として提供されているが、本システム及び方法は他の構成を包含することを理解されたい。
【0015】
図2の実施形態を参照すると、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム110が示されている。固体酸化物形燃料電池システム110は、アノード120、カソード130、アノード120及びカソード130の間に配向された固体酸化物電解質170を備える。さらに、固体酸化物形燃料電池システム110は、固体酸化物電解質170及びカソード130に近接して配置された増幅器カソード160を備える。燃料電池電気回路150は、アノード120及びカソード130を電気的に接続する。固体酸化物形燃料電池システム110はまた、アノード120及び増幅器カソード160を電気的に接続する増幅器電気回路180を備える。本明細書では、「間」は必ずしも直接接触することを意味するものではなく、固体酸化物形燃料電池システム110のアノード120、カソード130または電解質170間に追加の構成要素が適していることを意図する。
【0016】
図2に示すように、固体酸化物形燃料電池システム110は、アノード120から電子を集めて電気を生成する1つ以上の外部電気回路、例えば燃料電池電気回路150を備える。様々な実施形態において、燃料電池電気回路150は、燃料電池電気回路150を介してカソード130に戻る電子の収集を容易にするために、動作状態において固体で不活性なワイヤまたは他の電子伝導材料を含むことができる。
【0017】
図2の動作に示すように、カソード130は、次の反応(R1)に従って入口空気流144中のO
2を還元して酸素イオン146を生成する。
【0019】
酸素イオン146が固体酸化物電解質170を通って移動した後、酸素イオン146はアノード120に到達し、燃料142を酸化して、発電に使用される電子に加えて二酸化炭素及び水を生成する。この電気化学的酸化反応(R2)を以下に示す。
【0021】
動作中、固体酸化物形燃料電池システム110ならびに従来の固体酸化物形燃料電池100は、R2に従って完全には動作しない。酸素イオン146は、固体酸化物電解質170を介してカソード130からアノード120に駆動され、燃料142を酸化して電気を生成する。酸素イオン146の駆動力は、アノード120及びカソード130の間の酸素化学電位差の結果としての自発的な移動である。しかしながら、高温で起こる均質気相熱分解及び/または分解反応のために、炭素質堆積物140がアノード120の表面に形成され、それによってアノード120の正常な動作を妨げ、したがって、固体酸化物形燃料電池110の性能を低下させる。このように、炭素質堆積物140がアノード120上に堆積し、固体酸化物形燃料電池システム110の動作効率を低下させる。固体酸化物形燃料電池システム110の効率は、予想される総電力のパーセンテージとして生成される有用な電力である。固体酸化物形燃料電池システム110の効率は、式:ε=P
gen/ΔG
fuelで表すことができ、式中、εは燃料電池効率、P
genは有用な電力出力、ΔG
fuelは燃料酸化反応のギブス自由エネルギーである。詳細には、以下に示す電気化学反応(R3)に従って、アノード120上に炭素質堆積物140の蓄積が発生する。
【0023】
アノード120への炭素質堆積物140の蓄積は、追加のイオン性酸素146をアノード120に供給することによって改善される。酸素イオン146がアノード120の表面に到達すると、それらは三重相境界(tpb)の近傍で炭素質堆積物140と選択的に反応してCO
2(g)を形成する。CO
2を形成する炭素質堆積物140及び酸素イオン146の反応は、炭素質堆積物140の除去をもたらす。以下に炭素質堆積物140を除去するための反応(R4)が提供される。
【0025】
図2及び
図3に示すように、固体酸化物形燃料電池システム110は、電解モードで動作する燃料電池電気回路150、例えば増幅器電気回路180に加えて、1つ以上の外部電気回路を備える。電解モードでの動作は、回路が自然に発生しない方向に酸化還元反応を駆動するために、電解を完了させるか、または電力を供給するための電力が供給されることを意味する。詳細には、増幅器電気回路180は、アノード120の表面への通過のためにカソード130において酸素イオン146を生成するために電気エネルギーを消費する。様々な実施形態では、増幅器電気回路180は、増幅器電気回路180を介してカソード130への電子の伝達を容易にするために、動作状態において固体で不活性なワイヤまたは他の電子伝導材料を含むことができる。
【0026】
増幅器電気回路180を電解モードで動作させることにより、増幅器カソード160に電力が供給される。増幅器カソード160の電力供給は、O
2−を生成してアノード120に供給する。固体酸化物電解質170を通過する供給されたO
2−イオン性酸素146は、イオン性酸素146との反応を介して炭素質堆積物140を二酸化炭素ガス148に変換することによって、アノード120上の炭素質堆積物140を除去する。生成された二酸化炭素ガス148は、その後、固体酸化物形燃料電池110から排出される。二酸化炭素ガス148は、当業者に知られている任意の方法に従って、固体酸化物形燃料電池110から排出される。例えば、
図3に示すように、二酸化炭素ガス148を固体酸化物形燃料電池110から離すように配管を利用することができる。実施形態では、配管ラインに沿った二酸化炭素ガス148流による圧力降下は、二酸化炭素ガス148除去のための十分な駆動力であるため、生成された二酸化炭素ガス148を除去する追加の装置は必要ない。
【0027】
固体酸化物形燃料電池110の増幅器電気回路180は、増幅器電気回路180に電力を供給する少なくとも1つの電源182を含む。一実施形態では、電源182は、少なくとも1つのバッテリである。バッテリの非限定的な例には、リチウムバッテリ、アルカリバッテリ、酸化銀バッテリ、亜鉛−炭素バッテリ、鉛蓄バッテリ、リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリ、及びナトリウムイオンバッテリが含まれる。バッテリは、様々な実施形態において、一次電池(非充電式バッテリ)または二次電池(充電式バッテリ)であってもよい。さらなる実施形態では、少なくとも1つのバッテリは、固体酸化物形燃料電池システム110によって生成された電気の一部をバッテリに流用することによって再充電することができる。当業者であれば、さらなる特定のバッテリまたは代替の電源が知られており、それらが電源182として等しく利用され得ることを理解するであろう。
【0028】
さらなる実施形態では、増幅器電気回路180に電力を供給する電源182は、燃料電池電気回路150である。例えば、増幅器電気回路180は、少なくとも1つの燃料電池電気回路150から増幅器カソード160に供給される電力を制御する少なくとも1つのポテンショスタットを含むことができる。詳細には、増幅器電気回路180に供給される電流を調整することにより、少なくとも1つの燃料電池電気回路150の電位を一定レベルに保つことにより、ポテンショスタットが機能する。さらなる例では、増幅器電気回路180は、少なくとも1つの燃料電池電気回路150から増幅器カソード160に供給される電力を制御する少なくとも1つのガルバノスタットを含むことができる。ポテンショスタット及び/またはガルバノスタットは、増幅器カソード160に電流を供給するための電源として機能する。アノード120及び増幅器カソード160の間の定電位が望ましい場合、ポテンショスタットを使用することができ、アノード120及び増幅器カソード160の間の定電流が好ましい場合、ガルバノスタットを使用することができる。したがって、一定のイオン性酸素146供給速度が必要な場合には、ガルバノスタットが好ましい。
【0029】
様々な実施形態において、増幅器電気回路180に供給される電流は実質的に一定である。さらなる実施形態では、増幅器電気回路180に供給される電流はパルス化される。増幅器電気回路180に供給される電流が一定であろうとパルス化であろうと、最小印加電位はO
2還元電位または対応する電流である。O
2還元電位は、典型的には約0.1Vから約0.5Vの範囲である。異なるアノード120、カソード130、及び/または固体酸化物電解質170を有する様々な固体酸化物形燃料電池システム110の特定のO
2還元電位は、当業者に知られている。印加される最大電位は、電解質還元電位または対応する電流に限定されたものである。電解質還元電位は、典型的には、約2V〜約3Vの範囲である。異なるアノード120、カソード130、及び/または固体酸化物電解質170を有する様々な固体酸化物形燃料電池システム110の特定の電解質還元電位は、当業者に知られている。
【0030】
図2及び
図3を参照すると、さらなる実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110は、燃料電池電気回路150内の電圧及び電流をそれぞれ測定する電圧計ユニット156及び電流計ユニット152をさらに備える。電圧計ユニット156及び電流計ユニット152の測定値から、電力出力を容易にかつ直接的に計算することができる。
【0031】
さらなる実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110は、固体酸化物形燃料電池110の電力出力が初期の非炭素汚染電力出力の一定割合未満に低下すると、増幅器電気回路180に供給される電流をパルス化する制御回路をさらに備える。様々な実施形態において、増幅器電極回路に供給される電流をパルス化する制御回路の開始前の燃料電池電力出力の減少は、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、80%、または約90%である。さらに、様々な実施形態において、電位または電流を増幅器回路に印加するために使用されるポテンショスタット及び/またはガルバノスタットは、電圧及び電流を測定するための統合された電圧計及び電流計を有することができる。したがって、供給される電力は、容易にかつ直接計算され得る。
【0032】
様々な実施形態において、固体酸化物形燃料電池システム110の電力反応速度が監視される。電力反応速度は、例えば燃料電池電気回路150によって供給される電流または燃料電池電気回路150によって供給される電圧を観察することによって監視することができる。
【0033】
様々な実施形態において、増幅器電気回路180に供給される電流は、アノード120上の炭素質堆積物140の除去の定常状態動作を得るように調整される。炭素質堆積物140の除去の定常状態動作は、炭素質堆積物140が、炭素質堆積物140が形成する速度に等しい速度で除去されることを意味する。炭素質堆積物140が、炭素質堆積物140が除去される速度を超える速度で形成されている場合、固体酸化物形燃料電池システム110の電力反応速度は低下し、増幅器電気回路180に供給される電流は炭素質堆積物140の除去速度を増加させるように増加される。増幅器電気回路180に供給される電流は、炭素質堆積物140の形成速度が再び炭素質堆積物140の除去速度を超えるまで、炭素質堆積物140の除去速度を減少させるために減少されてもよい。炭素質堆積物140の形成速度に等しい速度で炭素質堆積物140を依然として除去しながら、増幅器電気回路180に供給される電流を最小限にすることは、不必要なイオン性酸素146形成を回避することによって固体酸化物形燃料電池システム110の効率を最大にする。
【0034】
様々な実施形態において、アノード120は、酸化に適した様々な金属、例えば、金属、金属酸化物、またはセラミック金属のいずれかを含むものと考えられる。例えば、アノード120は、限定ではなく、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、クロム(Cr)、テルビウム(Tb)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された金属を含む。
【0035】
固体酸化物電解質170の場合、アノード120との高いイオン伝導度及び無視できる化学的相互作用が必要である。言い換えれば、種々の組成物が固体酸化物電解質170に適しており、主な要求項目は、酸素イオン伝導性である。適切な固体酸化物電解質170は、純粋なイオン性または混合イオン−電子性のいずれかであり得る。
【0036】
例えば、限定ではなく、固体酸化物電解質170は、ジルコニア系電解質またはセリア系電解質を含んでもよい。特定の実施形態において、ジルコニア系電解質は、イットリア安定化ZrO
2(YSZ)、スカンジア安定化ZrO
2(ScSZ)、カルシア安定化ZrO
2(CSZ)、サマリア安定化ZrO
2(SmSZ)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。例示的な実施形態では、固体酸化物電解質170は、イットリア安定化ZrO
2(YSZ)を含む。代替的に、セリア系電解質は、希土類ドープセリアを含んでもよい。例えば、セリア系電解質は、ガドリニウムドープセリア(GDC)、イットリアドープセリア(YDC)、サマリウムドープセリア(SmDC)、スカンジウムドープセリア(ScDC)、ジルコニウムドープセリア(ZDC)、ガドリニア安定化セリア(CGO)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。固体酸化物電解質170のさらなる例には、チタニア系、ペロブスカイト酸化物、またはカチオン系炭酸塩系電解質が含まれる。
【0037】
固体酸化物電解質170の組成を選択する際には、以下の要因を考慮する必要がある、すなわち、1.固体酸化物形燃料電池110に致命的な影響を及ぼす可能性のある電極のいずれかとの可能な化学的相互作用、2.燃料電池の動作温度範囲、及び3.イオン/電子伝導比の値、である。その結果、2つ以上の固体酸化物電解質170の組み合わせを使用して、これらの因子が確実に満たされるようにすることができる。例えば、固体酸化物形燃料電池110において、所望の動作温度における顕著なイオン伝導性のために、非安定性固体酸化物電解質170(アノード120と相互作用する)が必要である場合、化学的に安定な固体電解質の薄いコーティングを、電解質/アノード界面に使用して、アノード120と固体酸化物電解質170との間の直接接触を回避することができる。同じ技術を用いて、高度に導電性の混合イオン−電子性固体電解質が所望の温度範囲で示すことができる電子伝導性をブロックすることができる。この場合、純粋なイオン伝導体(例えば、YSZ)の薄いコーティングが有益であり得る。
【0038】
カソード130及び増幅器カソード160に関しては、動作温度範囲で低O
2(g)還元過電位を示し、かつ固体酸化物電解質170との相互作用は無視できる任意のカソード材料をカソード130及び増幅器カソード160に使用することができる。限定ではなく一例として、カソード130または増幅器カソード160は、ABO
3またはABMO
3またはA
1−xSr
xFe
1−yCo
yO
3−δまたはA
1−xB
xM
1−yMg
yO
3−δの一般的なタイプのペロブスカイト材料を含むことができ、Aは、La、Sn、Nd、Gd、BaまたはDyの群の1つ、Bは、2
+、3
+、4
+または5
+カチオンの1つであり得、Mは、遷移金属であり得る。2つの好ましいペロブスカイトカソードは、LaSrFeCoO
3−δ(LSCF)及びLaSrMnO
3−δ(LSM)である。さらなる例示的なペロブスカイトカソードは、Sr
2MgMo
0.8Nb
0.2O
6−δである。さらに、遷移金属電極をカソード130または増幅器カソード160として使用することができる。非限定的な例としては、Pt、Ir及びAuを含む。
【0039】
別の実施形態では、カソード130と増幅器カソード160は同じ組成物である。カソード130と増幅器カソード160の両方でO2還元が起こる点で、カソード130と増幅器カソード160の機能は同じであるので、同じ材料を使用することができ、全体の製造コストを低減できるという利点がある。
【0040】
さらなる実施形態では、カソード130及び増幅器カソード160は異なる組成物である。カソード130及び増幅器カソード160に異なる組成を使用することにより、カソード130と比較して増幅器カソード160のサイズが比較的小さいため、一般に増幅器カソード160として使用されるより高価な高性能カソード材料が可能になる。増幅器カソード160のための高性能カソード材料を使用することは、増幅器カソード160のより小さいサイズを補償することができるより低コストで低性能のカソード材料よりも高い酸素還元速度をもたらす。
【0041】
図3を参照すると、実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110は、液体燃料噴霧器190をさらに備える。液体燃料噴霧器190は、アノード120の上部から離間して載置される。液体燃料噴霧器190を利用することにより、アノード120全体への燃料142の分配が可能になる。アノード120全体への燃料142の分配は、燃料利用の増加をもたらす。さらに、アノード120全体への燃料142の分配は、高度に分散した炭素質堆積物140をもたらす。増幅器カソード160で生成されたイオン性酸素146が、固体酸化物電解質170を通過する際にアノード120全体に分散され、したがって高度に分散された炭素質堆積物140が、生成された全てのイオン性酸素146を効果的に使用するために好ましい。
【0042】
図示されていないが、いくつかの従来の(例えば、炉からの無駄な熱を利用する)、非従来的な(すなわち再生可能な:太陽光発電(PV)または集中太陽光発電(CSP)、風力発電など)、または組み合わされた加熱方法が、固体酸化物形燃料電池110の必要な高い動作温度範囲を達成するために使用され得る。
【0043】
さらなる実施形態では、燃料電池は溶融炭酸塩燃料電池(MCFC)である。燃料電池が溶融炭酸塩燃料電池である場合、固体酸化物電解質170を通って移動するイオン種は、イオン性炭酸塩(CO
32−)である。さらに、式R1、R2、及びR4は、以下で再現されるR5、R6、及びR7で置き換えられる。
【0047】
液体炭化水素を燃料とする燃料電池は、最大90%の動作効率値を示すことができるが、高効率値が得られるアノード120での炭化水素燃料142の直接供給の動作は、アノード120上に形成する炭素質堆積物140の従来の問題により、依然として課題であり、適用が困難である。しかしながら、炭素質堆積物140をアノード120から除去することにより、固体酸化物形燃料電池システム110の動作効率が維持される。別の実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110の効率は40%を超え、固体酸化物形燃料電池システム110の動作中に無期限に40%を超えて維持される。さらなる実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110の効率は60%を超え、固体酸化物形燃料電池システム110の動作中に無期限に60%を超えて維持される。さらに別の実施形態では、固体酸化物形燃料電池システム110の効率は80%を超え、固体酸化物形燃料電池システム110の動作中に無期限に80%を超えて維持される。
【0048】
特許請求の範囲に記載された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して様々な修正及び変更がなされ得ることは、当業者には明らかである。したがって、本明細書は、そのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入るならば、本明細書に記載された様々な実施形態の修正及び変更を包含することが意図される。
【0049】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0050】
実施形態1
液体炭化水素燃料固体酸化物形燃料電池における炭素質堆積物を除去する方法であって、
アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードの間に配向された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質及び前記カソードに近接して配置された増幅器カソードと、前記アノード及び前記カソードを電気的に接続する燃料電池電気回路と、前記アノード及び前記増幅器カソードを電気的に接続する増幅器電気回路と、を備える固体酸化物形燃料電池システムを提供することと、
前記増幅器電気回路を電解モードで動作させて前記増幅器カソードに電力を供給することであって、前記増幅器カソードが、O
2−またはCO
32−を生成して前記アノードに供給する、電力を供給することと、
前記O
2−または前記CO
32−との反応を介して前記炭素質堆積物を二酸化炭素ガスに変換し、前記二酸化炭素ガスを排出することによって、前記アノード上の前記炭素質堆積物を除去することと、を含む、方法。
【0051】
実施形態2
前記増幅器電気回路が、前記増幅器電気回路に電力を供給する少なくとも1つのバッテリをさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態3
前記増幅器電気回路が、前記増幅器電気回路に電力を供給し、それを制御する少なくとも1つのポテンショスタットをさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態4
前記増幅器電気回路が、少なくとも1つのポテンショスタットをさらに備え、前記増幅器電気回路が、前記ポテンショスタットによって制御され、前記燃料電池電気回路によって充電される前記少なくとも1つのバッテリによって電力を供給される、実施形態2に記載の方法。
【0054】
実施形態5
前記増幅器電気回路が、前記増幅器電気回路に電力を供給し、それを制御する少なくとも1つのガルバノスタットをさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0055】
実施形態6
前記増幅器電気回路が、少なくとも1つのガルバノスタットをさらに備え、前記増幅器電気回路が、ガルバノスタットによって制御され、前記燃料電池電気回路によって充電される前記少なくとも1つのバッテリによって電力を供給される、実施形態2に記載の方法。
【0056】
実施形態7
前記増幅器電気回路に供給される電流が、経時的に実質的に一定である、実施形態1に記載の方法。
【0057】
実施形態8
前記増幅器電気回路に供給される前記電流が、前記O
2の還元電位よりも高くかつ前記電解質の還元電位よりも低い電圧を維持する、実施形態7に記載の方法。
【0058】
実施形態9
前記増幅器電極回路に供給される前記電流がパルス化される、実施形態1に記載の方法。
【0059】
実施形態10
前記固体酸化物形燃料電池システムが、前記固体酸化物形燃料電池システムの電力出力が炭素質堆積物を伴わない初期動作の50%未満に低下したときに電流が供給されるように、前記増幅器電極回路に供給される前記電流をパルス化する制御回路をさらに備える、実施形態9に記載の方法。
【0060】
実施形態11
前記カソード及び前記増幅器カソードが異なる組成である、実施形態1に記載の方法。
【0061】
実施形態12
前記カソード、前記増幅器カソード、またはそれらの両方が、一般タイプABO
3またはABMO
3またはA
1−xSr
xFe
1−yCo
yO
3−δまたはA
1−xB
xM
1−yMg
yO
3−δの少なくとも1つのペロブスカイト材料からなる群から選択され、式中、
Aが、La、Sn、Nd、Gd、Ba、またはDyであり、
Bが、2
+、3
+、4
+、または5
+カチオンであり、
Mが、遷移金属である、実施形態1に記載の方法。
【0062】
実施形態13
前記ペロブスカイト材料が、LaSrFeCoO
3−δ(LSCF)、またはLaSrMnO
3−δ(LSM)、またはSr
2MgMo
0.8Nb
0.2O
6−δである、実施形態12に記載の方法。
【0063】
実施形態14
前記アノードが、金属、金属酸化物、またはセラミック金属を含む、実施形態1に記載の方法。
【0064】
実施形態15
前記アノードが、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、クロム(Cr)、テルビウム(Tb)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、実施形態14に記載の方法。
【0065】
実施形態16
前記電解質が、ジルコニア系、セリア系、チタニア系、ペロブスカイト酸化物、またはカチオン系炭酸塩系である、実施形態1に記載の方法。
【0066】
実施形態17
前記固体酸化物形燃料電池システムが、前記液体炭化水素燃料を前記アノード全体に分配するように位置する液体燃料噴霧器をさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0067】
実施形態18
液体炭化水素燃料固体酸化物形燃料電池における炭素質堆積物を除去する方法であって、
アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードの間に配向された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質及び前記カソードに近接して配置された増幅器カソードと、前記アノード及び前記カソードを電気的に接続する燃料電池電気回路と、前記アノード及び前記増幅器カソードを電気的に接続する少なくとも1つのバッテリ、ポテンショスタット、またはガルバノスタットを備えた増幅器電気回路と、を備える固体酸化物形燃料電池システムを提供することと、
前記固体酸化物形燃料電池システムの電力反応速度を監視することと、
前記増幅器電気回路を電解モードで動作させて前記増幅器カソードに電力を供給することであって、前記増幅器カソードが、O
2−またはCO
32−を生成して前記アノードに供給する、電力を供給することと、
前記炭素質堆積物を前記O
2−または前記CO
32−との反応を介して二酸化炭素ガスに変換し、前記二酸化炭素ガスを排出することによって、前記アノード上の前記炭素質堆積物を除去することと、
前記アノード上の前記炭素質堆積物の前記除去の定常状態動作を得るように前記増幅器電気回路に供給される電流を調整することと、を含む、方法。
【0068】
実施形態19
前記増幅器電気回路に供給される前記電流が、経時的に実質的に一定である、実施形態18に記載の方法。
【0069】
実施形態20
前記増幅器電極回路に供給される前記電流がパルス化される、実施形態18に記載の方法。
【0070】
実施形態21
前記増幅器電気回路が、前記増幅器電気回路に電力を供給し、それを制御する少なくとも1つのポテンショスタットをさらに備える、実施形態18に記載の方法。
【0071】
実施形態22
前記増幅器電気回路が、前記増幅器電気回路に電力を供給し、それを制御する少なくとも1つのガルバノスタットをさらに備える、実施形態18に記載の方法。
【0072】
実施形態23
固体酸化物形燃料電池システムであって、
アノードと、
カソードと、
前記アノード及び前記カソードの間に配向された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質及び前記カソードに近接して配置された増幅器カソードと、
前記アノード及び前記カソードを電気的に接続する燃料電池電気回路と、
前記アノード及び前記増幅器カソードを電気的に接続する増幅器電気回路と、
前記液体炭化水素燃料を前記アノード全体に分配するように位置する液体燃料噴霧器と、を備え、
前記増幅器電気回路が、電解モードで動作して、O
2−またはCO
32−を生成して前記アノードに供給する前記増幅器カソードに電力を供給し、前記炭素質堆積物を前記O
2−または前記CO
32−との反応を介して二酸化炭素ガスに変換して二酸化炭素ガスを生成させることによって、前記アノード上の前記炭素質堆積物を除去する、固体酸化物形燃料電池システム。
【0073】
実施形態24
前記増幅器電気回路が、少なくとも1つのバッテリ、ポテンショスタット、またはガルバノスタットを備える、実施形態23に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0074】
実施形態25
前記カソード、前記増幅器カソード、またはそれらの両方が、一般タイプABO
3またはABMO
3またはA
1−xSr
xFe
1−yCo
yO
3−δまたはA
1−xB
xM
1−yMg
yO
3−δの少なくとも1つのペロブスカイト材料からなる群から選択され、式中、
Aが、La、Sn、Nd、Gd、Ba、またはDyであり、
Bが、2
+、3
+、4
+、または5
+カチオンであり、
Mが、遷移金属である、実施形態23に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0075】
実施形態26
前記アノードが、金属、金属酸化物、またはセラミック金属を含む、実施形態23に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0076】
実施形態27
前記アノードが、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、クロム(Cr)、テルビウム(Tb)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、実施形態26に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0077】
実施形態28
前記電解質が、ジルコニア系、セリア系、チタニア系、またはペロブスカイト酸化物、またはカチオン系炭酸塩系である、実施形態23に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0078】
実施形態29
前記ジルコニア系電解質が、イットリア安定化ZrO
2(YSZ)、スカンジア安定化ZrO
2(ScSZ)、カルシア安定化ZrO
2(CSZ)、)、サマリア安定化ZrO
2(SmSZ)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態28に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【0079】
実施形態30
前記セリア系電解質が、ガドリニアドープセリア(GDC)、イットリアドープセリア(YDC)、サマリアドープセリア(SmDC)、スカンジアドープセリア(GDC)、ジルコニウムドープセリア(ZDC)、ガドリニア安定化セリア(CGO)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態28に記載の固体酸化物形燃料電池システム。