(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568650
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】プローブソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20140101AFI20190819BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-512287(P2018-512287)
(86)(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公表番号】特表2018-529951(P2018-529951A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】KR2016010077
(87)【国際公開番号】WO2017043879
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2018年3月6日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0128114
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517040445
【氏名又は名称】リーノ インダストリアル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ−ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,グン−ス
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョン−チョル
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−175371(JP,A)
【文献】
特開2011−252766(JP,A)
【文献】
特開2008−070146(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/001731(WO,A1)
【文献】
特開2006−098376(JP,A)
【文献】
特開2009−156710(JP,A)
【文献】
特開2006−125988(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/062911(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号用プローブを含むプローブソケットであって、
上記複数の信号用プローブを両端部が露出されるように相互平行に収容してノイズを遮蔽する導電性のノイズ遮蔽本体と、
上記ノイズ遮蔽本体から上記複数の信号用プローブの露出両端部の間の一部の領域に延びている上部ノイズ遮断壁及び下部ノイズ遮断壁と、
上記ノイズ遮蔽本体の上部及び下部にそれぞれ配置され、上記複数の信号用プローブの露出両端部をそれぞれ支持し、上記上部ノイズ遮断壁を収容する収容溝部を有する上部固定部材、及び、上記下部ノイズ遮断壁を収容する収容溝部を有する下部固定部材と、
を含む、プローブソケット。
【請求項2】
上記上部ノイズ遮断壁及び上記下部ノイズ遮断壁を収容する収容溝部は、上記上部及び下部固定部材を貫通している、請求項1に記載のプローブソケット。
【請求項3】
上記ノイズ遮蔽本体は、黄銅ブロックを含む、請求項1に記載のプローブソケット。
【請求項4】
上記ノイズ遮蔽本体は、少なくとも2つに分割して積層され、
上記の積層されたノイズ遮蔽本体の間に配置され上記複数の信号用プローブを支持する中間支持部材をさらに含む、請求項1に記載のプローブソケット。
【請求項5】
複数の接地用プローブをさらに含み、
上記上部ノイズ遮断壁及び上記下部ノイズ遮断壁は、上記複数の接地用プローブの少なくとも一つを収容する、請求項1に記載のプローブソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブソケットに関し、特に、高周波高速用回路のモジュールやICなどを回路基板に組み立てる前にその電気的特性を検査するためのプローブソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アナログ回路の接地とデジタル回路の接地とが分離して構成されたデバイスを検査する場合に、デジタル回路から発生するノイズ成分がアナログ回路に混入してRF信号特性を低下させる問題を解決するために、同軸構造のプローブソケットを使用している。
【0003】
従来のプローブソケットは、複数の信号用プローブピンを非接触収容し、接地用プローブピンを接触収容する導電性遮蔽ブロックと、導電性遮蔽ブロックの上下面にそれぞれ配置されて、上記信号用プローブピン及び接地用プローブピンを支持する上部及び下部固定部材と、を含む。このとき、上部及び下部固定部材はセラミックからなり、遮蔽ブロックの上下面から露出された信号用プローブピンを固定する。
【0004】
しかし、固定部材を構成するセラミックは信号ノイズを遮蔽できず、遮蔽ブロックの上下面から露出された信号用プローブピン間にクロストーク(crosstalk)が発生する。結果として、従来のプローブソケットはインピーダンスマッチングがされていないため50Ω±10%の特性を満たすことができなく、挿入損失(Insertion Loss)、反射損失(Return Loss)などの信号伝達特性が低い。
【0005】
機構的にプローブピンとプローブピンとの間の間隔は0.26mmと非常に小さく、遮蔽ブロックのプローブピン収容孔は0.2mmと非常に小さいため、遮蔽ブロックと上部及び下部固定部材との正確な整列(Alignment)が難しい。その結果、遮蔽ブロックとその上部及び下部固定部材に信号用プローブピンと接地用プローブピンを組み立てる工程が非常に難しくなり、その製造コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解決するためのものであり、インピーダンスマッチング特性に優れて信号伝達特性が良好な高周波(RF)用プローブソケットを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、信号用プローブピンと接地用プローブピンを収容及び支持する遮蔽ブロック及び上下部固定部材の整列が容易にできる高周波(RF)用プローブソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の課題を解決するためのプローブソケットは、複数の信号用プローブを両端部が露出されるように相互平行に収容してノイズを遮蔽する導電性のノイズ遮蔽本体と、上記ノイズ遮蔽本体から上記複数の信号用プローブの露出両端部の間の一部の領域に延びている上部及び下部ノイズ遮断壁と、上記ノイズ遮蔽本体の上部及び下部にそれぞれ配置され、上記複数の信号用プローブの露出両端部をそれぞれ支持し、上記ノイズ遮断壁を収容する収容溝部を有する上部及び下部固定部材と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記上部及び下部ノイズ遮断壁を収容する収容溝部は、上記上部及び下部固定部材を貫通していてもよい。
【0010】
上記ノイズ遮蔽本体は黄銅ブロックを含んでもよい。
【0011】
上記ノイズ遮蔽本体は少なくとも2つに分割して積層され、上記積層されたノイズ遮蔽本体の間に配置され上記複数の信号ピンを支持する中間支持部材をさらに含んでもよい。
【0012】
上記プローブソケットは複数の接地用プローブをさらに含み、上記上部及び下部ノイズ遮断壁は上記複数の接地用プローブの少なくとも一つを収容してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプローブソケットは、上部及び下部固定部材を通過する信号用プローブピンの間を、遮蔽ブロックから延びているノイズ遮断壁によって遮蔽することによって、信号用プローブピン間のクロストークを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係るノイズ遮断壁とノイズ遮断壁収容溝の整列を利用することによって、遮蔽ブロックと上下部固定部材を正確に整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施例に係るプローブソケットの分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るプローブソケットの分解斜視図である。
【
図3】
図1におけるノイズ遮蔽本体の分解斜視図である。
【
図4】
図1におけるノイズ遮蔽本体の斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係るプローブソケットの部分切開斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施例に係るノイズ遮蔽本体の斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施例に係るノイズ遮蔽本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2は、本発明の第1実施例に係るプローブソケット1の分解斜視図である。プローブソケット1は、ノイズ遮蔽本体100、上部固定部材200及び下部固定部材300を含む。ノイズ遮蔽本体100は、上部固定部材200の下部溝部211と下部固定部材300の上部溝部311との間に介在して配置される。
【0017】
図3は、
図1におけるノイズ遮蔽本体100の分解斜視図である。ノイズ遮蔽本体100は、導電性の黄銅ブロック又は非導電性ブロックに導電膜をコートして形成する。ノイズ遮蔽本体100の上面及び下面には信号用プローブ142及び接地用プローブ144の両端部が露出されている。信号用プローブ142は、
図5に示すように、円筒形バレル143内に離脱しないように部分収容されて、バレル143内で互いを向かってスライド移動可能な上部プランジャ141及び下部プランジャ145と、バレル143内で上部プランジャ141と下部プランジャ145との間に配置されて、上部プランジャ141及び下部プランジャ145の少なくとも一方を弾性的に移動可能にするスプリング(図示せず)を含む。接地用プローブ144は、信号用プローブ142と同一又は類似の構造を有し、詳細な説明は省略する。上述した信号用プローブ142又は接地用プローブ144には様々な形態のプローブを適用することができる。
【0018】
ノイズ遮蔽本体100は、信号用プローブ孔112,122及び接地用プローブ孔114,124が形成されている。複数の信号用プローブ142と複数の接地用プローブ144はそれぞれ両端部が露出されるようにして信号用プローブ孔112,122及び接地用プローブ孔114,124に相互平行に収容される。このとき、短絡を防止するために、複数の信号用プローブ142が信号用プローブ孔112の内壁に接触しないようにする必要がある。一方、複数の接地用プローブ144は接地用プローブ孔114,124の内壁に接触するようにして相互平行に収容される。
【0019】
ノイズ遮蔽本体100の上面には、
図4に示すように、複数の信号用プローブ142と複数の接地用プローブ144の上部がそれぞれ露出されている。ノイズ遮蔽本体100の上面には上記複数の信号用プローブ142の露出端部の間の一部領域に延びる上部ノイズ遮断壁150が形成されている。上部ノイズ遮断壁150は2個の接地用プローブ144の上部を収容している。もちろん、上部ノイズ遮断壁150が接地用プローブ144の上部を収容しないように設計することも可能である。
【0020】
ノイズ遮蔽本体100の下面には、
図3に示すように、複数の信号用プローブ142と複数の接地用プローブ144の下部がそれぞれ露出されている。ノイズ遮蔽本体100の下面には、上記複数の信号用プローブ142の露出端部の間の一部領域に延びる下部ノイズ遮断壁160が形成されている。下部ノイズ遮断壁160は、上部ノイズ遮断壁150と違い、接地用プローブ144の下部を収容していないが、接地用プローブ144の下部を収容するように設計することも可能である。
【0021】
上部固定部材200は、セラミックのような非導電性材質で形成され、信号用プローブ142及び接地用プローブ144を固定支持する。上部固定部材200は、ノイズ遮蔽本体100の上側の一部を収容する上部固定部材200の収容溝部211、ノイズ遮蔽本体100の上部ノイズ遮断壁150を収容する上部遮断壁収容溝部250、ノイズ遮蔽本体100の上部から突出している信号用プローブ142の上部を収容する信号用プローブ上部固定孔242、及びノイズ遮蔽本体100の上部から突出している接地用プローブ144の上部を収容する接地用プローブ上部固定孔244が形成されている。
【0022】
上部遮断壁収容溝部250は、上部固定部材200を貫通する形態で形成されている。もちろん、上部遮断壁収容溝部250は上部固定部材200を貫通しない形態で形成されてもよい。信号用プローブ上部固定孔242は、上部固定部材200の下面からバレル143が挿入されるに適する大きさで延在してから、上部プランジャ141が挿入されるに適する大きさで狭くなっている。したがって、プローブソケット1の上面には信号用プローブ142の上部プランジャ141の一部だけが露出される。同様に、接地用プローブ上部固定孔244は、上部固定部材200の下面から接地用プローブのバレルが挿入されるに適する大きさで延在してから、接地用プローブの上部プランジャが挿入されるに適する大きさで狭くなっている。したがって、プローブソケット1の上面には接地用プローブ144の上部プランジャの一部だけが露出される。
【0023】
図5に示すように、、上部固定部材200において2個の信号用プローブ142の間には導電性の上部ノイズ遮断壁150が介在しているため、信号用プローブ142間のクロストークを防止することができる。また、導電性の上部ノイズ遮断壁150と上部固定部材200の上部遮断壁収容溝部250を精密に製造することによって、複数の信号用プローブ142及び接地用プローブ144の上部を、上部固定部材200の信号用プローブ上部固定孔242及び接地用プローブ上部固定孔244に正確に整列して組み立てることができる。
【0024】
下部固定部材300はセラミックのような非導電性材質で形成され、信号用プローブ142及び接地用プローブ144を固定支持する。下部固定部材300は、ノイズ遮蔽本体100の下側の一部を収容する下部遮蔽本体収容溝部311、ノイズ遮蔽本体100の下部ノイズ遮断壁160を収容する下部遮断壁収容溝部360、ノイズ遮蔽本体100の下部に突出している信号用プローブ142の下部を収容する信号用プローブ下部固定孔342、及びノイズ遮蔽本体100の下部に突出している接地用プローブ144の下部を収容する接地用プローブ下部固定孔344が形成されている。
【0025】
下部遮断壁収容溝部360は下部固定部材300を貫通する形態で形成されている。もちろん、下部遮断壁収容溝部360は下部固定部材300を貫通しない形態で形成されてもよい。信号用プローブ下部固定孔342は、下部固定部材300の下面にバレル143が挿入されるに適する大きさで延在してから、下部プランジャ145が挿入されるに適する大きさで狭くなっている。したがって、プローブソケット1の下面には信号用プローブ142の下部プランジャ145の一部だけが露出される。同様に、接地用プローブ下部固定孔344は、下部固定部材300の上面から接地用プローブのバレルが挿入されるに適する大きさで延在してから、接地用プローブの下部プランジャが挿入されるに適する大きさで狭くなっている。したがって、プローブソケット1の下面には接地用プローブ144の下部プランジャの一部だけが露出される。
【0026】
図5に示すように、、下部固定部材300において2個の信号用プローブ142の間には導電性の下部ノイズ遮断壁160が介在しているため、信号用プローブ142間のクロストークを防止することができる。また、導電性の下部ノイズ遮断壁160と下部固定部材300の下部遮断壁収容溝部360を精密に製造することによって、複数の信号用プローブ142及び接地用プローブ144の下部を、下部固定部材300の信号用プローブ下部固定孔342及び接地用プローブ下部固定孔344に正確に整列して組み立てることができる。
【0027】
図面符号128及び218は、上部固定部材200、ノイズ遮蔽本体100及び下部固定部材300の整列のためのアライン孔であり、図面符号216及び316は、組み立てられたプローブソケット1と検査装置の支持フレーム(図示せず)の整列のためのアライン孔である。
【0028】
図6は、本発明の第2実施例に係るノイズ遮蔽本体100の斜視図である。
図6に示すように、第2実施例に係るノイズ遮蔽本体100は、
図4に示したアイランド形態の 上部ノイズ遮断壁150と違い、一体に連結された上部ノイズ遮断壁150及び下部ノイズ遮断壁(図示せず)を有することができる。
【0029】
図7は、本発明の第3実施例に係るノイズ遮蔽本体100の分解斜視図である。ノイズ遮蔽本体100は、上部遮蔽本体110及び下部遮蔽本体120で構成することができ、設計によって、3個以上の遮蔽本体で構成することもできる。上部遮蔽本体110と下部遮蔽本体120との間には非導電性材質の支持部材130が介在している。万一、ノイズ遮蔽本体100が3個以上の遮蔽本体で構成される場合には、複数の支持部材が適用されてもよい。
【0030】
上部遮蔽本体110及び下部遮蔽本体120は、
図5に示した信号用プローブ孔112,122及び接地用プローブ孔114,124が形成されている。このとき、短絡を防止するために、複数の信号用プローブ142が信号用プローブ孔112の内壁に接触しないようにする。このような非接触を保障するために、上部遮蔽本体110と下部遮蔽本体120との間に介在している支持部材130が使用される。一方、複数の接地用プローブ144は接地用プローブ孔114,124の内壁に接触するように相互平行に収容される。
【0031】
以上の明細書において、本発明及びその長所を特定の実施例を参照して説明してきた。しかし、添付の請求項で説明するような本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な修正及び変更が可能であるということは、当該技術の分野における通常の技術を有する者には明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、本発明の限定ではなく本発明の例示として見なされるべきである。それらの全ての可能な修正は本発明の範囲内でなされる必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のプローブソケットは、半導体製造工程において半導体の電気的特性を検査するために利用可能である。